経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 Ⅰ 経営成績 当第2四半期連結累計期間(以下、当第2四半期)におけるわが国経済は、原材料やエネルギー価格の高騰の影響はあったものの、株価の上昇や新型コロナウイルスの5類移行に伴う消費拡大によって経済活動は活発化し、緩やかながらも景気回復の動きが続きました。 一方で、当社グループの顧客においては、度重なる法律制度の改正とこれらへの実務対応が必要となりました。当社グループは、法律制度の改正に迅速に対応したシステムと研修サービスを提供し、顧客ならびに地域社会に貢献すべく事業を展開しています。 会計事務所事業部門では、消費税インボイス制度下で初めてとなる決算・申告、電子帳簿保存法に基づく電子取引の保存への対応、そして本年6月から対応が必要になる定額減税制度の準備にむけて、顧客である税理士および公認会計士(以下、TKC会員)を支援しています。 地方公共団体事業部門では、低所得世帯への給付金制度や子育て世帯の経済負担軽減策などへの対応に加え、令和5年9月8日に閣議決定された「地方公共団体情報システム標準化基本方針」で定められた、標準仕様書への適合期限(令和8年3月末)までに、顧客市区町村が円滑にシステム移行できるようシステム開発に取り組んでいます。 これらの活動の結果、当第2四半期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が37,047百万円(前期比2.8%増)、営業利益は8,989百万円(同2.9%増)、経常利益は9,253百万円(同4.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,376百万円(同3.9%増)となりました。 当第2四半期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。 1.第2四半期業績の推移(1)会計事務所事業部門の売上高の推移 会計事務所事業部門における売上高は24,624百万円(前期比3.9%増)、営業利益は6,422百万円(同3.0%増)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.3%増となりました。これは、関与先企業において経理事務のDX(Digital Transformation)化が進行する中で、「FXクラウドシリーズ」の導入が進んでいること、および会計事務所向けの「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と自宅や外出先からリモートで業務を遂行できる「OMSコネクト」の採用が進み、クラウドサービスの利用量が増加したことによります。②ソフトウエア売上高は、前期比4.6%増となりました。これは、消費税インボイス制度や改正電子帳簿保存法に対応するために「適格請求書発行事業者のチェック機能」や「証憑保存機能」を搭載した「FXクラウドシリーズ」を新規に利用開始する関与先企業が増加したことによります。③コンサルティング・サービス売上高は、前期比3.3%増となりました。これは中堅企業向けの財務会計システム「FX4クラウド」の新規受注に伴う立ち上げ支援サービスの実施件数が増加したことによります。④ハードウエア売上高は、前期比2.7%増となりました。これは、中小企業庁の「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」において、ハードウエアの購入費用も補助の対象となっていること、およびIT機器の販売単価が上昇したことなどによります。⑤サプライ用品売上高は、前期比4.2%減となりました。これはデジタル複合機やオフィス家具販売などの収益認識基準における代理人取引が増加した一方で、デジタル化の普及による会計用品販売等が減少したことによります。⑥なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、利益率が高いコンピューター・サービス売上高やソフトウエア売上高が順調に伸びていることによります。(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移 地方公共団体事業部門における売上高は11,029百万円(前期比1.0%増)、営業利益は2,703百万円(同5.5%増)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.4%増となりました。これは、前期に受託した新型コロナワクチン追加接種に係る接種券の印刷業務が当期はなくなったものの、「地方税統一QRコードを活用した地方税の納付」制度(令和5年4月開始)や「TASKクラウドかんたん窓口システム」などの行政手続きのデジタル化を支援するシステムの新規導入により、サービス利用料が増加したことによります。②ソフトウエア売上高は、前期比19.9%増となりました。これは、標準準拠システムへの移行に伴う令和5年度システム改修業務をはじめ、低所得世帯への給付金制度や子育て世帯の経済負担軽減策など各種法改正に伴う一時的なシステム改修業務が大幅に増加したことによります。③コンサルティング・サービス売上高は、前期比44.6%減となりました。これは、前期受託した「転出・転入手続きのワンストップ化」や「地方税統一QRコードを活用した地方税の納付」に伴うシステム導入支援などが当期はなかったことによります。④ハードウエア売上高は、前期比8.3%減となりました。これは、ハードウエアやネットワーク機器の更改を迎える顧客団体が少なかったことによります。⑤なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、利益率の高いシステム改修やコンピューター・サービス売上高の増加などによります。(3)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の売上高の推移 印刷事業部門における売上高は1,393百万円(前期比1.7%減)、営業損失は145百万円(前期は営業損失72百万円)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。①データ・プリント・サービス(以下、DPS)関連商品の売上高は、前期比0.8%増となりました。これは、顧客市区町村から前期に受注した新型コロナワクチン接種券および電気・ガス・食料品等価格高騰支援給付金関連業務の印刷・印字業務が当期はなかったものの、QRコードを活用し、効果を測定するダイレクトメール(以下、DM)などの受注が増加したことによります。②ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比2.2%減となりました。これは、顧客企業におけるデジタル化の進行により伝票印刷業務の受注が減少したことによります。③商業美術印刷(カタログ、書籍等)関連の売上高は、前期比16.1%減となりました。これは、前期において受注した消費税インボイス制度を解説する書籍や顧客企業の周年記念事業における印刷業務が当期はなかったことによります。2.全社に関わる重要な事項(1)TKCホームページに特設情報サイト「令和6年能登半島地震の事業者向け支援策情報」を開設 「令和6年能登半島地震」の被害に遭われた事業者を支援するため、当社は能登半島地震の事業者向け支援策情報を取りまとめた専用ページを1月11日に開設しました。また、被災したお客さまに対して、会計帳簿の無償再印刷やパソコンの無償貸し出し等を実施し、事業の早期復旧を支援しています。被害に遭われた中小企業等の皆さまの1日も早い事業の復旧をお祈り申し上げます。(2)TKCホームページに特設情報サイト「これで安心!定額減税」を開設 当社は本年6月から始まる所得税・住民税の定額減税制度の特設情報サイトを開設しました。当サイトでは、定額減税の概要解説のほか、給与計算担当者の実務スケジュールなどを紹介しています。当サイトでの情報発信により企業や事業主の円滑な制度対応を支援します。(3)「インボイス・マネジャー」を導入する中堅・大企業が1,000社を突破 本年1月から改正電子帳簿保存法における電子取引データの電子保存が義務化されました。当社は電子的に発行・受領した請求書等を電子保存し、従前の紙での保存の手間やコストを大幅に削減するクラウドサービス「インボイス・マネジャー」を提供し、その導入企業数が1,000社を超えました。3.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績 会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先である中小企業の持続的な発展を支援するため、TKC全国会と密接に連携し、製品やサービスの開発・提供に取り組んでいます。 また上場会社などの大企業や法律事務所、大学・法科大学院等にも各種クラウドサービスを提供しています。(1)「黒字決算と適正申告」の実現に向けた活動①TKC方式の自計化の推進(「FXシリーズ」の推進)中小企業はインフレや円安、コロナ禍において実行された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済などにより、厳しい経営環境に置かれています。そのため当社は、企業向け財務会計システム「FXシリーズ」に搭載している「経営戦略レベル」の機能(365日変動損益計算書、予算登録、部門別管理、資金繰り実績表、当期決算の先行き管理)の活用を通して経営者が戦略的な意思決定を迅速に実施できるよう支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するには、適時・正確な会計取引の入力と月次決算体制の構築が必要となります。そのため、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」や、給与計算システム「PXシリーズ」との給与仕訳の連携機能など「日常業務レベル」の機能の活用も支援しています。なお、令和5年10月から消費税インボイス制度が開始され、TKC会員は当制度下で初めてとなる個人の確定申告や法人企業の決算申告業務を行っています。FXシリーズは消費税インボイス制度に完全対応しており、正しい消費税申告が可能となります。特に1)経過措置や特例の適用可否を自動チェックする機能を搭載、2)免税事業者との取引に関する経過措置の自動転記が可能、3)決算書、消費税申告書、科目内訳書への適格請求書発行事業者番号の自動転記が可能――の3点により、会計帳簿から消費税申告まで一気通貫で業務を完遂でき、会計事務所業務の効率化と適正申告につながると高く評価されています。こうした評価を得た結果、令和6年3月末日現在でFXシリーズの利用企業数は32万社となりました。当社は「FXシリーズ」の導入を通じて中小企業の月次決算体制を構築し、「黒字決算と適正申告」の実現を支援してまいります。②適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成支援当社が提供する財務会計システムの最大の特長は、TKC会員事務所が関与先企業に毎月実施する巡回監査と月次決算を前提とし、巡回監査実施後の取引データにおいて、遡及的な訂正・加除処理を禁止しているところにあります。この特長を生かし、金融機関などが客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明しています。このように「記帳適時性証明書」は、「監査の頻度」を一目瞭然に判別できるものであり、今後ますます重要になると考えています。③「TKCモニタリング情報サービス」の推進「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。当社は「TKCモニタリング情報サービス」で送付される以下の3帳表により、中小企業の決算書の信頼性が確認できることを、金融機関に訴求しています。1)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」2)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性を株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」3)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」こうした活動の結果、「TKCモニタリング情報サービス」は令和6年3月末日現在、492金融機関に採用されており、その利用件数は33万6,000件を突破しました。「TKCモニタリング情報サービス」は、経営者保証ガイドラインで示された3つの要件(法人と個人の関係を区分・分離、財務基盤の強化、財務状況の正確な把握と適時適切な情報開示による経営の透明性の確保)を確認できるツールとして、中小企業の経営支援に取り組む金融機関や信用保証協会から高く評価されています。④TKC全国会との連携による優良企業の育成会計事務所事業部門は、TKC会員1万1,400名(令和6年3月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で「黒字決算と適正申告」の実現にむけて事業を展開しています。TKC全国会は、令和4年より向こう3年間の運動方針を以下のとおり掲げています。「未来に挑戦するTKC会計人──巡回監査を断行し、企業の黒字決算と適正申告を支援しよう」1)優良な電子帳簿を圧倒的に拡大する -「TKC方式の自計化」の推進2)租税正義の守護者となる -「TKC方式の書面添付」の推進3)黒字化を支援し、優良企業を育成する -「巡回監査」と「経営助言」の推進当社は、TKC全国会の運動とその目標達成を支援するために、TKC方式の自計化推進を軸とした営業活動を展開しています。なお、TKC全国会は、25万社超の決算書データを収録した「TKC経営指標(BAST)」を発行しており、以下の条件を充足した企業を「BAST優良企業」と定義しています。・TKC方式の自計化による月次決算の実施・税理士法第33条の2第1項に基づく書面添付の実践・中小会計要領(含む、企業会計基準および中小会計指針)への準拠・限界利益額の2期連続増加・自己資本比率が30%以上・税引前当期純利益がプラス当社は、TKC会員による優良企業の育成を支援しています。⑤会員導入(TKC全国会への入会促進)TKC全国会は、令和4年から令和6年までの3年間で新規に入会する会員事務所を1,000件超とする目標を掲げています。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会と連携した取り組みを強化しています。併せて新たにTKC全国会に入会した事務所に「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」をはじめとしたTKCシステムを有効に活用いただくためのサポート体制も強化しています。(2)大企業市場への展開 当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンス向上と合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。①デジタル・インボイスへの対応令和5年8月に当社はデジタルインボイス推進協議会(EIPA)の代表幹事法人に就任し、システムベンダーを中心とした約200の協議会加盟会社とともに、デジタル・インボイスの普及活動に取り組んでいます。また、令和6年1月より、改正電子帳簿保存法における電子取引データの電子保存が義務化されました。それにより、電子取引データの電子保存ニーズが高まり、当第2四半期の3カ月間で請求書の発行・受領をデジタル化するクラウドサービス「インボイス・マネジャー」の新規導入企業数が70社を超えました。こうした活動の結果「インボイス・マネジャー」は令和6年3月末日現在、中堅・大企業約1,000社に導入されています。当社は今後もデジタル・インボイスの普及に取り組んでまいります。②大企業市場でのシェア拡大とTKC会員の関与先拡大支援令和4年4月1日以後に開始する事業年度から連結納税制度が見直され、新たにグループ通算制度が開始されました。当社が提供する「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」の市場からの評価は高く、多くのグループ通算制度採用企業にご利用いただいています。なお、令和6年3月末日現在で約2万800社あるといわれる資本金1億円超の企業の約40%において「法人電子申告システム(ASP1000R)」「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」をご利用いただいています。また「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和6年3月末日現在で約5,630企業グループとなりました。現在、日本の上場企業における市場シェアは43%に達しており、日本の上場企業の売上高トップ100社のうち93社(93%)が当社のシステムを利用しています。(3)法律情報データベースの市場拡大 当社は、会計事務所をはじめ法曹界、アカデミック市場、企業法務部門などに広く法律情報サービスを提供しています。①「TKCローライブラリー」の収録数やコンテンツの拡充当社は、業界最大の判例収録数(34万2,000件超)を誇る法律情報データベース「TKCローライブラリー」を提供しています。判例情報(LEX/DB)を中心に、法令、文献情報、法律専門誌、法律専門書籍、および関連する付加情報を網羅するとともに、常時ライブラリーのコンテンツの拡充を図っています。こうした活動の結果、資料室や図書館などを利用した紙ベースのリサーチから、オンラインリサーチへの移行が進んでおり、順調に当社サービスの採用数が増加しています。当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学や法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部、海外の研究機関などでの利用が進み、令和6年3月末日現在で2万6,000超の諸機関で5万9,000IDが利用されています。②アカデミック市場への展開多くの大学・法科大学院は、オンラインで教材利用やリサーチができる学習環境のDXを推進しています。当社が提供する「TKC法科大学院教育研究支援システム」は、いつでもどこでもオンラインで利用できること、他社をしのぐ多様なコンテンツを収録していること、さらにレポート提出・オンライン演習・テスト機能等を搭載し、授業と自学自習を支援する仕組みとなっていることが特長です。令和6年度の契約では160を超える大学で採用され、教員、学生からも高く評価されています。また、司法試験受験を目指す法科大学院生や修了生、予備試験合格者に対し、TKC全国統一模試の実施により、司法試験への対応も支援しています。TKC全国統一模試の受験者数は同業他社の5倍を超える実績となり、業界1位のスタンダード模試となりました。今後、法務省が発表した令和8年のCBT試験移行に向けて準備を進め、さらなる受験者数の拡大を目指します。4.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績 地方公共団体事業部門は、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。当社が地方公共団体に対して提供する「TKC行政クラウドサービス」は、令和6年3月末日現在で1,140団体を超える地方公共団体(都道府県、市区町村等)に採用されています。(1)地方公共団体情報システム標準化への対応 令和5年9月8日に閣議決定された「地方公共団体情報システム標準化基本方針」に基づき、地方公共団体は令和8年3月末までに、標準化基準に適合する基幹業務システムを利用することが義務付けられるとともに、同システムをガバメントクラウド環境で利用することが努力義務とされています。 当社が現在提供している基幹業務システム「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提に設計しています。サービス利用料金はサブスクリプション方式を採用しており、この利用料金の範囲内で年1回の定期バージョンアップを実施しています。さらに「TASKアウトソーシングサービス」の提供により、納税通知書や選挙入場券などの大量一括印刷処理を一体的に支援しています。こうした点が評価され、当社の「基幹系関連サービス」は令和6年3月末日現在で約170団体に採用されています。 当社は、基幹業務システムの標準化を支援するため「標準準拠システム」の開発ならびに顧客市町村の期限内移行の完遂に向けた各種支援活動を実施しています。(2)行政サービスのデジタル化支援①行政手続きのデジタル化・オンライン化支援当社は、窓口業務のデジタル化「3ない窓口(行かない・待たない・書かない)」の実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」を提供しています。当期においては「TASKクラウドスマート申請システム」「TASKクラウドかんたん窓口システム」の機能強化を行うとともに、今後のマイナンバーカードの利用拡大を見据えて「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」の全面リニューアルに取り組みました。その結果、令和6年3月末日現在、「TASKクラウドスマート申請システム」は大阪市や横浜市など政令指定都市を含む50団体以上に、「TASKクラウドかんたん窓口システム」は100団体以上に、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は170団体以上に採用されています。②地方税税務手続きのデジタル化支援当社は、地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市区町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を締結した約50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和6年3月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約790団体に採用されています。なお、当期はサポートサイトのリニューアルに取り組み、顧客市区町村およびパートナー企業へのサポート強化を図っています。③内部事務のデジタル化支援当社は、財務会計(公会計)システムを中心とした内部事務のデジタル化を支援するため、「TASKクラウド公会計システム」およびその関連システムを提供しています。当期においては、財政状況の見える化による持続可能な財政運営および電子決裁や電子請求書連携など大幅な機能強化を行いました。その結果、「TASKクラウド公会計システム」は令和6年3月末日現在で330団体以上に採用されています。今後はお客さまのさらなる業務効率化に向けてデジタル・インボイスへの対応に取り組みます。5.印刷事業部門の営業活動と経営成績 当社グループの印刷事業を担う株式会社TLPでは、DPSやビジネスフォーム印刷および商業美術印刷を基軸に事業を展開しています。 DPS分野では、DMの作成および総務、経理、人事部門の通知関連業務の合理化を目的としたアウトソーシング(BPO)を提供しています。特に、QRコードの活用によりDMの効果を測定するサービスなど、顧客利用価値の向上に取り組んでいます。 ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展により、ビジネス帳票・伝票類の使用量が減少傾向にあるものの、手書き帳票や特定帳票の需要は顕在であり、フォーム印刷の強みを生かした営業活動を展開しています。 商業美術印刷分野(カタログ、書籍等)では、顧客企業の周年行事における印刷物や、法律改正による専門書籍の改版など顧客企業が求める出版物をタイムリーに提供するなどの支援をしています。またコロナ禍後、対面によるセミナーやイベント開催が増加しており、配付資料作成の需要も増えています。デザインの作成から印刷までを一貫して請け負うことにより付加価値を高め、新規取引先の拡大につなげています。 また、環境配慮を志向するお客さまが増えていることを背景に、FSC®認証紙の取り扱いが順調に増加しています(令和4年10月3日付けでFSC森林認証(CoC認証・FSC-C182216)を取得)。クリアファイルに代わる環境配慮製品として、新たに紙製ファイルの製造・販売を開始しており、環境配慮を志向するお客さまのニーズに対応しています。 Ⅱ 財政状態 当第2四半期連結会計期間末における資産・負債および純資産の状況は次の通りです。1.資産の部について 当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、119,221百万円となり、前連結会計年度末116,356百万円と比較して2,864百万円増加しました。(1)流動資産 当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、44,180百万円となり、前連結会計年度末43,173百万円と比較して1,006百万円増加しました。 その主な理由は、現金及び預金が211百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が1,452百万円増加したことによります。(2)固定資産 当第2四半期連結会計期間末における固定資産は、75,040百万円となり、前連結会計年度末73,182百万円と比較して、1,858百万円増加しました。 その主な理由は、その他に含まれる長期繰延税金資産が690百万円減少したものの、投資有価証券が1,105百万円、長期預金が1,000百万円増加したことによります。2.負債の部について 当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、19,359百万円となり、前連結会計年度末21,047百万円と比較して1,687百万円減少しました。(1)流動負債 当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、15,194百万円となり、前連結会計年度末16,797百万円と比較して、1,603百万円減少しました。 その主な理由は、未払法人税等が339百万円増加したものの、賞与引当金が1,172百万円、契約負債が488百万円減少したことによります。(2)固定負債 当第2四半期連結会計期間末における固定負債は、4,165百万円となり、前連結会計年度末4,249百万円と比較して、84百万円減少しました。 その主な理由は、その他に含まれる長期リース債務が69百万円減少したことによります。3.純資産の部について 当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、99,861百万円となり、前連結会計年度末95,308百万円と比較して4,552百万円増加しました。 その主な理由は、利益剰余金が3,706百万円、その他有価証券評価差額金が759百万円増加したことによります。 なお、当第2四半期連結会計期間末における自己資本比率は、83.8%となり、前連結会計年度末81.9%と比較して1.9ポイント増加しました。 Ⅲ キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ211百万円減少し、28,582百万円になりました。 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。(1)営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローについては、5,611百万円増加(前年同四半期比1,297百万円収入増)しました。これは、税金等調整前四半期純利益9,264百万円の計上、売上債権1,517百万円の増加、および法人税等の支払2,213百万円などによるものです。(2)投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローについては、3,045百万円減少(前年同四半期比498百万円支出増)しました。これは、定期預金の預入2,700百万円の支出、定期預金の払戻1,700百万円の収入、および無形固定資産の取得1,717百万円の支出などによるものです。(3)財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローについては、2,777百万円減少(前年同四半期比452百万円支出増)しました。これは、令和5年9月期期末配当2,665百万円(1株当たり配当51円)の支払いなどによるものです。 Ⅳ 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。 Ⅴ 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費はありません。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。 |