財務諸表

CoverPage

提出書類、表紙四半期報告書
提出日、表紙2024-05-10
英訳名、表紙Oncolys BioPharma Inc.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長 浦田 泰生
本店の所在の場所、表紙東京都港区虎ノ門四丁目1番28号
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-5472-1578(代表)
様式、DEI第四号の三様式
会計基準、DEIJapan GAAP
当会計期間の種類、DEIQ1

corp

事業の内容 2 【事業の内容】
当第1四半期累計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)において、当社が営む事業の内容について、重要な変更又は主要な関係会社における異動はありません。
事業等のリスク 1 【事業等のリスク】
当第1四半期累計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。 (1) 業績の状況当第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)における日本経済は、インバウンド需要の回復や大手企業を中心とした歴史的な賃上げなど国内経済の改善傾向が示されました。また、このような国内環境を背景に、2024年3月の日銀の金融政策決定会合では、マイナス金利政策を転換し17年ぶりの金利引き上げを決定しました。一方、ロシアのウクライナ侵攻の長期化やイスラエル内戦、米国大統領選挙の動向など世界経済に影響を与えるリスクも潜在化しており、海外経済の不安定な状況は今後も継続する見通しのようです。 このような状況下、当社は「未来のがん治療に新たな選択肢を与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ビジネス活動を展開いたしました。特に、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ビジネス活動を推進させています。また、LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)は、Transposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのライセンス契約の下、同社の全額費用負担により臨床試験が実施され、Transposon社のビジネス活動も進んでいます。当社活動の詳細に関しては、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 研究開発活動」をご確認ください。 当第1四半期の業績は、売上高はなし(前年同四半期は売上高35,000千円)、営業損失は378,872千円(前年同四半期は営業損失325,578千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息518千円、為替差益18,668千円を、営業外費用として支払利息1,140千円、株式交付費2,466千円を計上した結果、経常損失363,292千円(前年同四半期は経常損失323,092千円)になりました。その結果、四半期純損失364,233千円(前年同四半期は四半期純損失323,691千円)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期会計期間末における資産は、前払金の増加等により2,143,742千円(前事業年度末比5.1%増)となりました。負債は、未払金の減少等により395,583千円(前事業年度末比30.2%減)となりました。純資産は、新株発行による増資により1,748,158千円(前事業年度末比18.6%増)となりました。 (3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第1四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。 (4) 経営方針・経営戦略等当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。 (6) 研究開発活動当社の当第1四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、222,142千円となりました。なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下のとおりです。 1) 研究開発体制について 2024年3月31日現在、研究開発部門は21名在籍しており、これは総従業員数の55.3%に当たります。 2) 研究開発並びにビジネス活動について当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。 ①がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301,国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動テロメライシンは、日本国内で厚生労働省より再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けて「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」を実施し、2023年10月に専門委員会を経てトップラインデータを開示しました。この結果を基に、2024年の国内でのテロメライシンの新薬承認申請に向けたPMDAとの折衝を行う計画です。テロメライシンの供給面では、商用スケールのウイルス製造開発を進め、2023年11月にプロセスバリデーションの製造を開始し、2024年には商用製造を行う計画です。また、2023年12月には三井倉庫ホールディングス株式会社(以下、「三井倉庫HD」)とテロメライシンの国内製造所に関する契約を締結しました。さらに、テロメライシンの製造販売体制の整備を進め、2024年2月には富士フイルム富山化学とテロメライシンの販売提携契約を締結しました。この結果、ベルギーのヘノジェン社で製造したテロメライシンを日本国内へ輸入し、国内製造所である三井倉庫HDで最終製品化し、富士フイルム富山化学を通じて医療現場へ届けるサプライチェーンが構築できました。一方、海外では、米国における胃がんを対象としてテロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブの共同開発体制を構築するために、コーネル大学と当社、並びにコーネル大学と Merck Sharp & Dohme LLC. (以下、「MSD社」)の間で、2023年12月に契約が締結されました。本治験はPhase2医師主導治験、当社とMSD社で研究開発費を折半し、2024年から投与が開始される計画です。 現在、テロメライシンは、組入れが終了した臨床試験も含めて、以下の4つの臨床試験が国内外で進められています。 i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験ii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験iii)免疫チェックポイント阻害剤併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験iv) 放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験 上記i)の「放射線併用食道がんPhase2臨床試験」は、2019年4月の「先駆け審査制度」の指定に基づき全国17か所の治験実施施設で進められ、2023年10月にトップラインデータを開示しました。なお、同トップラインデータの主な結果は、以下のとおりです。 1)有効性主要評価項目である「局所完全奏効率」(L-CR率)は、内視鏡中央判定委員会の評価により41.7%(小数点以下第2位四捨五入。以下同様。)と示されました。この結果は、事前に試験計画書に示された有効性閾値30.2%を上回る結果であることが確認されました。また、副次的評価項目として規定された「局所著効率」(L-RR率。原発巣は完全に消失しなかったものの、著明に縮小が認められた症例)は16.7%を示し、このL-RRを含めた「局所奏効率」([L-CR+L-RR]率)は58.3%を示しました。さらに、本試験でのデータカットオフ時点での1年生存率は71.4%となり、「食道学会全国登録データ」による放射線単独治療での1年生存率57.4%を上回る成績でした。 なお、18ヶ月(78週)時点の局所奏効率は63.9%であり、そのうち局所完全奏功率は50.0%でした。また、18ヶ月時点での全生存率は53%でしたが、がんに関連した生存率は70%であり、局所奏功例のがん関連生存率は90%でした。これらの結果から、食道がん局所への効果が患者の生存率を高めた可能性が示唆されるとともに、食道がん患者のQoL(Quality of Life)評価である嚥下障害は有症状患者の71%に改善が認められました。 2)安全性テロメライシンと関連性のある主な副作用は、発熱が51.4%、リンパ球数減少又はリンパ球減少症が48.6%に認められましたが、軽度ないしは中等度または一過性の変化でした。 なお、本臨床試験の結果の解釈に関しては、本試験の専門委員会(治験調整委員会、効果安全性評価委員会、内視鏡中央判定委員会、放射線品質管理委員会、医学専門家、生物統計専門家)の同意も得ています。 上記のトップラインデータ結果を受けて、現在当社は2024年に日本国内でテロメライシンの新薬承認申請を行うべく、PMDAと非臨床試験・臨床試験・製造等に関する事前相談を進めています。 テロメライシンのサプライチェーンに関しては、テロメライシンの新薬承認申請に向けて、サーモフィッシャーグループのヘノジェン社(ベルギー)で商用製品製造の開発を進めています。2023年11月にプロセスバリデーションを開始し、承認申請を行う2024年には商用製造を開始する計画です。また、2023年12月に、当社はテロメライシンの製剤を最終包装し保管などを担う国内製造所として、再生医療等製品の取扱いなど先端医療に関する物流分野においても豊富な経験があり、再生医療等製品における品質確保のための知見と実績を有する三井倉庫HDと契約を締結しました。2023年6月にはユーロフィン分析科学研究所(京都市)と契約し、当社の神戸リサーチラボとともに、テロメライシンの最終出荷判定に必要とされる品質試験のバリデーションを開始しています。さらに、最終出荷可能と判定されたテロメライシンを国内で効率的に医療現場へ届けるために、富士フイルム富山化学と2024年2月に販売提携契約を締結しました。富士フイルム富山化学が指定した医薬品卸会社を通じて、テロメライシンは医療現場に提供される見込みです。これらの契約により、テロメライシンの海外から国内医療機関までのサプライチェーン全体に対して、高品質かつ安定的に供給できる流通体制の構築を進めていきます。 また、当社は富士フイルム富山化学との販売提携契約の有無にかかわらず、日本国内へテロメライシンを出荷する製造販売業者に位置付けられます。従って、当社はテロメライシン自体の品質・有効性並びに安全性に関する薬事承認審査以外に、東京都から「GQP(Good Quality Practice:品質管理の基準)」及び「GVP(Good Vigilance Practice: 製造販売後安全管理の基準)」への適合性などの要件に関する審査を受け、再生医療等製品製造販売業の許可を得る予定です。当社は、2024年1月に総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者の製販三役の採用を完了し、「信頼性保証本部」を立ち上げました。今後、GQP及びGVPに適合した体制をさらに整備した上で、当社がテロメライシンの市場への出荷に対し品質保証業務及び安全管理業務に関する最終責任を担う能力を持つことをもって東京都に申請し、テロメライシンの承認申請までに再生医療等製品製造販売業の許可を受ける方針です。 上記ii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、過去に治療歴のある最も重症度が高い患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した場合の有効性及び安全性の評価を行うことを目的として、2019年5月から米国コーネル大学を中心に開始されました。これまでに組入れた16例のうち3例で長期生存が確認され、この結果は本試験の有効性を示す基準を満たす結果と判断されました。本治験の中間解析結果は、米国コーネル大学のマニッシュ・シャー医師により2023年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)や2023年11月の米国がん免疫療法学会(SITC2023)で発表されました。 上記iii)の「免疫チェックポイント阻害剤併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学が当社の事前合意を得た上で、MSD社へ新たな治験の実施や治験費用の負担を提案し、2023年12月には、当社とコーネル大学の契約、コーネル大学とMSD社の契約が締結され、共同開発体制が構築されました。今後、当社はテロメライシンを、MSD社は免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブをコーネル大学に提供します。また、治験費用は当社とMSD社で折半します。本治験は、抗PD-1/PD-L1抗体を含む1次治療に抵抗性のある胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、2次治療としてテロメライシンとペムプロリズマブを併用します。抗PD-1/PD-L1抗体を販売する大手製薬会社にとって、このテロメライシンを併用した胃がんの2次治療が確立された場合には、自社の医薬品のがん治療に貢献できる機会が拡大する可能性があります。なお、本治験はIRBを通過し、投与開始に向けて準備を進めています。 上記iv)の「放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の権威あるがん研究組織NRGオンコロジーグループにより、テロメライシンと放射線化学療法を併用した際の安全性と有効性の検討を目的として2021年12月から開始されました。アメリカ国内6施設で実施されており、第一段階の全6例の組み入れを完了し、第二段階の組み入れを進めています。これまでに問題となるような副作用は報告されていません。テロメライシンは米国において食道がんのオーファンドラッグ指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されています。そのため、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができ、さらに、米国においてテロメライシン承認後の先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られることになっています。 ②LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)へライセンスし、抗HIV薬としてBMS社によりPhase2b臨床試験が実施され、OBP-601の既存薬との非劣性が示されました。また、BMS社によって、OBP-601の長期毒性試験、がん原性試験や多くの臨床データが得られましたが、BMS社が戦略変更によりHIV領域から撤退したため、ライセンス契約は終了しました。その後、ブラウン大学(米国)の研究成果から、HIVの核酸系逆転写酵素阻害剤(以下「NRTI」)がレトロトランスポゾンの異所性発現を抑制することが示唆されました。その後の研究により、同作用を持つOBP-601が他のNRTIと比べて脳内移行性が高く、またLINE-1という逆転写酵素を強力に阻害してレトロトランスポゾンの産生を強力に抑制するという特長が確認されました。このメカニズムに着目してOBP-601を神経難病治療薬へ応用しようと計画していたTransposon社との間で、当社は2020年6月に全世界を対象とした総額3億ドル超のライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。現在、Transposon社によって「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」とC9 ORFという酵素の異常発現を伴った「筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象としたプラセボを用いた二重盲検法による2つのPhase2a臨床試験が欧米の多施設で進められています。また、2023年7月にアイカルディ・ゴーティエ症候群(AGS: Aicardi-Goutières Syndrome)を対象にした欧州での単群のPhase2a臨床試験の投与が開始されました。 PSPを対象とした臨床試験は2021年11月に1例目への投与が開始され、2022年8月に目標症例数の組入れが完了しました。Transposon社が、2024年3月に第18回 国際アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2024)で発表した主な内容は下記のとおりです。① 平均年齢69歳、平均罹病期間3.8年のPSP患者42例がこの試験に組み込まれました。② 二重盲検試験で実施され、6ヶ月間の投与の後、全症例がOBP-601の400㎎投与に切り替えられて6ヶ月間フォローアップされました。③ OBP-601はPSP患者に対して忍容性を示し、重篤な副作用は意識消失(1例,100㎎群)でした。④ 脳脊髄液中のニューロフィラメント軽鎖(以下、「NfL」)は400㎎投与群では持続的に低下を示しましたが、プラセボ群では24週にかけて上昇し、フォローアップ期間に400㎎に切り替えられて低下を示しました。⑤ 脳脊髄液中のIL-6も同様の変化を示しました。⑥ 日常動作スケール(PSPRS)ではOBP-601は症状の悪化を遅らせました。⑦ OBP-601は脳内のLINE-1を抑制することによって、神経の炎症による神経破壊を抑制して、病態の進展を抑制することが示唆されました。 また、C9 ALS/FTDを対象とした臨床試験も2022年1月に投与が開始されました。2023年3月に目標症例数の組入れが完了し、長期フォローアップも終了しました。現在までに、本臨床試験で試験を中止するような安全性上の問題は報告されていません。なお、本治験の24週までの主な中間結果は下記のとおりです。① OBP-601は、投与開始から24週までに、神経変性、炎症性神経変性及びマイクログリア活性化を反映するバイオマーカーである脳脊髄液中のNfL、tau、UCHL1、YKL-40、及びオステオポンチンの値の上昇を抑制させました。② ALS患者の病態の進展と相関する客観的な呼吸機能評価尺度である肺活量(Vital Capacity)において、早期の臨床効果が認められました。③ C9orf72関連のFTDはアルツハイマー病と同様の中枢神経系の病理所見を示すことが知られており、今回のバイオマーカーの変化はアルツハイマー病への応用を示唆しました。 さらに、Transposon社は、AGSという、小頭症や高度な精神発達遅滞等を呈する遺伝性疾患を対象に、2023年7月に新たなPhase2a臨床試験の投与を欧州で開始しました。現在までに、本臨床試験で試験を中止するような安全性上の問題は報告されていません。 これらのOBP-601に関する臨床試験は、ライセンス契約に基づき全額Transposon社の費用負担で進められています。また、同ライセンス契約に基づき、Transposon社はビジネス活動を行い、第三者である製薬会社などにOBP-601のライセンスを再許諾(サブライセンス)することが可能です。Transposon社が第三者とOBP-601のサブライセンス契約などのビジネス成果を達成した場合は、Transposon社がサブライセンス先から得た収入の一定割合を、当社がTransposon社から受領します。なお、Transposon社はOBP-601の開発を目的に設立された企業であり、当社は、Transposon社が戦略変更を理由にOBP-601の開発を中断するリスクは低いと考えています。また、当社はTransposon社のビジネス成果に期待しています。 ③次世代テロメライシンOBP-702に関する活動OBP-702は、強力な生体内がん抑制遺伝子p53をベクター内に搭載する新規腫瘍溶解ウイルスで、「がん遺伝子治療」と、テロメライシンの持つ「腫瘍溶解作用」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つ第二世代のウイルス療法です。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業を活用して、岡山大学消化器腫瘍外科学・藤原俊義教授の研究グループにより非臨床試験が進められました。特に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、PD-L1抗体を併用することでより強い抗腫瘍効果が確認されています。また、がん治療で問題となっているがん組織の間質系細胞(CAF : Cancer Associated Fibroblast)に対しても殺傷効果を示すことが示されており、今後、間質系細胞によって治療が困難と考えられているすい臓がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として開発していくことが期待されます。なお、2024年に承認申請を目指すテロメライシンへ経営リソースを集中させるために、OBP-702の開発は助成金の範囲内で継続していく予定です。 ④ウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動当社は、OBP-2011がヌクレオカプシド形成を阻害する新規メカニズムを有する化合物であることを実験結果から推定していますが、現段階ではその詳細なメカニズムは解明されていません。OBP-2011はすでに承認されているコロナ治療薬の主なメカニズムであるポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害とは異なるメカニズムであることが推察されており、コロナウイルスの様々な変異株に対して効果が左右されないというデータが得られています。しかし、新型コロナ治療薬の承認ハードルが上昇していること、並びに新型コロナ治療薬の複数上市による緊急性の低下などの外部環境の変化や、2024年に承認申請を目指すテロメライシンへの経営リソース集中により、開発方針を見直す必要性が生じました。今後は、鹿児島大学と詳細なメカニズム解明を行った上でコロナウイルス以外のRNAウイルスに対する新規適応を検討し、新たなパンデミックに対応できる体制を維持していく考えです。 ⑤がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動検査自動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を2021年6月に開設いたしました。しかし、AIによる画像学習のためには多くの画像取得が必要であり、当初計画と比較して画像取得に時間を要しているため、順天堂大学との開発進捗は遅延しています。なお、2024年に承認申請を目指すテロメライシンへ経営リソースを集中させるため、優先順位は引き下げています。 ⑥HDAC阻害剤OBP-801に関する活動2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるOBP-801は、各種固形がんを対象とした米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、推定有効量までの投与量の増量が不可能となったため、がん領域の開発を中断しました。なお、OBP-801は2023年9月に日本国内での分子標的併用腫瘍治療・予防薬としての特許査定を受けています。一方、新規適応領域である眼科領域では、京都府立医科大学眼科学教室の実験において、緑内障手術を行った際に形成される濾過胞の線維化抑制作用が認められ、2023年4月の日本眼科学会や2023年4月に開催されたARVO(視覚と眼科学研究協会学会)で研究結果が発表されました。今後は点眼剤での開発が期待されています。なお、2024年に承認申請を目指すテロメライシンへ経営リソースを集中させるため、優先順位は引き下げています。 主なパイプラインの開発状況は、以下のとおりです。開発品適応疾患併用療法開発地域開発ステージテロメライシン(OBP-301)(suratadenoturev)食道がん放射線療法日本Phase2(申請準備中)放射線化学療法米国Phase1抗PD-1抗体ペムブロリズマブ日本Phase1(論文準備中)胃がん・胃食道接合部がん抗PD-1抗体ペムブロリズマブ米国Phase2(論文準備中)免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブ米国Phase2肝細胞がん単独療法韓国・台湾Phase1(終了)OBP-601(censavudine)進行性核上性麻痺(PSP)単独療法米国Phase2a(予後調査中)筋萎縮性側索硬化症(C9-ALS)/前頭側頭型認知症(FTD)単独療法米国・欧州Phase2a(予後調査中)アイカルディ・ゴーティエ症候群(AGS)単独療法欧州Phase2aOBP-702固形がん抗PD-(L)1抗体を想定日本前臨床OBP-2011ウイルス感染症未定日本前臨床テロメスキャン(OBP-401)固形がん-日本臨床研究OBP-801緑内障手術後の濾過胞線維化抑制-日本前臨床
経営上の重要な契約等 3 【経営上の重要な契約等】
当第1四半期会計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等は以下のとおりです。契約締結日契約の名称相手先契約の概要2024年2月7日販売提携契約富士フイルム富山化学株式会社テロメライシンに関する日本国内の販売提携契約。テロメライシンの承認取得時や販売の達成に応じたマイルストーンを富士フイルム富山化学から最大17億円得ます。また、上市後は、当社はテロメライシンの最終製品を富士フイルム富山化学に供給し、その販売代価を得ます。

Shareholders

大株主の状況 (5) 【大株主の状況】
当四半期会計期間は第1四半期会計期間であるため、記載事項はありません。

Audit1

監査法人1、個別EY新日本有限責任監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の四半期レビュー報告書 2024年5月10日オンコリスバイオファーマ株式会社取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人東 京 事 務 所  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士冨  田  哲  也  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士牧  野  幸  享 監査人の結論当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、「経理の状況」に掲げられているオンコリスバイオファーマ株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの第21期事業年度の第1四半期会計期間(2024年1月1日から2024年3月31日まで)及び第1四半期累計期間(2024年1月1日から2024年3月31日まで)に係る四半期財務諸表、すなわち、四半期貸借対照表、四半期損益計算書及び注記について四半期レビューを行った。当監査法人が実施した四半期レビューにおいて、上記の四半期財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、オンコリスバイオファーマ株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する第1四半期累計期間の経営成績を適正に表示していないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかった。 監査人の結論の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期レビューの基準に準拠して四半期レビューを行った。四半期レビューの基準における当監査法人の責任は、「四半期財務諸表の四半期レビューにおける監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、結論の表明の基礎となる証拠を入手したと判断している。 四半期財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して四半期財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない四半期財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。四半期財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき四半期財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 四半期財務諸表の四半期レビューにおける監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した四半期レビューに基づいて、四半期レビュー報告書において独立の立場から四半期財務諸表に対する結論を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期レビューの基準に従って、四半期レビューの過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 主として経営者、財務及び会計に関する事項に責任を有する者等に対する質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続を実施する。四半期レビュー手続は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施される年度の財務諸表の監査に比べて限定された手続である。・ 継続企業の前提に関する事項について、重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められると判断した場合には、入手した証拠に基づき、四半期財務諸表において、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、適正に表示されていないと信じさせる事項が認められないかどうか結論付ける。また、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、四半期レビュー報告書において四半期財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する四半期財務諸表の注記事項が適切でない場合は、四半期財務諸表に対して限定付結論又は否定的結論を表明することが求められている。監査人の結論は、四半期レビュー報告書日までに入手した証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 四半期財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠していないと信じさせる事項が認められないかどうかとともに、関連する注記事項を含めた四半期財務諸表の表示、構成及び内容、並びに四半期財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示していないと信じさせる事項が認められないかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した四半期レビューの範囲とその実施時期、四半期レビュー上の重要な発見事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以  上 
(注) 1.上記の四半期レビュー報告書の原本は当社(四半期報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは四半期レビューの対象に含まれておりません。

BS資産

未収入金111,982,000
投資その他の資産87,189,000

BS負債、資本

短期借入金124,990,000
未払金60,460,000
未払法人税等8,111,000
未払費用18,650,000
リース債務、流動負債7,070,000
資本剰余金1,532,239,000
利益剰余金-3,737,433,000
株主資本1,740,478,000
負債純資産2,143,742,000

PL

販売費及び一般管理費378,872,000
受取利息、営業外収益518,000
為替差益、営業外収益18,668,000
営業外収益19,187,000
支払利息、営業外費用1,140,000
営業外費用3,607,000
法人税、住民税及び事業税940,000
法人税等940,000

概要や注記

配当に関する注記 1.配当金支払額該当事項はありません。 2.基準日が当第1四半期累計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当第1四半期会計期間の末日後となるもの該当事項はありません。
その他、財務諸表等 2 【その他】
該当事項はありません。
提出会社の保証会社等の情報 第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。
提出会社の経営指標等 回次第20期第1四半期累計期間第21期第1四半期累計期間第20期会計期間自 2023年1月1日至 2023年3月31日自 2024年1月1日至 2024年3月31日自 2023年1月1日至 2023年12月31日売上高(千円)35,000―63,038経常損失(△)(千円)△323,092△363,292△1,913,816四半期(当期)純損失(△)(千円)△323,691△364,233△1,938,505持分法を適用した場合の投資利益(千円)―――資本金(千円)3,000,0003,945,8143,623,165発行済株式総数(株)17,405,20020,865,20019,717,100純資産額(千円)1,835,5771,748,1581,474,097総資産額(千円)2,280,7372,143,7422,040,5981株当たり四半期(当期)純損失金額(△)(円)△18.69△18.24△108.92潜在株式調整後1株当たり四半期(当期)純利益金額(円)―――1株当たり配当額(円)―――自己資本比率(%)80.181.271.5
(注) 1.当社は四半期連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。3.潜在株式調整後1株当たり四半期(当期)純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり四半期(当期)純損失金額であるため、記載しておりません。