財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-29
英訳名、表紙Caulis Inc.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長  島津 敦好
本店の所在の場所、表紙東京都千代田区大手町一丁目6番1号大手町ビル4階 FINOLAB
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-4577-6567(代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
年月概要  2015年12月東京都新宿区に株式会社カウリス設立  2016年12月法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」の提供を開始  2017年1月本社を東京都千代田区に移転2017年3月ソニー株式会社(現 ソニーグループ株式会社)及び株式会社電通国際情報サービス(現 株式会社電通総研)を引受人として第三者割当増資を実施2017年12月ソニー株式会社(現 ソニーグループ株式会社)、株式会社電通国際情報サービス(現 株式会社電通総研)、株式会社セブン銀行及び株式会社リヴァンプを引受人として第三者割当増資を実施  2019年3月関西電力株式会社(現 関西電力送配電株式会社)と共同で、金融と電力データを活用した分野で第一号となる「新技術等実証制度※」(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)の認証を取得2019年10月関西電力株式会社(現 関西電力送配電株式会社)と業務提携契約を締結2019年11月Salesforce Ventures LLCを引受人として第三者割当増資を実施2020年1月関西電力株式会社(現 関西電力送配電株式会社)及び三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合を引受人として第三者割当増資を実施2020年2月SMBCベンチャーキャピタル5号投資事業有限責任組合を引受人として第三者割当増資を実施2021年3月関西電力株式会社(現 関西電力送配電株式会社)、北海道電力ネットワーク株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、中国電力ネットワーク株式会社と業務提携契約を締結2021年12月一般社団法人キャッシュレス推進協議会が推進する不正利用関連情報確認データベース(CLUE)の構築に技術協力2023年11月規制のサンドボックス制度で実証実験を行った不正口座開設防止サービス及び新機能となる継続的顧客管理サービスを包括する「電力サービス」の概念実証を開始2024年3月東京証券取引所グロース市場に株式を上場 ※「新技術等実証制度」(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)は、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進することを目的に、生産性向上特別措置法(2018年6月6日施行)に基づき創設されたものであります。 本制度は、参加者や期間を限定すること等により、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることで、迅速な実証を可能とするとともに、実証で得られた情報・資料を活用できるようにして、規制改革を推進する制度になります。
事業の内容 3【事業の内容】
 当社は、「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと、先端技術を活用した実用的なサービスを創り続け、犯罪のビッグデータをアルゴリズムと掛け合わせることで、SaaS型アルゴリズムサービスを提供する事業モデルを構築しております。具体的なサービスとして、法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」を提供しております。  当社のアプローチは、従来の不正検知サービスと大きく異なるのが、ミッションの中にある「共創」という点にあります。これまでは個社ごとにモニタリングし、検知するというアプローチが主流ですが、個社で解決するには時間もコストもかかることから顧客横断・業界横断でデータを流通させ日本全体の犯罪データをプラットフォーム化し国民の生命・財産を守ることを目指しています。  当社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。  「Fraud Alert」は、マネー・ローンダリング対策・サイバーセキュリティ対策等として 、銀行、証券会社等の資金移動業、並びに、膨大な個人ユーザー(以下「エンドユーザー」。)を有する通信キャリア、ガス等のインフラ事業者、その他のサービス事業者(以下「顧客」。)に対して、サービス提供しております。顧客の利用シーンは、個人ユーザーが、顧客のウェブサイト(以下「顧客サイト」。)や、スマホアプリにエンドユーザーが訪問し、口座開設(アカウント開設)や、残高照会・送金などの取引を実施する際であり、このときに不正利用の可能性をモニタリングしております。具体的には、端末から取得される情報をFraud Alertのアルゴリズムで算出し、なりすましではないか、自社・他社において不正利用履歴がないか、などを算定し、法人顧客にリアルタイムでアラートを上げるサービスです。特に、資金移動業社においては、個社ごとに、自社に還流するキャッシュが正当なものかどうかを判断する要素が限られるため、送金元における利用履歴を活用することで判定精度を向上させたい、というニーズから本サービスは生まれております。キャッシュは流通するため、個社で、検知しにくいマネー・ローンダリングを、顧客横断・業界横断でデータ流通させ、早期検知・不正予防する点が提供価値となっております。 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2023年2月に公表した2022年度情報セキュリティの脅威に対する意識調査(注1)によると、パスワードの使い回しのパソコン利用者が約4割、スマートフォン利用者では約5割に上る中、不正アクセスの手口は巧妙化し情報漏えいが増加しています。それに比例し、不正に取得したアカウント情報を利用したなりすましやアカウントの乗っ取りなど、本人以外による不正なログイン・アクセスが増加しています。特にフィッシングによる被害件数は2022年から2023年にかけて4.5倍超に増加(注2)し、オンラインの不正利用や、様々な詐欺が国民生活に身近なものとなっております。(注1)出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「2022年度情報セキュリティに対する意識調査[倫理編][脅威編]」報告書(2023年2月16日公表)https://www.ipa.go.jp/security/reports/economics/ishiki2022.html(注2)出典:警察庁「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害の急増について(注意喚起)」(2023年12月25日公表)    https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/20231225_press.pdf 当社の利用実績として、2023年12月期においては、月間約4億件のログインのモニタリングを行っており、そのうち約0.97%のアクセスは本人らしさが低いものとして検知しております。例えば、ロケーション情報の異なるアクセス(例:東京からログインがあった1分後に大阪から同じアカウント情報を使ったアクセス)や、1つの端末に5つ以上の口座が紐づくアクセス(例:同じパソコンで5つ以上の口座のインターネットバンキングにアクセス)、並びにFraud Alertにブラックリストとして登録されている端末情報(顧客が危険と判断し、Fraud Alertのブラックリストデータベースに登録した端末情報)からのアクセスなどです。また、警視庁・各県警から、当社顧客に凍結依頼があった銀行口座に紐づく端末情報をブラックリストデータベース登録も行っておりますが、総務省、警察庁及び経済産業省の調査(注3)によると、2022年の不正アクセス行為の認知件数は2,200件あり、そのうち約半数がインターネットバンキングでの不正送金等につながっております。ログインの際に、不正なエンドユーザーを検知し水際で防ぐ対策が求められています。(注3)出典:総務省、警察庁、及び経済産業省「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」第10条第1項の規定に基づき、不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(2023年3月  16日公表)https://www.soumu.go.jp/main_content/000868634.pdf 「Fraud Alert」はインターネットバンキングなどの各種サービスにおけるWEBサイトに、JavaScriptのコードを数行埋め込むことでアクセス解析されたデータを取得し、解析結果を元にした追加認証やメール通知など、ログイン後の挙動をカスタマイズできるサービスになります。これによって、通常のID・パスワード認証に加え、エンドユーザーの個人情報を用いず、端末から取得するエンドユーザーの各種パラメータ(IPアドレス、端末情報、OS、ログイン場所、時間、アクセス履歴、ページ内遷移など約250項目)からエンドユーザーの行動履歴をデータベース化し、ログインやアクセスが本人のものかを独自の検知アルゴリズムでリアルタイムにアクセス解析を実施し、「本人らしさ」を判定します。不正が疑われるログイン試行や不正アクセスを未然に検知してサイバー犯罪者が本人なりすましにより不正アクセスすることを未然に防止するものと考えております。「Fraud Alert」はWebブラウザ、Mobileブラウザ、スマートフォンアプリに対応しており、同一口座がどの端末からログインしているのかを検知し、端末レベル、口座レベル、IPアドレスレベルで、不正利用の検知が可能であり、さらに顧客間で、悪意のあるアクセス、過去に他社で不正利用に使われた端末を捕捉することが可能となります。 (注4)APIとは、Application Programming Interfaceの省略表記で、アプリケーションの機能やデータ等を他のアプリ    ケーションから呼び出して利用するための接続仕様・仕組みのこと。 また、ユーザーのID・パスワードの使い回しが依然として見受けられている今、ID・パスワードによる認証だけでは安全なセキュリティが確保できません。他社から漏えいしたアカウント情報により、なりすましやアカウントの乗っ取り被害が及ぶことも十分に考えられます。一方で、毎回二要素・多要素認証により認証を行うことは、高いセキュリティを確保できるものの、エンドユーザーへの負荷が大きく利用してもらえなくなる可能性もあります。さらに認証ごとにコストがかかる場合、サービスの成長と共に運用コストが膨らむ結果になります。当社は、エンドユーザーの行動パターンや位置情報などを元に、何らかのリスクがあると判断された場合にのみ追加認証を要求する「リスクベース認証」に注目しており、「Fraud Alert」では、上記のエンドユーザーのアクセス環境から”本人らしさ”を判定し、不正アクセスのリスクを検知致しますので、このリスクのある場合にだけ顧客側から追加認証を発動させるため、エンドユーザーに負荷をかけずに顧客はサービスを提供できます。さらに、二要素認証などと組み合わせることでコストの削減に寄与すると考えております。 また、毎日処理する不正検知データから当社独自の「ホワイトリスト(正しい本人が利用していると特定された端末やアカウント)」、「ブラックリスト(不審者データベース)」が作成され、当社の顧客ネットワーク全体でブラックリストを共有(注5)することにより業界全体で不正アクセスを防ぐことを実現しています。例えばクラウド上の共通ロジックでなりすましリスクを検知し、攻撃者情報をブラックリスト化して顧客間で共有することが可能となり、マネー・ローンダリング口座の検知をするなどに活用されています。導入時の必要コスト(サーバー設置費用、システム改修費用等)が抑えられる点や、サービス開始までの導入に要する時間が短期間(JavaScriptコード埋込型の場合1ヶ月程度、API連携型の場合は顧客都合による)であること、不正ユーザー情報の蓄積データベースへの共有APIが当社の強みとして挙げられます。クラウド型でリスクベース認証を提供する類似サービスは導入コストが高く、導入後に専属のコンサルタントによるチューニングが必要となります。一方、「Fraud Alert」は、都度改定される金融庁のガイドラインへの対応や、顧客企業との情報連携を通じた不正利用者の端末傾向を分析した上で検知ルールをチューニングしており、顧客企業のモニタリングの負担を軽減できるのも特徴となっております。 当社のビジネスモデルは利用者のインプレッション数(注6)、ユニークユーザー数(注7)を基に契約金額を決定するモデルとなっております。また、コンサルティング契約に基づく、他社事例紹介やモニタリングルール改善等のコンサルティングサービスを行っております。(注5)ブラックリストの内容は個人情報保護法に基づく「個人関連情報」となっております。(注6)総アクセスカウント数を意味します。(注7)決まった集計期間内にウェブサイトに訪問したユーザーの数を意味します。  そのほか、顧客企業のフィッシングサイトを検知・通知するサービスや、電力会社が保有する電力契約の世帯ごとの個別性等、エンドユーザーの住所や消費電力等の電力設備情報を利用して、なりすましによる不正口座の開設を未然に防ぐサービス等も手掛けております。 ・具体的な製・商品またはサービスの特徴  Fraud Alertは以下3つのサービスから構成されております。 (1)Fraud Alertログイン検知サービス Fraud Alertログイン検知サービスは、エンドユーザーのアクセス環境から「本人らしさ」を判定します。その判定結果に基づき、不正アクセスのリスクを検知し、リスクのある場合にだけ顧客側から追加認証を発動させるため、エンドユーザーに負荷をかけずにサービスを提供することが可能となっております。(2)Fraud Alert入出金検知サービス Fraud Alert入出金検知サービスは、主に国内の金融機関を顧客として、振込ルール(仕向元口座・仕向先口座における振込金額や回数など)や各種パラメータ(端末情報、エンドユーザー情報、IPアドレスなど)、その他ルール(初回振込・振込時間帯など)を組み合わせることで、ルールベースでの不正な入出金のモニタリングを行い、危険度が高いと判定されたアクセスの場合には、リアルタイムで振込中止や追加認証の制限をかけることが可能となっております。(3)Fraud Alert新規口座開設検知サービス Fraud Alert新規口座開設検知サービスは、主に国内の金融機関を顧客として、金融機関が受付した口座開設申請等に対し、当社が持つ不正アクセス検知技術に加え、電力会社が保有する電力設備情報の一部を組み合わせることにより、より確度の高い、なりすましの可能性に関するリスク情報を金融機関等に提供することができます。 また、以下4つの特徴があります。 (1)月間数億件のモニタリング不正利用と特定された利用ユーザーの端末情報を集め、顧客間でブラックリストを共有するデータベースを構築しております。国内の金融機関等である顧客間で、不正利用端末のログイン履歴から、マネー・ローンダリングの入出金の流れのトラッキングを行っています。ログインに加えて、口座開設もモニタリングしており、不正利用に用いられた端末での口座開設、クレジットカード入会の抑止にも寄与しています。なりすましによる被害に加えて、これまで、架空名義の口座開設、口座の転売、マネー・ローンダリングのトンネル口座を検知する実績があります。 (2)モニタリング運用支援のコンサルティングサービス(平均価格50万円~)当社がこれまでに培ってきたモニタリング運用支援実績をもとに、当社に集まる不正利用者の手口情報の分析や対応ノウハウを顧客企業に提供しております。業種に沿ったセキュリティコンサルティング、並びに定期的なモニタリングルール改善提案を行うことで、顧客企業が口座凍結等の最終的な判断を行うための材料となるモニタリング結果の精度の向上をご支援させていただいております。 (3)業界ごとのガイドラインに準拠した導入実績金融機関(銀行、証券会社など)、クレジットカード事業者、暗号資産業者、通信・ガス等のインフラ事業者などの業態に使われています。特に、売上比率の高い金融機関である顧客間では下記のガイドラインに立脚したモニタリングを実施しております。 業界ごとのガイドライン銀行・暗号資産業者全国銀行協会が示した「資金移動業者等との口座連携に関するガイドライン」の中で挙げられた「不正検知としてのモニタリング」に対応する他、リスク評価やFATF(金融活動作業部会)(注)対応、犯罪による収益の移転防止に関する法律にて規定される「疑わしい取引の届出」にも、活用可能。オンラインでの不正送金、ATMからの不正出金など、銀行を狙った攻撃を予防。(注)FATF(金融活動作業部会):マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組み。1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された。現在、G7を含む37カ国・2地域機関が加盟しており、その他9つのFATF型地域体を加えると、FATF勧告は、世界205の国・地域に適用されている。証券会社日本証券業協会が示した「インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドライン」の中で挙げられた不正アクセスに対するモニタリング。不正出金などを予防。クレジットカード事業者一般社団法人日本クレジット協会が示した「資金決済業者等とクレジットカードとの連携に係る本人認証等セキュリティガイドライン」の中で挙げられた「不正検知のモニタリング」に対応する。不正ログインによるポイントの不正使用、個人情報漏洩からエンドユーザーを守る。 (4)不正アクセス状況が分かりやすく可視化された管理画面 不正アクセスと推測される数とその推測理由をグラフで表示します。デイリーでの5段階(安全~危険)アクセスの傾向グラフ、危険種別のアクセスの発生割合グラフ等があります。 また、オプションサービスになりますが、コンサルティングオプションという契約を締結の顧客企業に対しては、顧客企業が独自に作成する不正アクセス検知ルールのカスタマイズが可能であり、カスタマイズしたルールに関するレポートも表示可能です。 当社サービスのチャーンレート(サービスにおける解約率を表す指標)は以下の通りです。 当社が認識する成長戦略は、MRRを拡大するための不正アクセス検知モニタリングを行うチャネル(※1)の拡大及び設置面(※2)数の増加であります。また、当社が属するマネー・ローンダリング対策市場の2023年時点の潜在市場規模は、約2,766億円と推計しております(※3) ※1 「チャネル」とはFraud Alertにてモニタリングを行うインターネット及びアプリ上のそれぞれ個人口座と法人口座をいう。※2 「設置面」とはFraud Alertにてモニタリングを行うインターネット及びアプリ上のログインページ、送金ページ、口座開設の画面をいう。※3 ①対象顧客を金融機関1,250社、設置面をログイン、チャネルをインターネット(個人口座に限る)とするFraud Alertの市場規模を約186億円(※4)、②対象顧客を金融機関1,250社、設置面をログイン・口座開設・送金、チャネルをインターネット及びアプリ(個人口座に限る。)(ただし①の範囲を除く。)とするFraud Alertの市場規模を約930億円(※5)、③対象顧客を金融機関1,250社、設置面をログイン・口座開設・送金、チャネルをインターネット及びアプリ(法人口座に限る。)とするFraud Alertの市場規模を約1,116億円(※6)、④対象顧客をクレジットカード会社358社及びECサイト455万店とするFraud Alertの市場規模を約534億円(※7)(※8)とする市場規模の合計額(※9)。※4 対象顧客として金融機関合計1,250社(銀行122行、証券会社112社(国内合計271社であるところオンラインサービス提供を行っているのは約半分と推定し当社算出。)、信用金庫・信用組合397社、その他金融619社)(2021年1月末時点。日本金融通信社の金融機関計数から引用。)(以下注5及び6において同じ。)を想定し、対象顧客が個人口座のインターネットのログイン時のモニタリングでFraud Alertを導入した場合の売上高の当社推計。MRR124万円(2024年1月期の当社対象顧客のインターネットのログイン時のモニタリングMRR平均値)(以下注5及び6において同じ。)として当社算出。※5 対象顧客として金融機関合計1,250社を想定し、対象顧客が個人口座のインターネット・アプリの口座開設時、ログイン時及び送金時のモニタリング(ただし注4の範囲を除く。)でFraud Alertを導入した場合の売上高の当社推計。MRR124万円として当社算出。※6 対象顧客として金融機関合計1,250社を想定し、対象顧客が法人口座のインターネット・アプリの口座開設時、ログイン時及び送金時のモニタリングでFraud Alertを導入した場合の売上高の当社推計。MRR124万円として当社算出。※7 対象顧客としてクレジットカード会社358社(2005年12月時点。経済産業省(「クレジットカード業の概況」平成17年12月時点)から引用。)を想定し、対象顧客がFraud Alertを導入した場合の売上高の当社推計。MRR226万円(2023年12月期の当社対象顧客のMRR平均値)として当社算出。※8 対象顧客としてECサイト約455万社(2023年12月25日時点。エンパワーショップ株式会社「[2023年最新版]国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数」から引用。)を想定。ECサイトによるFraud Alertの導入は、セキュリティ投資金額が上限となり、また、セキュリティ投資金額の上限は不正利用被害額が上限となると仮定し、不正利用被害額約437億円(経済産業省「クレジットカードの不正利用や支払遅延から身を守るために」引用、2022年12月時点、2023年10月公表。)を、Fraud Alertの市場規模と推計。※9 当該推計値は、当社が合理的と考える一定の仮定・前提を置いて試算した数値である。当社が推計した市場規模における位置付けが誤っていた場合、当社グループは市場機会についての判断を誤り、誤った戦略を策定し、または内部のリソースの分配を誤る可能性があり、その結果当社グループの事業及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、これらの数値が当社グループの事業や成長に関する見通しを表しているものとして過度に依拠することはできない。加えて、当社は数値の推計にあたって当社独自の定義を用いているため、これらの数値は他社の類似の指標と比較することはできず、そのような比較の結果に依拠することもできない。 <事業系統図>
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
 該当事項はありません。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)43(1)37.62.66,822,213 事業部門従業員数(人)営業部13(1)開発部18(-)海外・技術研究部3(-)バックオフィス9(-)合計43(1) (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト・パートタイマーを含み、人材会社からの派遣社員を除く)は、年間の平均人員を()外数で記載しております。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.当社の事業セグメントは、マネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。4.前事業年度末に比べ従業員数が12名増加しております。主な理由は事業の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。 (2)労働組合の状況労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。 (1)経営方針 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が制定されるなど国家戦略を背景に急激なデジタル化が進み、またインターネットサービスの利活用やデータ活用がコロナ禍でそのスピードが加速され国民生活におけるデジタル化や企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーション、公的分野におけるデジタル化と更にその領域は拡大しております。一方サイバー攻撃の増加等を背景に、特殊詐欺やクレジットカードの不正利用被害は増加傾向にあり社会経済活動に多大な影響を及ぼしています。当社は、「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと誰もが安心・安全なデジタル社会での利益を享受できる情報インフラ構築を目指すことで企業価値の最大化を図ります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標 当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、当社の主力製品である「Fraud Alert」の月次経常収益(MRR)(注1)を重要指標としております。詳細につきましては、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。 (注1)MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。MRRは対象月末時点における継続課金となる契約に基づく当月分    の料金の合計額。 (3)経営環境及び中長期的な経営戦略当社が提供するFraud Alertは、大別して情報セキュリティの観点、マネー・ローンダリング対策の観点で導入促進が見込まれるものと考えております。情報セキュリティの観点では、インターネットサービスの利活用の普及及びこれに伴う技術革新が当社の業績に大きく影響します。インターネットサービス利活用のひとつであるキャッシュレス決済比率の推移(注2)は下図表1のとおりであり、クレジットカードを中心に電子マネーやコード決済など多種多様な決済方法が増え、キャッシュレス決済を通じた決済比率の伸びは顕著であり、キャッシュレス決済の拡大に伴う不正被害が増加傾向にあります(図表2参照、注3)。マネー・ローンダリング対策に関する事業は、日本市場では2022年に約2兆円(注4)、世界市場においては2020年~2027年の予測期間において年間平均成長率15.6%以上の健全な成長率で成長する市場と見込まれています。(注5) 図表1 キャッシュレス決済比率の推移 図表2 サイバー攻撃関連通信推移(注2)出典:経済産業省 2022年のキャッシュレス決済比率(2023年4月6日公表)https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html(注3)出典:国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所「NICTER観測レポート2020」(2021年2月16日公表)より当社作成(注4)出典: LexisNexis「『金融犯罪コンプライアンスの真のコスト』調査レポート」から引用    https://risk.lexisnexis.co.jp/insights-resources/research/true-cost-of-financial-crime-    compliance-study-apac(注5)出典: Report Ocean 「Global Anti Money Laundering Market Size study」(2022年1月22日公表)    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004911.000067400.html  当社の提供価値は、インターネットサービスの不正利用抑止と金融機関向けにマネー・ローンダリング口座の抽出の3点があります。両者それぞれに外的要因があり、これにより獲得可能な市場規模が拡大することで高い成長率を継続できるように努めてまいります。 ①インターネットサービスの不正利用抑止2022年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円に拡大しています。(注6)また、クレジットカードの不正利用額が約437億円(注7)となり、その約0.2%の購入は不正購入となっています。政府は2025年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指すこととし、キャッシュレス決済を推進していますが、一方、サイバー攻撃等のセキュリティリスクは年々高まり、実際に不正利用被害額も増加しています。このような中、クレジットカード・セキュリティガイドライン[4.0版]が改訂され(注8)、規制が強化されました。従来、Eコマース事業者、クレジットカード事業者において抑制されていたセキュリティ対策投資額が、規制強化により事業継続に必要な予算となることで、市場規模は拡大し当社のサービスにより安心・安全を提供することで高い成長率を継続できると予想しております。 ②金融機関向けにマネー・ローンダリング口座の抽出2019年にFATF(金融活動作業部会)の対日監査が金融機関に入りましたが、結果的に我が国は重点フォローアップ国に選別され、金融機関等へはマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画が示されております(注9)。このうち「金融機関等による継続的顧客管理の完全実施」における「取引モニタリングの強化」は当社のFraud Alertのサービスを通じて個人及び法人のマネー・ローンダリング口座を抽出し日本のマネー・ローンダリング資金供与対策を一層向上させることを目指します。また、2028年にFATF(金融活動作業部会)第5次審査が実施される予定であることから中長期に市場規模が拡大していくことを予想しております。 ③サイバー空間の防護について ロシアとウクライナ紛争の影響により経済安全保障推進が大きく打ち出され、国防費用を倍増する方針と、インフラ産業である12業種(金融、クレジットカードなどを含む)に対して、経済安全保障推進法が施行予定(注10)であります。その中では、サイバー攻撃があった場合でも、継続したサービス提供ができる体制作りや攻撃を検知するような体制作り等が含まれており、当社が立脚するサイバーセキュリティへの投資が国策として推奨されることも市場規模の拡大要因たり得ると予想しています。 (注6)出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査の結果報告書(2023年8月31日公表)https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html(注7)出典:経済産業省「クレジットカード不正利用や債務から身を守るために」https://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/2304shohisyakyoikusiryo.pdf(注8)出典:クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局 一般社団法人日本クレジット協会)「クレジット    カード・セキュリティガイドライン[4.0版]<公表版>」https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230315001/20230315001.html(注9)出典:金融庁 第1回金融審議会資金決済ワーキング・グループ 配付資料3(事務局説明資料)(2021年 10月13日開催) https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/shikinkessai_wg/shiryou/20211013/siryou3.pdf(注10)出典:内閣官房 経済安全保障 https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/index.html  このような最近の業界動向及び事業環境の変化を踏まえ、当社では、本書「事業の内容」について営業体制の構築を進めてまいりました。また、このような背景から弊社が商談を始めてから実際に弊社サービスを導入いただくまでの期間は短縮傾向にあり、2018年から2022年の5年間でFraud Alertの導入期間は約16ヶ月短縮できました。この結果、重要な経営管理指標であるMRRを12倍とした年間経常収益(ARR)(注11)は、下表にあるように堅調に推移していることから2024年12月期は13億円となる見通しです。(注11)ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出。 表3 当社のARRの推移(注)ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出。 表4 当社のMRRの推移 表5 当社の契約企業数の推移  当社は、引き続き研究開発、Fraud Alertに関する開発とサービス開発を含めた営業体制の強化・構築を重点課題と位置づけ、持続的な成長を維持できるよう推進してまいります。 今後の具体的な取り組み 主力サービスであるFraud Alertを中核とした更なる成長 急激なデジタル化によるインターネットサービスの拡大におけるセキュリティ市場の継続的成長及びキャッシュレス決済における不正利用被害の増加並びに法規制等の不正対策に対する社会的要請の高まり、加えてマネー・ローンダリングに関する市場は国際的な規制の要請から成長拡大する事業環境と捉えております。このような中、主力サービスであるFraud Alertを中核としたサービスを開発し、差別化要因を意識した同業他社に対して競争優位なポジションを形成することで事業推進してまいります。  当社の優位性、差別化の特徴は3点あります。 (i)顧客基盤 セキュリティ投資額が大きい業界である金融機関を顧客セグメントとしている点が特徴であります。すでに、メガバンク、ネット系銀行、地方銀行の約20行と、大手証券会社をはじめ証券会社約10社、また、クレジットカード事業者数社との取引があり、1契約あたりのMRR(Monthly Recurring Revenue)は2023年12月時点で2,265千円となっております。メガバンク等の金融機関リーディングカンパニーが外部クラウドサービスの利用を開始し始める黎明期に当社が参入できたことが奏功いたしました。今後は中堅以下の地方銀行及び証券会社への導入にも注力する予定です。金融機関は社内オペレーション上、サービス導入を容易にリプレイスすることは極めて難しく、後発参入社が当社既存顧客をリプレイスするには相当の時間を要することになります。その間に、さらに顧客にとって、簡易な業務オペレーションとなるようサービス開発を進めることによって、スイッチングコストを高められると考えております。また、他のセキュリティベンダーと異なる点に代理店を介さず、直接顧客と取引している点も差別化要因と捉えております。顧客と直接コミュニケーションを取ることにより、市場ニーズをダイレクトにサービス改善に繋げていることも、スイッチングコストを高める要因となっております。また、スイッチングコストが高まることが解約率の低さにつながっております。  (ii)ネットワークの外部性 当社サービスの差別化要因としては、当社の顧客が提供するサービスの利用者(以下、エンドユーザーという。)に関するアクセス情報の取得及び不正エンドユーザーに関する顧客間の情報共有を前提としたビジネスモデルとなっていることであります。 当社が取得するエンドユーザーのアクセス情報は、原則として顧客において予め暗号化されており、当社は特定の個人を識別することはできないため当社の個人情報には該当しないものの、顧客においては個人情報に該当するため、顧客側で個人データの第三者提供に関し個人情報保護法が適用されます。 個人情報保護法上の当社ビジネスの建付けは、顧客が犯罪収益移転防止法の特定事業者に該当する場合は、犯罪収益移転防止法第4条に定める取引時確認等への対応に該当、また第8条「疑わしい取引の届出等」にも該当すると警察庁に確認済であり、個人情報保護法第27条第1項第1号「法令に基づく場合」が適用され、顧客がエンドユーザーの同意を得ずに個人データを第三者に提供することが可能となっております。また、特定事業者に該当しない顧客については、顧客に対し個人データの第三者提供に関する本人同意の取得等の確認を行っております。 以上の整理により、当社は顧客企業から受領したデータを顧客企業間で相互に共有するビジネスモデルを確立してまいりました。 従来のAI(Artificial Intelligenceの略称。人工知能。)のように、委託で情報を預かる場合、個社ごとの部分最適になりますが、当社は同じデータベースを各顧客間で共有するという第三者提供型のビジネスモデルであるため、顧客が増えれば増えるほど、不正利用者の情報が集まり他社の情報が共有されることで不正利用者の検知率が上がり、既存顧客に対する不正利用が減少する構造になっております。その結果、職種特化型のSaaS企業のように広告宣伝費を投下することなく、顧客が顧客のグループ内、もしくは懇意にしている同業者に対し、当社サービスの紹介や営業支援を行っていただくことにより、更なる顧客基盤の構築につながっております。それにより変動費率が低い収益構造となっております。  (iii)ガバメントリレーションシップを通じたサービス開発 当社は2018年にJ Startupに選考されて以降、金融庁、経済産業省、警察庁、個人情報保護委員会などとのリレーションを構築し、サービス開発をしている点が他のセキュリティ企業と大きく異なります。これまでに2019年に新技術等実証制度(通称規制のサンドボックス制度)により、電力会社の保有する情報アセットを活用した不正検知サービスのリリースを実現しています。これは従来の個人情報保護法や電力事業者法で禁止されている電力会社の情報アセットの活用を認可いただいたもの(注12)であり、政府とのリレーションがあってこそ、実現しているサービスであります。また第二弾として、キャッシュレス推進協議会における、QRコード決済事業者間での不正利用者情報共有プラットフォームCLUEは当社が手掛けており、継続的に政府との協議により、国益である国民の資産の毀損を抑止するサービスを展開する予定であります。(注12)出典:内閣官房 規制のサンドボックス制度認定プロジェクト(なりすましによる不正な口座開設の防止に関する実証  株式会社カウリス、関西電力株式会社 認定日2019年3月6日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/s-portal/regulatorysandbox.html (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社で認識している優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。なお、当社の収益構造の特徴として、フロー型収益とストック型の収益の両方を得ております。現状大部分がFraud Alert利用料等のストック型の収益であり、安定的な経営に寄与しております。また、フロー型収益は、Fraud Alertの初期導入にかかる売上や実証実験契約によるもの等であります。また、当社は金融機関と1億円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要にも耐えられる体制を構築しているため、当社としては現状財務体質に重要な課題は無いと考えており、財務上の課題は記載しておりません。 (a)製品の強化について 当社が属するマネー・ローンダリング対策の分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があり、新たな脅威に対する対策が求められます。当社では、顧客満足度を継続的に高めていくために、今後もマネー・ローンダリング対策に関する新たな技術開発に取り組み、顧客の声を広く収集しその要望と仕様を入念に吟味しながら各機能及びユーザビリティの向上した実効性のある製品をリリースしてまいります。 (b)組織体制の整備 上場に向けた社内体制の構築への課題としては、主に管理層の人員不足及び開発体制の更なる充実という二点が挙げられます。当社が問題を解決するにあたり、各部門長に横断的な協力を仰ぎ、組織体制を整備しながら、適宜採用による人員獲得及び権限の委譲などを通じ、健全な組織作りに注力してまいります。 (c)人材の採用・育成について 当社の属するマネー・ローンダリング対策業界では、専門知識を有する人材の不足が共通課題とされております。今後、当社の業容が拡大する一方で、十分な人材を確保できない場合には、サービス提供の遅れや生産性の低下等により、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、社内人材については、中途採用を中心に即戦力として活用できる技術経験者を採用し、採用後は、当社の教育講座を無償で受講する等により専門知識の向上を図るとともに、職場環境の整備やモチベーション向上等に注力することで、人材流出を防ぎ、ノウハウや経験の社内蓄積に努めております。 (d)新規事業の立ち上げについて 急速な進化、拡大を続けているFintech業界において、当社が企業価値を向上させ、高い成長を継続させていくためには、事業規模の拡大と収益源の多様化を図っていくことが必要と認識しております。そのためには、積極的な新規事業の立ち上げが課題と認識しております。このような環境下において、当社はマネー・ローンダリング対策におけるノウハウを活かした事業の創出に積極的に取り組んでまいります。
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 1 事業環境・事業内容リスクについて①マネー・ローンダリング対策市場について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) Fintechの普及により、換金手段が多様化し犯罪者にとっても利便性が向上する中、マネー・ローンダリング対策市場は全世界で大きく拡大しており、2020年から2027年には15.60%以上で成長すると予測されております。(注)当社は、国内におけるマネー・ローンダリング対策市場において、2016年12月に法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」の提供を開始し、その方向性をリードしつつマネー・ローンダリング対策事業の拡大に努めておりますが、競合会社の積極参入による競争が激化した場合及び日本国民の消費活動がキャッシュレス決済から現金決済へ回帰してしまう場合、並びに当該市場を取り巻く新たな規制の導入やその他予期せぬトラブル等により、市場の成長が鈍化した場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(注)出典: Report Ocean 「Global Anti Money Laundering Market Size study」(2022年1月22日公表)   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004911.000067400.html ②技術革新への対応について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 当社が属するマネー・ローンダリング対策の分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があります。今後、Google Inc.及びApple Inc.のプライバシーポリシーが強化されることで、端末識別の難易度が技術的に高まった場合、Fraud Alert(フロードアラート)単体での不正行為抑止効果が薄れていく可能性があります。当社では、顧客のニーズを的確に捉え、より実効性のあるサービスを提供すべく、新たな脅威や技術革新等に関する情報収集に努めております。しかし、これらの技術革新への対応が遅れ、他社に大きく先行された場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ③法的規制について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、主要なビジネスに関係する犯罪による収益の移転防止に関する法律及び個人情報保護法等に関しては、関係当局及び法律専門家に照会・確認のうえ、適用関係を確認済であり、当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は本書提出日現在において存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社の事業を直接的に制限する法的規制がなされた場合、また、従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。加えて、個人情報を活用した新しいサービス作りにおいては法的整備が絡む可能性があり、継続的なロビイング活動の強化が求められる可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育などを行っていく方針ですが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ④競争状況について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、金融機関を主な顧客とし、マネー・ローンダリング対策領域で多角的なサービスを提供しており、独自のサービスポジションを獲得しております。これは、データ検知のサービスを提供するセキュリティ企業が多い中で、マネー・ローンダリング対策分野においては常に新しい犯罪手口が発生するために、データ検知サービスでは対応が後手になってしまうこと(当社想定)から、当社がデータモニタリングという独自の内容と価格でのサービス提供を実現させてきたことによると考えておりますが、新規参入等により競合が出現し競争が激化した場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤当社が提供するサービスの瑕疵について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 不正検知サービス「Fraud Alert」等、当社が提供するサービスでは、ソフトウエアの開発から販売までの過程において数多くの品質チェックを行い、プログラムの動作確認には万全を期しておりますが、販売時には予想し得なかったソフトウエア特有のバグ(不具合)が販売後に確認されることもあります。その場合、当社では速やかにソフトウエアのアップデート(修正)プログラムを提供し対応しております。顧客の不正検知確認体制不備は一義的には顧客の責任であり当社の責任は限定的ではあるものの、こうしたバグによりサービスの提供ができなくなる場合、バグの解決に非常に長期間を要した場合、またはバグの解決に至らなかった場合は、サービスの売上の減少だけでなく、当社への信頼が低下する恐れがあり、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥マネー・ローンダリング対策特化による需要低下リスク(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、不正検知サービス「Fraud Alert」に代表されるマネー・ローンダリング対策事業に特化しております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、マネー・ローンダリング対策市場の需要が低迷した場合等には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑦SLA(サービスレベルアグリーメント)抵触によるリスク(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、当社サービスの月間の稼働時間及び一定時間あたりの処理速度(一定時間あたりのアクセス数)等の技術的なサービス提供能力について、2023年12月末時点で12社に対して一定の保証水準を設けており、あらかじめこれを提示しております。当社は、SLAに定めるサービスコミットメントを達成できなかった場合には、SLAのサービスコミットメント条項に基づき、月次利用料金の範囲内で利用料金を減額しなければならず、かかる減額が多額になった場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧システム等に関するリスクについて(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の事業は、外部クラウドサーバー(Amazon Web Services、以下「AWS」という。)が提供する各種サービスをインターネットを介して顧客企業に提供することを前提としております。当社では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、リスクマネジメントに努め、また、システム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、サーバー設備の強化や稼働状況の監視等により未然防止策を実施しております。しかしながら、サイバー攻撃や自然災害や事故などによる不測の事態が発生し、万が一、AWS自体にシステム障害が起こるような場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨特定顧客への依存について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大)2023年12月期における当社の売上高に占める主要取引先上位10社の売上高合計の割合は69.0%であり、また、それら取引先は銀行、証券会社などの金融機関、クレジットカード事業者であることから、特定の業界・顧客企業への依存度が高い状況にあります。本書提出日現在において、マネー・ローンダリング対策市場は、将来の成長が見込まれており、他の業界・顧客企業との取引額の拡大を図り、特定顧客への依存リスクの分散に努めておりますが、今後、見込みどおりに顧客拡大が進まない場合や予期しない環境の変化により価格改定を余儀なくされる等、当該市場の成長に何らかの問題が生じた場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、現時点において、当該顧客企業と当社との関係は良好な状態でありますが、それらの顧客企業の経営方針に変更が生じ、契約条件の変更等があった場合は、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩研究開発リスクについて(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社では、既存事業の強化及び新規事業創出のため積極的に研究開発活動を行っております。しかし、技術革新のスピードが速くタイムリーに新製品の開発ができないなど、期待した成果が得られず計画を断念することになった場合には、投下した研究開発費を回収できないため、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの研究開発体制の維持・強化のためには、高度な技術を持った人材の確保が不可欠であり、技術者が十分に確保できない場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 2 経営管理体制に関するリスク①人材の採用・育成について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 当社の属するマネー・ローンダリング対策業界では、専門知識を有する人材の不足が共通課題とされております。今後、当社の業容が拡大する一方で、十分な人材を確保できない場合には、サービス提供の遅れや生産性の低下等により、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、社内人材については、中途採用を中心に即戦力として活用できる技術経験者を採用し、採用後は、当社の教育講座を受講する等により専門知識の向上を図るとともに、職場環境の整備やモチベーション向上等に注力することで、人材流出を防ぎ、ノウハウや経験の社内蓄積に努めております。 ②特定人物への依存について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の創業者であり大株主でもある代表取締役社長島津敦好は、当社の強みである事業の創出やノウハウを蓄積しており、事業の推進において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、幹部人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務執行ができない事態となった場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ③小規模組織であることのリスクについて(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は小規模な組織であり、現在の人員構成において最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ④コンプライアンス体制について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は企業倫理の確立による健全な事業活動を基本方針とする「コンプライアンスの基本方針」を制定し、当社の役員・従業員への教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上および法令遵守の強化に努めています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤情報管理体制について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社のサービスでは個人関連情報等の顧客の重要な情報を入手します。これらの情報は基本的には暗号化されており、当社単体では個人との紐づけは不可能となっておりますが、これらの顧客情報の漏洩は事業展開において大きなリスクであります。当社では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、社内教育の実践、各種データのアクセス権限による制約、書面情報の施錠管理、オフィスの入退室管理等、対策を講じて実践しておりますが、顧客情報の漏洩が発生した場合、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥知的財産権の管理について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社による第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、専門家と連携しながら調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、使用料の請求や損害賠償請求等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社に対する知的財産権の使用料の請求や損害賠償請求等が発生することや、当社が保有している知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応を要するなど、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 3 その他のリスクについて①自然災害、事故等について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大) 地震や天災といった災害、国内におけるテロ活動などの予期せぬ事態により、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため、当社では、テレワークや時差出勤など事業運営に極力支障が生じない体制を構築しており、勤務時においては役職員へのマスク着用、手洗い、消毒の推奨等により感染防止に向けた対策を講じております。しかしながら、当社の役職員が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染する可能性を完全に排除することは困難であり、万一、社内での感染が拡大した場合は、事業運営の一部に支障をきたす可能性や、オフィスの閉鎖等の対応を余儀なくされる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が長期化し、企業活動が長期間にわたり大幅に制限される等の理由により、景気が著しく悪化し、多くの顧客企業がセキュリティ投資を抑制した場合には、売上の減少や利益率の低下、回収サイトの長期化など、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ②訴訟について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の事業運営にあたって、予期せぬトラブルや問題が生じた場合、当社の瑕疵にかかわらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、起訴内容や損害賠償額の状況及びその結果によっては当社の社会的信用が低下することに加え、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ③配当政策について(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中) 当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来無配当としてまいりました。現在は、内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。 ④大株主について(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)当社創業者かつ代表取締役社長である島津敦好の本書提出日現在での議決権所有割合は、直接保有分として6.2%であります。また、島津敦好の資産管理会社である株式会社rhizomeの議決権を合算した所有割合は59.6%となっております。島津敦好及び当該資産管理会社は引き続き当社の株式を保有し、大株主となる見込みであります。島津敦好は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しています。島津敦好は、当社の創業者かつ代表取締役社長であるため、当社としても安定株主であると認識していますが、将来的に何らかの事情により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤株式の追加発行等による株式価値の希薄化について(発生可能性:高、発生する時期:数年以内、影響度:小) 当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は780,100株であり、発行済株式総数6,086,700株の12.8%に相当しております。 ⑥資金使途について(発生可能性:低、発生する時期:数年以内、影響度:中) 当社の公募増資による資金調達は、プロダクトであるFraud Alertの開発及び運用費及び借入金の返済に充当する予定です。しかしながら、外部環境等の影響により、目論見どおりに事業計画が進展せず、調達資金が上記の予定どおりに使用されない可能性があります。資金使途計画が変更となる場合には、速やかに開示いたします。また、予定どおりに使用された場合でも、想定どおりの効果を上げることができず、当社の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産) 当事業年度末における流動資産合計は1,029,029千円となり、前事業年度末に比べ356,902千円増加いたしました。これは主に、受注増加に伴い営業活動によるキャッシュ・フローが増加したことにより現金及び預金が350,594千円増加したこと等によるものであります。 当事業年度末における固定資産合計は149,668千円となり、前事業年度末に比べ103,494千円増加いたしました。これは主に、繰延税金資産が89,705千円増加したこと等によるものであります。 この結果、当事業年度末における資産合計は1,178,698千円となり、前事業年度末に比べ460,397千円増加いたしました。(負債) 当事業年度末における流動負債合計は477,040千円となり、前事業年度末に比べ200,024千円増加いたしました。これは主に、短期借入金の増加51,000千円、業績・事業規模拡大に伴い未払法人税等が111,441千円増加したこと等によるものであります。 当事業年度末における固定負債合計は250,000千円となり、前事業年度末から変動はございません。 この結果、当事業年度末における負債合計は727,040千円となり、前事業年度末に比べ200,024千円増加いたしました。(純資産) 当事業年度末における純資産合計は451,657千円となり、前事業年度末に比べ260,372千円増加いたしました。これは、当期純利益を260,372千円計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。 ② 経営成績の状況 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のピークアウトから人出の回復が見られる一方、同感染症に対する警戒が残り続けていること、さらにはロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰、為替の急変動などから、依然として不透明な状況が続いておりました。 当社は「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと、先端技術を活用した実用的なサービスを創り続け、犯罪のビッグデータをアルゴリズムと掛け合わせた法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」(フロードアラート)を、情報セキュリティ及びマネー・ローンダリング対策の観点で金融機関をはじめとした資金移動業者、通信事業者、ライフライン企業などへの導入拡大を目指しております。 国内の情報セキュリティ市場においては、電子商取引の規模拡大に伴い決済のキャッシュレス化が進み、キャッシュレス決済が拡大することでクレジットカード等の不正利用が増加し、その被害抑制対策強化の流れが加速すると見込まれます。なお、2022年の消費者向け電子商取引は前年比9.9%増の22兆7,449億円(注1)となり、2022年の国内のキャッシュレス決済比率は36.0%(注2)まで到達するなど、いずれも順調に推移しております。 また、2021年8月30日にFATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書が公表され、わが国は、審査対象である有効性と法令遵守状況の双方で、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策における合格基準を下回り、「重点フォローアップ」に分類されました。これらの結果を受け、今後法改正等の動きが見込まれると同時に、より一層マネー・ローンダリング対策市場の拡大が進むと考えられます。 このような状況のもと当事業年度においては、当社は主に「Fraud Alert」の導入社数拡大に取り組むと共に、販売拡大に耐えうるシステムの構築を推進し、開発・営業など組織体制の整備を重点的に進めることで、サービスの強化に注力し、事業拡大を進めております。 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高994,995千円(前期比29.3%増)、営業利益295,860千円(前期比35.8%増)、経常利益293,868千円(前期比33.7%増)、当期純利益260,372千円(前期比4.2%増)となりました。 なお、当社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は954,701千円となり、前事業年度末に比べ350,594千円増加いたしました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において営業活動により得られた資金は、306,545千円となりました。 これは主に、事業拡大による税引前当期純利益の計上293,868千円、契約負債の増加額53,792千円、法人税等の支払額11,759千円等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において投資活動により使用した資金は、6,950千円となりました。 これは主に、事業用PCなどの有形固定資産の取得による支出6,960千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において財務活動により得られた資金は、51,000千円となりました。 これは、短期借入れによる収入51,000千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b.受注実績 当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 c.販売実績 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。セグメント名称当事業年度(自2023年1月1日至2023年12月31日)金額(千円)前年同期比(%)マネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業994,995129.3合計994,995129.3 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自2022年1月1日至2022年12月31日)当事業年度(自2023年1月1日至2023年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社三井住友銀行110,40014.3116,37111.7楽天証券株式会社88,50011.5103,10010.4株式会社イオン銀行83,76010.9-- (注)当事業年度の株式会社イオン銀行に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であ    るため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。  当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、また研究開発に係る費用であります。これらの資金については自己資金にて充当する方針です。今後の更なる業容拡大に対応するための資金に関しては、自己資金に加えて、株式上場時の調達資金を用いて、成長投資の実行とともに財務基盤の強化を図ってまいります。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。 当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として月次経常収益(MRR)を特に重視しております。今後もこの指標を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図る所存であります。 当事業年度においては、導入企業数が増加し、その結果月次経常収益は増加しております。 重視する指標の推移期間前事業年度末時点 (2022年12月)当事業年度末時点 (2023年12月)月次経常収益(MRR)74,233千円88,367千円
経営上の重要な契約等 5【経営上の重要な契約等】
 該当事項はありません。
研究開発活動 6【研究開発活動】
 当事業年度の研究開発活動は、サイバーセキュリティを目的としてインターネット上にある各端末を個別に識別するための属性の分析を中心に行ってまいりました。研究開発体制は、当社の海外・技術研究部と外部の専門家が密接な連携・協力関係を保ち、効果的かつ迅速的に活動を推進しております。当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は40,835千円であります。 なお、当社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 当事業年度に実施いたしました設備投資等の総額は6,415千円であり、その主要なものは業務用パソコン等の器具及び備品の取得等であります。また、当事業年度において、重要な設備の除却・売却等はございません。 なお、当社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
2023年12月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(人)工具、器具及び備品その他合計本社(東京都千代田区)本社設備等4,3431,0385,38243(1) (注)1.現在休止中の主要な設備はありません。    2.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇      用者数(契約社員、アルバイト・パートタイマーを含み、人材会社からの派遣社員を除く)は、年間の平均人員を()外数で記載しております。    3.帳簿価額のうち「その他」は、一括償却資産であります。    4.本社の建物を賃借しております。年間の支払家賃は15,600千円であります。    5.当社の事業はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
(1)重要な設備の新設 該当事項はありません。 (2)重要な改修 該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動40,835,000
設備投資額、設備投資等の概要6,415,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況38
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況3
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況6,822,213

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、保有目的が純投資目的の株式及び純投資目的以外の目的の株式のいずれも保有しておりません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。

Shareholders

大株主の状況 (6)【大株主の状況】
2023年12月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
株式会社rhizome東京都中央区銀座四丁目13番8号ソフィアスクエア銀座7013,252,90057.00
島津 敦好東京都中央区576,90010.11
造田 洋典大阪府茨木市300,0005.26
Salesforce Ventures LLC(常任代理人 株式会社セールスフォース・ジャパン) Salesforce Tower, 415 Mission St, 3rd Fl San Francisco, CA 94105 USA(東京都千代田区丸の内一丁目1番3号)293,4005.14
安藤 洋輔東京都品川区240,0004.21
ソニーグループ株式会社東京都港区港南一丁目7番1号188,6003.30
株式会社電通総研東京都港区港南二丁目17番1号188,6003.30
関西電力送配電株式会社大阪府大阪市北区中之島三丁目6番16号154,4002.71
SU SHIH WEN東京都江東区100,0001.75
株式会社セブン銀行東京都千代田区丸の内一丁目6番1号83,3001.46計-5,378,10094.24
株主数-外国法人等-個人以外1
株主数-個人その他11
株主数-その他の法人9
株主数-計21
氏名又は名称、大株主の状況株式会社セブン銀行
株主総会決議による取得の状況 (1)【株主総会決議による取得の状況】
 該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
 該当事項はありません。

Shareholders2

発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当事業年度期首株式数(株)当事業年度増加株式数(株)当事業年度減少株式数(株)当事業年度末株式数(株)発行済株式 普通株式(注)47,2005,659,500-5,706,700A種優先株式(注)2,106-2,106-B種優先株式(注)2,665-2,665-C種優先株式(注)5,096-5,096-合計57,0675,659,5009,8675,706,700(注)2023年11月23日付でA種優先株主、B種優先株主及びC種優先株主の株式取得請求権に応じたことにより、すべ   てのA種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式を自己株式として取得し、対価として当該A種優先株式、B   種優先株式及びC種優先株式1株に対し普通株式1株を交付しております。また、その後、2023年11月23日付で   当該A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式をすべて消却しております。なお、2023年11月8日開催の取   締役会決議により、2023年11月25日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。

Audit1

監査法人1、個別EY新日本有限責任監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書 2024年3月29日株式会社カウリス 取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士小野木 幹久 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士矢部 直哉 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社カウリスの2023年1月1日から2023年12月31日までの第9期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社カウリスの2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 Fraud Alert等(ストック)における売上高の実在性及び期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 Fraud Alert等(ストック)における売上高は936,356千円と、会社の売上高994,995千円の94.1%を占めている。 重要な会計方針 3.収益及び費用の計上基準(1)Fraud Alert等(ストック)に記載のとおり、Fraud Alert等(ストック)の売上については、顧客との契約で定められた利用期間に基づいて、ライセンスを提供する義務やFraud Alertを有効に利用するためのコンサルティングサービスを提供する義務を負っているため、契約の経過期間にわたって一定期間で収益が認識されている。 会社は、Fraud Alertを中核とした成長に取り組んでいるため、Fraud Alert等(ストック)の売上高に関して、架空あるいは売上高の前倒し計上が行われる潜在的なリスクが存在する。 以上より、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、会社のFraud Alert等(ストック)における売上高の実在性及び期間帰属の適切性を検証するために、主として以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価Fraud Alert等(ストック)の売上高の計上プロセスに関連する以下の内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。・管理部門責任者が、売上計上の根拠となる管理台帳に記載の契約金額及び契約期間をモニタリングし、売上仕訳との整合性を確かめる内部統制(2)実証手続・売上計上の根拠となる管理台帳と売上高計上額について、年間を通して照合し、差異の有無を検討した。・売掛金について、一定の条件を満たす取引先のほか無作為で抽出した取引先に対して、期末日を基準として残高確認を実施した。また、前受金について、一定の条件を満たす取引先のほか無作為で抽出した取引先に対して、期末日を基準として契約期間及び契約金額の確認を実施した。・管理台帳からサンプリングにより抽出した取引について、利用申込書等を閲覧し、管理台帳に記載されている契約期間及び契約金額との一致を検証した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以  上  (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 Fraud Alert等(ストック)における売上高の実在性及び期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 Fraud Alert等(ストック)における売上高は936,356千円と、会社の売上高994,995千円の94.1%を占めている。 重要な会計方針 3.収益及び費用の計上基準(1)Fraud Alert等(ストック)に記載のとおり、Fraud Alert等(ストック)の売上については、顧客との契約で定められた利用期間に基づいて、ライセンスを提供する義務やFraud Alertを有効に利用するためのコンサルティングサービスを提供する義務を負っているため、契約の経過期間にわたって一定期間で収益が認識されている。 会社は、Fraud Alertを中核とした成長に取り組んでいるため、Fraud Alert等(ストック)の売上高に関して、架空あるいは売上高の前倒し計上が行われる潜在的なリスクが存在する。 以上より、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、会社のFraud Alert等(ストック)における売上高の実在性及び期間帰属の適切性を検証するために、主として以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価Fraud Alert等(ストック)の売上高の計上プロセスに関連する以下の内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。・管理部門責任者が、売上計上の根拠となる管理台帳に記載の契約金額及び契約期間をモニタリングし、売上仕訳との整合性を確かめる内部統制(2)実証手続・売上計上の根拠となる管理台帳と売上高計上額について、年間を通して照合し、差異の有無を検討した。・売掛金について、一定の条件を満たす取引先のほか無作為で抽出した取引先に対して、期末日を基準として残高確認を実施した。また、前受金について、一定の条件を満たす取引先のほか無作為で抽出した取引先に対して、期末日を基準として契約期間及び契約金額の確認を実施した。・管理台帳からサンプリングにより抽出した取引について、利用申込書等を閲覧し、管理台帳に記載されている契約期間及び契約金額との一致を検証した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別  監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別Fraud Alert等(ストック)における売上高の実在性及び期間帰属の適切性
その他の記載内容、個別 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

BS資産

有形固定資産5,382,000
長期前払費用12,349,000
繰延税金資産127,987,000
投資その他の資産144,286,000

BS負債、資本

短期借入金51,000,000
未払金41,194,000
未払法人税等119,616,000
賞与引当金4,974,000
利益剰余金396,657,000
負債純資産1,178,698,000

PL

売上原価381,533,000
販売費及び一般管理費317,600,000
受取利息、営業外収益5,000
営業外収益1,515,000
支払利息、営業外費用3,482,000
その他、流動資産752,000
営業外費用3,508,000
法人税、住民税及び事業税123,201,000
法人税等調整額-89,705,000
法人税等33,495,000

PL2

当期変動額合計260,372,000

FS_ALL

現金及び現金同等物の残高954,701,000
減価償却累計額、有形固定資産、一括控除-13,397,000
売掛金51,185,000
契約負債227,927,000
役員報酬、販売費及び一般管理費37,200,000
減価償却費、販売費及び一般管理費1,853,000
現金及び現金同等物の増減額350,594,000
株主資本451,657,000
研究開発費、販売費及び一般管理費40,835,000

営業活動によるキャッシュ・フロー

減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー4,939,000
賞与引当金の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー-4,776,000
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー3,482,000
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー-8,668,000
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー321,792,000
利息及び配当金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は投資活動によるキャッシュ・フロー4,000
利息の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は財務活動によるキャッシュ・フロー-3,492,000
法人税等の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー-11,759,000

投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出、投資活動によるキャッシュ・フロー-6,960,000
その他、投資活動によるキャッシュ・フロー10,000

概要や注記

連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 当社は、財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。具体的には、会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等について的確に対応できる体制を整備するため、専門的な情報を有する団体等が主催するセミナーへの参加及び刊行物の定期購読等を行っております。
主要な販売費及び一般管理費 ※2 販売費に属する費用のおおよその割合は前事業年度20.0%、当事業年度19.3%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は前事業年度80.0%、当事業年度80.7%であります。 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)役員報酬34,800千円37,200千円給料手当及び賞与88,152117,335賞与引当金繰入額3,5743,470支払報酬32,02141,435減価償却費1,4571,853研究開発費42,05340,835
一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費 ※3 一般管理費に含まれる研究開発費の総額 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日) 42,053千円40,835千円
顧客との契約から生じる収益の金額の注記 ※1 顧客との契約から生じる収益   売上高については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益を区分して記載しておりません。顧客との契約から生じる収益の金額は、財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。
新株予約権等に関する注記 2.新株予約権及び自己新株予約権に関する事項 該当事項はありません。
配当に関する注記 3.配当に関する事項(1)配当金支払額 該当事項はありません。 (2)基準日が当事業年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌事業年度となるもの 該当事項はありません。