財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-29
英訳名、表紙Thinca Co.,Ltd.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長  江尻 高宏
本店の所在の場所、表紙東京都千代田区神田錦町三丁目3番地
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-6721-0415(代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
 当社設立以後、現在までの沿革は次のとおりであります。年月概要2014年1月東京都文京区にて株式会社シンカ設立2014年8月クラウドサービス「おもてなし電話」の正式リリース2015年5月本社を東京都千代田区に移転2015年12月東日本電信電話株式会社と代理店業務委託契約を締結2016年7月「おもてなし電話」通話録音機能の提供開始2017年7月「おもてなし電話」SMS送信機能の提供開始2017年9月本社を東京都新宿区に移転2019年3月株式会社NTTドコモ(現エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)と取次契約を締結2019年4月西日本電信電話株式会社と代理店業務委託契約を締結2019年9月「おもてなし電話」電話音声テキスト化機能の提供開始2019年11月「おもてなし電話」をコミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」へ名称変更2020年2月「カイクラ」上でのSMS送信技術に関する特許を取得(特許番号:第6667683号)2020年8月「カイクラ」FaceTalk(ビデオ通話機能)の提供開始2021年3月「カイクラ」通話録音テキスト要約機能の提供開始2021年5月本社を東京都千代田区に移転2022年7月大阪府吹田市に大阪支店を開設2022年9月「カイクラ」携帯通録サービスの正式提供開始2022年12月福岡県福岡市博多区に九州開発センターを開設2023年5月京都府京都市下京区に京都開発センターを開設2023年6月「カイクラ」メール連携機能の提供開始2024年3月東京証券取引所グロース市場に株式を上場
事業の内容 3【事業の内容】
 当社は、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げております。現在、様々な分野においてテクノロジー化が進んでおりますが、中小企業をはじめとした顧客対応業務ではこうしたテクノロジー化が進んでおらず、様々な課題が発生しております。特に、電話をはじめとした顧客とのコミュニケーションについては、そもそもこうしたコミュニケーションを記録していないこと、仮に記録していたとしても顧客情報との紐づけができておらず、その活用の幅が極めて狭いことなどの課題があります。その結果、顧客とのコミュニケーションに関しては、電話対応者などのコミュニケーションスキルに依存し属人化することとなり、会社として顧客対応を均一に行うことができない、顧客とどのようなコミュニケーションを行っているのか把握できないなど、多くの課題が発生しています。 これらを解決すべく、当社は“会話を クラウドで おもしろく!”をコンセプトとする「カイクラ」を提供しております。「カイクラ」は、顧客(注1)に関する情報をクラウド(※)に蓄積しており、カイクラユーザー(注2)のオフィスの固定電話に着信があった場合、その着信と同時に「カイクラ」と連携したパソコン/タブレット/スマートフォンの画面に自動で顧客情報をポップアップ表示します。このポップアップ画面では過去の会話履歴メモや録音記録も参照することができるため、電話対応者は顧客情報や会話履歴を画面で確認しながら電話応対が可能となり、結果、顧客とのコミュニケーションに関して属人化からの脱却が可能となり、顧客との電話業務に関わる課題を減らし、より円滑なコミュニケーションを実現することができます。 さらに「カイクラ」はSMS(※)送信機能、通話録音機能、ビデオ通話機能、携帯通話録音機能、及びメール連携機能などを備えています。これらの機能により、顧客がカイクラユーザーのオフィスに電話した場合だけではなく、カイクラユーザーから顧客に送信したSMS、顧客と行ったビデオ通話記録、携帯電話の録音記録やメールによるコミュニケーションも顧客情報と関連付けて一元管理し、自動で保存することができます。その結果、カイクラユーザーはきめ細やかな顧客対応を安定して実現できるだけではなく、カイクラ内のコミュニケーション履歴を参照することで、顧客とのコミュニケーションを組織として管理することが可能となります。 また販売面では、自社の販売部門や、販売代理店や取次店などの販売パートナーによる「カイクラ」の販売に加え、「カイクラ」の機能をより迅速に展開するため、「カイクラ」の一部機能を他社にOEM(※)提供することで、先方の販売力とブランド力を生かして「カイクラ」機能の拡大を担っていただいております。 当社は「カイクラ」を通して、顧客との様々なチャネルによるコミュニケーションを自動で記録・整理し一元管理し、必要な時にこれを参照できるようにすることで、顧客とのコミュニケーションロスやクレームを減らし、カイクラユーザーと顧客の双方の満足度を向上させるとともに、コミュニケーションに関する業務の効率化やカイクラユーザーにとって優良な顧客の囲い込みを可能とすることで、「カイクラ」を利用する企業や店舗、個人事業主などの生産性の向上に寄与していきたいと考えております。なお、当社は、カイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の開示を省略しております。  (注)1.カイクラユーザーのお客様(カイクラユーザーが提供する製品・サービスを利用している企業や個人)2.当社が提供する「カイクラ」を利用している、当社の直接のユーザー (1)コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」(a)「カイクラ」の特徴 「カイクラ」は、企業活動で発生する様々なコミュニケーションのDX(※)を実現するサービスであり、個別の機能として、オフィスの固定電話でのコミュニケーション支援機能やSMS送信機能、通話録音機能、ビデオ通話機能、携帯電話録音機能、及びメール連携機能などを備えております。「カイクラ」を使うことにより、顧客とのこうしたコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することが可能です。 例えば、固定電話とSMSなど、異なるコミュニケーション手段を用いて顧客とコミュニケーションを取った場合であっても、カイクラユーザーはカイクラを通じ、これらを自動で記録・整理し、顧客情報と関連付けして一元管理することが可能となります。その結果、「カイクラ」を導入したオフィスでは、コミュニケーションの属人化を排除することができ、電話対応者の業務経験やスキルに依存しない、より質の高い顧客対応が可能となります。 また、固定電話及び携帯電話の会話を「カイクラ」で録音した場合、AI(※)により自動でテキスト化することができます。このテキスト化されたデータを用いて、「解約」等ビジネス上影響があると考えられる単語の強調表示や会話内で頻出する単語の分析などが可能となります。 「カイクラ」は、オフィスに設置したカイクラアダプターにより、そのオフィスへの固定電話への着信時に、インターネット回線を通じて関連する顧客情報やコミュニケーション履歴を自動で呼び出し、パソコン/タブレット/スマートフォンにこれらをポップアップします。カイクラアダプターを設置しても、カイクラユーザーは自身の固定電話番号などの電話環境を変更する必要はありません。 これにより、カイクラユーザーは既存の電話環境を維持しながらも顧客対応業務の効率を改善させ、電話対応の負担を削減できることから、顧客満足度及び従業員満足度を向上させ、結果カイクラユーザーの収益向上に貢献します。なお、「カイクラ」サービスのイメージ図は下記のとおりです。 (b)「カイクラ」の主な機能イ.固定電話でのコミュニケーション支援 カイクラユーザーのオフィスの固定電話へ着信があった時に、関連する顧客情報や会話履歴を自動で呼び出し、パソコン/タブレット/スマートフォンにこれらをポップアップします。ポップアップさせる情報はカスタマイズ可能であり、例えば顧客氏名、住所、営業担当者、商品購入日、商品の詳細など、カイクラユーザーのニーズに合わせたオリジナルの画面を提供することができます。 また、カイクラユーザーが他社のCRM(※)システムを通じて顧客情報を管理している場合、API連携(※)により「カイクラ」とこれらCRMシステムとを連携させることが可能です。この場合、カイクラユーザーのオフィスへ着信があった時に、当該CRMシステムで管理されている情報を、「カイクラ」の画面上に表示させることができます。 これにより、電話の応対時に、カイクラユーザーが必要とする情報を確認できることから、よりきめ細やかで安定したコミュニケーションが可能となります。また、顧客情報はクラウド上のデータベースに蓄積されており、これは電話着信時だけではなくいつでも参照することができるため、カイクラユーザーは組織として、顧客情報やコミュニケーション履歴を管理することができます。 なお、カイクラ画面のイメージは以下のとおりです。 ロ.SMS送信 「カイクラ」の画面から、以下のイメージのように、顧客や自社の従業員に対してSMSを送信することができます。SMSは携帯電話の番号に対して送信できるため、顧客への連絡や不在時の伝言に有効となります。また、「カイクラ」は送信したSMSの履歴を自動で記録し、顧客情報と関連付けて一元管理するため、どの顧客に・いつ・どのようなSMSを送信したか、顧客情報から検索できるだけでなく、カイクラユーザーのオフィスの電話に着信があった時にはその内容がパソコンなどの画面にポップアップされます。 さらに、「カイクラ」のSMS送信機能は予約送信機能を有しているため、例えば来店予約の前日に来店リマインドのメッセージを自動で送付するなど、いわゆるMA(※)ツールとして利用することも可能です。 ハ.通話録音 カイクラユーザーのオフィスの電話の内容を自動で録音し保存することができます。また、この電話の会話内容をAIにより自動でテキスト化し、さらに生成AIによりそのテキストを要約することも可能です。 通話録音の音声データ及びそれをテキスト化したデータは、「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けられ、一元管理されます。 この通話録音機能により、カイクラユーザーは重要な会話などについてあとから聞き直すことができ、より適切な顧客対応が可能となります。また、会話のテキストデータは「カイクラ」上で検索や分析が可能となるため、「解約」「キャンセル」などの特定のキーワードが含まれている会話だけを抽出したり、どのようなキーワードが頻繁に使われていたりするのかなどの分析も可能となります。 通話録音機能に関する「カイクラ」の画面は以下のとおりです。 ニ.ビデオ通話 「カイクラ」はビデオ通話機能を有しております。特定のアプリケーションのインストールは不要で、パソコンやスマートフォンのブラウザ上で簡単にビデオ通話を行うことができます。このビデオ通話機能ではカメラを通じた動画や音声だけでなく、パソコンやスマートフォンの画面の共有も可能であり、またビデオ通話内容を録画することも可能です。この録画データも「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けて記録・整理され、他のコミュニケーション履歴とともに一元管理されます。また、その履歴は必要に応じて検索が可能です。 ビデオ通話機能のイメージ図は以下のとおりです。 ホ.携帯通話録音 「カイクラ」は、固定電話だけでなく、社用の携帯電話で会話した内容を自動で録音することができます。また、この電話の会話内容をAIにより自動でテキスト化することも可能です。 この携帯電話での会話の音声データ及びそれをテキスト化したデータは、「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けて記録・整理され、他のコミュニケーション履歴とともに一元管理されます。その結果、カイクラユーザーはこの携帯電話での会話データを、顧客情報、オフィスの固定電話での会話内容、送信したSMS、ビデオ通話内容とともに参照することが可能です。 「カイクラ」の携帯通録は、録音データのアクセス権をアカウントごとに設定できるだけではなく、電話の相手先の属性ごとに、携帯電話での会話の録音可否を設定できます。このように、携帯電話での会話については、録音記録が必要な会話のみを記録し、必要な従業員にしかそれをアクセスできないようにすることで、個人情報やプライバシーに配慮しながら、必要な会話を一元管理することが可能となります。 携帯通話録音機能のイメージ図は以下のとおりです。 (注)3.現在、携帯通話録音機能はNTTドコモ、au、SoftBankの提供する社用携帯電話のみ対応しております。 へ.メール連携 「カイクラ」は、オフィスの固定電話着信と同様に、メールの送信時及び受信時にその内容を「カイクラ」に取り込み、社内のチームメンバーに対してポップアップ通知することができます。これにより、「カイクラ」の画面上で顧客とのメールのやり取りを確認・共有できるとともに、固定電話やSMS、ビデオ通話、携帯電話など、「カイクラ」で一元管理されているその他のコミュニケーション履歴を参照しながらメール対応することが可能となります。 また、「カイクラ」に取り込むメールは顧客とのメールに限定し、その他の不要なメールは取り込まないなど、個人情報やプライバシーに配慮しながら必要なメールのみを一元管理することが可能です。 メール連携機能のイメージ図は以下のとおりです。 (2)「カイクラ」の収益構造 「カイクラ」の主な収益構造は、カイクラユーザーから得られる「カイクラ」の利用料収入であります。 この利用料収入は、「カイクラ」導入時の初期費用、サブスクリプション(※)型の月額利用料及びSMSなどの従量課金売上の3つから構成されます。 初期費用は「カイクラ」を導入した拠点ごとに収益計上されます。また月額利用料及び従量課金売上は「カイクラ」を導入した拠点が継続して「カイクラ」を利用することで収益が計上されます。 当社の収益モデルは、「カイクラ」導入拠点数及びその利用量が増加するに従って月額利用料及び従量課金売上などの収益が逓増する、いわゆるSaaS(※)型の収益モデルとなっております。 2018年12月期以降の各期末時点でのアクティブユーザー(注4)(会社)及びその拠点数の推移、業界ごとの導入企業割合は以下のとおりです。 (注)4.アクティブユーザー:獲得したカイクラユーザーのうち、解約によりカイクラを利用しなくなったユーザーを除いたユーザー数  また、当社の事業系統図は以下のとおりであります。 [事業系統図] <用語集>下記は、「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しております。用語説明クラウドインターネット等を経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する形態のこと。SMS「Short Message Service」の略称で、携帯電話の電話番号を使ってメッセージがやりとりできるサービスのこと。OEM「Original Equipment Manufacturing」の略称で、委託者や発注元の名称・ブランドで製品やサービスを生産・提供すること。DX「Digital Transformation」の略称で、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織などを変革し、競争上の優位性を確立すること。AI「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピュータがデータを分析し、推論、判断、最適化提案、課題定義や解決、学習等を行う、人間の知的能力を模倣する技術のこと。CRM「Customer Relationship Management」の略称で、顧客管理のためのツールやシステムのこと。API連携APIは「Application Programming Interface」の略称で、API連携とはアプリケーション間やシステム間でデータや機能を連携し、利用できる機能を拡張すること。MA「Marketing Automation」の略称で、ソフトウエアを利用してマーケティング活動を自動的に行うプロセスのこと。サブスクリプション顧客に対し提供するサービスの対価を、利用期間に応じて継続的に受領する収益モデルのこと。SaaS「Software as a Service」の略称で、クラウド上にソフトウエアを用意し、インターネット経由でその機能を利用できるサービスのこと。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
 該当事項はありません。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)5537.92.85,815 事業部門の名称従業員数(名)営業部11パートナー営業部6アライアンス部6カスタマーソリューション部10グロースハック室1開発部9管理部12合計55 (注)1.当社の事業セグメントはカイクラ事業のみの単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。2.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。 (2)労働組合の状況 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男性の賃金の差異 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)経営理念 当社は、企業の生産性と幸福度を世界一に導きながら日本をもっと元気でおもしろい国にしよう! そして世界をもっとおもしろくしよう!という思いから、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げております。 この経営理念を実現するために、顧客とのコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することのできる「カイクラ」を開発・提供しております。 「カイクラ」を通してコミュニケーションテクノロジーを進化させ、人と人のつながりを強くし、あらゆる企業のコミュニケーションエラーを解消することで、ビジネスにおけるあらゆる会話をおもしろくする。そして、顧客も社員も社員の家族も、みんな幸せになる、また、毎日が本当に楽しいと思える、そんな社会を実現したいと考えております。 (2)事業展開方針① 短期的な方針 当社は、これまで自動車業界、不動産業界といった、顧客との継続的な関係性を重視する特定の業界をターゲットとして製品販売しておりましたが、同様のニーズを持つ新たなターゲット業界を新規開拓するとともに、より広い販売機会を求め、当社以外の企業とのアライアンス構築を行っております。さらに、大企業への「カイクラ」導入を目的としてNTTグループとの協業を強化する一方で、拠点を多く持たない小規模な零細企業に対しては、「カイクラ」の一部機能を他社にOEM提供し、他社製品の一部として販売するなど、戦略的な販売活動を行っております。 また、商品戦略として、オフィスでの固定電話でのコミュニケーションだけではなく、SMSやビデオ通話、携帯電話での通話やメールでのコミュニケーションなど、様々な種類のコミュニケーションを一元管理しておりますが、さらに別のチャネルのコミュニケーションを「カイクラ」に取り込むことにより、カイクラユーザーに対しより価値のあるサービスを提供し、コミュニケーションプラットフォーマーとしての地位を確立することを目指しております。 ② 中長期的な方針 現在、「カイクラ」は固定電話や携帯電話などによる顧客とのコミュニケーションに対応しており、顧客情報やコミュニケーション履歴をデータベースで一元管理し、導入オフィスにおいて顧客対応の属人化を解消することを可能にしております。将来的には、蓄積されたデータに基づき会話の量や質、顧客とのリレーションを測定し、よりよいコミュニケーション方法を提案することで、顧客コミュニケーションの効率化と快適性の向上を図ってまいります。 また、日本のビジネス文化では、人と人との関係性を重視し会話や雑談を通じて人との距離を縮めようとする傾向がある一方で、会話によるコミュニケーション上の課題や非効率な顧客コミュニケーションが生じやすくなると考えております。当社は「カイクラ」の提供を通じ、コミュニケーションエラーや非効率を解消しながらも、会話や雑談を通じた温かみのあるコミュニケーションを拡げていきたいと考えております。 (3)経営環境 当社は「カイクラ」をクラウドサービスとして提供しております。 当社が属するクラウドサービス市場は、クラウド技術の発展・普及によって、企業内に情報システムを構築することなくデータの共有や機能の拡張ができるようになったことから、国内でクラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、2022年時点で72.2%(出典:総務省「令和4年通信利用動向調査」)となっており、今後もその拡大が進むものと考えられております。 また、顧客ニーズの多様化により、消費者個人の嗜好に合わせたきめ細かな対応やサービスが求められる中、顧客情報管理の重要性が高まっております。CRMの活用により顧客とのコミュニケーションデータを蓄積し、失注やキャンセルといった課題を把握することで、顧客へのアプローチやサービス改善に活かすことが可能となります。新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワークの普及や企業のデジタル化の促進の影響もあり、こうしたCRMを導入する企業は年々増加し、現在ではさまざまなCRMサービスが登場しております。 このような経営環境のもと、当社は「カイクラ」を開発・販売しております。顧客とのコミュニケーションは様々なチャネルを経由して行われますが、「カイクラ」を用いることにより、こうした様々なチャネルにおける顧客とのコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することが可能となります。その結果カイクラユーザーは、顧客ニーズの分析、応答品質の向上、リスク管理といった顧客対応力を向上させることができることから、今後もそのニーズが広がるものと考えております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 企業理念「ITで 世界をもっと おもしろく」の追求及び企業ミッションである「企業のあらゆる会話をおもしろくする」の実現のためには、当社のサービスであるクラウドサービス「カイクラ」の認知度向上とさらなる普及が重要であると考えております。 当社は、さらなる事業推進のため、以下の7点を重要課題として取り組んでまいります。① 販売力強化について 当社は、「カイクラ」のニーズが高い業界を絞り込み、そこを販売ターゲットとする営業戦略をとっており、主にこれまでは自動車業界、不動産業界における製品販売に注力してまいりました。当該戦略は一定の成果がありましたが、引き続き当社事業の持続可能性を高めるため受注件数を拡大させていくことが喫緊の課題であると認識しております。具体的には、自動車・不動産業界以外の新たな注力業界を新規開拓するとともに、そうした業界において影響力の強い企業とのアライアンス構築を行います。さらに、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社との代理店業務委託契約、株式会社NTTドコモ(現エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)との取次契約を締結することでNTTグループとの協業について強化を行い、さらなる知名度向上と収益獲得に取り組んでまいります。また、多拠点を有する中規模以上の企業への販売に焦点を当てるなど、戦略的な販売活動を継続してまいります。 さらに商品戦略としては、通話録音機能や音声テキスト化機能などの付帯率を高めることによりユーザー単価を上げるとともに、固定電話だけでなく携帯電話でのコミュニケーションを一元管理するための携帯通話録音機能など、新しい機能を追加開発していくことで、より幅広い業界に対し、「カイクラ」を提供してまいります。 ② 認知度向上について 当社は、顧客とのコミュニケーションが発生するあらゆる企業は「カイクラ」を利用することで企業の生産性を高めると考えておりますが、「カイクラ」の認知度は総じて低く、こうした企業が「カイクラ」を認知し、その利便性を認識していただくまでに相当の時間を要しております。そのため、当社は「カイクラ」及び当社の認知度向上が急務であると捉えており、これまで雑誌等のメディアや講演等だけでなく、オウンドメディアを通じた認知度向上を図ってまいりましたが、今後はより一層、問い合わせ及び受注可能性を高めるためのプロモーション及びマーケティングを強化する必要があると考えております。引き続き、費用対効果を勘案しながら、「カイクラ」の魅力を伝えるべく、インターネット、リアルを問わず様々な施策を検討、実施をしてまいります。 ③ カスタマーサクセス強化について 当社サービスを利用したカイクラユーザー事業の成功は、当社サービスの継続的な利用につながり、もって顧客生涯価値の向上に寄与すると認識しております。そのため当事業年度におきましては、継続的にカイクラユーザーのカイクラ利活用を促進し、長期的に良好な関係を構築するカスタマーサクセスグループを強化してまいりました。今後は、よりカイクラユーザーへの価値提供を行うためにアップセルを強化していく必要があるとの認識を強めております。ただし、ユーザー数が増えれば増えるほど顧客対応コストは増大化していくため、より効率的な顧客対応方法の探索も注力してまいります。引き続き顧客満足度の向上を図り、当社サービスのファン化、解約防止に努めつつ、オプションサービスの追加販売に注力してまいります。 ④ 商品力強化について 当社の主力商品である「カイクラ」は、通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能、ビデオ通話機能等、固定電話でのコミュニケーションに対する様々なオプションサービスを提供してまいりました。当事業年度においてはこれに追加して携帯通録機能やメール連携機能を開発、販売開始したことにより、携帯電話やメールでのコミュニケーションも一元管理できるようになり、さらに幅広いコミュニケーションを一元管理することを可能としました。当社は、今後も様々なコミュニケーションを統合・整理するサービスを構築することが当社の競争力の源泉につながると確信しております。そのため、今後は当該サービス・商品の開発に係る投資を積極的に行ってまいります。 ⑤ 組織力強化について 当社は、事業拡大に伴う人員不足を重要な課題としており、継続的な人材採用活動を推進いたしました。この結果、第9期事業年度では25名、第10期事業年度では10名を正社員として採用しました。また、コロナ収束後も引き続き、リモートワーク制度やフレックスタイム制度を実施し、より柔軟な勤務を可能としております。 今後は、社会環境に適応するためにこうした柔軟な勤務体系を維持しつつ、当社で働く社員が一枚岩となるために、更なる雇用環境の整備が必要であると考えております。具体的には、当社のミッション・ビジョン・バリューの浸透、組織構成の再検討、社内教育制度の拡充、人事評価制度の整備・運用、賃金体系構築、社内外に向けたイベント実施等の施策を通じて、組織強化に努めてまいります。 ⑥ 内部管理体制強化について 当社は、順調に業容が拡大している状況のもと、企業としての社会的責任は益々高まっているとの認識を強めています。これまでも経営管理体制を一新し、ガバナンス強化を図ってまいりましたが、コーポレート・ガバナンス強化のための積極的な取り組みは、企業価値向上の近道であると考えております。そのため、引き続きよりよい組織体制の整備及び社内規程・業務マニュアル見直しを推進し、さらなる管理体制強化及び統制強化による事業リスク低減に努めてまいります。 ⑦ 財務基盤強化について 当社は、さらなる事業拡大のために、組織、営業、マーケティング、商品開発等様々な観点から戦略を策定しておりますが、当該戦略を遅滞なく実行するために、安定した財務基盤を確立・維持することが急務であると捉え、第三者割当増資や費用の見直しによる財務基盤強化に努めてまいりました。今後は引き続き、受注数増大のみならず、費用の見直しを定期的に実施するとともに、キャッシュ・フロー経営を推進することで、健全な財務基盤構築に努めてまいります。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社の収益拡大が経営上の最重要課題であり、「カイクラ」の利用契約数の拡大がこれに寄与すると考えております。また、当社の主な収益モデルはサブスクリプション型であるため、毎月継続的に得られる収益も重要視しております。そのため、アクティブユーザー(注)1の会社数及び拠点数、MRR(Monthly Recurring Revenue)(注)2、月次解約率(注)3及びARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価)(注)4を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。 (注)1.アクティブユーザー:獲得したカイクラユーザーのうち、解約によりカイクラを利用しなくなったユーザーを除いたユーザー数2.MRR(Monthly Recurring Revenue):各月の「月額売上」と「従量課金売上」の合計3.月次解約率:当該月に解約したユーザーに関するMRR÷前月末MRR4.ARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価):当該月のMRR÷当該月末のアクティブユーザーの拠点数
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
 当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。 また、当社として必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1)市場環境について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期) 当社は、クラウドサービスである「カイクラ」をSaaS形態によりサービス提供しております。当社が属するクラウドサービス市場におきましては、2022年のクラウドサービス利用企業の割合は72.2%となり(出典:総務省「令和4年通信利用動向調査」)、クラウドサービス利用や投資は継続して拡大基調にあります。しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により同市場の拡大が鈍化、縮小するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)競合他社の動向について(顕在化の可能性 中、影響度 大、発生時期 中長期) 当社は、大手上場企業や中小企業、店舗等に対して、そのオフィスの固定電話着信時に顧客の属性や会話履歴をポップアップすることに加え、これに通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能、メール連携機能や携帯電話でのコミュニケーションを統合・一元管理し、カイクラユーザーとその顧客のコミュニケーションをデータ化するクラウドサービス「カイクラ」を提供しております。「カイクラ」の利用によりカイクラユーザーは、その顧客ニーズの分析、応答品質の向上、リスク管理など顧客対応力を向上することが可能となります。 固定電話でのコミュニケーション支援機能や通話録音機能及び音声テキスト化機能、SMS送信機能、メール連携機能、携帯電話録音機能など「カイクラ」が持つ個々の機能について、競合他社が存在しております。また、さらなる他社の新規参入により競争がより厳しくなる可能性があります。 当社は、技術動向を把握するとともにカイクラユーザーのニーズをくみ取りながらサービス開発を行うとともに、大口ユーザーへはその契約数に応じたボリュームディスカウントなどを行うことで、サービス面及び価格面での優位性を維持する方針です。しかしながら、当社と同様のシステムを提供する競合他社の参入により競争環境が激化し、当社の優位性が失われるような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)技術革新について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期) 当社が事業を展開しているクラウドサービス市場は、技術革新が速く、当社の優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社では、各種イベントやセミナーへの参加、社内の定期的な勉強会等を通じて、技術革新の動向を把握し社内で情報共有するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新に対応できないような場合、または、当社が対応できないような技術革新が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)システム障害について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社が提供する「カイクラ」は、その基盤をインターネット通信網に依存しております。このため、大規模な自然災害やテロ、戦争その他予期せぬ原因によりインターネット通信網が使用できない状態が生じた場合は、サービス提供の継続が困難となります。また、想定を超えるアクセス増加その他予期せぬ事象によるサーバダウンや当社が提供するサービスの予期せぬ不具合の発生等により、サービス提供が停止する可能性があります。このような事態を避けるため、システムやサーバの冗長化、稼働状況の監視やデータのバックアップ体制の整備、品質管理体制の強化等の対策を講じておりますが、将来においてこれらのような事態が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5)特定のサービスへの依存について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社の売上高は、2023年12月期において、「カイクラ」によるものとなっております。当社では「カイクラ」を、より幅広いコミュニケーションを一元管理することでその競争力の維持・強化に努めるとともに、例えば通話録音機能やSMS送信機能など「カイクラ」の個別機能を単体でも販売できるようにし、外部環境の変化に左右されず安定的な収益獲得が継続できるようにすることが重要と考えておりますが、「カイクラ」の売上高が著しく減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)情報セキュリティ及び個人情報等の漏えいについて(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社は、主力サービスである「カイクラ」サービスを提供するにあたり、個人情報その他さまざまな機密情報をカイクラユーザーより受領する場合があります。 当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏えい、改ざんまたは、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、カイクラユーザーまたは顧客からの損害賠償請求や信用失墜等により、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、情報セキュリティに関連する各種規程類を整備するとともに、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止等についてシステム的な対策を講じて情報セキュリティ事故の未然防止に努めております。さらに、従業員に対しては、入社時及び年次で個人情報保護に関する研修を行うとともに、個人情報を取り扱う業務委託先に対しては、当社が預ける個人情報を適切に取り扱っているかどうかの確認を行い、情報管理への意識を高め、内部からの情報漏えいを防いでおります。 また、個人情報保護法への対応を推進し、プライバシーマークを取得して個人情報マネジメントシステムに則り、安全管理に努めております。 (7)法的規制について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社は、基本的な企業活動に関わる法的規制に加え、電気通信事業法、クラウドサービスにおけるセキュリティ、個人情報及びプライバシー保護等の法的規制を受けております。また、「コンプライアンス規程」、「リスク管理規程」、「反社会的勢力対策規程」、「内部者取引防止規程」やその他企業活動に関わる社内の規程やマニュアルを整備・運用することで、法令及び社内規程等の違反に係るリスク軽減を図っております。これら当社に適用される法的規制が改正・厳格化されることにより、サービス提供内容に制約が生じ、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権について(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社が開発するシステムにかかる知的財産権について、第三者の知的財産権に抵触しないよう細心の注意を払っており、これまで第三者から侵害訴訟を提起されたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、当社がそれと認識せずに第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたはサービスの停止等が発生する可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう、必要に応じて弁護士や弁理士などの専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。 (9)アダプターの設置と確保について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社が提供する「カイクラ」は、カイクラユーザーの拠点にアダプターを設置することでサービスの提供が可能となり、収益認識が開始されます。この設置工事が計画どおりに進まないような事態が発生した場合、またはカイクラアダプターが計画どおりに確保できなかった場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、自社において設置工事を行える従業員を確保するとともに、外部の設置工事業者に設置工事を委託できる体制を整えることで、設置工事が遅延するリスクの軽減を図っております。さらに、カイクラアダプターについてはその市場の需給を確認しながら必要十分な量を確保するとともに、次世代アダプターの探索を継続的に行うことで、アダプターが不足するリスクに備えております。 (10)人材の確保と育成について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社サービス提供の継続、発展、成長のためには、高い専門性を備えた人材(事業開発、エンジニア、コーポレート管理等)の採用、育成、維持が重要であると認識しております。当社が必要とする人材の確保が計画どおりに進まずに事業上の制約要因になる場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、今後も事業規模の拡大に応じて、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、インセンティブの付与、労働環境の整備等、従業員の働きがいを向上させる取り組みを強化していく方針であります。 (11)特定人物への依存について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社の代表取締役社長である江尻高宏は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。江尻高宏は、当社サービスの営業戦略及び開発に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行に極めて重要な役割を果たしております。当社では、幹部職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化を図り、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により江尻高宏の業務遂行が困難となった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12)訴訟、係争の可能性について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (13)財務報告に係る内部統制に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社では、内部統制報告制度のもとで、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、整備・運用状況の評価及び改善に取り組んでおります。しかしながら、当社の財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見される可能性は否定できず、将来にわたって常に有効な内部統制を整備及び運用できる保証はありません。さらに、内部統制には本質的に内在する固有の限界があるため、今後当社の財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (14)内部管理体制について(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社の継続的な成長には、倫理観を共有し、適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制を整えることが重要であると認識しております。しかしながら、当社の事業成長に比べて内部管理体制の構築が間に合わない場合、適切な経営管理が行えず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (15)新型コロナウイルス等の感染症の影響について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 短期) 当社では、新型コロナウイルス等の感染症の感染拡大防止を目的とした企業への活動自粛要請によって、一部の営業活動に支障がでる可能性があります。長期の自粛要請が続く場合には、新規営業の遅延や既存のカイクラユーザーの業績不振による解約等、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社内における感染者や重篤者の発生等によって、事業活動の停止を余儀なくされる場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、これらのリスクに対応するため、在宅勤務に対応した業務プロセス、ルールを確立し、事業及び営業活動の継続に取り組んでおります。また、社内における感染予防や拡大防止に対して適切な管理体制の構築に努めております。 (16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、2023年12月末時点における付与数は392,640株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、14.6%となります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 (17)配当政策について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、当社は現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社の事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。 (18)ベンチャーキャピタルの株式保有割合について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 2023年12月末時点における当社の発行済株式総数は2,692,320株であり、このうち1,298,840株(発行済株式総数の48.2%)についてはベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合が保有しております。 一般的に、ベンチャーキャピタルが未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的の一つであり、当社におきましても、上場後にベンチャーキャピタルにより株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需要が悪化し当社の株価が低下する可能性があります。 (19)調達資金の使途について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 当社が2024年3月26日に実施した公募増資による調達資金は、当社サービスを開発するエンジニアや営業人員などの新規採用に伴う人件費、およびカイクラの認知を広げ販売機会を拡大するための広告宣伝活動に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。 また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。 (20)業績に関するリスクについて(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 当社は、当事業年度より当期純利益について黒字を計上しておりますが、前事業年度までの期間においては、売上高及び売上総利益は継続的に増加していたものの、サービスの開発・改良、顧客基盤の拡大を重視し、多額の開発人件費やマーケティング費用を計上し、その結果、営業損失及び当期純損失を計上してまいりました。今後もサービス向上のための開発人件費や顧客基盤拡大のためのマーケティング費用を費消し売上を拡大させていく見込みですが、想定していた効果を上げられない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (21)社歴が浅いことについて(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期) 当社は2014年1月に設立された社歴の浅い会社であります。前事業年度までの期間においては、事業の立ち上げ段階であったことなどから、営業赤字および営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上しておりました。これまでの事業活動の結果、当事業年度において当期純利益の黒字を計上いたしましたが、当社は現在成長過程にあると認識しており、今後も当社の成長のための投資が必要となり、損失を計上する可能性があります。 当該状況についての分析・検討内容及び解消・改善するための対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、当社の属するIT業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社における経営計画の策定には不確定事象を含まざるを得ない状況にあります。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、過年度の経営成績のみでは、今後の当社の業績や成長性を判断するためには不十分である可能性があります。 (22)投融資について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期) 当社は、現在において他社への投融資を行ってはおりません。しかしながら、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。 投資判断においては、当社との事業シナジー、投資先候補企業の事業計画、当社の財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投融資額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断を行う予定です。ただし、実行した投融資について当初想定した効果や収益が得られない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (23)過年度の経営成績及び税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 中長期) 当社は、過年度において当期純損失を計上していたため、当事業年度末において税務上の繰越欠損金が存在しております。一般的には、繰越欠損金を課税所得から控除することにより、税額を減額することができます。しかし、繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、課税所得からの控除が受けられなくなることから、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (24)既存カイクラユーザーの継続維持について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし) 当社は、「カイクラ」をサブスクリプション型で提供しており、カイクラユーザーが継続して「カイクラ」を利用することで月額利用料および従量課金売上が継続的に発生します。そのため、当社の継続的な成長のためには、新規顧客の獲得のみならず、顧客満足度を高めることで既存カイクラユーザーを維持することが重要であると考えております。 既存のカイクラユーザーを維持するため、当社は商品開発に際してカイクラユーザーの要望を取り入れて商品開発を行っております。また、「カイクラ」導入時のオンボーディング活動やユーザーフォローアップなどのサポート活動を充実させることにより継続率の維持・向上を図っております。 また、予算及び中期経営計画は、過去の解約率実績を基に、一定率の解約が発生することを見込んで作成されておりますが、当社サービスの魅力の低下、競争力の強い競合他社の発生、当社サポート活動に対する満足度の低下等により、当社の想定を大幅に超える解約が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (25)固定資産の減損に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社は事務所設備、工具、器具及び備品やソフトウエア等の固定資産を保有しております。これらの固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の兆候が識別され、減損損失を計上すべきと判定された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (26)販売パートナーとの関係に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし) 当社の販売パートナーは、当社に見込み客の紹介を行い、または当社を代理して「カイクラ」の販売を行っております。販売パートナーの事業展開や事業方針の変更などにより当社と販売パートナーとの関係性が大幅に悪化し、当社が想定するような見込み客の紹介や販売代理活動が行われなくなったり、販売パートナーに対する手数料が大幅に値上げするなどの事態が発生した場合には、当社の収益性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、景気の持ち直しが期待された一方で、ウクライナ情勢の長期化や世界的な資源・エネルギー価格の高騰、金利上昇圧力の高まりなど、先行きが不透明な状態が続いております。 このような中、当社が属するクラウドサービス市場は、クラウド技術の発展・普及によって、企業内に情報システムを構築することなくデータの共有や機能の拡張ができるようになったことから、国内でクラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、2022年時点で72.2%(出典:総務省「令和4年通信利用動向調査」)となっており、引き続きクラウドサービスへの投資は拡大基調にあります。さらに、デジタル庁は、各府省庁などが共同利用する「ガバメントクラウド」を整備し、2022年度に利用する対象クラウドサービスとして米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「Amazon Web Services」、米Google(グーグル)の「Google Cloud」、米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft Azure」、米Oracle(オラクル)の「Oracle Cloud Infrastructure」を採択したことを2022年10月に発表しました。このように、わが国では民間だけでなく政府をあげてクラウドサービスを活用する機運が高まっており、今後もこの状況は継続するものと考えられます。 このような状況のもと、当社は、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念とし、これまでクラウドCTIサービスを中小企業、店舗等へ提供してまいりました。現在はさらにサービスを進化させ、コミュニケーションテック企業として、固定電話でのコミュニケーションを支援する機能を通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能、メール連携機能などと結びつけ、カイクラユーザーと顧客の会話をデータ化することで、ユーザーの顧客ニーズの分析、応答品質の向上、リスク管理など顧客対応力向上を可能とする「カイクラ」を展開し、サービスの提供範囲も固定電話でのコミュニケーション支援から、通話録音、SMS、ビデオ通話などのオプションを提供し、かつこれらをクラウドで一元管理するサービスを提供するところまで広げております。 当事業年度においては「カイクラ」の統計情報を拡充し、会話データを統計処理して可視化することで、取引先とのコミュニケーションや現場での電話業務の稼働状況をより効率的に管理できるような機能を提供しました。また、「カイクラGPT要約機能」をリリースし、「カイクラ」に録音された会話について内容を要約するとともに、会話に対しての感情のラベリングを行えるような機能を提供いたしました。これにより、カイクラユーザーは、顧客コミュニケーションの改善や顧客対応満足度の向上、クレーム対応の見直しなどをより容易に行えるようになりました。 さらに、前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する営業や通話録音オプションの販売に注力したこと等により、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,602社(前事業年度末比9.6%増)、拠点数は4,508拠点(前事業年度末比20.1%増)となりました。 以上の結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高1,040,169千円(前事業年度比35.4%増)、営業利益101,364千円(前事業年度は150,966千円の営業損失)、経常利益98,057千円(前事業年度は150,836千円の経常損失)、当期純利益は108,902千円(前事業年度は136,124千円の当期純損失)となりました。 なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ② 財政状態の状況(資産) 当事業年度末における流動資産合計は439,380千円となり、前事業年度末に比べ106,582千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が101,024千円増加したことなどによるものであります。 当事業年度末における固定資産合計は97,370千円となり、前事業年度末に比べ30,392千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が10,178千円増加、敷金が11,402千円増加、繰延税金資産が12,123千円増加したことなどによるものであります。 この結果、資産合計は536,751千円となり、前事業年度末に比べ136,975千円増加いたしました。 (負債) 当事業年度末における流動負債合計は122,937千円となり、前事業年度末に比べ36,410千円増加いたしました。これは主に、未払消費税等が29,016千円増加、未払金が4,849千円増加、契約負債が3,298千円増加したことによるものであります。 当事業年度末における固定負債合計は21,875千円となり、前事業年度末に比べ8,338千円減少いたしました。これは、長期借入金が8,338千円減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は144,812千円となり、前事業年度末に比べ28,072千円増加いたしました。 (純資産) 当事業年度末における純資産合計は391,938千円となり、前事業年度末に比べ108,902千円増加いたしました。これは、当期純利益108,902千円の計上によるものであります。 この結果、自己資本比率は73.0%(前事業年度末は70.8%)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、319,540千円となり前事業年度末に比べ101,024千円増加いたしました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は、146,663千円(前年同期は185,697千円の支出)となりました。これは主に、売上高の増加に伴い税引前当期純利益98,057千円を計上したこと、減価償却費及びその他の償却費20,111千円が発生したこと、及び未払消費税等の増加額29,016千円などによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果支出した資金は、35,077千円(前年同期は8,917千円の支出)となりました。これは主に、基幹システムの開発に伴いソフトウエア仮勘定が増加した結果発生した無形固定資産の取得による支出11,648千円、及び敷金の差入による支出16,112千円などによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果支出した資金は、10,560千円(前年同期は3,297千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出10,560千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績 当社は、カイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。a.生産実績 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 c.販売実績 当事業年度における販売実績を収益区分別に示すと、次のとおりであります。収益区分当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)前年同期比(%)初期売上151,320126.5月額売上747,481137.9従量課金売上138,927131.2その他2,440272.2合計1,040,169135.4 (注) 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高) 前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する営業や通話録音オプションの販売に注力いたしました。これにより、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,602社(前事業年度末比9.6%増)、拠点数は4,508拠点(前事業年度末比20.1%増)となりました。また、ARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価)は17,324円(前事業年度末比6.5%増)となりました。 さらに、獲得したユーザーのオンボーディング活動や、「カイクラ」の追加機能の開発にあたりユーザーの声を反映するなどの取り組みを継続することにより、当事業年度の月次解約率(年度平均)を0.33%(前事業年度は0.28%)とすることができました。 この結果、初期売上は151,320千円(前年同期比26.5%増)と前年同期から増加し、月額売上が747,481千円(前年同期比37.9%増)、従量課金売上が138,927千円(前年同期比31.2%増)と大きく伸長し、当事業年度の売上高は1,040,169千円(前年同期比35.4%増)となりました。 (売上原価、売上総利益) カイクラアダプターの仕入やサーバ利用料などにより、売上原価は172,602千円(前年同期比5.8%増)となりました。アクティブユーザー数、アクティブ拠点数の増加やARPAの向上によりサブスクリプション収入が増加したため、売上総利益率が83.4%(前年同期は78.8%)に向上いたしました。この結果、当事業年度の売上総利益は867,566千円(前年同期比43.4%増)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当社の販売費及び一般管理費は、主に人件費、広告宣伝費、その他の経費で構成されております。今後の成長に備えた体制整備に伴い人件費は増加したものの、費用対効果の高い広告宣伝活動に注力し広告宣伝費を削減した結果、当事業年度の販売費及び一般管理費は766,202千円(前年同期比1.3%増)となりました。この結果、当事業年度の営業利益は101,364千円(前年同期は150,966千円の営業損失)となりました。 (営業外収益・営業外費用、経常利益) 還付金収入等の計上により営業外収益は489千円(前年同期比27.3%減)、上場関連費用や支払利息の計上により営業外費用は3,795千円(前年同期比598.4%増)となりました。この結果、当事業年度の経常利益は98,057千円(前年同期は150,836千円の経常損失)となりました。 (特別利益・特別損失、法人税等、当期純利益) 前事業年度に引き続き、特別利益及び特別損失の発生はありません。主に法人税等調整額を12,123千円(前年同期は15,445千円)計上した結果、当事業年度の当期純利益は108,902千円(前年同期は136,124千円の当期純損失)となりました。 ② 財政状態の分析 財政状態の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社の資本の財源及び資金の流動性については、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主への利益還元を考慮し実施していくこととしております。 当社の資金需要の主なものは、主たる事業であるカイクラ事業に係る仕入原価のほか、販売費及び一般管理費の人件費等の事業に係る運転資金であります。 当社は必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しておりますが、安定的な財源確保のため、株式の発行による資金調達を行っております。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営上の重要な契約等 5【経営上の重要な契約等】
 該当事項はありません。
研究開発活動 6【研究開発活動】
 当社は、急速に技術革新が進んでいる社会において、競争優位性を維持するために、継続的な研究・開発が重要であると認識しております。「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げ、人と人のつながりを強くし、あらゆる企業のコミュニケーションエラーを解消することで、ビジネスにおけるあらゆる会話をおもしろくする。そして、顧客も社員も社員の家族もみんな幸せになる、また、毎日が本当に楽しいと思える社会の実現を目指し、「カイクラ」に係る研究・開発を日々積み重ねております。 研究開発体制については、社外アドバイザーと連携を行いながら当社開発部が中心となり、技術革新の最新動向を収集し社内で情報共有するとともに、それに対応した新サービスを研究・開発しております。当社が目指す社会の実現に向け、引き続き研究開発活動に取り組んでまいります。 当事業年度の研究開発活動は、ITに関する技術調査や「カイクラ」の新規オプション開発に取り組んでまいりました。その結果、当事業年度において当社が支出した研究開発費の総額は49,473千円となりました。 なお、当社はカイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 当事業年度において実施した設備投資の総額は20,118千円であります。内容は、主に人員増加に伴うパソコン等の情報機器取得による有形固定資産の取得4,687千円、「カイクラ」の追加開発に係るソフトウエアの取得5,252千円、及び基幹システムの開発によるソフトウエア仮勘定の増加10,178千円であります。 なお、当事業年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。 また、当社はカイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
2023年12月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物附属設備工具、器具及び備品ソフトウエアソフトウエア仮勘定合計本社(東京都千代田区)事務所設備10,2246,0049,41610,17835,82355 (注)1.当社はカイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。2.現在休止中の主要な設備はありません。3.賃借物件は本社を含む各拠点の事務所であり、年間賃借料は23,109千円であります。4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
 当事業年度末現在における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。(1)重要な設備の新設等事業所名(所在地)設備の内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定年月完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了本社(東京都千代田区)基幹システム517自己資金2023.82025.1(注)2本社(東京都千代田区)本社ビルに係る設備造作68-自己資金2024.22024.3(注)2 (注)1.当社はカイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。2.完成後の増加能力については計数的把握が困難であるため、記載を省略しております。 (2)重要な設備の除却等 特に記載すべき事項はありません。
研究開発費、研究開発活動49,473,000
設備投資額、設備投資等の概要20,118,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況38
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況3
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況5,815,000

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
 該当事項はありません。

Shareholders

大株主の状況 (6)【大株主の状況】
2023年12月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
江尻 高宏東京都文京区530,48019.70
DCIベンチャー成長支援投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内一丁目9番1号515,68019.15
株式会社ナンディ東京都文京区小日向一丁目23番24号280,00010.40
SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合東京都港区六本木一丁目6番1号250,0009.29
東京神奈川イノベーション応援1号投資事業有限責任組合東京都中央区日本橋室町一丁目10番10号139,4005.18
リード・グロース3号投資事業有限責任組合神奈川県横浜市港北区新横浜2丁目14番8号136,0005.05
NVCC8号投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内二丁目4番1号116,0004.31
スターティアレイズ株式会社東京都新宿区西新宿二丁目3番1号104,0003.86
株式会社J.C.O.S東京都港区赤坂八丁目10番22号100,0003.71
河邉 幸夫東京都大田区52,2001.94計-2,223,76082.60
株主数-個人その他15
株主数-その他の法人24
株主数-計39
氏名又は名称、大株主の状況河邉 幸夫
株主総会決議による取得の状況 (1)【株主総会決議による取得の状況】
 該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価格の総額(千円)当事業年度における取得自己株式A種優先株式   5,527B種優先株式   3,461C種優先株式  21,742D種優先株式   7,844-当期間における取得自己株式-- (注)1.A種優先株主の全員から株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年8月14日付でその全てのA種優先株式を自己株式として取得し、対価としてA種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2023年8月17日開催の取締役会決議に基づき、当該A種優先株式の全てを消却しております。2.B種優先株主の全員から株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年8月14日付でその全てのB種優先株式を自己株式として取得し、対価としてB種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2023年8月17日開催の取締役会決議に基づき、当該B種優先株式の全てを消却しております。3.C種優先株主の全員から株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年8月14日付でその全てのC種優先株式を自己株式として取得し、対価としてC種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2023年8月17日開催の取締役会決議に基づき、当該C種優先株式の全てを消却しております。4.D種優先株主の全員から株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年8月14日付でその全てのD種優先株式を自己株式として取得し、対価としてD種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2023年8月17日開催の取締役会決議に基づき、当該D種優先株式の全てを消却しております。

Shareholders2

発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式に関する事項 当事業年度期首株式数(株)当事業年度増加株式数(株)当事業年度減少株式数(株)当事業年度末株式数(株)発行済株式 普通株式28,7342,663,586-2,692,320A種優先株式5,527-5,527-B種優先株式3,461-3,461-C種優先株式21,742-21,742-D種優先株式7,844-7,844-合計67,3082,663,58638,5742,692,320(変動事由の概要)(1) 普通株式の増加数の内容は、次のとおりであります。種類株式から普通株式への転換による増加 38,574株株式分割による増加 2,625,012株
(2) A種優先株式の減少数の内容は、次のとおりであります。種類株式から普通株式への転換による減少 5,527株(3) B種優先株式の減少数の内容は、次のとおりであります。種類株式から普通株式への転換による減少 3,461株(4) C種優先株式の減少数の内容は、次のとおりであります。種類株式から普通株式への転換による減少 21,742株(5) D種優先株式の減少数の内容は、次のとおりであります。種類株式から普通株式への転換による減少 7,844株 2.自己株式に関する事項 当事業年度期首株式数(株)当事業年度増加株式数(株)当事業年度減少株式数(株)当事業年度末株式数(株)A種優先株式-5,5275,527-B種優先株式-3,4613,461-C種優先株式-21,74221,742-D種優先株式-7,8447,844-合計-38,57438,574-(変動事由の概要)(1) 優先株式の増加数の内容は、次のとおりであります。優先株式の取得による増加 38,574株
(2) 優先株式の減少数の内容は、次のとおりであります。種類株式の消却による減少 38,574株

Audit1

監査法人1、個別太陽有限責任監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書 2024年3月29日株式会社シンカ 取締役会 御中 太陽有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中野 秀俊  印 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中瀬 朋子  印 監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社シンカの2023年1月1日から2023年12月31日までの第10期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社シンカの2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項 注記事項(重要な後発事象)に記載されているとおり、会社は2024年2月21日及び2024年3月8日開催の取締役会において公募による新株式の発行を決議し、2024年3月26日に払込が完了した。 また、同取締役会において、オーバーアロットメントによる売出しに関連して、第三者割当増資による新株式の発行を決議している。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、当事業年度の貸借対照表において、繰延税金資産を27,568千円計上している。このうち、注記事項(税効果会計関係)に記載されているとおり、税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産が22,902千円含まれている。 また、注記事項(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、会社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングにより繰延税金資産の回収可能性を判断している。 課税所得の見積りは、将来の見通しを考慮した中期経営計画を基礎としており、その主要な仮定は、獲得ユーザー数、売上単価及び月次解約率の予測に基づく売上高の見込みである。この仮定には経営者の判断が伴うため、見積りの不確実性が高い。 以上のことから、当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。・ 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づく企業分類の妥当性について、過去の税務上の欠損金の発生状況及び翌期の一時差異等加減算前課税所得の見積りに照らして検討した。・ 前事業年度の繰延税金資産の回収可能性の判断に用いた当事業年度の一時差異等加減算前課税所得の見積りと実績を比較することにより、見積りの不確実性を検討した。・ 将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消見込年度のスケジューリングの妥当性について、経営者へ質問するとともに関連証憑を閲覧することによって検討した。・ 将来の課税所得の見積りの基礎となった中期経営計画が取締役会において適切に承認されていることを確かめた。・ 中期経営計画に含まれる主要な仮定の合理性を評価するため、獲得ユーザー数、売上単価及び月次解約率の予測に基づく売上高の見込みについて、経営者に質問するとともに、過去実績からの趨勢分析を実施した。また、会社の主要製品の市場占有率を踏まえた拡販施策の内容を把握し、中期経営計画に適切に反映されていることを確かめた。・ 増資の実行可能性を評価するため、取締役会議事録を閲覧するとともに経営者と協議した。そのうえで、税務上の中小法人に該当しなくなると見込まれる時期を踏まえ、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金が将来解消されると予想される時点の税率を用いて繰延税金資産が算定されていることを確かめた。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上  (注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、当事業年度の貸借対照表において、繰延税金資産を27,568千円計上している。このうち、注記事項(税効果会計関係)に記載されているとおり、税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産が22,902千円含まれている。 また、注記事項(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、会社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングにより繰延税金資産の回収可能性を判断している。 課税所得の見積りは、将来の見通しを考慮した中期経営計画を基礎としており、その主要な仮定は、獲得ユーザー数、売上単価及び月次解約率の予測に基づく売上高の見込みである。この仮定には経営者の判断が伴うため、見積りの不確実性が高い。 以上のことから、当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。・ 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づく企業分類の妥当性について、過去の税務上の欠損金の発生状況及び翌期の一時差異等加減算前課税所得の見積りに照らして検討した。・ 前事業年度の繰延税金資産の回収可能性の判断に用いた当事業年度の一時差異等加減算前課税所得の見積りと実績を比較することにより、見積りの不確実性を検討した。・ 将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消見込年度のスケジューリングの妥当性について、経営者へ質問するとともに関連証憑を閲覧することによって検討した。・ 将来の課税所得の見積りの基礎となった中期経営計画が取締役会において適切に承認されていることを確かめた。・ 中期経営計画に含まれる主要な仮定の合理性を評価するため、獲得ユーザー数、売上単価及び月次解約率の予測に基づく売上高の見込みについて、経営者に質問するとともに、過去実績からの趨勢分析を実施した。また、会社の主要製品の市場占有率を踏まえた拡販施策の内容を把握し、中期経営計画に適切に反映されていることを確かめた。・ 増資の実行可能性を評価するため、取締役会議事録を閲覧するとともに経営者と協議した。そのうえで、税務上の中小法人に該当しなくなると見込まれる時期を踏まえ、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金が将来解消されると予想される時点の税率を用いて繰延税金資産が算定されていることを確かめた。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別  監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性
その他の記載内容、個別 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

BS資産

有形固定資産16,228,000
ソフトウエア9,416,000
無形固定資産19,594,000
長期前払費用2,521,000
繰延税金資産27,568,000
投資その他の資産61,547,000

BS負債、資本

1年内返済予定の長期借入金2,100,000
未払金33,558,000
未払法人税等1,278,000
未払費用10,687,000
資本剰余金412,625,000
利益剰余金-119,686,000
負債純資産536,751,000

PL

売上原価172,602,000
販売費及び一般管理費766,202,000
受取利息、営業外収益2,000
受取配当金、営業外収益0
営業外収益489,000
支払利息、営業外費用421,000
その他、流動資産2,548,000
営業外費用3,795,000
法人税、住民税及び事業税1,278,000
法人税等調整額-12,123,000
法人税等-10,844,000

PL2

当期変動額合計108,902,000

FS_ALL

現金及び現金同等物の残高319,540,000
減価償却累計額、有形固定資産、一括控除-23,053,000
売掛金61,226,000
契約負債14,573,000
広告宣伝費、販売費及び一般管理費61,926,000
減価償却費、販売費及び一般管理費13,563,000
現金及び現金同等物の増減額101,024,000
株主資本391,938,000
研究開発費、販売費及び一般管理費49,473,000

営業活動によるキャッシュ・フロー

受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー-2,000
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー421,000
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー-6,665,000
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー-1,290,000
未払消費税等の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー29,016,000
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー2,023,000
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー147,815,000
利息及び配当金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は投資活動によるキャッシュ・フロー2,000
利息の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は財務活動によるキャッシュ・フロー-421,000

財務活動によるキャッシュ・フロー

長期借入金の返済による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-10,560,000

投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出、投資活動によるキャッシュ・フロー-5,168,000

概要や注記

連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 当社は、財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。具体的には会計基準等の内容を適切に把握できる体制を整備するため、社内規程やマニュアルの整備を行うとともに、セミナーへの参加や参考図書によって情報収集を行っております。また、監査法人と緊密に連携し、情報収集を行うとともに、監査法人等各種団体の主催する会計関連セミナーへの積極的な参加や、経営財務等の専門書の購読等により、会計基準の変更等について適切かつ的確に対応しております。
主要な販売費及び一般管理費 ※2 販売費に属する費用のおおよその割合は前事業年度49.6%、当事業年度45.9%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は前事業年度50.4%、当事業年度54.1%であります。 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)給与手当196,370千円228,893千円広告宣伝費114,82261,926減価償却費7,41913,563貸倒引当金繰入額44237販売手数料78,07094,889