財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-29
英訳名、表紙Noile-Immune Biotech Inc.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長 玉田 耕治
本店の所在の場所、表紙東京都港区芝大門二丁目12番10号
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-5843-7819
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
2015年4月東京都中央区において国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)及び国立大学法人山口大学(以下、山口大学)発のベンチャー企業として設立2015年9月山口大学とCAR-T細胞療法に関する共同研究契約を締結2015年9月国立がん研究センターとCAR-T細胞療法に関する共同研究契約を締結2015年10月山口大学より次世代型CAR-T細胞プラットフォーム技術に関する第三者へのサブライセンス権付き独占実施許諾を取得2017年8月武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)(※1)と共同研究開発に関する提携2018年12月武田薬品とNIB102及びNIB103導出に関するライセンス契約を締結2019年3月東京都港区に本店移転2019年8月Adaptimmune Therapeutics plc(※2)と共同開発に関する契約を締結2019年11月Autolus Therapeutics plc(※3)とライセンス契約を締結2020年7月武田薬品がNIB102の第Ⅰ相臨床試験を開始2021年12月武田薬品がNIB103の第I相臨床試験を開始2022年1月自社パイプラインNIB101の第I相臨床試験を開始2022年8月中外製薬株式会社(以下、中外製薬)とPRIME技術に関するライセンス契約を締結2023年6月東京証券取引所グロース市場に株式を上場※1 武田薬品とは、同社の100%子会社であるMillennium Pharmaceuticals, Inc.を通じ契約しておりました。※2 Adaptimmune Therapeutics plcとは、同社の100%子会社であるAdaptimmune Limitedを通じ契約しております。※3 Autolus Therapeutics plcとは、同社の100%子会社であるAutolus Limitedを通じ契約しております。
事業の内容 3【事業の内容】
 当社は、「Create the Future to Overcome Cancer」「がんを克服できる社会の創生に貢献する」という理念の下、独自技術を活用した固形がん(※1)に対するCAR-T細胞療法(※2)の開発を主たる事業領域として事業を展開しております。  固形がんに対する安全かつ有効な治療薬の開発は世界的に求められている課題であり、高いニーズがあります。当社は、山口大学及び同大学の技術移転機関である有限会社山口ティー・エル・オー(以下、山口TLO)から独占的に導入したPRIME技術(※3)を応用したCAR-T細胞という最新のがん免疫療法を介してこの課題を克服することを目指し、事業を展開しております。PRIME技術は、投与するCAR-T細胞のみならず「患者」の体内の免疫細胞を活性化することで優れたがん治療効果を期待することができ、がん免疫応答を利用する多様な細胞医薬品や遺伝子治療を含めた幅広い再生医療の分野に応用できる可能性を有するプラットフォーム技術であります。当社は、プラットフォーム技術であるPRIME技術に固形がんが発現する様々な抗原を標的とした治療技術を組み合わせることにより、固形がんの治療を目的とした様々な遺伝子改変免疫細胞療法を開発しております。 当社は、自社が主導して創生する「自社創薬」に加えて、PRIME技術を他社にライセンスして医薬品開発を進める「共同パイプライン」の2つの事業モデルを有するハイブリッドビジネスモデルを構築しております。これら事業展開により、PRIME技術の市場への展開や周知を加速化して早期の収益確保を図ると同時に、長期的には自社創薬により大型の販売収益を確保することにより、事業全体のリスク分散とサステナブルな成長を目指しております。 なお、当社はがん免疫療法創薬事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の情報は記載を省略しております。 (1)当社の事業領域 日本国内において、がんの死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因として男女ともに増加し続けており、2021年のがん死亡数は38万人以上、2019年のがん罹患数は99万人以上と報告されております(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録))。日本人が生涯でがんに罹患する確率は、2019年データにおいて、男性で65%、女性で51%とされており(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(累積罹患リスク(グラフデータベース)))、また、各がん腫の5年生存率は、特にステージの進んだがんにおいて依然として低く、がんに対する効果的な治療法の開発や普及は極めて重要な社会的課題と言えます。これまで以上に有効性の高い革新的がん治療法の登場は日本のみならず、世界中で強く期待されております。医薬品事業の観点においても、がん領域は極めて大きな市場であり、多くのUnmet medical needs(※4)が存在します。 従来、がんに対する治療法は外科療法、化学療法(抗がん剤)、放射線療法が主な方法でしたが、近年、免疫の力を利用してがんを攻撃する「がん免疫療法」が確立されてきました。本来、免疫システムはウイルスや細菌など、自分自身以外の異物を認識し、排除する働きを有しており、がん細胞を認識し排除する能力もあることが知られております。この能力を回復させたり、増強させたりすることでがんの治療を目指す創薬技術が「がん免疫療法」です。特に、2018年のノーベル生理学・医学賞の受賞により注目を浴びた免疫チェックポイント阻害薬(※5)の開発により、がん免疫療法は大きな発展を遂げております。従来のがん治療法では延命や根治することが難しかった進行がんに対しても免疫チェックポイント阻害薬がある程度の治療効果を発揮することがわかっており、その適応範囲は世界中で拡大しております。2022年の世界の医薬品市場において、がん領域治療薬の売上高トップ2はともに免疫チェックポイント阻害薬であり、その合計売上高は338億ドルと報告されております(出典:IQVIA 世界の医薬品市場データ)。  しかしながら、免疫チェックポイント阻害薬にはまだ多くの課題があります。免疫チェックポイント阻害薬は全てのがんに対して治療効果を発揮できるわけではなく、また治療効果が得られたとしても単剤での有効性は10-30%程度と言われております(出典:Clin Cancer Res. 2020 Sep 15;26 (18): 4842-4851)。免疫チェックポイント阻害薬の効果がみられない「患者」では、がん細胞を攻撃する免疫細胞の能力が十分に回復・増強されていない状況であり、さらに強力で、かつ、免疫チェックポイント阻害薬とは異なる働きでがんを攻撃できるような新たな免疫療法が必要とされており、「CAR-T細胞療法」等にかかる研究開発が拡大しております。 (CAR-T細胞療法について) 免疫チェックポイント阻害薬は「免疫のブレーキを解除する」ことで免疫細胞、特にT細胞(※6)の能力を高めてがん細胞を攻撃する治療法ですが、それとは異なるアプローチとして、遺伝子改変技術(※7)を用いて「T細胞の能力を直接的に増強する」ことでがん細胞を攻撃する方法が「遺伝子改変T細胞療法」です。特に、体外に取り出したT細胞に、がん細胞表面のがん抗原(※8)を認識するCAR(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体)遺伝子を導入することでCAR-T細胞を作製し、当該CAR-T細胞を大量に増やしてから「患者」に投与する「CAR-T細胞療法」が高い注目を集めております(図1)。CARは、がん細胞を認識する抗体由来の部分と、T細胞の強い活性化を誘導するシグナル伝達部分、及びこの両者をつなぐ部分からなる人工的受容体(※9)で、CAR-T細胞は、がん細胞を見つけると強く活性化し、がん細胞を攻撃する一方で、がん抗原を持っていない正常細胞は攻撃しない、という特徴を有しております。 図1. CAR-T細胞療法のしくみ体外に取り出したT細胞にCAR遺伝子を導入したうえで培養し、大量のCAR-T細胞を作製して投与します。CAR遺伝子はがんを認識する細胞外の抗体部分とT細胞のがん攻撃能力を高めるための細胞内シグナル部分から構成されます。 (通常型CAR-T細胞療法の課題)CAR-T細胞療法は、血液がん(※10)に対して非常に高い有効性が実証されており、日本を含めた複数の国で既に医薬品として承認され、従来の治療法では効果のない「患者」に対して高い治療効果を示しております。しかしながら、血液がん以外の固形がんに対しては未だ有効性は示せておらず、さらに技術改良を進めた次世代型CAR-T細胞の技術開発及び臨床応用が急務とされております。CAR-T細胞が血液がんに対して有効である一方、固形がんには効果を発揮しにくい原因として、塊を作らずに血管内やリンパ管内で増えていく血液がんではCAR-T細胞が一対一でがん細胞を攻撃できるのに対し、固形がんは塊として臓器の中でがん細胞が増えていくため、がん組織の内部にまでCAR-T細胞が到達することが難しい、ということが考えられます(図2)。また、血液がんはCAR-T細胞の標的となるがん抗原を均一に持っておりますが、固形がんではがん抗原が不均一にしか出ておらず、CAR-T細胞のみで全てのがん細胞を攻撃するのが難しい、という原因が知られております。固形がんは全てのがんの約9割を占めており(出典:WHO Cancer Tomorrow)、固形がんに対して有効性を発揮しうる技術を有する次世代型CAR-T細胞療法が開発されれば、がん治療薬市場に大きな影響を与えるものと考えられます。なお、近時、CAR-T細胞療法が固形がんに対して一定の有効性及び安全性を示す研究結果も示されており(Claudin 18.2標的CAR-T細胞に関する第I相臨床試験の中間結果。Nature Medicine volume 28, pages1189–1198 (2022) )、固形がんの治療に対するCAR-T細胞療法の可能性を示していると考えております。 図2. CAR-T細胞療法によるがん治療効果現在使われている通常のCAR-T細胞療法は、血液がんに対しては優れた有効性を発揮する一方、がんの約9割を占める固形がんに対しては有効性が弱く、新たな技術開発が求められております。 (2)PRIME CAR-T細胞療法 当社は、固形がんに対して効果を発揮する次世代型CAR-T細胞を創薬するために、当社代表取締役であり山口大学教授の玉田らが開発した「PRIME技術」を応用しております。PRIME技術とは、免疫細胞の活性化や集積を誘導するサイトカイン(※11)やケモカイン(※12)を産生するようにCAR-T細胞などの免疫細胞に更なる遺伝子改変を加えた技術であり、当社はPRIME技術を搭載したCAR-T細胞療法を「PRIME CAR-T細胞療法」と称しております。当社では、インターロイキン7(IL-7: interleukin-7)というサイトカインとchemokine (C-C motif) ligand 19(CCL19)というケモカインを同時に産生するPRIME CAR-T細胞を複数開発しており、これまでの様々な動物実験において、固形がんに対して従来のCAR-T細胞と比べて高い効果を発揮することが示されております。これらのデータは玉田らのグループによりNature Biotechnology誌で発表されました。 PRIME CAR-T細胞では固形がんの局所でCAR-T細胞自身がIL-7とCCL19を産生するように遺伝子改変しております(図3)。CCL19はT細胞や抗原提示細胞(※13)である樹状細胞(※14)のがん局所への集積やがん組織内への浸潤を促進する働きがあります。また、IL-7は集積したCAR-T細胞やT細胞の活性化や増殖を誘導すると同時に、その寿命を長くすることが知られております。この際、PRIME CAR-T細胞から産生されるIL-7とCCL19は他のPRIME CAR-T細胞のみならず、体内のT細胞や樹状細胞も固形がんの組織内に浸潤させる機能を有しております。 図3. PRIME CAR-T細胞療法によるがん治療PRIME CAR-T細胞では通常のCAR遺伝子に加えて、IL-7とCCL19が搭載されており、免疫細胞を固形がんの内部に呼び寄せ、さらに増殖させて寿命を延ばすことで固形がんに対して治療効果を誘導します。 集積した樹状細胞は、PRIME CAR-T細胞によって破壊されたがん細胞から様々ながん抗原を取り込み、体内のT細胞にがん抗原を提示してT細胞の活性化を誘導します。このような現象をエピトープスプレッディング(エピトープ拡大)(※15)と呼び、一種類ではなく様々ながん抗原を出す固形がんに対して免疫療法の効果を誘導するために極めて重要なステップと考えられております。また、IL-7はメモリーT細胞(※16)の生存を維持する働きがあることから、PRIME CAR-T細胞療法では通常のCAR-T細胞療法と比べて長期間、治療効果が持続することが期待されます。このように、当社の技術は免疫細胞の集積や浸潤を増強し、増殖を誘導することからPRIME(Proliferation-inducing and migration-enhancing)技術と称しております(図4)。 図4. PRIME CAR-T細胞による固形がんへのアプローチPRIME CAR-T細胞ががん細胞を攻撃することにより、CARの標的とは異なる様々ながん抗原が放出され、CCL19とIL-7に反応して固形がんの内部に呼び寄せられて増殖した免疫細胞は、これらの様々ながん抗原を認識してがん細胞を攻撃することで、CAR-Tの標的を持たない固形がんに対しても治療効果を発揮できます。 (3)PRIME CAR-T細胞療法の非臨床研究データ 玉田らのグループが発表した研究では、PRIME CAR-T細胞を刺激するとPRIME CAR-T細胞からCCL19の分泌が促進され、ナイーブT細胞(※17)や樹状細胞(※18)の遊走(※19)が増加することを、培養容器の空間を2つに仕切り細胞が移動できるトランスウェル®(※20)という研究手法を用いて確認しました。ナイーブT細胞や樹状細胞と、通常のCAR-T細胞やPRIME CAR-T細胞を分離し、通常のCAR-T細胞やPRIME CAR-T細胞を抗CD3抗体(※21)やPRIME CAR-T細胞の標的抗原で刺激したところ、PRIME CAR-T細胞の場合には、通常のCAR-T細胞と比べて、遊走してくるナイーブT細胞や樹状細胞の数が多いことが示されました(図5)。 図5. CCL19の効果を確認する細胞遊走試験CCL19を産生するPRIME CAR-T細胞は、ナイーブT細胞や樹状細胞の集積機能が通常のCAR-T細胞よりも増強していることが確認できました。P値は統計学的な有意性を示し、P値が低いほど有意性が高く、0.05未満を有意差ありとしています。  また、IL-7を産生するPRIME CAR-T細胞は、通常のCAR-T細胞と比較して、細胞分裂回数、生細胞数、生存率が高い傾向にあることが示されました。細胞の分裂をモニターするために用いられる色素であるCyoTell™ BlueでPRIME CAR-T細胞もしくは通常のCAR-T細胞を染色し、標的抗原にて刺激したところ、1週間の経過で、PRIME CAR-T細胞は通常のCAR-T細胞と比較して、細胞分裂が多いだけでなく、生存率が高いことがわかりました。(図6)。 図6. IL-7の効果を確認する細胞分裂試験及び生細胞数の確認試験IL-7を産生するPRIME CAR-T細胞は細胞分裂や生細胞数、生存率が通常のCAR-T細胞よりも増強していることが確認できました。  現在当社が開発しているPRIME CAR-T細胞パイプラインは、サイトカインとケモカインの組み合わせとしてIL-7とCCL19を利用しております。この組み合わせは決して無作為に選択されたものではありません。ヒトの正常なリンパ組織(※22)には多くのT細胞が集積したT細胞領域と呼ばれる部分があり、その部分の形成にはIL-7とCCL19が重要な働きをしていることが知られております。当社の開発しているPRIME技術は生体内で認められるIL-7とCCL19の生理学的機能を応用して固形がんの組織内にT細胞を集積させる、言い換えれば、生物の進化の過程でT細胞領域形成のために選択されたIL-7とCCL19という生理的な組み合わせを、遺伝子改変という科学技術を用いてCAR-T細胞に搭載し、がん治療のために応用したユニークな技術です。これは、単にCAR-T細胞の活性化や増殖を誘導するためのサイトカインを搭載した他のCAR-T細胞技術とは大きくコンセプトが異なります。 マウス実験モデルにおいて、CARターゲットのCD20(※23)を発現している肥満細胞腫(※24)であるP815-CD20(※25)を皮下接種して固形がんを形成させた後、無治療群、通常のCAR-T細胞療法群、IL-7のみを産生する細胞を用いたCAR-T細胞療法群、CCL19のみを産生する細胞を用いたCAR-T細胞療法群、PRIME CAR-T細胞療法群の5つの治療群にて、マウスの生存を観察しました。その結果、最初の4つの処理群ではマウスの長期生存は観察されなかった一方で、PRIME CAR-T細胞処理群における全てのマウスが観察期間の最後まで生存することが確認されました(図7)。 図7. マウス実験モデルでのPRIME CAR-T細胞の固形がん治療効果IL-7とCCL19の両方を産生するPRIME CAR-T細胞は通常のCAR-T細胞に比べて優れたがん治療効果を発揮する一方、IL-7のみ、又はCCL19のみを産生するCAR-T細胞ではがん治療効果の増強は認められませんでした。  さらに、PRIME CAR-T細胞療法がどのようなメカニズムで固形がんに対する優れた治療効果を発揮しているのかを調べるために、マウスに投与したCAR-T細胞の体内動態を観察できるシステムを利用して検討したところ、PRIME CAR-T細胞は固形がんの部分に効率的に集まっていることがわかりました。通常のCAR-T細胞ではこのような現象は認められませんでした。また、PRIME CAR-T細胞はがんの部分にのみ集まっており、それ以外の正常の臓器には集まっていないことも判明し、PRIME CAR-T細胞療法の安全性を示唆するデータも得られております。PRIME CAR-T細胞で治療したマウスのがん組織を顕微鏡レベルで調べてみたところ、非常に多くの免疫細胞が集まっていることが証明されました。さらに、集まっている細胞はPRIME CAR-T細胞のみならず、マウスの体内にもともとあった免疫細胞も含まれていることがわかりました。このような現象は通常のCAR-T細胞療法では認められませんでした(図8)。 図8. PRIME CAR-T細胞の固形がんへの集積PRIME CAR-T細胞は固形がんの部分にのみ選択的に集まっていました。がん組織内部においては、PRIME CAR-T細胞のみならず、もともと体内にあったT細胞も集まっていました。(CD20をターゲットにしたモデルによるデータ) PRIME CAR-T細胞の優れた治療効果は、ヒトT細胞から誘導したPRIME CAR-T細胞を用いた実験でも示されております。ヒトの肺がん細胞株を皮下接種した免疫不全マウス(※26)にヒトT細胞から作製したPRIME CAR-T細胞を投与したところ、がん細胞の増殖は顕著に抑えられることが判明しました(図9)。このような効果はCARを遺伝子導入していないヒトT細胞や通常のCARを遺伝子導入したヒトT細胞では認められませんでした。このように、IL-7とCCL19の組み合わせにより固形がんに対して強力な治療効果を発揮するPRIME CAR-T技術はヒトT細胞の場合でも優れた治療効果が認められました。 図9. ヒトT細胞から作製したPRIME CAR-T細胞によるがん治療効果ヒト肺がん細胞を接種した免疫不全マウスに、ヒトT細胞から作製したPRIME CAR-T細胞を投与したところ、腫瘍増殖が顕著に抑制されることが判明しました。腫瘍接種後46日目のマウスの写真(右)において、PRIME CAR-T細胞治療では腫瘍が消失していることが認められます。(GM2をターゲットにしたモデルによるデータ) (4)PRIME CAR-T細胞療法の臨床試験データ 武田薬品は、第37回米国がん免疫学会総会(Society for Immunotherapy of Cancers : SITC) において、NIB102 (TAK-102)の第Ⅰ相臨床試験に関する中間結果を発表しました。標準治療に不耐又は不応のグリピカン3(GPC3)発現固形がん患者を対象とした第Ⅰ相臨床試験の予備的データでは、NIB102 (TAK-102)を投与された4名の患者において、用量制限毒性(※27)やサイトカイン放出症候群(※28)、神経毒性(※29)などの有害事象は1例も認められませんでした。また、投与患者のうち2例はSD(Stable Disease)(※30)を達成しました。NIB102 (TAK-102)は、低用量レベルにおいて、好ましい細胞動態を示しており、細胞増加と持続性において用量依存的な増大を示しました(図10)。SDを呈した患者とPD(Progressive Disease)(※31)を呈した患者を比較した場合、AFP(Alpha Fetoprotein)(※32)やLDH(Lactate Dehydrogenase)(※33)といった関連する疾患バイオマーカー(※34)において、NIB102 (TAK-102)の末梢細胞動態や腫瘍微小環境プロファイルと相関性のある好ましい変動が認められました。 図10. NIB102 (TAK-102)の第Ⅰ相臨床試験に関する中間結果NIB102 (TAK-102)の細胞動態及びその腫瘍マーカーとの関連性、がん組織内における免疫応答の誘導について解析が行われました。NIB102 (TAK-102)の投与に伴い、血中のCAR-Tコピー数の増加が認められました(左上図)。また、患者C1-03においては、CAR-T細胞の増加に伴い、がんの疾患マーカーであるAFP及びLDHの一時的な低下を認め(左下図)、治療後に生検した腫瘍組織において免疫細胞の浸潤が増加している部分が認められました(右図)。 (5)PRIME技術の拡張性と応用性 PRIME技術の根幹は、免疫細胞の集積や浸潤、増殖などを誘導するサイトカインやケモカインをCAR-T細胞に産生させることで、CAR-T細胞自体のがん攻撃能力を高めるのみならず、「患者」自身の免疫細胞を活性化し、固形がんに対する多様な攻撃を介して長期の治療効果を誘導することです。従って、PRIME技術の適応はCARの認識する標的分子(※35)の種類に依存しません。つまり、標的分子の数に応じてPRIME技術が拡張する可能性がある、ということです。 (PRIME技術と免疫チェックポイント阻害薬との併用効果)当社は、免疫チェックポイント阻害薬とPRIME CAR-T細胞の併用についても検討しています。山口大学との共同研究で行ったマウス実験では、マウスにがん細胞を皮下接種して固形がんを形成させた後、PRIME CAR-T細胞とPD-1シグナル(※36)を遮断するPD-1抗体(※37)の両方を投与したところ、PRIME CAR-TとPD-1抗体との組み合せにおいて、それぞれの単独や、通常型CAR-TとPD-1抗体との組み合せに比較して、より強力な腫瘍治療効果が認められました(図11)。 図11. PRIME CAR-T細胞と免疫チェックポイント阻害薬との併用効果CAR-T細胞の投与量を少なくし、PRIME CAR-T単独では治療効果が出にくい条件におけるマウスモデルにおいて、PRIME CAR-T細胞とPD-1抗体との組み合せは固形がんに対して優れた治療効果が認められました。 (PRIME技術のTCR-T細胞療法への応用)PRIME技術の適応はCAR-T細胞療法に限定されず、同様の遺伝子改変T細胞療法であるTCR-T細胞療法(※38)にも応用が可能であり、当社においては、既に「共同パイプライン」における契約実績もあります。 山口大学との共同研究で得られたデータでは、PRIME TCR-T細胞が、通常のTCR-T細胞と比較して優れた治療効果を示し、マウスを用いた動物モデルで通常のTCR-T細胞よりも腫瘍の増殖を抑制することが認められました(図12)。図12. PRIME TCR-T細胞によるがん治療効果腫瘍細胞を皮下接種したマウスモデルにおいて、PRIME TCR-T細胞の投与は通常のTCR-T細胞の投与よりも強力な治療効果が認められました。 (PRIME技術の腫瘍溶解性ウイルスへの応用) さらに、当社のPRIME技術は上述の細胞療法のみならず、腫瘍溶解性ウイルス(※39)などの遺伝子治療を増強するためにも有用であることが期待されます。サイトカインとケモカインの組み合わせを産生する腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍を溶解してエピトープスプレッディングを引き起こし、「患者」自身のT細胞や樹状細胞が集積してPRIME技術特有の効果を発揮することが期待されます。 (PRIME技術の高い拡張性)PRIME技術は、NK細胞(※ 40)やγδ型T細胞(※41)を利用したがん免疫細胞療法、TIL療法(※42)、iPS細胞(※43)を利用したがん免疫療法などにも応用可能と考えております。また、現時点における当社の開発パイプラインはいずれも「患者」自身の免疫細胞から製造する自家(※44)のPRIME CAR-T細胞ですが、健常人の免疫細胞から製造する他家(※45)のCAR-T細胞についてもPRIME技術の応用が可能と考えています。当社は、2020年5月に、ゲノム編集技術(※46)の1つであるCRISPR-CAS3(※47)技術を有するC4U株式会社と、また、2023年2月に、多能性幹細胞から免疫細胞を作製する技術を有するリバーセル株式会社と、共同研究及び事業化に関する提携を行い、それぞれの技術を用いた他家技術の研究開発も進めております。他家によるCAR-T細胞療法が可能となれば、健常な細胞提供者から採取したT細胞を用いて大量に製造したCAR-T製品を保管しておくことで、量産化によるコスト削減効果も期待されます。さらに、当社のPRIME技術はがん「患者」自身の免疫機能を高める効果があるため、通常の他家CAR-T細胞よりも優れた効果を期待することができます。以上のように、PRIME技術はがん免疫応答を利用する多様な細胞医薬品や遺伝子治療を含めた幅広い再生医療の分野に応用できる可能性を有しており、当社はPRIME技術の高い拡張性を活かした事業展開を目指しております(図13)。 図13. PRIME技術の拡張性PRIME技術は様々ながん免疫細胞療法やウイルス療法、抗PD-1抗体との併用など、様々なモダリティに展開することが可能なプラットフォーム技術であり、他社技術との協働により更に多くのアプローチの開発が可能です。  また当社は、PRIME CAR-T細胞療法を多くのがん「患者」に提供するために、澁谷工業株式会社(以下、澁谷工業)と遺伝子改変免疫細胞の自動製造システムに関する共同開発を進めております。当社が培ってきたCAR-T細胞培養のノウハウを応用し、高品質のCAR-T細胞を無菌状態にて効率的に自動培養できるシステムを開発しております。これにより、複雑なCAR-T細胞の製造過程における人的ミスを回避し、大量のCAR-T細胞を連続製造することが可能となり、コストの削減や品質の安定化、迅速な治療薬提供に貢献できると考えております(図14)。 図14. PRIME技術の拡張性PRIME技術は様々ながん免疫細胞療法やウイルス療法、抗PD-1抗体との併用など、様々なモダリティに展開することが可能なプラットフォーム技術であり、他社技術との協働により更に多くのアプローチの開発が可能です。 (6)当社のビジネスモデルについて 当社は、自社研究や大学や研究機関との共同研究、また国内外の企業との共同研究開発を通じて、がん免疫療法に関する技術及びパイプラインの開発を進めております。当該研究開発の結果として生まれた知的財産権は、自社又は共同研究を実施した研究機関との共同で特許を出願しております。それらの知的財産権は、当社の研究開発過程にて医薬品として事業化の可能性を高めた後、国内外の製薬企業に対して特定の標的分子に限定して医薬品の開発、製造、販売の権利等をライセンスします。当社は技術アクセス料、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストン収入、販売額に応じたロイヤリティ、販売経過年数や販売目標の達成に応じたマイルストン収入等を得ることができます。また、このほか、共同研究において研究開発費の負担金の支払いを受けることもあります。 [事業系統図] ①ハイブリッド型ビジネスについて 当社は、CAR-T細胞療法等を主軸にがんの治療法創出の研究・開発を行うがん免疫療法創薬事業の単一セグメントでありますが、開発主導の違いから、「自社創薬」及び「共同パイプライン」の2つの事業モデルを有しております。「自社創薬」においては、当社は、自社が主導して開発を進行しており、また、「共同パイプライン」においては、PRIME技術を他社にライセンスして医薬品開発を進めております。これら事業展開により、共同パイプラインを通じてPRIME技術の市場への展開や周知を加速化して早期の収益確保を図ると同時に、長期的には自社創薬により大型の販売収益を確保することにより、事業経営におけるリスク分散及びサステナブルな事業成長を目指しており、これにより、がん治療市場における競合他社との差別化を図ることができると考えております。 自社創薬共同パイプライン基礎技術基盤当社独自のPRIME技術創薬標的※自社が選定した標的抗原に対してPRIME技術を利用した医薬品開発を行う契約先が選定した標的抗原に対してPRIME技術を利用した医薬品開発を行う開発主導・開発コスト自社(ライセンス後は契約先)契約先収入形態(ライセンス後)・技術アクセス料・共同研究収入・契約一時金・開発マイルストン収入・販売開始年経過マイルストン収入・販売目標達成マイルストン収入・ロイヤリティ ・技術アクセス料・共同研究収入・契約一時金・開発マイルストン収入・販売開始年経過マイルストン収入・販売目標達成マイルストン収入・ロイヤリティ事業の特徴先行投資が多額になり、投資回収期間が長期になるが、収益規模は大型となりやすい先行投資は極めて少なく、早期の収益確保が可能だが、収益規模は中程度契約先事例Millennium Pharmaceuticals, Inc.(武田薬品)(契約解消)・Adaptimmune Therapeutics plc・Autolus Therapeutics plc・中外製薬※創薬標的については、「自社創薬」と「共同パイプライン」で重複しないよう、当社で管理し調整しています。   (a) 「自社創薬」「自社創薬」は、一般的な創薬事業と同様に当社が標的抗原の選定から開発まで手掛ける事業モデルであり、当社が選定した標的抗原に対してPRIME技術を利用したCAR-T等のパイプラインを創製し、当社が研究開発を主導して実施する事業モデルであります。開発パイプラインについて、自社にて薬事承認取得を目指して開発を進め、承認段階又はその中途段階において製薬企業等にライセンスアウトすることにより収益獲得を図っております。当社における研究開発費や人員等の開発コストが大きく、また、複数のパイプラインを同時に展開することが困難でありますが、研究開発の進捗及び開発確度が高まった段階でのライセンスアウトが可能となり、パイプライン当たりの契約総額は比較的大規模となる傾向があります。当社は、自社にて臨床試験を実施し製造販売以降は製薬企業へのライセンスを行うことを基本方針としておりますが(下図自社創薬-モデルC)、ライセンス先となる製薬企業等のニーズや、研究開発状況、想定される開発コスト又は収益規模等の状況に応じてライセンスのタイミングを変更する又は将来的には医薬品の製造販売までを自社にて行う等の選択を戦略的に行う可能性もあります。    (b) 「共同パイプライン」「共同パイプライン」は、PRIME技術を既に標的抗原を有する製薬企業等に対しライセンスする事業モデルであり、契約先が選定し当社と合意した標的抗原に対し、当社のPRIME技術を応用したCAR-T等の遺伝子改変免疫細胞等のパイプラインの研究開発を実施します。早期段階でのPRIME技術のみのライセンスアウトが主体のため、一件当たりの契約総額は自社創薬に比較すると小規模となりますが、当社の開発投資や自社リソース投下は限定的であり、製薬企業のニーズに応じてパイプライン数が積み上がりやすい傾向があります。これにより、ポートフォリオ拡大による競争上の優位性を得ることができ、また、標的抗原の増加によりPRIME技術の対象となり得る患者を拡大することも期待できます。共同パイプラインに関する契約は、標的の選定やPRIME技術を組み合わせるためのCAR-Tなどの創製から開始する場合(下図共同パイプライン-モデルA)や、既にライセンス先が有するパイプラインにPRIME技術を上乗せする場合(下図共同パイプライン-モデルB)があります。なお、自社創薬と共同パイプライン共通して、契約先の希望に応じて、特定の標的抗原決定に先立って技術評価を実施する場合があります(下図共同パイプライン-モデルC:(例:第一三共株式会社))。なお、既に契約を締結している企業以外に、今後の継続的なアライアンス獲得に向け、常時候補企業との協議を実施しております。 ②収入形態について 当社事業展開においては、「自社創薬」及び「共同パイプライン」ともに、契約締結又はライセンスアウト時における「契約一時金」、研究開発進展等の予め契約にて定めたマイルストンの達成時に得られる収入である「マイルストン収入」、医薬品上市後の販売に応じて一定率を受領する「ロイヤリティ」等の収益獲得を基本としておりますが、これら経済条件については個別パイプライン毎にライセンス企業と協議の上で決定されます。 一般的な収入形態の概要は以下のとおりでありますが、各収入について当社が締結する全ての契約に設定されるとは限りません。また、各収入については、会計上の収益認識タイミングとは必ずしも一致するものではありません。 技術アクセス料:PRIME技術の利用及び指導等に対し、契約先から得られる収入で、自社パイプラインや共同パイプラインにおけるPRIME技術に対する技術評価契約や共同研究契約を締結する際に設定します。共同研究収入:共同研究契約やライセンス契約において、PRIME技術を用いた共同研究を実施する際に契約先から得られる収入で、当社の研究実費に基づき設定します。契約一時金:共同研究契約やライセンス契約の契約時に設定し得られる収入で、アップフロント収入と表現することもあります。基本的に自社創薬と共同パイプラインいずれのライセンス契約でも設定します。開発マイルストン収入:ライセンス契約において、臨床試験の開始時や承認時など、契約で定めた開発の進捗に応じて得られる収入で、基本的に自社創薬と共同パイプラインいずれのライセンス契約でも設定します。販売開始年経過マイルストン収入:ライセンス契約にかかる製品が上市された後に、設定した販売期間に達するごとに受領する収入で、自社創薬と共同パイプラインいずれのライセンス契約でも設定する場合があります。販売目標達成マイルストン収入:ライセンス契約にかかる製品が上市された後に、設定した売上目標に達するごとに受領する収入で、自社創薬と共同パイプラインいずれのライセンス契約でも設定する場合があります。ロイヤリティ:ライセンス契約にかかる製品が上市された後に、その売上に応じて設定した一定割合を受領する収入で、基本的に自社創薬と共同パイプラインいずれのライセンス契約でも設定します。 (7)パイプラインについて 当社の開発パイプラインや他社との共同プロジェクトとその進捗状況は以下のとおりです。2023年12月現在、標的抗原又は技術の異なる複数のプロジェクトを進めております。※開発、販売地域はアライアンス先の開発・販売戦略毎に異なります。上記の情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれています。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しとは大きく異なる可能性があります。 NIB101概要固形がんの標的抗原であるGM2に対するPRIME技術を活用した自家CAR-T細胞療法パイプラインです。協和キリン株式会社の協力により、同社で開発された抗GM2抗体由来の配列を利用し、CAR-Tが創製されました。提携状況NIB101については、非臨床試験から臨床試験の段階まで自社で開発を進め、その後適切な段階※で製薬企業にライセンスする方針です。現時点において、商業化に係る権利は全て当社が保有しております。※治験でのデータ取得状況や提携相手との交渉状況によって決まるため具体的なタイミングは未定でありますが、現時点での当社の方針としては、臨床試験における有効性の確認を一つの契機としてライセンスすることを想定しております。開発状況現在、第I相臨床試験を実施中です。治験実施者により公表されている治験の概要は以下の通りです。デザイン非盲検、非ランダム化(※48)対象標準治療に不応又は不適のGM2陽性固形がん患者症例数用量漸増期及び拡大コホート期:約42例(拡大コホート期:10例/がん種、3がん種を予定)治験期間2022年1月―2028年2月(予定)(フォローアップ期間を含む)実施施設国立がん研究センター用法用量単回静脈内投与用量漸増期: CAR陽性生細胞数(※49)として1×107、1×108/1個体(ただし、得られる安全性データ等に基づき、事前に規定した用量より高い、又は低い用量を投与する場合がある)拡大コホート期:用量漸増期で決定した推奨用量主要評価項目安全性及び忍容性副次評価項目有効性、(ORR、DOR、DCR、TTP、PFS、OS)、薬物動態(CARコピー数)、RCR発現率 今後のステップNIB101について、製造委託先における治験製品の製造及び品質試験の、品質管理上の手順等に解決すべき課題が断続的に複数回生じたことを要因とする治験の遅れが発生しており、現在、製造委託先に対する継続的な監視を行うとともに、バックアップとなる製造委託先の検討を進める等、適切な対応を進めております。後述の他のパイプラインの状況を踏まえ、自社開発を優先すべきパイプラインや新たなパートナリングの戦略の検討を早期に進めてまいります。対象となり得る患者について本試験においては、標準治療に不応・不適もしくは不耐であり、GM2の発現が確認された固形がん患者(小細胞肺がん、悪性胸膜中皮腫などを含む)がNIB101の対象となり得ると考えます。ただし、これらの患者全てにPRIME CAR-Tが使用できる訳ではなく、病状や治療期間の問題等から治療を選択しない場合や、設備の問題等により治療を実施できない医療機関で治療を受ける場合等PRIME CAR-Tの使用に適さない場合も含まれます。 NIB102※概要GPC3を標的とする、PRIME技術を活用した当社の自家CAR-T細胞療法パイプラインであり、武田薬品との共同研究開発契約で設定されていたオプション権の行使により、武田薬品に導出されましたが、2023年12月に武田薬品よりライセンス契約を解消し開発と商業化に関する権利を当社へ返還する旨の通知を受け、ライセンス契約を終了します。これにより、今後当社がNIB102の権利を有することになります。開発状況現在、第I相臨床試験を実施中です。治験実施者により公表されている治験の概要は以下の通りです。治験実施者武田薬品デザインオープン、用量漸増対象治療歴のあるグリピカン3(GPC3)発現固形がん患者症例数11例治験期間2020年7月―2026年12月(予定)(フォローアップ期間を含む)実施施設国立がん研究センター、京都大学医学部附属病院用法用量単回静脈内投与CAR陽性生細胞数として1×107, 1×108, 1×109/1個体主要評価項目安全性及び忍容性副次評価項目有効性(ssmRECIST1.1, DOR, DCR, TTP, PFS, OS)薬物動態(CARコピー数)、RCR発現率 今後のステップ現在、同社との間でこれまでに得られたデータの移管等の協議を進めており、データ等の詳細な情報が得られ次第、今後の方針の検討を早期に進めてまいります。対象となり得る患者について標準治療に不応・不適もしくは不耐であり、GPC3の発現が確認された固形がん患者(肝細胞がん、胃がん、肺扁平上皮がんなどを含む)がNIB102の対象となり得ると考えます。ただし、これらの患者全てにPRIME CAR-Tが使用できる訳ではなく、病状や治療期間の問題等から治療を選択しない場合や、設備の問題等により治療を実施できない医療機関で治療を受ける場合等PRIME CAR-Tの使用に適さない場合も含まれます。※契約変更により今後変更になる可能性があります。※2022年11月に開催された第37回米国がん免疫療法学会において、武田薬品よりNIB102の第Ⅰ相臨床試験の中間結果についてポスター発表が行われました。当該ポスター発表において、第Ⅰ相臨床試験の予備的データは、安全性及び細胞動態、薬力学検討にて推奨的な結果を示しております。 NIB103※概要Mesothelin(MSLN)を標的とする、PRIME技術を活用した当社の自家CAR-T細胞療法パイプラインであり、武田薬品へライセンスアウトしましたが、2023年12月に武田薬品よりライセンス契約を解消し開発と商業化に関する権利を当社へ返還する旨の通知を受け、ライセンス契約を終了します。これにより、今後当社がNIB103の権利を有することになります。開発状況現在、第I相臨床試験を実施中です。治験実施者により公表されている治験の概要は以下の通りです。治験実施者武田薬品デザインオープン、用量漸増対象治療歴のあるメソセリン(Mesothelin)発現固形がん患者症例数2例治験期間2021年12月―2027年10月(予定)実施施設国立がん研究センター、兵庫県立医大用法用量単回静脈内投与CAR陽性生細胞数として1×106, 3×106, 1×107, 1×108, 5×108/1個体主要評価項目安全性及び忍容性副次評価項目有効性(RECIST1.1及びiRECISTに基づくORR, DOR, DCR, TTP, PFS, OS)、薬物動態(CARコピー数)、RCR発現率 今後のステップ現在、同社との間でこれまでに得られたデータの移管等の協議を進めており、データ等の詳細な情報が得られ次第、今後の方針の検討を早期に進めてまいります。対象となり得る患者について標準治療に不応・不適もしくは不耐であり、Mesothelinの発現が確認された固形がん患者(トリプルネガティブ乳がん、大腸直腸がん、卵巣がん、膵臓がんなどを含む)がNIB103の対象となり得ると考えます。ただし、これらの患者全てにPRIME CAR-Tが使用できる訳ではなく、病状や治療期間の問題等から治療を選択しない場合や、設備の問題等により治療を実施できない医療機関で治療を受ける場合等PRIME CAR-Tの使用に適さない場合も含まれます。※契約解消により今後変更になる可能性があります。 NIB104概要固形がんの標的抗原に対するPRIME技術を活用した当社の自家CAR-T細胞療法パイプラインです。開発状況第I相臨床試験開始に向けて、基礎研究を実施中です。提携状況NIB104については、非臨床試験の段階まで自社で開発を進め、その後適切な段階で製薬企業にライセンスする方針です。現時点において、商業化に係る権利は全て当社が保有しております。 NIB105概要固形がんの標的抗原に対するPRIME技術を活用した当社の自家のCAR-T細胞療法パイプラインです。開発状況第I相臨床試験開始に向けて、基礎研究を実施中です。提携状況NIB105については、非臨床試験から臨床試験の段階まで自社で開発を進め、その後適切な段階で製薬企業にライセンスする方針です。現時点において、商業化に係る権利は全て当社が保有しております。 ADAP01概要Adaptimmune Therapeutics plcが選定した標的抗原に対する、PRIME技術を活用した自家のTCR-T細胞療法の共同研究開発パイプラインです。開発状況秘密保持契約の該当事項であるため非開示とさせていただきます。提携状況Adaptimmune Therapeutics plcが全世界における独占的ライセンスを有します。契約先から見込める収益について当社は、Adaptimmune Therapeutics plcよりアップフロント及び進捗に応じたマイルストン収入、また、上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取る権利を有しております。 AUTL01概要Autolus Therapeutics plcが選定した標的抗原に対する、PRIME技術を活用した自家のCAR-T細胞療法の共同開発パイプラインです。開発状況秘密保持契約の該当事項であるため非開示とさせていただきます。提携状況Autolus Therapeutics plcが全世界における独占的ライセンスを有します。契約先から見込める収益について当社は、進捗に応じたマイルストン収入、また、上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取る権利を有しております。 CHUG01概要中外製薬株式会社が選定した標的抗原に対する、PRIME技術を活用した自家のCAR-T細胞療法の共同開発パイプラインです。開発状況秘密保持契約の該当事項であるため非開示とさせていただきます。提携状況中外製薬株式会社が全世界における独占的ライセンスを有します。契約先から見込める収益について当社は、進捗に応じたマイルストン収入、また、上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取る権利を有しております。 (8)知的財産権(特許等)について 当社は医薬品の研究開発を行っており、知的財産権は重要な経営資源となります。当社が出願人である又は当社がライセンスを有する登録済もしくは出願中の主な重要特許は次のとおりであります。発明の名称発明の内容出願人出願国特許又は出願番号CAR発現ベクター及びCAR発現T細胞PRIME技術に関する発明山口大学日本米国欧州他 21か国特許第6161098号10,316,1023205720他免疫機能制御因子を発現する免疫担当細胞及び発現ベクターPRIME技術に関する発明山口大学日本米国欧州他 20か国特許第6561372号11,337,99717766732.6他キメラ抗原受容体パイプラインに関する発明当社日本米国欧州他 17か国特許第6761113号16/497,29118774459.4他抗GPC3抗体パイプラインに関する発明当社、山口大学、国立がん研究センター日本米国欧州他 16か国特許第6579640号16/472,35618738824.4他ヒトメソセリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する免疫担当細胞パイプラインに関する発明当社日本米国欧州他 19か国特願2017-24710916/956,85518892953.3他※当社は、日本国内で特許出願を行うとともに、PCT(Patent Cooperation Treaty:特許協力条約)国際出願制度を利用しております。PCT国際出願制度の下では、日本特許庁に対して国際出願を行うことで、その時点で有効な全てのPCT加盟国に対して国内出願を行ったのと同じ扱いを得ることができます。また、PCTに基づき、国際調査又は国際予備審査を受けることで、各国における特許取得の可能性を事前に精査することができ、コストの効率化・適正化に繋がります。 (9)用語説明No.用語解説※1固形がん塊を作って増殖するがんであり、がんの中で血液がん以外のものを指す。患者数では、がん全体の約9割を占める※2CAR-T細胞療法CARは Chimeric Antigen Receptorの略であり、キメラ抗原受容体と訳される。CAR-T細胞療法はCARを発現するように改変されたT細胞を患者に投与することにより難治性のがんを治療する方法※3PRIME技術Proliferation-inducing and migration-enhancing技術の略で、がん免疫細胞療法の効果向上のため、特定のサイトカインとケモカインを免疫細胞に遺伝子導入して発現させる技術であり、当社創業者・代表取締役である玉田耕治らによって開発された技術※4Unmet medical needsいまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのことであり、例として難治性のがんに対する治療法などが代表的※5免疫チェックポイント阻害薬免疫細胞にブレーキ(抑制)をかけることが知られているPD1/PD-L1, CTLA-4/B7 などの免疫チェックポイント分子に対して阻害効果を有する物質であり、がんに対する免疫細胞の働きを亢進させることでがん治療効果を発揮する薬剤※6T細胞血液中に存在する白血球に含まれるリンパ球の一種であり、がんに対する免疫の攻撃において重要な役割を担う。CAR-T細胞製造のもととなる細胞※7遺伝子改変技術細胞の遺伝子を操作して、新たな遺伝子を加えたり、既存の遺伝子を除いたりすることで細胞の機能を調節する技術※8がん抗原がん細胞にのみ発現する分子や、正常細胞と比べてがん細胞で多く発現する分子の総称であり、がん免疫療法の標的となるもので、がんの目印とも言われる分子※9人工的受容体生体が元来持っている分子とは異なり、新しいアミノ酸配列を有する蛋白として人工的に合成された細胞膜表面分子※10血液がん血液細胞が骨髄から分化していく過程のどこかにおいて細胞ががん化することによって生じるがんであり、患者数ではがん全体の約1割を占める※11サイトカイン免疫細胞に対して活性化や抑制、分化などの調節作用を有する物質の総称※12ケモカイン免疫細胞の体内での動きや臓器への浸潤を調節する機能を有する物質の総称※13抗原提示細胞がん抗原をT細胞に提示して、がん細胞に対するT細胞の活性化を誘導する機能を有する免疫細胞のこと※14樹状細胞抗原提示細胞の一種であり、細胞表面に突起を多数有するため、樹状細胞と呼ばれる。抗原提示細胞の中でもT細胞の活性化を誘導する能力が特に高く、がんに対する免疫反応の誘導において重要な役割を有する細胞※15エピトープスプレッディング(エピトープ拡大)がん細胞が死滅した際にがん抗原が細胞外に放出され、それを樹状細胞が取り込んでT細胞に提示することにより、がんに対して攻撃性を有するT細胞が次々と活性化する現象のことであり、固形がんに対する効果的な免疫治療のためには極めて重要とされている現象※16メモリーT細胞活性化したT細胞の一部が生体内で長期間生存し、特定の抗原に対する反応性を保持し続けた状態のT細胞のことで、記憶T細胞とも呼ばれる細胞※17ナイーブT細胞抗原にさらされたことのないT細胞のこと。抗原提示細胞からの抗原刺激を受けることにより、活性化され、機能分化してTh1細胞やTh2細胞などのエフェクターヘルパーT細胞に分化する細胞 No.用語解説※18樹状細胞抗原提示細胞の一種であり、細胞表面に突起を多数有するため、樹状細胞と呼ばれる。抗原提示細胞の中でもT細胞の活性化を誘導する能力が特に高く、がんに対する免疫反応の誘導において重要な役割を有する細胞※19遊走細胞などが個体内のある位置から別の位置に移動すること※20トランスウェルボイデン・チャンバーとも呼称される。細胞遊走を定量化する簡易測定において使用される細胞培養容器※21抗CD3抗体T細胞に発現するCD3分子に結合して刺激し、活性化するための抗体試薬※22リンパ組織リンパ節や脾臓のように、リンパ球の集まりによって出来ている組織のこと※23CD20当社の実験モデルにおいて、CARの標的として腫瘍細胞の細胞膜上に発現させた分子の名称※24肥満細胞腫免疫系を構成する細胞の一種である肥満細胞ががん化することにより形成された腫瘍細胞株※25P815-CD20肥満細胞腫であるP815にCARターゲットのCD20分子を発現させた腫瘍細胞株※26免疫不全マウス免疫細胞を欠損したマウスのことであり、拒絶反応を起こさないため、ヒトのがん細胞や免疫細胞を接種することが可能であり、ヒトT細胞の体内での機能を解析する実験に使用されるマウス※27用量制限毒性薬剤を投与する臨床試験において、これ以上の増量ができない理由となる毒性のこと※28サイトカイン放出症候群過剰な免疫反応に伴って細胞から多量のサイトカインが放出され、血中のサイトカイン濃度が高度に上昇することを原因として引き起こされる病態※29神経毒性薬の投与に伴い、中枢神経や末梢神経の構造や機能に障害を及ぼす毒性※30SD (Stable Disease)薬剤の投与後に評価対象の腫瘍の直径が30%以上縮小せず、20%以上増大もせず、かつ新しい腫瘍も生じない場合※31PD(Progressive Disease)薬剤の投与後に評価対象の腫瘍の直径が20%以上増大する、又は1か所以上の新しい腫瘍が生じる場合※32AFP (Alpha Fetoprotein)肝細胞がんにおいて血中の濃度が上昇する蛋白であり、肝細胞がんの診断や治療効果判定として用いられる指標※33LDH (Lactate Dehydrogenase)肝臓や心臓など、体のさまざまな細胞でつくられる蛋白で、肝細胞がんを含めた悪性腫瘍で血液中の濃度が上昇する場合があり、診断や治療効果判定として用いられる指標※34疾患バイオマーカーがんやその他の疾患において、病気の進行に伴って数値が上昇し、診断や治療効果判定の指標となる生体内の物質※35標的分子がんの目印となり、治療の標的となるたんぱく質などのある特定の分子※36PD-1シグナル免疫細胞に発現するPD-1分子を介して伝達され、免疫細胞の機能を抑制するシグナル※37PD-1抗体免疫チェックポイント分子であるPD-1を阻害することでがん細胞による免疫細胞への抑制機能を阻害し、免疫細胞によるがん細胞への攻撃能力を高める働きをする抗体(チェックポイント阻害剤)※38TCR-T細胞療法TCRはT-Cell Receptorの略であり、T細胞受容体と訳される。CAR-T細胞療法と同様に難治性のがんを治療する方法※39腫瘍溶解性ウイルスがん細胞に感染することで、がん細胞を死滅させるウイルスの総称 No.用語解説※40NK細胞自然免疫系に属する免疫細胞の一種で、標的細胞を傷害するナチュラルキラー活性を有する細胞※41γδ型T細胞T細胞の一種であり、γδ型のT細胞受容体を発現し、炎症などの免疫応答において機能を発揮する細胞※42TIL療法腫瘍浸潤リンパ球(Tumor-infiltrating lymphocyte:TIL)を用いたがん治療法のことであり、患者のがん組織内に集まっているTILを採取し、それらを培養・活性化して増やした後にがん患者に投与する方法※43iPS細胞人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells:iPS cells)のことであり、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することで、様々な細胞に分化できる分化万能性と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞※44自家患者自身の細胞※45他家健康な細胞提供者(ドナー)から採取した細胞※46ゲノム編集技術生物が持つ遺伝子の中の目的とする場所を高い精度で切断したり、挿入したりする技術であり、特定の遺伝子が担う形質を改良することが可能となる技術※47CRISPR-CAS3標的DNA配列に結合するガイドRNAとDNA切断活性を有するCAS3蛋白により細胞内のDNAを切断し、編集できる技術※48非盲検、非ランダム化臨床試験の担当医師も参加者にも投与される医薬品、用量などをオープンにして実施される臨床試験※49CAR陽性生細胞数CAR遺伝子の導入・発現が確認される生きたT細胞の数
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
該当事項はありません。なお、「その他の関係会社」であった武田薬品工業株式会社は、当社の2023年6月28日の東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行により、その所有する株式の当社発行済み株式総数に占める割合が20%を下回りましたため、「その他の関係会社」に該当しないこととなりました。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)28(5)46.32.17,942(注)当期中において従業員数が9名増加しております。主な理由は、事業進捗に伴う業務拡大に対応するため期中採用が増加したことによるものであります。 事業部門の名称従業員数(名)事業企画研究部11(4)開発部7(0)管理部10(1)合計28(5)(注)1.従業員数は就業人員であり、常用の契約社員を含んでおります。臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含みます。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.当社は、がん免疫療法創薬事業の単一セグメントであるため、事業部門別の人数を記載しております。 (2)労働組合の状況当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表義務の対象ではないため、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての記載を省略しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は「Create the Future to Overcome Cancer」「がんを克服できる社会の創生に貢献する」という経営理念の下、がん治療とがん免疫療法の現状と課題を熟知した医師達が、「No illness(がんという病を根絶させたい)」「No immunity, No life(免疫なくして生命は成り立たず)」という想いより、2015年4月に「ノイルイミューン・バイオテック」という社名にて当社を創業しました。PRIME技術という革新的な治療プラットフォームを利用した効果的ながん治療法を開発し、多くの患者へ届け、がんを克服した社会の実現に貢献してまいります。 (2)経営戦略 革新性の高いPRIME技術を中核として、ライセンス又は販売による大型の収入が期待でき高い成長性を持つ「自社創薬」と、多数の契約候補先・パイプライン候補・収益機会候補を持ち早期の収益確保が可能な「共同パイプライン」の2つの創薬ビジネスモデルを組み合わせることにより、安定感のある事業ポートフォリオを構成していきます。 一般的に創薬バイオベンチャーは自社パイプラインの開発のために先行投資がかさみ損益分岐点が高く、黒字化が遅れる場合がありますが、当社はPRIME技術による「共同パイプライン」を併せ持つため、より早期の黒字化を可能としていく戦略を選択しております。 2023年12月に武田薬品よりライセンス契約を解消し開発と商業化に関する権利を当社へ返還する旨の通知を受け、ライセンス契約を終了することに伴い、武田薬品よりNIB102とNIB103に関するデータ等の詳細な情報が得られ次第、NIB101の状況も踏まえ、自社開発を優先すべきパイプラインや新たなパートナリングの戦略の検討を早期に進めてまいります。 また、当社による医薬品の研究開発においては、PRIME技術に関するものを中心とした知的財産権やノウハウが重要な経営資源となります。当社は、事業の運営及び拡大に必要な特許権等の知的財産権を、国内外において適時適切に出願及び登録することにより、知的財産権の保護の最大化を図る方針です。当社が出願人である又は当社がライセンスを有する登録済もしくは出願中の特許については、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (8)知的財産権(特許等)について」をご参照ください。 当社は、その経験とPRIME技術を活かし、固形がんに対する次世代細胞療法を開発すべく、技術、創薬、製造、そして人材の確保と定着に継続的に投資することを通じて、最適な標的抗原の選定を含め、新たな分野である固形がんに対する遺伝子改変免疫細胞療法の研究開発を推し進めることにより、固形がん治療の領域における当社のプレゼンスの向上・確立を図ります。 (3)経営上の目標の達成状況を把握するための客観的な指標等 当社は、現在研究開発段階にあり、売上高、利益率、ROA/ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりません。当社は、「自社創薬」と「共同パイプライン」のハイブリッドビジネスモデルに基づき、PRIME技術の市場への展開や周知を加速化して早期の収益確保を図ると同時に、長期的には大型の販売収益を確保することにより、事業経営におけるリスク分散及びサステナブルな事業成長を実現することを目指し、当社の開発パイプライン及び他社との共同プロジェクトの進捗及びより一層のパイプラインの拡充を目標として事業活動を推進しています。開発中の自社パイプラインについて、非臨床試験の段階においては開発段階を詳細に区切った作業工程表を作成しており、定期的なモニタリングを行い開発の進捗状況を適宜確認し管理しております。第I相臨床試験など臨床試験においては、医療機関での治験実施の患者数等を目標管理しております。 共同パイプラインについては、提携した製薬企業等からの定期的な報告を受け、開発の進捗状況を適宜確認しております。 (4)経営環境①がん罹患率・生存率について 日本国内において、がんの死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因としてともに増加し続けております。男女ともがんの死亡数は増加し続けており、2021年のがん死亡数は、38万人以上と報告されております(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計))。同様に、男女ともにがんの罹患数は1985年以降増加し続けており、2019年のがん罹患数は99万人以上と報告されております(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録))。また、日本人が生涯でがんに罹患する確率は、男性で65%、女性で51%と報告されており、(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(累積罹患リスク(グラフデータベース)))、世界の2020年がん罹患者数は約1,930万人(出典:GLOBOCAN 2020)とされております。また、各がん腫の5年生存率は、特にステージの進んだがんにおいて依然として低く、有効な治療法の開発が急務であります。 ②遺伝子改変免疫細胞療法の市場について がんによる死亡数は、2020年において世界で約996万人とされております(WHO CANCER Tomorrow)。世界におけるがん治療薬の市場規模は拡大傾向にあり、2018年にはがん免疫療法の研究開発に対してノーベル生理学・医学賞が授与されたこともあり、がん免疫療法に対する期待が大いに高まっております。さらに、最先端のがん免疫療法として遺伝子改変免疫細胞療法が製薬業界で存在感を高めており、CAR-T細胞を代表とする遺伝子改変T細胞療法の世界市場は2030年において260億ドルに達するとも予測されております(国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略プロポーザル「デザイナー細胞」)。③薬価の動向について CAR-T細胞療法は、固形がんに対する治療法として上市されたものは現時点では存在しないものの、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫といった血液がんに対する治療法として実用化されており、スイスの大手製薬企業のノバルティスファーマが開発したキムリア(一般名:チサゲンレクルユーセル)は、高い完全寛解率(※1)と比較的長期の寛解維持(※2)が臨床試験で実証され、医薬品として2017年8月に米国承認、2018年8月に欧州承認、2019年3月に日本承認となりました。米国での薬価は475,000ドル(約5,200万円)、日本での薬価は3,349万円(収載時の薬価。その後の改定により2021年7月時点では3,264万円)と決定されました。また、日本においては、イエスカルタ(一般名:アキシカブタゲン シロルユーセル)とブレンヤンジ(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル)が再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対して承認されており、アベクマ(一般名:イデカブタゲン ビクルユーセル)が再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して承認されています。薬価はキムリアと同額となっております。※1 完全寛解率:全てのがん病変が消失した患者の割合※2 寛解維持:全てのがん病変が消失し、再発が確認されていない状態 ④希少疾病用品目・先駆的品目の指定制度や早期承認制度等について 厚生労働省が2015年度より試行的に実施していた先駆け審査指定制度は、薬機法において先駆的品目の指定制度として法制化され、2020年9月より施行されております。これは、一定の要件を満たす画期的な医薬品等について、開発の比較的早期の段階から先駆的品目指定制度の対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査における優先的な取扱いをするものです。加えて、薬機法においては、対象となる患者数が少ないために開発のインセンティブが小さい医薬品等について、一定の要件を満たす場合に、希少疾病用品目としての指定を受けることができるとされております。希少疾病用品目として指定を受けた場合には、優先審査の対象となるほか、助成金の交付や税制上の優遇措置等を受けることができ、これにより、希少疾病に関する医薬品等の開発にインセンティブを付与し、そのアンメットメディカルニーズを解消することが企図されています。当社で現在開発中のCAR-T製剤は、これらの指定制度の対象となりうる品目であることから、当社は研究開発を迅速化させるため、これらの指定制度(海外における同様の制度を含みます。)を活用する可能性があります。 また、当社で現在開発中のCAR-T製剤は、薬機法上の再生医療等製品に該当するものであり、その性質上、製品の有効性を確認するための臨床データの収集、評価に長期間を要する場合があります。他方で、再生医療等製品には条件及び期限付承認制度が存在し、限られた数の症例から有効性が推定でき、安全性が確認された場合には、その適正な使用の確保のために必要な条件及び7年を超えない範囲内の期限付きの承認を得られる可能性があります。 ⑤CAR-T細胞療法のグローバルでの開発競争の現状 革新的ながん治療法であるCAR-TやTCR-Tといった遺伝子改変免疫細胞療法はグローバルで開発競争が過熱しており、大手製薬メーカーでは自社での内部開発から他社との共同開発、又は買収による研究開発のスピードアップ戦略に切り替える事例も出始めております。海外のCAR-T研究開発を行うベンチャー企業の大型の買収事例も増えており、2017年8月に米ギリアド・サイエンシズがカイトファーマを約119億ドル(約1兆5,289億円)で買収、2018年1月には米セルジーンがジュノ・セラピューティクスを約90億ドル(約1兆1,563億円)で買収しました。また、近年では特に固形がんの治療を対象に、新たな技術を用いたCAR-T細胞療法の開発を実施するベンチャー企業が国内外で精力的に研究開発を実施しております。中でも当社のPRIME技術はCAR-T細胞を強化するだけでなく体内の免疫も誘導するユニークな技術であります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、固形がんに対する遺伝子改変免疫細胞療法の研究開発を推進すべく、以下の取組みを進めております。①自社パイプラインのポートフォリオ戦略策定 当社は武田薬品から返還を受けるNIB102及びNIB103を含めた複数の自社パイプラインにつきまして、武田薬品との協議によりNIB102とNIB103に関するデータ等の詳細な情報が得られ次第、NIB101の状況も踏まえ、自社開発を優先すべきパイプラインや、新たなパートナリングの戦略の検討を早期に進めて参ります。 ②PRIME技術の基礎研究体制の拡大及び国内外の学術機関、民間機関等との共同研究開発の推進 当社は、山口大学との共同研究等に基づくPRIME技術の活用により、これまで複数のパイプラインを構築しております。また、中核技術であるPRIME技術の改良や応用についての基礎研究を進めております。今後も山口大学との緊密な連携や国内外の学術機関、民間機関等との共同研究開発により、より一層のパイプラインの拡充及びPRIME技術の周辺知財の構築を図る方針であり、研究体制の拡充を図って参ります。 ③臨床試験の推進 当社は、複数のパイプラインを構築しております。そのうち自社創薬のパイプラインであるNIB101について現在第Ⅰ相臨床試験を実施中であり、当該パイプラインの臨床試験を自社主導で推進し、臨床試験より得られたデータを評価することで、ライセンス先における開発の加速にも資するものと考えております。自社パイプラインで最も進捗しているNIB101については、今後も臨床試験を着実に実施して参ります。 ④ライセンス先に対する支援 PRIME技術のライセンス契約を締結した製薬企業に対し、臨床開発が滞りなく進められるよう、当社が技術的アドバイスを行い、また、契約によっては分担業務を行い、ライセンス先との協力を継続的に行っていく方針であります。 ⑤ライセンス契約の拡大に向けた体制拡充 安定した事業ポートフォリオの構築とさらなる収益機会の獲得を目指すため、また「共同パイプライン」におけるライセンス契約をより多くの国内外の製薬企業に広めるため、事業開発人材等の適切な人材の拡充が重要であり、外部人材の確保や人材登用等による人材育成及び活用を図って参ります。 ⑥新しい事業機会を得るための外部機関との新たな連携 当社は、パイプライン拡充とともに、新たな形態のパイプラインの構築や、細胞医薬製造の効率化を目指しております。そのため、新たなゲノム編集技術や、遺伝子導入法、自動培養装置などの技術を持つ外部機関との連携の拡大を図っております。 ⑦財務基盤の強化 当社はこれまで数度にわたるエクイティファイナンスやパートナー企業からのライセンスに関する収入により資金を調達してまいりましたが、今後さらなる研究開発の推進のため、必要に応じて適切な時期に資金調達を実施し、財務的基盤の強化を図ります。 ⑧当社の正社員の採用、育成、登用 当社の主要な業務は、原則として正社員によって運用することを基本方針としております。その理由は、当社の経営理念に深く共感する当社のチームメンバーが、主体性をもって研究開発を行うこと、また、ライセンス先の製薬企業と接することが、事業推進の品質とスピードを向上させ、競合他社に対して大きな差別化の要素となり、当業界における最も優れた競争優位性であると考えているためです。 当社への入社志望者については、それまでの経歴や能力、潜在性を評価・選考し、最終面接時に当社の経営理念の説明を行い、候補者にとって共感できているかどうかを、当社の採用基準としております。採用後の育成については、現場での上長によるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や、部門長によって個人別に計画した教育研修スケジュールを実施しております。 社内登用については、事前に策定した個人別の目標管理シートに基づいて一定の成果をあげているかどうかを確認し、さらに重ねて当社の経営理念に沿った日常的な行動規範をしているかどうかについて、人事評価委員会による評価会議を経て、部門配置や昇格・昇給及び降格・降給を決定しております。 今後も上記の方法に基づき、研究開発の加速パイプラインの進捗等に対応し、必要に応じて適切かつ十分な人材確保に努めてまいります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社は、がん免疫療法創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ①経営成績の状況 当社は、「がんを克服できる社会の創生に貢献する」という経営理念の下、当社の独自技術であるPRIME(proliferation inducing and migration enhancing)技術を用いた固形がんに対するCAR-TやTCR-Tなどの遺伝子改変免疫細胞療法の研究開発に取り組んでおります。 当事業年度における当社事業の概況としまして、PRIME技術を基盤とした自社創薬及び共同パイプラインを引き続き推進いたしました。自社創薬におきましては、当社パイプラインNIB101について第Ⅰ相臨床試験が進行しており、対象症例の同定を進めております。なお、NIB101について、製造委託先における治験製品の製造及び品質試験の、品質管理上の手順等に解決すべき課題が断続的に複数回生じたことを要因とする治験の遅れが発生しております。現在、製造委託先に対する継続的な監視を行うとともに、バックアップとなる製造委託先の検討を進める等、適切な対応を進めております。また、NIB101に続く新たなパイプラインに関する研究や次世代技術に関する研究を実施しております。2017年より継続している国立大学法人山口大学との共同研究においては、引き続きCAR-TやTCR-Tを中心とした次世代型遺伝子改変細胞療法、他家細胞を利用したがん免疫細胞療法、次世代型PRIME技術に関する研究を実施しております。同じく当社が創製したNIB102及びNIB103については、導出先の武田薬品工業株式会社よりライセンス契約を解消し開発と商業化に関する権利を当社へ返還する旨の通知を受け、ライセンス契約を終了します。今後、当社はNIB102と NIB103の権利を有することになりますが、同社との間で、試験の方針、これまでに得られたデータの移管や知財の取り扱い等に関する協議を進めており、これを踏まえ、今後の開発や新たなパートナリングについて検討してまいります。 共同パイプラインにおきまして、中外製薬株式会社との間で締結しているPRIME技術のライセンス契約に関し、テックトランスファーに関する両者の業務が成功裏に終了した事による早期マイルストンを達成しました。また、従前よりPRIME技術をライセンスしているAdaptimmune Therapeutics plc及びAutolus Therapeutics plcによる研究開発が引き続き進行しております。なお、技術評価に関する契約を締結している第一三共株式会社において評価研究を実施中です。 以上の結果、当事業年度における事業収益は316,818千円(前年同期比308,965千円減少)、営業損失は775,391千円(前事業年度は106,345千円の営業損失)、経常損失は1,127,594千円(前事業年度は384,202千円の経常損失)、当期純損失は1,130,014千円(前事業年度は386,622千円の当期純損失)となりました。 なお、当社は、がん免疫療法創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ②財政状態の状況(資産) 当事業年度末の総資産は5,778,946千円となり、前事業年度末に比べ1,137,914千円増加しました。これは主に、現金及び預金が上場に伴う有償一般募集増資等により1,034,693‬千円、自社創薬の研究開発のための試薬等の仕入により貯蔵品が16,975‬千円増加し、未収消費税等が還付により66,994千円増加したこと等によるものであります。 (負債) 当事業年度末の負債は91,494千円となり、前事業年度末に比べ248,920‬千円減少しました。これは主に、当社の上場準備関連費用にかかる支払決済等により未払金が199,099‬千円、預り金が39,852千円減少したこと等によるものであります。 (純資産) 当事業年度末の純資産は5,687,452千円となり、前事業年度末に比べ1,386,834千円増加しました。これは主に、上場に伴う有償一般募集増資(ブックビルディング方式による募集)及び第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売り出しに関連した第三者割当増資)の実施により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,258,424‬千円増加した一方、当期純損失の計上により利益剰余金が1,130,014千円減少したことによるものであります。 ③キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、5,555,691千円となり、前事業年度末に比べ1,034,693千円増加しました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において営業活動で使用した資金は、873,076千円(前事業年度は107,176千円の支出)となりました。これは主に、研究開発活動の拡大により事業費用を上回る事業収益の獲得に至らず税引前当期純損失1,127,594‬千円の発生、営業外費用として上場関連費用343,444千円の発生、貯蔵品16,975千円の増加、未収消費税等70,537千円の増加等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において投資活動に使用した資金は、5,316千円(前事業年度は収入・支出ともになし)となりました。これは研究施設増床のための保証金の差入による支出5,316千円が発生したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動で得た資金は、1,913,086千円となりました。これは、上場に伴う有償一般募集増資(ブックビルディング方式による募集)及び第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売り出しに関連した第三者割当増資)による株式の発行による収入2,508,040千円及び上場関連費用の支出594,954千円によるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b.受注実績 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。 c.販売実績 当社の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はがん免疫療法創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。セグメントの名称当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)前年同期比(%)がん免疫療法創薬事業      (千円)316,81849.37合計              (千円)316,81849.37(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)中外製薬601,59496.1301,40595.1Janssen Biotech, Inc.12,1892.0--第一三共12,0001.910,4993.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものの内容及び金額は下記「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社は、がん免疫療法分野において次世代を担うリーディングカンパニーを目指し、事業に取り組んでおります。PRIME技術により固形がんに対するCAR-Tの有効性を高め、様々な固形がんに対するCAR-T細胞療法を創成するとともに開発能力を拡大するため、日々研究開発を進めております。 当事業年度の経営成績及び財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。 ③キャッシュ・フローの状況の分析 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ④経営成績に重要な影響を与える要因について 上記「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。 ⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社はがん免疫療法に特化した研究開発型ベンチャー企業であり、資金需要の主なものは、研究人員にかかる人件費、研究用設備費用や研究開発のための外部委託費用などの研究開発費や、経営管理にかかる販売費及び一般管理費などの運転資金(事業費用)であります。 当社は、今後の外部環境の変化に備えて、事業上必要な資金については手元資金で賄う方針としており、事業収益が限定される現在では、事業収益による資金の獲得のほか、第三者割当増資による調達を行っております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により管理しております。 今後は、さらなる新規パイプラインの獲得に向けて一時的に資金を要する場合や、急激な景気変動等により手元資金が不足する場合には、経費コントロールによる支出の抑制や第三者割当増資に伴う新株発行によるエクイティファイナンスを含めた多様な調達方法を、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に活用し、対応していく予定であります。 ⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析 上記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を把握するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
経営上の重要な契約等 5【経営上の重要な契約等】
(1)共同研究開発に関する契約相手先の名称契約の名称契約期間契約内容山口大学共同研究契約書2016年8月1日から2025年3月31日までがん抗原を標的とする免疫機能制御因子発現キメラ抗原受容体発現T細胞療法の臨床応用を目指した研究開発山口大学共同研究契約書2016年8月1日から2025年3月31日まで免疫機能制御因子を利用したキメラ抗原受容体発現T細胞療法を含む免疫細胞療法の臨床応用を目指した研究開発山口大学共同研究契約書2018年4月1日から2025年3月31日まで免疫機能制御因子を利用したがん免疫療法の臨床応用を目指した研究開発 (2)ライセンスインに関する契約相手先の名称契約の名称契約期間契約内容山口大学及び有限会社山口ティー・エル・オー実施許諾契約書2015年10月1日から特許権の存続期間満了までPRIME技術の基本特許の独占的ライセンス契約なお、各当事者は、他の当事者に契約違反があり、かつ所定の期間内に是正されない場合には、契約を解約することができる。山口大学及び国立がん研究センター特許外国出願及び特許権実施許諾に関する契約2018年4月23日から特許権等の存続期間満了日まで抗GPC3抗体に関する特許等の独占的ライセンス等に関する契約なお、各当事者は、他の当事者に契約違反があり、かつ所定の期間内に是正されない場合には、契約を解約することができる。 (3)ライセンスアウトに関する契約相手先の名称契約の名称契約期間契約内容Millennium Pharmaceuticals, Inc.Amended and restated collaborative research and option agreement2018年12月10日から定められた期間中(※1)1.Millennium Pharmaceuticals, Inc.に対し、固形がんを治療対象としたNIB102、NIB103及びその他のメソセリン(Mesothelin)を標的抗原とするCAR-Tの開発、製造、販売に関する、全世界における独占的ライセンスを付与する。2.当社は、2018年12月10日以降一定期間の間、原則として、上記標的抗原に係るCAR-T細胞を用いた医薬品等の研究開発及び商用化等を行うことができない。3.Millennium Pharmaceuticals, Inc.より、契約一時金のほか、開発段階に応じたマイルストン収入及び上市後の売上高に応じたロイヤリティを受領する。(※2)4.Millennium Pharmaceuticals, Inc.は、上記標的抗原に係るCAR-T細胞を用いた医薬品が上市するまでの間、事前に当社に通知することにより、契約の全部又は一部を解除することができる。また、同社は、安全上の理由に基づき、事前に当社に通知することにより、契約を解除することができる。そのほか、契約当事者は、相手方に重大な義務違反等があった場合には、契約の全部又は一部を解除することができる。 相手先の名称契約の名称契約期間契約内容Adaptimmune LimitedCollaboration agreement2019年8月26日から契約に定められた期間中1.Adaptimmune Limitedにより選定された標的分子に対して、PRIME技術を導入した次世代型SPEAR T-cellsの全世界における医薬品用途での独占的な開発、製造、販売のための権利を付与する。2.Adaptimmune Limitedより、契約一時金、開発段階及び上市後の売上高に応じたマイルストン収入、並びに上市後の売上に応じたロイヤリティを受領する。(※3)3.Adaptimmune Limitedは、事前に当社に通知することにより、同社に付与された上記の独占的ライセンスを終了させることができる。そのほか、契約当事者は、相手方に重大な義務違反等があった場合には、契約を解除することができる。Autolus LimitedLicense agreement2019年11月12日から契約に定められた期間中1.Autolus Limitedにより選定された標的分子に対して、PRIME技術を導入したCAR-T細胞療法を開発、製造、販売するための権利を付与する。2.Autolus Limitedは、2023年11月12日までの間、標的分子を最大2種類まで追加的に選定する権利を有する。3.Autolus Limitedより、契約一時金のほか、開発段階及び上市後の売上高に応じたマイルストン収入並びに上市後の売上に応じたロイヤリティを受領する。(※3)4.Autolus Limitedは、事前に当社に通知することにより、契約の全部又は一部を解除することができる。そのほか、契約当事者は、相手方に重大な義務違反があった場合には、契約を解除することができる。 相手先の名称契約の名称契約期間契約内容中外製薬License agreement2022年8月20日から契約に定められた期間中1.中外製薬に対し、PRIME CAR-T細胞の創製及び研究のためのPRIME技術の非独占的な使用権とともに、当該技術を用いて創製した特定の標的分子を対象とするPRIME CAR-T細胞製品及び療法を開発・製造・販売する独占的な権利を許諾する。2.中外製薬より、契約一時金及び技術移転費用、開発段階及び上市後の売上に応じたマイルストン収入、並びに上市後の売上に応じたロイヤリティを受領する。(※3)3.特定の国又は製品に関して、所定のロイヤリティ支払期間の満了により、又はロイヤリティ支払期間が発生しない場合には、中外製薬による当社への各種対価の支払義務の全ての履行により、当該国又は製品について契約が終了する。中外製薬は、事前に当社に通知することにより、同社に付与された上記の開発・製造・販売に関する独占的ライセンスの全部又は一部を終了させることができる。そのほか、本契約の当事者は、相手方に重大な義務違反等があった場合には、契約の全部又は一部を解除することができる。※1 ライセンス契約を終了します。なお、現在はデータの移管等について協議中です。※2 当社は、2018年12月のMillennium Pharmaceuticals, Inc.によるオプション行使時に、一時金合計1,300万ドルを受領しております。※3 共同パイプラインのロイヤリティは、通常一桁%台の前半から半ばです。
研究開発活動 6【研究開発活動】
 当社は、がん免疫療法に特化した研究開発型ベンチャー企業として、設立以来積極的な研究開発を行っております。詳細は、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。 研究開発費の主な内訳は、大学等の研究機関や製薬企業との共同研究を含む当社が保有するパイプラインの開発費、次期パイプラインの基礎研究及び創薬研究、創薬基盤技術の研究、並びに特許出額に係る費用で構成されております。 当事業年度における研究開発費の総額は646,705千円と事業費用全体の59.2%を占めております。主な内訳として委託研究費が370,715千円、研究材料費が34,229千円、給料手当が88,952千円となっております。 研究開発費の主な内容は、研究開発人員の人件費、研究施設に関する地代家賃、研究用材料費及び臨床開発の準備にかかる費用であります。当社は、2023年12月に武田薬品よりライセンス契約を解消し開発と商業化に関する権利を当社へ返還する旨の通知を受け、ライセンス契約を終了します。今後、武田薬品との協議によりNIB102とNIB103に関するデータ等の詳細な情報が得られ次第、NIB101の状況も踏まえ、自社開発を優先すべきパイプラインや新たなパートナリングの戦略の検討を早期に進め、今後も研究開発活動を加速していく方針であり、相応の研究開発費の発生を見込んでおります。また、当社において新たな自社創薬のパイプライン創出に向けた研究活動を実施しております。 共同パイプラインについては、2019年8月にAdaptimmune Therapeutics plc、2019年11月のAutolus Therapeutics plc及び2022年8月に中外製薬とライセンス契約を締結しており、各社が研究開発を実施しております。また、2021年10月に技術評価契約を第一三共と締結しております。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 該当事項はありません。 なお、当事業年度において重要な設備の除却、売却などはありません。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
 当社における主要な設備は、以下のとおりであります。2023年12月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(名)建物附属設備(千円)工具、器具及び備品(千円)合計(千円)本社(東京都港区)がん免疫療法創薬事業事務所施設---24(1)湘南研究所(神奈川県藤沢市)がん免疫療法創薬事業研究施設---2(3)山口大学院研究所(山口県宇部市)がん免疫療法創薬事業研究及び事務所施設---2(1)(注)1.過年度において全額減損損失を計上しているため、期末帳簿価額はありません。2.従業員数は就業人員であり、常用の契約社員を含んでおります。臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含みます。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。3.上記事務所は賃借しているものであり、年間の賃借料は以下のとおりとなります。事業所名(所在地)設備の内容年間賃借料(千円)本社(東京都港区)事務所施設17,047湘南研究所(神奈川県藤沢市)研究施設17,400山口大学院研究所(山口県宇部市)研究及び事務所施設1,125
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
 該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動646,705,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況46
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況2
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況7,942,000

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
該当事項はありません。

Shareholders

大株主の状況 (6)【大株主の状況】
2023年12月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
株式会社鶴亀東京都渋谷区千駄ヶ谷4-20-1神宮北参道プレックス7階9,871,35022.81
武田薬品工業株式会社大阪府大阪市中央区道修町4-1-18,119,80018.76
玉田 耕治山口県宇部市3,750,0008.66
Binex Co., Ltd.(常任代理人SMBC日興証券株式会社)368-3, Dadae-Ro, Saha-Gu, Busan 49469, Republic of Korea(東京都千代田区丸の内1-5-1)2,277,8255.26
石﨑 秀信東京都目黒区2,000,0004.62
瀬戸 恭子東京都杉並区2,000,0004.62
和田 聡東京都杉並区1,970,0004.55
大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内1-9-11,349,2003.11
株式会社アプリコット東京都渋谷区千駄ヶ谷4-20-1神宮北参道プレックス7階11,203,8502.78
荻原 弘子東京都中野区1,000,0002.31
佐古田 幸美山口県宇部市1,000,0002.31計-34,542,02579.81
株主数-金融機関4
株主数-金融商品取引業者25
株主数-外国法人等-個人15
株主数-外国法人等-個人以外22
株主数-個人その他4,249
株主数-その他の法人54
株主数-計4,369
氏名又は名称、大株主の状況佐古田 幸美
株主総会決議による取得の状況 (1)【株主総会決議による取得の状況】
 該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
 該当事項はありません。

Shareholders2

発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)39,579,8653,696,900-43,276,765(注) 発行済株式の増加は、2023年6月27日を払込期日とする有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)による新株式3,623,000株及び2023年7月26日を払込期日とする第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)による新株式73,900株によるものであります。 2.自己株式に関する事項 該当事項はありません。

Audit1

監査法人1、個別有限責任監査法人トーマツ
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書 2024年3月29日ノイルイミューン・バイオテック株式会社 取締役会 御中 有限責任監査法人トーマツ 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士陸田 雅彦 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佐野 明宏 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているノイルイミューン・バイオテック株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの第9期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ノイルイミューン・バイオテック株式会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ライセンス契約に係る収益認識監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応当事業年度の事業収益は316,818千円であり、主としてライセンスの供与による収益である。会社は、固形がんに対するCAR-T細胞療法の開発を進める研究開発型企業であり、研究開発により獲得した知的財産に基づくライセンスの供与に係る収入を事業収益として認識している。ライセンス契約は、ライセンス先との交渉によって契約の諸条件が決定されるため契約ごとの個別性が高い。契約に複数の履行義務が含まれることがあり、また、一時金収入やマイルストン収入など対価の受領形態も多様であるため、契約の内容は複雑となりうる。さらにライセンス契約は一般に、取引額が多額となり契約期間も長期に及ぶことから、会社の業績に大きな影響を与える。このようにライセンス契約は、その個別性及び複雑性から契約ごとに個別の会計処理の検討が必要であり、かつ、会社の業績に重要な影響を及ぼす。このため、当監査法人はライセンス契約に係る収益認識の妥当性を監査上の主要な検討事項とした。当監査法人は、ライセンス契約に係る収益認識の会計処理の妥当性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価ライセンス契約について、契約の締結から会計処理方針の検討、収益の計上に至る収益認識プロセスに係る内部統制を理解し、その整備状況及び運用状況の評価を実施した。(2)実証手続の実施・契約の実在性等の検討取締役会議事録や稟議書等の閲覧及び経営者や契約責任者への質問を実施し、契約の新規締結、契約の変更、契約の解消等の有無を把握した。契約書及び関連資料を査閲し、契約内容を把握するとともに契約の実在性を検討した。・契約の変更の網羅性の検討重要な契約先に確認状を送付し、契約の実在性や契約内容の変更の有無を検討した。・会計処理の検討新規に締結された契約や変更された契約について、契約書や関連資料の閲覧、経営者や契約責任者への質問を実施し、取引実態を把握した。会社の策定した会計方針を把握し、収益認識に関する会計基準等への準拠及び取引実態との整合性を検討した。収益の計上に関して、マイルストン条件の達成や役務の提供など収益認識の契機となる事象の発生を経営者や契約責任者への質問及び関連する資料の閲覧により確かめるとともに、会計方針に従った処理が行われているかを検討した。・入金の検討ライセンス契約に係る収入に関して入金証憑との突合を実施した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上  (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ライセンス契約に係る収益認識監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応当事業年度の事業収益は316,818千円であり、主としてライセンスの供与による収益である。会社は、固形がんに対するCAR-T細胞療法の開発を進める研究開発型企業であり、研究開発により獲得した知的財産に基づくライセンスの供与に係る収入を事業収益として認識している。ライセンス契約は、ライセンス先との交渉によって契約の諸条件が決定されるため契約ごとの個別性が高い。契約に複数の履行義務が含まれることがあり、また、一時金収入やマイルストン収入など対価の受領形態も多様であるため、契約の内容は複雑となりうる。さらにライセンス契約は一般に、取引額が多額となり契約期間も長期に及ぶことから、会社の業績に大きな影響を与える。このようにライセンス契約は、その個別性及び複雑性から契約ごとに個別の会計処理の検討が必要であり、かつ、会社の業績に重要な影響を及ぼす。このため、当監査法人はライセンス契約に係る収益認識の妥当性を監査上の主要な検討事項とした。当監査法人は、ライセンス契約に係る収益認識の会計処理の妥当性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価ライセンス契約について、契約の締結から会計処理方針の検討、収益の計上に至る収益認識プロセスに係る内部統制を理解し、その整備状況及び運用状況の評価を実施した。(2)実証手続の実施・契約の実在性等の検討取締役会議事録や稟議書等の閲覧及び経営者や契約責任者への質問を実施し、契約の新規締結、契約の変更、契約の解消等の有無を把握した。契約書及び関連資料を査閲し、契約内容を把握するとともに契約の実在性を検討した。・契約の変更の網羅性の検討重要な契約先に確認状を送付し、契約の実在性や契約内容の変更の有無を検討した。・会計処理の検討新規に締結された契約や変更された契約について、契約書や関連資料の閲覧、経営者や契約責任者への質問を実施し、取引実態を把握した。会社の策定した会計方針を把握し、収益認識に関する会計基準等への準拠及び取引実態との整合性を検討した。収益の計上に関して、マイルストン条件の達成や役務の提供など収益認識の契機となる事象の発生を経営者や契約責任者への質問及び関連する資料の閲覧により確かめるとともに、会計方針に従った処理が行われているかを検討した。・入金の検討ライセンス契約に係る収入に関して入金証憑との突合を実施した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別  監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別ライセンス契約に係る収益認識
その他の記載内容、個別 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

BS資産

長期前払費用2,699,000
投資その他の資産61,857,000

BS負債、資本

未払金18,715,000
未払法人税等30,210,000
未払費用29,613,000
資本剰余金4,023,821,000
利益剰余金-2,389,247,000
負債純資産5,778,946,000

PL

受取利息、営業外収益44,000
為替差益、営業外収益5,000
営業外収益50,000
その他、流動資産5,561,000
営業外費用352,253,000
法人税、住民税及び事業税2,420,000
法人税等2,420,000

PL2

当期変動額合計1,386,834,000

FS_ALL

現金及び現金同等物の残高5,555,691,000
契約負債2,845,000
役員報酬、販売費及び一般管理費71,491,000
現金及び現金同等物の増減額1,034,693,000
株主資本5,680,550,000

営業活動によるキャッシュ・フロー

為替差損益(△は益)、営業活動によるキャッシュ・フロー440,000
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー-16,975,000
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー-364,000
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー-870,700,000
利息及び配当金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は投資活動によるキャッシュ・フロー43,000
法人税等の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー-2,420,000

概要や注記

連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 当社は、財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。具体的には、会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等について的確に対応することができる体制を整備するため、証券印刷会社や、監査法人等主催の各種セミナーへ参加しております。
主要な販売費及び一般管理費 ※3 販売費及び一般管理費のうち一般管理費に属する費用の割合は100%であります。 主要な費目及び金額は次のとおりであります。 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)役員報酬75,014千円71,491千円特許関連費55,26639,751給料手当80,48397,613支払報酬43,96850,977
顧客との契約から生じる収益の金額の注記 ※1 顧客との契約から生じる収益売上高については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益を区分して記載しておりません。顧客との契約から生じる収益の金額は、財務諸表「注記事項(収益認識関係)(1)顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。
新株予約権等に関する注記 3.新株予約権に関する事項内訳目的となる株式の種類目的となる株式の数(株)当事業年度末残高(千円)当事業年度期首増加減少当事業年度末第2回新株予約権
(注)-----1,663第3回新株予約権
(注)------第4回新株予約権
(注)-----2,184第5回新株予約権
(注)------第6回新株予約権
(注)-----1,214第8回新株予約権------第9回新株予約権
(注)------第10回新株予約権
(注)------第11回新株予約権
(注)------第12回新株予約権
(注)------第13回新株予約権
(注)-----1,840合計----6,901(注)ストック・オプションとしての新株予約権であります。ストック・オプションの内容及び規模については、「ストック・オプション等関係」に記載しております。
配当に関する注記 4.配当に関する事項 該当事項はありません。
現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係  ※現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)現金及び預金勘定4,520,997千円5,555,691千円現金及び現金同等物4,520,997千円5,555,691千円
製品及びサービスごとの情報 1.製品及びサービスごとの情報 単一の製品及びサービスの区分の外部顧客への事業収益が損益計算書の事業収益の90%を超えるため、記載を省略しております。
売上高、地域ごとの情報 事業収益                   (単位:千円)日本合計316,818316,818
主要な顧客ごとの情報 3.主要な顧客ごとの情報(単位:千円)顧客の名称又は氏名事業収益中外製薬株式会社301,405第一三共株式会社10,499
貸借対照表 ①【貸借対照表】
(単位:千円) 前事業年度(2022年12月31日)当事業年度(2023年12月31日)資産の部 流動資産 現金及び預金4,520,9975,555,691貯蔵品3,92620,901前渡金26,94329,317前払費用27,01538,622未収消費税等-66,994その他5,3015,561流動資産合計4,584,1845,717,089固定資産 投資その他の資産 長期前払費用3,0072,699長期預け金35,03435,034差入保証金18,80624,123投資その他の資産合計56,84861,857固定資産合計56,84861,857資産合計4,641,0325,778,946負債の部 流動負債 未払金217,81518,715未払費用45,93929,613未払法人税等18,30930,210契約負債4,8462,845預り金44,7284,875その他3,542-流動負債合計335,18186,260固定負債 資産除去債務5,2335,233固定負債合計5,2335,233負債合計340,41491,494純資産の部 株主資本 資本金2,787,5524,045,977資本剰余金 資本準備金2,765,3964,023,821資本剰余金合計2,765,3964,023,821利益剰余金 その他利益剰余金 繰越利益剰余金△1,259,232△2,389,247利益剰余金合計△1,259,232△2,389,247株主資本合計4,293,7165,680,550新株予約権6,9016,901純資産合計4,300,6175,687,452負債純資産合計4,641,0325,778,946
損益計算書 ②【損益計算書】
(単位:千円) 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)事業収益※1 625,783※1 316,818事業費用 事業原価7,0772,257研究開発費※2 334,804※2 646,705その他の販売費及び一般管理費※3 390,247※3 443,247事業費用合計732,1291,092,209営業損失(△)△106,345△775,391営業外収益 受取利息4144還付加算金14-助成金収入330-為替差益5,4775その他-0営業外収益合計5,86350営業外費用 上場関連費用268,210343,444業務委託費13,758-株式交付費1,7508,808その他2-営業外費用合計283,720352,253経常損失(△)△384,202△1,127,594税引前当期純損失(△)△384,202△1,127,594法人税、住民税及び事業税2,4202,420法人税等合計2,4202,420当期純損失(△)△386,622△1,130,014
株主資本等変動計算書 ③【株主資本等変動計算書】
 前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) (単位:千円) 株主資本新株予約権純資産合計 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本合計 資本準備金その他利益剰余金 繰越利益剰余金当期首残高2,537,5192,515,363△872,6104,180,2725,0614,185,334当期変動額 新株の発行250,033250,033 500,066 500,066当期純損失(△) △386,622△386,622 △386,622新株予約権の発行 1,8401,840株主資本以外の項目の当期変動額(純額) -当期変動額合計250,033250,033△386,622113,4431,840115,283当期末残高2,787,5522,765,396△1,259,2324,293,7166,9014,300,617  当事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) (単位:千円) 株主資本新株予約権純資産合計 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本合計 資本準備金その他利益剰余金 繰越利益剰余金当期首残高2,787,5522,765,396△1,259,2324,293,7166,9014,300,617当期変動額 新株の発行1,258,4241,258,424 2,516,849 2,516,849当期純損失(△) △1,130,014△1,130,014 △1,130,014新株予約権の発行 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額) --当期変動額合計1,258,4241,258,424△1,130,0141,386,834-1,386,834当期末残高4,045,9774,023,821△2,389,2475,680,5506,9015,687,452
重要な会計方針、財務諸表 (重要な会計方針)1.棚卸資産の評価基準及び評価方法①仕掛品  個別法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)②貯蔵品  最終仕入原価法による原価法 2.外貨建の資産及び負債への本邦通貨への換算基準 外貨建金銭債権債務は期末日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しております。 3.キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲 手許現金、随時引き出し可能な預金からなっております。 4.引当金の計上基準 売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒実績懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。 なお当事業年度においては、貸倒実績はなく、また貸倒懸念債権等もないため、貸倒引当金を計上しておりません。 5.重要な収益及び費用の計上基準 当社の顧客との契約から生じる収益に関する主要な事業における主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりです。 ・ライセンスの供与による収益 当社は、研究開発により獲得した知的財産に係るライセンスの供与に基づく収入(契約一時金収入、マイルストン収入等)を収益として認識しております。 ライセンスの供与に基づく収入は、原則として、約束の性質が当社の知的財産にアクセスする権利を提供するものと判定された場合にはライセンス期間にわたって充足される履行義務として収益を認識し、当社の知的財産を使用する権利を提供すると判定された場合にはライセンスを供与した時点で充足される履行義務として収益を認識します。 このうち、マイルストン収入は、契約で定められた研究開発の進捗等の条件が達成されるまでは不確実性が解消されず、認識した収益が減額される可能性があることから、条件が達成された時点より収益を認識します。 取引価格は、契約で定められた金額に基づき、契約に含まれる他の履行義務への配分額を考慮した金額を収益とします。 取引の対価は、契約の締結やマイルストンの条件達成等から1年以内に顧客から支払いを受けます。なお、契約に重要な金融要素は含まれておりません。
重要な会計上の見積り、財務諸表 (重要な会計上の見積り)繰延税金資産の回収可能性(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額                              (単位:千円) 前事業年度(自 2022年1月1日  至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日  至 2023年12月31日)繰延税金資産-- ※繰延税金負債と相殺前の繰延税金資産及び評価性引当額の残高は、(税効果会計関係)に記載の通りであります。
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報 繰延税金資産は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)に定める会社分類に基づき、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来事業年度の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で算定を行っております。課税所得の見積りは、取締役会により承認された翌事業年度の予算等を基礎としています。 上記のとおり、繰延税金資産は将来事業年度の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減少または増加し、この結果、税金費用が増減する可能性があります。
税効果会計関係、財務諸表 (税効果会計関係)1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳 前事業年度(2022年12月31日) 当事業年度(2023年12月31日)繰延税金資産 減価償却超過額5,424千円 11,875千円一括償却資産17 -契約負債473 29資産除去債務1,602 1,602繰越欠損金590,248 924,482繰延税金資産小計597,766 937,990税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額△590,248 △924,482将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額△7,518 △13,507評価性引当額小計△597,766 △937,990繰延税金資産合計0 0繰延税金負債 有形固定資産0 0繰延税金負債合計0 0繰延税金資産(負債)の純額- -(注)1.評価性引当額の変動の主な要因は、税務上の繰越欠損金による評価性引当額の増加によるものです。2.税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額 前事業年度(2022年12月31日)(単位:千円) 1年以内1年超2年以内2年超3年以内3年超4年以内4年超5年以内5年超合計税務上の繰越欠損金(※)―――――590,248590,248評価性引当額―――――△590,248△590,248繰延税金資産―――――――(※)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。 当事業年度(2023年12月31日)(単位:千円) 1年以内1年超2年以内2年超3年以内3年超4年以内4年超5年以内5年超合計税務上の繰越欠損金(※)―――――924,482924,482評価性引当額―――――△924,482△924,482繰延税金資産―――――――(※)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。 2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳 前事業年度(2022年12月31日) 当事業年度(2023年12月31日)法定実効税率30.62% 30.62%(調整) 交際費等永久に損金に算入されない項目△0.03 △0.13住民税均等割△0.63 △0.21評価性引当額の増減△30.89 △30.17その他0.29 △0.32税効果会計適用後の法人税等の負担率△0.63 △0.21
収益認識関係、財務諸表 (収益認識関係)(1)顧客との契約から生じる収益を分解した情報 当社の事業は、がん免疫療法創薬事業の単一セグメントであり、主要な財又はサービスの種類別に分解した収益は、以下のとおりであります。(財又はサービスの種類別内訳)                          (単位:千円)項目前事業年度当事業年度 一時点で認識する収益597,1474,390 一定期間にわたり認識する収益28,635312,427 ロイヤリティ―― 顧客との契約から生じる収益625,783316,818 その他の収益―― 顧客への事業収益625,783316,818 (2)顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報 「(重要な会計方針)5.重要な収益及び費用の計上基準」に記載のとおりであります。 (3)顧客との契約に基づく履行義務の充足と当該契約から生じるキャッシュ・フローとの関係並びに当事業年度末において存在する顧客との契約から翌事業年度以降に認識すると見込まれる収益の金額及び時期に関する情報 ① 契約負債の残高等(単位:千円) 前事業年度当事業年度 契約負債(期首残高)6,0204,846 契約負債(期末残高)4,8462,845 ② 残存履行義務に配分した取引価格 当社は、当初に予想される顧客との契約期間が1年を超える重要な取引がないため、残存履行義務に配分した取引価格の注記を省略しております。