財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-28 |
英訳名、表紙 | HEALIOS K.K. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表執行役社長CEO 鍵本 忠尚 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-4590-8006 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 2011年2月現 代表執行役社長CEO鍵本忠尚らの出資により、福岡県福岡市東区において株式会社日本網膜研究所(現 株式会社ヘリオス)を設立iPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植による加齢黄斑変性治療法の開発を開始2012年12月東京都千代田区に東京事務所を開設2013年9月商号を株式会社ヘリオスに変更東京事務所を東京都中央区に移転するとともに同所に本店を移転2013年10月公益財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター(現 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)内に研究室(現 神戸研究所)を開設2013年12月大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)と国内におけるiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植による加齢黄斑変性治療法の開発に関する共同開発契約、実施許諾契約及び合弁契約を締結アキュメン株式会社より眼科手術補助剤に関する事業の譲受2014年2月大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)との合弁により株式会社サイレジェンを設立2014年9月本店を東京都港区に移転2014年10月公立大学法人横浜市立大学とiPS細胞等を用いた再生医療等製品(ヒト臓器に関するものを含む)に係る特許実施許諾契約(独占)を締結2015年6月東京証券取引所マザーズに株式を上場2016年1月米国Athersys, Inc.と国内における幹細胞製品MultiStem®を用いた再生医療等製品に関するライセンス契約を締結2017年2月株式会社ニコンと再生医療分野における業務・資本提携契約を締結2017年4月BBG250を含有する眼科手術補助剤に係る事業を株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所に譲渡2018年2月米国に子会社 Healios NA, Inc.(現 連結子会社)を設立2018年3月米国Athersys, Inc.への戦略的投資を実施2018年6月米国Athersys, Inc.との幹細胞製品MultiStem®を用いた独占的ライセンス契約を拡大2019年6月大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)とのiPS細胞由来網膜色素上皮細胞による治療法の日本国内における共同開発体制を変更2019年7月株式会社ニコンとの再生医療分野における業務・資本提携を拡大2020年1月国際会計基準(IFRS)の適用を開始2020年10月本店を東京都千代田区に移転2021年1月米国Saisei Ventures LLC含め、再生医療分野のファンド子会社(現 連結子会社)を設立2021年8月米国Athersys, Inc.との商用化に向けた包括的な協業拡大に関する契約締結2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所マザーズからグロース市場に移行2023年7月子会社 株式会社プロセルキュア(現 連結子会社)を設立2023年8月子会社 株式会社eNK Therapeutics(現 連結子会社)を設立2023年10月米国Athersys, Inc.から幹細胞製品MultiStem®を用いた再生医療等製品に関する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象としたグローバルライセンスを取得 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社7社により構成されており、「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションの下、幹細胞技術をもって難治性疾患を罹患された方々に治癒と希望を届けるべく、体性幹細胞再生医薬品分野、及びiPS細胞に関連する技術を活用した再生医療等製品(iPSC再生医薬品)の研究・開発・製造を行うiPSC再生医薬品分野において事業を推進しております。なお、当社グループの事業セグメントは、医薬品事業のみの単一セグメントであります。 以下の表は、当連結会計年度末現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。なお、製品の開発に際しては様々なリスクを伴うため、当社グループとして各製品に関する製造販売承認の取得又はその時期を保証できるものではありません。当社グループ製品の開発リスクの概要については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」のとおりであります。 [体性幹細胞再生医薬品分野] [iPSC再生医薬品分野](*)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞 (注)1.新薬開発のプロセスは、「創薬」、「前臨床試験」の研究段階を経て、ヒトを対象として有効性・安全性などを検証する「臨床試験(治験)」を実施し、承認を取得する流れとなっています。臨床試験は、「第Ⅰ相試験」、「第Ⅱ相試験」及び「第Ⅲ相試験」といった開発の相に分かれて実施されます。2.条件及び期限付き承認制度に基づく承認を取得する場合は、従来の医薬品のような開発の相(第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相)の考え方は適用されません。 (1)体性幹細胞再生医薬品分野① 概要体性幹細胞再生医薬品は、生体のさまざまな組織にある幹細胞である「体性幹細胞」を利用して、現在有効な治療法のない疾患等に対する新たな治療法を開発することを目的とする製品です。なお、体性幹細胞には、神経幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞など複数の種類があり、生体のさまざまな組織に存在します。限定された種類の細胞にのみ分化(細胞が特定の機能を持った細胞に成熟することをいいます。)するものや、複数の種類の細胞に分化するものもありますが、iPS細胞等との比較においては、分化する細胞の種類は一般に限られています。 本医薬品分野において当社は、2016年より米国Athersys, Inc.(以下、アサシス社と言います。)が特許権・特許実施許諾権を有する体性幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(以下ARDSと言います。)に対する細胞治療医薬品の開発・販売に関する国内の独占的なライセンス契約を締結しております。また、2021年8月、アサシス社と商用化に向けた包括的な協業拡大に関する契約を締結し、脳梗塞急性期およびARDSに対する治療薬の商用製造に関するライセンス権等を取得いたしました。両疾患に対する日本国内における治療薬の商用製造に関して、医薬品製造受託機関(CMO)を当社が直接コントロールする製造ライセンスの権利を取得し、発売後は、CMOより直接、当社に製品が供給されます。2023年10月には、ARDSに対するライセンスに関し、その対象地域を全世界に拡大することで合意しました。アサシス社は、2024年1月に米国連邦破産法第11条に基づく破産手続きを申請しました。これを受けて当社は、アサシス社のほぼ全ての資産を取得するために、米国連邦破産法第363条に基づく取引に関する契約をアサシス社と締結しました。当社が資産を取得することとなった場合、当該資産には、当社が同社に支払予定であった将来マイルストンやロイヤルティ支払義務、同社が持つ400件以上のグローバルな特許を含む特許ポートフォリオ等が含まれているため、今後の当社の経済的負担の解消ならびに、さらなる適応症のためのグローバル権利及び提携の機会がもたらされることが期待されます。 ② 体性幹細胞再生医薬品分野のパイプライン(HLCM051)(ⅰ)日本向け脳梗塞急性期に対する治療法開発当社は、2016年1月、新規パイプラインとしてHLCM051を導入いたしました。本パイプラインの対象疾患である脳梗塞は、脳の血管が詰まることにより、その先に酸素や栄養分が届かなくなり、詰まった先の神経細胞が時間の経過とともに壊死していく病気です。日本の年間発症患者数は23万人~33万人(総務省資料及びDatamonitor等を基に当社推定)、死亡者数は年間約6万2千人(厚生労働省 人口動態統計)と推定され、発症した患者さんの中には死亡を免れても機能障害が残り、寝たきりや日常生活に介護が必要となる場合があることが知られています。脳梗塞急性期に対しては、脳の血管に詰まった血の塊を溶かす血栓溶解剤t-PAを用いた治療が行われていますが、血栓溶解剤の処方は発症後4時間半以内に限定されており、脳梗塞発症後に治療できる時間がより長い新薬の開発が待たれる疾患領域となっています。HLCM051は、点滴により静脈投与され、脾臓に分布して炎症免疫細胞の活性化を抑制する事により炎症や免疫反応を抑えて神経細胞の損傷を抑制し、神経保護物質を産生して治療効果を発揮すると考えられています。本製品は、すでにアサシス社によって欧米にて第Ⅱ相試験が行われており、脳梗塞発症後36時間以内の患者さんに対する治療法となりうる可能性が示されております。当社は、この欧米での試験結果を参考とし、脳梗塞発症後18時間から36時間以内の患者さんを対象とした、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しました。2017年11月より患者への投与が開始され、以降40施設強の医療機関で臨床試験を進め、2021年8月に患者組み入れが完了いたしました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。2023年10月にはアサシス社が、欧米で実施している治験の中間段階でのデータ解析を行い、統計学的有意性を満たすためには組み入れ患者数の追加が必要との結論になりました。この結果に基づき、独立した統計専門家によるさらなるデータ解析を行うこととなり、当社もその結果を待って今後の対応を検討する予定です。なお、2024年1月にTREASURE試験の結果に関する学術論文がJAMA Neurologyに掲載され、学術的に一定の評価を得ました。本治験の情報について、米国国立医学図書館が管理するウェブサイト“ClinicalTrials.gov”に登録・公開をしております。(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02961504) (ⅱ)日本向け急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法開発当社は2018年5月、アサシス社とのライセンス契約拡大により、同社の創製した体性幹細胞製品MultiStem®を用いたARDSに対する治療法の日本国内における開発を開始いたしました。 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、様々な重症患者に突然起こる呼吸不全の総称で、原因疾患は多岐にわたりますが、およそ1/3は肺炎が原因疾患で、新型コロナウイルス感染症の重症患者においても併発することが確認されています。生命予後を直接改善できる薬物療法は無く、人工呼吸管理による呼吸不全の対処療法が実施されますが、有効な治療薬はいまだ開発されていません。そのため、ARDSは非常にアンメットメディカルニーズが高く、新たな治療の選択肢が望まれている疾患と言えます。発症後の死亡率は全体の30~58%*aである極めて予後不良の疾患で、生命予後を改善できる新規の治療法が望まれています。現在国内の患者数は年間2.8万人程度*bと推定されており希少疾患に指定されていますが、米国では21.3万人から26.2万人*c、欧州では13.3万人程度*d、中国では67万人*e、全世界では110万人以上が罹患していると推定されます。(出典)*a ARDS診断ガイドライン2016*b 疫学データの発症率と人口統計による日本総人口を基に当社推定*c Diamond Metal. 2023 Feb 6. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023 Jan–.PMID: 28613773 のデータと外務省アメリカ合衆国基礎データによる米国総人口を基に当社推計*d Community Research and Development Information Service (CORDIS) 2020 7-9 3*e song-et-al-2014-acute-respiratory-distress-syndrome-emergingresearch-in-china 当社が開発を進めるARDSに対する新規の細胞治療法は、現在実施中の脳梗塞急性期患者を対象とした臨床試験と同様に、HLCM051を、ARDSと診断された患者に一定の時間内に静脈投与するものです。HLCM051は、炎症性T細胞を中心とした炎症免疫細胞の活性化を抑制することにより、肺での過剰炎症や毛細血管内皮の損傷を抑制し、肺水腫の状態を改善することで呼吸機能を正常化する効果があると考えられています。その結果、ARDS患者における人工呼吸器の使用期間を短縮、又は死亡率を低下させる可能性があると考えられます。アサシス社は、欧米においてARDS患者に対するMultiStem®の安全性と有効性を探索する第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施しており、2021年11月にIntensive Care Medicineに試験結果が掲載されました。この試験は統計的に有意差を検出することを目的とはしていませんでしたが、ARDS患者20人に対してMultiStem®を、10人に対してプラセボを投与して実施した第Ⅱ相二重盲検試験において、死亡率、投与後28日間の人工呼吸器を使用しなかった日数及び集中治療室での管理を必要としなかった日数などの指標においてMultiStem®投与群では改善傾向が見られました。当社は、2018年10月、日本国内における肺炎を原因疾患とするARDS患者を対象としたHLCM051の有効性及び安全性を検討する第II相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を開始しました。本治験は、非盲検下で標準治療対照、組入症例数30として、2019年4月より患者組み入れを開始しました。2020年4月には、あらたに評価対象群を追加し、新型コロナウイルス由来の肺炎を原因疾患とするARDS患者5症例を対象に、安全性の検討を実施するため試験プロトコルの変更を行いました。2021年3月に患者組み入れが完了し、2021年8月と11月には、HLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。これらを経て、2022年3月末にPMDAと承認申請に向けての指導及び助言を受けるための再生医療等製品申請前相談を実施いたしました。その中で、本製品の有効性及び安全性に関する一定の合意は得られたものの、承認申請にあたってはデータ補強が必要との助言を受けました。2023年2月末にPMDAと追加試験の概要について合意が得られました。2023年7月にPMDAより大量生産が可能となる三次元培養法によって製造された治験製品を用いることの合意が得られました。また、データ補強に必要な追加試験を主体的に推進するための子会社、株式会社プロセルキュアを設立しました。2023年10月には、アサシス社とARDSの開発・製造・販売に関する国内での独占的なライセンス契約について、その対象地域を全世界に拡大することで合意しました。2023年12月には、ノーベルファーマ株式会社と、ARDS治療薬の日本国内における開発販売提携に向けた基本合意書を締結しました。2024年2月には、本疾患を対象とした臨床試験に関する治験計画届出書が受理され治験を開始しました。なお、当社の開発するHLCM051は、2019年11月に、ARDSを対象とした希少疾病用再生医療等製品として厚生労働大臣より指定されています。 (2)iPSC再生医薬品分野① 概要iPSC再生医薬品は、iPS細胞を分化誘導(細胞を特定の機能を持った細胞、例えば神経細胞・皮膚細胞などに人為的に変化させることをいいます。)して作製した人体と近似の機能を持つ細胞を移植することによって、機能を回復することを目的とする製品であります。iPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、2006年に国立大学法人京都大学(以下、京都大学と言います。)の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功し、2012年にその功績からノーベル生理学・医学賞を受賞したことで広く知られるようになった、皮膚などの体細胞にいくつかの遺伝子(山中因子)を導入することによって作り出される、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力(多能性)と、ほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持った細胞であります。 ヒトの体は約60兆個の細胞からなりますが、それらの細胞は全て元々一つの細胞であった受精卵が細胞分裂を繰り返し、それぞれ臓器・器官等を構成する細胞へと分化したものであります。受精卵が特定の細胞に分化していく流れは一方通行であり、従来の技術では一度分化した細胞を分化する前の細胞に戻すことはできませんでした。ところが、皮膚細胞などの成熟した細胞にいくつかの遺伝子を導入することにより、新たに様々な細胞に分化する能力(多能性)とほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持たせることに成功したものがiPS細胞であります。iPS細胞のような多能性幹細胞は、いずれも自然に特定の細胞に分化していく訳ではないため、特定の細胞に分化を誘導するためにはiPS細胞の作製とは別の技術が必要となります。加えて、近年、細胞医薬品分野においては、罹患者自身から採取した細胞(自家細胞)由来の幹細胞を用いたもののみならず、安全性が確認された他人の細胞(他家細胞)由来の幹細胞を活用した医薬品などの研究開発が進んでおります。 ② iPSCプラットフォーム当社は、遺伝子編集技術を用いて、HLA型*1に関わりなく免疫拒絶*2のリスクを低減する次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、UDCと言います。)の作製を進めてまいりました。UDCは、免疫拒絶反応を抑えた他家iPS細胞です。次世代がん免疫療法、眼科領域、臓器原基等への活用を目指しています。通常、移植細胞は患者とのHLA型を一致させない場合には、免疫拒絶反応を起こします。そのため、移植時には免疫抑制剤の投与が必要となりますが、患者の負担も大きくなります。免疫抑制剤の投与を回避するためには、自らの細胞から作製する自家iPS細胞の使用が望ましいのですが、この作製には多くの時間と多額の費用が必要となります。UDCは、遺伝子編集技術を用い、免疫拒絶反応の抑制を可能にするiPS細胞です。当社のUDCは、他家iPS細胞から拒絶反応を引き起こすHLA遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、および安全装置としての自殺遺伝子を導入した、安全な細胞医薬品の原材料となる細胞です。iPS細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームです。2020年には、日米欧を含む国内外でのヒトへの臨床応用も可能なレベルの細胞株(臨床株)の作製に成功し、2021年には、UDCのマスターセルバンクを完成させました。2021年9月には、国立研究開発法人国立国際医療研究センターとの共同研究においてUDCから膵臓β細胞*3への分化誘導を確認しました。2023年4月には、米国ノースウェスタン大学の研究チームが、UDCから分化させた聴神経前駆細胞が、遺伝子編集前の親株細胞から分化させた聴神経前駆細胞に比べて蝸牛への移植後生着率向上を示すことを確認しました。海外企業とのライセンス契約の締結をはじめ、国内外の企業・研究機関にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を進めています。2023年10月には、カリフォルニア州再生医療機構(CIRM:California Institute for Regenerative Medicine)が公募する臨床研究支援プログラム(Translational Stage 4 (TRAN4) grant)においてUDCが採択され、CIRMからの最大約100万ドルの補助金支援が決定しました。 *1 HLA型:HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球型抗原)は、すべてのヒト細胞に発現しており、免疫にかかわる重要な分子です。体内では、自分のHLA型と異なるものはすべて異物と認識され、免疫反応により拒絶・攻撃されます。よって、臓器移植においてはHLA型の一致が非常に重要になります。*2 免疫拒絶反応:他人の細胞や臓器を移植した場合、移植された細胞・臓器(移植片)が異物として認識され、免疫細胞に攻撃・排除される反応です。*3 膵臓にあるランゲルハンス島を構成している細胞の1種で、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し、血液中の糖を調整しています。 ③ iPSC再生医薬品分野のパイプライン(HLCN061、HLCR011、HLCL041)(ⅰ)がん免疫(HLCN061)当社は、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞*1(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めております。これまで当社が培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK®細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手いたしました。なお、上記施設にて使用する培養装置の供給元である佐竹マルチミクス株式会社と、2022年10月、培養装置の継続的改良と支援業務に関する資本業務提携契約を締結しました。昨今、遺伝子改変したT細胞やNK細胞を用いたがん免疫細胞療法の可能性が報告されています。血液がんに関しては、患者自身のT細胞を取り出し遺伝子改変により標的となるがん細胞への攻撃力を高め、再び体内に戻すCAR-T細胞療法が、国内で承認されています。一方、固形がんについては、がん免疫細胞療法として承認されている製品はなく、その実現が今後の課題となっています。特に、がん疾患の多くを固形がんが占めていることから、固形がんに対する有効な治療法が望まれております。当社が研究中のHLCN061は、遺伝子編集技術により種々の抗腫瘍機能を増強したiPS細胞から分化誘導したNK細胞です。固形がんをターゲットに特定のがん抗原に限定されず、幅広いがん疾患に有効となることを目指しています。現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、複数種類のがん腫に由来するPDX*2(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)サンプルにより、eNK®細胞が認識する特定の分子候補の発現をRNAシーケンシングと免疫染色で確認しています。次のステップとして、PDXを用いてeNK®細胞の抗腫瘍効果などの評価を実施しています。更に、国立大学法人広島大学大学院とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。また、自社研究において、eNK®細胞が同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、胃がん腹膜播種モデルマウス、及び中皮腫皮下移植モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*3においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。2023年8月に、これらの研究・開発を推進するための子会社、株式会社 eNK Therapeuticsを設立しました。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAとの相談を進めています。 *1 ナチュラルキラー細胞(NK細胞):人間の体に生まれながらに備わっている防衛機構で、がん細胞やウイルス感染細胞などを攻撃する白血球の一種です。さらに白血球の分類においてはリンパ球に分類されます。NK細胞を用いた治療の有効性としては延命効果、症状の緩和や生活の質の改善、治癒が期待されています。*2 PDXモデル:PDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)モデルは、患者由来のがん組織片を免疫不全マウスに移植し腫瘍を再現したモデルです。臨床に近い状態が再現されており前臨床創薬研究において活用されています。従来の実験に用いられてきたがん細胞株は、元のがん組織の特性が失われているため、抗がん剤の正確な治療効果を予測できない可能性がありました。PDXモデルは、がん組織の特徴が保持されており、抗がん剤の治療効果の予測に高い精度をもたらすことができます。*3 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造を持つ組織・細胞。 (ⅱ)細胞置換(a)眼科領域(HLCR011)当社は、他家iPS細胞を正常な網膜色素上皮細胞(以下、RPE細胞と言います。)に分化誘導し、純化した上で、iPS細胞由来RPE細胞懸濁液という形で罹患者に移植し、加齢黄斑変性の治療を行うiPSC再生医薬品の開発を進めております。加齢黄斑変性(AMD:Age-related Macular Degeneration)は、網膜変性疾患の一種であり、網膜の中でも視力を保つために極めて重要な役割を果たす「黄斑部」に障害が生じる病気で、発症すると次第に視力が低下し、見え方に異常が生じるなどの症状が現われます。その原因は、黄斑部を支えるRPE細胞が老化等の原因により感覚網膜への栄養補給や老廃物の分解ができなくなってしまうことにあるものとされております。加齢黄斑変性は、日本人に多く見られる滲出型(ウェット型)と欧米人に多く見られる萎縮型(ドライ型)に大別されます。当社は、罹患者自身ではない第三者の細胞から作製され、安全性等に関する基準を満たしたiPS細胞から作製したRPE細胞を含む懸濁液(懸濁液とは、液体中に個体粒子が分散しているものを言います。)を移植し、患部に定着させることにより感覚網膜への栄養補給や老廃物の分解機能を回復させ、視機能を改善させることを目指す、新しい治療法開発を進めております。この治療法の開発のため、当社は、2013年2月にiPSアカデミアジャパン株式会社との間でRPE細胞を有効成分として含有する細胞製品を対象とする全世界を許諾領域としたiPS細胞樹立基本技術に関する特許実施権許諾契約を締結して非独占的ライセンスを受けるとともに、理化学研究所との間で同年3月にiPS細胞を含む多能性幹細胞由来RPE細胞を有効成分として含有する再生医療製品を対象とする全世界を許諾領域とした特許実施許諾契約を締結して独占的ライセンスを受けております。2013年12月には、大日本住友製薬株式会社(現、住友ファーマ株式会社。以下、住友ファーマと言います。)との間で、日本におけるRPE細胞製品の開発を共同して行うことを合意しました。その後、iPS細胞を用いた治療法の実現には当社と住友ファーマのみならず様々なステークホルダーも交えた長期的な開発体制が必要となることから、資源配分の有効性を考慮したうえで共同開発体制の変更が適切であると判断するに至りました。その結果、2019年6月、今後は住友ファーマが主体となって治験を進めることとなり、2023年6月に網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しました。 (b)肝疾患領域(HLCL041)当社は2014年10月、公立大学法人横浜市立大学(以下、横浜市立大学と言います。)と臓器のもとになる臓器原基を人為的に作製する新規の細胞培養操作技術を用いた機能的なヒト臓器の作製技術に関し、独占的な特許実施許諾契約を締結いたしました。同技術は、胎内で細胞同士が協調し合って臓器が形成される過程を模倣するという発想から開発されたもので、3種類の細胞(内胚葉細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞)を一緒に培養することで臓器のもとになる立体的な臓器原基(臓器の芽)を人為的に創出する新規の細胞培養操作技術です。この実用化に向け、当社は、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器を用いた治療法開発に向けて、横浜市立大学と肝疾患を対象とした肝臓原基*4の製造に関する共同研究を進め、2022年4月からは、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、本治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を実施しました。肝臓は、たんぱく質など身体に必要なさまざまな物質を合成し、不要有害な物質を解毒、排泄するなど約500種類もの機能を、約2,000種類以上の酵素を用いて果たしている体内の化学工場といえる臓器です。HLCL041は、肝臓へ肝臓原基を注入し機能的な肝臓に育てることで、生産できない酵素を生産できるように肝臓機能を改善させることを目的とした再生医療等製品を目指しており、ヒトへの移植が可能なヒト肝臓原基の大量製造方法の構築、さらに作製されたヒト肝臓原基の評価方法や移植方法を検討しました。現在、臓器が適切に機能しない疾患に対しては、機能を損なった臓器を健常な臓器へ置換する臓器移植が有効な治療法として実施されています。しかしながら、年々増大する臓器移植のニーズに対し、ドナー臓器の供給は絶対的に不足しており、iPS細胞等を用いて作製した臓器原基をヒトの体内に移植することによって機能的なヒト臓器を創り出すという新たな再生医療等製品(3次元臓器)は、臓器移植の代替治療としての新たな治療概念を提唱できるプラットフォーム技術として幅広い展開が期待されています。なお、本研究につきましては、2023年2月、開発のさらなる加速のため、当社からカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方針を決定いたしました。 *4 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 関係会社は次のとおりであります。名称住所資本金主な事業内容議決権の所有割合又は被所有割合(%)関係内容(連結子会社)Healios NA, Inc.(注)1米国カリフォルニア州2,650千米ドル医薬品の開発等100.0役員の兼任Saisei Ventures LLC(注)2米国マサチューセッツ州70千米ドルSaisei Capital Ltd.に対する投資助言49.0役員の兼任Saisei Capital Ltd.(注)3ケイマン-Saisei Bioventures, L.P.の運営49.0-Saisei Bioventures, L.P.(注)1ケイマン30,281千米ドル再生医療関連分野への投資8.3-株式会社プロセルキュア兵庫県神戸市中央区0百万円医薬品の開発等100.0役員の兼任株式会社 eNK Therapeutics東京都千代田区0百万円医薬品の開発等100.0役員の兼任その他1社 (持分法適用共同支配企業)株式会社サイレジェン兵庫県神戸市中央区6百万円iPSC再生医薬品の製造等50.0研究開発活動の委託役員の兼任(注)1.特定子会社に該当しております。2.当社が有するSaisei Ventures LLCの議決権の所有割合は49%でありますが、実質的に支配しているため、当社の子会社としております。3.当社が有するSaisei Capital Ltd.の議決権の所有割合は49%でありますが、実質的に支配しているため、当社の子会社としております。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。 2023年12月31日現在事業部門の名称従業員数(人)研究開発部門49(16)管理部門15(4)合計64(20)(注)従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。 (2)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)61(20)43.65.68,728 セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。 事業部門の名称従業員数(人)研究開発部門48(16)管理部門13(4)合計61(20) (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。 (3)労働組合の状況 労働組合は結成されていませんが、労使関係は安定しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションを掲げ、「iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届ける。世界中に承認販売まで自社で行う体制を構築し、全ての人からRespectを受けるバイオ企業を確立する。」というビジョンに沿って、iPS細胞等の優れた幹細胞技術をもって、世界中の難治性疾患の罹患者に対して新たな治療法を届けるべく、研究開発から製造販売承認の取得、製造・販売までを自社、関係会社及び提携会社において実現する体制の確立を目指し、事業を進めております。 (2)目標とする経営指標当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発推進には、多額の開発資金が必要となるため、当該製品が上市されるまでは研究開発費を中心に先行投資が続くものと想定しております。当社は、新たな提携・多面的な資金源の確保による財務の安定化を目指しており、早期の製品の上市に向け開発計画の着実な進捗に目標を置き事業を推進してまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社グループは上記(1)記載のミッション・ビジョンを実現するため①短期戦略:日本国内において承認の目途が立つ開発パイプライン、または当社グループの経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品②長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術という事業拡大戦略に基づき、①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を果たすという、ハイブリッド戦略を推し進めております。まずは、短期戦略に基づき2016年に導入した体性幹細胞再生医薬品分野におけるパイプラインHLCM051の承認を目指し、現在脳梗塞急性期及びARDSを対象疾患とした治験を実施し、その結果をもって規制当局と協議を進めながら、事業化を目指し開発を進めております。一方、長期戦略の柱であるiPSC再生医薬品の実用化にむけては、第一に遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製にむけた研究活動など、再生医療の産業化に向けて必要な次世代の技術プラットフォームの確立を目指してまいります。また、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫療法の研究を進めております。また、当社はバイオ領域の投資に特化した米国Saisei Ventures LLCを設立し、国内外のバイオ領域への成長資金の提供と投資回収によるリターンのみならず、情報収集を通じて当社パイプラインに貢献する技術や他ベンチャーとの連携を期待しています。当社グループは、患者さんのアンメットメディカルニーズの高い適応疾患領域における複数かつ多層的な開発戦略により、リスク低減を行い、企業価値の向上を目指します。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 既存パイプラインの開発推進当社グループは、法改正で新設された、再生医療等製品に対する早期承認制度を活用し、日本国内においていち早く再生医薬品の承認を獲得すべく、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野にて開発を進めております。共同開発パートナーや提携先、治験実施施設等とのスムーズな連携により、着実に開発を進めることが課題と考えております。 ② 開発におけるアライアンス体制の強化について再生医療業界においては、常に新しい発見が重ねられており、目覚ましい技術の進展が見られます。またグローバル規模の製薬企業も再生・細胞医療に新たな可能性を見出し、企業買収等によって参入を図っています。このような競争環境のなか、当社グループは、世界でデファクトスタンダードの地位を築く可能性のある革新的なプラットフォーム技術の取得が重要と考えております。国際的な情報ネットワークを一層強化し、国内外の公的研究機関や企業等から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築くことが課題と考えております。 ③ 資金調達・管理当社グループのようなバイオテクノロジー企業は、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。そのため研究開発資金の確保は重要課題の1つであると考えております。体性幹細胞再生医薬品分野において当初見込んでいた申請スケジュールに遅延が発生したことにより、今後の研究開発の継続に向けた事業体制の最適化に向け、経営資源の配分、固定費削減を中心とした合理化施策の継続的な実施を講じております。体性幹細胞再生医薬品分野、iPSC再生医薬品分野における固形がんを対象としたeNK®細胞、CAR-eNK®細胞のパイプラインにおいて特に経営資源を集中して研究開発を進めます。さらにいずれのパイプラインにおいても、自社開発のみならず、国内外の有力製薬企業との連携等を目指し、社外のパートナーとの共同開発や提携の実現が重要と考えております。以上に加え、iPS細胞株、UDCの提供等による収入、既存パイプラインの開発進捗による共同開発先からのマイルストン収入や、承認取得による早期の売上計上を目指すほか、リスクの分散や資金調達の多様性確保のため、新規提携先からの契約一時金やマイルストン収入、金融機関等からの借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源の検討も必要と考えております。 ④ 人材の獲得再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供することが課題と考えております。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループではこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではありません。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野のリスク① 開発期間が長期にわたることに伴う損失の計上と追加の資金調達の可能性について 当社は、iPSC再生医薬品分野に加えて、2016年1月より体性幹細胞再生医薬品分野においても研究開発を進めており、当社の両分野の今後の研究開発の進展及び事業展開の成否に依拠しています。 体性幹細胞再生医薬品分野のパイプラインHLCM051は、アサシス社の開発する幹細胞製品MultiStem®を用いて脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象疾患とするもので、法改正で新設された早期承認制度に基づいた承認の取得も想定し、治験を実施いたしました。 またiPSC再生医薬品は、前臨床試験段階であり、製品の上市までにはさらなる段階が必要となります。 このため、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野において、実際に上市されるまでは収益が上がらず、損失を計上し続ける見込みとなっております。また、当社の体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発には多額の資金が必要となることから、当社は追加の資金調達を行う可能性があります。このように、当社が想定しない追加の費用が発生したり、資金調達が想定通り行えない場合には、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、HLCM051を先行して上市させることにより、その販売からの収益を、iPSC再生医薬品分野の開発に充てるハイブリッド戦略を展開しております。脳梗塞急性期及びARDSを対象とした医薬品の開発について規制当局と協議を進めております。 ② ライセンス契約元等との関係について 当社は、HLCM051に関しては、アサシス社細胞治療医薬品の開発・製造・販売に関し国内及び一部海外も含めた独占的なライセンス契約を締結しております。HLCM051の商用製造に関しては、医薬品製造受託機関(CMO)に対して当社から製造委託を行う予定です。アサシス社は、2024年1月、米国連邦破産法第11条に基づく破産手続きを申請しました。当社は、米国連邦破産法第363条に基づく取引に関する契約をアサシス社と締結し、アサシス社のほぼ全ての資産の取得を目指しています。なお、アサシス社との契約下における当社の既存の権利は、連邦破産法下の保護を受けることが合意されており、今後、本手続きの中で、当社事業へ影響が及ばないよう適切に管理される予定です。アサシス社の上記資産獲得に何等かの障害が発生した場合やCMOの製造・供給体制になんらかの支障が生じた場合等、HLCM051の開発又は販売計画に変更が発生する可能性があります。 ③ 技術革新と競合について 当社が実施しているiPSC再生医薬品に係る研究開発の領域は、国内のみならず、世界的にも注目を集めている研究分野であるため、新しい知識や技術が発見されイノベーションが生まれやすい分野であります。ES細胞由来の細胞医薬品を含め、様々な治療法の開発が進展しているところであります。 体性幹細胞再生医薬品分野においては、すでに様々な研究開発が進んでおり、より実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。 これらの周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手が、当社の保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合、また、当社グループで実施している再生医療分野に関する最新業界動向の収集・分析が不十分で環境変化への迅速な対応ができない場合などには、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、大学や公的研究機関と連携し、常に最先端の技術開発に取り組んでおります。 ④ 再生医療等製品に関する法規制について 2014年11月に施行された医薬品医療機器等法(以下、薬機法と言います。)は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るものであり、体性幹細胞/iPSC再生医薬品を含む再生医療等製品について早期承認制度に基づいた条件及び期限付承認制度を新設しております。この制度下での承認実績は既にあるものの、他家iPS細胞を由来とする製品はいまだ実績がないことから、他の細胞由来の製品とは異なる検証が必要となる可能性も考えられます。また、かかる薬機法を含む再生医療等製品に関する法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります。法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められる等の理由によって、多額の設備投資や追加の開発費用が必要となり、また当社の想定よりも多数の試験が求められた場合、開発スケジュールが大幅に遅れるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく情報収集、関係規制当局との相談、社内体制の整備等に努めております。 ⑤ 体性幹細胞/iPSC再生医薬品の製品特性について 体性幹細胞/iPSC再生医薬品は、ヒト細胞・組織を原材料とした細胞を人体へ移植・投与するという特性上、原材料の安全性に関するリスクや、様々な予期せぬ副作用・医療事故の発生などの可能性があり、そのために法制度上も厳しい規制がなされております。今後予期せぬ事態が発生する可能性を完全に防ぐことは難しく、そうした事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、そうした規制に対応し、事故を防止するためにも、再生医療分野における知見を有する人材や薬事制度に精通した専門家に関与いただくなど様々な施策を講じております。 ⑥ 製造・販売体制の構築に関する不確実性について 当社の体性幹細胞/iPSC再生医薬品事業は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の製造及び販売についても事業として展開していくことを視野に入れております。しかしながら、医薬品の開発には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造方法の確立、製造体制の構築等が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、提携先企業等とともに細胞の大量培養技術の開発など製造方法の確立に向けて注力しております。 販売体制については、当社単独で販売体制を構築するのか、あるいは製薬企業等との提携により販売体制を構築するのか、その方針はいまだ決定しておりません。今後、体制構築に何らかの障害が生じ、当社の計画より遅れた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、開発中の製品の上市に先立ち、営業・マーケティング組織の立ち上げ、国内医療用医薬品等卸売大手との契約締結など、販売開始に向けた準備を始めています。 ⑦ 海外での事業展開について 当社グループは、当社の開発するiPSC再生医薬品が、国内のみならず、世界各国の難治性疾患の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社の設立等といった形で海外展開に向けた取組みを進めております。 しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 治験の実施について 当社は、将来的に、iPSC再生医薬品分野において治験の実施を検討しております。一般的に治験の実施において、いまだ再生医療等製品の治験実施例は多くはないことから、治験に必要とされる患者を適切に確保できないこと、治験実施施設における各種手続きが計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、安全性に関する許容できない問題が生じた場合や、期待した有効性を確認できない場合には、開発を中止するリスクがあります。 このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)とも事前に相談し、綿密な計画を立て、治験を実施してまいります。 ⑨ 治験データの解析・評価結果、承認申請の不確実性について 当社は、現在、体性幹細胞再生医薬品分野において治験を実施しております。一般的に治験データの解析・評価結果において、その結果の確たる予測は困難であり、当社の予期せぬ結果となることも想定されます。また、承認申請において、PMDAとの相談の経過によっては、当社の想定どおりに進捗せず、同様に当社が想定するスケジュールどおりに行うことができない可能性があります。このような場合、当社グループの今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、継続的にPMDAと相談を続けながら、製造・販売承認申請に向けた準備を進めております。 ⑩ 投資に関するリスク 当社グループでは、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。また、これらとは別に、当社はSaisei Ventures LLCを通じて、国内外のバイオ領域に成長資金となる投資を行っております。 提携先または投資先において予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、提携先の選定やその投資価額の妥当性等において、第三者機関の評価を得たうえで慎重に進めております。 (2)医薬品の研究開発一般に関するリスク① 薬価に係る法規制の改正等について 世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社が想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造物責任について 当社が開発した医薬品が健康被害等を引き起こした場合、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負う可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (3)人材及び組織に関するリスク① 特定の個人への依存について 当社グループは、小規模な組織であります。また、代表執行役社長CEOである鍵本忠尚は、研究開発や経営方針、戦略の決定、提携先との関係構築等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、鍵本忠尚が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 社内管理体制について 当社グループの行う事業の性質上、他の役員及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分も大きく、今後、当社グループの業務の拡大に応じて人員の増強や社内管理体制の充実を図っていく方針でありますが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との連携関係の構築に支障が生じ、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4)その他の事業リスク① 大学等公的研究機関との関係について 当社では、これまで、公的研究機関との連携や特許実施許諾契約の締結等を通じて、積極的な研究開発活動を実施して参りました。しかしながら、国立大学の法人化により大学の知的財産権に関する意識も変化しつつあるため、特許実施許諾契約の新規締結や更新が困難となる等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権について 当社グループの事業を遂行していく中で、第三者が有する知的財産権を使用することがあります。当社グループでは適法な手続きのもとに知的財産権を使用することとしておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。当社グループでは、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施し、必要に応じて遅滞なく実施許諾契約(ライセンス契約)を締結しておりますが、今後、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われます。 当社グループは、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針でありますが、訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが有する知的財産権が第三者により侵害される可能性もあります。当社グループとしては、このような場合には当社グループの知的財産権保護のために必要な法的措置を検討していく方針ですが、費用対効果や第三者から特許無効審判等を提起される可能性なども勘案し、あえて法的措置に踏み切らない可能性も否定できず、その場合、当該第三者が当社グループと競合する事業を行う可能性も否定できないことから、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 風評上の問題の発生について 当社グループは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループに関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 災害等の発生に関する不確実性について 当社グループが事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社グループの設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 資金繰りについて 当社グループのようなバイオテクノロジー企業においては、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社グループとしましては、新規に模索している提携先からの契約一時金及びマイルストン収入や補助金の活用、金融機関等からの借入を実施することで資金確保に努め、必要に応じて増資による資金調達を実施する方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 配当政策について 当社グループは創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、現時点においては繰越利益剰余金がマイナスであるため、当分の間は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。 ⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について 当社は、役員及び従業員等に対し、モチベーションの向上を目的に新株予約権を付与しております。また、パイプライン開発や新技術開発等の資金需要に対応するため、新株予約権及び新株予約権付社債を発行しております。 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2023年12月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、15,644,223株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計の21.0%に相当しております。 ⑧ 為替変動のリスク 当社は、海外に子会社を設立しており、今後、海外企業とのライセンス契約の締結、海外での研究開発活動等において外貨建取引が増加する可能性があります。急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社グループは、当連結会計年度末において、現金及び現金同等物を6,722百万円保有しておりますが、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債4,000百万円(額面金額)の償還期日が1年以内となっています。また、当連結会計年度における営業損失は3,379百万円、営業活動によるキャッシュ・フローは△2,822百万円となりました。これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当社は、当該事象を解消すべく、2024年1月25日開催の執行役会において第三者割当の方法による新株式及び第22回新株予約権の発行について決議し、2024年2月9日に払込が完了しております。また、これに加えて、以下の対応策を図ってまいります。a.継続的な収益源の確保UDCやiPS細胞株の提供による売上収益に加え、当社の保有するその他医療材料を用いた研究の受託に伴う収益の獲得に取り組みます。b.既存パイプラインにおける提携先の開拓体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野におけるパイプラインについて製薬会社とのパートナリング、また一部地域における独占的開発・販売権の製薬会社へのライセンスアウトを進めることにより、開発リスク、財務リスクの低減を図ります。c.コスト削減従来からの固定費削減を継続し、当社グループの資金状況を見ながら研究開発を進めてまいります。d.資金調達ARDSを対象とする治療薬の臨床試験を推進するための株式会社プロセルキュア及びeNK®細胞を用いたがん免疫療法の研究・開発を推進するための株式会社 eNK Therapeuticsにおいて、ベンチャー・キャピタルからの出資及び補助金等を活用した資金調達を実行すること、また当社においても他の対応策の状況に応じて必要な資金調達を行っていきます。 これらの対応策のもと、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないものと判断しています。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況3年以上に及んだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行もほぼ終息し、コロナ前の日常が戻って来ました。製薬業界においては、アルツハイマー病の新薬が国内で正式承認されるなど、難病治療への新たな動きが見られた一方、ジェネリック医薬品を中心とした生産・供給の停滞が薬不足を引き起こすなどの問題も見られました。再生医療分野では、iPS細胞を用いた子宮頸がんの治療法の開発や、iPS細胞から作製した心筋球の心不全患者への移植等、研究の進捗が見られました。このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進いたしました。体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を継続しています。iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、「eNK®細胞」と言います。)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進めております。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」と言います。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めており、海外企業とのライセンス契約の締結をはじめ、国内外の企業・研究機関にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を進めています。今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に取り組んでいます。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ122百万円増加し、15,155百万円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ637百万円増加し、11,287百万円となりました。当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ515百万円減少し、3,867百万円となりました。 b.経営成績当連結会計年度における売上収益は121百万円(前期比34.6%増)、営業損失は3,379百万円(前期は5,179百万円の営業損失)、税引前当期損失は3,626百万円(前期は5,330百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は3,823百万円(前期は5,169百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて524百万円減少し、6,722百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により使用した資金は2,822百万円(前期は4,601百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前当期損失3,626百万円、減価償却費及び償却費224百万円、金融収益456百万円及び金融費用704百万円の計上等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は1,121百万円(前期は909百万円の資金の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,183百万円等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により獲得した資金は3,337百万円(前期は2,502百万円の資金の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,000百万円、新株の発行による収入3,089百万円及びSaiseiファンドにおける外部投資家からの払込による収入2,765百万円等によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b.受注実績 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。 c.販売実績 当社は、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業12134.6(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)RxCell, Inc.--7057.6住友ファーマ株式会社5459.72722.6Vita Therapeutics, Inc.--1713.8Tune Therapeutics, Inc.1719.3-- (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 ② 財政状態の分析当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ122百万円増加し、15,155百万円となりました。流動資産は779百万円減少し、7,683百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の減少524百万円であります。非流動資産は901百万円増加し、7,471百万円となりました。主な要因はSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等によるその他の金融資産の増加1,251百万円であります。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ637百万円増加し、11,287百万円となりました。流動負債は1,361百万円増加し、5,169百万円となりました。主な要因は、借入金の返済、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の償還期日が1年以内になったことによる非流動負債から流動負債への表示区分の変更等による社債及び借入金の増加958百万円であります。非流動負債は724百万円減少し、6,118百万円となりました。主な要因は、上記と同様に社債及び借入金の表示区分の変更等による減少3,437百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加2,685百万円であります。当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ515百万円減少し、3,867百万円となりました。主な要因は、新株の発行による2,976百万円の増加及び当期損失3,813百万円の計上であります。 ③ 経営成績の分析(売上収益) 当連結会計年度の売上収益は121百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。当社が認識している売上収益は、主に実施許諾契約等に基づく契約一時金及びマイルストン収入に関するものであります。当社におけるiPS細胞株、ユニバーサルドナーセルの提供等の増加により前連結会計年度と比較して売上収益が増加しております。(研究開発費、販売費及び一般管理費) 当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き、体性幹細胞再生医薬品分野における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬、iPSC再生医薬品分野におけるがん免疫療法を中心とした既存パイプラインの研究開発を推進いたしましたが、経費削減の施策により研究開発費は2,304百万円(前連結会計年度は3,808百万円)となり、販売費及び一般管理費は1,184百万円(前連結会計年度は1,449百万円)となりました。(営業損失) 当連結会計年度においては、売上収益を121百万円計上した一方、研究開発費2,304百万円、販売費及び一般管理費1,184百万円、その他の収益2百万円、その他の費用2百万円を計上した結果、営業損失は3,379百万円(前連結会計年度は5,179百万円の営業損失)となりました。(当期損失) 当連結会計年度においては、Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額308百万円、為替差益73百万円が発生したこと等により、456百万円を金融収益に計上いたしました。また、デリバティブ評価損542百万円、社債利息111百万円(うち71百万円は償却原価法による計上)、及び借入金及びリース負債に係る支払利息35百万円が発生したこと等により、704百万円を金融費用に計上いたしました。さらに、持分法による投資利益2百万円、法人所得税費用を187百万円計上した結果、当期損失は3,813百万円(前連結会計年度は5,170百万円の当期損失)となりました。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。当連結会計年度においては、主に既存パイプラインを進捗させるための研究開発活動に伴う営業活動によるキャッシュ・フローは2,822百万円の支出となりました。また、連結子会社であるSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは1,121百万円の支出となりました。さらに、新株式の発行、Saiseiファンドにおける外部投資家からの払込による収入、借入金の返済等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、3,337百万円の収入となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、6,722百万円となりました。キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 (1)再生医薬品分野に関する重要な契約相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容iPSアカデミアジャパン株式会社実施権許諾契約2013年2月1日2013年2月1日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで・網膜変性疾患の治療用途に使用するため、iPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。iPSアカデミアジャパン株式会社人工多能性幹細胞(iPS細胞)使用に関する特許実施許諾契約2015年3月12日2015年3月12日から2024年3月11日まで・国内外非営利機関及び/又はiPSアカデミアジャパン株式会社から提供されたiPS細胞を日本において研究目的で使用するための特許権の非独占的通常実施権を当社に対して許諾する。・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。国立研究開発法人理化学研究所特許実施許諾契約2013年3月28日2013年3月28日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで・多能性幹細胞由来網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療製品を全世界で開発・製造・製造委託・使用・販売・販売委託するための特許権及びノウハウの再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。公立大学法人横浜市立大学特許実施許諾契約2014年10月24日2014年10月24日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで・多能性幹細胞に由来する細胞又はヒト組織より分離された細胞を有効成分として含む再生医療製品を全世界で研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許出願等の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。株式会社ニコン業務・資本提携契約2017年2月22日期限の定めなし・再生医療分野における新規シーズの探索・開発の推進及び新規シーズを通じた相互の成長可能性の追求を目的とした契約。・当社は、株式会社ニコンに対して細胞製造に係る画像評価、細胞受託製造などに関するシーズの情報を提供し、他方、株式会社ニコンより細胞製造に係る画像評価における協力及び細胞製造受託に係る開発支援を受ける。・当社は、株式会社ニコンに対して第三者割当方式によって当社普通株式を付与した。株式会社ニコン合意書2019年7月10日2019年7月10日から2024年7月30日まで・2017年2月22日付の業務・資本提携契約に関し、再生医療分野における提携内容を拡大した。・当社は、株式会社ニコンに対して第三者割当方式による無担保転換社債型新株予約権付社債を割当てた。 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容住友ファーマ株式会社共同開発契約2019年6月13日2019年6月13日から共同開発行為が終了するまで・滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性症その他共同開発委員会において合意した疾患を適応症として、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞を再生医療等製品とした製造販売承認の取得及び販売を目的として締結された2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との共同開発契約に関し、以下の変更等を目的として新たな共同開発契約を締結した。- 共同開発における両社の分担業務につき、主として臨床試験の実施主体を当社から住友ファーマ株式会社へと変更し、これに伴い他の分担業務についても変更した。- 製造販売承認申請は臨床試験の結果に基づき住友ファーマ株式会社及び当社がそれぞれ検討する。- 開発費分担の枠組みを変更した。住友ファーマ株式会社実施許諾契約2019年6月13日2019年6月13日から2039年6月12日まで・2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との実施許諾契約における許諾対価算定基準の変更を行った。・開発マイルストンとして網膜色素上皮細胞製品の開発の進捗により、総額10億円の実施料の支払いを受ける。・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の独占的通常実施権(第三者から非独占的通常実施権を受けているものについては非独占的通常実施権)を住友ファーマ株式会社に許諾する。・日本を除く全世界における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を住友ファーマ株式会社に許諾する。・全世界における疾患の予防又は治療のためのその他の再生医療等製品の研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を住友ファーマ株式会社に許諾する。住友ファーマ株式会社合弁契約2019年6月13日2019年6月13日から当社又は住友ファーマ株式会社のいずれかが株式会社サイレジェンの株式の全てを保有しなくなった日又は同社を解散し清算結了登記をした日まで・株式会社サイレジェンの設立及び運営に関して締結された2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との合弁契約につき、2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、以下の変更を行った。- 当社と住友ファーマ株式会社の両社が製造販売承認申請を行う場合、株式会社サイレジェンに網膜色素上皮細胞製品の製造等を委託する。 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容住友ファーマ株式会社、株式会社サイレジェン共同実施許諾契約2019年6月13日2019年6月13日から2019年6月13日付の住友ファーマ株式会社との実施許諾契約が終了するまで・住友ファーマ株式会社と締結した2019年6月13日付共同開発契約及び実施許諾契約の趣旨に従い、2014年5月28日付の共同実施許諾契約における以下の変更を行った。- 株式会社サイレジェンが住友ファーマ株式会社及び当社に対し許諾の対価として支払う、正味売上高に対する料率を変更した。・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を、住友ファーマ株式会社及び当社が共同で株式会社サイレジェンに許諾する。Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyLicense Agreement2016年1月8日2016年1月8日から許諾対象となる特許権等が消滅するまで・以下に係る国内における開発・販売等に関する再実施許諾権付独占実施権について当社が許諾を受ける。(1)幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞に対する細胞治療医薬品 (2) 多能性前駆生体細胞を使用して作製された器官芽を用いた肝疾患に対する細胞治療医薬品・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。Athersys,Inc.SECURITIES PURCHASE AGREEMENT2018年3月13日期限の定めなし・Athersys社株式を1,200万株取得した。Athersys,Inc.INVESTOR RIGHTS AGREEMENT2018年3月14日期限の定めなし・Athersys社取締役を指名する権利を取得した。Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyCOLLABORATION EXPANSION AGREEMENT2018年6月6日2018年6月6日から、右記各ライセンス契約の終了時、又は当社からの20百万米ドルの支払及び取得対価のうち10百万米ドルの将来のマイルストンへの充当が完了し、iPS細胞由来製品とMultiStem®との併用療法の他地域に関する優先交渉期間が満了した時のいずれか早い時まで・下記THIRD AMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT、OPHTH LICENSE AGREEMENT及びCOMBINATION PRODUCT LICENSE AGREEMENTに基づくライセンス権取得等の対価として、20百万米ドルを支払う。うち10百万米ドルはエスクローへ預託された預託金を充当する。・取得対価のうち10百万米ドルについては、脳梗塞又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の開発が成功した際に、当社からの支払義務が発生するマイルストンから減額される。 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyTHIRD AMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT2018年6月6日右記License Agreementの契約開始日である2016年1月8日から対象となる特許権等が消滅するまで・2016年1月8日にAthersys,Inc.及びABT Holding Companyとの間に締結したLicense Agreement上のオプション権を行使して以下の独占的ライセンス権を取得した。(1)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の日本国内における開発・販売(2)臓器原基全適応のMultiStem®を併用したグローバルにおける開発・販売・許諾の対価として一定の実施料を支払う。Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyOPHTH LICENSE AGREEMENT2018年6月6日2018年6月6日から、対象となる特許権等の消滅時又は製品販売開始から10年後のいずれか遅い時まで・MultiStem®単体での眼科疾患治療法、及びiPS/ES細胞由来眼科製品とMultiStem®を併用した療法のグローバルにおける開発・販売のための独占的ライセンス権を取得した。・許諾の対価として一定の実施料を支払う。Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyCOMBINATION PRODUCT LICENSE AGREEMENT2018年6月6日2018年6月6日から、対象となる特許権等の消滅時又は製品販売開始から10年後のいずれか遅い時まで・iPS細胞由来製品とMultiStem®を併用した療法(対象臓器に制限あり)の日本国内における開発・販売のための独占的ライセンス権を取得した。・許諾の対価として一定の実施料を支払う。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構細胞処理施設B1にかかる設備・機器等の整備に関する業務委託契約2021年6月7日2020年9月7日から委託料の支払いが完了する日まで・GCTP(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)及びGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)に準拠した再生医療等製品の治験製品の製造が可能な細胞処理施設にかかる設備・機器等の整備を委託する。・当社は委託業務の対価として委託料を支払う。iPSアカデミアジャパン株式会社特許実施許諾契約2021年6月24日2020年9月15日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで・2013年2月1日付実施権許諾契約において当社に許諾されたiPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)の許諾分野追加に伴い、当社に対し新たに非独占的通常実施権を許諾する。・当社は許諾の対価として、一定の実施料を支払う。 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyComprehensive Framework Agreement/Fourth Amendment to Initial License Agreement2021年8月5日2016年1月8日付License Agreementの許諾対象となる特許権等が消滅するまで・2016年1月8日付License Agreementを修正し、以下を定める。(1)当社が株式会社ニコン・セル・イノベーション、他の当社指定の医薬品製造受託機関(CMO)に対して急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び脳梗塞の治療薬を日本で販売するための商用生産を委託できる権利を設定する。(2)製造ライセンスの取得に基づき、日本国内向け治療薬の商用製造に関わる試験用及び製造キャパシティの拡張等に際し、その費用の一部を当社が負担する。本製造に関する負担額の一部は、将来脳梗塞及びARDSに関して開発が成功した際に当社からアサシス社への支払い義務が発生するマイルストン金等から減額する。(3)アサシス社は当社指定のCMOへ3D培養技術を移管する義務を負う。(4)脳梗塞及びARDS以外に新たな適応疾患(最大2疾患)を対象とした治療薬の日本での開発・製造・販売に関する独占的実施権を当社に許諾する。(5)新たな3D培養技術応用を含める製造体制確立に応じた製造マイルストンとして、今後最大で合計8百万米ドルを支払う。Athersys, Inc.Common Stock Purchase Warrant (ARDS)2021年8月5日2026年7月31日まで・2026年7月末までに当社が日本でARDS治療薬の承認を取得する又はアサシス社が買収等される場合に、アサシス社の株式を最大300万株取得できる権利(ワラント)を取得した。Athersys, Inc.Common Stock Purchase Warrant (Stroke)2021年8月5日2026年7月31日まで・2026年7月末までに当社が日本で脳梗塞治療薬の承認を取得する又はアサシス社が買収等される場合に、アサシス社の株式を最大700万株取得できる権利(ワラント)を取得した。Athersys, Inc.Amendment to Investor Rights Agreement2021年8月5日期限の定めなし・2018年3月14日付Investor Rights Agreementを修正し、当社がアサシス社の株式を15%以上取得した場合に当社がアサシス社の取締役を追加1名(計2名)指名できる権利を放棄した。国立大学法人広島大学共同研究契約2021年10月1日2024年12月31日まで・他家iPS細胞由来NK細胞を用いて肝細胞がんに対する抗腫瘍効果をin vitroで特性解析した後に、担がんヒト肝細胞キメラマウスなどの動物モデルで評価する。・当社は研究経費を支払う。株式会社セルファイバ特許等ライセンス契約2022年3月23日許諾対象となる特許権等が消滅するまで・ファイバ形成装置を使用した製品の研究、開発、製造、使用、販売等するための特許権等の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50百万円(税抜)を支払うとともに、将来的に一定の実施料を支払う。 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容国立研究開発法人国立がん研究センター共同研究契約2022年5月10日2024年12月31日まで・国立がん研究センターが保有するPDXを用いてeNK®細胞の抗腫瘍効果などを評価する。・当社は研究経費を支払う。RxCell Inc.License Agreement2022年9月21日期限の定めなし・RxCell社が網膜前駆細胞、神経細胞、その他当社と競合しない特定の3種類の細胞を作製・販売するために、当社のGMPグレードの商業用iPS細胞株の一つを提供し非独占的に使用する権利を許諾する。・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50万米ドルを受け取るとともに、将来的に一定の実施料を受け取る。佐竹マルチミクス株式会社資本業務提携契約2022年10月18日2026年9月30日・当社が開発するeNK®細胞を用いた再生医療等製品の製造に利用するための佐竹マルチミクス社の培養装置の改良に向けた検討を行う。・佐竹マルチミクス社は生産培養装置カスタマイズ全般及びそれに付随する支援業務を分担し、当社は、eNK®細胞の生産培養条件等に関する情報提供並びに培養評価を分担する。・当社は、佐竹マルチミクス社に対して第三者割当方式によって当社普通株式を付与した。Athersys,Inc.、ABT Holding CompanyMemorandum of Understanding Regarding Expansion of Healios Territory and Clinical Supply for ARDS2023年10月10日期限の定めなし・2016年1月8日付License Agreementを修正し、ARDS治療薬の開発・製造・販売ライセンスの対象地域を、国内から全世界に拡大した。・アサシス社は、今後当社が実施する臨床試験に使用するための治験製品を当社に提供することとした。・上記に伴い、当社はアサシス社に契約条件に応じ最大450万ドルを支払うとともに、将来的に一定の実施料を支払う。 (2)その他重要な契約相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容MavenInvestment Partners Ltd、CVI Investments, Inc.、Panview Asian Equity Master Fund、Gemseki投資事業有限責任組合、Benjamin Ferguson氏、James Paradise 氏、鍵本忠尚氏及びリチャード・キンケイド氏Securities Purchase Agreement2023年7月19日期限の定めなし・左記記載の8契約当事者に対し、第三者割当による新株式及び第21回新株予約権を発行した。・新株予約権行使可能期間は、2023年8月10日から2028年5月9日まで。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当連結会計年度においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,304百万円(前連結会計年度は3,808百万円)であります。 (1)体性幹細胞再生医薬品分野当連結会計年度において、体性幹細胞再生医薬品を用いて、日本国内における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬(開発コード:HLCM051)の開発を進めました。<炎症>脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。この結果を受け、当社がライセンス契約を締結しているアサシス社は、米国・欧州で同じ薬剤を使用している脳梗塞急性期の治験(治験名称:MASTERS-2試験)の主要評価項目を投与後90日から365日に変更する等について米国FDA(Food and Drug Administration)と協議し、2023年3月に要請が受理されました。2023年10月にはアサシス社が、米国・欧州で実施している治験(治験名称:MASTERS-2試験)の中間段階でのデータ解析を行い、統計学的有意性を満たすためには組み入れ患者数の追加が必要との結論になりました。2024年1月にTREASURE試験の結果に関する学術論文がJAMA Neurologyに掲載され、学術的に一定の評価を得ました。ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しました。2021年8月と11月に、ONE-BRIDGE試験におけるHLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されましたが、2022年3月末にPMDAと実施した再生医療等製品申請前相談の中で、本製品の有効性及び安全性に関する一定の合意は得られたものの、承認申請にあたってはデータ補強が必要との助言を受けました。2023年2月末にPMDAと追加試験に関する相談を実施し、データ補強に必要な臨床試験の概要について一定の合意が得られました。また、2023年7月には本試験開始に向けPMDAより、本試験に使用する治験製品に関し、大量生産が可能となる三次元培養法によって製造された治験製品を用いることの合意が得られました。なお、2023年8月にONE-BRIDGE試験の結果に関する学術論文が、査読付きジャーナルStem Cell Research & Therapyに掲載され、学術的に一定の評価を得ました。2023年10月には、アサシス社とARDSの開発・製造・販売に関する国内での独占的なライセンス契約について、その対象地域を全世界に拡大することで合意しました。また、今後あらたに当社が実施予定の臨床試験に使用する治験製品について、三次元培養法によって製造された治験製品を確保しました。2024年1月に本疾患を対象とした臨床試験に関する治験計画届を提出し、治験を開始しました。 (2)iPSC再生医薬品分野当連結会計年度において、がん免疫療法(開発コード:HLCN061)、細胞置換療法に関する研究開発を進めました。<がん免疫>eNK®細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK®細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手しております。現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)サンプルにより、eNK®細胞が認識する特定の分子候補の発現をRNAシーケンシングと免疫染色で確認しています。次のステップとして、PDXを用いてeNK®細胞の抗腫瘍効果などの評価を実施しています。更に、国立大学法人広島大学大学院とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。また、自社研究において、eNK®細胞が肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、胃がん腹膜播種モデルマウス、及び中皮腫皮下移植モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*1においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAとの相談を進めています。*1 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造をもつ組織・細胞 <細胞置換>iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。また、米国ノースウェスタン大学の研究チームが、UDCから分化させた聴神経前駆細胞が、遺伝子編集前の親株細胞から分化させた聴神経前駆細胞に比べて、蝸牛への移植後生着率向上を示すことを確認しました。眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発を住友ファーマと共同で進めており、2023年5月にはPMDAによる事前の調査が終了し、2023年6月に網膜色素上皮裂孔の患者を対象とするフェーズ1/2試験を開始しました。肝疾患領域において、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器(開発コード:HLCL041)を用いた治療法開発に向けた研究を進めており、2022年4月より、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、肝疾患に対する肝臓原基*2を用いた治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を進めてまいりました。2023年2月には、開発のさらなる加速のため、当社からカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方針を決定いたしました。新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対するさらなる治療法の研究を目的に、国内外の企業・研究機関10社以上にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を実施しています。*2 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。 なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当社グループでは、主に研究生産設備の拡充により、当連結会計年度に総額27百万円の設備投資を実施いたしました。当該金額はソフトウエアへの投資額を含んだ金額であります。 なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりであります。 (1)提出会社 2023年12月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物(百万円)工具、器具及び備品(百万円)ソフトウエア(百万円)合計(百万円)神戸研究所(兵庫県神戸市中央区)研究設備113305342149(16)本社(東京都千代田区)本社機能--3315(4) (注)1.帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。2.神戸研究所の建物は賃借しており、年間賃借料は121百万円であります。3.本社の建物を賃借しており、年間賃借料は28百万円であります。4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。5.当社の事業セグメントは、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。 (2)国内子会社該当事項はありません。 (3)在外子会社該当事項はありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 重要な設備の新設、除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 2,304,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 27,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 44 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 6 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,728,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、投資株式について、もっぱら株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式、それ以外の株式を純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)に区分しております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式は、執行役会及び取締役会において、当該保有先との取引の状況を踏まえた事業遂行上のメリットその他の経済合理性等を基に、当該株式の保有継続が当社の企業価値向上に資するかどうかを個別銘柄ごとに定期的に協議しております。なお、経済合理性は、関連するパイプラインの事業進捗を指標として判断しております。当該保有先に対する影響力を及ぼす戦略的なメリットが乏しいと判断した株式は、株価の推移も勘案のうえ適切な時期に売却することといたします。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式21非上場株式以外の株式-- (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式10当社臨床グレードの細胞株の提供などを通じた将来的な協業を目的とするもの非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式130 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)Athersys, Inc.-652,421当社は、Athersys, Inc.(以下、アサシス社と言います。)が特許権・特許実施許諾権を有する幹細胞製品 MultiStem®について国内における開発ライセンス権を取得し、日本国内における脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法の開発を進めております。開発を進めるにあたり、アサシス社との提携関係を強化して協力体制を築くことを目的として、株式を保有しております。なお、同社は上場廃止となり、当事業年度においては特定投資株式に該当しておりません。無-73(注)主に提携関係の強化を目的に株式を保有しているため、定量的な保有効果については記載が困難であります。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式区分当事業年度前事業年度銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式11001100非上場株式以外の株式---- 区分当事業年度受取配当金の合計額(百万円)売却損益の合計額(百万円)評価損益の合計額(百万円)非上場株式---非上場株式以外の株式--- |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 0 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 30,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 当社臨床グレードの細胞株の提供などを通じた将来的な協業を目的とするもの |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | Athersys, Inc. |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 鍵本 忠尚東京都港区28,730,30038.54 BOFAS INC SEGREGATION ACCOUNT(常任代理人 BOFA証券株式会社)THE CORPORATION TRUST COMPANY, 1209 ORANGE ST, COUNTY OF NEW CASTLE WILMINGTON, DE US(東京都中央区日本橋一丁目4番1号)2,800,0003.76 株式会社ニコン東京都港区港南二丁目15番3号1,537,4002.06 住友ファーマ株式会社大阪府大阪市中央区道修町二丁目6番8号1,500,0002.01 GOLDMAN,SACHS & CO.REG(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)200 WEST STREET NEW YORK,NY,USA(東京都港区六本木六丁目10番1号)775,8001.04 MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)25 CABOT SQUARE, CANARY WHARF, LONDON E14 4QA, U.K.(東京都千代田区大手町一丁目9番7号)727,2000.98 蓮實 高行東京都江東区660,0000.89 株式会社SBI証券東京都港区六本木一丁目6番1号647,1540.87 八木 大輔群馬県太田市600,0000.80 BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)PETERBOROUGH COURT 133 FLEET STREET LONDON EC4A 2BB UNITED KINGDOM(東京都千代田区丸の内二丁目7番1号)573,5590.77計-38,551,41351.72(注)1.2023年10月19日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、メイヴン インベストメント パートナーズ リミテッド(Maven Investment Partners Ltd)が2023年10月12日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)メイヴン インベストメント パートナーズ リミテッド(Maven Investment Partners Ltd)英国、EC2M 3TQ ロンドン ビショップスゲート155 7階6,500,6008.06 2.2023年10月18日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、JPモルガン証券株式会社及びその共同保有者であるジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・ピーエルシー(J.P. Morgan Securities Plc)、ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー(J.P. Morgan Securities LLC)が2023年10月13日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内二丁目7番3号953,9131.28ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・ピーエルシー(J.P. Morgan Securities Plc)英国、ロンドン E14 5JP カナリー・ウォーフ、バンク・ストリート25433,3000.58ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー(J.P. Morgan Securities LLC)アメリカ合衆国 ニューヨーク州 10179 ニューヨーク市 マディソン・アベニュー383番地99,9000.133.2023年8月15日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、ハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(Heights Capital Management, Inc.)が2023年8月7日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)ハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(Heights Capital Management, Inc.)アメリカ合衆国 19801 デラウェア州 ウィルミントン スイート715 1201Nオレンジストリート ワン・コマース・センター5,600,0007.24 |
株主数-金融機関 | 4 |
株主数-金融商品取引業者 | 27 |
株主数-外国法人等-個人 | 103 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 48 |
株主数-個人その他 | 18,459 |
株主数-その他の法人 | 99 |
株主数-計 | 18,740 |
氏名又は名称、大株主の状況 | BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行) |
株主総利回り | 0 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式2324当期間における取得自己株式--(注)当期間における取得自己株式には、2024年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | 0 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任監査法人 トーマツ |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年3月27日株式会社ヘリオス 取締役会 御中 有限責任監査法人 トーマツ 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士久世 浩一 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松永 一郎 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ヘリオスの2023年1月1日から2023年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社ヘリオス及び連結子会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 仕掛中の研究開発投資の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、連結財務諸表注記12に記載のとおり、特許権及びライセンス等にAthersys,Inc.とのライセンス契約により取得した幹細胞製品MultiStemを用いた日本国内における脳梗塞急性期に対する治療法の開発・販売権及び日本国内における急性呼吸窮迫症候群に対する治療法の開発・販売権を計上している。帳簿価額は3,930百万円であり、総資産の25.9%を占めている。 当該無形資産は、未だ使用可能な状態でないため、減損の兆候があると判断される場合にはその都度及び減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に減損テストを実施している。 会社は、減損テストを実施するに当たり、当該無形資産の回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定されるが、開発成功確率及び上市後の販売予想、割引率が主要な仮定として利用される。 研究開発は不確実性を伴うものであり、無形資産の減損テストにおいては、将来キャッシュ・フローの見積りについて、経営者の判断が必要であるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、当該無形資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。・仕掛中の研究開発投資の減損テストにおける使用価値の見積りに関連する内部統制に係る整備・運用状況の有効性を評価した。・将来キャッシュ・フローの見積もり基礎となる予測について、経営者によって承認された事業計画との整合性を確認した。・過年度に策定された事業計画と実績を比較することにより、将来計画の見積りの精度を評価した。・開発成功確率の仮定の合理性について、経営者及び担当者に質問するとともに、研究開発の各段階における成功確率に関する利用可能な外部データと比較して評価した。・上市後の販売予想に含まれる主要なインプットである販売薬価と患者数の仮定の合理性について、経営者及び担当者に質問するとともに、利用可能な外部データと比較して評価した。・割引率について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、経営者により使用された割引率の妥当性の検討を実施した。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、バイオテクノロジー企業であり、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向がある。2023年12月期においても、連結損益計算書上、営業損失3,379百万円を計上しており、過去から継続して営業損失となっている。 このような中、会社は、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を6,722百万円保有しているが、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債4,000百万円(額面金額)の償還期日が1年以内となっていること、また、当連結会計年度における営業損失が3,379百万円、営業活動によるキャッシュ・フローが△2,822百万円となったことから、これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断している。 しかしながら、当該事象又は状況を改善するための対応策として2024年2月9日に第三者割当の方法による新株式及び第22回新株予約権の発行を実施している。また、会社は翌連結会計年度の資金計画について通常シナリオと不確実性を考慮した保守的シナリオに基づくものを作成しており、保守的なシナリオの場合であっても当連結会計年度末から12か月間の資金繰りに重要な懸念はないと判断し、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性に関する経営者の評価は、主に、経営者による将来の資金計画に基づいている。当計画における将来の研究開発費の支出の見込みは、経営者の仮定や判断を伴うものであるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価を検討するにあたり、主として、以下の監査手続を実施した。・経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。・翌連結会計年度の予算及び資金計画が執行役会において承認されていることを確かめた。・過去の予算と実績の差異を分析することにより、当該予算の信頼性を検討するとともに、資金計画と予算が整合していることを確かめた。・資金計画に含まれる重要な仮定である研究開発費の支出については、各パイプラインの研究開発の開発方針に基づき発生が見込まれる費用支出が網羅的に資金計画に計上されているか検討した。・2024年2月9日に新株式及び第22回新株予約権の発行によって実施された資金調達による収入について、入金証憑の閲覧により入金の事実を確認した。・経営者が継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価において使用した保守的なシナリオに基づく資金計画について、会社が不確実性として除外した項目について評価するとともに、翌連結会計年度の資金が十分に確保できているかについて検討した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ヘリオスの2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、株式会社ヘリオスが2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 仕掛中の研究開発投資の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、連結財務諸表注記12に記載のとおり、特許権及びライセンス等にAthersys,Inc.とのライセンス契約により取得した幹細胞製品MultiStemを用いた日本国内における脳梗塞急性期に対する治療法の開発・販売権及び日本国内における急性呼吸窮迫症候群に対する治療法の開発・販売権を計上している。帳簿価額は3,930百万円であり、総資産の25.9%を占めている。 当該無形資産は、未だ使用可能な状態でないため、減損の兆候があると判断される場合にはその都度及び減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に減損テストを実施している。 会社は、減損テストを実施するに当たり、当該無形資産の回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定されるが、開発成功確率及び上市後の販売予想、割引率が主要な仮定として利用される。 研究開発は不確実性を伴うものであり、無形資産の減損テストにおいては、将来キャッシュ・フローの見積りについて、経営者の判断が必要であるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、当該無形資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。・仕掛中の研究開発投資の減損テストにおける使用価値の見積りに関連する内部統制に係る整備・運用状況の有効性を評価した。・将来キャッシュ・フローの見積もり基礎となる予測について、経営者によって承認された事業計画との整合性を確認した。・過年度に策定された事業計画と実績を比較することにより、将来計画の見積りの精度を評価した。・開発成功確率の仮定の合理性について、経営者及び担当者に質問するとともに、研究開発の各段階における成功確率に関する利用可能な外部データと比較して評価した。・上市後の販売予想に含まれる主要なインプットである販売薬価と患者数の仮定の合理性について、経営者及び担当者に質問するとともに、利用可能な外部データと比較して評価した。・割引率について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、経営者により使用された割引率の妥当性の検討を実施した。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、バイオテクノロジー企業であり、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向がある。2023年12月期においても、連結損益計算書上、営業損失3,379百万円を計上しており、過去から継続して営業損失となっている。 このような中、会社は、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を6,722百万円保有しているが、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債4,000百万円(額面金額)の償還期日が1年以内となっていること、また、当連結会計年度における営業損失が3,379百万円、営業活動によるキャッシュ・フローが△2,822百万円となったことから、これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断している。 しかしながら、当該事象又は状況を改善するための対応策として2024年2月9日に第三者割当の方法による新株式及び第22回新株予約権の発行を実施している。また、会社は翌連結会計年度の資金計画について通常シナリオと不確実性を考慮した保守的シナリオに基づくものを作成しており、保守的なシナリオの場合であっても当連結会計年度末から12か月間の資金繰りに重要な懸念はないと判断し、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性に関する経営者の評価は、主に、経営者による将来の資金計画に基づいている。当計画における将来の研究開発費の支出の見込みは、経営者の仮定や判断を伴うものであるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価を検討するにあたり、主として、以下の監査手続を実施した。・経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。・翌連結会計年度の予算及び資金計画が執行役会において承認されていることを確かめた。・過去の予算と実績の差異を分析することにより、当該予算の信頼性を検討するとともに、資金計画と予算が整合していることを確かめた。・資金計画に含まれる重要な仮定である研究開発費の支出については、各パイプラインの研究開発の開発方針に基づき発生が見込まれる費用支出が網羅的に資金計画に計上されているか検討した。・2024年2月9日に新株式及び第22回新株予約権の発行によって実施された資金調達による収入について、入金証憑の閲覧により入金の事実を確認した。・経営者が継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価において使用した保守的なシナリオに基づく資金計画について、会社が不確実性として除外した項目について評価するとともに、翌連結会計年度の資金が十分に確保できているかについて検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社は、バイオテクノロジー企業であり、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向がある。2023年12月期においても、連結損益計算書上、営業損失3,379百万円を計上しており、過去から継続して営業損失となっている。 このような中、会社は、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を6,722百万円保有しているが、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債4,000百万円(額面金額)の償還期日が1年以内となっていること、また、当連結会計年度における営業損失が3,379百万円、営業活動によるキャッシュ・フローが△2,822百万円となったことから、これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断している。 しかしながら、当該事象又は状況を改善するための対応策として2024年2月9日に第三者割当の方法による新株式及び第22回新株予約権の発行を実施している。また、会社は翌連結会計年度の資金計画について通常シナリオと不確実性を考慮した保守的シナリオに基づくものを作成しており、保守的なシナリオの場合であっても当連結会計年度末から12か月間の資金繰りに重要な懸念はないと判断し、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性に関する経営者の評価は、主に、経営者による将来の資金計画に基づいている。当計画における将来の研究開発費の支出の見込みは、経営者の仮定や判断を伴うものであるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記12 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価を検討するにあたり、主として、以下の監査手続を実施した。・経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。・翌連結会計年度の予算及び資金計画が執行役会において承認されていることを確かめた。・過去の予算と実績の差異を分析することにより、当該予算の信頼性を検討するとともに、資金計画と予算が整合していることを確かめた。・資金計画に含まれる重要な仮定である研究開発費の支出については、各パイプラインの研究開発の開発方針に基づき発生が見込まれる費用支出が網羅的に資金計画に計上されているか検討した。・2024年2月9日に新株式及び第22回新株予約権の発行によって実施された資金調達による収入について、入金証憑の閲覧により入金の事実を確認した。・経営者が継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価において使用した保守的なシナリオに基づく資金計画について、会社が不確実性として除外した項目について評価するとともに、翌連結会計年度の資金が十分に確保できているかについて検討した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任監査法人 トーマツ |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年3月27日株式会社ヘリオス 取締役会 御中 有限責任監査法人 トーマツ 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士久世 浩一 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松永 一郎 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ヘリオスの2023年1月1日から2023年12月31日までの第13期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ヘリオスの2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価 連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価 連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価 |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
工具、器具及び備品(純額) | 312,000,000 |
有形固定資産 | 424,000,000 |
ソフトウエア | 9,000,000 |
無形固定資産 | 10,000,000 |
投資有価証券 | 101,000,000 |
長期前払費用 | 2,000,000 |
投資その他の資産 | 514,000,000 |
BS負債、資本
未払金 | 199,000,000 |
未払法人税等 | 20,000,000 |
未払費用 | 33,000,000 |
賞与引当金 | 99,000,000 |
繰延税金負債 | 13,000,000 |
資本剰余金 | 1,677,000,000 |
利益剰余金 | -2,881,000,000 |
その他有価証券評価差額金 | -7,000,000 |
評価・換算差額等 | -7,000,000 |
負債純資産 | 6,616,000,000 |
PL
販売費及び一般管理費 | 3,338,000,000 |
受取利息、営業外収益 | 3,000,000 |
受取配当金、営業外収益 | 164,000,000 |