財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-28
英訳名、表紙CHUGAI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長  奥田 修
本店の所在の場所、表紙東京都北区浮間五丁目5番1号(上記は登記簿上の本店所在地であり、事実上の本社業務は下記「最寄りの連絡場所」において行っております。)
電話番号、本店の所在の場所、表紙03(3968)6111
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIIFRS
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
1925年3月上野十蔵、中外新薬商会を創業、医薬品の輸入販売を開始1927年医薬品製造に着手1943年3月株式会社に組織変更、商号を中外製薬株式会社(本社・東京都)に変更1944年4月㈱松永製薬所を吸収合併、松永工場開設(広島県)1946年9月鏡石工場建設(福島県)1956年3月株式を東京証券取引所(現在 ㈱東京証券取引所)に上場1957年4月浮間工場建設(東京都)1960年9月綜合研究所建設(東京都・高田研究所)1971年2月血液分析器及び試薬を発売、臨床検査薬機器分野へ進出3月藤枝工場建設(静岡県)1987年6月富士御殿場研究所建設(静岡県)1988年9月中惠薬品股份有限公司設立(台湾)1989年12月ジェン・プローブ・インコーポレーテッド買収(米国)1990年6月ローヌ・プーラン社(フランス、現在 サノフィ)との合弁企業として、中外ローヌ・プーラン設立(フランス、後 中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシーへ社名変更)1990年10月宇都宮工場建設(栃木県)1993年5月中外ファーマ・ユーケー・リミテッド設立(英国)1994年1月ロンドン駐在事務所(1986年3月開設)を現地法人化し、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド設立(英国)1995年7月中外バイオファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド設立(米国)1997年3月中外診断科学㈱設立(東京都)12月中外ファーマ・マーケティング・リミテッド設立(英国、現在 中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド)2001年4月筑波研究所開設(茨城県)中外ファーマ・フランス・エスエーエス設立(フランス)2002年3月持株会社中外ユー・エス・エー・インコーポレーテッド設立(米国、現在 中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド)5月中外診断科学㈱の全株式を富士レビオ㈱に譲渡9月ジェン・プローブ・インコーポレーテッドをスピンオフ10月エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンスに基づき、中外製薬㈱と日本ロシュ㈱が合併し、ロシュ・ホールディング・リミテッドが親会社となる2003年12月高田研究所と松永工場を閉鎖2004年12月一般用医薬品事業をライオン㈱に譲渡、永光化成㈱の殺虫剤製造事業をライオンパッケージング㈱に譲渡2005年3月筑波研究所を閉鎖6月鏡石工場及び東北中外製薬㈱(福島県)をニプロ㈱に譲渡2006年5月浮間工場、藤枝工場、宇都宮工場及び鎌倉工場(神奈川県)における医薬品等の製造に関する事業を、会社分割により、子会社である中外製薬工業㈱(東京都)に承継2010年12月中外製薬工業㈱ 鎌倉工場を閉鎖2012年1月中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド設立(シンガポール)2014年6月日健中外製薬有限公司設立(中国)2015年海外子会社組織を統合・再編7月欧州:開発機能と販売機能を統合(再編後名称:中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド) 中国:医薬品学術情報提供機能と販売機能を統合(再編後名称:日健中外製薬有限公司) 台湾:開発機能と販売機能を統合(再編後名称:台湾中外製薬股份有限公司) 10月米国:米国の持株会社と開発子会社を統合(再編後名称:中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド)2016年6月泰州日健中外製薬工業有限公司設立(中国)2019年1月中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシーの全株式を中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが取得し、社名を中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスへ変更2019年2月中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチ設立(ドイツ)2022年4月中国における開発機能と販売機能等を統合(再編後名称:日健中外製薬有限公司)2022年10月中外ライフサイエンスパーク横浜建設(神奈川県)2023年3月富士御殿場研究所及び鎌倉研究所(神奈川県)を閉鎖2023年7月中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー設立(米国)
事業の内容 3【事業の内容】
当企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、子会社15社及び親会社の子会社2社により構成されており、主な事業内容と企業集団を構成する各会社の当該事業に係る位置づけの概要は次のとおりであります。 医薬品事業18社国内事業:当社が製造した医薬品を、全国の特約店を通じて販売しております。製造については、一部医薬品の原材料をエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド[本社:スイス]から購入しております。また、中外製薬工業㈱及びジェネンテック・インコーポレーテッド[本社:米国]に医薬品の製造を委託しております。研究業務については、㈱中外医科学研究所に医薬品の研究業務の一部を委託しており、また同社に研究用施設等の管理業務を委託しております。開発業務については、㈱中外臨床研究センターに臨床開発業務の一部を委託しております。また、中外製薬ビジネスソリューション㈱は当社の事務処理業務を請け負っております。 海外事業:欧州では、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが販売統轄会社として位置づけられております。エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドが当社一部製品を輸入し販売しております。欧州において、中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスが当社製品を輸入し販売しております。中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド及び中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッドが英国における販売活動を、中外ファーマ・フランス・エスエーエスがフランスにおける販売活動を、中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチがドイツにおける販売活動を行っております。台湾において、台湾中外製薬股份有限公司が医薬品の販売を行っております。中国においては、日健中外製薬有限公司が医薬品の販売を行い、医薬品学術情報を提供しております。また、泰州日健中外製薬工業有限公司が医薬品の生産を行っております。海外での研究開発活動は、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)及び台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究を行っております。また、2023年7月に中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー(米国)を設立しました。 企業集団の関係概要図は次のとおりであります。2023年12月31日現在・子会社のうち、上場している会社はありません。・2023年7月に中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーを設立しております。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権に対する所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借(親会社) % ロシュ・ホールディング・リミテッドスイスバーゼル市百万スイス・フラン107持株会社(61.13)有─―─(連結子会社) 株式会社中外医科学研究所神奈川県横浜市百万円100医薬品事業100.00有─研究用材料の購入及び研究用器材施設などの管理委託社屋及び研究用設備の賃貸株式会社中外臨床研究センター東京都中央区50医薬品事業100.00有─臨床試験に関する業務の委託社屋の賃貸中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド米国ニュージャージー州米ドル1医薬品事業100.00有―医薬品の研究開発の委託─中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー(注)3米国マサチューセッツ州6,000,000医薬品事業100.00有――─中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド英国ロンドン市英ポンド8,677,808医薬品事業100.00有─当社製造の医薬品の販売、開発・申請─中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッド英国ロンドン市16,000,000医薬品事業100.00[100.00]有─当社製造の医薬品の販売─中外ファーマ・フランス・エスエーエスフランスピュトー市ユーロ1,000,000医薬品事業100.00[100.00]有─当社製造の医薬品の販売─中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスフランスピュトー市160,000医薬品事業100.00[100.00]有─当社製造の医薬品の輸入販売、開発・申請─中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチドイツフランクフルト市25,100医薬品事業100.00[100.00]有─当社製造の医薬品の販売─台湾中外製薬股份有限公司台湾台北市新台湾ドル33,376,000医薬品事業100.00有─当社製造の医薬品の販売、開発・申請─日健中外製薬有限公司中国江蘇省米ドル30,000,000医薬品事業100.00有─当社製造の医薬品の開発・申請、販売、学術情報の提供─泰州日健中外製薬工業有限公司中国江蘇省中国元125,000,000医薬品事業100.00[100.00]有─当社製造の医薬品の包装委託─中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッドシンガポールシンガポールドル1,500,000医薬品事業100.00有─医薬品の研究開発の委託─中外製薬ビジネスソリューション株式会社東京都北区百万円66医薬品事業100.00有─当社の事務処理業務の委託社屋の賃貸 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権に対する所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借(連結子会社) % 中外製薬工業株式会社(注)4東京都北区百万円80医薬品事業100.00有運転資金の貸付医薬品の製造委託土地社屋及び製造用設備の賃貸 (注)1.連結子会社の主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。2.議決権に対する所有(又は被所有)割合の[ ]内は、間接所有割合で内数であり、小数点第2位以下を切り捨てて記載しております。3.2023年7月に中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーを設立しております。4.上記のうち、中外製薬工業株式会社は特定子会社に該当しております。5.日健中外科技(北京)有限公司は2023年2月に清算を完了しております。6.上記のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社、及び連結財務諸表に重要な影響を与えている債務超過の状況にある会社はありません。7.親会社の所有関係は次のとおりであります。(参考:アライアンス基本契約等については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.関連当事者」をご参照ください。) 
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況2023年12月31日現在従業員数(人)7,604 (注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。2.当社グループは、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、グループ全体での従業員数を記載しております。 (2)提出会社の状況2023年12月31日現在従業員数(人)平均年齢平均勤続年数平均年間給与(円)4,90342才8カ月15年10カ月11,980,884 (注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。2.当社は、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、当社全体での従業員数を記載しております。3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3)労働組合の状況当社グループには、当社及び国内関係会社(株式会社中外医科学研究所、株式会社中外臨床研究センター、中外製薬工業株式会社、中外製薬ビジネスソリューション株式会社)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2023年12月末現在の組合員数は4,559名であります。労使は、相互信頼をベースとした協力的な関係を維持しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異① 提出会社 当事業年度補足説明管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1マネジャーに占める女性労働者の割合(%)(注)2男性労働者の育児休業取得率(%)(注)3男性労働者の育児休業日数(日)(注)4労働者の男女の賃金の差異(%)(注)5全労働者うち正規雇用労働者うちその他の雇用労働者19.017.287.621.478.778.670.6―管理職一般職93.884.0 <男女の賃金差異について>・当社は、「年齢・属性に捉われず誰もが活躍できる」、「役割・成果に応じたメリハリのある評価・処遇を実現する」ことを目指した人事制度を導入・運用しており、男女の賃金については、基本的に処遇は男女同一であり、現在生じている賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものです。差異の解消に向けて、女性マネジャーの積極的な登用やキャリア形成支援等、女性活躍推進の取り組みに注力しています。女性活躍推進の目標及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。・管理職においては、職務等級制度導入により、ポジションに基づき賃金が決まることから、93.8%と平均年間賃金の差異は小さく、部長職以上では100%水準となっています。・一般職においては、84.0%と平均年間賃金の差異がありますが、主な要因は、ライフイベントによる男女の育児休業・育児短時間勤務取得状況の差や、時間外勤務手当等の差異によるものです。当社では、男性の育児休職の長期取得に向けた目標を設定すると共に、意識啓発や環境整備に取り組んでおり、こうした取り組みを通じて、差異の解消を図っていきます。 (注)1.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。2.マネジャーに占める女性労働者の割合(%)は、部下のいる管理職(マネジャー)、プロジェクトリーダー、高度専門職等のポジションを担う者であり、当社基準で算出しています。また、中外製薬株式会社及び連結子会社を含めた人数です。3.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。4.男性労働者の育児休業取得日数(日)は、「公表前事業年度に復職した労働者の平均育児休業取得日数」を算出しています。分子:公表前事業年度に育児休職を終了し、復職した労働者の合計育児休業取得日数(日)分母:当該育児休業取得人数(人)5.労働者の男女賃金格差は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。・育児休暇取得者、短時間勤務者による時間補正は行っていません。・その他雇用労働者:契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーなお、パートタイム労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っています。・2023年12月末付の労働者数に基づき算出しています。 ② 連結子会社 当事業年度補足説明名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)6男性労働者の育児休業取得率(%)(注)7労働者の男女の賃金の差異(%)(注)8全労働者うち正規雇用労働者うちその他の雇用労働者中外製薬工業株式会社8.784.170.474.640.4―中外製薬ビジネスソリューション株式会社24.1――――常時雇用する労働者数:300人以下101人以上男性の育児休業取得率:2023年に子が生まれた男性社員は0名株式会社中外医科学研究所27.3200.0―――常時雇用する労働者数:300人以下101人以上男性の育児休業取得率:2023年度に育児休職を開始した男性社員2名のうち、2022年度に子が生まれた男性社員1名を含む株式会社中外臨床研究センター52.6100.0―――常時雇用する労働者数:300人以下101人以上 <男女の賃金差異について>・中外製薬工業株式会社における男女の賃金差異に関する理由・背景については、上記の提出会社と同様です。 (注)6.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。7.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。8.労働者の男女賃金格差は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。・育児休暇取得者、短時間勤務者による時間補正は行っていません。・その他雇用労働者:契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーなお、パートタイム労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っています。・2023年12月末付の労働者数に基づき算出しています。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることをEnvisioned Future(目指す姿)に掲げています。社会との共有価値を創造し、社会とともに発展することを経営の基本方針として、患者中心の高度で持続可能な医療の実現に向けた価値創造の枠組みを価値創造モデルとして整理しています。当社グループの経営の基本方針のもと、共有価値創造の源泉となる要素を整理した上で、重点的に取り組むべき事項を重要課題(マテリアリティ)として策定しています。ロシュとの戦略的アライアンスに加え、独自のサイエンス・技術力に基づき、革新的な創薬を柱とするイノベーションに集中することで、Envisioned Future(目指す姿)でも掲げる「持続可能な医療」を始め、ESGやSDGsに代表される社会課題解決をリードする、世界のロールモデルになることを目指しています。その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っています。こうした活動は、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しています。 (2)目標とする経営指標当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、革新的な新薬の創出に優先的に経営資源の配分を行っています。長期にわたる投資効率の指標としてCore ROICを重点的に管理するとともに、短中期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めています。そして、個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行い、収益性と効率性を重視した意思決定を行っています。当社は、2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」(後述)を策定し、「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という目標を目指して取り組んでいます。「TOP I 2030」の推進にあたり、中期(3年)経営計画を廃止し、長期目標からバックキャストして現状とのギャップを埋めるための中間(3~5年後)目標を中期マイルストンとして設定・管理しています。これにより、計画の進捗や環境変化に応じてアジャイルかつ柔軟に軌道修正を図りながら、長期的な目標達成を目指しています。中期マイルストンの進捗や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて中長期的な事業活動の進捗の状況を開示し、その達成に向けた道筋を示すとともに、引き続き、単年度業績予想の公表や各説明会等の場で経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告してまいります。 (3)環境認識と対処すべき課題世界には、未だ治療法のない疾患が数多くあります。加えて、世界人口の増加と各国における高齢化進展に伴い、医薬品への期待・ニーズは一層高まっています。また、ライフサイエンスや生成AI等のデジタル技術の飛躍的な進歩によって、異業種も含めた医療課題解決に向けたイノベーション創出機会が拡大しています。一方、各国において医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策はますます厳しくなり、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の流れは着実に加速しています。また、デジタルをはじめとする多様なプレーヤーがヘルスケア領域に参入することで、既存業界の枠を超えた競争もこれまで以上に熾烈化してきています。加えて、地政学リスクやエネルギー価格、インフレ等による事業運営の不確実性の高まりとともに、地球環境保全や情報セキュリティ対策等、事業運営にあたり取り組むべき課題自体も広範になっております。 そのような中、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、「イノベーションの追求」であると考えています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療の実現に向けて、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメットメディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらに、ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、従来の創薬力にとどまらない能力を獲得・強化することが競争優位性を確保する鍵となります。また、グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の経営環境が厳しさを増す中、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められています。当社グループは、独自のサイエンス力・技術力とロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルにより、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出しています。その結果、これまで6つの当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど)が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)*」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けています。今後も、革新的新薬をいち早く創出・患者さんにお届けすることで、当社の企業価値向上と社会課題解決を目指してまいります。 * 画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤または致命的な疾患や症状に対し、既存治療を上回る改善が期待される治療薬候補 (4)2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」当社グループは、ミッションステートメントに掲げたEnvisioned Future(目指す姿)の実現を目指し、2030年に到達すべきトップイノベーター像を具現化するとともに、その実現に向けた成長戦略「TOP I 2030」を策定し、2021年から展開しています。 2030年トップイノベーター像 1)「世界の患者さんが期待する」世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出してくれる」と期待する会社2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社3)「世界のロールモデル」事業活動を通じたESGの取組みが評価され、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルである会社 「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」です。独自のサイエンスと技術を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後10年間でさらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメットメディカルニーズに応えるソリューションを継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、現在のR&Dアウトプットを10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。特にデジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、一人ひとりの患者さんにとっての価値・製品価値の拡大を目指してまいります。 具体的な取組みとして、バリューチェーンに沿った「5つの改革」、すなわち「創薬改革」「開発改革」「製薬改革」「Value Delivery改革」及び「成長基盤改革」を掲げています。 ①創薬改革 「TOP I 2030」では、たんぱく質エンジニアリング技術をはじめ、これまで積み上げてきた自社創薬の強みをベースにしながら、独創的な創薬アイデアを具現化する創薬技術基盤の一層の強化を目指します。そして、最大の価値創出源である創薬及び早期開発に全社資源を集中し、十分な投資によって成果を創出してまいります。特に、当社グループの今後の中長期的な成長の牽引を期待する中分子医薬では、早期の実用化に向けた技術開発・臨床プロジェクトに資源を優先的に投入します。また、AIを含むデジタル技術の効果的な活用と積極的な外部連携を通じて、創薬技術の多様化、スピードの加速を図ります。 ②開発改革 画期的なプロジェクトをより速く、より多くの患者さんに届けるため、数理モデルやデジタル技術を最大限活用した業界トップクラスの臨床開発モデルを構築します。生体反応を精緻に理解し、自社に蓄積されたあらゆる疾患・治療データやリアルワールドデータ(RWD)を徹底活用することで、用法用量・有効性・安全性の予測性を高めるとともに、デジタル・バイオマーカーやデジタル・デバイスで、患者さんのQOLを早期に実証していきます。また、後期臨床開発の業務効率化とRWD等を活用した試験規模の縮小や期間短縮など、オペレーション・モデルの抜本的な改革にも取り組みます。 ③製薬改革 R&Dアウトプットの大幅な拡充を目指す上で、革新的創薬を確実に製品化する世界水準の製薬技術の追求も重要な課題となります。創薬・早期開発~製薬の機能間の連携を一層強化し、最先端技術を駆使して中分子などの高難度の薬物に対応した製薬技術開発を進めてまいります。引き続きコア技術として進化が期待される抗体医薬についても、さらなる技術開発の推進と開発スピードの向上に努めます。一方で、デジタル・ロボティクスの活用により生産性を飛躍的に向上させる次世代工場の構築や、内製・外製の最適化などによって、世界水準でのコスト競争力と原価の低減を追求します。 ④Value Delivery改革 デジタルツールの発達や、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に、製薬企業の顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しました。そのような変化も踏まえながら、医療従事者や患者さんが求める情報を、高い専門性を担保しながら的確かつ迅速に届けるため、革新的な顧客エンゲージメントモデルの構築を目指します。具体的には、リアル(対面)・リモート・デジタルの最適活用と、営業・安全性・メディカルの各専門機能の適切な連携によって、顧客に対して価値ある情報を、迅速かつ最適な形で提供できる体制を強化します。製品ポートフォリオの変化に伴い、成長領域や新規領域へ集中したリソース投入を行うなど、資源シフトも進めてまいります。また、創薬や開発を通じて蓄積された各種データベースや、リアルワールドデータを統合的に解析・活用することで、個別化医療を促進するエビデンス創出を高度化し、患者さんごとに有効性・安全性を的確に予測するバイオマーカーの開発も加速します。 ⑤成長基盤改革 各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支える全社基盤の強化として、特に下記5つのテーマを重点分野として掲げて取り組んでまいります。 「人・組織」:2020年より開始した人事制度の運用を通じて、ポジションマネジメントとタレントマネジメントの高度化による適所適財の推進、果敢なチャレンジや対話を推奨する組織風土の強化、データサイエンティストをはじめとするデジタル人財やサイエンス人財など戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得・育成・充足に注力するとともに、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進によりイノベーション創出文化の醸成を図ります。 「デジタル」:「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」のもと、デジタル技術を活用した革新的な新薬創出に注力するとともに、すべてのバリューチェーンにおけるDXを推進し、効率化を図ります。その実現に向けてソフト・ハード両面のデジタル基盤の構築とロシュ・グループとの連携を通じた社内の各種データの統合や解析基盤構築によるグローバル水準のIT基盤の確立を行います。 「環境」:マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題について、「中期環境目標2030」を設定し、その達成に向けた先進的な取り組みを通して、持続可能な地球環境を実現します。特に気候変動対策については、2050年にCO2排出量ゼロを目指し、長期的に取り組んでまいります。 「クオリティ」:これまで取り組んできた製品品質の確保に加えて、薬事対応やビジネスプロセス全体にわたるクオリティ・マネジメントの高度化に努めています。さらに、多様な技術進化や新モダリティへの挑戦に伴う規制への対応、デジタル・コンプライアンスの強化、外部との協業拡大を見据えた品質保証体制の整備など、変化するビジネスプロセスに適した質と効率を両立するクオリティ・マネジメント手法の整備・運用を強化します。 「インサイトビジネス」:ロシュ・グループ各社とも協働しながら、創薬、開発、製薬、Value Deliveryの各段階で得られるデータやリアルワールドデータを含む外部データを集積し、高度な解析を加えることにより、自社の創薬・開発や医薬品の価値最大化に資するさまざまなインサイトを抽出し活用する取り組みを推進します。 前述のとおり、世の中には、未だ治療法が存在しない、或いは治療満足度が低いアンメットメディカルニーズが数多く存在し、世界中の患者さんが有効な治療の登場を待ち望んでいます。また、地球環境や人権をはじめとする社会からの期待、ガバナンスやコンプライアンス等の社会からの要請など、企業に期待される役割も変化・拡大しています。患者中心の高度で持続可能な医療の実現を通じて、社会との共有価値創造に積極的に取り組んでまいります。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
1.当社グループにおけるリスクマネジメント(1)ERM導入によるリスク管理の高度化当社グループでは、企業価値の最大化を図るため、事業活動に係るあらゆるリスクを可視化し、統合的に管理を行うERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)のフレームワークを導入しています。具体的には、リスク選好に係る方針を「リスクアペタイト ステートメント」として明示し、全社的に対処すべきリスクを「戦略リスク(=戦略の意思決定に内在するリスクや戦略の遂行を阻害するリスク)」と「オペレーショナルリスク(=事業の円滑な運営を阻害するリスク)」に分け、一元的に把握・整理・可視化することで、効果的・効率的な運用によるリスク管理の高度化を図っています。また、適切な情報開示により、社外のステークホルダーへの説明責任を強化していきます。 (2)ITシステム活用によるリスク管理の効率化全社的なリスク情報の把握・分析・フィードバックを効率的に推進するため、独自のリスクマネジメントシステムを開発し、グローバルで運用しています。このシステムには、各部門がリスクマップや年間リスク対応計画、インシデント報告、BCPマニュアル等を登録し、データベース化して一元管理することで、グループ全体のリスク分析や各部門での対策の状況をモニタリングしています。 2.中外製薬リスクアペタイト ステートメント当社グループでは、社会との共有価値を創造し、企業価値を高める企業活動の根幹となるミッションステートメント(=企業理念)を基点とした事業経営において、経営目標の達成や戦略遂行を阻害する事象を「リスク」と捉えています。戦略の意思決定や事業の円滑な運営を適切に行うために、リスクへの対応方針である「リスクアペタイト ステートメント」を定め、健全なリスクカルチャーの醸成を図るとともに、従業員の一人ひとりがこれに基づいて判断・行動することを徹底します。 ●イノベーションの追求に伴うリスク・私たちの存在価値と成長の源泉は「イノベーションの追求」です。最先端のサイエンスと技術、デジタルによる革新を追求することで世界のアンメットメディカルニーズに対する新たなソリューションを生み出し、高度で持続可能な医療の実現を通じて社会との共有価値を創造する「ヘルスケア産業のトップイノベーター」を目指します。そのために、自社を取り巻く経営環境や自社の強み、患者ニーズやサイエンス・技術の見通し等を分析し、社会の期待や要請を適時・適切に捉えるとともに、経営戦略や各々のプロジェクトに潜在するリスクを特定し、経営資源の選択と集中、外部パートナーとの協働・連携の強化、デジタル技術の活用など然るべき対策を講じながら、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出の機会を追求します。・また、イノベーション創出には、従業員の多様性や人権を尊重することで、すべての従業員の能力が最大限発揮できる働きやすい環境の実現と、戦略目標達成・イノベーションを牽引するリーダー人財・高度専門人財の早期発掘・育成・獲得及び活躍促進が不可欠です。そのため、私たちは、チャレンジを奨励する組織文化・制度設計・意思決定を大切にしながら、高度かつ多様な人財が活躍し、イノベーションが創出されることを妨げるあらゆるリスクを低減することに努めます。 ●製品の有効性・安全性/品質保証/安定供給を阻害するリスク・私たちが患者さんに価値を安定的にお届けするにあたっては、何よりも製品の有効性や安全性、そしてそれらを担保する品質が重要であると考えます。・そのため、私たちの製品やイノベーションの追求には、予期せぬ副作用が生じるリスクが潜んでいることを意識しながら、有効性と安全性を十分に検証し、経済性も考慮のうえで高い品質を保証しなければなりません。・私たちは、デジタル技術を活用しながら、自社のビジネスプロセス(研究、開発、製薬、マーケティング、メディカルアフェアーズ、医薬安全性、知的財産・信頼性保証)における適正な分業・協業や、グローバルサプライチェーンマネジメントの強化、グローバル品質システムの維持・向上を図るとともに、生産性向上や在庫管理の最適化など、経済性の側面での対策も進めながら、有効性・安全性が確保され、品質が保証された製品の安定供給を阻害するリスクを回避・低減することに努めます。 ●コンプライアンスに反するリスク・私たちは、「企業倫理は業績に優先する」という考えのもと、法規制の遵守にとどまらず、社会的価値観や倫理観、公正さに基づく判断・行動を徹底します。そのために、ミッションステートメント(=企業理念)やグループ コード・オブ・コンダクト、その他社内規程/ガイドラインを制定しており、これに反する判断・行動を認めず、コンプライアンスに反するリスクは一切受け入れません。また、サプライチェーン全体におけるコンプライアンスを徹底するため、自グループ内のみならず、ビジネスパートナーに対しても、高い倫理観に基づく誠実な活動を求めます。 ●企業市民としての社会的責任に関するリスク・私たち企業は、地球環境や社会システムのうえで成り立っており、これらを維持・発展させることは、企業市民としての私たちの責任であると考えます。・私たちは、地域社会や国際社会が抱える課題に向き合い、中外製薬としてどのように貢献すべきかを考え、様々なステークホルダーと連携・協働しながら、事業活動のあらゆる場面において、環境保全や人権の尊重に努めることで、地球環境問題や社会的な差別・人権侵害の解消に貢献するとともに、医療・福祉を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組むことで、企業市民としての役割・責任を果たせず、社会からの信頼を損なうリスクを低減することに努めます。 3.主要なリスク当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により重大な影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しています。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針です。なお、これらは当社グループにかかるあらゆるリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク)① 技術・イノベーションについて当社グループは、ロシュとの戦略的アライアンスのもと、自社の強みであるサイエンス力と技術力をさらに強化することで、革新的な医薬品の創出に努めています。そして、成長戦略「TOP I 2030」においては、RED機能(研究・早期開発)への経営資源の集中を推進しています。特にこれまでの低分子・抗体医薬では解決できなかったアンメットメディカルニーズ(有効な治療方法が見つかっていない疾病に対する治療薬への要望)を満たすことが期待される中分子技術の開発に注力するとともに、生成AIを含むデジタル技術を活用し研究開発プロセスの効率化に積極的に取り組んでいます。しかしながら、医薬品の研究開発には、常に不確実性(自社創薬・技術開発の遅れや失敗)が存在します。このため、当社が目指す価値の創出や戦略の実行が遅延する影響が想定されます。さらにサイエンス、医薬品開発、デジタルという日進月歩の分野では、破壊的な新技術・ソリューションや競争優位性の高い革新的な製品などの出現により、自社技術・プロジェクトの価値低下や開発計画の見直しが生じるリスクがあります。また、当社グループは業務活動において、当社グループ所有、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識の下で様々な知的財産権を使用していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者による侵害や三者の知的財産権を侵害する可能性があり、当社技術・製品の価値低下や係争に至るケースも考えられ、他社特許による技術使用不能や使用料発生など戦略遂行に重大な影響を与える可能性があります。こうしたリスクに対しては、最先端のサイエンス・技術の探求を怠らず、経営資源の選択と集中により自社技術の優位性を高めるとともに、マルチモダリティ戦略の追求やCVF(Chugai Venture Fund)投資を含む外部連携の強化により多様性を高めることに努めています。中分子医薬の開発にあたっては関連する社内組織(創薬・開発・製薬)の連携強化、知的財産権についてはライセンス先との連携強化を含む知財戦略のさらなる強化、積極的な知財対応を図ってまいります。当社グループはリスクアペタイトに基づき、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出を追求するとともに、職場環境や組織文化、人財育成などの面からもイノベーションを奨励する仕組みを強化し、イノベーション創出を妨げるリスクの低減に努めます。 ② 制度・規制・政策ⅰ.医療制度・薬事規制について国内外において高齢化の進展や医療費高騰などによる財政逼迫を背景とした薬剤費引き下げ政策の強化が進められています。加えて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う多額の財政出動の結果、各国が進める医療費抑制はさらに加速することが予想されます。日本においては昨今の安全保障政策の強化に伴う防衛費の増大等により、医療等の社会保障財政への影響も懸念されます。2024年の薬価制度改革で医薬品のイノベーションに対する評価が行われることになったものの、既に2年に一回行われている薬価改定に加え、2021年度に導入された中間年改定が実施される中、こうした薬価引き下げ政策やバイオシミラー(バイオ後続品)等の振興政策が拡大すると、これまで以上に収益の低下等を招き、研究開発への投資を妨げるリスクがあります。また、海外においても、医療制度・薬事規制改革の内容や環境動向を適時適切に把握し、開発・薬事計画などの対応を進めているものの、規制動向の把握が遅れることにより計画の修正や開発が遅延することが懸念されます。 一方、こうした政策により今後ますます「Value Based Healthcare(価値に基づく医療)」が進展し、患者さんにとって真に価値のあるソリューションだけが選ばれる傾向がより一層強まると考えられます。当社グループは、引き続き患者さんへの高い価値の証明に注力し、継続的な次世代品の開発・知財対応、製品ポートフォリオ管理の強化を図ります。そして、日本のみならず海外インテリジェンス機能の強化等に取り組んでまいります。 ⅱ.環境規制について環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。一方で、企業を取り巻く環境規制の更なる厳格化により、規制対応のために設備投資計画の見直し・遅延や、追加的な費用計上など環境投資の増大が生じる可能性があります。規制動向のタイムリーな把握に加え、最新技術の動向把握と的確な取り入れを行っていくとともに、世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な地球環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。 ③ 市場・顧客についてⅰ.市場・顧客の変化近年、競合品やバイオシミラー(バイオ後続品)の浸透加速による競争激化に加え、再生医療、細胞/遺伝子治療、核酸医薬など新たな治療手段(モダリティ)の進展や、予防・診断・治療・予後まで一貫した価値提供が求められるようになり、「治療」の価値が変化してきています。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に、製薬企業における医薬品の情報提供体制、すなわち顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しています。このような状況において、市場での地位や製品競争力が低下し収益が悪化するリスク、あるいは顧客タッチポイントの急速な変化等により、医薬品の情報提供体制の抜本的な見直しを迫られる可能性があります。こうしたリスクに対応するべく、当社グループでは連続的な新薬の創出と製品ラインアップの多様化に努めるとともに、営業資源を適切に配分し、顧客エンゲージメントを強化してまいります。そのためにもDXの推進による効率化と環境変化に迅速に対応できるフレキシブルな組織体制の構築を目指します。 ⅱ.地政学リスクの高まりによる事業制限ウクライナ紛争や台湾情勢などの各国間の緊張の高まりによる人権、ハイテク、データ、戦略物資への規制強化をはじめとした各国の経済安全保障法制の強化や、国際紛争による物流への影響など、近年、地政学リスクの高まりに端を発した企業活動への影響が出てきています。これら国際情勢の急激な変化や武力衝突の発生によって、関連地域における事業制限・撤退(生産・R&D・販売拠点の喪失、利益減少、将来の機会損失)、関連地域におけるサプライチェーン停滞・供給遅延などのリスクが生じる可能性があります。これら地政学・経済安全保障リスクに対して、当社グループでは、各国法制や政策の動向など外部情報をタイムリーに入手し、事業影響分析を行う社内体制の強化に取り組んでいます。そして、サプライチェーン全体の可視化に努めるとともに、有事に備えた安全管理体制の再整備、事業継続計画(BCP)・供給バックアップ体制(デュアルサイト化)の強化などを行っています。 ④ 事業基盤についてⅰ.ロシュとの戦略的提携当社グループはロシュとの戦略的提携により、日本市場におけるロシュの唯一の医薬品事業会社となり、また日本以外の世界市場(韓国・台湾除く)ではロシュに当社製品の第一選択権を付与し、多数の製品及びプロジェクトを同社との間で導入・導出しています。独自のビジネスモデルによって安定的な収益基盤を確立し、飛躍的な成長を遂げてまいりました。これまでの戦略的提携における合意内容が変更となった場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、ロシュの創薬・グローバルネットワークが不調に陥り、ロシュからの導入品による安定的な収益源が低下するリスクやロシュに導出した自社品のグローバル市場浸透の遅延や収益低下などのリスクがあります。当社グループとしてはイノベーションを追求し、革新的な医薬品を連続的に創出するとともに、ロシュとの連携によりグローバル開発・マーケティング計画の策定及び実行の支援を強化するとともに、ロシュグループ全体の価値最大化に資する導出戦略の実行と、ロシュ戦略を踏まえた最適な導入戦略の実行に努めてまいります。 ⅱ.人事・組織当社は2020年に新たな人事制度を導入し、適所適財に基づく人財配置の徹底、タレントマネジメントの高度化、そして「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成を図っています。また、サイエンス人財やデジタル人財など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の発掘・育成・獲得に注力しています。一方、人財獲得ニーズの競合等による獲得の遅れや社内育成に要する時間、環境変化により求められる業務・質の変化による人財のミスマッチや不足、余剰等が発生するリスク、あるいは期待される組織文化が醸成されず、イノベーションの創出が阻害されるリスクなどが想定されます。こうしたリスクに対応するべく、戦略遂行上の要となる人財要件を明確の定義・更新し、社外にも積極的に開示することで、計画的に獲得を目指す一方、社内では定着・育成に向けた施策の強化に努めています。今後も、組織・人財への投資を強化し、環境動向を見極めた組織体制と戦略的な採用計画を実施するとともに、イノベーション創出を促進する人事戦略・組織風土改革の実行に努めてまいります。 ⅲ.収益構造製薬産業における技術の進歩は顕著であり、国内外製薬企業等との厳しい競争に直面する中、想定を超えるR&D投資やオペレーションコストの増加が収益構造に影響を及ぼす可能性があります。このため、デジタルを活用したプロセス改善と生産性の向上によるオペレーションコストの最適化に取り組むとともに、投資プロジェクトの見極めによる適切な資源配分を行ってまいります。 ⅳ.デジタル基盤すべてのバリューチェーンで生産性の飛躍的向上を図るべくデジタル投資を加速する一方、デジタル技術が進展せず、戦略実行が遅延するリスク、社内のデジタルケイパビリティ不足、デジタルコンプライアンスの理解不足等によりデジタルトランスフォーメーション(DX)の停滞やトラブルが発生するリスクがあります。また、生成AIの活用が遅れることによる競争力低下のリスクも想定されます。技術動向把握のアンテナ機能を拡充するとともに、専門部署強化と外部専門人財の積極活用によるケイパビリティの強化、生成AIの全社的活用推進とコンプライアンスリスク評価体制の強化に取り組みます。 (2)事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク)① 品質・副作用について患者さんに価値の高い製品・サービスを安定的にお届けするにあたっては、製品の有効性や安全性は勿論のこと、それらを担保する品質が重要であると考えます。当社グループでは、製品や情報の質に加えて、業務プロセスの質とそれを担う人財によって事業の信頼性を確保しています。また、高品質な製品や情報を提供するには社外パートナー企業との連携も重要なことから、パートナー企業とも品質や風土について議論する場を定期的に設けるなど、様々な取り組みを行っています。しかしながら、何らかの原因により製品品質に懸念が生じた場合には、販売中止・製品の回収、訴訟や損害賠償、社会的信頼の低下などにより、業績に重大な影響を与える可能性があるため、パートナー企業のリスク評価及び連携を含めた品質保証活動の強化・徹底を図ってまいります。医薬品・医療機器は各国規制当局の厳しい審査を受けて承認されます。当社グループでは、承認後も医薬品の安全性監視活動を強化・徹底するとともに、「調査・副作用・治験データベースツール」による患者さんの特性に応じた迅速な情報提供や、「治療支援アプリ」の運用、医療関係者への安全性コンサルテーション・ネットワーク体制の構築など、適正使用に向けた安全性情報提供活動の強化を図っています。しかしながら、万全の安全対策を講じたとしても副作用等の健康被害を完全に防止することは困難であり、副作用、特に新たな重篤な副作用が発現した場合には、「使用上の注意」への記載を行うほか、販売中止・製品の回収等に至ることもあり、業績に重大な影響を与える可能性があります。 ② ITセキュリティ及び情報管理について業務上、各種ITシステムの利用において、従業員・アウトソーシング企業の不注意または故意による行為や、サイバー攻撃等の外部要因によりシステム障害や社外提供サービスの停止、提供情報の改ざん等が生じた場合、事業活動の停止・遅延・計画の見直しや、突発的な対応・対策費用などが発生する可能性があります。また、万が一、研究開発等にかかる営業秘密や個人情報等が社外に流出した場合、競争優位性の喪失、社会的信頼の喪失、損害賠償などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループはこれらのリスクに備え、情報管理及びサイバーセキュリティに関する社内ルールの策定、従業員への教育・訓練、システムの堅牢性・可用性の強化、サイバー攻撃・マルウェア感染などの監視(SOC)及びインシデントレスポンス(CSIRT)体制の構築、インシデントの早期対応策の策定(サイバーBCPの策定)を実施しています。特に機密情報管理では、ITシステム面からも強化を図り、業務ファイルごとのアクセス管理、不注意または故意による情報流出の阻止及び流出後の拡散防止などの機能の導入を進めています。個人情報管理においては、ますます活発になる越境データ移転に対応するためにグローバルプライバシーガバナンス体制の構築を進めています。グローバル基準での適法対応を推進するとともに、データの利活用をコンプライアンス面からも支援しています。また、これらの対策状況をグループ横断的に評価し強化するためのセキュリティガバナンス体制を構築し、継続的なリスクの低減に努めています。 ③ 大規模災害等による影響について地震、台風、洪水等の自然災害、火災等の事故により、当社グループの事業所・営業所及び取引先の建物・設備等が深刻な被害を受けた場合、医薬品の供給停止や設備修復などの費用計上の発生、事業活動の制限や新製品の浸透遅延、それらによる収益の低下など、業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練実施、安全在庫確保、耐震対策、損害保険加入など、従業員の安全と医薬品の安定供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めています。 ④ 人権について企業活動における人権侵害の発生は、企業イメージの低下、不買運動、訴訟提起や損害賠償の支払、人財の流出などに繋がり得るもので、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、職場におけるハラスメント等により、従業員の健康やメンタルヘルス、人財力の低下を招くリスクが高まります。当社グループでは、「人権」を経営に重要な影響を及ぼすリスクの一つとして捉え、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重のグループガバナンス体制を構築するとともに、サプライチェーン全体の可視化と取引先の人権リスク評価・対策を含むデューデリジェンスの強化に取り組んでいます。 ⑤ サプライチェーンについて自然災害、国際紛争、事故、パンデミックの発生等により当社の原材料調達先や外部製造委託先などのサプライヤーに被害や事業活動の制限が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の確保や生産の継続が困難となる可能性があり、社会的信頼の喪失や売上・シェアの低下により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライチェーン全体の可視化、事業継続計画(BCP)の策定、安全在庫確保、代替先の確保など、医薬品の安定供給のための体制を整備しています。また、サプライヤ―のみならず、広くサードパーティ(取引先)を対象に包括的なリスク評価システムを導入し、リスクの一元的管理に取り組んでいます。取引先におけるコンプライアンスや環境問題など当社グループだけでは解決できない課題に関し、連携・情報共有体制を構築し、取引先と協力して課題解決に努める方針です。 ⑥ 地球環境問題について地球環境保全のための重大な課題の一つとして、気候変動リスクをとらえており、マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題について、2030年を最終年とした中期環境目標を推進しています。環境関連法規等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に向けて努めていますが、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合、対策費用や損害賠償責任を負うなどにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、将来における環境関連法規制の強化により、対策費用の増加や当社グループの研究、開発、製造、その他の事業活動が制限される可能性があります。なお、当社グループは、透明性・信頼性の高い環境情報を開示するため、毎年、環境パフォーマンスデータの第三者保証を取得しております。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」のフレームワークに基づき、気候変動が当社へもたらすリスクと機会を織り込んだ定性評価及びシナリオ分析を実施し、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とする重大な気候関連リスクは特定されていません。加えて、2021年には、弊社の温室効果ガス削減目標に対してScience Based Target(SBT)事務局よりSBT認定を取得しています。今後も継続的に分析・評価を行い、プロアクティブな環境課題の解決に取り組んでいきます。 ⑦ パンデミックによる影響について今後、新たな感染症の全国的・世界的な大流行等により事業活動が制限された場合、サプライチェーンの停止・遅延により製品供給に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、研究・臨床試験の進行や、MR活動の制限による新製品等の浸透に遅延が生じる可能性があります。当社グループとしては、これらのリスクに対し、患者さんに対する医薬品の安定供給という社会的責務を果たすべく、感染症拡大時においても、必要な医薬品の提供体制を維持することを基本方針としてBCPを策定するとともに、テレワークなど柔軟性の高い働き方と生産性の維持・向上を実現する「新しい働き方」を活用していきます。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況(単位:億円) 2023年12月期実績2022年12月期実績前年同期比連結損益(Core実績)売上収益11,11411,678△4.8%製商品売上高9,74510,392△6.2%その他の売上収益1,3691,286+6.5%売上原価△4,120△4,750△13.3%売上総利益6,9946,928+1.0%研究開発費△1,628△1,437+13.3%販売費及び一般管理費△1,020△988+3.2%その他の営業収益(費用)1611412倍営業利益4,5074,517△0.2%当期利益3,3363,177+5.0% 連結損益(IFRS実績)売上収益11,11412,597△11.8%営業利益4,3925,333△17.6%当期利益3,2553,744△13.1% Core EPS(円)202.71193.11+5.0%Core 配当性向(%)39.540.4 - <連結損益の概要(IFRSベース)>当連結会計年度の売上収益は11,114億円(前年同期比11.8%減)、営業利益は4,392億円(同17.6%減)、当期利益は3,255億円(同13.1%減)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費16億円、無形資産の減損損失51億円及び事業所閉鎖に伴う固定資産売却益を含む事業所再編費用等55億円(収益)、早期退職優遇措置に関わる費用103億円が含まれています。なお、前年第1四半期に当社とアレクシオン ファーマスーティカルズ インコーポレーテッドとの間において締結した和解契約による一時金収入等907億円を計上したことによる単発的な影響により売上収益、営業利益、当期利益は前年同期比で減少しています。上記以外の前年同期との比較については<連結損益の概要(Coreベース)>をご覧ください。 <連結損益の概要(Coreベース)>当連結会計年度の売上収益は、その他の売上収益が伸長したものの、製商品売上高が減少し、11,114億円(前年同期比4.8%減)となりました。 売上収益のうち、製商品売上高は9,745億円(同6.2%減)となりました。国内製商品売上高は、新製品のポライビー、バビースモ等の順調な伸長に加え、主力品のエンスプリング、ヘムライブラ、テセントリク等が好調に推移したものの、ロナプリーブの政府納入による売上の大幅な減少や、薬価改定、後発品浸透の影響を受けたことにより前年比で減少しました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのヘムライブラ輸出及びアレセンサ輸出が大幅に増加したため、前年を上回りました。その他の売上収益は、ヘムライブラに関する収入の増加に加え、一時金収入の増加等により1,369億円(同6.5%増)となりました。製商品原価率は、為替影響の一方で製品別売上構成比の変化等により42.3%と前年同期比で3.4%ポイント改善しました。結果、売上総利益は6,994億円(同1.0%増)となりました。研究開発費は中外ライフサイエンスパーク横浜の全面稼働を含む創薬・早期開発への投資や、開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により1,628億円(同13.3%増)、販売費及び一般管理費は諸経費等の増加により1,020億円(同3.2%増)となりました。その他の営業収益(費用)は製品譲渡に係る収益や有形固定資産の売却益が発生し、161億円の収益(前年同期は14億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は前年同期並みの4,507億円(同0.2%減)、Core当期利益は法人所得税の減少及び金融収支等の改善で7期連続の増益を達成し、3,336億円(同5.0%増)となりました。 ※Core実績について当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。株主還元を行う際の指標には、Core EPS及びCore配当性向を指標として使用しております。Core EPSは、Core実績をもとに算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり、Core配当性向は、Core EPS対比の配当性向です。 ※連結経営成績に関する表示方法の変更について当連結会計年度より、連結経営成績に関する表示方法の変更を行っております。当連結会計年度においては、比較情報である前連結会計年度についても当該変更を適用した金額を表示しております。なお、本変更による営業利益から当期利益までの項目、1株当たり当期利益及びCoreベースの概念への影響はありません。 <製商品売上高の内訳>(単位:億円) 2023年12月期実績2022年12月期実績前年同期比製商品売上高9,74510,392△6.2%国内製商品売上高5,5806,547△14.8%オンコロジー領域2,6022,560+1.6%スペシャリティ領域2,9783,986△25.3%海外製商品売上高4,1653,846+8.3% [国内製商品売上高]国内製商品売上高は、新製品及び主力品が好調に市場浸透したものの、ロナプリーブの政府納入の大幅な売上減少や薬価改定、後発品浸透の影響により、5,580億円(前年同期比14.8%減)となりました。 オンコロジー領域の売上は、2,602億円(同1.6%増)となりました。後発品浸透及び薬価改定の影響、並びに競合状況の変化により、抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン」、抗悪性腫瘍剤/抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「カドサイラ」などの売上が減少したものの、新製品の抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー」の売上が大幅に増加し、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」も堅調に推移しました。スペシャリティ領域の売上は、2,978億円(同25.3%減)となりました。新製品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」や脊髄性筋萎縮症治療剤「エブリスディ」が順調に伸長したことに加え、主力品のpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」や血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ヘムライブラ」が引き続き好調に推移しました。また抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の売上がインフルエンザの流行により大幅に増加しました。一方、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入は売上が大幅に減少し、薬価改定及び後発品浸透の影響により、骨粗鬆症治療剤「エディロール」や持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ」などの売上が減少しました。 [海外製商品売上高]海外製商品売上高は4,165億円(前年同期比8.3%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「ヘムライブラ」や抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「アレセンサ」が前年比で大幅に増加しました。 ② 財政状態の状況(単位:億円) 2023年期末実績2022年期末実績前期末比純営業資産(NOA)及び純資産純運転資本4,2265,516△1,290長期純営業資産4,7834,478305純営業資産(NOA)9,0099,993△984ネット現金7,3905,0312,359その他の営業外純資産△143△781638純資産合計16,25614,2442,012 連結財政状態計算書(IFRS実績)資産合計19,32518,698627負債合計△3,070△4,4541,384純資産合計16,25614,2442,012 当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ984億円減少し、9,009億円となりました。うち、純運転資本は、ロナプリーブ等の営業債権の減少などにより前連結会計年度末に比べ1,290億円減少し4,226億円となりました。また、長期純営業資産は主に藤枝工場における合成原薬製造棟(FJ3)等への投資により前連結会計年度末から305億円増加し、4,783億円となりました。次項「③ キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ2,359億円増加し、7,390億円となりました。その他の営業外純資産は、主に未払法人所得税の減少により前連結会計年度末から638億円増加し、△143億円となりました。これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ2,012億円増加し、16,256億円となりました。 ※純営業資産(NOA)及び純資産について連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。 ※純営業資産(NOA)について純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。 ③ キャッシュ・フローの状況(単位:億円) 2023年12月期実績2022年12月期実績前年同期比フリー・キャッシュ・フロー営業利益4,3925,333△17.6%調整後営業利益4,9155,706△13.9%営業フリー・キャッシュ・フロー5,4013,084+75.1%フリー・キャッシュ・フロー3,6381,664+118.6%ネット現金の純増減2,359311+658.5% 連結キャッシュ・フロー計算書(IFRS実績)営業活動によるキャッシュ・フロー4,0992,436+68.3%投資活動によるキャッシュ・フロー△373△1,455△74.4%財務活動によるキャッシュ・フロー△1,393△1,456△4.3%現金及び現金同等物の増減額2,365△456-%現金及び現金同等物の期末残高4,5872,222+106.4% 営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、4,915億円(前年同期比13.9%減)となりました。有形固定資産の取得による支出719億円等があった一方で、純運転資本等の減少1,306億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは5,401億円(同75.1%増)の収入となりました。純運転資本等の減少要因は前項「② 財政状態の状況」に記載したとおりです。営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,761億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは3,638億円(同118.6%増)の収入となりました。フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払1,316億円等を調整したネット現金の純増減は2,359億円の増加となりました。また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は2,365億円増加し、当期末残高は4,587億円となりました。 ※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。 ※連結キャッシュ・フロー計算書に関する表示方法の変更について当連結会計年度より、連結キャッシュ・フローに関する表示方法の変更を行っております。当連結会計年度においては、比較情報である前連結会計年度についても当該変更を適用した金額を表示しております。 ④ 生産、受注及び販売の実績a. 生産の状況当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業1,128,2720.8合計1,128,2720.8 (注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は売価換算(仕切単価ベース)であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。 b. 商品仕入実績当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業3,55718.2合計3,55718.2 (注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は実際仕入高であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。 c. 受注の状況当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 d. 販売の状況当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業1,111,367△11.8合計1,111,367△11.8 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先当連結会計年度前連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド511,88146.1482,73741.3厚生労働省85,5427.7203,65517.4アルフレッサ株式会社81,1557.391,6557.8 2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。3.販売高は売上収益(製商品売上高とその他の売上収益)であります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 及び ② 財政状態の状況」に記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、これまで、運転資金並びに設備投資及び研究開発活動を自己資金で充当しております。2021年度に始動しましたTOP I 2030 は「R&Dアウトプットの持続的な創出」に代表されるイノベーションへの継続的な経営資源の配分を掲げています。引き続き資金流動性の確保と事業活動から創出されるキャッシュ・インフローの最大化に努めるとともに、継続的なイノベーション投資に必要な財務健全性を維持していく方針です。また、計画外の急な資金需要が生じた場合の財源につきましては、金融機関からの借入や短期社債等を利用するなどの体制を整えており、既存の手許資金も含めて十分な流動性を確保しております。今後についても資本財源は事業活動を通じて獲得した資金を基盤とする方針であり、継続的なイノベーションへの投資を通じ、持続的な企業価値の向上を目指す方針です。なお、資本配分としての配当につきましては、継続的で安定的な配当の実施を目標としており、Core EPS 対比45%(5年平均)を目安としております。 ③ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当連結会計年度においては、Core売上収益は、ロシュ向け輸出や国内における新製品・主力品の市場浸透が好調だったことから、11,114億円(公表予想比3.9%増)となり、2年連続で1兆円を超えました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により42.3%(同1.7%pts減)、研究開発費・販売費及び一般管理費・その他の営業収益(費用)の合計は2,487億円(同0.5%減)となりました。この結果、Core営業利益は4,507億円(同8.6%増)となりました。また、長期にわたる投資効率の指標として重点的に管理することとしているCore ROICの実績は、前年と概ね同水準の34.6%となりました。 2021年に開始した成長戦略「TOP I 2030」の3年目となる2023年は、創薬、開発、製薬、Value Delivery、成長基盤という5つの改革分野において、概ね順調な進展が見られました。創薬においては、現在のところ、R&Dアウトプット倍増という非常にチャレンジングな目標に対して、種々の取り組みが進捗しておりますが、目標達成のためには更なる強化の余地があると考えています。現在、抗体、低分子に続く第3のモダリティとして中分子医薬品開発に取り組んでおり、初の中分子プロジェクトであるLUNA18の臨床試験において、経口投与での吸収(血中移行)を確認しました。最大耐用量の取得に時間を要しているため、ePoC取得は期初に目指していた2024年より遅延する見込みです。なお、研究段階含む中分子プロジェクト数が増加するなど、中分子ポートフォリオの拡充は、順調に進展しております。また、自社の強みとする抗体医薬品においても、次世代抗体技術の開発とプロジェクトの創出が進んでおります。このような自社での創薬研究を加速すべく、2023年4月に全面稼働した「中外ライフサイエンスパーク横浜」では、クライオ電子顕微鏡をはじめ、ロボティクスやAI等のデジタル基盤を活用した、創薬力を最大限に発揮する体制を整備しました。加えて、オープンイノベーションを加速すべく、創薬スタートアップ企業等への投資を目的にした、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である「Chugai Venture Fund, LLC」を設立いたしました。このように種々の取り組みは進捗しておりますが、先に述べたチャレンジングな目標達成に対して、これらの取り組みを元に、さらに外部連携やデジタル活用を推進してまいります。 開発については、2023年は合計4プロジェクトが承認・発売され、新薬・適応拡大を含め8プロジェクトが承認申請に移行しました。また、ロシュ品・自社品含めて計5プロジェクトの第Ⅲ相国際共同治験、7プロジェクトの第Ⅰ相臨床試験を開始しました。また、複数のプロジェクトで承認取得前からの複数疾患同時開発を準備・実施しており、製品価値最大化に取り組んでおります。製薬では、R&Dアウトプット倍増及び効率的な生産体制の実現を目指して、宇都宮・浮間両工場において複数の設備投資の意思決定を行いました。宇都宮工場においては、臨床開発から初期商用までのバイオ原薬生産を行う「UT3」で、従来のバッチ生産方式に加え、灌流培養の導入などによる連続生産機能を実装し、次世代バイオ医薬品工場の実現に向けた基盤強化を推進いたします。また初期商用向けの新規注射剤棟である「UTA」では、スマートファクトリーの実現を目指し、生産オペレーションを支えるデジタル基盤(SPIRITS)を展開するほか、ロボティクスの活用により生産性向上を目指しています。浮間工場においては、臨床開発から初期商用までのバイオ原薬製造棟である「UK3」の生産能力を3倍に増強することで、バイオ原薬の供給スピード・フレキシビリティ向上を目指しています。なお、両工場とも、当社が掲げる中期環境目標2030の達成に寄与する製造設備といたします。Value Deliveryにおいては、多様化する顧客ニーズに対応すべく、医療関係者や患者さんが求める情報を的確かつ迅速に提供する体制の強化が進んでおり、顧客満足度調査において高く評価をいただいております。また、個別化医療に資する独自エビデンスの創出を目指し、社内外データの統合的な活用にも継続して取り組んでいます。成長基盤は、「人・組織」について、経営課題の推進とセカンドキャリアを考える従業員への支援の両面を目的として、早期退職優遇措置を実施し、374名が応募しました。新薬創出力の高度化や全てのバリューチェーン効率化の柱である「デジタル」については、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に4年連続で選定されるとともに、「DXプラチナ企業2023-2025」にも選定されました。世界水準でのサステナブル基盤としての「環境」については、2030年の環境目標を設定し、種々の取り組みを行っており、概ね順調に進捗しておりますが、廃棄物の削減については達成に向けた課題があり、検討を継続しております。なお、サステナビリティにおいて重要な指標である「Dow Jones Sustainability Index World」に4年連続で選定されました。その他、質と効率を両立する次世代クオリティマネジメントを目指す「クオリティ」も着実に対応するとともに、「インサイトビジネス」では、子宮内膜症における痛みのデータを活用したバーチャルケアに向け、Biofourmis社と新たなパートナーシップを締結しました。これらの活動を通して、イノベーション創出に必要な成長基盤の強化を図っています。 ※ROICについて投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを知ることができます。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループはIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 1.重要な会計方針等 (2)重要な会計上の判断、見積り及び前提」に記載のとおりです。
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
(1)技術導入契約等契約会社名相手方の名称国名契約品目契約年対価契約終結年中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド(及びロシュ・ダイアグノスティクス・インターナショナル(バーゼル支店))スイス抗悪性腫瘍剤(抗VEGFヒト化モノクローナル抗体)2003一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体2003一定額の契約金発売日から20年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)ロシュ・グライカート・エージースイス抗悪性腫瘍剤 ヒト化抗CD20モノクローナル抗体2007一定額の契約金発売日から15年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスガンテネルマブ(遺伝子組換え)2007一定額の契約金発売日から15年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体2008一定額の契約金発売日から20年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)全薬工業株式会社日本抗CD20モノクローナル抗体2011一定額の契約金2026年9月3日または供給が不可能となった日またはリツキサン®皮下注の販売開始日のいずれか早い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体2013一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)2013一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスイパタセルチブ塩酸塩2014一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスクレネズマブ(遺伝子組換え)2015一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスファリシマブ2017一定額の契約金発売日から15年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス選択的エストロゲン受容体分解薬2019一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方 契約会社名相手方の名称国名契約品目契約年対価契約終結年中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体2020一定額の契約金EUでの発売開始から7年(以降両者の合意の下で延長可能)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスdelandistrogene moxeparvovec2021一定額の契約金対象特許満了日、発売から12年または日本におけるデータ保護期間満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗悪性腫瘍剤抗FcRH5/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体2021一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスMosunetuzumab2017一定額の契約金発売日から25年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスチラゴルマブ2018一定額の契約金対象特許満了日、または発売日から25年のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスGlofitamab+Polivy-R-CHP2018一定額の契約金日本での発売日から15年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降、一方が終了させない限り2年毎延長) (2)技術導出契約等契約会社名相手方の名称国名契約品目契約年対価契約終結年中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイスヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体2003一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ国毎に発売日から10年または対象特許満了日のいずれか長い方中外製薬株式会社(当社)興和株式会社日本選択的SGLT2阻害剤-2型糖尿病治療剤2012一定額の契約金発売日から15年または基本特許満了日のいずれか長い方(日本)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤2012一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ発売日から10年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)日本新薬株式会社日本抗悪性腫瘍剤 ヒト化抗CD20モノクローナル抗体2012一定額の契約金適応症ごとの発売日から15年、日本における対象特許満了日、またはデータ保護期間満了日のいずれか長い方(以降自動更新) 契約会社名相手方の名称国名契約品目契約年対価契約終結年中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗体改変技術2014一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティロイヤルティ等の支払義務終了時中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体 血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤2014一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ国毎に発売日から10年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)興和株式会社日本選択的SGLT2阻害剤-2型糖尿病治療剤2015一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティデータ保護期間満了日または基本特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)(欧米)中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドスイス抗IL-6レセプターヒト化モノクローナル抗体(SA237)2016一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ発売日から10年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)ガルデルマ・ホールディング・エス・エイスイスNemolizumab(ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体)2016一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ発売日から12年または対象特許満了日のいずれか長い方(以降自動更新)中外製薬株式会社(当社)イーライリリー・アンド・カンパニーアメリカ非ペプチド型経口GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬2018一定額の契約金及び一定料率のロイヤルティ国毎及び製剤毎に対象特許満了日または発売日から12年のいずれか長い方 (3)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンス契約会社名相手方の名称契約の名称契約年契約の内容中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド日本包括的権利契約2001同社が有する開発候補品の日本における開発・販売について当社に第一選択権を付与する契約中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド包括的開発品導入契約2002日本ロシュ株式会社との合併時に日本ロシュ株式会社が開発していた開発品の包括的導入中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド包括的既存品導入契約2002日本ロシュ株式会社との合併時に日本ロシュ株式会社が販売していた製品の包括的導入中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド研究協力契約2002低分子化合物に関する同社との間の共通研究基盤構築及びその共同使用に関する基本契約中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド研究協力契約2004高分子化合物に関する同社との間の共通研究基盤構築及びその共同使用に関する基本契約 契約会社名相手方の名称契約の名称契約年契約の内容中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド改訂世界包括的権利契約2014当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・販売について同社に第一選択権を付与する契約中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド日本商業化契約2018ファウンデーション・メディシン社製品の日本国内での独占的商業化に関する契約中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド改訂基本契約2022日本国内におけるエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの医薬品事業の統合を柱とする戦略的アライアンスにかかわる基本契約 (4)その他契約会社名相手方の名称契約の名称契約年契約の内容中外製薬株式会社(当社)ジェネンテック・インコーポレーテッド原薬製造委受託契約2008ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(トシリズマブ)原薬にかかる製造委受託契約中外製薬株式会社(当社)国立大学法人大阪大学包括連携契約2016大阪大学免疫学フロンティア研究センターとの先端的な免疫学研究活動に関わる包括連携契約中外製薬株式会社(当社)株式会社Preferred Networks包括的パートナーシップ契約2018株式会社Preferred Networksとの深層学習技術を用いた医薬品・サービスの開発に関わる包括的パートナーシップ契約中外製薬株式会社(当社)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド原薬製造委受託契約2021ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(トシリズマブ)の原薬にかかる製造委受託契約中外製薬工業株式会社(連結子会社)日揮株式会社工事請負契約書2021藤枝工場合成原薬製造棟(FJ3)の新設工事中外製薬株式会社(当社)大成建設株式会社工事請負契約書2021浮間事業所バイオ原薬製造棟(UK4)の新設工事中外製薬株式会社(当社)アレクシオン・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッド和解契約2022アレクシオン・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッドが開発・販売するユルトミリスにかかる同社との間の知財訴訟に関する和解中外製薬株式会社(当社)高砂香料工業株式会社不動産売買契約書2022鎌倉市に所有する不動産の売却に関する不動産売買契約書中外製薬株式会社(当社)富士アミドケミカル株式会社不動産売買契約書2022東京都北区の不動産の購入に関する不動産売買契約書 契約会社名相手方の名称契約の名称契約年契約の内容中外製薬株式会社(当社)大正製薬株式会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド事業譲渡契約2022大正製薬株式会社を譲受人とする日本におけるボンビバ事業の譲渡契約中外製薬工業株式会社(連結子会社)日揮株式会社工事請負契約書2023宇都宮工場バイオ原薬製造棟(UT3)の新設工事中外製薬工業株式会社(連結子会社)大成建設株式会社工事請負契約書2023宇都宮工場注射剤棟(UTA)新設工事
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開しており、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでおります。国内では、中外ライフサイエンスパーク横浜において創薬研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っております。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)、台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が創薬研究に取り組んでいます。当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は1,628億円(前年同期比13.3%増)、売上収益研究開発費比率は14.6%となりました。 2023年1月1日から2023年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりです。 「がん領域」・抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「RG6264」(製品名:「フェスゴ」)は、2023年9月に、HER2陽性の乳癌、及びがん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する承認を取得し、同年11月に発売しました。・ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「MRA/RG1569」(製品名:「アクテムラ」)は、2023年2月に、悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群を対象として承認申請を行い、同年9月に適応拡大の承認を取得しました。・ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:「アレセンサ」)は、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法を対象として、2023年11月に米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)及び中華人民共和国 国家薬品監督管理局(NMPA)へ、同年12月に国内で承認申請を行いました。・選択的エストロゲン受容体分解薬「RG6171」は、2023年4月に、乳がん[一次治療~三次治療](エベロリムス併用)を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、2023年10月に、肝細胞がん[一次治療](RG7446/RG435との併用)を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。・抗DLL3/CD3/CD137トリスペシフィック抗体「ALPS12/RG6524」は、2023年1月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。・抗CLDN6/CD3/CD137トリスペシフィック抗体「SAIL66」は、2023年4月に、CLDN6陽性固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。・「ROSE12」は、2023年6月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。・抗PD-1/LAG-3バイスペシフィック抗体「RG6139」は、2023年8月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。・抗CEA/CD3バイスペシフィック抗体「RG7802」は、第Ⅰ相臨床試験の結果に鑑み、固形がんを対象とする開発活動を一時停止しました。・改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、第Ⅲ相国際共同治験「CONTACT-01試験」及び「CONTACT-03試験」の結果に鑑み、非小細胞肺がん[二次治療]、腎細胞がん[二次治療](いずれもカボザンチニブ併用)を対象とする開発をそれぞれ中止しました。また、第Ⅲ相国際共同治験「IMvigor130試験」及び「IMpassion030試験」の結果に鑑み、尿路上皮がん[一次治療]、早期乳がん(アジュバント)を対象とする開発をそれぞれ中止しました。・AKT阻害剤「RG7440」は、第Ⅲ相国際共同治験「IPATential150試験」の結果に鑑み、前立腺がん[一次治療](アビラテロン併用)を対象とする開発を中止しました。 「免疫疾患領域」・抗補体C5リサイクリング抗体「SKY59/RG6107」は、2023年2月に、ループス腎炎を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。・糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体「RG7159」(製品名:「ガザイバ」)は、2023年3月に、小児特発性ネフローゼ症候群を対象として第Ⅲ相国際共同治験を、同年10月に、腎症を伴わない全身性エリテマトーデスを対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。・ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「MRA/RG1569」(製品名:「アクテムラ」)は、欧州医薬品委員会(CHMP)の見解を踏まえ、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患を対象としたEMAへの承認申請を取り下げました。「神経疾患領域」・HTTmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド「RG6042」は、2023年1月に、ロシュがハンチントン病を対象として第Ⅱ相国際共同治験を開始したことを受け、当社の開発ステージを第Ⅱ相へ変更しました。・抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体「GYM329/RG6237」は、2023年3月に、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。・抗アミロイドベータ/TfR1融合蛋白「RG6102」は、2023年10月に、アルツハイマー病を対象として第Ⅰ/Ⅱ相国際共同治験を開始しました。・抗アミロイドベータヒトモノクローナル抗体「RG1450」は、第Ⅲ相国際共同治験「GRADUATE1/2試験」の結果に鑑み、アルツハイマー病を対象とする開発を中止しました。「血液疾患領域」・抗factor Ⅸa/Ⅹバイスペシフィック抗体「ACE910/RG6013」(製品名:「ヘムライブラ」)は、2023年1月に、重度の出血の表現型を伴う中等症の血友病Aの適応拡大について、欧州委員会より承認を取得しました。・抗補体C5リサイクリング抗体「SKY59/RG6107」は、2023年6月に、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を対象として国内で承認申請を行いました。また同年6月に、FDA及びEMAへPNHを対象として承認申請を行いました。「眼科領域」・抗VEGF/抗Ang-2バイスペシフィック抗体「RG7716」(製品名:「バビースモ」)は、2023年4月に、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を対象として承認申請を行いました。また、2023年3月に網膜色素線条を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。・抗IL-6モノクローナル抗体「RG6179」は、2023年6月に、非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(製品名:「エンスプリング」)は、2023年10月に、甲状腺眼症を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。「その他の領域」・「REVN24」は、2023年10月に、急性疾患を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。 ※本章において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
当社グループは生産設備の増強・合理化及び研究開発機能の充実・強化などを目的とした設備投資を継続的に実施しております。当連結会計年度における設備投資額は683億円であります。主要なものは、藤枝工場における低・中分子医薬品の後期開発用治験薬製造から初期商用生産を担う合成原薬製造棟(FJ3)建設、浮間事業所における初期開発用治験薬製造を担うバイオ原薬製造棟(UK4)建設、宇都宮工場における中後期治験薬製造から初期商用生産を担うバイオ原薬製造棟(UT3)建設、初期商用の無菌注射剤製造棟(UTA)建設への投資などであります。 ※本項において、金額は億円未満を四捨五入しております。 
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は次のとおりであります。(提出会社) 2023年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(百万円)(注)1従業員数(人)土地(面積千㎡)建物及び構築物機械装置及び備品合計浮間地区(東京都 北区)医薬品の研究161(55)17,94221,98540,087595藤枝地区(静岡県 藤枝市)医薬品の研究350(217)7,30613,32320,979-宇都宮地区(栃木県 宇都宮市)子会社に賃貸している土地等2,087(122)01,7963,883-中外ライフサイエンスパーク横浜(神奈川県 横浜市)医薬品の研究40,803(159)89,05338,602168,458785 (中外製薬工業株式会社) 2023年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(百万円)(注)1従業員数(人)土地(面積千㎡)建物及び構築物機械装置及び備品合計浮間工場(東京都 北区)医薬品の製造--13,58725,53739,124651藤枝工場(静岡県 藤枝市)医薬品の合成--8,0728,45416,526439宇都宮工場(栃木県 宇都宮市)医薬品の製造--9,62810,98120,609467 (注)1.帳簿価額の内訳には、建設仮勘定は含まれておりません。2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。3.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため「セグメントの名称」の記載を省略しております。4.現在休止中の主要な設備はありません。5.上記の他、主要な賃借設備として以下のものがあります。全て建物の賃借であります。 (提出会社)事業所名(所在地)設備の内容従業員数(人)当期賃借料(百万円)本社事務所(東京都中央区)統轄業務施設1,8592,275関東南統括支店(東京都品川区)販売業務施設348239関西統括支店(大阪市淀川区)販売業務施設290142 (注)当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため「事業の種類別セグメントの名称」の記載を省略しております。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
(1)重要な設備の新設等重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。 (中外製薬工業株式会社)2023年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容投資予定金額資金調達方法着手年月完成予定年月総額(百万円)既投資額(百万円)藤枝工場(静岡県藤枝市)低・中分子医薬品の後期開発用治験薬製造・初期商用生産(FJ3)55,51047,307自己資金2021年9月2024年10月宇都宮工場(栃木県宇都宮市)中後期治験/初期商用バイオ原薬製造(UT3)37,4185,639自己資金2023年6月2026年5月宇都宮工場(栃木県宇都宮市)初期商用生産向け無菌注射剤製造(UTA)19,0115,261自己資金2023年6月2025年11月浮間工場(東京都北区)バイオ原薬製造(改造工事)(UK3)20,310-自己資金2024年1月2027年5月 (注)1.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。2.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、「セグメントの名称」の記載を省略しております。 (2)重要な設備の除却等重要な設備の除却等の計画はありません。
研究開発費、研究開発活動162,800,000,000
設備投資額、設備投資等の概要68,300,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況42
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況15
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況11,980,884

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は保有する投資株式について以下のとおり区分しております。純投資目的:専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的に株式を保有する場合純投資目的以外:純投資目的に区分されない株式を保有する場合 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、当社の持続的な中長期的な企業価値の向上に資するため、医薬品販売等における取引または金融取引等の取引関係の維持・強化など経営戦略の一環として、必要と判断する企業の株式のみ保有し、また資本効率やリスク・リターンの観点などから適切な水準となるよう縮減に努めることを基本方針としております。個別の政策保有株式について、保有目的の適切性、保有に伴う資本効率や取引の合理性等を具体的に精査し、保有の適否について取締役会で定期的に検証しております。 ロ.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式16932非上場株式以外の株式-- (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式12非上場株式以外の株式1345 ハ.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度①保有目的、②業務提携等の概要、③定量的な保有効果及び④株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)オンコリスバイオファーマ㈱-456,600①医薬品開発における取引関係の維持②がんに対するウイルス療法の開発に関する業務提携無-241 (注)1.「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。2.日本基準に基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。3.②-ハにおける「③定量的な保有効果」については取引先との関係を考慮し記載を省略しておりますが、資本コストを踏まえた中長期的な経済合理性や保有目的の経営戦略との合致性等を総合的に判断し、保有の適否について定期的に検証しております。 みなし保有株式該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社16
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社932,000,000
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社345,000,000
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社オンコリスバイオファーマ㈱
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社

Shareholders

大株主の状況 (6)【大株主の状況】
2023年12月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
ROCHE HOLDING LTD(常任代理人 西村あさひ法律事務所)Grenzacherstrasse 124, CH-4058Basel, Switzerland(東京都千代田区大手町1丁目1-2 大手門タワー)1,005,67061.12
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区浜松町2丁目11-3145,1988.82
株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-1259,7373.63
STATE STREET BANK ANDTRUST COMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)P.O.BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS02101 U.S.A.(東京都港区港南2丁目15-1 品川インターシティA棟)25,2321.53
NORTHERN TRUST CO.(AVFC)RE NON TREATY CLIENTS ACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行東京支店 カストディ業務部)50 BANK STREET, CANARY WHARF,LONDON E14 5NT, UK(東京都中央区日本橋3丁目11-1)19,1201.16
STATE STREET BANK WESTCLIENT-TREATY 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY,MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15-1 品川インターシティA棟)14,3340.87
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SSBTC CLIENT OMNIBUSACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行東京支店 カストディ業務部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1,BOSTON, MASSACHUSETTS(東京都中央区日本橋3丁目11-1)10,4840.63
JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF,LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15-1 品川インターシティA棟)9,3750.56
住友生命保険相互会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)東京都中央区八重洲2丁目2-1(東京都中央区晴海1丁目8-12)9,0000.54
計―1,309,18679.57 (注)1.当社は自己株式33,743,712株を所有しておりますが、上記大株主の状況の記載から除いております。2.所有株式数は、千株未満を、また発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を、それぞれ切り捨てて記載しております。
株主数-金融機関77
株主数-金融商品取引業者40
株主数-外国法人等-個人94
株主数-外国法人等-個人以外910
株主数-個人その他52,918
株主数-その他の法人322
株主数-計54,361
氏名又は名称、大株主の状況住友生命保険相互会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)
株主総利回り3
株主総会決議による取得の状況 (1)【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(千円)当事業年度における取得自己株式21,0645,491 当期間における取得自己株式3351,908 (注)1.当期間における取得自己株式には、2024年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる自己株式数は含めておりません。2.金額は千円未満を四捨五入して記載しております。

Shareholders2

自己株式の取得-5,000,000

Audit

監査法人1、連結有限責任 あずさ監査法人
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年3月27日中外製薬株式会社取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士永峯 輝一  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士北村 雄二朗 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士宇津木 辰男 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている中外製薬株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結財政状態計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結持分変動計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、中外製薬株式会社及び連結子会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する製品化の可否に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「10.無形資産」に記載されているとおり、中外製薬株式会社の当連結会計年度の連結財政状態計算書に計上されている無形資産19,860百万円には、進行中の研究開発資産である利用可能でない製品関連無形資産10,156百万円が含まれており、総資産の0.5%を占めている。連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 有形固定資産、使用権資産及び無形資産の減損損失」に記載されているとおり、利用可能でない製品関連無形資産については、毎年減損の判定が行われている。判定の結果、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。当該無形資産は、主に製品に係る技術導入契約又は個別の資産購入によって取得したものであり、取得時において事業性の評価が行われているが、研究開発競争の激化による新薬創出の難易度上昇や研究開発費の高騰等、研究開発プロセスに内在する不確実性のため、製品化に至らずに開発が中断されるリスクがある。このため、研究開発プロジェクトの製品化の可否に関する経営者による判断が、無形資産の減損の判定に重要な影響を及ぼす。以上から、当監査法人は、利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する製品化の可否に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する、製品化の可否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、最新の開発進捗状況や製品を取り巻く環境の変化を加味して減損の判定が行われることを担保する統制に、特に焦点を当てた。(2)製品化の可否に関する判断の妥当性の評価利用可能でない製品関連無形資産のうち一定の金額的重要性を有する資産について、経営者による減損の判定の前提となった研究開発プロジェクトの製品化の可否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。・各研究開発プロジェクトの進捗状況について、取得時の事業性評価において計画されていたマイルストンの達成予定時期と当連結会計年度末までの達成実績を比較することにより、計画との乖離の有無を確認した。・計画との乖離が検出された研究開発プロジェクトを対象として、製品化の可否に関する判断への重要な影響の有無を確認するため、研究開発部門のプロジェクト責任者に対して、各研究開発プロジェクトの進捗状況、対象とする適応症の臨床試験結果、並びに取得時の事業性評価以降における競合品やバイオ後発品の発売及び浸透状況について質問した。また、研究開発活動の継続や事業性評価の見直しを検討するポートフォリオマネジメント委員会の議事録及び関連資料を閲覧した。 ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「2.セグメント情報」に記載されているとおり、中外製薬株式会社の当連結会計年度の連結損益計算書において計上されている売上収益1,111,367百万円には、その他の売上収益136,874百万円が含まれており、売上収益の12.3%を占めている。その他の売上収益には、ロイヤルティ収入及び協同パートナーとの利益分配契約からの収入(以下、「プロフィットシェア収入」という。)で構成されるロイヤルティ及びプロフィットシェア収入と、主にライセンス導出契約からの収入で構成されるその他の営業収入が含まれている。連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 収益」に記載されているとおり、知的財産のライセンスと交換に約束した売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティ収入は、その後の顧客の売上またはライセンスの使用に基づき認識されている。プロフィットシェア収入は、協同パートナーとの利益分配契約からの収入で、協同パートナーが売上と売上原価を計上する際に認識している。また、ライセンス導出契約からの収入は通常、製品や技術に関する知的財産をライセンスとして第三者に供与し、契約一時金、マイルストン及びその他類似した支払いの受領から認識されている。ライセンス導出契約からの収入は、導出以降の履行義務が一切ない場合、会社はライセンスの供与をもって収益を認識している。他方、ライセンス導出契約に研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合、導出以降の履行義務に対応する繰延収益に関しては、それぞれの履行義務を充足した時に収益を認識している。導出されるライセンスは、通常は知的財産を使用する権利であり、一般的に契約ごとに固有のものである。会社は、ロイヤルティ収入及びプロフィットシェア収入については、契約相手先からの売上高等についての報告書に基づき計上され、その計算及び入力プロセスが自動化されていないため、収益認識の適切性に関して監査人がより注意を払う必要がある。また、ライセンス導出契約からの収入は、契約ごとに取引条件が異なるため、個々の契約に含まれる履行義務の識別、複数の履行義務が含まれている場合の取引価格の配分及びそれぞれの履行義務の充足時点に関して経営者による複雑な判断を要する場面がある。以上から、当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、受取ロイヤルティ及び協同パートナーからの利益分配に係る金額並びに会計処理が、関連する報告書又は契約に基づくものであるか否かを検討する統制に、特に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入のうち一定の金額的重要性を有する取引について、それらの収益が適切に認識されているか否かを検証するため、主に以下の手続を実施した。・ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入の計上額について、契約相手先からの報告書と整合していることを確認した。・ロイヤルティ収入について、顧客の売上報告書数値に契約上のロイヤルティ料率を乗じた金額と、会社が計上したロイヤルティ収入を比較した。ライセンス導出契約に関する顧客との契約書を閲覧するとともに、履行義務が契約内容に基づいて適切に識別され、識別した各履行義務に配分された取引価格が合理的かどうか、及び各履行義務を充足した時点で収益が適切に認識されているかどうかを検討した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、経営者が清算若しくは事業停止の意図があるか、又はそれ以外に現実的な代替案がない場合を除いて、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、中外製薬株式会社の2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。当監査法人は、中外製薬株式会社が2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】
に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上  ※1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する製品化の可否に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「10.無形資産」に記載されているとおり、中外製薬株式会社の当連結会計年度の連結財政状態計算書に計上されている無形資産19,860百万円には、進行中の研究開発資産である利用可能でない製品関連無形資産10,156百万円が含まれており、総資産の0.5%を占めている。連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 有形固定資産、使用権資産及び無形資産の減損損失」に記載されているとおり、利用可能でない製品関連無形資産については、毎年減損の判定が行われている。判定の結果、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。当該無形資産は、主に製品に係る技術導入契約又は個別の資産購入によって取得したものであり、取得時において事業性の評価が行われているが、研究開発競争の激化による新薬創出の難易度上昇や研究開発費の高騰等、研究開発プロセスに内在する不確実性のため、製品化に至らずに開発が中断されるリスクがある。このため、研究開発プロジェクトの製品化の可否に関する経営者による判断が、無形資産の減損の判定に重要な影響を及ぼす。以上から、当監査法人は、利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する製品化の可否に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する、製品化の可否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、最新の開発進捗状況や製品を取り巻く環境の変化を加味して減損の判定が行われることを担保する統制に、特に焦点を当てた。(2)製品化の可否に関する判断の妥当性の評価利用可能でない製品関連無形資産のうち一定の金額的重要性を有する資産について、経営者による減損の判定の前提となった研究開発プロジェクトの製品化の可否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。・各研究開発プロジェクトの進捗状況について、取得時の事業性評価において計画されていたマイルストンの達成予定時期と当連結会計年度末までの達成実績を比較することにより、計画との乖離の有無を確認した。・計画との乖離が検出された研究開発プロジェクトを対象として、製品化の可否に関する判断への重要な影響の有無を確認するため、研究開発部門のプロジェクト責任者に対して、各研究開発プロジェクトの進捗状況、対象とする適応症の臨床試験結果、並びに取得時の事業性評価以降における競合品やバイオ後発品の発売及び浸透状況について質問した。また、研究開発活動の継続や事業性評価の見直しを検討するポートフォリオマネジメント委員会の議事録及び関連資料を閲覧した。 ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「2.セグメント情報」に記載されているとおり、中外製薬株式会社の当連結会計年度の連結損益計算書において計上されている売上収益1,111,367百万円には、その他の売上収益136,874百万円が含まれており、売上収益の12.3%を占めている。その他の売上収益には、ロイヤルティ収入及び協同パートナーとの利益分配契約からの収入(以下、「プロフィットシェア収入」という。)で構成されるロイヤルティ及びプロフィットシェア収入と、主にライセンス導出契約からの収入で構成されるその他の営業収入が含まれている。連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 収益」に記載されているとおり、知的財産のライセンスと交換に約束した売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティ収入は、その後の顧客の売上またはライセンスの使用に基づき認識されている。プロフィットシェア収入は、協同パートナーとの利益分配契約からの収入で、協同パートナーが売上と売上原価を計上する際に認識している。また、ライセンス導出契約からの収入は通常、製品や技術に関する知的財産をライセンスとして第三者に供与し、契約一時金、マイルストン及びその他類似した支払いの受領から認識されている。ライセンス導出契約からの収入は、導出以降の履行義務が一切ない場合、会社はライセンスの供与をもって収益を認識している。他方、ライセンス導出契約に研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合、導出以降の履行義務に対応する繰延収益に関しては、それぞれの履行義務を充足した時に収益を認識している。導出されるライセンスは、通常は知的財産を使用する権利であり、一般的に契約ごとに固有のものである。会社は、ロイヤルティ収入及びプロフィットシェア収入については、契約相手先からの売上高等についての報告書に基づき計上され、その計算及び入力プロセスが自動化されていないため、収益認識の適切性に関して監査人がより注意を払う必要がある。また、ライセンス導出契約からの収入は、契約ごとに取引条件が異なるため、個々の契約に含まれる履行義務の識別、複数の履行義務が含まれている場合の取引価格の配分及びそれぞれの履行義務の充足時点に関して経営者による複雑な判断を要する場面がある。以上から、当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、受取ロイヤルティ及び協同パートナーからの利益分配に係る金額並びに会計処理が、関連する報告書又は契約に基づくものであるか否かを検討する統制に、特に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入のうち一定の金額的重要性を有する取引について、それらの収益が適切に認識されているか否かを検証するため、主に以下の手続を実施した。・ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入の計上額について、契約相手先からの報告書と整合していることを確認した。・ロイヤルティ収入について、顧客の売上報告書数値に契約上のロイヤルティ料率を乗じた金額と、会社が計上したロイヤルティ収入を比較した。ライセンス導出契約に関する顧客との契約書を閲覧するとともに、履行義務が契約内容に基づいて適切に識別され、識別した各履行義務に配分された取引価格が合理的かどうか、及び各履行義務を充足した時点で収益が適切に認識されているかどうかを検討した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、連結ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 連結財務諸表注記「2.セグメント情報」に記載されているとおり、中外製薬株式会社の当連結会計年度の連結損益計算書において計上されている売上収益1,111,367百万円には、その他の売上収益136,874百万円が含まれており、売上収益の12.3%を占めている。その他の売上収益には、ロイヤルティ収入及び協同パートナーとの利益分配契約からの収入(以下、「プロフィットシェア収入」という。)で構成されるロイヤルティ及びプロフィットシェア収入と、主にライセンス導出契約からの収入で構成されるその他の営業収入が含まれている。連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 収益」に記載されているとおり、知的財産のライセンスと交換に約束した売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティ収入は、その後の顧客の売上またはライセンスの使用に基づき認識されている。プロフィットシェア収入は、協同パートナーとの利益分配契約からの収入で、協同パートナーが売上と売上原価を計上する際に認識している。また、ライセンス導出契約からの収入は通常、製品や技術に関する知的財産をライセンスとして第三者に供与し、契約一時金、マイルストン及びその他類似した支払いの受領から認識されている。ライセンス導出契約からの収入は、導出以降の履行義務が一切ない場合、会社はライセンスの供与をもって収益を認識している。他方、ライセンス導出契約に研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合、導出以降の履行義務に対応する繰延収益に関しては、それぞれの履行義務を充足した時に収益を認識している。導出されるライセンスは、通常は知的財産を使用する権利であり、一般的に契約ごとに固有のものである。会社は、ロイヤルティ収入及びプロフィットシェア収入については、契約相手先からの売上高等についての報告書に基づき計上され、その計算及び入力プロセスが自動化されていないため、収益認識の適切性に関して監査人がより注意を払う必要がある。また、ライセンス導出契約からの収入は、契約ごとに取引条件が異なるため、個々の契約に含まれる履行義務の識別、複数の履行義務が含まれている場合の取引価格の配分及びそれぞれの履行義務の充足時点に関して経営者による複雑な判断を要する場面がある。以上から、当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結連結財務諸表注記「2.セグメント情報」
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結連結財務諸表注記「1.重要な会計方針等(3)会計方針 収益」
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 当監査法人は、ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、受取ロイヤルティ及び協同パートナーからの利益分配に係る金額並びに会計処理が、関連する報告書又は契約に基づくものであるか否かを検討する統制に、特に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入のうち一定の金額的重要性を有する取引について、それらの収益が適切に認識されているか否かを検証するため、主に以下の手続を実施した。・ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入の計上額について、契約相手先からの報告書と整合していることを確認した。・ロイヤルティ収入について、顧客の売上報告書数値に契約上のロイヤルティ料率を乗じた金額と、会社が計上したロイヤルティ収入を比較した。ライセンス導出契約に関する顧客との契約書を閲覧するとともに、履行義務が契約内容に基づいて適切に識別され、識別した各履行義務に配分された取引価格が合理的かどうか、及び各履行義務を充足した時点で収益が適切に認識されているかどうかを検討した。
その他の記載内容、連結 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

Audit1

監査法人1、個別有限責任 あずさ監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書 2024年3月27日中外製薬株式会社取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士永峯 輝一 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士北村 雄二朗 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士宇津木 辰男 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている中外製薬株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの2023年事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、中外製薬株式会社の2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」と実質的に同一の内容である。このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上  ※1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」と実質的に同一の内容である。このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「ロイヤルティ及びプロフィットシェア収入並びにライセンス導出契約からの収入の収益認識の適切性」と実質的に同一の内容である。このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。
その他の記載内容、個別 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

BS資産

商品及び製品101,724,000,000
原材料及び貯蔵品56,522,000,000
未収入金42,351,000,000
工具、器具及び備品(純額)15,195,000,000
土地47,023,000,000
建設仮勘定3,338,000,000
有形固定資産210,214,000,000
ソフトウエア715,000,000
無形固定資産805,000,000
投資有価証券12,950,000,000
長期前払費用38,777,000,000
繰延税金資産81,853,000,000
投資その他の資産200,201,000,000

BS負債、資本

未払金190,000,000
未払法人税等42,240,000,000
未払費用53,517,000,000
賞与引当金18,973,000,000
資本剰余金96,337,000,000
利益剰余金1,351,597,000,000
その他有価証券評価差額金-1,035,000,000