財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-27 |
英訳名、表紙 | Cyfuse Biomedical K.K. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 秋 枝 静 香 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区三田三丁目5番27号 住友不動産三田ツインビル西館 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | (03)6435-1885(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 株式会社サイフューズは、再生・細胞医療分野、創薬支援分野等をはじめとする先端医療分野においてヒトの細胞のみから作製した組織・臓器を新しい製品として、患者さまへの移植や新薬開発等の研究開発現場へご提供し、医療に貢献することを目指して、創業いたしました。当社設立以降の会社沿革は、以下のとおりであります。 年月概要2010年8月東京都新宿区に株式会社サイフューズを設立2010年9月骨軟骨再生の細胞製品開発プロジェクトが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業(橋渡し推進技術開発)に採択2011年4月本店を東京都新宿区から東京都千代田区へ移転2011年11月立体組織再生に関する基本特許(三次元細胞積層技術)に関し、国立大学法人九州大学と独占ライセンス契約を締結2012年12月細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)「Regenova®(レジェノバ)」の販売開始2013年4月本店を東京都文京区へ移転し、東京大学アントレプレナープラザ内に「東京ラボ」を開設2014年4月NEDOの委託事業(橋渡し推進技術開発)(2015年から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の委託事業に移行)「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発/細胞を用いた機能的な立体組織作成技術の研究開発」(代表:佐賀大学)に採択2014年4月NEDO(2015年からAMED委託事業に移行)の委託事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」(代表:京都大学)に採択2015年5月ベンチャー起業への国際的表彰「アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015」(主催:アジア・アントレプレナーシップ・アワード運営委員会、共催:三井不動産株式会社、国立大学法人東京大学産学協創推進本部、一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ、一般社団法人日本ベンチャー学会、独立行政法人日本貿易振興機構)にて事業の革新性や事業の実行力に対する評価を受け、優勝2015年9月北米でバイオ3Dプリンタ「Regenova®(製品名:レジェノバ)」の販売開始2017年6月AMEDの委託事業「革新的医療技術創出拠点プロジェクト/HDMAC技術応用による変形性膝関節症における広範囲骨軟骨再生」(代表:九州大学)に採択2017年7月AMEDの委託事業「革新的医療シーズ実用化研究事業/バイオ3D プリンタにより作製した三次元神経導管(Bio 3D Conduit)を用いた革新的末梢神経再生法の臨床開発」(代表:京都大学)へ参画2017年8月「大学発ベンチャー表彰2017」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)/ NEDO)にて優れた大学発ベンチャーとしての評価を受け、「科学技術振興機構理事長賞」を受賞2017年8月「第15回産学官連携功労者表彰」(主催:内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、一般社団法人日本経済団体連合会、日本学術会議)にて産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた企業としての評価を受け、「日本学術会議会長賞」を受賞2017年10月富士フイルム株式会社と血管再生の細胞製品開発に関する業務提携2018年8月積水化学工業株式会社と肝臓構造体の細胞製品開発に関する業務資本提携2018年10月肝臓構造体の細胞製品開発プロジェクトが、NEDO公募事業「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」に採択2019年1月新型のバイオ3Dプリンタ「S-PIKE®(製品名:スパイク)」の販売開始2019年2月「Japan Venture Award 2019」(主催:独立行政法人中小企業基盤整備機構)にて革新的かつ潜在成長力の高い事業や、社会的課題の解決に資する事業を行う、志の高いベンチャー企業の経営者としての評価を受け、「中小機構理事長賞」を受賞2019年2月太陽ホールディングス株式会社と再生・細胞医療分野における再生医療等製品の製品製造に関する資本業務提携2019年5月東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」に認定2019年6月経済産業省のスタートアップ支援プログラム「J-Startup」企業に選定2019年7月本店を東京都文京区へ移転 年月概要2019年11月AMEDの委託事業「バイオ3Dプリンタを用いて造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床研究」(代表:佐賀大学)へ参画2020年5月AMEDの委託事業「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」(代表:京都大学)へ参画2020年6月岩谷産業株式会社と再生・細胞医療分野における技術開発に関する業務資本提携2020年10月太陽ホールディングス株式会社と再生・細胞医療分野における包括的パートナーシップ締結2020年11月京都大学医学部附属病院とバイオ3Dプリンタを用いた末梢神経損傷に対する三次元神経導管の医師主導治験を開始2020年12月藤森工業株式会社と再生・細胞医療分野における技術開発に関する業務資本提携2021年12月株式会社メディパルホールディングスと再生・細胞医療分野における再生医療等製品の安定流通に関する開発投資契約締結2022年3月福岡地所株式会社と地域創生を目的とした業務資本提携2022年4月本店及び東京ラボを東京都港区へ移転2022年4月AMED 橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンター技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」(代表:慶應義塾大学)へ参画2022年9月福岡ラボを福岡県福岡市中央区へ移転2022年12月東京証券取引所 グロース市場に上場(証券コード:4892)2023年6月京都大学医学部附属病院とバイオ3Dプリンタを用いた末梢神経損傷に対する三次元神経導管の医師主導治験を完了2023年8月PHC株式会社と再生・細胞医療分野における業務提携2023年9月AMED委託事業「バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」(代表:広島大学)へ参画2023年10月NEDO事業で開発した創薬支援新製品「ヒト3Dミニ肝臓」の販売開始 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 1.当社の事業概要当社『サイフューズ(Cyfuse)』は、2010年の創業以来、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、細胞のみから作製した立体的な組織・臓器を新しい「3D細胞製品」として、再生医療・創薬分野をはじめとする先端医療の現場へお届けすることで、社会に貢献することを目指す再生医療ベンチャーです。当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、世界初の革新的な「3D細胞製品」の実用化を主軸とした戦略的な事業展開を進めております。当社事業領域は、細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであり、(1)再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用細胞製品の各種受託、 (2)創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等の創薬活動を支援する3D細胞製品の開発・販売、(3)デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を多面的に展開しております。 (1) 再生医療領域再生医療とは、細胞や組織を用いて、病気やケガ等により機能を失った組織や臓器を修復・再生させる医療であり、患者さまに対して新たな治療法の選択肢を提供し、国民の健康増進に大きく寄与することが期待される新しい医療領域です。ヒト又は動物の細胞に培養等の加工を施し、身体の構造・機能の再建・修復・形成するものや疾病の治療・予防を目的として使用するものを総称して「再生医療等製品」といいます。① 当社の開発する再生医療等製品従来、再生医療に用いることを目指した組織や臓器の開発では、ゲルやコラーゲンといった人工材料が用いられることが一般的でしたが、当社では人工材料を使用することなく、細胞のみで立体的な組織や臓器を作製することを可能にする独自の基盤技術を有しております。現在、当社では「患者さまご自身から採取した細胞のみを材料として、バイオ3Dプリンタを使用して立体的な組織・臓器を作製し、患者さまの体内へ移植することで、患者さまご自身の体内の組織・臓器が有する機能を回復・再生させる」という新しい治療コンセプトの再生医療等製品の開発を進めております。当社が開発を進める製品は、液体での細胞を投与する製品(1D製品)やシート状に加工した細胞製品を組織や臓器に貼付する製品(2D製品)等の従来の再生医療等製品と異なるコンセプトの立体的な組織・臓器(3D製品)です。具体的には、細胞のみから成る細胞塊(スフェロイド)及び自社で製品化した細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)を使用して立体的な組織や臓器を作製するという点に特徴と強みを有しております。この基盤技術及びバイオ3Dプリンタを使用して細胞のみで作製された組織や臓器は、移植後の拒絶反応や感染症のリスク等の患者さまに対する負担を軽減することができる点、また、人工材料や生体材料を使用しないため高い安全性を有する点、生体との親和性が高く患者さまご自身の組織や臓器が持つ組織・臓器本来の機能を再生させる可能性が大きい点等、既存の医療機器等が有しない再生能力を有する点において、これまでの製品とは大きく異なる機能を有しております。現在、当社では、「患者さま自身の」生きた細胞を用いて、自身の細胞を自身の体内に戻す自家細胞移植をターゲットとした「自家細胞製品」の開発を中心に様々なパイプライン開発を進めており、非臨床試験(動物への移植試験)において、安全性と有効性を十分に確認し、再現性のあるデータを取得したうえで、臨床試験(患者さまへの移植)の段階へ開発を進めております。また、任意の形状、立体構造の造形が可能であり、様々なサイズ(口径・長さ)の組織を作製することが可能であるというバイオ3Dプリンタの特徴を活かし、あらゆる領域の組織・臓器へ適用拡大することや同じ構造を有する組織・臓器を様々な疾患への製品として、適用拡大することも視野に入れた製品開発を行っております。さらに、使用する細胞の種類に制限はなく、細胞塊を作製することができるあらゆる細胞から立体的な組織・臓器を作製することが可能という基盤技術の特徴を活かし、将来的には、iPS細胞や他人の細胞を用いて立体的な組織・臓器を作製し、疾患ごとに様々な製品を展開することも視野に入れた製品開発を行っております。このように当社では、独自の基盤技術を用いて、ヒト細胞のみから成る移植可能な臓器を再生医療等製品として患者さまへお届けすることで、病気やケガで機能不全になった組織・臓器等を再生する新しい治療法の選択肢を提供し、再生・細胞医療分野の発展に貢献することを目指しています。現在開発を進めている細胞製の神経、骨軟骨、血管のような新たな「再生医療等製品」の実用化により、従来の治療法では困難であった組織・臓器再生という新たな治療法の選択肢が誕生することで、QOL(Quality of Life)を大きく向上させることが期待されています。 図1.再生医療等製品開発例 ② 主要パイプラインと開発進捗状況当社の企業成長を中長期的に牽引する再生医療等製品の開発においては、従来の再生医療等製品とは異なり、人工の足場材料を使用せずに患者さまの細胞のみで作製された3D組織・臓器を、新たな再生医療等製品として製品化することを目指して、複数のパイプライン(末梢神経再生、骨軟骨再生、血管再生等の新たな再生医療等製品の開発品ラインナップ)の臨床開発を進めております。また、この主要パイプラインに続く次世代のパイプライン(研究開発シーズ)の探索及び基礎開発を進めております。本書提出日現在での開発計画に基づく、当社のパイプラインの開発ステータスは以下のとおりです。 図2.当社のパイプラインの開発ステータス a.末梢神経再生末梢神経再生については、外傷により神経損傷を受けた患者さまへ四肢の機能を再生・回復させることが可能な「細胞製神経導管」の開発に取り組んでまいりました。当事業年度においては、京都大学医学部附属病院とともに実施した「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」が完了したことを受け、京都大学とともにプレスリリース及び第96回日本整形外科学会学術総会等での発表を行いました。その後、本医師主導治験の結果を踏まえ、パートナー企業等と連携し、次相臨床試験開始に向けた準備を進めてまいりました。なお、本治験の成果に関しては、2024年1月26日に英国の国際学術誌「Communications Medicine」にオンライン掲載されました。また、2024年3月1日には、京都大学から公表された論文内容をもとに本治験結果の最終報告を行うとともに、当社及び太陽ホールディングス株式会社及び太陽ファルマテック株式会社から、今後の産学官連携による社会実装に向けた取り組み等について報道発表を行いました。今後は、京都大学をはじめとする医療機関及びパートナー企業と協働し、本細胞製神経導管について再生医療等製品としての製造販売承認取得並びに社会実装を目指し、引き続き開発を進めてまいります。 b.骨軟骨再生骨軟骨再生については、変形性膝関節症等により軟骨だけでなく軟骨下骨まで損傷が進行している患者さまへ軟骨と軟骨下骨とを同時に再生させることが可能な「細胞製骨軟骨」の開発に取り組んでおります。当事業年度においては、AMED橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンタ技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」において、慶應義塾大学病院とともに次相臨床試験開始に向けた開発を進めてまいりました。また、当事業年度に、新たに採択された経済産業省「令和4年度 第二次補正予算『再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業』」において藤田医科大学及び慶應義塾大学病院とともに骨軟骨再生の社会実装に向けて開発に取り組んでまいりました。なお、骨軟骨再生に関する研究開発については、BioJapan2023(2023年10月開催)等の講演・展示会において発表いたしました。 c.血管再生血管再生については、腎不全等により血液透析を必要とされる患者さまへ移植可能な細胞製の血管構造体「小口径細胞製人工血管」の開発に取り組んでおります。当事業年度においては、国立大学法人佐賀大学とともに臨床試験を継続し開発を進めてまいりました。 d.次世代パイプライン主要パイプラインに加え、次世代のパイプラインの育成及び探索開発についても進捗しており、当事業年度においては、共同研究先である国立大学法人広島大学が採択されたAMED事業「令和5年度再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム/バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」に参画し、歯科領域における研究開発を進めてまいりました。今後も引き続き、共同研究パートナーとの研究開発を進めるとともに、新たなシーズ探索・基礎研究を進めてまいります。 e.その他当社が実用化を目指す細胞製品の開発においては、基盤技術を用いて細胞のみで立体的な構造体を作製するコアプロセス(スフェロイドの作製~三次元細胞積層による立体化~立体構造体の組織化)が極めて重要です。当社では、細胞製品の実用化・産業化に向け、このコアプロセスの機械化及び生産設備開発に取り組んでおり、製造設備及び製造設備等のインフラに関する技術・ノウハウ等を有する企業とのパートナーシップ強化を加速し、必要となる培養技術やプロセス開発等、商業化に必要となる技術開発を進めております。当事業年度においては、細胞製品の製造に関する包括的パートナーシップ契約を締結している太陽ホールディングス株式会社及びその子会社である太陽ファルマテック株式会社とともに、将来の再生医療等製品の実用化を見据えた、製造販売体制構築に向けて準備を進めました。そのほか、藤森工業株式会社との間では、細胞の大量培養に関する共同技術開発を、また、岩谷産業株式会社との間では、凍結保管技術の開発を進めております。各共同研究及び共同開発については、第22回日本再生医療学会学術総会(2023年3月開催)において、共同研究先とともに開発成果の公表等を行いました。さらに、PHCホールディングス株式会社及びPHC株式会社との間で、戦略的パートナーシップの強化を目的とした業務提携に関する基本合意書を締結し、将来の再生医療等製品の商業生産体制構築へ向けた共同開発を進めました。その他、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、MetaTech (AP) Inc.及びTaiwan Hitachi Asia pacific Co., Ltd.との間で、再生医療分野の発展及び台湾地域での協業を進めることを目的とした基本合意書を締結する等、海外における協業も進捗しております。以上のように、今後もパートナー企業との戦略的パートナーシップの強化を進め、当社の革新的な再生医療等製品の早期の実用化に向け、開発を進めてまいります。 (2) 創薬支援領域当社では、独自の基盤技術により、スキャフォールドを使用せず、ヒト細胞のみから成る「ヒト3Dミニ肝臓」をはじめとした、臓器が有する機能を体外で再現する3D細胞製品の開発を進めております。現在の一般的な新薬開発においては、主にシャーレ上で培養されたマウス由来細胞又はヒト初代培養肝細胞を用いて新薬候補化合物の毒性試験や代謝物の評価を行いますが、その細胞が有する薬物代謝機能は2~3日で低減してしまうことから、開発現場では、より長期間機能が持続する肝臓サンプルの開発が待ち望まれています。当社では、新薬創出の開発現場における大きな課題の1つとして挙げられる肝毒性評価系の不足に対する取り組みとして、ヒト肝臓を用いた場合と同様の毒性評価結果が得られ、高い肝機能が長期間にわたり発現する新たなツールとして、ヒト肝細胞等の細胞のみからなるヒト肝臓構造体を開発しました。当事業年度においては、これまで積水化学工業株式会社、大阪サニタリー株式会社及び株式会社SCREENホールディングスと共同開発を進めてきた「ヒト3Dミニ肝臓」を富士フイルム和光純薬株式会社等の提携会社を通じて販売開始いたしました。本製品は、従来製品に比し肝機能が長期間にわたり持続する特徴を有する等、製薬企業や非臨床試験受託会社等の創薬研究のニーズに応える高いユーザビリティを発揮する製品であり、動物実験代替法として利用できる可能性を有する製品です。本製品は2018年度に採択された国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業により開発を進めてきた成果のひとつであり、その後、パートナー企業との協業により製品実用化を達成しました。また、本製品とともに、「ヒト3Dミニ肝臓」を用いて開発された新しいアプリケーションについて、第50回日本毒性学会学術年会(2023年6月開催)で発表する等、学会及び展示会での技術紹介・販促活動を拡大して進めております。今後も、これまで動物試験では検出できなかったヒト特異的な毒性の検出を早期に行い、臨床試験の前にヒト肝臓で起こりうる有害事象を事前に予測することが可能なヒト肝臓構造体の開発を進め、製薬企業や非臨床試験受託会社等の創薬研究のニーズに応えるとともに、将来的には、再生医療領域への応用も視野に実際の患者さまへの移植可能な肝臓構造体の研究開発を進めてまいります。このように、当社独自の基盤技術は、再生医療の分野での実用化のみならず、創薬支援の分野においても、新薬開発における薬剤の評価や、疾患メカニズムの解明へのニーズに対する需要、及び臨床入り後の開発リスクの低減、コスト削減や研究効率向上に多面的に貢献することが期待されています。 (3) デバイス領域当社は、デバイス領域において、独自の基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器及び周辺機器類の開発・販売等の事業活動を進めております。また、事業活動とともに、バイオ3Dプリンタを介した基盤技術の普及促進を進めることで、再生・細胞医療領域における新たなシーズ探索や様々な製品開発に寄与する技術としてのポジション確立を目指しております。その他、再生医療等製品の製造工程の機械化・自動化等の生産技術開発、3D細胞製品の実用化に必要となる技術応用及び新技術開発にも取り組んでおります。当社は、再生医療領域及び創薬支援領域における細胞製品を作製するためのデバイスとして、バイオ3Dプリンタ「Regenova®(製品名:レジェノバ)」の販売を行うとともに、大学等の研究機関や企業の研究所等のデバイス利用者(ユーザー)向けに立体組織の作製に関するトレーニングメニューの提供をはじめ、ユーザーの研究を継続的に支援するためのサポート、消耗品、周辺機器の提供もあわせて行っております。また、基盤技術の技術応用により開発された、再生医療等製品の開発における臨床用三次元細胞積層システムが、再生医療パイプラインの臨床試験において稼働しております。さらに、再生・細胞医療分野の研究開発促進及び基盤技術普及を拡大することを目的として、新技術方式を搭載した新型バイオ3Dプリンタ「S-PIKE®(製品名:スパイク)」を販売しております。なお、「S-PIKE®(製品名:スパイク)」の製品販売については、シスメックス株式会社との販売提携による共同販売を行い、基盤技術の普及を進めております。当社では、これらデバイスによる基盤技術のグローバル展開を進めることで、様々な分野・領域での共同研究や共同開発が拡大し、新たなユーザーへの技術周知やシーズの開拓、細胞製品開発が大きく促進するものと見込んでおります。当事業年度においては、当社の再生医療等製品の実用化に向け、臨床製造に関連した生産技術開発を進めてまいりました。業務提携パートナーである日本精工株式会社との間では、当社の再生医療等製品の実用化に必要となる新技術開発を進めております。また、国際フロンティア産業メッセ2023(2023年9月開催)において、バイオ3Dプリンタ「S-PIKE®」を展示し「ベスト展示優秀賞」を受賞する等、新技術開発の成果やバイオ3Dプリンタへの注目度が増してきている状況にあります。今後も引き続き、3D細胞製品の実用化に向け、様々なパートナー企業との連携により、各種製造の機械化・自動化や将来の商業化を見据えた新たな技術開発にも取り組んでまいります。 図3.バイオ3Dプリンタを用いた製造プロセス全体図 2.事業戦略(1) 当社の事業戦略当社では、当社独自のビジネスモデルを発展拡大させ、デバイス普及により「ベース収益の確保」と「シーズ探索の拡大」を図り、創薬支援用途等の研究用組織による「早期マネタイズ」の実現を経て、中長期的には「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ってまいります。当社独自の基盤技術を中核とした中長期的な事業展開としては、以下を想定しており、現状は、STEP2からSTEP3に移行している段階にあります。 <STEP1>複数の大学等の開発パートナーと共同研究を実施し、それらを通じて当社研究開発の中核となるパイプラインの構築を図ってまいります。また、バイオ3Dプリンタ「Regenova®(製品名:レジェノバ)」及び「S-PIKE®(製品名:スパイク)」の販売を通じて当社基盤技術の普及を進めております。 <STEP2>複数の企業パートナーとの提携により、各パイプラインの製品実用化に向けた臨床開発に取り組んでおります。また、細胞製品開発に必要となる基盤技術を応用した臨床用装置や将来の商業生産を想定した新技術の発明や次世代デバイスの技術開発を進めてまいります。 <STEP3>企業パートナーとともに再生医療等製品の承認取得を目指し、再生医療領域の中核パイプラインの実用化に向けた開発を進めてまいります。また、細胞製品実用化に必要となる基盤技術の開発や新技術開発を継続し、細胞製品及びその用途の拡大を図るとともに、当社が培ってきた基盤技術を新たな領域にも拡大するべく、次世代パイプラインの探索及び拡充を図ってまいります。 図4.中長期事業戦略(イメージ) (2) 当社のアライアンス戦略当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、一般的な創薬系ベンチャーとは異なる事業戦略に基づき、世界初の革新的な再生医療等製品の実用化を目指して戦略的・多面的に事業展開を進めております。再生医療等製品の開発においては、原材料が生きた細胞であることから個体差のある細胞の培養、加工、品質検査、最終製品の出荷、医療機関への輸送、患者さまへの移植まで、製品が届くまでのステップが個別具体的なものとなるという従来の医薬品とは異なる特徴を有しています。そのため、製品開発プロセスにおいても、単一の化合物についてのライセンスを保有するバイオベンチャー1社の企業が単独で、アウトソーシングやライセンスアウトに依存しながら開発を進めていく一般的な創薬系ベンチャーでの医薬品開発の場合とは異なり、再生医療等製品の製品化にあたっては、企業や医療機関との連携や技術・設備・装置等の共同開発体制構築が必要不可欠です。また、医薬品におけるアライアンスは、ライセンスの権利付与を前提とするのに対して、再生医療におけるアライアンスは、単なる権利移転のみならず、製品製造に係る技術やノウハウ等の移管を要することから、当社では、将来の製造販売体制構築を視野に入れた共同開発体制を構築する独自のアライアンス戦略をとっています。そしてそのアライアンス戦略に基づき、製造設備等のインフラに関する技術やノウハウ・設備等を有する複数の医療機関・事業会社・行政機関等の外部パートナーとの共同開発体制(コンソーシアム)を形成することで、製品化へ向け着実に開発を加速させております。このような当社独自のアライアンス戦略は、①1社単独による開発リスクを低減し、事業化パートナー企業と有機的に連携することにより、着実に製品化へ向けた確度の高い開発を進めることで、開発製品の上市の確度を大きく向上させるとともに、②実用化に近いパイプラインを複数有し、かつ、製品ごとにターゲットマーケット及び販売戦略をすみ分けることで、事業リスクを低減し、事業計画実現の確度を高めるものです。再生・細胞医療分野において世界初の製品上市により事業計画を実現することを目指す当社においては、その独自のアライアンス戦略に基づき、最終製品化のためのライセンスパートナーへの技術移管を含めた製造販売体制を構築することが、結果として当社製品の価値の向上、ひいては当社の企業価値向上に大きく寄与していくものと考えております。したがって、当社の再生医療等製品の上市の蓋然性については、実際の共同開発体制や開発パートナーの開発力・技術力が重要な判断指標となります。今後は当社及びパートナーが保有する技術・ノウハウを融合させることで、製品を安定的に供給できる体制及び患者さまに新しい治療法の選択肢を安心安全にお届けする体制を共同構築していく方針です。 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関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)21(1)40.24.87,795 事業部門の名称従業員数(人)研究開発部5(-)システム開発部4(1)事業推進部5(-)経営管理部7(-)合計21(1) (注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(嘱託、パートタイマー及び派遣社員は含む。)は、年間の平均人員を( )内に、外数で記載しております。2.平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.当社は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 (2) 労働組合の状況労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しております。 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、現時点においては「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではありませんが、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み」に記載のとおり、基本方針に基づく人材育成及び社内環境整備等の取り組みを促進しております。今後、その状況の公表等について検討してまいる予定です。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。(1) 経営方針「細胞から希望をつくる」「細胞のみから成る立体的な組織・臓器を患者さまへお届けする」当社は、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、2010年の創業以来、「細胞だけで」立体的な組織・臓器を作製し、再生医療・創薬分野をはじめとする再生・細胞医療分野において、社会貢献することを企業使命として事業を進めてまいりました。当社は、当社独自の人工の足場材料を用いることなく細胞のみで立体的な組織・臓器を作製することを可能とする三次元細胞積層技術(基盤技術)及びこの基盤技術を搭載した細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)を用いて作製した立体的な組織・臓器を「3D細胞製品」として実用化し、患者さまにお届けするとともに、将来的には、当社の事業拡大を通じて、日本発の本技術をグローバルに展開し、再生・細胞医療分野での中心的存在になることを目指しております。 (2) 中長期的な経営戦略及び経営環境中期経営計画における事業戦略として、バイオ3Dプリンタの普及により「ベース収益の確保」と「シーズ育成環境」を実現し、研究用組織(創薬/再生医療研究用途等)で「細胞製品の実用化」を実現する段階を経て、中長期的に「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ることとしております。中長期的な経営戦略及び当社事業を取り巻く経営環境は以下となります。1. 再生医療等製品の上市(開発パイプラインの事業化)2. 開発会社としての細胞製品の実用化に向けた研究開発体制及び上場会社としての経営管理体制の強化3. 上市・上場後の飛躍的成長へ向けた開発パイプラインの拡充及びグローバル展開 ① 再生医療領域開発パートナー企業とともに、複数パイプラインの臨床開発を進め、再生医療等製品の承認取得を実現し、長期的ドライバとしての事業確立を目指します。バイオテクノロジー及び再生・細胞医療領域においては、現政府が提唱する「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」における成長政策として科学技術・イノベーションへの重点的投資が掲げられ、特に、経済産業省が令和4年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業」において総額約50億円の拠出を決定する等、再生医療の産業化を後押しする活動が拡がっております。直近では、CAR-T細胞製品が相次いで承認される等、再生医療等製品市場は急速に拡大をし、また、2018年にはそれまで有効な治療法の存在しなかった脊髄損傷を対象とした製品が承認される等、再生医療によりこれまで存在しなかった新たな市場領域が生み出されました。こうした動きは今後iPS細胞技術並びに2020年にノーベル賞を受賞した「クリスパー・キャス9」といったゲノム編集技術と合わせて新しい細胞を用いた再生医療等製品の登場によりますます加速していくと考えられます。「2020年度再生医療・遺伝子治療の市場調査業務」の最終報告書(アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から委託を受けた調査)では、国内の市場規模は2020年時点の250億円から2040年時点の1.1兆円規模まで拡大し、今後20年で40倍以上の規模に成長すると見込まれております。領域別でみても、筋骨格領域、神経領域をはじめとして、様々な領域において急速に市場が拡大すると予想されています。筋骨格領域に関しては、現在対象疾患から除外されている変形性膝関節症を対象とする再生医療等製品が上市することにより、適応となる患者数が大幅に増えるため、市場が拡大すると想定されます。神経領域の疾患に関しては、脊髄損傷に対する再生医療等製品が承認されたことで、今後は、神経系に係る治療法の普及とともに市場が大きく拡大していくことが予想されています。これ以外にも、直近では角膜疾患を対象とした製品上市が続いている眼科領域に加え、肝臓や腎臓が掌る内分泌・代謝系の領域、心血管・血液領域、泌尿生殖器領域、消化器領域等、また昨今の新型コロナウイルス感染症のような感染症や呼吸器に関する領域等いずれの領域も、新たな製品が上市されることで再生医療の新たな治療領域として市場の拡大がより一層進んでいくことが予想されています。一方、これらの再生医療等製品の多くは細胞治療に分類され、細胞懸濁液等を静脈注射する治療法が主流となっています。今後は、立体形状を有する製品として、二次元のシート状組織や三次元の立体組織を移植する製品群の開発が進行することが予測されております。また、現在の再生医療領域がおかれている状況下にあって、移植待機患者数の増加等の社会的課題に対して、当社が開発を進める3D細胞製品のような社会的意義の大きい新たな再生医療等製品の誕生により、臓器移植の新たな選択肢としての再生医療が実現することへの期待が高まっている状況にあります。 ② 創薬支援領域開発パートナー企業とともに、創薬支援分野において肝臓構造体の毒性評価モデルの事業化を実現し、中期的ドライバとしての事業確立を目指します。科学技術のテクノロジーの進歩が著しい昨今においても、近年のヘルスケア業界における製品開発では、数年以上の長期間、数十億ドル規模の研究開発費を要することに加え、より開発が困難な新製品創出が求められる現状が続く一方で、製品の安全性の要求も高まっており、新製品の開発コストは増加の一途をたどっています。また、現状では、動物実験により製品の安全性や有効性を検証する方法により製品開発が進められていますが、近年、世界各国において動物の保護を目的とする法整備が進んでおり、EU域内においては化粧品開発のための動物実験が全面的に禁止される等、その動向は世界的に加速しています。例えば、今後の化粧品の研究開発において動物実験が全面的に禁止される可能性があり、様々な製品開発において動物実験を代替する新製品誕生に対するニーズが高まっているという状況にあります。さらに、食品・化粧品等のあらゆる製品の開発には動物実験が介在しているものの、現状ではこれに代わるソリューションがなく、動物実験の代替製品の市場だけでも、世界的には2020年の91億ドルから2025年には149億ドルに、年平均成長率10.3%で市場拡大が進むと予測されています。このような現状にあって、現在の企業の製品開発においては、なお動物試験を継続して、あるいはヒト臓器から取り出した細胞をシャーレ上で培養したものを研究開発に使用する等、根本的に動物試験に代替する製品が市場には存在しておらず、今後、当社の3D細胞製品のようなこれまでにない新たな革新的製品を事業化することにより、医療業界及びヘルスケア業界全体が抱える社会課題に対するソリューションを安価に平等に提供できることへの期待が高まっている状況にあります。 ③ デバイス領域開発パートナー企業とともに、バイオ3Dプリンタによる基盤技術の普及を進めるとともに、再生医療領域において必要となる基盤技術の応用や新技術開発を継続し、基盤技術のグローバル・スタンダード化を目指します。再生医療周辺産業においても、2015年から2030年までCAGR+23%での成長が予測されており、装置類や消耗品類、製造受託等のサービス類が市場を牽引すると見込まれております。また、再生医療に使用する目的以外にも、新薬開発や研究用の組織としての製造受託等の各種受託の需要も見込まれており、特に、創薬分野では三次元培養によって作製した細胞や3D細胞製品を用いて、生体内により近い環境下での、肝炎、肝臓病、がん等に関する研究が行われています。今後、再生医療の産業化・市場拡大が進み、神経、骨、血管等の各種組織・臓器を立体的に作製するニーズが増加することに伴って、再生医療周辺産業の市場もさらに拡大すると見込まれております。バイオ3Dプリンタ(装置以外の各種消耗品も含む)市場では、大学や研究機関での技術導入に加え、今後は企業での導入が進むと予想されております。特に製薬会社の創薬・スクリーニングでは細胞の使用量が多くなるため、自動装置及びバイオ3Dプリンタの需要が高まるとみられます。さらに、立体的にヒトの皮膚を培養した化粧品のサンプルテストへの応用、医師の手術用練習ツールとしての人工臓器の作製等の様々な領域への技術応用が拡大しており、今後は、医薬における研究以外の様々な分野での需要拡大も予想されます。 (3) 目標とする経営指標等当社は、独自の基盤技術を活用して創出する新たな細胞製品により市場の開拓及び拡大成長を目指して、積極的にパイプライン開発及び研究開発・技術開発等への先行投資を行っている段階であり、2021年12月期においては黒字化を達成したものの、安定して利益を計上するに至っておりません。このため、現時点において当社は、現預金残高水準(キャッシュポジション)を経営指標等としております。具体的には、今後、経済・金融環境の変化に備えて十分な手元流動性を確保し、中長期的な財務基盤の拡充を図り、確実に再生医療等製品の事業化を達成するための経営指標等として、安定した資金力(キャッシュポジション)の確保・維持することを重視しております。さらに、多様な資金確保手段を講じ安定的な現預金残高水準を確保・維持するとともに、大手金融機関・政府系金融機関・地方銀行等の複数の金融機関との間でコミットメントライン契約等を含む融資枠を設定しております。中長期的には、再生医療等製品をはじめとする事業成長等による収益安定化の実現により経営指標等の達成を目指してまいります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、企業理念である医療の革新的進歩への社会的貢献を目的として、パートナーシップ戦略の展開を軸に、①細胞製品の実用化・商業化、②組織体制及び財務基盤の経営基盤の強化に加え、③医療分野のみならず、次世代ヘルスケア分野や教育分野等の他領域への価値還元や社会的価値と経済的価値の共存を目指したSDGsやESGの推進に取り組む等、持続的な成長を推進してまいります。① 細胞製品開発の実用化・商業化(a) 開発パイプラインの実用化当社が、再生医療ベンチャーとして中長期的な企業成長と事業価値の最大化を図るためには、再生医療等製品の承認取得をはじめとして、当社独自の基盤技術から生み出される3D細胞製品の開発を着実に進め、継続的に開発パイプラインの価値を拡大・発展させていく必要があります。当社では、早期の再生医療等製品の承認取得を目指し、当社が中心となってパイプライン開発を推し進め、高度な開発力・技術力等の専門性を有する複数の事業会社との間で構築した強固かつ効率的な共同開発体制に基づき開発を進めるとともに、将来の細胞製品の実用化・商業化を見据え、事業会社とのパートナリングを通じた製造販売体制を強化しております。また、当社の再生医療等製品の商業化及び将来の安定的・継続的な収益構造の構築に向けて、さらなるパートナリングの強化によるバリューチェーン構築及び再生医療等製品のコスト低減に資する製造体制の整備を進めております。さらに、当社の製品優位性に基づき将来の再生・細胞医療市場を牽引していくことを視野に入れ、原料の安定供給、製造、販売等の各機能についても、パートナー企業との戦略的な提携等を通じて、再生医療等製品の安定供給、マーケティング、顧客となる医療機関へのネットワーク、販路構築等の拡大に対処すべく体制強化に努めております。加えて、現在の主要開発パイプラインに続く次世代の研究開発シーズの探索も重要であり、さらなる開発パイプラインの拡充を目指して、引き続き大学や研究機関との共同研究及び自社独自の研究開発についても促進しております。 (b) 基盤技術普及当社では、将来の持続的な企業成長のため、再生・細胞医療領域における基盤技術のポジション確立及び次世代のパイプライン(研究開発シーズ)の普及・探索の拡大のため、事業活動とともに、バイオ3Dプリンタ等のデバイスを通じた基盤技術普及を着実に遂行していく必要があります。そのため、当社は、バイオ3Dプリンタ「Regenova®」及び「S-PIKE®」について販売提携パートナーとともに、学会や展示会等での普及活動を進め、ベース収益の確保を進めるとともに、ユーザーの研究開発を支援し、ユーザーの論文投稿等今後の研究開発促進に繋がるフォローアップ活動についても継続してまいります。また、バイオ3Dプリンタのグローバル展開を通じた基盤技術のさらなる普及拡大を通じて、当社の3D細胞製品開発のみならず、再生・細胞医療分野における様々な研究開発の促進及び新たなシーズの開拓の促進を目指してまいります。 ② 経営基盤の強化(a) 組織体制の強化当社の製品開発の源泉は、開発会社としての研究開発力・技術開発力にあり、当社が再生医療等製品の承認取得へ向けたパイプライン開発や独自の3D細胞製品開発に必要となる技術革新を着実に実行していくためには、当社の基盤技術を習得した人材の確保及び人材の育成を中心とした組織体制を強化する必要があります。そのため、研究者・技術者がそれぞれの専門性や能力を最大限に発揮できる組織体制を構築し、組織的な開発力・技術力の向上を図るとともに、開発や事業の進展に合わせ柔軟に組織体制の見直しを行い、組織体制の効率化を進めてまいります。さらに、企業の事業継続性の維持・向上のため、高度な専門性を有する優秀な人材の確保及び将来の企業成長を牽引していく中核的人材の育成にも努めてまいります。 (b) 財務基盤の強化研究開発型ベンチャー企業である当社では、製品・サービスの販売及び技術ライセンス等の知的財産権の事業化等により収益を安定的に確保できるようになるまでは、研究開発に対する多額の先行投資による継続的な営業損失と、営業キャッシュ・フローのマイナスを計上することになることから、将来の持続的な企業成長のため、収益の多様化や安定化を図り、財務基盤を強化する必要があります。当社では、これまで、独立行政法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及び東京都等の行政からの研究開発・技術開発に対する支援を得る等、効果的な開発資金の獲得及び開発投資の実行により、様々な研究開発や技術開発を進めてまいりました。また、当社では、効率的で安定した運転資金を確保するため、大手金融機関からの融資枠の供与や政府系金融機関からの長期借入を通じて対外信用力を強化する等、間接金融による財務状況の安定性強化に努めてまいりました。今後も、細胞製品の上市による安定的な収益実現まで、細胞製品及びデバイス関連の売上を伸ばす一方、研究開発費を中心とした事業活動資金を継続的に外部より調達し、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図るとともに、株式市場からの調達等を含めた資金調達手法の多様化を図ることで、事業活動に必要な資金の安定的かつ機動的な調達を通じて財務基盤の強化を目指してまいります。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社の事業展開及びその他に関してリスクとなる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に真摯に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えます。なお、以下の記載については、当事業年度末において当社が判断したもの及び将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、当社に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。 1.再生医療領域に関するリスク(1) 再生医療の研究開発、再生・細胞医療業界に関するリスク① 先端医療に由来するリスク(発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)再生・細胞医療という先端医療領域においては、再生医療の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で、再生医療製品そのものに関する研究開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい研究開発成果や安全性・有効性に関する知見が生まれています。当社が実施している再生医療等製品に係る再生・細胞医療の領域は、国内のみならず、世界的にも注目を集めている研究分野であるため、新しい知識や技術が発見されイノベーションが生まれやすい分野であります。特に、当社が現在開発を進めている再生医療パイプラインのターゲット領域に関しては、当社の細胞性の立体構造体以外に、細胞医薬品等の様々な治療法の開発が進展しています。また、再生・細胞医療分野においては、米国を中心にすでに様々な研究開発が進んでおり、より実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。当社の基盤技術である三次元細胞積層技術は、現時点では新規性の高い再生医療技術であり、また学術的にも従来の製品に比し安全性・有効性・応用可能性等が期待されており、当社では、大学や公的研究機関と連携し、技術的優位性を有する先端技術を継続的に開発しております。ただし、本業界における技術革新が想定以上のスピードで進み、当社技術が陳腐化にさらされる可能性や、当社が全く想定できない副作用が生じる可能性が存在し、そのような最先端の医療に特有の課題やリスクが現実化した場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響が出る可能性があります。 ② 市場規模に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)再生医療市場は、海外ではすでに市場の急速な拡大が進んでおり、経済産業省によれば、全世界で、2030年:12兆円、2050年:38兆円、日本国内で、2030年:1.0兆円、2050年:2.5兆円、と今後大幅な急成長が見込まれています(「再生医療の実用化・産業化に関する報告書(2013年2月)」参照)。ただし、今後、再生医療市場の拡大が想定よりも大幅に鈍化する可能性や主要パイプラインが想定する対象市場が実際には当社の想定よりも小さくなる可能性も否定できないことから、何らかの要因により、事業計画の前提としていた市場そのものが衰退あるいは消滅するような場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品開発の不確実性に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社の再生医療パイプラインについては、主として患者さまご自身の細胞を使用して作製された組織・臓器を患者さまご自身の身体へ移植する、「自家」移植を前提とした製品開発を進めており、人工材料を使用した製品や他人の細胞を使用する「他家」移植に比べて製品自体の安全性は比較的高いものであり、製品使用時の添付文書や同意文書においてリスク状況を患者さまへ十分に説明した上で使用頂きますが、それでも製品出荷後に予期せぬ不具合や有害事象等が発生する可能性までは完全には否定できず、それらが発生した場合には、法規制に従い適切に対応いたします。臨床試験計画は、PMDAとの事前相談を行い綿密な計画を立てておりますが、いまだ再生医療等製品における臨床試験の実施自体が多くないことから、臨床試験に必要とされる患者さまを適切に確保できないこと、試験実施施設側の事情により計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。このような場合には、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 事業基盤の整備・確立に係るリスク(発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社は再生医療等製品の製品供給体制等の事業基盤(インフラ)の整備・確立へ向けた取り組みを推進しておりますが、当社が取り組む再生医療分野は、医薬品のような成熟市場とは大きく異なり、現在市場形成途中にある分野であることから、長期的に持続可能な産業として発展するためには、当社のみならず関連する官庁・企業・業界一体となって取り組んでいく必要があります。また、この取り組みには、量産化等による製造原価低減、医師に適切な内容・量の製品情報を届けることができる効果的なマーケティングの実施、製造販売開始後の市販後調査等のフォローアップ体制の確立等の課題が存在し、その課題解決には多くの時間と多額の費用が必要となります。以上のような課題解決に向けて、当社では、自社での単独開発による様々なリスクを排除し、着実に開発を進めるため、専門性が高い開発力・技術力を有する複数の開発パートナーが、開発・製造・販売までを有機的に連携し担うサプライチェーンの構築を進めておりますが、計画どおりにインフラ及びサプライチェーンの整備・構築が進まない場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2) 法的規制に関するリスク① 再生医療等製品開発の関連法規による規制のリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)再生医療の産業化に向けた環境整備については、2014年11月25日に施行された再生医療等安全性確保法(「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」)及び医薬品医療機器等法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)が成立し、特に薬機法下においては、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るため、再生医療等製品について早期承認制度に基づいた条件及び期限付承認制度を新設し、再生医療の実用化に向けた法規制の整備が大幅に進んでおります。このような市場環境整備の促進により、今後数年以内に再生医療等製品の承認取得が増えることが予想されていますが、この制度下での承認実績はいまだ実績が乏しく、製品開発過程において従来の製品とは異なる検証等を要求される可能性も考えられます。当社の想定よりも多数の試験が必要となるような場合には、開発スケジュールに大幅な遅れが生じる等、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 法規制改正等の変化に由来するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)再生医療等製品に関する法規制については、技術の革新の状況や現時点において予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります。当社では、そのような見直しがあった場合にもいち早く対応することができるよう体制の整備に努めておりますが、法規制の追加や法改正の内容いかんによっては、従来の品質管理基準を上回る品質管理を要求される等の理由によって多額の設備投資が必要となる可能性や、法律・ガイドライン等の追加・改正により、これまで使用が認められてきた原材料が突如として使用できなくなる可能性、当社の想定通りの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認の取得に想定以上の時間を要する可能性も否定できません。また、世界的な医療費抑制の流れの中で、当社が想定している製品価値よりも低い保険償還価格となる可能性もあります。このような事象が発生した場合、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響が生じる可能性があります。 (3) 競合リスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社の3D細胞製品は、当社が独占的に実施権を保有する基盤特許と技術的に模倣することが困難な当社固有の製造ノウハウ等の技術情報とを併用することで初めて製造することが可能となることから、実質的に他者による参入障壁を形成している状況にあるといえますが、再生医療領域に本格参入している企業はまだ比較的少ないものの、研究開発を進めながら参入を検討している潜在的競合相手は少なくないと想定しております。そのため、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手が、当社の保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合等には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、新規の競合品の開発が先行、又は上市した場合は、共同研究開発やアライアンスを実施している企業が、その後の事業価値が毀損されると判断して共同研究開発やアライアンスを解消する可能性があります。さらに、上市に至った場合でも、他社が当社の製品よりも優れた製品を販売すると、想定したロイヤリティが得られないこと等により、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 製品の安全性に関するリスク① ヒト又は動物由来の原材料の使用に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)一般的に、再生医療等製品は、その原材料としてヒト細胞を使用するものであることから、使用する細胞に由来する感染の危険性を完全に排除し得ないために安全性に関するリスクが高いとされているところ、当社の主要パイプラインにおいてはいずれも患者さま自身の細胞を使用することから、他人の細胞を使用することによる感染症のリスクは原理的に存在しません。もっとも、一般的に再生医療等製品の開発にあたっては、製造工程で使用する培地に動物由来の原料が使用される場合があることから、厳密には製造の過程において動物由来材料に起因する感染リスクが存在します。当社では、このような感染リスクを排除・低減するために具体的な方策を研究・実施しておりますが、このような感染リスクが現実化した場合には、当社製品に対する信頼が悪化し、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこのような事例が生じた場合には、当社の過失が否定されたとしても、ネガティブ・イメージによる業界全体及び当社製品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業に影響を与える可能性もあります。 ② 製品の製造に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社が開発を進める細胞製品については、その品質管理に万全を期し、常にその充実を図るよう努めておりますが、様々な要因による不良品発生や研究開発現場での不適切な取扱いの可能性を完全に否定することはできません。そのため、製品開発の過程において事故等が発生した場合には製造物責任によって係争等に発展する可能性や、製造工程における不具合発生による製品の自主回収の可能性等があります。その場合には、特別的な損失として係争等への対応費用や自主回収関連費用等が発生し、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような場合、結果として当社の過失が否定されたとしても、当社に対する製造物責任に基づく損害賠償請求等の係争が発生することで、当社製品に対する信頼が悪化し、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 製造・販売体制の構築に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社が開発を進める再生医療等製品は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の製造及び販売についても事業として展開していくことを視野に入れております。そのため、当社では、パートナー企業等とともに細胞の大量培養技術の開発等製造方法の確立に向けて注力しております。しかしながら、再生医療等製品の開発には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造方法の確立、製造体制の構築等が困難になった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では現在、パートナー企業等との提携により販売体制の構築を進めておりますが、今後、体制構築に何らかの障害が生じ、当社の計画より遅れた場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (6) 知的財産権に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社は研究開発活動等に必要な様々な知的財産権を保有しており、これらは当社所有の権利・ノウハウであるか、あるいは適法に実施許諾を受けた権利・ノウハウであると認識しております。当社では事業に必要な基盤特許については原則としてすべて自社で確保する方針を採用し、当社の重要な知的財産権については定期的に関連特許出願状況等をチェックしており、重大な問題が生じる前にいち早く対策を打つことができるよう体制の整備を図っております。また、当社では、製品製造方法に関わる基盤技術等について、積極的な知的財産権の取得による権利保護を推進し、研究論文等による既出情報に関しても、出願特許の公開による公知化を図る等、他社による権利化や模倣を防止することで事業リスク低減に努めております。さらに、権利化している製品製造工程以外の、培地組成や各種培養技術等の培養工程や、組織・臓器作製ごとに異なって使用する機器・器具等に関する重要度の高い技術情報については、特許出願による権利化の対象にはせず秘匿情報としてノウハウ化を図ることで、外部への流出あるいは他者による模倣を防ぐ知的財産権戦略をとっております。今後、当社の基盤技術に係る主要特許が残存期間を経過し、類似製品が登場する可能性も否定できませんが、既に当社が提供する製品が、複数の取得済み特許及び秘匿情報とする製造ノウハウにより強固に保護され、他者に対して技術的な参入障壁を構築している現状に鑑みると、実際にそのような類似製品が登場し市場において当社製品と競合するような事態は、基本的には想定されません。また、当社では、継続的に新規特許を出願することによって、順次周辺特許の出願等を通じた特許網の拡充に努めておりますが、一方で出願中の特許については登録に至らない可能性が存在します。さらに、上記の重要なノウハウ等の技術情報については秘密保持契約を課すなどして外部への流出あるいは他者による模倣ができないよう管理しておりますが、第三者が独自に同様又は類似のノウハウの開発・知得に成功する可能性は完全には否定できません。したがって、出願中特許が成立しない場合、事業に必要な特許が何らかの理由で確保できない場合、又は当社ノウハウと同様あるいは類似のノウハウを第三者が開発又は知得した場合、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7) 研究開発活動に由来するリスク① 研究開発費に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社は研究開発型企業として、産学連携のもと、様々な大学との共同研究や臨床試験等を進めており、その開発対象は広範にわたります。また、当社が進める細胞製品に関わる様々な研究開発・技術開発は、特定の事業に結びつくものではなく、多面的な事業展開に関わるため、結果として社内のほぼすべての部署が直接的又は間接的に研究開発に深く関与することとなり、販管費に占める研究開発費は高い割合となっております。そのため、当社では、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図るとともに、これまで、独立行政法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及び東京都等の行政からの研究開発・技術開発に対する支援を得ながら、様々なパイプラインの研究開発や技術開発を進める等によって、効率的な開発投資を実行してまいりました。しかしながら、何らかの理由により、効率的な開発投資を進められず、研究開発費が膨らむ場合には、結果として当社の事業戦略、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ② 開発期間に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社が進めている再生医療等製品開発においては、一般的に製品開発に長期間を要し、実際に上市されるまでは収益が上がらず損失を計上し続ける可能性があります。当社は、複数の主要パイプラインについて臨床試験段階にあることに加え、現在基礎研究や非臨床試験段階にあるパイプラインも有していることから、製品の上市までに多額の研究開発費を要する臨床試験を経ることが必要であり、さらに臨床試験開始に係る承認や製造販売承認等のプロセスにも不確定要素が多いことから、事業計画における想定以上に研究開発期間が延びる可能性があります。そのような場合には、研究開発費の増加が当社業績を圧迫する、あるいは、追加の資金調達が必要となる等、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (8) ビジネスモデルに由来するリスク① 大学及び研究機関等との関係に由来するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社は、様々な大学や研究機関等との共同研究を行う等連携を通じて、研究開発活動や事業基盤の強化を行っております。しかしながら、大学・研究機関等との共同研究における知的財産権に関する取り決めや将来の研究成果についての分配・還元等に関して、当社の想定と異なる状況に至る可能性が出てきた場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 提携に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中)当社の事業計画には、外部企業との提携関係を前提にした部分が存在します。前提となっている提携関係には既に契約済みのものと今後契約することを想定したものの両方がありますが、既に契約済みの提携については、相手先企業の経営方針の変更等の当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性や契約条件変更のリスクが全くないとはいえません。一方で、今後契約することを想定した提携については、想定どおりの時期・条件で契約できないリスクが存在します。いずれのリスクが現実化した場合でも、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発戦略に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社では現時点での開発戦略上、患者さまご自身の細胞を用いる、いわゆる「自家」移植による国内での製品開発を前提としてパイプライン開発を進めておりますが、将来的には、パートナリングやアライアンスによって当社の基盤技術の独自性と技術的優位性を最大限に生かし、他領域への適用拡大、iPS細胞等の「他家」細胞を用いた開発へ拡大することも目指してまいります。しかしながら、過去に製品としての前例がないこと、原料細胞の調達先との連携、また、治療における患者さまのリスクとベネフィットの観点等から、必ずしもそのような適応拡大が実現する保証はありません。このような場合には当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2.その他の事業リスク(1) 財務状況に由来するリスク① マイナスの利益剰余金を計上していることに由来するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)現時点では当社は研究開発活動を中心とした企業であり、再生医療等製品が販売されるようになるまでは多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。当社は、将来の利益拡大を目指しておりますが、開発が計画通りに進捗しない場合には、将来において当期純利益を計上する時期が遅延する可能性もあります。また、計画通りに当期純利益を計上できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期も遅延し、株主に配当を実施する時期が遅れる可能性があります。 ② 税務上の繰越欠損金に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社には現在のところ税務上の繰越欠損金が存在しておりますが、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ③ 資金繰り及び資金調達に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社では、研究開発活動の推進に伴い、2021年12月期においては通期黒字を達成したものの、これまで営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを継続しており、今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。当社はこれまでに、第三者割当増資によるエクイティ・ファイナンス、事業提携の実現によるパイプラインの収益化(一時金の獲得等)、並びに国をはじめとする公的補助金等の活用等により資金需要に対応しており、今後もこのような多様な資金調達と資金繰りの工夫により、継続的に当社の財務基盤の強化を図っていく方針ですが、これらの取り組みが想定どおり進まない場合等、資金繰りの状況によっては当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、今後増資等のエクイティ・ファイナンスを実施した場合には、当社の発行済株式数が増加することにより1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ④ 配当政策に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)再生医療等製品の研究開発には多額の先行投資が必要であり、その投資回収までの期間も長期に及ぶ傾向があり、当社も創業以来繰越利益剰余金がマイナスを継続しています。このような状況下にあっては、積極的な研究開発活動の推進によって企業価値を向上していくことこそが株主利益の最大化に繋がるものであると考えております。そのため、当面は内部留保の充実に努め研究開発資金の確保を優先することを基本方針としております。株主への利益還元については、重要な経営課題の1つであると認識しており、将来的には経営成績と財政状態を勘案して配当による利益還元も検討してまいりますが、今後の事業等の進捗によっては利益配当までに時間を要する可能性があります。 (2) 新株予約権に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社は、中長期のインセンティブプランとして、当社の役職員及び社外協力者に対するストック・オプション制度を採用し、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の決議において承認を受け、新株予約権を取締役、従業員及び社外協力者に対して付与しております。本書提出日の前月末現在における当社の発行済株式総数は7,901,300株、新株予約権による潜在株式数は630,000株(発行済株式総数に対する割合7.97%)であり、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。実際に当該行使が行われた場合には当社の1株当たりの株式価値の希薄化が進む可能性があります。なお、当社では、今後も優秀な人材確保のために、同様なインセンティブプランを継続して実施していく方針を有しており、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 (3) 小規模組織及び少数の事業推進者への依存に由来するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社は小規模組織であり、内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、内部管理体制の一層の充実を図る方針ではありますが、当社が事業拡大に応じて適切かつ十分な組織対応ができず、組織効率が低下し十分な事業活動が行えない場合には、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者と構成員等に依存するところがあります。そのため、当該技術ノウハウの確保及び発展の見地から、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保又は育成が順調に進まない場合、並びに重要な役職員の流出が生じた場合には、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 機密情報を漏洩するリスク(発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小)当社は、ITセキュリティ及び情報管理について、外部専門家の関与により、セキュリティの強化に努めておりますが、役職員、外部委託先の不注意又は故意の行為、又は第三者による意図的な攻撃(コンピュータウィルスの侵入やサイバー攻撃)等により、当社の運用システムの停止、中断等セキュリティ上の問題や、研究開発に係る秘密情報の漏洩が発生する可能性があり、これにより当社の研究開発に対する実害、知的財産等に係る重大な機密情報の流出・漏洩が生じた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、個人消費の改善が見られる一方、長期化する地政学的リスクを背景とした為替変動、資源・原材料価格の高騰にともなう物価上昇等により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。国内における再生・細胞医療、遺伝子治療分野においては、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会において、再生医療等製品の製造販売承認が了承された製品が累計で20製品国内上市される等、新たな再生医療等製品の上市と本分野の拡大成長に対する期待感が継続している状況にあります。当社では、このような状況のもと、独自の基盤技術を用いた革新的な再生医療等製品や3D細胞製品の創出を通じて、新たな再生医療・細胞医療の実用化・産業化に貢献するべく、研究・技術開発を中核とする事業活動を推進してまいりました。また、細胞製品開発と並行して、デバイス販売や共同研究活動等により、当社の基盤技術を国内外に普及させる事業活動にも取り組んでまいりました。具体的には、①再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用細胞製品の各種受託、②創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等の創薬活動を支援する3D細胞製品の開発・販売、③デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を多面的に展開しております。これらの結果、当事業年度における経営成績は、以下のとおりとなりました。当事業年度における売上高は、3D細胞製品に関する各種受託及び関連消耗品の販売等により61,112千円(前年同期比83.7%減)、販売費及び一般管理費735,180千円(前年同期比10.3%増)、営業損失697,437千円(前年同期は425,089千円の営業損失)となりました。また、研究開発及び設備投資等に係る補助金・助成金受領等による営業外収益131,807千円(前年同期比176.6%増)及び営業外費用20,556千円(前年同期比63.1%減)を計上したことから、経常損失586,187千円(前年同期は433,165千円の経常損失)、当期純損失は589,211千円(前年同期は473,962千円の当期純損失)となりました。なお、当社事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② 財政状態の状況(資産)当事業年度における総資産は、前事業年度末に比べ600,528千円減少し、4,214,809千円となりました。主な減少要因は、現金及び預金の減少563,534千円であります。 (負債)負債については、前事業年度末に比べ34,196千円減少し、1,011,339千円となりました。主な減少要因は、未払金の減少14,770千円、未払法人税等の減少12,626千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少59,824千円であります。 (純資産)純資産については、前事業年度末に比べ566,331千円減少し、3,203,469千円となりました。主な減少要因は、当期純損失の計上589,211千円であります。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べて563,534千円減少し、2,873,773千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により支出した資金は562,296千円(前事業年度は403,596千円の支出)となりました。これは主に、補助金の受取額が128,195千円であった一方で、税引前当期純損失586,187千円を計上したこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は19,474千円(前事業年度は430,674千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出19,474千円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得られた資金は18,236千円(前事業年度は2,658,538千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使に基づく株式の発行による収入22,880千円等によるものです。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 c.販売実績当社は、細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであることから、当事業年度における販売実績を領域分野ごとに示すと、次のとおりであります。 事業分野の名称販売高(千円)前年同期比(%)再生医療領域42,904△64.2創薬支援領域423△97.9デバイス領域17,784△92.4合計61,112△83.7 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)太陽ファルマテック株式会社127,10933.98,12313.3国立大学法人京都大学56,51915.15,0008.2岩谷産業株式会社68,73618.49,35715.3フランス国立衛生医学研究所40,46310.8--藤森工業株式会社9,0902.410,53017.2国立大学法人広島大学--9,80816.1学校法人慶應義塾5350.19,08014.9 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態の分析当事業年度における財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績の分析当事業年度における経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。 c.経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 d.経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の運転資金需要の主なものは、パイプライン開発に係る研究開発費及び人材の獲得、維持に係るシステム費等の営業費用であります。当社では、今後、経済・金融環境の変化に備えて十分な手元流動性を確保し、中長期的な財務基盤の拡充を図り、再生医療等製品の事業化(上市)に向けた開発を一切止めることなく達成するため、安定した資金力(キャッシュポジション)を重視し、多様な資金確保手段を講じることとしております。具体的には、十分な資金を自己資金で確保しながらも、不測の事態を想定し、必要に応じてコミットメントライン等の与信枠を活用し銀行借入等による調達を行うことで現預金残高を維持していく方針であります。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき 課題等」をご参照ください。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 相手方の名称契約名称契約締結日契約期間主な契約内容国立大学法人九州大学特許実施許諾契約書2016年4月1日2016年4月1日~許諾地域におけるすべての特許権が消滅するまで・国立大学法人九州大学の細胞の立体構造体の製造方法に関する特許権の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対し許諾する。・許諾の対価として、当社は、国立大学法人九州大学に対して一定の実施料を支払う。国立大学法人九州大学特許実施許諾契約書2017年6月1日2017年6月1日~許諾地域におけるすべての特許権が消滅するまで・国立大学法人九州大学の組織プラグの製造方法に関する特許権の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対し許諾する。・許諾の対価として、当社は、国立大学法人九州大学に対して一定の実施料を支払う。富士フイルム株式会社業務提携契約2017年10月31日2017年10月31日~「血管プロジェクトの終了日まで」細胞医療分野における研究開発及び事業化促進を行う。積水化学工業株式会社業務・資本提携契約書2018年8月30日2018年8月30日~終期の定めなし細胞医療分野における研究開発及び事業化促進を行う。太陽ホールディングス株式会社業務提携契約書2020年10月1日2020年10月1日~本契約に基づく個別契約の終了時まで再生・細胞医療分野における新たな細胞製品の製造・販売に係る体制構築を行う。株式会社メディパルホールディングス開発投資契約書2021年12月22日本契約締結日から対象とする再生医療等製品が日本で販売が開始された日から20年後まで・当社の開発する再生医療等製品への開発投資を行う。・再生医療等製品に関して当社が取得するライセンス収入に応じたロイヤルティを株式会社メディパルホールディングスへ支払う。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 (1) 研究開発体制当事業年度の研究開発活動においては、独自の基盤技術を用いた革新的な再生医療等製品や3D細胞製品の創出を通じて、新たな再生医療・細胞医療の実用化・産業化に貢献するべく、再生医療等製品の臨床開発及び技術開発を中核とする研究開発活動を推進してまいりました。当社では、東京と福岡の2拠点に研究施設を有しており、基礎研究から非臨床研究段階及び臨床グレードの製造まで対応可能な自社が運営管理する研究施設を構築し、主として事業ステージや開発ステージに合わせた研究や製造等を行っております。サイフューズ東京(所在地:東京都港区)では、主に、臨床研究に入る前段階(基礎研究から非臨床研究段階)にある再生医療等製品の開発、機能性細胞製デバイス(FCD:Functional Cellular Device)の探索研究から製品製造までを担っております。サイフューズ福岡(所在地:福岡市中央区)では、主に、ヒト臨床試験の段階にある再生医療等製品の開発を担っております。このように、東京と福岡の両拠点の人材及び施設に係る利点を最大限に活用することで、効率的な研究開発及び事業活動を進めております。当社の研究開発部門においては、複数のキャリアを有する人材を複数名配置し、かつ、様々なプロジェクトに横断的に従事させることで、業務の属人化を抑制するとともに、長期にわたって再生医療等製品の開発並びに当社製品の開発プロセスを熟知している研究開発者を中心として、研究開発部門の共通技術のレベルアップを図る等、少数精鋭の専門人材によって研究開発体制が構築されております。また、当社の実施するような革新的な細胞製品開発においては、バイオロジーのみならずエンジニアリングの力も必要になりますが、当社では社内にバイオロジー専門の研究開発者に加えて、機械工学やロボティクス等の高い専門性を有するエンジニアも所属していることにより、他社にはないワンストップでの研究開発及び技術開発を可能としております。 (2) パイプラインの開発状況パイプラインの開発状況に関する詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。 当事業年度の研究開発費の総額は375,584千円となりました。研究開発費の主な内容は、パイプライン開発の臨床試験費用及び非臨床試験費用に関わる外部委託費であります。パイプライン開発状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当事業年度中に実施いたしました当社の設備投資等の総額は、17,949千円であり、主なものは福岡ラボ及び東京ラボの研究機器の購入であります。なお、当社の事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 2023年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物附属設備機械及び装置工具、器具及び備品その他合計東京オフィス(東京都港区)本社機能68,102-8,760-76,8626(-)東京ラボ(東京都港区)研究設備15,045025,3021,23341,58211(1)福岡ラボ(福岡県福岡市中央区)研究設備42,6833569,719-52,7584(-) (注) 1.東京オフィス、東京ラボ及び福岡ラボについては建物を賃借しており、年間賃借料は59,101千円であります。2.従業員数は就業員数であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、( )内に外数で記載しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等該当事項はありません。 (2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 375,584,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 17,949,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 40 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 5 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,795,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) SBI Ventures Two株式会社東京都港区六本木1丁目6-1490,5006.21 秋枝静香福岡県春日市336,2004.25 CYBERDYNE株式会社茨城県つくば市学園南2丁目2-1233,3002.95 三條真弘東京都渋谷区231,9002.93 株式会社SBI新生銀行東京都中央区日本橋室町2丁目4-3223,0002.82 株式会社JTファイナンシャルサービス埼玉県さいたま市大宮区天沼町2丁目759番地 さいたまメディカルタウン内222,5002.81 名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内2丁目4-1222,0002.81 PHC株式会社愛媛県東温市南方2131-1185,1002.34 三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合東京都中央区日本橋2丁目3-4178,5002.26 福岡地所株式会社福岡県福岡市博多区住吉1丁目2-25175,2002.21 計―2,498,20031.65 (注)2024年2月15日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、株式会社SBI証券が2024年2月7日現在で次の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)株式会社SBI証券東京都港区六本木1丁目6-1191,9002.43 |
株主数-金融機関 | 4 |
株主数-金融商品取引業者 | 26 |
株主数-外国法人等-個人 | 21 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 17 |
株主数-個人その他 | 6,517 |
株主数-その他の法人 | 62 |
株主数-計 | 6,647 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 福岡地所株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首(株)増加(株)減少(株)当事業年度末(株)普通株式7,773,300121,000-7,894,300合計7,773,300121,000-7,894,300 (変動事由の概要)新株予約権の行使により増加しております。 2.自己株式に関する事項該当事項はありません。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 東邦監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年3月27日株式会社サイフューズ取締役会 御中 東邦監査法人東京都千代田区 指定社員業務執行社員 公認会計士佐 藤 淳 指定社員業務執行社員 公認会計士小 池 利 秀 監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社サイフューズの2023年1月1日から2023年12月31日までの第14期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社サイフューズの2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 再生医療領域及び創薬支援領域に係る収益認識監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当事業年度の損益計算書に計上されている売上高61,112千円は、デバイス領域、再生医療領域及び創薬支援領域に区分できるが、再生医療領域及び創薬支援領域に係る売上高は43,327千円であり、売上高に占める割合は70.9%と高い割合を占めている。再生医療領域及び創薬支援領域における収益認識は、個々の契約内容を吟味した上で、契約内容に応じた個別の会計処理の検討が必要である。また、「収益認識に関する会計基準」等の適用にあたって、履行義務の識別や充足時点などにおいて経営者の判断を要する場面があることから、会計処理の判断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大きな影響を与える事項となる。以上より、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は収益認識が適切に行われていることを確認するために、主として以下の手続きを実施した。・収益認識プロセスに係る内部統制を理解し、その整備・運用状況の有効性を評価した。・個々の契約内容及び契約条件を理解するために、契約書等を閲覧した。・取引先・取引内容について経営者等への質問を行い、取引の経済的実態と会計処理との整合性を検討した。・履行義務の識別や充足時点を検討するために、会計基準に準拠し、経済的な実態が会計処理に反映されているかを確かめた。・取引の実在性及び期間帰属の適切性を検討するために、入金証憑を含む関連証憑との突合を実施した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 再生医療領域及び創薬支援領域に係る収益認識監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当事業年度の損益計算書に計上されている売上高61,112千円は、デバイス領域、再生医療領域及び創薬支援領域に区分できるが、再生医療領域及び創薬支援領域に係る売上高は43,327千円であり、売上高に占める割合は70.9%と高い割合を占めている。再生医療領域及び創薬支援領域における収益認識は、個々の契約内容を吟味した上で、契約内容に応じた個別の会計処理の検討が必要である。また、「収益認識に関する会計基準」等の適用にあたって、履行義務の識別や充足時点などにおいて経営者の判断を要する場面があることから、会計処理の判断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大きな影響を与える事項となる。以上より、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は収益認識が適切に行われていることを確認するために、主として以下の手続きを実施した。・収益認識プロセスに係る内部統制を理解し、その整備・運用状況の有効性を評価した。・個々の契約内容及び契約条件を理解するために、契約書等を閲覧した。・取引先・取引内容について経営者等への質問を行い、取引の経済的実態と会計処理との整合性を検討した。・履行義務の識別や充足時点を検討するために、会計基準に準拠し、経済的な実態が会計処理に反映されているかを確かめた。・取引の実在性及び期間帰属の適切性を検討するために、入金証憑を含む関連証憑との突合を実施した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 再生医療領域及び創薬支援領域に係る収益認識 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
商品及び製品 | 34,856,000 |
未収入金 | 6,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 43,782,000 |
有形固定資産 | 169,970,000 |
ソフトウエア | 1,233,000 |
無形固定資産 | 4,374,000 |
投資その他の資産 | 53,024,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 550,000,000 |
1年内返済予定の長期借入金 | 18,000,000 |
未払金 | 30,994,000 |
未払法人税等 | 16,503,000 |
未払費用 | 19,904,000 |
資本剰余金 | 3,905,372,000 |
利益剰余金 | -1,986,050,000 |
負債純資産 | 4,214,809,000 |
PL
売上原価 | 23,368,000 |
販売費及び一般管理費 | 735,180,000 |
受取利息、営業外収益 | 40,000 |
営業外収益 | 131,807,000 |
支払利息、営業外費用 | 9,774,000 |
その他、流動資産 | 431,000 |
営業外費用 | 20,556,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 3,024,000 |
法人税等 | 3,024,000 |
PL2
当期変動額合計 | -566,331,000 |
FS_ALL
現金及び現金同等物の残高 | 2,873,773,000 |
売掛金 | 17,118,000 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー | 38,122,000 |
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー | 9,774,000 |
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー | -5,646,000 |
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | -1,918,000 |
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー | -16,629,000 |
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー | -678,354,000 |
利息の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は財務活動によるキャッシュ・フロー | -9,735,000 |
補助金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 128,195,000 |
法人税等の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー | -2,441,000 |
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の純増減額、財務活動によるキャッシュ・フロー | 73,180,000 |
長期借入金の返済による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -77,824,000 |
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出、投資活動によるキャッシュ・フロー | -19,474,000 |