財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-27 |
英訳名、表紙 | THECOO Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役CEO 平良 真人 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都渋谷区神宮前二丁目34番17号 住友不動産原宿ビル |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6420-0145(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 年月概要2014年1月東京都品川区上大崎二丁目にてデジタル広告事業を行うルビー・マーケティング株式会社設立2014年3月東京都港区南麻布二丁目に本社を移転2014年9月東京都港区芝二丁目に本社を移転2015年1月インフルエンサーセールス事業を開始2015年1月YouTubeクリエイターと広告主企業のマッチングサービス「iCON CAST」の提供開始2016年2月THECOO株式会社に社名変更2016年2月マーケティングとインフルエンサーについて考えるオウンドメディア「RIPPLY」の運営開始2016年7月東京都目黒区目黒二丁目に本社を移転2016年12月美容ファッション・ライフスタイルに焦点をあてたインフルエンサーマネジメント事業を行うため、子会社HUITMORE株式会社(所有持分51%)を設立2017年3月インフルエンサーマネジメント事業として当社内にゲーム実況者に特化した事務所「Studio Coup」を立ち上げ2017年12月ファンビジネスプラットフォーム事業を開始ファンコミュニティプラットフォームであるアプリ「Fanicon」をリリース2018年3月東京都渋谷区神宮前三丁目に本社を移転2019年3月HUITMORE株式会社の全株式を取得2019年5月HUITMORE株式会社を吸収合併2020年3月チケット制ライブ配信サービス「Fanistream」の提供開始2021年4月チケット制ライブ配信サービス「Fanistream」をリニューアルし、「Cassette」の提供開始2021年4月新宿御苑にスタジオ「BLACKBOX³」をオープン2021年5月株式会社NTTドコモとライブ配信事業に関する業務提携契約を締結2021年12月東京証券取引所マザーズに上場2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行2022年8月東京都渋谷区神宮前二丁目に本社を移転2023年6月Faniconプラットフォームにおけるオンデマンド製造サービスを新たにリリース |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は、一般ユーザー向けのファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」の提供を行う「ファンビジネスプラットフォーム事業」及びクライアント企業向けにインフルエンサーを用いたマーケティング施策支援やデジタル広告コンサルティングを行う「デジタルマーケティング事業」を展開しております。当社は、「“できっこない”に挑み続ける」ことを掲げ、インフルエンサーセールスやデジタル広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない”に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指します。「Fanicon」は2017年12月の提供開始以降、インフルエンサーだけでなく、アーティストや著名人の方々に幅広く利用いただき、ファンコミュニティだけでなく、EC、チケットなどを統合して扱えるファンビジネスプラットフォーム事業へと拡大してまいりました。また、当事業年度より、従来「Fanicon事業」としていたセグメント名称を「ファンビジネスプラットフォーム事業」に、「法人セールス事業」としていたセグメント名称を「デジタルマーケティング事業」に変更しております。当該セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。 各事業の詳細は以下のとおりです。(1)ファンビジネスプラットフォーム事業当事業は、ファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」の提供及び運営管理を行っております。「Fanicon」はアーティスト、インフルエンサー、タレント等(ファンコミュニティのオーナーであり、ファンの熱量の対象となるもので、以下「アイコン」という。)とそのファンが集い、アイコンとしての「価値」を提供したいアイコン側のニーズと、アイコンや共通の目的を持ったファンと「つながりたい」というファン側のニーズをマッチングさせるプラットフォームであります。「Fanicon」は従来のアイコン側(所属事務所も含む)からの一方通行のコミュニケーションがメインのファンクラブとは異なり、ファンコミュニティのオーナーであるアイコンと、そのファンコミュニティに属するファンが一緒になってコミュニティを盛り上げ、ファンコミュニティを通じて共感したファン同士も繋がり、アイコンとファン、ファンとファンが双方向でコミュニケーションを可能にしたアイコンとファンのためのサービスです。ファンビジネスプラットフォーム事業のSAM(ファンクラブ市場規模)は1.6兆、TAM(ファンクラブ市場規模を含むエンタメビジネス市場規模)は4.2兆とそれぞれ推定しており、今後も拡大余地のある広大なマーケットポテンシャルがあると当社は考えております。「Fanicon」はセルフサインアップ型のサービスで、アイコンやアイコンの所属事務所がコミュニティの運営やコンテンツの提供などを独自に行っておりますが、当社はカスタマーサクセスチームを設置し、アイコンにファンの熱量を維持するために有効な機能の使用方法や、ファンに喜んでもらえるコミュニティ作りをコンサルティングサポートしております。現在、国内においてはインフルエンサーやタレントだけでなく、アーティストや俳優、スポーツ選手といった幅広いジャンルのファンコミュニティが存在しており、また韓国でもいくつかのアイコンがコミュニティを開設しております。 「Fanicon」の主な機能は、以下となります。・「シーン投稿」や「ライブ配信」といった「Fanicon」限定の情報発信「シーン投稿」は、オープンなSNSでは見ることのできない特別な画像・映像をコメント付きでアイコンが投稿する、タイムライン投稿です。アイコンが近況やつぶやき等を投稿することで、クローズドなコミュニティの中で普段他のSNSでは聞けないような本音や、アイコンのプライベートな素顔を見ることができます。「ライブ配信」は、アイコンがスマートフォンやPC等を使用し、カメラを使用した映像LIVE配信と、音声のみを使用したRADIO配信の2つから配信方法を選択することができます。・「1on1チャット」や「グループチャット」アイコンとファンが1対1でチャットできる「1on1チャット」やアイコンと複数のファン又はファン同士がチャットできる「グループチャット」の機能を提供しております。当社はアイコンに有効な機能の使用方法を伝授することで、よりファンに喜んでもらえるコミュニティ作りをサポートしております。・「スクラッチくじ」ファニポイント(アプリ内課金にて購入することで様々な機能の対価として使用できる。)を使用することでスクラッチくじをすることができ、くじに当たればアイコンの限定グッズなどを入手することができます。当社の業務は、スクラッチくじの企画提案、スクラッチくじ実施までのサポート、景品発送の補助を行っています。・「EC(Eコマース)機能」当社はプラットフォーム型(SaaS)をアイコンに対して提供しており、その開発・運用を行っております。2023年6月にFaniconプラットフォーム上でデザインを制作・販売登録ができ、ユーザーが購入したタイミングで生産工場に制作・配送指示が行われるオンデマンド製造(無在庫)をリリースいたしました。・「チケッティング」アイコンが出演するライブや舞台などのチケットを購入できるサービスを提供しております。当社はアイコンがアプリ内でチケット販売を行うための販売機能の提供等を行っております。・「音楽配信等のイベント」当社はスタジオを所有しており、スタジオには照明、カメラ、映像などの設備を完備しているため、音楽配信やミュージックビデオ撮影など様々な用途に利用することが可能となっております。アイコンになることでスタジオ及び最新の機材を無料で利用できます。ファンがアイコンとの距離をより身近に感じることのできるインフラを当社は整えております。 当事業の収益構造としては、サブスクリプション型の月額料金及び購入されたファニポイントの利用分の売上を収益として認識しております。なお、クレジットカード決済に対応しており、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月といった期間設定(期間に応じて割引率が異なる)で前払いによる月額料金の一括支払いにも対応しております。その他収益が生じる機能として、以下の機能があります。・EC(Eコマース)機能では、当社が販売したグッズ等の販売額に応じ、一定の販売手数料を受領しております。・チケッティングでは、当社が販売したチケットの販売金額に応じた一定の管理手数料を受領しております。 (2)デジタルマーケティング事業当事業は、クライアント企業に対し、インフルエンサーを用いたマーケティング施策の実施支援及びデジタルマーケティングに関する支援を行っております。インフルエンサーとは「influence」(影響、感化、効果作用の意)を語源とする言葉で、YouTube、X(旧Twitter)、TikTok、InstagramといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)において、他者の購買行動に強い影響力を及ぼす者を指します。インフルエンサーを用いたマーケティング施策とは、クライアント企業の製品やサービスをインフルエンサーが制作する動画等を通じてプロモーションする手法となり、インフルエンサーを用いたマーケティング施策は、インフルエンサーの持つ属性(コスメ系、ゲーム系など)によってフォロワー(インフルエンサーのファン)にターゲティングしやすく、クライアント企業の商品のブランディングや認知度向上、購買意欲の向上を効率的に行うことが期待できるため、その手法の活用に対するニーズが高まっております。デジタルマーケティングとは、形式を問わず、ウェブ上で行われる広告活動やマーケティングを指し、自社のブランド、製品・サービス等に関するメッセージを潜在的な顧客に広めることを目的としております。 当事業では、クライアント企業や広告代理店からプロモーションの依頼を受けて、最適なインフルエンサーの提案・選定及び施策内容の企画立案を行い、インフルエンサーが作成するクリエイティブ(制作物)の進捗や内容確認を実施して、インフルエンサー自身のSNSへの投稿を支援しております。特に当社が強みとしているのがデータを活用した提案であり、特定のメディアを持たず、またあらゆる分野をカバーする膨大なインフルエンサーネットワークを用いることで、クライアントの課題に寄り添った最適なソリューションを提供しております。当事業の収益は、主にクライアント企業並びに広告代理店より、契約に基づき収受する出稿料となります。 (事業系統図) |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)142(23)32.61.46,123 セグメントの名称従業員数(名)ファンビジネスプラットフォーム事業56(8)デジタルマーケティング事業30(7)全社(共通)56(8)合計142(23)(注)1.従業員数は、就業人員であり、臨時従業員数(契約社員、パート社員)及び派遣社員数は、( )内に外数で記載しております。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.全社(共通)は、開発人員及び人事、総務及び経理等のコーポレート部門の従業員であります。4.当事業年度において従業員数が27名増加しておりますが、これは主に開発業務強化に伴う採用の強化により、全社(共通)において開発人員12名、その他15名が増加したことによるものであります。 (2)労働組合の状況 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当事業年度補足説明管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1.男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2.労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者20.0100.065.176.4132.8 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は同じ想いを持つ仲間が集まって創業しました。当社は「”できっこない”に挑み続ける」を会社として最も重要な価値観と捉えおります。これは、創業者達が「失敗するかもしれない」と不安になることで挑戦を諦めてしまい、一歩を踏み出せば物事が進むにも関わらず、踏み出すことを止めてしまっている現状を多く見てきたためです。人々が自分自身で可能性の芽をつむことをやめ、第一歩を踏み出すことで自ずと道は開ける、という想いを広く実現するため、当社は存在しております。当社はインフルエンサーセールスやデジタル広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない“に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指します。 (2)中長期的な会社の経営戦略当社の中長期的な経営戦略は、デジタルマーケティング事業に加え、成長事業としてファンビジネスプラットフォーム事業を中心に据え、エンターテインメント市場において、アイコンとファンにとってなくてはならないプラットフォーマーとしての地位を国内、そして国外(特に韓国)において築きあげることです。そのために、スポーツなどのより広いカテゴリーにおいてアイコン獲得を進めるだけでなく、魅力的なプラットフォーマーであり続けるために積極的に開発を進め、また、カスタマーサクセスをより強化してマネタイズの機会を創出してまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ストック型の収益モデルとなっており、主な収益はファン(ユーザー)からの月額課金によるストック売上と購入されたポイントの消費によるフロー売上から構成されております。ファン(ユーザー)数については、「Fanicon」の売上構成要素のひとつではありますが、アイコン自身が行うコミュニティ開設の告知活動に影響される傾向があります。そのため、当社がファン(ユーザー)のコミュニティ加入に直接的に関わる機会が少ないため、ファン数同様にアイコン数も主要なKPIとして位置付けております。加えて、「Fanicon」のもうひとつの売上構成要素である、ARPU(Average Revenue Per Userの略称であり、1ファンあたりの平均売上金額を指します)は主要な経営指標と位置付けております。また、デジタルマーケティング事業においては、インフルエンサーセールス事業の取扱件数及び案件単価を重要な経営指標として捉えております。 (4)経営環境・市場の拡大について当社の主要なビジネスであるファンビジネスプラットフォーム事業では、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」を提供し、アーティストや俳優、インフルエンサー、スポーツ選手など幅広いジャンルのアイコンが、熱量の高いコアなファンとオンライン上の安心できる空間で交流できるサービスを提供しております。ファンビジネスプラットフォーム事業の市場環境としては、株式会社矢野経済研究所の調査「ファンコミュニティビジネス2022」によると、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)は、2020年度は24,800百万円(実績)、2021年度は41,500百万円(見込)(前期比167.3%)、2022年度は58,000百万円(前期比139.8%)と予測されております。新型コロナウイルス感染症による行動制限や海外渡航制限が解除されたことから個人の消費活動や企業による設備投資を中心に経済活動は持ち直しの方向に向かい始めたことやプラットフォーム上で全て一元管理できるサービスが増加し、コミュニティ開設者が芸能活動や創作活動に専念できるようになったことにより、年々市場が大きく成長しております。ファンビジネスプラットフォーム事業においては、スマホアプリである「Fanicon」は、ライブ配信機能、グループチャット機能、シーン投稿機能、スクラッチ(オンラインくじ)機能等、アイコンとファンとの双方向のコミュニケーションを促進する機能を有しております。また、従来のファンクラブが有していた機能として、グッズ、チケット販売などの機能も併設した完全会員制、完全有料制のファンビジネスプラットフォームとなっております。当プラットフォームは、ファンがいる方であればファン数の大小に左右されることなく誰でも(Fanicon利用規約の遵守が前提条件)「Fanicon」を開設することができ、多数の機能の中から、自分のファン層にあった機能だけを選択してファンコミュニティを運営することができます。なお、「Fanicon」を利用中のアイコンであれば大型の4面LEDパネルと最新の音楽配信機材をそろえ、アイコンとファンのコミュニケーションをデジタル・リアルの両面からサポートしております配信スタジオ「BLACKBOX³」を、無料で利用可能です。コミュニティごとにその規模や特色は異なりますが、有名無名を問わず、アイコンの世界観をファンとともに分かち合う場を提供することはファン拡大につながるものであり、当社の成長のためにはアイコンに対する収益化のサポートだけでなく、アイコンの活躍の場を広げていくことが重要であると考えております。当社のもう一つの主要事業であるインフルエンサーセールス事業は、クライアント企業に対して、影響力のあるインフルエンサーを活用したマーケティング施策のサポートを提供しています。株式会社電通が発表した「2023年日本の広告費」によると、2023年のインターネット広告市場は前年比107.8%の3兆3,330億円と堅調に増加を示し、その中で総広告費に占める媒体構成比は前年比2ポイント増の45.5%に達しています。この市場の動向から、当社は今後も同市場が着実に推移すると予測しています。また、サイバー・バズ/デジタルインファクトの調査によれば、2023年の国内インフルエンサーマーケティング市場は前年比120.5%の741億円と推計されており、ここ数年で市場規模が著しく成長しています。この背景から、インフルエンサーのソーシャルメディア上の影響力が増している中、クライアント企業もますますインフルエンサーを活用したマーケティング手法に注目しています。しかしながらインフルエンサーセールス事業においては、当社従業員の不祥事により、業績と信用力が大きく落ちてしまいました。これを受けてマーケティングやインサイドセールスの取組みを強化しつつ、従業員の不祥事により毀損した信用を回復すべく従業員の倫理と透明性に焦点を当てることで、既存案件の取引再開に留まらず、国内外の顧客との新規案件も獲得を目指してまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① サービスと保守運用人材の強化当社が今後も高い成長率を持続していくためには、ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」の認知度を向上させ、ファンにとって魅力ある新規アイコンの獲得に継続して取り組むことが必要不可欠であると考えております。そのためには、「Fanicon」でのサービスをより魅力的なものとし、保守運用体制の強化を通じて、顧客満足度を高めていくことが重要と考えております。また、当社がファンビジネスプラットフォーム事業で築いた芸能事務所やレーベル、テレビ局、制作会社などとの人脈、さらにはデジタルマーケティング事業で築いたネットワークを活かして、ジャンルやカテゴリー、年代を問わず、多くの方々に「Fanicon」を楽しんでいただけるように、より多くの新規アイコンを獲得し、更なるサービス成長を図ります。デジタルマーケティング事業においては、インフルエンサーセールス事業をさらに強化し、当社のインフルエンサーセールス事業の強みであるサービスのクオリティを高く維持しながら、変化する市場にてクライアントのニーズを満たすべく邁進してまいります。人員・組織体制を継続して強化し、メンバー各々がデジタルマーケティングのプロフェッショナルとして成長・変化し続けることで、新しい価値の創造を実現いたします。 ② 機能とユーザビリティ向上のための開発体制の構築アプリ開発の技術革新のスピードは非常に早く、消費者の嗜好も日々変化し、また新たなサービスや競合他社が次々と現れます。当社では、競合優位性の確保及び事業の拡大を図り、よりクリエイティブなサービスを展開するために、「Fanicon」において新機能の追加開発、ユーザビリティの向上のために投資を継続してまいります。当該開発に際しては、システム開発や開発プロジェクトの指揮管理役であるプロダクトマネージャー、そして保守運用体制の強化が必要不可欠と考えており、優秀な人材の確保を行ってまいります。 ③ 情報管理体制の強化当社は、インフルエンサーの個人情報に加え、「Fanicon」を利用する多数の会員の個人情報を取り扱っており、その数はサービスの拡大に比例して増加しております。そのため、今後個人情報の管理体制をより一層厳格に行うことを重要な課題として認識しており、対策として、プライバシーマークを取得し、情報の取扱いに関する社内規程を定めております。情報セキュリティに関する社内教育・研修を定期的に実施し、引き続き従業員の情報管理意識を高めてまいります。 ④ 組織体制の整備当社の継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を確保し、その人材が活躍するために、当社は従業員が働きやすい環境の整備を促進し、人事制度の構築を進めてまいります。 ⑤ グローバルな事業展開「Fanicon」は国内外のアイコンが運営するコミュニティ開設が進んでおり、現在アプリ内でのコミュニケーションは日本語だけでなく多言語での対応が可能となっております。また、現在グローバルなエンターテインメント市場にて大きな影響力を持つ、韓国アイコンが開設するコミュニティも徐々に増加しております。今後は更に多くのアイコンとファンに国境を越えて「Fanicon」を楽しんでいただけるように、現地法人設立の検討、採用、パートナー企業の選定等も重要な経営課題として認識しております。デジタルマーケティング事業は、近年、国外のクライアントからのニーズも高まりつつあり、特に中国及び米国のクライアントとの取引が大きく拡大しております。今後は継続して国内外のクリエイターの起用が可能なネットワークの構築と、ボーダレスでの支援が可能な社内体制を構築してまいります。 ⑥ 財務上の課題2023年12月期においても営業損失を計上しております。そのため、利益剰余金がマイナスとなっており、全社での黒字化が課題と認識しております。一方、資金繰りに関しては、ファンビジネスプラットフォーム事業において前受金収入の割合が大きいことから、現時点において財務上の課題は認識しておりません。 ⑦ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)当社は、事業拡大を目指し、人材獲得等への先行投資を積極的に進めており、継続して営業損失を計上しております。当社の収益は、デジタルマーケティング事業の法人顧客を取引先とした収益と、ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ユーザーが利用期間に応じて利用料金を支払うサブスクリプション方式等による継続的な収益、ポイント使用に応じて認識する収益によっております。今後は売上高の拡大を目指す一方で、オペレーション改善や収支管理に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。 ⑧ 内部管理体制の強化2023年5月8日付「当社従業員による不正行為及び特別調査委員会の設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社元従業員3名が、2019年度以降、自身らと関連を有する会社等に対して架空発注や水増発注による不適切な発注(以下「本件不正発注行為」といいます。)を行っていたことが発覚しました。当社は、本件不正発注行為の事実関係の全容解明、原因究明、類似事案の有無の確認及び再発防止策の検討を行うことを目的として特別調査委員会を設置し(その後、委員の構成を変更して独立調査委員会を組成しております。)、2023年6月26日に独立調査委員会より調査報告書を受領しました。当社では、独立調査委員会による再発防止策の提言等を踏まえ、法令遵守・コンプライアンス意識の向上や内部監査の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂や内部通報制度の実効性確保等を当社の最優先事項として2023年第3、4四半期に注力してまいりました。特に、不正問題を招いたインフルエンサーへの発注・納品のプロセス、取引先の登録プロセスについては販売管理システムの設定と運用を一から見直し、3線防御による強固な内部統制を導入致しました。また、特にデジタルマーケティング事業本部所属のスタッフへの教育や提案活動の強化を進め、組織を変更し、顧客に対してより質の高いサービスの提供を可能とする体制を構築してまいります。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。 (1)事業環境に関するリスク① 業界動向について(ファンビジネスの業界動向)発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業において、オンラインのファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」を提供しております。当事業が関連するファンビジネスの市場は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境・市場の拡大について」に記載のとおり、大きく広がっていることが想定され、「Fanicon」の今後の成長余地も大きいものと考えております。また、当社は、「Fanicon」のアイコンの獲得及びファン数の拡大に向けた取り組みを継続的に実施・強化しております。特に「Fanicon」の特徴でもある、そのコミュニティの大きさに関係なく、あらゆる人がアイコンとしてファンと一緒に楽しめ、またファン同士も繋がることで、アイコンとファン双方が楽しんでいただけるオンラインのコミュニティを作ることの出来るユニークな仕組みを構築しております。そのために、従業員一人一人を中心とした組織力を強化し、創業以来培ってきたノウハウを生かすことでサービス機能の追加・強化に取り組んでいくほか、当社の強みでもある、ネイティブアプリ(注)の特徴を生かした技術力及び企画力で、アイコンとファン双方の満足度を高めるサービスを引き続き開発することで差別化を図ってまいります。その一方で、当社と同様のサービスを提供する事業者の参入増加や、資本力、ブランド力、技術力を持つ大手企業等の参入やコアコンピタンスを掛け合わせた企業間の事業提携、価格競争、サービス開発力または全く新しいビジネスモデルや技術によるサービスを提供する事業者の参入等により、当社が「Fanicon」の特徴をアイコン並びにファンに伝えきれず、優位的に事業を展開出来ない場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。加えて、アイコンの所属する芸能事務所等の変更、アイコンの引退、活動休止、グループの場合は解散といった事象が生じた場合や、ファンの嗜好の変化等によりアイコンの人気低下が発生した場合、当事業に係る収益が減少し、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。(注)ネイティブアプリとは、スマートフォン等にアプリケーションストアを介してインストールして使用するアプリのこと (インフルエンサーマーケティングの業界動向)発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社のインフルエンサーセールス事業が関連するインフルエンサーマーケティングの市場は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境・市場の拡大について」に記載しましたように、今後も堅調に推移すると予想しております。また、株式会社博報堂DYメディアパートナーズが発表した「メディア定点調査2023」によると、携帯電話/スマートフォンのメディア接触時間が、メディア総接触時間の1/3を初めて超え、テレビとの差が昨年度の調査と比較し、更に広がっております。加えて、高速・低遅延の5G通信の普及に伴い、スマートフォン向けのオンライン動画コンテンツはさらに増加し、当事業において用いられる主要なマーケティング施策であるインフルエンサーによる動画プロモーションに関しても、今後より身近なコンテンツになると予想しております。当社はこうした市場及び業界のトレンドについて、第三者の客観的な市場調査結果及び海外での動向などを注視することに加え、クライアント、インフルエンサー双方からのヒアリングを通して随時キャッチしながら、クライアント企業へのインフルエンサーを用いたプロモーションの提案に活かしております。しかしながら、消費者行動の変化により、視聴するサービスへの嗜好の変化や、それによって消費者の動画視聴回数や視聴時間の変化、また、当市場が立脚するSNSユーザーの増加傾向の鈍化などが生じた場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ② サービスの陳腐化について発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社のデジタルマーケティング事業が関連するインターネット広告業界においては、日々新たな技術革新や新サービスの提供が行われており、競合する各社から、よりクオリティの高いアウトプットを提供する商品や新しい技術を採用したサービスが生まれています。このような状況に対し、当社では常にサービス機能の追加・強化や、優秀な人材の確保に努めておりますが、当社サービスが陳腐化し、市場の求める変化への十分な対応が困難となった場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (2)事業展開または事業体制に関するリスク① 「Fanicon」コミュニティ内でのトラブルの発生と炎上の可能性について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の「Fanicon」は、Apple Inc.が運営するApp Store及びGoogle Inc.が運営するGoogle Playといったプラットフォーム上で提供されるアプリケーションであるため、App Store及びGoogle Playにて定められた厳しいコンテンツガイドラインを遵守する必要があり、また、そのコンテンツガイドラインに抵触しないよう監視も行われております。加えて、当社では、コミュニティのオーナーであるアイコン及びそのコミュニティに入会するファンに対して、公序良俗違反や反社会的活動の禁止及びそのような活動をするグループへの加担、関わりを持つことを禁止し、さらにコミュニティ内でのアイコンもしくは他のユーザーへの誹謗中傷を禁止する規約への同意を求めております。また当社は「Fanicon」のプラットフォーム運営者として、社内に「コミュニティガイドライン違反の場合の対応フロー(アイコン側)」と「コミュニティガイドライン違反の場合の対応フロー(ファン側)」を設け、ファンビジネスプラットフォーム事業本部がコミュニティ内のコンテンツ及びチャット内容のチェック・管理を定期的に行う体制を敷いております。さらに、コミュニティ内のファンから直接当社に報告ができるようになっており、当社が報告を受け調査した結果によっては、不適切な発言等をするユーザーをコミュニティから排除できるようにしております。しかしながら、これらの対策を講じているにも拘らず、コミュニティ内で何らかのトラブルが発生し、さらに当社の対応が遅れ、また不十分だった場合等によりトラブルの収拾がつかない所謂炎上状態となった場合、「Fanicon」及びその運営者である当社のレピュテーションの低下や、アイコン及びファンが「Fanicon」から離れることに繋がり、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ② インフルエンサーとの関係について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社のインフルエンサーセールス事業は、クライアント企業のマーケティングに関する多種多様なニーズや市場の変化に応えるために、影響力のあるインフルエンサーや、特定の分野で著名なインフルエンサーと、安定した信頼に基づくネットワークを確保・維持する必要があります。そのために、当社と専属の取引を行うインフルエンサーの場合は、当社の「各種法令遵守等に関するガイドライン」の理解を特に周知徹底し、イー・ガーディアン株式会社と密に連携し、当該インフルエンサーのSNS上での言動や風評などに問題がないかのリスクモニタリングを実施するなどの社内体制を整えております。しかしながら、様々な要因の変化により、インフルエンサーとのネットワークを確保・維持することが難しくなった場合や、インフルエンサーの不祥事等により、インフルエンサーマーケティング自体の信頼性が低下したり、当社の広告案件以外において炎上したりするなど、当社が管理することのできない事態が発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ③ 個人情報管理について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業においてはアイコン及びファンの、インフルエンサーセールス事業においてはインフルエンサーであるクリエイターの個人情報を保有しております。当社は、個人情報漏洩による企業経営・信用への影響を十分に認識した上で、全社的な取り組みとして、プライバシーマークを取得し(2023年8月に更新)、コーポレート本部を中心に、個人情報保護等取扱規程及び特定個人情報等取扱規程やPMS(個人情報保護マネジメントシステム)マニュアルを整備するとともに、これら規程及びマニュアルの役職員への周知徹底を行っております。その上で、ファンビジネスプラットフォーム事業本部及びデジタルマーケティング事業本部は、これら規程・マニュアル等に従い、個人情報保護担当者である各部門長が個人情報の特定及びリスク分析等を行い、取り扱う社員を限定した上で、それぞれの事業に関する個人情報の管理を行っております。しかしながら、万が一、個人情報漏洩が発生した場合、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜等により、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。④ 機密情報の取り扱いについて発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業のアイコン及びデジタルマーケティング事業のクライアント企業などの顧客より機密情報を受領することがあります。当社では、これらの機密情報の取り扱いについて「情報セキュリティ規程」に定めるとともに、情報管理統括責任者を取締役CFO、情報セキュリティ担当を情報システム部、情報セキュリティ管理責任者を各部門長とした管理体制を整備しております。情報セキュリティ環境として、Google Workspace(アメリカ合衆国に本社を置くGoogle LLCが提供するグループウェアツール)等の社内情報システムにおいては、所属部門や役職等に応じてアクセスできる情報を個別に制御すると共に、社外とのファイル共有については、いつ誰とどのようなファイルを共有しているかを把握・管理できる状態にしております。加えて、役職員に対し、定期的な研修を通して情報セキュリティの周知徹底を図っております。しかしながら、万が一、故意又は過失によって事前に知り得た情報が外部に流出した場合、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜等により、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⑤ 法的リスクやレピュテーションリスクについて(知的財産権を侵害するリスク及び侵害されるリスク)発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社のインフルエンサーセールス事業において、当社のクリエイターが制作する動画や著作権を保有する動画について、第三者から意図せずに著作権を侵害される可能性や第三者の権利を侵害してしまう可能性があります。当社は、当社の事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者が保有する知的財産権を侵害することのないよう、第三者の商標権や著作権等の知的財産権への抵触の有無について必要と考えられる調査を実施しておりますが、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であると考えられます。当社において、第三者が保有する知的財産権の侵害が生じた場合には、当該第三者より使用差止及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性や知的財産権の使用にかかる対価等の支払いが発生する可能性等があり、そうした場合、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (インターネット、アプリ等についての法令の解釈適用に関するリスク)発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社のファンビジネスプラットフォーム事業及びインフルエンサーセールス事業は、著作権法のほか、肖像権・プライバシー権、特定商取引に関する法律、景品表示法、個人情報の保護に関する法律、電気通信事業法、動画配信事業に係る租税法、資金決済法の規制対象となります。当社はこれら法令を遵守するため、コーポレート本部が中心となり、各部署と連携して法令に抵触しない実務運用を整備する他、関連法令等の改廃動向についても常に情報収集を行うとともに、適宜顧問弁護士と連携する体制を整備しております。また、代表取締役CEOを委員長とし、四半期に最低1回開催されるリスク管理委員会においても、これら法令遵守に関するリスクの管理・把握を行っております。当社は上記のような取り組みを行っておりますが、ファンビジネスプラットフォーム事業及びインフルエンサーセールス事業は新しい業態の事業であるため、現行の法令及び権利内容の解釈適用上で論点が生じる可能性があり、その結果として当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ⑥ 重要な訴訟等について発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、本書提出日現在において、当社の経営成績等に重要な影響を与えうる訴訟等には関与しておりません。しかしながら、当社の事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となった場合、その結果によっては、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ⑦ システム障害について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の「Fanicon」は、自社でサーバーを持たず、Google Cloud Platform(アメリカ合衆国に本社を置くGoogle LLCが提供するクラウドコンピューティングサービス)及びAmazon Web Services(アメリカ合衆国に本社を置くAmazon Web Services Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス)を利用して、24時間365日安定したサービスを提供しております。しかしながら、災害や事故等の発生により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセス数の増大によりサービス提供のためのサーバーが一時的に作動不能になった場合、又はサーバーハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービス提供ができなくなる可能性があります。この場合、「Fanicon」のアイコン及びファンに直接的な障害が及び、「Fanicon」及びその運営者である当社のレピュテーションの低下や、アイコン及びファンが「Fanicon」から離れることに繋がり、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⑧ Apple及びGoogleの動向について発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の「Fanicon」は、ユーザー向けにスマートフォンアプリを提供しており、Apple Inc.が運営するApp Store及びGoogle Inc.が運営するGoogle Playといったプラットフォームを通じてアプリを提供することが、同事業にとって重要な前提条件となっております。従って、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社との関係等により、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⑨ 決済代行事業者が提供する決済プラットフォームのリスク発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の「Fanicon」は、決済代行事業者が提供する決済プラットフォームを利用して、サービスの利用料や販売代金等の回収を行っております。当社は決済代行事業者との良好な関係を維持しておりますが、決済代行事業者の経営方針等が変更された場合や、当社と決済代行事業者との関係が悪化した場合などにより、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⑩ 固定資産の減損に係るリスク発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、有形固定資産等の固定資産を保有しています。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⑪ 損失の継続計上について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の注力事業「Fanicon」の成長の鍵は、アイコンの獲得及びファン数の拡大、コミュニティ開設後のアイコンへのサポート、そして「Fanicon」の機能の拡充やユーザビリティなどのサービスの向上と考えております。そのためには、優秀な人材の確保が重要と捉え、「Fanicon」のローンチ以降、システム開発人員の採用及びコミュニティ開設後のコンサルティングとサポートを担当するカスタマーサクセスチームスタッフの採用を継続的に進めてまいりました。これらの活動を積極的に進め、継続的に投資を行ってきたこともあり、創業以来、当事業年度である2023年12月期(第10期)まで損失を計上しております。今後においては、事業計画上必要な人員は概ね充足しており、既存の経営リソースを効率よく運用し、収支管理を徹底してまいります。しかしながら、想定通りに事業展開が進まず、先行投資を上回る収益が十分に創出できない場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ⑫ 新規事業創出について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、「“できっこない”に挑み続ける」ことを掲げ、挑戦し続ける企業・組織・人を目指しております。従って、特に人と組織の成長を会社として後押しするためにも、新規事業を継続して創出してまいります。費用対効果及び収支予測を立てた上で、新しく生まれる事業を適切に管理してまいりますが、これらの新規事業が想定通りに推移しなかった場合、中長期的な経営成績に影響を与える可能性があります。 (3)会社組織に関するリスク① 特定人物への依存について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大代表取締役CEOである平良真人は、当社の創業者であり、創業以来代表を務めております。同氏は、当社の事業領域に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社は、取締役会等における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ② 優秀な人材の確保・育成について発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、今後の企業規模の拡大に伴い、当社の理想とする考え方やマインドに共感し高い意欲をもった優秀な人材を継続的に活用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えており、以下のような取り組みを行っております。・優秀な人材の確保のため、正社員雇用を基本として、即戦力人材を中途採用にて採用し、次代を担うコア人材を新卒採用にて採用するとともに、ダイレクト・リクルーティング、リファラル(社員紹介)、人材紹介など複数のチャネルを組み合わせた採用アプローチを採っております。・採用のミスマッチを防ぐため、明確な採用基準を策定して採用活動を行っております。特に全てのポジションに共通して、どんなにスキル・経験において優秀な人材であっても、当社の企業文化と価値観を十分理解し、候補者が当社の企業文化にフィットするであろうとの判断を採用関連部門の部長以上が複数名判断した上で採用合否をつけております。しかしながら、当社の求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ③ 内部管理体制の構築について発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、継続的な成長のために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると認識しております。特に、2023年第3、4四半期では優先事項として、法令遵守・コンプライアンス意識の向上や内部監査の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂や内部通報制度の実効性確保等に注力してまいりました。しかしながら、事業の急拡大等によりコーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合、適切な業務運営を行うことができず、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (4)その他のリスクについて① 税務上の繰越欠損金について発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中当社は、2023年12月期末時点において、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の経営成績が事業計画に比して順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ② ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について発生可能性:大、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中当社では、取締役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。当事業年度末における新株予約権における潜在株式数は34,250株であり、発行済株式総数2,075,955株の1.6%に相当しますが、権利行使期間において段階的に行使が可能となる条件を付与することで、希薄化の影響が分散するようにしております。なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。 ③ ベンチャーキャピタル等の当社株式保有割合について発生可能性:大、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中当事業年度末における当社の発行済株式総数は2,075,955株であり、このうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は324,129株と、当社株式の発行済株式総数に対する割合は15.6%となっております。一般に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後に保有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、VC等が保有する当社株式の一部または全部を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を与える可能性があります。 ④ 配当政策について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中株主への利益還元の重要性を認識しておりますが、当社は成長過程にあると考えていることから、競争力の確保とさらなる成長の継続を経営上の最重要課題としております。また、内部留保の充実を図り、それを原資として中長期的な事業拡大のための投資に充当していくことが、将来的な株主への利益還元に繋がると考えております。以上の理由から、当社は創業以来配当を実施しておりません。将来的には、財政状態、経営成績、事業計画等を勘案し、株主への利益還元策を決定していく所存でありますが、配当実施の可能性及びその時期等については現時点で未定であります。 ⑤ 海外との取引について発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社の「Fanicon」は、日本語を含む多言語で提供しており、海外のファンにも利用されております。また、韓国のアイコンが開設する等、アイコン側においても海外展開が徐々に広がってきております。デジタルマーケティング事業においては、海外クライアントとの取引が近年増えております。このような状況において、景気変動等の経済情勢、社会情勢及び地政学的な状況によって事業運営に支障をきたす事態が生じた場合や当社の事業に係る法規制等の成立・改正が行われた場合に、当社事業の海外展開に一定の影響が及び、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しており、当社は、当該リスクに対する迅速な情報収集と適切な対応を検討する体制を構築し、リスクの軽減を図ってまいります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。 (1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当事業年度末におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や海外渡航制限が解除されたことから個人の消費活動や企業による設備投資を中心に経済活動は持ち直しの方向にむかっております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、パレスチナ自治区ガザでの紛争、原材料価格の高騰及び円安の進行、海外景気の下振れなど、世界情勢は依然として不透明な状況が続いております。一方で当社を取り巻く音楽・エンターテインメント業界は、ストリーミング配信などを発端とするデジタル化へのシフトが進み業界構造の変革が進みつつあります。また、サブスクリプションサービスやライブ配信サービスの発達を背景に、アーティストや著名人が配信プラットフォームサービスを活用し、グローバルに向けてのコンテンツ提供が可能となってきました。また、ライブ・イベント市場については、ぴあ総研が毎年行っているライブ・エンタテインメント市場の調査結果によると、アフターコロナの状況においてファンやユーザーの行動変容が見られ、コロナ禍で抑制された供給・需要の双方における反動増が、市場回復を促しました。 このような環境のもと、当社は「“できっこない”に挑み続ける」を掲げ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)全盛期の現在、1対Nの時代から大きく変化した、N対Nの潮流をとらえ、Fan(ファン)+Icon(アイコン)(注)を起源とした完全会員制、完全有料制のファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon(ファニコン)」を提供するファンビジネスプラットフォーム事業と、祖業であるデジタルマーケティング事業の2つの事業を展開しております。(注)アーティスト、インフルエンサー、タレント等、ファンコミュニティのオーナーであり、ファンの熱量の対象となるもの ファンビジネスプラットフォーム事業の市場環境としては、株式会社矢野経済研究所の調査「ファンコミュニティビジネス2022」によると、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)は、2020年度は24,800百万円(実績)、2021年度は41,500百万円(見込)(前期比167.3%)、2022年度は58,000百万円(前期比139.8%)と予測されております。ここ数年、エンターテインメント業界は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オフラインでの活動を制限されたアーティストやクリエイター等が、新たな活動の場としてオンラインによる活動を求める機会が増加しました。それに呼応するようにデジタル化した配信プラットフォームが多数出現し、アーティストやクリエイター等が、そのプラットフォームを活用し自らの情報発信を一元管理することが可能になりつつあります。加えて、当社が提供するプラットフォーム「Fanicon」が進化することで、アーティストやクリエイターとファンの間のコミュニケーションの促進・発展が進んでいます。その結果、マネタイズの機会が増えたことも影響し、市場成長が継続しております。また、当社が想定するファンクラブの市場規模(SAM:Service Available Market)は約1兆6,000億円であり、これは、総務省の「人口推計」と、矢野経済研究所が実施したインターネットアンケート調査「ファンの消費行動」に基づく1人当たりの消費額と潜在層を含めたファン数を基に、当社が想定するファンクラブ市場規模を算定したものであります。また、デジタルマーケティング事業の市場環境としては、株式会社電通が発表した「2023年日本の広告費」によると、2023年のインターネット広告市場は前年比107.8%の3兆3,330億円と堅調に増加を示し、その中で総広告費に占める媒体構成比は前年比2ポイント増の45.5%に達しています。当社としては今後も同市場は堅調に推移すると予想しております。また、サイバー・バズ/デジタルインファクト調べによる「国内インフルエンサーマーケティングの市場規模推計・予測 2020年-2027年」によると、2023年の国内インフルエンサーマーケティング市場は前年比120.5%の741億円が推計されており、2020年は332億円だったことから、ここ数年で大幅に市場規模が拡大しております。 両事業を合わせた市場規模(TAM:Total Addressable Market)は約6兆8,000億円と試算しており、その内訳は、当社想定のファンクラブ市場規模1兆6,000億円(上述)、ライブ・エンターテインメント市場6,295億円(ライブ・エンターテインメント白書より当社推計。ライブ・エンターテインメント市場規模=音楽コンサートとステージでのパフォーマンスイベントのチケット推計販売額合計と定義)、デジタルコンテンツ市場2兆384億円(経済産業省「コンテンツの世界市場・日本市場の外観」2019年度市場規模より推計。1$=100円で試算。音楽(音楽ダウンロード、音楽ストリーミング、広告)、広告)映像(動画配信(SVOD)、動画配信(TVOD) 、VRビデオ、広告(動画共有サイト等)、ゲーム(コンソールゲーム、/PCゲーム(ダウンロード)、モバイルゲーム、VRアプリ、VRゲーム、広告)のデジタルコンテンツ市場の合計と定義)、日本のインターネット広告媒体費2兆6,870億円(株式会社電通「2023年日本の広告費」のインターネット広告媒体費を参照)となっています。a ファンビジネスプラットフォーム事業ファンビジネスプラットフォーム事業は、ファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」の提供及び運営管理を行っております。「Fanicon」はアイコンとそのファンが集い、アイコンとしての「価値」を提供したいアイコン側のニーズと、アイコンと「つながりたい」というファン側のニーズをマッチングさせるプラットフォームです。また、従来のファンクラブとは異なり、ファンコミュニティのオーナーであるアイコンと、そこに属するファンが共にコミュニティを盛り上げ、共感したファン同士も繋がることが可能なネットワーク効果のある、アイコンとファンのためのサービスです。Faniconの会員(ファン)はすべて有料会員となっており、ファンビジネスプラットフォーム事業の売上高は、会員より受領するサブスクリプションフィーを売上高として計上するストック型のビジネスモデルとなっています。また、昨今はポイント課金型の売上高も伸びており、安定的、継続的な収入を見込んでおります。会員数を安定的に成長させるためには、新規アイコンの獲得が不可欠です。新規アイコンを獲得するための営業活動は専属チームが継続的に実施しておりますが、一部大型アイコンの獲得に関しては、パートナー企業等の協力を得ており、その結果、コミュニティ開設数は堅調に成長を続けております。また、アイコンの解約率は、アイコンに対する季節や個人イベントに応じた施策の提案やファン体験の価値を高めるカスタマーサクセスの実施により、前事業年度に引き続き低水準で推移しております。以上の結果、当事業の売上高は2,724,485千円(前年対比11.6%増加)、セグメント損失は337,099千円(前年同期はセグメント損失345,012千円)となりました。 b デジタルマーケティング事業デジタルマーケティング事業においては、従業員の不祥事により業績と信用力が落ちたものの、下期に入り着実な回復が見られています。マーケティングやインサイドセールスの取組みを強化し、従業員の倫理と透明性に焦点を当てることで、既存案件の継続的な受注に留まらず、国内外の顧客との新規案件も増加しました。この結果、当事業の売上高は1,082,110千円であり、前年対比で41.1%減少しました。また、セグメント損失は207,084千円となり、前年対比で損失に転じる結果となりました。不祥事の影響を受けながらも、従業員の改善策やマネジメントの強化により、信頼回復と業績の向上が着実に進んでいます。今後も組織全体での努力と改善を続け、再び安定的な発展を目指してまいります。 以上の結果、当事業年度末の売上高は3,806,595千円(前年対比11.1%減少)、営業損失は544,183千円(前事業年度末は営業損失212,572千円)、経常損失は553,866千円(前事業年度末は経常損失210,452千円)、当期純損失は764,260千円(前事業年度末は当期純損失488,468千円)となりました。 ② 財政状態の状況(流動資産)当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ614,833千円減少し、2,009,048千円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少324,631千円、売上高の減少に伴う売掛金の減少269,186千円であります。(固定資産)当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ22,333千円減少し、358,180千円となりました。主な要因は、建物の減価償却費17,020千円であります。(流動負債)当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ149,921千円増加し、1,859,766千円となりました。主な要因は、買掛金の増加127,650千円、賞与引当金の増加1,335千円であります。(固定負債)当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ21,585千円減少し、83,970千円となりました。主な要因は、リース債務の流動への振替及びリース債務の返済4,548千円、1年内返済予定の長期借入金への振替及び長期借入金の返済16,800千円であります。(純資産)当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ765,503千円減少し、423,492千円となりました。主な要因は、当期純損失を764,260千円計上したことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,508,130千円(前事業年度比324,631千円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は267,438千円(前事業年度は188,655千円の収入)となりました。これは主にファンビジネスプラットフォーム事業におけるファン数の増加等に伴う前受金の増加額179,554千円、売上債権の減少額279,014千円、仕入債務の増加額127,650千円、未払金の減少額90,294千円、税引前当期純損失の計上757,533千円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は28,089千円(前事業年度は344,906千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出22,698千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は29,103千円(前事業年度は55,922千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出24,960千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a 生産実績当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 b 受注実績当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 c 販売実績当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)ファンビジネスプラットフォーム事業2,724,48511.6デジタルマーケティング事業1,082,110△41.1合計3,806,595△11.1 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社の財務諸表作成のための会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a 財政状態財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。 b 経営成績(売上高)当事業年度における売上高は、3,806,595千円(前年同期比11.1%減少)となりました。セグメントごとの状況及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (ファンビジネスプラットフォーム事業)ファンビジネスプラットフォーム事業においては、サービス開始以来の地道なマーケティング及び営業活動の結果、順調にアイコンの獲得が進み、2023年12月末時点において、アイコン数は2,866(前事業年度末は2,474)、ファン数(有料課金ユーザー数)は275,844(前事業年度末は211,821)となりました。新規開設コミュニティにおいて、月額500円前後の通常サービス機能を利用できるプランに加え、プレミアムサービスがついた高価格料金プランの2種類の価格プランを設定し、サブスク料金の月額単価向上を図りつつ、サブスク外売上においてもポイント購入だけでなく季節的なイベント等の施策が牽引し、当事業の売上増加に繋がっております。この結果、売上高は2,724,485千円(前年同期比11.6%増加)と伸長いたしました。 (デジタルマーケティング事業)デジタルマーケティング事業においては、従業員の不祥事により業績と信用力が落ちたものの、下期に入り着実な回復が見られています。マーケティングやインサイドセールスの取組みを強化し、従業員の倫理と透明性に焦点を当てることで、既存案件の継続的な受注に留まらず、国内外の顧客との新規案件も増加しました。この結果、当事業の売上高は1,082,110千円であり、前年対比で41.1%減少しました。 (売上原価、売上総利益)デジタルマーケティング事業での売上高減少に伴う原価の減少により、売上原価は2,298,883千円(前事業年度比11.9%減)となりました。この結果、売上総利益は1,507,712千円(前事業年度比9.8%減)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業損失)販売費及び一般管理費は2,051,896千円(前事業年度比8.9%増)となりました。主な要因としては、人員拡大に伴い人件費が増加したこと、オフィス移転に伴い賃料が増加したことにより、この結果、営業損失は544,183千円(前事業年度は営業損失212,572千円)となりました。 (営業外収益、営業外費用、経常損失)営業外収益は役員報酬返納額により3,058千円(前事業年度比6.5%減)、営業外費用は貸倒引当金繰入額により12,741千円(前事業年度比1,007.1%増)となり、この結果、経常損失は553,866千円(前事業年度は経常損失210,452千円)となりました。(特別利益、特別損失、当期純損失)特別利益は新株予約権戻入益により1,573千円、特別損失は不正発注に関する調査費用により205,240千円(前事業年度21.1%減)となり、その結果、税引前当期純損失は757,533千円(前事業年度は税引前当期純損失470,574千円)となりました。法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を加減した、当期純損失は764,260千円(前事業年度は当期純損失488,468千円)となりました。 c キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。 d 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標(以下KPIと呼ぶ。KPIは、Key Performance Indicatorの略称であり、重要業績指標を意味する)については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。注力事業であるファンビジネスプラットフォーム事業のKPIの推移は以下のとおりとなっており、当事業の成長が当社全体の成長ドライバーとなっていることから、当該KPIの進捗を週次ベースで注視し、経営上の目標達成状況を判断しております。KPIのひとつであるアイコン数はローンチ以来の地道な営業活動を通じ、下記のとおり順調に増加しており、その結果ファン数も順調に増加しております。 アイコン数ファン数(有料課金ユーザー数)2023年12月期第1四半期2,472225,4272023年12月期第2四半期2,608233,9102023年12月期第3四半期2,748256,5082023年12月期第4四半期2,866275,844 デジタルマーケティング事業においては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、インフルエンサーセールス事業の取扱件数及び案件単価を重要な経営指標としております。当該指標の推移は以下のとおりであります。 インフルエンサーセールス事業取扱件数インフルエンサーセールス事業案件単価(千円)2023年12月期第1四半期1152,6772023年12月期第2四半期1221,7172023年12月期第3四半期1471,4662023年12月期第4四半期1521,657 ③ 資本の財源及び資金の流動性当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社は、当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び必要に応じて銀行からの借入金を基本としており、借入実績もあることから、過去借入実行した金額の範囲は可能と考えております。運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの必要な資金については、必要に応じて多様な資金調達を実施してまいります。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 該当事項はありません。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 該当事項はありません。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当事業年度において実施した設備投資等の総額は26,204千円であり、その主なものは、人員増加に伴うPC購入等の費用となります。また、当事業年度において減損損失を11,041千円計上しております。セグメントごとの設備投資について示すと、次のとおりであります。 (1)ファンビジネスプラットフォーム事業当事業年度の主な設備投資は、スタジオに係る造作工事等5,545千円であります。固定資産につきまして、減損損失を11,041千円計上しております。減損損失の内容は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(損益計算書関係) ※2 減損損失」に記載のとおりです。なお、重要な設備の除却及び売却はありません。 (2)デジタルマーケティング事業当事業年度の主な設備投資は、PCの購入等113千円であります。なお、重要な設備の除却及び売却はありません。 (3)全社共通当事業年度の主な設備投資は、PCの購入等21,771千円であります。なお、重要な設備の除却及び売却はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 2023年12月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物機械及び装置その他合計本社(東京都渋谷区)-本社機能113,51459471,733185,842140(23)スタジオ(東京都新宿区)ファンビジネスプラットフォーム事業配信スタジオ----2(-)(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。2.従業員数の( )は、臨時従業員を外書きしております。3.帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品、ソフトウエア及びリース資産の金額であります。4.本社及びスタジオの建物を賃借しております。年間賃借料は175,576千円であります。5.減損損失計上後の帳簿価額を記載しております。なお、減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(損益計算書関係) ※2 減損損失」に記載のとおりであります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設等該当事項はありません。 (2)重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 113,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 33 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 1 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 6,123,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 株式会社ハイアンドドライ東京都港区南青山3丁目8-40 青山センタービル2F419,00020.18 YJ2号投資事業組合東京都千代田区紀尾井町1-3113,9705.49 平良 真人東京都渋谷区112,2005.40 NVCC8号投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内2丁目4-189,2504.29 武井 哲也山梨県甲府市82,0003.94 HSアセットマネジメント株式会社東京都港区赤坂6丁目19-5471,2003.42 DX Ventures株式会社東京都世田谷区玉川1丁目15-371,2003.42 山家 秀一東京都江戸川区68,6003.30 エスファイブ1号投資事業有限責任組合東京都渋谷区恵比寿1丁目19-1960,6062.91 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント東京都千代田区六番町4-560,6062.91計-1,148,63255.33(注)1. 株式会社ハイアンドドライは、当社代表取締役CEOである平良真人氏が株式を保有する資産管理会社であります。2. HSアセットマネジメント株式会社は、当社取締役である下川弘樹氏が株式を保有する資産管理会社であります。3. DX Ventures株式会社は、当社取締役である野澤俊通氏が株式を保有する資産管理会社であります。 |
株主数-金融機関 | 1 |
株主数-金融商品取引業者 | 19 |
株主数-外国法人等-個人 | 4 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 9 |
株主数-個人その他 | 1,072 |
株主数-その他の法人 | 57 |
株主数-計 | 1,162 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント |
株主総利回り | 0 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)(注)2,073,5552,400-2,075,955合計2,073,5552,400-2,075,955(注)普通株式の発行済株式総数の増加は、新株予約権行使2,400株によるものであります。2020年11月30日付の取締役会で決議いたしました第6回新株予約権のうち当社元従業員1名に付与された100個のストックオプションについて、当社は、2023年6月2日に、同人からの行使請求に基づき株式100株を発行いたしましたが、その後、同発行が第6回新株予約権発行要領記載の行使条件に違反した法的に無効なものであることが判明いたしました。この100株については、無効な株式発行によるものであるとして、現在登記の是正(抹消)のための手続を進めております。従いまして、上記100株は発行済株式数から除外しております。 2.自己株式に関する事項 該当事項はありません。 |
Audit1
監査法人1、個別 | PwC Japan有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年3月26日 THECOO株式会社 取締役会 御中 PwC Japan有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士岩崎 亮一 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士田村 仁 <財務諸表監査> 監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているTHECOO株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの第10期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、THECOO株式会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 共用資産を含むより大きな単位における固定資産の減損損失の認識の判定注記事項(重要な会計上の見積り)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は当事業年度末の貸借対照表において、有形固定資産183,670千円を計上しており、これは総資産の7.8%を占めている。有形固定資産の主な内訳は本社ビルなどの共用資産である。 会社はこの共用資産について、各資産グループに共用資産を加えたより大きな単位である全社で減損の兆候判定を行っている。当事業年度末において、全社で継続して営業損失を計上していることから、減損の兆候を識別し、減損損失の認識の判定を行っている。 減損損失の認識の判定の結果、全社の割引前将来キャッシュ・フローの総額は、帳簿価額を上回ったため減損損失を認識していない。 全社から生じる割引前将来キャッシュ・フローの総額は、取締役会によって承認された事業計画に基づいて予測されている。当該事業計画で使用された重要な仮定は、ファンビジネスプラットフォーム事業のARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)及びファン数の増加、並びにデジタルマーケティング事業の売上成長率、全社の人件費である。 上記の重要な仮定は見積りの不確実性及び経営者による判断を伴う。また、共用資産にかかる減損損失の認識の判定を誤った場合には、財務諸表全体に重要な影響を及ぼすこととなる。以上から、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。当監査法人は、共用資産を含むより大きな単位における固定資産の減損損失の認識の判定の検討にあたり、主として以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 固定資産の減損損失の認識の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2)固定資産の減損損失の認識の判定に関する判断の妥当性の評価 減損損失の認識の判定における割引前将来キャッシュ・フローの総額の基礎となる事業計画について、以下の監査手続を実施した。 ・減損損失の認識の判定に用いられた事業計画が、会社の取締役会において承認されたものと整合していることを検証した。 ・過年度に作成された事業計画と当事業年度の実績とを比較し、経営者による見積りの精度を評価した。 ・ファンビジネスプラットフォーム事業、デジタルマーケティング事業における現状の認識、および将来の見通しについて、経営者に質問するとともに、外部機関による市場予測に関する資料と重要な仮定が整合するかを確認し、経営者による見積りの合理性を検証した。 ・事業計画の見積りに使用された重要な仮定(ファンビジネスプラットフォーム事業におけるARPU及びファン数の増加、デジタルマーケティング事業の売上成長率、全社の人件費)について、経営者に質問するとともに、経営者が実施した感応度分析で利用されたシナリオを入手し、重要な仮定の将来の変動リスクが考慮されているか評価した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 共用資産を含むより大きな単位における固定資産の減損損失の認識の判定注記事項(重要な会計上の見積り)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は当事業年度末の貸借対照表において、有形固定資産183,670千円を計上しており、これは総資産の7.8%を占めている。有形固定資産の主な内訳は本社ビルなどの共用資産である。 会社はこの共用資産について、各資産グループに共用資産を加えたより大きな単位である全社で減損の兆候判定を行っている。当事業年度末において、全社で継続して営業損失を計上していることから、減損の兆候を識別し、減損損失の認識の判定を行っている。 減損損失の認識の判定の結果、全社の割引前将来キャッシュ・フローの総額は、帳簿価額を上回ったため減損損失を認識していない。 全社から生じる割引前将来キャッシュ・フローの総額は、取締役会によって承認された事業計画に基づいて予測されている。当該事業計画で使用された重要な仮定は、ファンビジネスプラットフォーム事業のARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)及びファン数の増加、並びにデジタルマーケティング事業の売上成長率、全社の人件費である。 上記の重要な仮定は見積りの不確実性及び経営者による判断を伴う。また、共用資産にかかる減損損失の認識の判定を誤った場合には、財務諸表全体に重要な影響を及ぼすこととなる。以上から、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。当監査法人は、共用資産を含むより大きな単位における固定資産の減損損失の認識の判定の検討にあたり、主として以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 固定資産の減損損失の認識の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2)固定資産の減損損失の認識の判定に関する判断の妥当性の評価 減損損失の認識の判定における割引前将来キャッシュ・フローの総額の基礎となる事業計画について、以下の監査手続を実施した。 ・減損損失の認識の判定に用いられた事業計画が、会社の取締役会において承認されたものと整合していることを検証した。 ・過年度に作成された事業計画と当事業年度の実績とを比較し、経営者による見積りの精度を評価した。 ・ファンビジネスプラットフォーム事業、デジタルマーケティング事業における現状の認識、および将来の見通しについて、経営者に質問するとともに、外部機関による市場予測に関する資料と重要な仮定が整合するかを確認し、経営者による見積りの合理性を検証した。 ・事業計画の見積りに使用された重要な仮定(ファンビジネスプラットフォーム事業におけるARPU及びファン数の増加、デジタルマーケティング事業の売上成長率、全社の人件費)について、経営者に質問するとともに、経営者が実施した感応度分析で利用されたシナリオを入手し、重要な仮定の将来の変動リスクが考慮されているか評価した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 共用資産を含むより大きな単位における固定資産の減損損失の認識の判定 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
工具、器具及び備品(純額) | 60,332,000 |
リース資産(純額)、有形固定資産 | 9,228,000 |
有形固定資産 | 183,670,000 |
ソフトウエア | 2,172,000 |
無形固定資産 | 2,172,000 |
投資その他の資産 | 172,338,000 |
BS負債、資本
1年内返済予定の長期借入金 | 16,800,000 |
未払金 | 160,486,000 |
未払法人税等 | 5,360,000 |
未払費用 | 58,369,000 |
賞与引当金 | 1,335,000 |
リース債務、流動負債 | 4,548,000 |
繰延税金負債 | 1,412,000 |
資本剰余金 | 949,022,000 |
利益剰余金 | -1,284,658,000 |
負債純資産 | 2,367,229,000 |
PL
売上原価 | 2,298,883,000 |
販売費及び一般管理費 | 2,051,896,000 |
受取利息、営業外収益 | 18,000 |
営業外収益 | 3,058,000 |
支払利息、営業外費用 | 672,000 |
その他、流動資産 | 17,371,000 |
営業外費用 | 12,741,000 |
特別利益 | 1,573,000 |
特別損失 | 205,240,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 2,700,000 |
過年度法人税等、法人税等 | 4,688,000 |
法人税等調整額 | -661,000 |
法人税等 | 6,726,000 |
PL2
当期変動額合計 | -765,503,000 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー | 39,274,000 |
賞与引当金の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,335,000 |
受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー | -18,000 |
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー | 672,000 |
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー | -3,862,000 |
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 127,650,000 |
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー | -12,621,000 |