財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-28 |
英訳名、表紙 | K Pharma,Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 福島 弘明 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区六本木七丁目7番7号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6629-3380 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
当会計期間の種類、DEI | FY |
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沿革 | 2 【沿革】 年月概要2016年11月医薬品および再生医療等製品の研究・開発・製造・販売を目的として東京都港区に当社設立2017年4月学校法人慶應義塾と筋萎縮性側索硬化症治療剤および治療用組成物等の特許実施許諾契約を締結2018年4月神奈川県藤沢市にある武田薬品工業株式会社湘南研究所(現 湘南ヘルスイノベーションパーク)内に研究所(ケイファーマラボ)を開所2020年4月学校法人慶應義塾とiPS細胞を活用した医薬品および再生医療等製品の開発を目的とした共同研究契約を締結2021年3月学校法人慶應義塾と脊髄損傷治療用ニューロスフェア誘導剤およびその使用の特許実施許諾契約を締結2022年7月学校法人慶應義塾と亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の治験に向けた共同研究契約を締結2023年2月東京都新宿区にある慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟に「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」を開設2023年3月アルフレッサ ファーマ株式会社と日本国内においてALSの治療薬候補であるKP2011導出に関するライセンス契約を締結2023年6月学校法人北里研究所と難聴治療薬の企業治験に向けた共同研究契約を締結2023年8月独立行政法人国立病院機構大阪医療センターと慢性期脳梗塞、脳出血および外傷性中枢神経損傷の再生医療の企業治験に向けた共同研究契約を締結2023年10月東京証券取引所グロース市場に株式を上場 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社は、有効な治療法が確立していない神経難病に対して、当社取締役CSO(Chief Scientific Officer)兼慶應義塾大学医学部生理学教室教授の岡野栄之、および当社取締役CTO(Chief Technology Officer)兼同大学医学部整形外科学教室教授の中村雅也を中心とした長年の基礎研究の成果を実用化し、一刻も早く臨床の現場に有効な治療法を届けるため、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業として、2016年11月に、「医療イノベーションを実現し、医療分野での社会貢献を果たします」を経営理念として、医薬品および再生医療等製品の研究・開発・製造・販売を事業目的として設立いたしました。当社が事業の主要な対象としております中枢神経疾患領域につきましては、筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」*1という。)など我が国においても難病に指定される疾患が多く存在し、アルツハイマー病(*2)に代表される様々な認知症症状に対しても、有効な治療薬の開発が求められております。また、脊髄損傷(*3)や脳梗塞(*4)などの損傷疾患についても、未だ有効な治療法が確立しておりません。ALSの患者数は、世界では約33万人、国内では約1万人(出典:Clarivate Analytics データベース)と推定されており、脊髄損傷につきましては、国内の亜急性期の脊髄損傷(*5)患者数は年間約5千人(出典:総合リハビリテーション「疫学調査」2008年)、慢性期の脊髄損傷(*6)患者数は約10~20万人(出典:総合リハビリテーション「疫学調査」2008年)、脳梗塞の患者数は約130万人(出典:Clarivate Analytics データベース)とされております。これらの対象患者に対して画期的な医療イノベーションの実現により有効かつ安全な医療成果を届けるため、当社におきましては、iPS細胞(*7)を活用したiPS創薬事業と再生医療事業のハイブリッドで慶應義塾大学医学部をはじめとする大学や研究機関等と連携して研究開発を推進すると共に、バリューチェーン(*8)を構成する各企業とも連携して事業活動を推進しております。なお、当社は医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであります。 (1)当社の事業領域当社は、中枢神経疾患領域に対して、iPS細胞を活用したiPS創薬と脊髄損傷等の神経損傷部位に移植する再生医療等製品の開発を主たる事業としております。①はじめに長年、中枢神経領域において、「神経は再生しない」という考え方が一般的でありましたが、当社の創業科学者兼取締役CSOである岡野栄之等の研究チームが、神経幹細胞のバイオマーカー(*9)である遺伝子「musashi」を発見し、世界で初めて、ヒト脳の中にも神経幹細胞(*10)が存在することを示したことにより、中枢神経領域の再生医療の可能性を見出し、臨床での神経再生が現実的なものとなってきました。また、2007年に京都大学山中伸弥教授の研究グループがヒトの皮膚細胞からiPS細胞の樹立に成功したことにより、(ⅰ)iPS細胞を活用した細胞移植治療/再生医療、(ⅱ)iPS細胞による病態解明・薬効評価の可能性が示されました。そこで、慶應義塾大学において岡野栄之と中村雅也の研究チームは、脊髄損傷の治療に対してiPS細胞から分化誘導(*11)した神経細胞を活用する研究を開始し、また、岡野栄之の研究チームは、ALSの患者様由来のiPS細胞から樹立した神経細胞を活用したALS治療薬の開発に着手致しました。 ②当社の優位性当社は、当社取締役CSO兼慶應義塾大学医学部生理学教室教授の岡野栄之、および当社取締役CTO兼同大学医学部整形外科学教室教授の中村雅也を中心とした長年の基礎研究をもとに事業を展開しており、特に、当社の事業の対象としている中枢神経疾患領域においては、大学や研究機関等において蓄積してきた知見を活用して、研究所において各種ノウハウや技術(iPS細胞から神経細胞に適切かつ効率的に分化誘導することができる技術、創薬に適した表現型(*12)を構築するためのノウハウや技術、再生医療として神経細胞に分化誘導し移植するためのノウハウや技術など)を活用して研究開発を推進しております。 ③iPS創薬事業当社は、iPS創薬の研究開発の手法として、病気の患者様由来のiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いた表現型スクリーニングによる化合物・薬剤候補分子の効率的なin vitro(*13)スクリーニングを実施しております。具体的には、患者様から提供を受けた細胞を用いて疾患の特異的な情報を有するiPS細胞を樹立したうえで、神経細胞に分化誘導し、既存の数多くある化合物ライブラリー(*14)の中から、当該iPS細胞から分化誘導した神経細胞に対する各表現型に関して、その量、機能的な活性、反応を定性的または定量的に測定をすることで、薬剤の候補となる可能性のあるヒット化合物(*15)を選別しております。また、併せて、疾患の特異的な情報を有するiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いた疾患のメカニズムの解析や薬剤のターゲットとなりうる物質や遺伝子の解析等を共同研究先である慶應義塾大学医学部と共に進めております。iPS創薬の手法は、従来の創薬開発プロセスと異なり、前臨床の段階で動物の疾患モデルでの評価を介さず、かつ直接的にヒトの病態を反映した細胞を活用することにより、ヒトでの予見性が高い創薬手法となることから、従来の創薬開発プロセスより短期間で行うことが可能であり、当社では、アンメットメディカルニーズ領域(*16)の疾患に対して効率的かつ合理的に創薬を進めてまいります。 また、さらに、当社のiPS創薬事業は、他の疾患のために開発された既存の医薬品・化合物の中から、新しい効果を発見して新しい医薬品の開発を行う方法であるドラッグリポジショニングという創薬手法を活用することにより、新たに化合物を開発することがなく、特に既に上市された医薬品を用いる場合には、既にヒトに対して一定の安全性が確認されていることから、創薬の研究開発に係る費用や時間について、これまでの新薬開発に必要な期間を3~12年、費用を50~60%程度削減できる可能性がございます(出典:株式会社三菱総合研究所 2020.6 ドラッグリポジショニングによる創薬力の復活)。 当社は、中枢神経疾患領域を重点ターゲットとして、未だ有効な治療法のない患者様に一刻も早く有効な治療法を届けるため、ALSを始めとした難治性の希少疾患に対する開発パイプラインの研究開発を推進しておりますが、各神経疾患が示す病態については一部共通した作用やメカニズムがあると考えていることから、「Rare to Common戦略」(患者数が少ない難治性の疾患の創薬開発から、患者数の多い一般的な疾患の創薬開発を目指す戦略)を推進してまいります。 ④再生医療事業当社は、神経損傷疾患である脊髄損傷に対して、自身の細胞から樹立するiPS細胞と比較して、汎用性や市場性が高いと考えております他家iPS細胞(*17)から分化誘導した神経前駆細胞(*18)を移植することで損傷部位の治療を行う再生医療の研究開発を推進しております。脊髄損傷は、スポーツでの怪我や交通事故により脊髄に損傷が及ぶケース、加齢によって骨が弱くなり転倒して損傷するケース、頸椎の形状が変化し頚髄に負荷がかかり損傷するケースなどがあり、脊髄が損傷した場合、脊髄が脳からの指令や情報を脳幹を通じて体の各部に伝達する役割を果たすことができなくなり、身体の運動機能や感覚機能が完全に停止または一部停止する、麻痺の症状が発生することがあります。当社は、まず、慶應義塾大学医学部との共同研究において、損傷による炎症が低下し、かつ、損傷部位が完全に空洞化する前の移植した神経前駆細胞が生着しやすいと考えられる亜急性期の脊髄損傷についての研究開発を優先して進めております。当事業年度末日現在、慶應義塾大学医学部において「亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の医師主導臨床研究が実施されており、当該臨床研究後に、当社において企業治験を行う予定であります。そのための準備として、最適なiPS細胞の選定や分化誘導法の確立、脊髄損傷モデルマウス(*19)の評価、臨床に向けた大量培養方法の検討、各種品質管理項目の検討などを進めており、実用化に向けた取り組みを推進しております。 また、当社では損傷後一定の期間が経過し損傷部位が完全に空洞化して、その空洞化した部分が移植した神経の伸長を阻害する可能性がある慢性期の脊髄損傷についても未だ有効な治療法がないことから研究開発を進めており、将来的には亜急性期の脊髄損傷に関する研究開発と並行して、亜急性期の脊髄損傷と比較して患者数の多い慢性期の脊髄損傷についての企業治験の検討も進めてまいります。さらに、慢性期脳梗塞、慢性期脳出血、慢性期外傷性中枢神経損傷につきましても、共同研究を進めている独立行政法人国立病院機構大阪医療センターと連携し、前臨床の研究を進める予定にしております。なお、2014年の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)の改正に伴い、再生医療等製品の治験プロセスについては、通常の医薬品の治験プロセスと比較して、早期承認のための制度が追加されており、早期承認の審査の中で、一定数の限られた症例による治験において、安全性の確認と有効性の推定について認められた場合、条件期限付き承認を受けることが可能となり、販売後に更なる安全性と有効性の検証を経て、最終的に承認または失効するプロセスが導入されました。当社におきましては、再生医療事業の各開発パイプラインについて、薬機法に従い、大学や研究機関と連携して、企業治験のための研究開発を推進してまいります。 *厚生労働省 薬事法等の一部を改正する法律の概要(平成25年法律第84号)を参考に当社作成 (2)当社のビジネスモデル当社の主なビジネスモデルは、大学や研究機関等が保有する基礎研究の成果や特許等の知的財産権の独占的な実施許諾権等に基づいた開発パイプライン、または、当社自らが基礎研究を進めた成果に基づいた開発パイプラインについて、製薬会社等のパートナーと、基礎/探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発や将来の製造販売等の権利の一部または全部を譲渡するライセンス契約を締結して収入を受領するものであります。まず、大学や研究機関等が保有する知的財産権等を活用して共同研究契約を締結する場合は、当社が情報や技術、研究成果等を受け取る一方で、当社から共同研究費用を支払うことになります。次に、製薬会社等のパートナーと共同研究開発を進める場合においては、当社からは当該パートナー企業に対して、情報や技術、研究成果等を提供する一方で、当社は当該パートナー企業から共同研究開発契約を締結した段階で契約一時金を受領します。共同研究開発契約締結後は、共同研究開発契約を行った対象の開発パイプラインにおいて設定する個別の各目標の達成状況に応じて共同研究達成マイルストン収入を受領します。そして、ライセンス契約においては、当社からは当該パートナー企業に対して、情報や技術、研究成果等を提供する一方で、当社は当該パートナー企業からライセンス契約を締結した段階で契約一時金を受領します。ライセンス契約締結後は、当社はライセンス契約を行った対象の開発パイプラインにおいて設定する個別の各目標の達成状況に応じて共同研究達成マイルストン収入を受領します。さらに、ライセンス契約の対象の開発パイプラインの上市後は、当社は販売の一部からライセンスの販売ロイヤリティ収入を受領すると共に、販売の達成金額に応じて販売達成マイルストン収入を受領します。 (当社の一般的な収入形態)収入形態内容共同研究契約一時金収入共同研究契約を締結した際に、提携先から受領する収入共同研究達成マイルストン収入共同研究の開発パイプラインにおいて設定した目標の達成に応じて受領する収入ライセンス契約一時金収入ライセンスの対象とする開発パイプラインの独占的な製造・販売権等の対価として、提携先から受領する収入ライセンス達成マイルストン収入ライセンスの開発パイプラインにおいて設定した目標の達成に応じて受領する収入販売ロイヤリティ収入上市した製品の販売金額の一部を一定の割合に応じて受領する収入販売達成マイルストン収入上市した製品の販売金額達成額に応じて受領する収入 (事業系統図) (3)当社の開発パイプライン当事業年度末日現在における開発パイプラインの進捗状況は以下のとおりとなっております。 iPS創薬事業における開発パイプラインにおきまして、まず、ALSに関する開発パイプラインであるKP2011について、慶應義塾大学により、iPS創薬の手法でALS患者様の細胞から作製したiPS細胞から分化誘導した神経細胞に対して、約1,200の化合物の中から表現型スクリーニングによって見出したパーキンソン病治療の既存薬であるロピニロール塩酸塩をALS患者様に投与する医師主導治験(*20)(ALS患者様を対象としたロピニロール塩酸塩徐放錠内服投与による第Ⅰ/Ⅱa相試験)を以下の概要で実施いたしました。 試験期間2018年12月~2021年3月治験デザイン二重盲検(*21)期:単施設, ランダム化, 二重盲検, プラセボ(*22)対照継続投与期:単施設, オープンラベル, 非盲検, 実薬継続投与主な患者選択基準・ALSの診断基準(世界神経学会El Escorial改訂)における「ALS可能性高し 検査陽性」、「ALS可能性高し」または「ALS確実」に該当し、発症後60ヶ月以内である患者・ALSの重症度分類(厚生労働省 特定疾患研究調査2007.1.1)が1または2である患者・同意取得時点の年齢が20歳以上、80歳以下である日本人患者症例数家族性あるいは孤発性(*23)ALS患者20例 (実薬13例、プラセボ7例)用法用量ロピニロール塩酸塩徐放錠/プラセボ錠2mgを1日1回より開始し、一週毎に目標維持量16mgまで増量。全投与期間24週間主要評価項目安全性(本剤の投与による有害事象の発現割合、重症度等)及び忍容性(本剤の副作用が投与された患者にとってどの程度耐えることができるかどうか)副次評価項目有効性(本剤の投与による治療の効果の高さ) 慶應義塾大学による医師主導治験(第Ⅰ/Ⅱa相試験)では、全患者様が、最大の量(16mg)を内服することができ、かつ、有害事象のほとんどが軽度なものであり、有害事象による内服の中止がなかったことから、ALS患者様に対するロピニロール塩酸塩の安全性と忍容性が確認できました。 また、有効性についても、ロピニロール塩酸塩の実薬群とプラセボ群に分けてそれぞれ投与した期間において、実薬群がプラセボ群と比較してALS患者様の総合機能評価や日常活動量の低下を抑制して、統計的に一定の有効性があることが示唆されました。 さらに、死亡または一定の病気の進行までの期間を生存期間として検討した結果、生存期間の中央値は、ロピニロール塩酸塩群(実薬群)50.3週、プラセボ群22.4週で、計1年の試験期間中に、プラセボ群と比較してロピニロール塩酸塩群において、病気の進行を27.9週間(約7ヶ月)遅らせる可能性が示されました。加えて、ロピニロール塩酸塩群では、最初の6ヶ月の間に、複数の筋肉における筋力低下や活動量の低下が有意に抑制されることがわかりました。上記の通り、慶應義塾大学において行われましたALS患者様を対象としたロピニロール塩酸塩徐放錠内服投与による第Ⅰ/Ⅱa相試験について、ALSに対してロピニロール塩酸塩の一定の安全性、忍容性および有効性が確認されました。なお、この結果につきましては、論文(「Cell Stem Cell」(Morimoto et al., 2023, Cell Stem Cell 30, 766–780 June 1, 2023))により公表されております。当社におきましては、慶應義塾大学による医師主導治験での成果を踏まえて、2023年3月にアルフレッサ ファーマ株式会社と日本国内における開発権・製造販売権の実施許諾の契約を締結いたしました。本契約により、アルフレッサ ファーマ株式会社が、日本国内におけるロピニロール塩酸塩を活用したALS治療薬の開発・製造販売する権利に基づき、企業治験を進めてまいります。また、当社は本契約の対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストン収入、および販売に応じたロイヤリティ収入を受領いたします。今後におきましては、2020年代後半での上市に向けて、主に導出先であるアルフレッサ ファーマ株式会社が独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)等の各関係機関と協議を進めながら、第Ⅲ相試験(多数の患者様に対する安全性および有効性の検証を行う試験)の実施に向けた準備を推進してまいります。また、上記アルフレッサ ファーマ株式会社との提携と並行して、慶應義塾大学との共同研究において、ロピニロール塩酸塩が新規メカニズムに基づいてALS治療効果を示す新規薬剤であることを明確にする研究開発の取り組みを行っております。なお、同開発パイプラインにつきましては、北米、欧州、インド、中国への海外展開も視野に入れており、製薬会社等のパートナーとのライセンス契約締結に向けた事業開発を推進してまいります。次に、前頭側頭型認知症の開発パイプラインにおいては、化合物のスクリーニングを完了し、詳細な解析を実施しております。一定の作用メカニズムが確認できた段階で、PMDAに対する事前面談等を行い、その後の開発を実施してまいります。さらに、ハンチントン病の開発パイプラインにおいてもスクリーニングを実施しており、より高次の評価系を用いて化合物の選定を進めており、同開発パイプラインにおきましても最終化合物を選定し、一定の作用メカニズムが確認できた段階でPMDA事前面談を行う予定であります。その他、神経フェリチン症の開発パイプライン、那須・ハコラ病の開発パイプラインについても研究を進めており、引き続き、iPS創薬事業における各開発パイプラインの研究開発を推進してまいります。今後におきましても、iPS創薬の各開発パイプラインについて、研究開発の進捗に応じて、一定の段階でパートナーと共同研究契約またはライセンス契約を締結すべく取り組んでまいります。 再生医療事業における開発パイプラインにおきましては、亜急性期の脊髄損傷について、慶應義塾大学が「亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の臨床研究を以下の概要で実施しております。研究の開始2021年6月開始研究の目的細胞移植の安全性評価を主として、副次的に有効性についても評価主な患者選択基準亜急性期脊髄損傷の患者(第 3/4 頚椎~第 10 胸椎高位、受傷後 14~28 日)目標症例数4症例移植概要iPS細胞から神経のもとになる細胞である神経前駆細胞を作製して凍結保存したうえで、患者の脊髄損傷部位に対して約200万個の細胞を注射で移植する 慶應義塾大学では、2021年12月に本臨床研究において、世界で初めてiPS細胞から作製した神経前駆細胞を亜急性期の脊髄損傷の患者様に移植いたしました(慶應義塾大学 2022年1月 「亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の臨床研究について)。その後、第三者機関である独立データモニタリング委員会(*24)において、2022年3月に、本第1症例目の移植後3か月目までのデータをもとに治療開始後の安全性について評価を行い、第1症例目の患者様に対しての移植について安全性に問題はないという当委員会の判定により、本臨床研究における第2症例目以降の移植が継続されております。当社におきましては、今後の慶應義塾大学主体で実施しております本臨床研究の結果を受けて、同大学と連携して、当社主導による亜急性期の企業治験を円滑に進めるため、最適なiPS細胞の選定や分化誘導法の確立、脊髄損傷モデルマウスの評価、臨床に向けた大量培養方法の検討、臨床用iPS細胞の製品製造における委託先の選定、各種品質管理項目の検討等を推進すると共に、グローバルに再生医療等製品として販売を実施するために、製薬会社等のパートナーとの提携を進めてまいります。また、慢性期の脊髄損傷および慢性期脳梗塞等の開発パイプラインについても研究開発の進捗に応じて、企業治験に向けた準備を進めると共に、一定の段階でパートナーと共同研究契約またはライセンス契約を締結すべく取り組んでまいります。 (用語解説)番号用語内容*1筋萎縮性側索硬化症重篤な筋肉萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患であり、筋肉そのものの病気ではなく、運動ニューロンに障害が起きる*2アルツハイマー病脳内に異常な凝集体(アミロイド班)と線維のもつれ(神経原線維変化)が特徴として現れて、記憶障害、思考力障害、言語障害等の認知症症状が起きる*3脊髄損傷事故やケガなどにより脊椎に圧迫が加わることで、脊椎の中にある筒状の神経の束である脊髄が損傷を受けた状態*4脳梗塞脳内の血管が狭くなったり、血栓によって詰まることで、血液が流れなくなり、脳の神経細胞が壊死する状態*5亜急性期の脊髄損傷脊髄が損傷を受けてから、約4週間以内にある脊髄損傷*6慢性期の脊髄損傷脊髄が損傷を受けてから、一定の期間が経過した時期にある脊髄損傷*7iPS細胞人の皮膚や血液等の細胞に少数の因子を加え培養することで、人工的に作製される、様々な細胞に分化することができ、かつ、増殖することができる多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell) 番号用語内容*8バリューチェーン最適化された企業価値を生み出すための、原材料の調達から製造、流通、販売等の主活動とそれを支える支援活動の一体化した繋がり*9バイオマーカー特定の疾患の有無や病状の変化や治療の効果の指標となるもの*10神経幹細胞増殖・継代を繰り返すことができる自己複製機能と、中枢神経系を構成する細胞を作り出すことができる多分化機能を有する未分化な細胞*11分化誘導iPS細胞から様々な異なる細胞への分化を引き起こすこと*12表現型薬剤の候補となる化合物を細胞等に加えることで対象とする疾患に関連して起きる現象*13in vitro試験管や培養器の中で人や動物の細胞を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出するもの*14化合物ライブラリー特定の指標やターゲットとする疾患領域に基づいてデザインされた既に開発された化合物の集まり*15ヒット化合物化合物スクリーニングの結果、良好な反応が得られた化合物*16アンメットメディカルニーズ領域未だ有効な治療法が確立しておらず、患者からの要望が大きい疾患領域*17他家iPS細胞他人の細胞から樹立したiPS細胞*18神経前駆細胞未分化な状態を保ったまま増殖することが可能な自己複製能と、中枢神経系を構成するニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトの3系統の細胞へと分化することができる多分化能を併せ持つ細胞*19脊髄損傷モデルマウス人為的に脊髄損傷の状況を再現したマウス *20医師主導治験大学等で見出した薬の効果を確かめる場合に、医師が中心となり試験の計画、実施を行うこと*21二重盲検試験の被験者および実施者ともに、各被験者が実薬とプラセボのどちらの群に入っているか分からない状態とする方法*22プラセボ治療効果を持たない(有効成分を含まない)薬剤(でんぷんや糖など)*23孤発性病気が発症する際に、散発的で遺伝以外の環境要因等複数の要因が考えられること*24独立データモニタリング委員会臨床試験の評価に必要とされる専門性を有する委員から構成され、試験実施中の中間データについて中立的な評価を行う組織。研究グループからは独立した組織であり、研究グループに対し、研究参加者の安全性の確保ならびに臨床研究実施の倫理的および科学的妥当性の確保のために適切な助言・勧告を行う |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)1543.52.98,185 事業部門の名称従業員数(名)研究開発本部11経営管理本部3事業開発部1合計15 (注) 1.従業員数は就業人員数であり、休職者を含んでおりません。臨時雇用者数(パートタイマー)は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。2.当社は単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。3.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。 (2) 労働組合の状況労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する記載事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の方針当社は「医療イノベーションを実現し、医療分野での社会貢献を果たします」を経営理念として掲げており、「再生医療および創薬の研究開発を踏まえ、一刻も早く、患者様に有効な医薬品を提供すること」を経営方針として、神経疾患を主な対象領域として、iPS細胞を活用したiPS創薬事業と再生医療事業を展開しております。世界中でこれまでの医療では未だ有効な治療法のない病気に対して有効な治療法を見出すことに挑戦し続けることにより、社会の課題を解決して持続的な企業価値の向上を目指してまいります。 (2)会社の経営環境当社は、中枢神経疾患領域に対して、iPS細胞を活用したiPS創薬と脊髄損傷等の神経損傷部位に移植する再生医療等製品の開発を主たる事業としており、iPS創薬の市場規模は、Arthur D Littleが2021年に公表した疾患特異的iPS細胞バンク事業の利活用に関する最終報告書(注1)によると、世界の精神・神経系のiPS創薬貢献市場規模は、2040年に6.1兆円と予測されております。また、再生医療の市場規模は、経済産業省が2020年に公表した再生医療等製品市場規模(注2)によると、2050年には日本国内市場2.5兆円、世界市場38兆円と予測されております。このように当社の事業環境は成長基調にあり、長年の最先端の基礎研究で蓄積された成果を基盤としていること、豊富な経験や知識を有する研究人員体制、慶應義塾大学等との産学連携のネットワーク、iPS細胞から神経細胞に分化誘導する技術および最適な化合物スクリーニングを行う表現型の確立等の当社の強みを活かすことで、事業の成長が見込まれると考えております。 (注)1.Arthur D Little 2021年3月「令和2年度 疾患特異的iPS細胞バンク事業の利活用に関する調査 最終報告書」 https://www.amed.go.jp/content/000079225.pdf 2.経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 2020年3月2日「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた 基盤技術開発事業 複数課題プログラムの概要」https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R01/200302_regenerative_medicine_1st/regenerative_medicine_1st_05.pdf (3)会社の経営戦略当社は、2007年に京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製したヒトiPS細胞を活用して、病気の患者様の細胞から作製したiPS細胞を用いて分化誘導した神経細胞に対して既存の医薬品や化合物による表現型スクリーニングを行うことで有効な医薬品を見出すiPS創薬事業と、人体の損傷部分に直接細胞を移植することにより治療を行う再生医療事業をハイブリッドで展開することによって、事業リスクを分散すると共に、事業間の技術やノウハウ等の共有により各事業の活性化を図ってまいります。また、慶應義塾大学医学部で長年培った最先端の基礎研究の成果を直接的に事業活動に活用する「From Basic to Clinical」戦略と同時に、難治性の希少疾患の研究開発から患者様の数の多い一般的な病気の研究開発に結び付ける「From Rare to Common」戦略を推進してまいります。また、ビジネスモデルとしては、当事業年度末日現在におきましては、慶應義塾大学医学部等の大学機関や医療機関が保有する基礎研究の成果や特許等の知的財産権の独占的な実施許諾権等に基づいた開発パイプライン、または、当社自らが基礎研究を進めた成果に基づいた開発パイプラインについて、製薬会社等のパートナーと、基礎/探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発や将来の製造販売等の権利の一部または全部を譲渡するライセンス契約を締結するものでありますが、特に再生医療事業(国内)におきまして、中長期的には、自社で製造販売を行うための取り組みを推進してまいります。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、医薬品と再生医療等製品の研究開発を推進するバイオベンチャー企業であり、現時点においては、継続的に売上を計上する段階には至っておりません。従いまして、iPS創薬事業および再生医療事業の各開発パイプラインの研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標として事業活動を推進してまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、主に難治性の神経疾患に対して、iPS創薬事業と再生医療事業をハイブリッドで事業展開しており、一刻も早く患者様の元に有効な治療法を届けるために研究開発を推進しております。このような中、当社が優先的に対処すべき課題として認識している事項は、以下のとおりであります。 ①研究開発の推進iPS創薬事業におきましては、難治性の神経疾患の一つであるALSに対するロピニロール塩酸塩の第Ⅲ相試験(多数の患者様に対する安全性および有効性の検証を行う試験)を適切に実施することにより、患者様へ安全で有効な治療薬を届けることができるようにしてまいります。その他の開発パイプラインに関しても自社による独自の研究開発は勿論のこと、他の製薬会社等との共同研究開発や事業提携等も視野に入れ、研究開発の推進を行ってまいります。また、再生医療事業におきましては、亜急性期脊髄損傷の医師主導の臨床研究が行われており、当該研究の完了後に当社が企業治験を行う予定にしていることから、大量培養法の確立やGMP対応試薬への切替、製品規格の元となるデータの取得等、治験薬製造に向けた検討を進めると共に臨床用iPS細胞の製品製造における医薬品受託製造事業会社(CDMO)の選定も並行し、臨床用iPS細胞の選定後、遅滞なく製造に移行できるよう研究開発の推進を行ってまいります。 ②優秀な人財の確保当社が行っているiPS創薬事業、再生医療事業における研究開発は、最先端の基礎研究が基になっており、非常に高度な専門性が要求されております。さらに国内外の製薬会社やバイオ企業との開発競争の激化が予想される中で、より一層の研究開発の加速や他社との差別化が求められることから、採用活動の推進や適切な人事考課の実施等を行うことにより、優秀な人財の継続的な確保に努めてまいります。 ③法令遵守等の推進当社では、iPS創薬事業、再生医療事業という医薬品等の研究・開発・製造・販売を行うことを目的とした事業を行っておりますが、当社の属する業界は、監督官庁による規制、法令遵守および知的財産権の管理に関してグローバルな視点で対応することが重要となっております。このような状況を踏まえ、当社では、法令遵守や社会的責任を果たすために「内部統制の基本方針」を定めており、社内管理体制およびリスク・コンプライアンスの管理体制の強化を継続して行ってまいります。 ④多様な資金調達手段の確保創薬事業は、一般的に多額の研究開発費用と長い時間を要します。当社のように研究開発を担う企業は、研究開発資金を投資家の方々や製薬企業等の事業パートナーからの契約金等で資金を賄っていく必要があり、資金調達を確実に推進していく必要があります。そのため、当社は、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの資金調達、事業進捗によるマイルストン収入等による調達および金融機関からの借入による調達等を進め、必要な資金調達手段の多様化を図ってまいります。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりとなります。影響度や発生可能性が高いとはいえないものについても、投資判断または当社の事業活動を十分に理解するうえで、重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点から、リスク要因として挙げております。ただし、これらは、当社に関するリスクを全て網羅したものではありません。当社は医薬品等の研究・開発・製造・販売を事業目的としておりますが、一般に医薬品等の研究開発には、前臨床の研究から臨床研究、上市に至るまで、長い期間と多額の研究開発費用を要することが多く、また、全てのパイプラインが上市するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有するバイオベンチャー企業については、事業やパイプラインの研究開発の段階によっては、一般の投資家の投資対象としては相対的に投資リスクが高いと考えられており、当社株式への投資はこれに該当いたします。当社は、リスク・コンプライアンス委員会における検討および取締役会での議論により、これらのリスクの発生の可能性や影響度合い、頻度を十分に認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。 (1)医薬品等の研究開発に関するリスク①開発パイプラインの不確実性に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社では、iPS創薬事業、再生医療事業という医薬品等の研究・開発・製造・販売を行うことを目的とした事業を行っておりますが、これらは、一般的に多額の研究開発費用と長い年月を要し、臨床試験での患者様の募集の遅れや有用な効果を確認できないこと等により、研究開発が予定どおりに進行せず、研究開発期間の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、「(2)安全性および法的規制等に関するリスク」に記載のとおり、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受け、新たな医薬品等の製造および販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性および品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、または上市を断念する可能性があります。これは、当社の開発パイプラインでも同様となります。当社といたしましては、iPS創薬事業並びに再生医療事業において、複数の開発パイプラインを推進することで、適切な費用配分によるリスク分散を実施し、大学や研究機関等との連携の中で、新たな開発パイプラインなどの経営資源の獲得を継続的に行ってまいりますが、自社の研究開発した医薬品または再生医療等製品等の候補の上市が延期または中止された場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②技術革新に関するリスク(影響度:小、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)当社の行っているiPS創薬事業、再生医療事業の研究開発は最先端の基礎研究が基になっており、技術の革新および進歩が著しく速いバイオテクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、大学や研究機関等、並びに大手製薬会社等との連携による最先端の研究成果・情報を速やかに導入できる体制を構築すると共に、国内外から優秀な人財を確保することにより技術革新の継続的な推進を行ってまいります。しかしながら、急激な技術の革新・進歩等により、当社がそのスピードについていくことができなかった場合や、当社が行っている研究開発の内容に陳腐化が生じ、その対応に想定以上のコスト等を要するような場合には、当社の事業展開、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)安全性および法的規制等に関するリスク①副作用発現に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)当社がiPS創薬事業、再生医療事業の研究開発で取り扱っている医薬品および再生医療等製品には、臨床試験段階からさらには上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社といたしましては、将来的に患者様や医療関係者への迅速な情報提供が可能となるように情報提供体制および各関係医療機関とのネットワークを構築し、製造物責任を含めた各賠償責任に対応できるよう医薬品等の添付文書の記載、適切な保険への加入等を行ってまいりますが、予期せぬ副作用が発現した場合、当社に対する信頼に悪影響が生じ、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②ヒト由来の原材料の使用に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)当社が再生医療事業の研究開発で取り扱っている再生医療等製品は、ヒト由来の原材料であるヒト細胞・組織を利用したものであり、利用するヒト細胞・組織に起因する感染の危険性を完全に排除し得ないことなどから安全性に関するリスクが存在するとされています。当社といたしましては、前臨床および臨床研究の段階で安全性の基準に従った評価・確認を徹底し、外部の専門家との円滑な連携体制を構築することで、製造、流通、販売等の各サプライチェーンにおける安全性を確保してまいります。また、将来的に製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入してまいります。しかしながら、当社の再生医療等製品を患者様の体内に移植することにより、安全性に関するリスクが顕在化した場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③薬価規制に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社が取り扱いを予定している医薬品および再生医療等製品の価格は各国の医療行政における薬価規制の影響を受けており、世界的な医療費抑制の動向の中、薬価改定を含めた医療制度改革の施策が行われております。かかる動向を受けて、今後上市を目指す当社の医薬品および再生医療等製品の薬価が想定を下回る可能性があり、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④海外市場に関するリスク(影響度:小、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)当社は、事業拡大戦略の一環として、海外展開を目指しております。当社といたしましては、現地への進出にあたっては、金融機関や各種専門機関等との連携により、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行う予定でおりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに海外展開が進展しなかった場合には、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤医薬品に関する法令その他の規制に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社では、iPS創薬事業、再生医療事業という医薬品等の研究・開発・製造・販売を行うことを目的とした事業を行っており、一般的に研究、開発、製造および販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品等に関する法規制、薬事行政指導、医療保険制度並びにその他関係法令等により、様々な規制を受けております。また、基礎研究から製造・販売の承認を取得するまでに多大な開発コストと長い年月が必要となりますが、研究開発期間中に規制等の改定が生じ、計画時に見込んでいなかった事由により、規制当局から、追加的な試験を求められたり、承認の時期が遅れる等の事象が発生する場合があるだけでなく、医薬品等として規制当局が認めない場合には、上市自体が困難になる可能性があります。これらは、当社の医薬品等を他社へ導出する場合にも影響があり、当初計画した条件での導出が行えない、導出そのものが困難となる、導出に関する契約内容が変更になる、または導出契約が解消される可能性があります。さらに、医薬品等として承認を取得できたとしても、健康保険の対象として保険収載されない、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。当社といたしましては、日本および海外の医療行政や薬事規制の動向を各専門家から迅速に把握し、各開発パイプラインの進捗に応じて適切に規制当局等の行政機関との連携を推進してまいりますが、将来、各国の医薬品等に関する関連法令等の諸規制に大きな変化が生じたり、健康保険の対象として保険収載されない等の事象が生じた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)知的財産権に関するリスク①知的財産権に関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社は事業を進める中で特許権等の様々な知的財産権を使用することになり、この知的財産権には自社所有のものだけではなく、知的財産権の保有者から実施許諾を受けているものや受けようとしているものも含まれますが、当社が必要とする知的財産権について実施許諾を得られない場合や、当社が保有または実施許諾を受けている現在出願中の特許が成立しない場合があり、また、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた他社の研究開発により、当社の特許技術が淘汰される可能性は常に存在しております。また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、外部の知財事務所等の専門家と連携し、前臨床段階における特許侵害に関する予防調査等の事前確認含め、当社が必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で紛争が発生した事実はありません。しかしながら、当社のような研究開発型企業にとって特許技術の淘汰を含めた知的財産権の問題を完全に回避することは困難であり、当社が必要とする知的財産権の実施許諾を得られない場合、当社が使用できる権利のある特許権等の権利範囲に含まれない優れた技術が他社により開発される場合、または第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)事業内容に関するリスク①慶應義塾大学との関係に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)当社は、慶應義塾大学医学部生理学教室および同大学医学部整形外科学教室との共同研究で必要となる費用を負担している他、同大学が保有する特許権の一部について独占的実施許諾契約を締結しており、当該契約は特許権の独占的実施許諾を第三者に実施許諾する場合に、契約一時金およびかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(マイルストン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めたものであり、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。また、同大学の組成する慶應イノベーション・イニシアティブ2号投資事業有限責任組合は当社の株式を保有しております。同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社または株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守すると共に、当社として利益相反管理方針を定め、当該方針に則り適切に利益相反の運営管理を行い、研究開発や治験を進めております。また、同大学との取引決定に当たっては特別利害関係人への該当/非該当について顧問弁護士からの助言に基づき慎重に判断を行ったうえで取締役会での事前承認を得ることを原則とし、監査役監査においても、同大学との契約関係が適切な手続きを経て締結されていることを確認しております。また、同大学でも、利益相反マネジメント・ポリシーにおいて同大学における透明性のある産学連携を推進するための基本方針を定めると共に、利益相反マネジメント内規において各部門(各学部・大学院各研究科等)での利益相反マネジメントを行う体制を定めており、当社の取締役でもあり、同大学医学部生理学教室の教授を務めております岡野栄之、同教室の准教授を務めております福島弘明、および同大学医学部整形外科学教室の教授を務めております中村雅也につきましても適切に遵守しております。しかしながら、利益供与を疑われる等の事態が発生した場合は、当社の利益および社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②経営上の重要な取引に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)当社は、iPS創薬事業、再生医療事業という医薬品等の研究・開発・製造・販売を行うことを目的とした事業を推進しており、その研究開発や製造、流通、販売の各段階において、適切なバリューチェーンの確立を図ると共に必要な契約を締結しております。当該契約のうち、特に重要と考えられる取引に関する契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであり、現時点において、その相手先との間で、当該契約の遂行および継続に支障をきたすような事象は発生しておらず、かつ当該契約の締結にあたっては、条項に過不足がないよう顧問弁護士等の外部専門家から適切な助言を頂いております。また、当社といたしましては、今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向け、パートナー企業との円滑なコミュニケーションを通じ、広範な提携関係を構築してまいりますが、当社の計画どおりに提携関係が構築できない、提携関係に想定し得ない変化が生じる、提携の効果が当初の計画を下回る、提携関係が当社の意図に反して解消される等の事象が生じた場合、または当該契約の期間満了、相手先の経営状態の悪化や経営方針の変更による契約解除その他の理由による終了、もしくは当社にとって不利な契約内容の変更が行われた場合、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③収益計上に関する不確実性のリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社の収益モデルは、大手製薬企業等との共同開発および販売権のライセンスアウトによる収益化を基本としておりますが、このような収益モデルは、相手先企業の経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。また、当社の業績予想策定の過程で製品上市前に所定の成果達成に基づくマイルストン収入を見込む場合がありますが、この発生時期は開発の進捗に依存し、販売金額についても、当社の想定より異なる可能性のある不確実なものとなります。なお、再生医療事業では自社による製造販売を行う収益モデルの構築を推進してまいりますが、この収益計上に関しても開発の進捗状況に依存した不確実なものとなります。当社では、このような収益計上に関する不確実性を低減させるため、複数の開発パイプラインの収益化を推進していく方針になりますが、相手先企業の経営方針等や販売動向、開発の遅延、中止等により、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④業績および資金繰りに関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社では、iPS創薬事業、再生医療事業という医薬品等の研究・開発・製造・販売を行うことを目的とした事業を行っておりますが、一般的に多額の研究開発費用と長い時間を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。この傾向は、当社においても同様であり、当事業年度において営業利益を計上し、且つ営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなったものの、前事業年度以前の継続的な営業損失の計上、営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスおよび将来の収益獲得の不確実性を考慮いたしますと、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在していると認識しております。このような事象または状況を改善するために契約一時金、マイルストン収入の獲得および市場からの資金調達による十分な運転資金の確保ができていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。しかしながら、当社はまだ安定的な収益基盤や資金基盤が確立されているわけではないことから、売上高、当期純利益(又は純損失)は不安定に推移し、適切なタイミングおよび条件で資金調達できる保証はないことから、複数の開発パイプラインのライセンスアウトによる収益化を推進するとともに、直接金融および間接金融による幅広い資金調達手段の確保等の推進を図ってまいりますが、それらの収益化や資金確保について遅延や中止が生じた場合、当社の業績および財政状態に重大な影響を及ぼし、資金調達並びに研究開発の継続や事業の継続・拡大に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)その他のリスク①情報漏洩に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)当社は、研究開発に関連した技術、ノウハウ等や事業上の秘密情報を保持しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、情報セキュリティ関連規程を制定すると共に、情報の取り扱いに関する社員研修や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化を推進しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②社歴に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)当社が行っているiPS創薬事業、再生医療事業における研究開発は、最先端の基礎研究が基になり、非常に高度な専門性が要求されることから、専門分野における知識・経験を有する人財を採用することが非常に重要になっておりますが、当社は企業体としての経験がいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、必要な人財を確保できない場合には、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③小規模組織に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)当社は、医薬品等を取り扱う企業としては小規模な組織であるために、役員および従業員一人一人が担当する業務および責任の範囲は相対的に広範となっており、退職や休職等に対応する人員の補充が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、中長期的に医薬品業界を中心とした優秀な経験者の採用を推進することで必要な人員増加を図ると共に、社内外のセミナーや勉強会等への参加による社員教育やノウハウの共有により人財育成の強化を図ってまいりますが、必要な人財の採用が進まず、また、多くの人財流出等があった場合には、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④特定の人物への依存に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)当社は、慶應義塾大学医学部生理学教室の教授を務めております岡野栄之、同大学医学部整形外科学教室の教授を務めております中村雅也の研究成果の事業化を目的とし、医薬品および再生医療等製品の研究・開発・製造・販売を事業目的として設立した企業であり、当社の創業者兼取締役でもある岡野栄之、中村雅也の長年の基礎研究の成果を生かし、事業を推進してまいりました。また、現在の当社と同大学医学部生理学教室および整形外科学教室との共同研究においても両名が中心的な役割を担っていることから、当社の研究開発活動および事業の推進において両名への依存度は高いと考えられます。さらに、岡野栄之、中村雅也は、当社の大株主でもあり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置付けを有しております。当社といたしましては、国内外の優秀な人財の確保を行うことにより社内の研究開発体制の強化や開発パイプラインの拡充を推進してまいりますが、今後も岡野栄之、中村雅也の当社への関与が重要であると考えており、何らかの理由により岡野栄之または中村雅也の関与が困難となった場合等には、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤剰余金の分配に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)当社は、株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討することを目指しておりますが、当事業年度末日現在において利益剰余金はマイナスであり剰余金の分配を実行するためにはこれを解消する必要がございます。また、当面は、多額の先行投資を伴う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。なお、収益計上額の大幅な変動または収益計上の時期の変更等により、将来的な剰余金の分配が遅れる可能性があります。 ⑥増資等の資金調達に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)当社は中長期的な研究開発の中で多額の研究開発資金を必要としており、資金需要に応じて、市場において増資を含む資金調達を行うことにより、当社の発行済株式総数が増加することで、1株当たりの株式価値が希薄化し、当社株式の価値が低下する可能性があり、また、機動的な資金調達が困難となった場合、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦新株予約権に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)当社は、当社取締役、従業員および社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人財を確保する観点から、ストックオプション制度を採用しております。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、従業員および社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っております。当事業年度末日現在における当社の発行済株式総数は11,604,600株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は10.0%となっております。これら新株予約権の権利がすべて行使された場合は、新たに1,160,000株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人財の確保等のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があり、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ⑧感染症の流行に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)今般発生した新型コロナウィルス感染症のような感染症が流行することにより、当社の様々な事業活動が制約を受けた結果、当社の医薬品および再生医療等製品の研究開発と、その後の製造・物流・販売体制の構築に遅延が生じ、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ベンチャーキャピタル等による当社株式売却に関するリスク(影響度:中、発生可能性:大、発生可能性のある時期:中期)当事業年度末日現在における当社の発行済株式総数のうち、ベンチャーキャピタルおよびベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)が保有している当社株式の割合は29.0%であります。一般に、ベンチャーキャピタル等の出資目的は、株式公開後に当該株式を売却することによるキャピタルゲインの獲得であることから、今後においてベンチャーキャピタル等が所有している当社株式の売却が想定され、当該株式の売却によって、当社株式に関する市場の需給バランスが崩れることにより、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態の状況(資産)当事業年度末における流動資産は3,308,968千円となり、前事業年度末と比較して1,938,040千円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が新株発行等により1,929,560千円増加、前払費用も8,967千円増加したことによるものであります。固定資産は4,934千円となり、前事業年度末と比較して1,296千円増加いたしました。これは保証金が1,296千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は3,313,902千円となり、前事業年度末と比較して1,939,336千円増加いたしました。(負債)当事業年度末における流動負債は178,480千円となり、前事業年度末と比較して144,796千円増加いたしました。主な要因は、未払費用が8,569千円増加、未払金が7,271千円増加、未払法人税等が67,683千円増加およびその他が59,714千円増加したことによるものであります。固定負債は30,654千円であり、前事業年度末と比較して26,035千円増加いたしました。これは資産除去債務が26,035千円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は209,134千円となり、前事業年度末と比較して170,831千円増加いたしました。(純資産)当事業年度末における純資産合計は3,104,768千円となり、前事業年度末と比較して1,768,504千円増加いたしました。これは、当期純利益を260,330千円計上したことにより利益剰余金が260,330千円増加、新株発行により資本金および資本剰余金がそれぞれ754,087千円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は93.7%(前事業年度末は97.2%)となりました。 ② 経営成績の状況当事業年度における我が国経済は、長引くロシア・ウクライナ問題に加え、中東並びに中国・台湾においても地政学リスクが顕在化すると共に、エネルギー価格の高止まり、各国の金融引き締めに伴う景気の減速見通し、不安定な為替相場および中国経済の減速懸念等が重なり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社は慶應義塾大学医学部発ベンチャー企業として、iPS細胞を活用した創薬事業、iPS細胞を活用した再生医療事業の研究・開発とその収益化を推進し、2023年3月1日にアルフレッサ ファーマ株式会社との間で、日本市場を対象とした「ロピニロール塩酸塩を活用したALS治療薬の開発権・製造販売権許諾契約」を締結すると共に、ALS治療薬の海外市場やALSに関する開発パイプライン以外の開発パイプラインにおいても国内外の製薬会社等のパートナーとの提携に向けた事業開発活動を鋭意進めております。研究開発活動につきましては、iPS創薬事業では6つの開発パイプラインの研究を行っており、その内のALSに関する開発パイプラインでは、一刻も早く患者様に治療薬を届けるために、アルフレッサ ファーマ株式会社と共に検証的治験(第Ⅲ相試験)に向けて準備を進めております。なお、ロピニロール塩酸塩がALSの病態に有効であることをiPS細胞を用いる方法により見出されておりますが、これはiPS細胞創薬によって、既存薬以上の臨床的疾患進行抑制効果をもたらしうる薬剤の同定に世界で初めて成功した事例であり、iPS細胞等幹細胞を用いた研究に関する著明な国際科学雑誌である「Cell Stem Cell 誌(Cell Press)」に、2023年6月2日(日本時間)に掲載されております。また、難聴に関する開発パイプラインにおいては、学校法人北里研究所との共同研究を2023年6月に開始し、前頭側頭型認知症に関する開発パイプラインにおいては、最終的に絞り込んだ1化合物について必要なデータの取得にも目途がつき、2023年11月2日に特許出願を行う等の成果が出ており、iPS創薬事業のその他の開発パイプラインにおいても、ハンチントン病に関する開発パイプラインで最終的な化合物の絞り込みを完了する等、今後の治験に向けた取り組みを進めております。再生医療事業では5つの開発パイプラインの研究を行っておりますが、その内の亜急性期脊髄損傷に関する開発パイプラインでは、2023年2月に慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟に「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」を開室し、2021年6月に開始した慶應義塾大学による医師主導臨床研究の解析結果が判明した後、速やかに当社による企業治験を始められるよう当事業年度PCT出願済の移植用神経前駆細胞への新たな分化誘導法に基づく大量培養法の確立やGMP対応試薬への切替、製品規格の元となるデータの取得等、治験薬製造に向けた検討を進めると共に臨床用iPS細胞の製品製造における医薬品受託製造事業会社(CDMO)の選定も並行し、臨床用iPS細胞の選定後、遅滞なく製造に移行できるよう準備を進めております。亜急性期脊髄損傷以外の開発パイプラインに関しても、慢性期脊髄損傷に関する開発パイプラインにおいて、外部有識者とのアドバイザー契約を2023年6月に締結し、慢性期脳梗塞、慢性期脳出血および慢性期外傷性脳損傷に関する開発パイプラインにおいても独立行政法人国立病院機構大阪医療センターとの共同研究を2023年8月に開始しており、再生医療の実現に向け、研究および開発を進めております。この結果、当事業年度におきましては、売上高を1,000,000千円(前年同期は-千円)、売上総利益を910,000千円(前年同期は-千円)計上したものの、研究開発費を255,417千円(前年同期は163,971千円)計上した結果、営業利益は366,057千円(前年同期は353,772千円の営業損失)、経常利益は344,184千円(前年同期は359,233千円の経常損失)、当期純利益は260,330千円(前年同期は392,427千円の当期純損失)となりました。なお、当社は、医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金の増加454,425千円、投資活動による資金の減少11,099千円、財務活動による資金の増加1,486,235千円により前事業年度末と比較して、1,929,560千円増加し、3,266,408千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における営業活動による資金の増加は、454,425千円(前事業年度は363,482千円の減少)となりました。主な要因は、税引前当期純利益301,076千円、その他の流動負債の増加96,930千円および減損損失43,107千円の非資金費用による資金の増加要因があった為になります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における投資活動による資金の減少は、11,099千円(前事業年度は32,737千円千円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出9,803千円、敷金及び保証金の差入による支出1,296千円による資金の減少要因があった為になります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における財務活動による資金の増加は、1,486,235千円(前事業年度は1,544,285千円の増加)となりました。主な要因は、株式の発行による収入1,496,325千円による資金の増加要因があった為になります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a 生産実績当社は生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。 b 受注実績当社は受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。 c 販売実績販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。セグメントの名称金額(千円)前期比医薬品等の研究・開発・製造・販売事業1,000,000-合計1,000,000- (注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、前事業年度のアルフレッサ ファーマ株式会社に対する販売実績はありません。相手先前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)アルフレッサ ファーマ株式会社--1,000,000100.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。経営者は、これらの見積を行うにあたり、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高) 当事業年度の売上高は、1,000,000千円(前年同期は-千円)となりました。これは、開発権・製造販売権許諾契約を締結したことに伴い、契約一時金およびマイルストン収入を計上したことによるものであります。 (売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は、90,000千円(前年同期は-千円)となりました。これは、契約一時金およびマイルストン収入獲得に伴う特許権に対する再実施許諾金を計上したことによるものであります。この結果、売上総利益は910,000千円(前年同期は-千円)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当事業年度の販売費及び一般管理費は、543,942千円(前年同期は353,772千円)となりました。 主な要因は、研究開発強化による研究開発費255,417千円(前年同期は163,971千円)、東京証券取引所グロース市場上場に関連する支払手数料65,361千円(前年同期は41,104千円)および事業開発部門・管理部門増強を目的とした人員増加等による給料及び手当52,487千円(前年同期は23,874千円)の計上によるものであります。この結果、営業利益は、366,057千円(前年同期は353,772千円の営業損失)となりました。 (営業外収益、営業外費用及び経常利益) 当事業年度において、営業外収益は66千円、営業外費用は21,939千円発生しました。 営業外費用発生の主な要因は、公募増資等による株式発行に伴う株式交付費11,849千円、東京証券取引所グロース市場上場に伴う株式公開費用10,000千円が発生したことによるものです。 この結果、経常利益は、344,184千円(前年同期は359,233千円の経常損失)となりました。 (特別損失、当期純利益) 当事業年度において、減損損失による特別損失が43,107千円発生しました。また、法人税、住民税及び事業税を40,746千円計上した結果、当期純利益は260,330千円(前年同期は392,427千円の当期純損失)となりました。 なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社の資金需要の主なものは、研究開発費および事業運営費等であり、研究開発費には、継続的な候補物質の探索や候補物質の製品化に向けた開発費用、研究人員にかかる人件費、研究設備費用、共同研究費用並びに外部委託費用等が含まれます。当社は、これらの資金需要を手元資金で賄う方針としておりますが、必要に応じて株式市場からの資金獲得や補助金の獲得等を行うことにより、安定的な財源の確保を図ってまいります。また、手元資金に関しましては、流動性の高い現預金で保有することとし、流動性リスクを管理しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 (1) 技術導入相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容学校法人慶應義塾日本ロピニロール塩酸塩(用途特許)等実施許諾契約2017年4月28日2017年4月28日から5年間 ただし、期間満了の3ヶ月前までに一方の当事者から終結の申し出がない場合には、自動的に1年間延長され、その後も同様とするロピニロール塩酸塩のALSに対する用途特許等の再実施権付き独占的実施権の許諾。許諾の対価として、一時金および実施料を支払う。学校法人慶應義塾日本実施許諾契約2021年3月28日 本契約締結日から本発明に係る特許権が消滅する日まで脊髄損傷治療用ニューロスフェア誘導剤に係る発明(特許出願中)の再実施権付き独占的実施権の許諾。許諾の対価として、一時金および実施料を支払う。 (2) 研究機関との共同研究契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容学校法人慶應義塾医学部生理学教室日本共同研究契約2020年4月27日2020年4月1日から2024年3月31日まで1)ALSにおけるロピニロール塩酸塩の作用メカニズムの解明、2)神経難病におけるiPS創薬、3)iPS細胞を活用した再生医療に関する共同研究学校法人慶應義塾医学部整形外科学教室日本共同研究契約2022年7月27日2022年4月1日から2025年3月31日まで亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の治験に向けた共同研究学校法人北里研究所日本共同研究契約2023年6月30日2023年6月30日から2025年3月31日まで難聴疾患に対するiPS細胞由来聴覚系組織を用いた治療薬の臨床治験に向けた共同研究独立行政法人国立病院機構大阪医療センター日本共同研究契約2023年8月31日2023年8月31日から2026年3月31日まで慢性期脳梗塞、脳出血及び外傷性中枢神経損傷の再生医療の企業治験に向けた共同研究 (3) 技術導出相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容アルフレッサファーマ株式会社日本開発権・製造販売権許諾契約2023年3月1日契約締結日から製品の再審査期間満了日又は特許権の存続期間満了日のいずれか遅い日までロピニロール塩酸塩を活用したALS治療薬の日本における開発権・製造販売権の許諾契約。本契約の対価として、契約一時金や開発の進捗に応じたマイルストン収入、販売に応じたロイヤリティ収入を受領する。また、開発費用はアルフレッサ ファーマ株式会社が負担する。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社はiPS細胞を活用したiPS創薬事業および再生医療事業の研究開発を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は255,417千円となっております。なお、当社の事業は医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。なお、研究開発費の主な内容は、研究開発者の人件費、研究に必要な試薬等の購入費用および研究施設の賃借料であります。各事業に関する研究開発活動は以下のとおりであります。 (a)iPS創薬事業iPS創薬事業では6つの開発パイプラインの研究を行っており、その内のALSに関する開発パイプラインでは、一刻も早く患者様に治療薬を届けるために、日本における開発権・製造販売契約権許諾契約締結先であるアルフレッサ ファーマ株式会社と共に検証的治験(第Ⅲ相試験)に向けて準備を進めております。なお、ロピニロール塩酸塩がALSの病態に有効であることをiPS細胞を用いる方法により見出されておりますが、これはiPS細胞創薬によって、既存薬以上の臨床的疾患進行抑制効果をもたらしうる薬剤の同定に世界で初めて成功した事例であり、iPS細胞等幹細胞を用いた研究に関する著明な国際科学雑誌である「Cell Stem Cell 誌(Cell Press)」に、2023年6月2日(日本時間)に掲載されております。また、難聴に関する開発パイプラインにおいては、学校法人北里研究所との共同研究を2023年6月に開始し、前頭側頭型認知症に関する開発パイプラインにおいては、最終的に絞り込んだ1化合物について必要なデータの取得にも目途がつき、2023年11月2日に特許出願を行う等の成果が出ており、iPS創薬事業のその他の開発パイプラインにおいても、ハンチントン病に関する開発パイプラインで最終的な化合物の絞り込みを完了する等、今後の治験に向けた取り組みを進めております。 (b)再生医療事業再生医療事業では5つの開発パイプラインの研究を行っておりますが、その内の亜急性期脊髄損傷に関する開発パイプラインでは、2023年2月に慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟に「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」を開室し、2021年6月に開始した慶應義塾大学による医師主導臨床研究の解析結果が判明した後、速やかに当社による企業治験を始められるよう当事業年度PCT出願済の移植用神経前駆細胞への新たな分化誘導法に基づく大量培養法の確立やGMP対応試薬への切替、製品規格の元となるデータの取得等、治験薬製造に向けた検討を進めると共に臨床用iPS細胞の製品製造における医薬品受託製造事業会社(CDMO)の選定も並行し、臨床用iPS細胞の選定後、遅滞なく製造に移行できるよう準備を進めております。亜急性期脊髄損傷以外の開発パイプラインに関しても、慢性期脊髄損傷に関する開発パイプラインにおいて、外部有識者とのアドバイザー契約を2023年6月に締結し、慢性期脳梗塞、慢性期脳出血および慢性期外傷性脳損傷に関する開発パイプラインにおいても独立行政法人国立病院機構大阪医療センターとの共同研究を2023年8月に開始しており、再生医療の実現に向け、研究および開発を進めております。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当事業年度において実施した設備投資の総額は51,457千円(資産除去債務会計基準適用に係る原状回復見積額26,032千円を含む。)であり、慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟の「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」開設にともなう内装工事費用、研究に使用する工具、器具及び備品の購入の計上等によるものであります。なお、重要な設備の除却または売却はありません。また、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 2023年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物工具、器具及び備品合計本社(東京都港区)事務所---5ケイファーマラボ(神奈川県藤沢市)研究施設---10ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ(東京都新宿区)研究施設---- (注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。2.各事業所は賃借しており、年間賃借料は本社25,513千円、ケイファーマラボ15,609千円、ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ8,181千円であります。3.当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。4.2023年2月にケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボを開設いたしました。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等当事業年度において、新たに確定した重要な設備の新設等の計画はありません。 (2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 255,417,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 51,457,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 44 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 3 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,185,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 福島 弘明東京都千代田区2,436,00020.99 SBI Ventures Two株式会社東京都港区六本木一丁目6番1号1,726,50014.87 岡野 栄之東京都文京区1,282,00011.04 中村 雅也東京都大田区1,282,00011.04 大和日台バイオベンチャー2号投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内一丁目9番1号1,143,0009.84 テクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合東京都港区北青山二丁目5番1号715,0006.16 SBIベンチャー投資促進税制投資事業有限責任組合東京都港区六本木一丁目6番1号650,0005.60 かごしまバリューアップ投資事業有限責任組合鹿児島市山之口町1番10号641,0005.52 アルフレッサホールディングス株式会社東京都千代田区大手町一丁目1-3315,7002.72 KII2号投資事業有限責任組合東京都港区三田一丁目4番28号142,0001.22 計―10,333,20089.04 (注)1.前事業年度末現在主要株主であった 大和日台バイオベンチャー2号投資事業有限責任組合は、当事業年度末では主要株主ではなくなりました。2.発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を切り捨てて表示しております。 |
株主数-金融機関 | 2 |
株主数-金融商品取引業者 | 17 |
株主数-外国法人等-個人 | 2 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 11 |
株主数-個人その他 | 2,396 |
株主数-その他の法人 | 41 |
株主数-計 | 2,469 |
氏名又は名称、大株主の状況 | KII2号投資事業有限責任組合 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式A種優先株式 1,999B種優先株式 666C種優先株式 2,214-当期間における取得自己株式 - - (注)当社は、株主からの株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年6月1日付でA種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式のすべてを自己株式として取得し、対価として当該A種優先株主、B種優先株主およびC種優先株主にA種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式のすべてについて会社法第178条の規定に基づき、2023年6月9日開催の取締役会決議により同日付で消却しております。なお、当社は、2023年6月26日付で定款の変更を行い、A種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式に係る定めを廃止しております。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)5,00011,559,600-11,604,600A種優先株式(株)1,999-1,999-B種優先株式(株)666-666-C種優先株式(株)2,214-2,214-合計9,87911,559,6004,87911,604,600 (変動事由の概要) (注)1.株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年6月1日付でA種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式の全てを自己株式として取得し、対価として、当該A種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式1株につき普通株式1株を交付したことにより普通株式が4,879株増加しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式の全てについて、2023年6月9日開催の取締役会決議により消却しております。2.2023年8月6日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っております。この結果、普通株式が9,869,121株増加しております。 3.2023年10月17日付で東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う2023年10月16日を払込期日とする公募増資による新株の発行により、1,680,000株増加しております。4.2023年11月15日を払込期日とする第三者割当増資による新株の発行により、45,600株増加しております。 2 自己株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末A種優先株式(株)-1,9991,999-B種優先株式(株)-666666-C種優先株式(株)-2,2142,214-合計-4,8794,879- (変動事由の概要)A種優先株式、B種優先株式およびC種優先株式の自己株式数の増加 4,879株は、当該株式の取得請求権行使に伴うものであり、自己株式数の減少 4,879株は、当該取得した自己株式を消却したことによるものであります。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年3月28日株式会社ケイファーマ取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士阿部 博 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佐藤 太基 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ケイファーマの2023年1月1日から2023年12月31日までの第7期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ケイファーマの2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ケイファーマはiPS創薬及び再生医療に関連する医薬品の研究開発・販売の権利(ライセンス)に関し、製薬会社とライセンス契約の締結を行っている。財務諸表の「注記事項(収益認識関係)」に記載のとおり、当事業年度の売上高1,000,000千円のうち、ライセンス取引に係る売上高が全額を占めている。 ライセンス取引に係る売上高には、「注記事項(重要な会計方針)3.収益及び費用の計上基準」に記載のとおり、契約一時金売上、マイルストン収入の売上といった複数の形態の売上が組み込まれている。契約一時金売上は、顧客との契約条項に基づき、契約の締結時に収益を認識している。マイルストン収入の売上は、顧客との契約条項に基づき、事後の収益の重大な戻入が生じる可能性を考慮し、当事者間で合意したマイルストンが達成された時点で収益を認識している。ロイヤリティ収入の売上は、顧客との契約条項に基づき、顧客の基礎となる売上が発生し、その売上に基づくロイヤリティの金額が確定した時点で収益を認識することとしている。 ライセンス取引に係る売上高は、主に以下の理由から、不適切な会計期間に売上が計上されるリスクが存在する。・契約条項はライセンス付与先ごとに複雑かつ非定 型的であるため、会計処理には重要な判断を伴 う。・ライセンス取引の中には、1件あたりの契約金額 が多額となる契約が含まれており、会計処理の判 断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大き な影響を与える。以上から、当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を検証するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価ライセンス取引に係る売上高の計上プロセスに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・事業部門とは独立した経営管理本部の責任者が、契約一時金売上の計上及びマイルストン収入の売上の計上に関し、契約書等の関連証憑を基に契約内容を確認する統制・事業部門とは独立した経営管理本部の責任者が、マイルストン収入の売上の計上に関し、当事者間で合意したマイルストンが達成されたことをライセンス付与先からの報告等で確認する統制 (2) 実証手続会社の取締役会資料の閲覧や担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。・ライセンス取引に係る売上高について、契約書に定められた収益の形態との合致を確認するとともに、売上計上日及び売上計上金額を契約書や報告等の資料に記載の日付及び金額と照合した。・当該売上高に係る対価について、契約書で定められた金額及び入金証憑との突合を行った。・期末後に当該売上高の取消し処理が必要な事実がないことを確認した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ケイファーマの2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、株式会社ケイファーマが2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ケイファーマはiPS創薬及び再生医療に関連する医薬品の研究開発・販売の権利(ライセンス)に関し、製薬会社とライセンス契約の締結を行っている。財務諸表の「注記事項(収益認識関係)」に記載のとおり、当事業年度の売上高1,000,000千円のうち、ライセンス取引に係る売上高が全額を占めている。 ライセンス取引に係る売上高には、「注記事項(重要な会計方針)3.収益及び費用の計上基準」に記載のとおり、契約一時金売上、マイルストン収入の売上といった複数の形態の売上が組み込まれている。契約一時金売上は、顧客との契約条項に基づき、契約の締結時に収益を認識している。マイルストン収入の売上は、顧客との契約条項に基づき、事後の収益の重大な戻入が生じる可能性を考慮し、当事者間で合意したマイルストンが達成された時点で収益を認識している。ロイヤリティ収入の売上は、顧客との契約条項に基づき、顧客の基礎となる売上が発生し、その売上に基づくロイヤリティの金額が確定した時点で収益を認識することとしている。 ライセンス取引に係る売上高は、主に以下の理由から、不適切な会計期間に売上が計上されるリスクが存在する。・契約条項はライセンス付与先ごとに複雑かつ非定 型的であるため、会計処理には重要な判断を伴 う。・ライセンス取引の中には、1件あたりの契約金額 が多額となる契約が含まれており、会計処理の判 断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大き な影響を与える。以上から、当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を検証するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価ライセンス取引に係る売上高の計上プロセスに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・事業部門とは独立した経営管理本部の責任者が、契約一時金売上の計上及びマイルストン収入の売上の計上に関し、契約書等の関連証憑を基に契約内容を確認する統制・事業部門とは独立した経営管理本部の責任者が、マイルストン収入の売上の計上に関し、当事者間で合意したマイルストンが達成されたことをライセンス付与先からの報告等で確認する統制 (2) 実証手続会社の取締役会資料の閲覧や担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。・ライセンス取引に係る売上高について、契約書に定められた収益の形態との合致を確認するとともに、売上計上日及び売上計上金額を契約書や報告等の資料に記載の日付及び金額と照合した。・当該売上高に係る対価について、契約書で定められた金額及び入金証憑との突合を行った。・期末後に当該売上高の取消し処理が必要な事実がないことを確認した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
原材料及び貯蔵品 | 10,794,000 |
投資その他の資産 | 4,934,000 |
BS負債、資本
未払金 | 7,271,000 |
未払法人税等 | 69,583,000 |
未払費用 | 30,116,000 |
資本剰余金 | 3,003,337,000 |
利益剰余金 | -752,656,000 |
負債純資産 | 3,313,902,000 |
PL
売上原価 | 90,000,000 |
販売費及び一般管理費 | 543,942,000 |
受取利息、営業外収益 | 16,000 |
営業外収益 | 66,000 |
その他、流動資産 | 391,000 |
営業外費用 | 21,939,000 |
特別損失 | 43,107,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 40,746,000 |
法人税等 | 40,746,000 |
PL2
当期変動額合計 | 1,768,504,000 |
FS_ALL
現金及び現金同等物の残高 | 3,266,408,000 |
役員報酬、販売費及び一般管理費 | 69,200,000 |
賃借料、販売費及び一般管理費 | 25,513,000 |
現金及び現金同等物の増減額 | 1,929,560,000 |
株主資本 | 3,104,768,000 |
研究開発費、販売費及び一般管理費 | 255,417,000 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー | -16,000 |
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー | -598,000 |
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,750,000 |
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー | 92,000 |
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー | 456,310,000 |
利息及び配当金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は投資活動によるキャッシュ・フロー | 16,000 |
法人税等の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー | -1,901,000 |
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出、投資活動によるキャッシュ・フロー | -9,803,000 |
概要や注記
連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 | 当社は、財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。具体的には会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等について適切に対応することができる体制を整備するため、各種セミナーに参加する等積極的な専門知識の蓄積並びに情報収集活動に努めております。 |
有形固定資産の減価償却累計額の注記 | 1 有形固定資産の減価償却累計額 前事業年度(2022年12月31日)当事業年度(2023年12月31日)建物7,534千円50,267千円工具、器具及び備品77,049〃85,774〃建設仮勘定8,350〃-〃 なお、減価償却累計額には減損損失累計額を含んでおります。 |
主要な販売費及び一般管理費 | ※1 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額並びにおおよその割合は、次のとおりであります。 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)研究開発費163,971千円255,417千円役員報酬50,386〃69,200〃給料及び手当23,874〃52,487〃支払手数料41,104〃65,361〃賃借料18,162〃25,513〃租税公課20,419〃29,071〃 おおよその割合 販売費-%4.3%一般管理費100.0%95.7% |
新株予約権等に関する注記 | 3 新株予約権等に関する事項内訳目的となる株式の種類目的となる株式の数(株)当事業年度末残高(千円)当事業年度期首増加減少当事業年度末ストック・オプションとしての新株予約権(第1回)(2022年8月22日決議)------ ストック・オプションとしての新株予約権(第2回)(2022年8月22日決議)------ ストック・オプションとしての新株予約権(第3回)(2022年12月26日決議)------ 合計----- |
配当に関する注記 | 4 配当に関する事項該当事項はありません。 |
現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係 | ※1 現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係は、次のとおりであります。 前事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)現金及び預金1,336,847千円3,266,408千円現金及び現金同等物1,336,847千円3,266,408千円 |
製品及びサービスごとの情報 | 1 製品及びサービスごとの情報外部顧客への売上高は、単一の製品・サービスによるものであるため、記載を省略しております。 |
売上高、地域ごとの情報 | (1) 売上高本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。 |