財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-26
英訳名、表紙SpiderPlus & Co.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長 伊藤 謙自
本店の所在の場所、表紙東京都港区虎ノ門二丁目2番1号
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-6709-2834
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
当社の沿革は、創業者である伊藤謙自(現当社代表取締役社長)が、1997年9月に埼玉県戸田市において、個人事業として熱絶縁工事を営む、伊藤工業を創業したことに始まります。創業以降の経緯は次のとおりであります。 年月概要1997年9月埼玉県戸田市にて個人事業として伊藤工業創業2000年2月伊藤工業を資本金3,000千円にて、有限会社ケイ・ファクトリー設立2001年4月建設業許可取得2001年10月資本金10,000千円にて、株式会社ケイ・ファクトリーへ組織変更2002年2月アーマセル社(香港)製品の日本認定工事店に登録「アーマフレックス」を使用した熱絶縁工事の施工開始2010年9月創業者伊藤謙自が、IT事業を立ち上げるにあたって、東京都豊島区に資本金3,000千円にて株式会社ヴェイシスを設立積算システム「SPIDER」を開発・販売2011年9月建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」をリリース2012年6月株式会社ケイ・ファクトリーが株式会社ヴェイシスを吸収合併 株式会社レゴリスへ商号変更2014年11月「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)のISO27001認証」を取得2017年5月本社を東京都豊島区に移転2017年6月大阪府大阪市北区に大阪営業所を開設2020年11月株式会社レゴリスをスパイダープラス株式会社へ商号変更2021年3月東京証券取引所マザーズに株式を上場2021年7月建設関連の教育機関にSPIDERPLUSアカデミックプランを提供開始2022年1月エンジニアリング事業をArmacell Japan株式会社に事業譲渡2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所マザーズからグロース市場へ移行北海道札幌市北区に札幌営業所を、福岡県福岡市博多区に福岡営業所を開設2022年5月本社を東京都港区に移転2022年8月リニューアル版SPIDERPLUS「ベーシック版」をリリース2023年2月愛知県名古屋市中村区に名古屋営業所を開設2023年7月新たなDX領域として「プラント業界」への展開を本格化2023年12月現場のペーパーレス化を進める新サービス「S+Report」のリリース宮城県仙台市青葉区に仙台営業所を開設(2024年1月から営業開始)
事業の内容 3 【事業の内容】
(1) ミッション当社は、「私たちは、“働く”にもっと「楽しい」を創造する。」をミッションとし、お客様の課題を解決していく喜びや楽しさを通じて仕事にもっと夢中になれる世の中を作り続けていくことを目標にしています。私たちは、“働く”を心底楽しいと思えることが最も生産性を向上させると信じています。
(2) 事業概要当社は、熱絶縁工事事業にて創業し、自社の生産性改善に真摯に向き合った結果、ITを活用する必要性を感じ、自社のみならず建設業界全体の生産性改善に貢献すべく2010年にICT事業(ICT:Information and Communication Technologyの略称で、情報通信技術を表します。)を開始いたしました。ICT事業では、建設現場の現場業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって生産性向上に寄与する建設DXサービス「SPIDERPLUS」を開発・販売しております。「SPIDERPLUS」は、タブレットやスマートフォンで施工図面のペーパーレス化や、検査業務のデジタライゼーションにより業務効率化を実現するサービスです。ビルやマンションなど大規模な建設現場で施工管理を行う、総合建設業及び電気・空調設備業の現場監督が主な利用者です。建設業界は、一般財団法人建設経済研究所「建設投資の中長期予測(2035年度までの見通し)」によると、都市部の再開発や老朽インフラの修繕等により、建設投資額が2021年の62.7兆円から2035年には71.3兆円まで拡大すると考えられる一方で、高齢化・若手入職者の減少などを背景に働き手は減少の一途を辿っています。また、2024年4月には、建設業界への適用開始が5年間猶予されていた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下、「働き方改革関連法案」といいます。)」が適用開始となり、建設業界においても残業時間の罰則付き上限規制が設けられます。これらを背景として、建設業界各社のDXニーズは高まっており、その中で、当社の「SPIDERPLUS」は、建設現場の生産性向上に資するサービスとして、2023年12月末時点では大手企業を中心として1,800社以上、約69,000人のユーザーに利用されております。 ICT事業の各指標は、上記のような建設業界の環境下で、以下のとおり順調に推移しております。 項目2019年12月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月 ID数(ID)29,04138,56048,78758,69068,508 契約社数(社)4737931,2041,5241,841 MRR(千円)
(注)196,855139,434181,688229,331293,338 ARR(千円)
(注)21,162,2651,673,2122,180,2642,751,9753,520,055  「SPIDERPLUS」は、1ID毎に月額利用料をお支払いいただくサブスクリプションモデルとなっており、利用開始後は継続的な売上高となります。当社は、建設業界でのDXサービス浸透にはフォローアップ体制の充実が特に重要であると考えております。そのため、営業が直接建設現場に赴いて現場説明会を実施、更に建設現場のニーズをヒアリングし、開発チームと連携して「SPIDERPLUS」の機能に反映するとともに、カスタマーサポートが顧客の困りごとをメール並びに電話で対応するなど、フォローアップ体制を強化しております。その結果として、導入初期及び日々の問合せ対応について顧客満足度が高く、契約社数に対する2023年12月期の月次平均解約率(注3)は0.6%と低い水準となっております。
(注) 1.MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。月末時点における顧客との契約において定められたID単位で毎月課金される月額利用料の合計額(一時収益は含まない)。2.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各年12月のMRRを12倍して算出。3.月次平均解約率:「(n月の解約社数)÷(n-1月末時点の契約社数)」により算出した月次解約率の年平均。 (3) 「SPIDERPLUS」の特徴、選ばれる理由 当社が提供する建設DXサービス「SPIDERPLUS」は、2011年9月にリリースしてから10年超にわたって建設業界大手顧客と共に様々な機能を開発し、建築工事や設備工事における様々なDXニーズに対応できる機能群を有していることが特徴です。当社が顧客に行った導入効果に関する調査によれば、「SPIDERPLUS」を活用することで1日2.5時間の業務効率化に繋がるという結果が表れています。  また、当社が建設事業に従事してきた経験から「建設現場に対してDXサービスを使っていただくためには、サポート体制が重要である。」と考え、「SPIDERPLUS」と同様に10年超にわたってサポート体制も強化してまいりました。そして今では、様々なDXニーズに応えることができる機能群の他、充実したサポート体制もSPIDERPLUSが導入される理由の一つとなっております。 (4)「SPIDERPLUS」の機能紹介① 基本機能 SPIDERPLUSには、現場監督の施工管理業務において基本となる業務を効率化するための下記のような機能が「基本機能」として備わっています。 a. 図面管理機能建設現場では、設計図や業種別の施工図など、多くの図面が存在します。また、工事の進捗や設計の変更によって図面の更新が頻繁に発生します。 施工は最新の図面をもとに工事を進めなければならないため、現場監督の業務として図面の管理は重要になります。「SPIDERPLUS」の図面管理機能を使うことで、常に最新図面をもとに工事を進めることが可能となり、図面の取り違いによる施工ミスなどが防止できます。 b. 写真管理機能 建設現場では、工事に不備がないことの証拠として現場写真を撮影します。現場によっては数百枚、数千枚の写真を撮影することもあります。  また、現場で写真を撮影したのち、撮影した写真の整理や報告書に写真の添付などを行います。施工中の工事写真は画像が似通っているため、写真整理の段階になって、「この写真は図面のどこに該当するのか」と撮影場所を失念してしまうことも多くあります。「SPIDERPLUS」の写真管理機能を使うことで、タブレットで工事写真を撮影すると同時に図面情報と紐づけることができます。これにより、多くの時間を要していた工事写真の管理業務を効率化することができます。 c. 資料閲覧機能  現場監督は、図面や業務マニュアルなど、様々な書類を携行しなければなりませんでした。「SPIDERPLUS」の資料閲覧機能を活用することで、現場に携行しなければならない書類がタブレットに集約され、携行品を減らすことが可能となります。 d. 帳票作成機能  現場監督は、自社や元請け企業(または施主)に対する報告書や協力会社に対する作業指示書など、工事の進捗に応じて多くの報告書を作成します。また、事務所仕事である報告書の作成は現場が閉所してから行うことが一般的であるため、業務負担も相まって現場監督の長時間労働を誘発しておりました。「SPIDERPLUS」の帳票作成機能を活用することで、現場にいながら報告書を作成することが可能になり、またクラウドを通じてそのまま報告書の提出が可能となります。 ② 検査機能 SPIDERPLUSは、上述の施工管理における基本業務に対応する機能群の他、建築工事や電気設備工事など、業種に応じた検査機能を豊富に有しております。検査機能を活用することにより、これまで複数人で実施していた検査の省人化や、検査モレや記録の誤記入など検査時に発生するヒューマンエラーを解消することが可能になります。  検査機能の中で、業種問わず活用可能な「指摘管理機能」を下記にて説明いたします。 「指摘管理機能」とは、工事の是正指示など現場監督が協力会社に対して行う品質管理業務を効率化する検査機能です。本機能を活用することで、数社、数十社の協力会社ごとに作成していた指示書の作成を効率化し、また指示した是正工事の進捗管理や完了報告のとりまとめが効率化されます。 また、指摘管理機能の他、風量測定器、絶縁抵抗器など各種検査機器との連携機能や、建設現場で現場監督と協力会社との情報共有が「SPIDERPLUS」で完結する追加機能S+Partner機能など、豊富なラインナップを備えております。 (5)今後の「SPIDERPLUS」及びその他サービス開発の展望「SPIDERPLUS」は現在、建築工事、設備工事における様々なDXニーズに対応しておりますが、今後も建設業界のDXニーズは多様化、高度化していくと当社は考えております。そのため、今後も「SPIDERPLUS」の機能開発を進めるだけでなく、より多くの業務効率化ニーズに対応するサービス開発を行ってまいります。 取り組み事例①:「SPIDERPLUS」のリニューアル開発 当社は現在「SPIDERPLUS」のリニューアル開発を行っております。現在提供している「SPIDERPLUS」は、紙図面のペーパーレス化から始まり建設業界のIT化の進展に応じて、様々な機能を実装してまいりました。  一方で、現在提供している「SPIDERPLUS」は10年以上改修を続けてきたことからそのシステムが複雑化し、機能開発や機能改善に多くの開発工数を要しておりました。建設業界の多岐にわたる開発要望の早期実現と、今後も拡大するDXニーズに対応可能なプロダクトへと進化すべく、リニューアル版「SPIDERPLUS」の開発に着手し、開発を進めております。  リニューアル版「SPIDERPLUS」は、現行版「SPIDERPLUS」をご利用中のお客様には更なる利便性の向上を、未導入のお客様には導入に値する価値を提供できるものと考えております。順次現行版に実装している機能をリニューアル版向けに開発し、長期的には現行版をリニューアル版に切り替えてまいります。リニューアル版「SPIDERPLUS」は、現行版「SPIDERPLUS」に寄せられている約600件の開発要望に対して1,500超の機能実装を予定しております。 取り組み事例②:「SPIDERPLUS BPO」の展開 当社が提供する「SPIDERPLUS」はデジタル活用によって施工管理業務を効率化しておりますが、現場監督の業務ではデジタル活用ができないものの生産性改善の余地がある業務が多く存在します。  そこで当社は、デジタル活用ができないものの効率化の余地が残る業務を代行する「SPIDERPLUS BPO」をサービスとして提供しております。  「SPIDERPLUS」と「SPIDERPLUS BPO」を活用することによって、施工管理業務の効率化と外部化が可能となり、デジタル活用だけにとどまらない業務効率化が可能となります。 (6) 事業系統図  当社事業を、事業系統図によって示すと次のとおりであります。
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
該当事項はありません。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)176(67)34.32.755,609  セグメントの名称従業員数(名)ICT事業176(67)合計176(67)
(注) 1.当社は、「ICT事業」の単一セグメントであります。2.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(2) 労働組合の状況労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社は、「私たちは、“働く”にもっと「楽しい」を創造する。」をミッションに、建設業の現場業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)することで、建設業界の課題解決に貢献する施工管理SaaS
(注)「SPIDERPLUS」の開発・販売を主力とするICT事業を展開しております。
(注)SaaS:Software as a Serviceの略称。IDを発行されたユーザー側のコンピュータにソフトウエアをインスト ールするのではなく、ネットワーク経由でソフトウエアを閲覧する形態のサービス。
(2) 中長期的な経営戦略当社を取り巻く経営環境は、「働き方改革関連法案」の時間外労働に関する上限規制の建設業への適用が2024年4月に迫っており、生産性向上への関心とそれに対応するサービスへの需要は引き続き旺盛に推移しております。また、建設業は高齢化と就業者数減少の傾向にあり、建設現場では深刻な人手不足が続いております。そのような環境において当社は、中期経営計画に基づき、以下のとおり基本方針を掲げ、更なる企業価値の向上を目指します。ICT事業は、国内外問わず建設業界の課題解決を担うために、営業組織の強化や販売ネットワークの拡大を図ることなどによって重点顧客の開拓と浸透の早期化を実現し、また、建設業界の施工管理に関するノウハウをプロダクトに取り込んだ充実した機能の開発を更に進めていくこと、アライアンス及びM&Aを積極的に活用し非連続的な成長を生み出すこで、建築分野や土木分野のあらゆる建設現場で使用できるプラットフォームとなるシステムを構築し、業務をより一層効率化できるサービスを開発します。また、ビル管理や製造工場、プラントなど建設現場以外でも利用できる機能開発を継続していきます。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、「SPIDERPLUS」をサブスクリプションモデルで提供しているため、毎月経常的に得られる「SPIDERPLUS」の月額利用料の積み上がり状況の指標である、ARRの拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断する上で、MRR、ID数、導入社数を重要な指標としております。MRRは、毎月経常的に得られる「SPIDERPLUS」の月額利用料の合計額であり、経営上の目標の達成状況を把握するものです。MRRを高めていくためには、ID数及び導入社数の増加、ARPU(1契約ID当たりの契約単価)及びARPA(1契約企業当たりの契約単価)を上昇させていくこと、解約率を低水準で維持することが重要であると考えております。 (4) 経営環境及び対処すべき課題建設業界は、人手不足と働き方改革という喫緊の課題を抱えております。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2023年の建設業の年間労働時間は1,972時間と調査対象全産業の年間労働時間1,636時間に比べ高い水準にあり、年間出勤日数は241日と調査対象全産業の211日に比べ多くなっております。また、建設業界における人手不足と高齢化の影響により、厚生労働省の雇用政策研究会が2019年7月にまとめた産業別就業者数によると、鉱業・建設業の就業者数は2017年の493万人から2040年には約280万人まで減少すると推計されております。これらを背景として、DXによる業務効率化を推進する企業が増加しており、建設業界のIT投資への意欲は引き続き旺盛に推移しております。このような経営環境において、当社が対処すべき主な課題は、以下のとおりです。 ① 優秀な人材の確保と育成当社は、更なる事業拡大と建設業界への先進技術の提供を実現していく上で、優秀な人材を継続的に雇用し、定着させることが重要であると認識しております。人的基盤を強化するために、採用体制の強化、教育・育成、研修制度及び人事評価制度の充実等の施策を進めてまいります。 ② 技術力、製品力の向上当社プロダクトにおいては、建設業界のIT化が進む中で事業機会を確実に成長につなげるためには、技術面、サービス面において一層の差別化が要求されます。技術の最新動向をキャッチアップし、効果的に反映することで技術的優位性の強化を実現してまいります。新機能や新プロダクト及び新サービスの開発にも着手し、商品企画・開発体制の強化に努めてまいります。 ③ 営業力の強化 当社は、販売取次店等の販売パートナー企業との取引関係の強化によるリード(見込み客)獲得の強化を図ってまいります。また、建設DXに特化したセールス部門を国内外において構築・強化するとともに、セールス部門とカスタマーサクセス及びサポート部門との連携により、顧客ニーズを現場から吸い上げる体制をより強固にし、効率的かつ高品質なサービスを提供し、業界シェアを獲得してまいります。 ④ 内部管理体制の強化 当社は、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせ、バックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。 ⑤ 認知度の向上、ブランドの確立 当社が市場での存在感を高めていくためには、一層の認知度や信頼感の向上が必要となってまいります。顧客からの信頼が得られるよう、サービスの品質向上、既存顧客の満足度の向上、展示会への出展、パブリシティ強化を通じ当社ブランドの確立及び普及に努めてまいります。 ⑥ 知的財産権の保護 当社が建設DXにおいて培ってきた知的財産権は、当社の競争優位の源泉であると認識しております。また、「コーポレートガバナンス・コード」にも知的財産権の重要性が明記されるなど、その重要性は近年高まりを見せております。そのため当社は、知的財産権の保護を重要度の高い経営事項と認識し、執行役員に知的財産権に関する責任者を配置した知的財産管理体制のもと、知財戦略を策定する等、知的財産権の保護に対する取り組みを強化しております。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクとは言えない内容についても、投資家の判断において重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な開示の観点から開示いたします。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に務める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるリスクを網羅するものではありません。 (1) 事業環境に関する事項① 建設業界の動向について当社は、建設業に特化したソリューションを提供する「SPIDERPLUS」を主力製品としておりますが、当社事業の発展のためには、建設市場の拡大が重要であると考えております。しかしながら、建設市場の収縮傾向が急激、長期的に発生した場合には、業況悪化や倒産等の発生懸念先が出現する可能性が高く、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、与信管理を徹底するとともに、市場シェア拡大による特定顧客に依存しない顧客基盤づくりに努めることでリスクの低減を図ってまいります。 ② 特定のサービス「SPIDERPLUS」への依存について当社の事業はICT事業の単一セグメントであり、売上高の大部分を「SPIDERPLUS」が占めております。「SPIDERPLUS」は、直ちに契約が解約される性質のサービスでなく、現場説明会の実施や、カスタマーサポート及びカスタマーサクセス体制の強化によって顧客満足度を高める施策を実施しているため、安定的な収益を見込んでおりますが、当該サービスに何らかの深刻な問題が生じた場合や、競合企業や新規参入企業との競争激化等が生じた場合、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 競争環境について当社は、顧客のニーズに合ったシステム・アプリケーションを開発し、建設業に特化したSaaSソリューションを提供しております。第三者が新たに建設業界の業務ノウハウに精通した技術者、営業担当者を集め、当社と同様の事業モデルを構築するには時間的、資金的な障壁があるものと考えておりますが、資金力やブランド力を有する有力な競合企業が、そのリソースを現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組み、当社の想定している以上に競争が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、引き続き顧客のニーズを汲んだ製品やサービスの開発及び提供を進めるとともに、積極的なマーケティング活動と営業力強化による「SPIDERPLUS」の導入社数及び利用者数の増加と、カスタマーサポート及びカスタマーサクセス体制の強化による高い顧客満足度を実現することにより、競争力を高めていく方針であります。また当社は、知財戦略を重要度の高い経営事項と認識し、当社の競争優位を更に高めています。 ④ 技術革新への対応について当社の主力製品である「SPIDERPLUS」は、顧客ニーズに対応したサービスの拡充、開発を適時かつ継続的に行うことが重要です。とりわけ、クラウドサービスを取り巻く技術革新のスピードは大変速く、先端的なニーズに合致するサービスを提供し続けるためには、常に先進的な技術ノウハウを獲得し、当社の開発プロセス・組織に取り入れていく必要があります。そのため当社は、エンジニアの採用や教育、創造的な職場環境や開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見やノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、又は競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、当社の競争力が低下し、当社の技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして業界での地位の低下を招き、また、対応のための支出の増大により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ システムリスクについて当社は、PC、スマートフォン、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社の事業及び業績は影響を受けます。当社のサービスは、外部クラウドサーバーを活用し提供しており、外部クラウドサーバーの安定的な稼働が当社の事業運営上重要な事項となっております。そのため当社では、外部クラウドサーバーが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、当社の役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生により外部クラウドサーバーが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又は外部クラウドサーバーとの契約が解除される等により既存のクラウドサーバーの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社の追加費用負担、又は当社のブランドの毀損などにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ システムリニューアルについて当社のサービスは、販売開始から10年以上稼働しており、改修を重ねたことでシステムが複雑化しています。その結果必要以上にシステム改修や障害対応、社員のオンボーディングに時間を要していたことから、システムリニューアルに着手してまいりました。今後機能を拡充していくとともに、順次リニューアル版への移行を進めてまいります。これにより、改修や障害対応への高速化を予定しております。システムリニューアルにかかる障害や、不具合の発生リスクに対しては、十分なテストを行ったうえでのリリースだけでなく、部門横断的なプロジェクトチームにより多方面からの検討を行って備えております。またリリース後、何らかの理由で大きな障害が発生し、すぐに復旧ができない際には、改めて既存のシステムでの利用ができる体制となっております。しかしながら、想定しえない理由により、システムリニューアルの障害や不具合が発生しリニューアル版への移行が遅れた場合、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ Apple Inc.の動向について「SPIDERPLUS」アプリは、Apple Inc.が提供するアプリマーケット上においてのみ提供しております。当社顧客が「SPIDERPLUS」サービスをiPadデバイス上で利用する場合、当該iOSアプリが必要です。Apple Inc.によるiOSの利用規約変更などプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換、又はデバイスの陳腐化、競合デバイスのシェア拡大等によってiOS自体の競争力が低下した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、iOSデバイスの市場シェアは一定期間持続するものと想定しておりますが、上記リスクが顕在化した場合に備え、Androidデバイス対応も含めた取組みを進めております。 ⑧ 自然災害等について大地震や台風等の自然災害や事故などにより、当社の事業活動に必要な設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたし、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害を被った設備等の修復や、被害を受けた従業員に対する補償等の費用が発生する可能性があります。そのため当社では、事業継続計画に基づきバックアップサーバーの整備などの事業継続に関する取り組みを実施しており、被災時における従業員の安全の確保や確認、迅速なサービス復旧が行えるように備えております。
(2) 事業体制に関する事項① 顧客から預かる情報の管理について当社は、サービス利用者の登録情報等を利用していることから、「個人情報保護法」が定める個人情報取扱事業者に該当しております。当社は、個人情報の外部漏洩や改竄等の防止のため、個人情報の厳正な管理を事業運営上の重要課題と位置付けており、個人情報取扱管理規程、秘密情報管理規程など、重要な情報資産の保護に関する規程等を整備運用するとともに、個人情報、機密事項を格納するファイルサーバーへの適切なアクセス権限の付与や、パソコンと外部記憶媒体の接続を物理的に不可とするなど、重要な情報資産の管理について組織的かつ技術的、物理的な安全管理措置を講じております。また、すべての役員、従業員を対象に情報セキュリティ教育を実施するとともに「機密保持及び個人情報管理に関する誓約書」を徴求するなど、個人情報を含む重要な情報資産の保護並びに外部漏洩の未然防止に努めております。加えて、当社では情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)のISO27001認証を取得しています。 しかしながら、万が一、外部からの不正アクセス等を防止できず、個人情報等を含む重要な情報が社外に漏洩した場合、風評被害や社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、情報漏洩に起因して第三者に何らかの損害が発生した場合には、当社が損害賠償請求の対象となる可能性があります。 ② 既存ユーザ企業の継続率及び単価向上について当社のITC事業はサブスクリプション型のビジネスモデルであるため、当社の継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持と向上を図っております。予算及び中期経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、当社のサービスの魅力の低下、競合会社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、当社の想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。また単価向上については、ARPUの上昇や既存顧客へのアップセル、クロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、既存顧客への浸透や中堅以上の規模の顧客の新規獲得が想定通り進行しない、または当社のサービスが顧客のニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。これらの結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ オプション開発を含む機能の充実が想定どおりに進まないことによるリスクについて「SPIDERPLUS」のオプション開発を含む機能の充実について、何らかの理由で開発が想定どおりに進まなかった場合には、当社の想定する事業展開ができない、または遅延することにより、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、最新の技術動向に関する情報収集、優秀な人材の確保や教育によるノウハウの蓄積などに積極的に取組んでおります。 ④ 販売パートナー企業との関係について当社は、「SPIDERPLUS」の事業拡大を図るにあたって、国内の販売パートナー企業と販売取次契約を締結し、販売の取次及び債権回収などを委託しています。当社は、販売パートナー企業に対して、営業・技術支援の強化を推進しており、各販売パートナー企業との契約に基づき、安定的かつ長期的な取引関係の構築に努めております。なお、現状では大口取引先などを含め、全体売上の過半数の債権回収をジャパンギャランティサービス株式会社に依頼しており、当事業年度末の貸借対照表における営業債権のうち62.1%が同社に対するものであります。今後、主要販売パートナー企業との取引関係継続が困難となった場合、各販売パートナー企業の事業戦略に変化が生じた場合または信用リスクが生じた場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、販売パートナー企業に対して、毎月定例の情報交換の場を設けるなど、営業・技術支援の強化を推進しており、各販売パートナー企業との契約に基づき、安定的かつ長期的な取引関係の構築に努めております。 ⑤ 特定の人物への依存に係るリスクについて当社創業者である伊藤謙自は、当社の代表取締役社長かつ大株主(本書提出日の前月末現在において議決権保有割合53.5%)であり、当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として、重要な役割を果たしております。同氏は、業界内での知名度も高く、総合的に当社の経営に多大な影響力を有しております。当社では、取締役会やその他会議体において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進める組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 人材の確保及び育成について当社において、優秀な人材の確保、育成及び定着は最重要課題であり、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、社内リーダー層への幹部教育、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでおります。しかしながら、必要な人材が十分に確保、育成できなかった場合、または採用後の人材流出が進んだ場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 内部管理体制について当社では、企業価値の持続的な増大を図るにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 継続的な先行投資と赤字計上について建設業界は、長時間労働や就業者数の減少による人手不足という深刻な課題を抱えております。加えて、「働き方改革関連法」の適用による労働時間の上限規制を2024年4月に控え、建設業界各社は生産性向上への取り組みを強化しており、業界各社の生産性向上に資するDXサービスへの需要、ひいては当社主力サービスである「SPIDERPLUS」に対する需要は今後、一層強くなると想定しております。「SPIDERPLUS」は、サブスクリプションモデルであり、顧客のサービス導入後から数年かけて顧客内の導入ID数増加及びオプション浸透率上昇を推進するビジネスモデルでもあります。これらの特長を踏まえ、新規顧客の導入後から一定年数は継続的な営業の他、カスタマーサクセスを中心とした重点的なサポートによって、顧客のDXを建設現場から推進することが重要です。また、高度化・多様化しながら拡大する顧客のDXニーズや建設現場の施工管理に関する課題を解決するプロダクトの継続的な開発、顧客接点となるセールス部門の強化、建設業界大手が取り組む海外展開への対応も必要です。これらを踏まえ売上高成長率を重視した先行投資は引き続き継続してまいりますが、2025年度の通期黒字化を見据え、コストコントロールも計画的に進め、収益性を伴った事業成長を進めてまいります。しかしながら、経営環境の急激な変化、その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 法的規制に関する事項① 知的財産権について当社が建設DXにおいて培ってきた知的財産は、当社の競争優位の源泉であると認識しております。また、「コーポレートガバナンス・コード」にも知的財産の重要性が明記されるなど、その重要性は近年高まりを見せております。当社では、執行役員に知的財産責任者を配置した知的財産管理体制のもと、運営するサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、万が一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払いやこれらに伴うサービス内容の変更の必要性が発生する可能性があります。また、当社が保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社が保有する知的財産の権利化ができていない場合もあります。こうした場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 訴訟について当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開するなかで、当社が提供するサービスの不備、情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合、これらに起因した損害賠償の請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御のために費用と時間を要すほか、訴訟内容及び結果によっては損害賠償が生じる、当社の社会的信用が毀損されるなどにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他の事項① 調達資金の使途について株式上場時における公募増資及び自己株式の処分による調達資金の使途については、主に既存事業の拡大に係る人件費、その採用費、広告宣伝費及びシステム開発費、システムリニューアル費に充当しており、今後も引き続きこれらの使途に充当していく想定です。しかしながら、当社が属する業界においては事業環境の変化が著しく、環境変化に柔軟に対応するため、調達資金を現時点の計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性もあります。このような場合、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化について当社では、株主価値の最大化を図るための中長期的なインセンティブを与え、株主との一層の価値共有を目的として、役員、従業員、社外協力者等に対するストック・オプション制度及び譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、今後も当該制度を活用する可能性があります。これらの新株予約権について行使が行われた場合や譲渡制限付株式報酬制度に基づき新株式が発行された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は1,906,900株であり、発行済株式総数35,116,600株の5.4%に相当しております。 ③ 税務上の繰越欠損金について当社は、当事業年度末時点において、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が中期経営計画どおりに順調に推移しない場合には、繰越欠損金を使用できなくなることによって当社のタックス・プランニングに影響を与える可能性があります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営成績の状況 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況a 経営成績当社が事業を提供する建設業界は、人件費や建設資材価格の高騰、慢性的な人手不足や長時間労働が常態化している構造的な課題、2024年4月の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の上限規制の適用(いわゆる2024年問題)といった課題に直面し、経営・業務の変革が求められております。2023年の建設業界は、大規模建設現場における工事遅延や品質問題、痛ましい事故など、業界が抱える諸課題が日本のインフラを支えるモノづくりの質に影響を及ぼしていることが顕在化した1年となりました。そういった環境下で、建設業界では、生産性の向上に貢献するDXとDXを実現するためのSaaSの導入が業界の諸課題を解決するための重要な施策の1つとして注目され、各社のIT投資意欲は旺盛に推移しております。当社は、2024年度までを、これら建設業界のDXニーズを獲得し市場シェアを拡大するための先行投資期間と位置づけており、戦略的なコスト投下の継続が必要であると判断しております。このような経営判断のもと、今後一定期間については黒字化よりも売上高成長率を重視していく方針としており、当事業年度は、2024年度以降の需要拡大も見据えた組織およびプロダクトづくり、顧客基盤拡大のための営業力強化や販売パートナーとの協力体制の強化に重点的に取り組んでまいりました。 以上の事業環境および経営判断のもと、建設業界のDXを推進し生産性の向上とコスト削減に貢献するサービスである「SPIDERPLUS」は、建設業界のIT投資需要を取り込み、ID数及び契約社数が順調に増加しました。また、各種検査オプション機能の販売など既存顧客のアップセルにも注力しており、ARPU(1契約ID当たりの契約単価)も順調に向上しました。その結果、「SPIDERPLUS」の2023年12月末における契約ID数は68,508(前年同期比16.7%増)、契約社数は1,841社(前年同期比20.8%増)、ARPUは4,282円(前年同月比9.6%増)と堅調に推移し、当事業年度の売上高は3,194,521千円(前年同期比28.8%増)、営業損失は442,610千円(前年同期は1,142,318千円の営業損失)、経常損失は452,714千円(前年同期は1,161,815千円の経常損失)、当期純損失は463,354千円(前年同期は1,036,610千円の当期純損失)となりました。なお、前事業年度は、2022年1月4日のエンジニアリング事業の譲渡による事業譲渡益131,586千円を特別利益に計上しております。 b 財政状態(資産)当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ120,065千円減少し、3,421,974千円となりました。これは主に、先行投資に伴う営業損失等により現金及び預金が198,614千円減少したことによるものです。固定資産は、前事業年度末に比べ77,647千円減少し、1,174,814千円となりました。これは主に、減価償却によりソフトウエアが94,940千円減少したことによるものです。この結果、総資産は、前事業年度末比で197,713千円減少し、4,596,788千円となりました。 (負債)当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ162,766千円増加し、1,017,422千円となりました。これは主に、短期借入金が150,000千円増加したこと、及び未払消費税等が99,628千円増加したこと(前事業年度は未収消費税等を計上)によるものです。固定負債は、前事業年度末に比べ60,940千円減少し、194,041千円となりました。これは主に、長期借入金が63,756千円減少したことによるものです。この結果、負債合計は、前事業年度末比で101,826千円増加し、1,211,463千円となりました。 (純資産)当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ299,539千円減少し、3,385,324千円となりました。これは、ストック・オプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ81,962千円増加した一方、当期純損失の計上により繰越利益剰余金が463,354千円減少したことによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ198,614千円減少し、2,846,178千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、331,218千円(前事業年度は1,000,775千円の使用)となりました。これは主に、人的投資を中心とした先行投資等に起因した税引前当期純損失452,682千円によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、85,009千円(前事業年度は508,676千円の使用)となりました。これは主に、システムリニューアル等に伴う無形固定資産の取得による支出69,140千円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果獲得した資金は、217,612千円(前事業年度は363,049千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が93,714千円計上された一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入163,884千円、短期借入金の純増減額(△は減少)150,000千円が計上されたことによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績a 生産実績当社は、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。 b 受注実績当社は、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。 c 販売実績当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)ICT事業3,194,521+28.8
(注) 1.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。2.当社は、ICT事業の単一セグメントのためセグメント別の記載はしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積りを必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に会計上の見積りを行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社の当事業年度における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況」に記載しております。 ③ 資本の財源及び資金の流動性当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、持続的な成長を図るため既存事業の拡大と新規開発を行っており、これらに必要な資金については必要に応じて多様な資金調達を実施しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容Apple Inc.米国Apple Developer Program License Agreement2011年7月26日1年間(1年毎に自動更新)iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当社では、研究開発活動として新機能及び新サービスの開発等を行っております。当事業年度における当社が支出した研究開発の総額は、77,672千円であります。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当事業年度における設備投資等の総額は、85,481千円であります。主な内容は、WEB-IDシステムに係る開発費用68,253千円や、大阪営業所増床に伴う内装工事、器具備品等の購入14,782千円によるものであります。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
2023年12月31日現在における主要な設備の状況は、次のとおりであります。事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物車両運搬具工具、器具及び備品リース資産ソフトウエアソフトウエア仮勘定合計本社(東京都港区)事務所社用車パソコン什器ソフトウエア173,6152,06745,861-463,551220,894905,990146大阪営業所(大阪府大阪市北区)事務所パソコン17,620-1,970---19,59115札幌営業所(北海道札幌市北区)社用車什器--2554,250--4,5055
(注) 1.当社は、ICT事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。2.現在休止中の主要な設備はありません。3.従業員数は就業人員であります。4.上記の他、主要な賃借物件は以下のとおりであります。事業所名(所在地)設備の内容年間賃借料(千円)本社(東京都港区)事務所229,519大阪営業所(大阪府大阪市北区)事務所5,830札幌営業所(北海道札幌市北区)事務所2,712福岡営業所(福岡県福岡市博多区)事務所3,036名古屋営業所(愛知県名古屋市中区)事務所5,050
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設等該当事項はありません。
(2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動77,672,000
設備投資額、設備投資等の概要85,481,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況34
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況3
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況5,609,000

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式該当事項はありません。 ② 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2023年12月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
伊藤 謙自東京都新宿区18,781,80053.52
THE BANK OF NEW YORK 133652 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)BOULEVARD ANSPACH 1, 1000 BRUSSELS, BELGIUM(東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟)1,795,7005.11
株式会社CHIYOMARU STUDIO 東京都港区三田三丁目13番16号809,9002.30
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)PETERBOROUGH COURT 133 FLEET STREET LONDON EC4A 2BB UNITED KINGDOM(東京都千代田区丸の内二丁目7番1号)785,7112.23
THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051)(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.(東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟)627,4001.78
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505303(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS 02101 U.S.A.(東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟)543,6001.54
増田 寛雄千葉県市川市500,0001.42
吉田 淳也東京都品川区450,0001.28
NORTHERN TRUST CO.(AVFC)RE IEDU UCITS CLIENTS NON TREATY ACCOUNT 15.315 PCT(常任代理人 香港上海銀行東京支店カストディ業務部)50 BANK STREET CANARY WHARF LONDON E14 5NT,UK(東京都中央区日本橋三丁目11番1号)425,0001.21
住友生命保険相互会社東京都中央区八重洲二丁目2番1号420,0001.19計-25,139,11171.64
(注) 1.2022年5月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有に関する変更報告書(特例対象株券等)において、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社及び共同保有者2名が2022年4月29日現在で次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません
氏名又は名称住所所有株式数(株)株券等保有割合(%)JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 東京ビルディング1,072,3003.20JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 東京ビルディング29,6000.09ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・ピーエルシー(J.P. Morgan Securities plc)英国、ロンドン、E14、5JP、カナリー・ウォーフ、バンク、ストリート25226,3990.67計-1,328,2993.96 2.2022年9月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(特例対象株券等)において、ゴールドマン・サックス証券株式会社及び共同保有者2名が2022年8月31日現在で次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
氏名又は名称住所所有株式数(株)株券等保有割合(%)ゴールドマン・サックス証券株式会社東京都港区六本木六丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー00.00ゴールドマン・サックス・インターナショナル(Goldman Sachs International)Plumtree Court, 25 Shoe Lane, London EC4A 4AU, United Kingdom445,3351.32ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニー・エルエルシー(Goldman Sachs & Co. LLC)200 West Street, New York, New York 10282, U.S.A.00.00計-445,3351.32 3.2023年6月9日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(特例対象株券等)において、クープランド・カーディエフ・アセット・マネジメント・エルエルピーが2023年6月5日現在で次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
氏名又は名称住所所有株式数(株)株券等保有割合(%)クープランド・カーディエフ・アセット・マネジメント・エルエルピー(Coupland Cardiff Asset Management LLP)英国、ロンドン、セント、ジェームズ・ストリート、31-321,692,6004.85 4.2023年9月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(特例対象株券等)において、Jоhо Capital, L.L.C.が2023年9月15日現在で次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
氏名又は名称住所所有株式数(株)株券等保有割合(%)Jоhо Capital,L.L.C.アメリカ合衆国10106ニューヨーク州、ニューヨーク、セブンス・アベニュー8881,724,4004.92 5.2023年12月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(特例対象株券等)において、ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーが2023年11月30日現在で次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
氏名又は名称住所所有株式数(株)株券等保有割合(%)ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニー(Baillie Gifford & Co)カルトン・スクエア、1グリーンサイド・ロウ、エジンバラ EHI 3AN スコットランド2,299,0006.56
株主数-金融機関6
株主数-金融商品取引業者23
株主数-外国法人等-個人12
株主数-外国法人等-個人以外31
株主数-個人その他5,742
株主数-その他の法人35
株主数-計5,849
氏名又は名称、大株主の状況住友生命保険相互会社
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(千円)当事業年度における取得自己株式6037当期間における取得自己株式--
(注) 当期間における取得自己株式には、2024年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-37,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-37,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)34,027,6001,063,200-35,090,800 (変動事由の概要)普通株式の発行済株式総数の増加1,063,200株は、新株予約権の権利行使に伴う新株発行によるものであります。 2.自己株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)9260-152 (変動事由の概要)自己株式の株式数の増加60株は、単元未満株式の買取請求によるものであります。

Audit1

監査法人1、個別太陽有限責任監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書 2024年3月26日スパイダープラス株式会社取締役会 御中 太陽有限責任監査法人 東 京 事 務 所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 中 村 憲 一㊞ 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 中 瀬 朋 子㊞ 監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているスパイダープラス株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの第25期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、スパイダープラス株式会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応スパイダープラス株式会社(以下、「会社」という。)は、2023年12月31日現在、貸借対照表上、有形固定資産を251,790千円、無形固定資産を684,445千円計上しており、これは総資産の20%を占めている。会社は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の時間外労働に関する上限規制の建設業への適用を2024年4月に控え、建設業各社のDXニーズを確実に獲得し、事業成長につなげるため、2024年度までを先行投資期間として、黒字化よりも売上高成長率を重視する方針としている。この方針により、2021年12月期以降、継続的に営業損益がマイナスとなっていることから、有形固定資産及び無形固定資産について、減損の兆候があると判断している。このため、減損損失の認識の要否の判定を行ったところ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断している。当該判定に用いられた割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りは、経営者が作成した中期経営計画に基づいており、その主要な仮定は、【注記事項】
(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、売上高の基礎となる「SPIDERPLUS」のID数及びARPU(ID単位の契約単価)、並びにそれらの成長率である。これらの主要な仮定は、将来の経営環境や市場動向などによる不確実性を伴っており、経営者の主観的な判断が必要となる。以上のことから、当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否の判定に係る内部統制を理解した。特に、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる中期経営計画について、取締役会での承認を含めた策定プロセスに焦点を当てた。 ・ 過年度における中期経営計画と実績を比較することにより、中期経営計画の見積りプロセスの有効性を評価した。 ・ 割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りについて、見積期間と関連する主要な資産の経済的残存使 用年数を比較するとともに、中期経営計画との整合性を検討した。 ・ 中期経営計画の主要な仮定である売上高の基礎となる「SPIDERPLUS」のID数及びARPU、並びにそれらの成長率の計算根拠及び算出過程について、経営者と議論するとともに、経営者が利用した外部資料や内部管理資料との整合性を検証した。 その他の事項会社の2022年12月31日をもって終了した前事業年度の財務諸表は、前任監査人によって監査されている。前任監査人は、当該財務諸表に対して2023年3月29日付けで無限定適正意見を表明している。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上
(注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応スパイダープラス株式会社(以下、「会社」という。)は、2023年12月31日現在、貸借対照表上、有形固定資産を251,790千円、無形固定資産を684,445千円計上しており、これは総資産の20%を占めている。会社は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の時間外労働に関する上限規制の建設業への適用を2024年4月に控え、建設業各社のDXニーズを確実に獲得し、事業成長につなげるため、2024年度までを先行投資期間として、黒字化よりも売上高成長率を重視する方針としている。この方針により、2021年12月期以降、継続的に営業損益がマイナスとなっていることから、有形固定資産及び無形固定資産について、減損の兆候があると判断している。このため、減損損失の認識の要否の判定を行ったところ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断している。当該判定に用いられた割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りは、経営者が作成した中期経営計画に基づいており、その主要な仮定は、【注記事項】
(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、売上高の基礎となる「SPIDERPLUS」のID数及びARPU(ID単位の契約単価)、並びにそれらの成長率である。これらの主要な仮定は、将来の経営環境や市場動向などによる不確実性を伴っており、経営者の主観的な判断が必要となる。以上のことから、当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否の判定に係る内部統制を理解した。特に、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる中期経営計画について、取締役会での承認を含めた策定プロセスに焦点を当てた。 ・ 過年度における中期経営計画と実績を比較することにより、中期経営計画の見積りプロセスの有効性を評価した。 ・ 割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りについて、見積期間と関連する主要な資産の経済的残存使 用年数を比較するとともに、中期経営計画との整合性を検討した。 ・ 中期経営計画の主要な仮定である売上高の基礎となる「SPIDERPLUS」のID数及びARPU、並びにそれらの成長率の計算根拠及び算出過程について、経営者と議論するとともに、経営者が利用した外部資料や内部管理資料との整合性を検証した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性
その他の記載内容、個別 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

BS資産

建設仮勘定5,937,000
有形固定資産251,790,000
ソフトウエア463,551,000
無形固定資産684,445,000
投資その他の資産238,577,000

BS負債、資本

短期借入金250,000,000
1年内返済予定の長期借入金65,916,000
未払金188,760,000
未払法人税等31,910,000
未払費用78,612,000
リース債務、流動負債2,519,000
繰延税金負債1,661,000
資本剰余金2,754,277,000
利益剰余金-1,846,013,000
負債純資産4,596,788,000

PL

売上原価1,122,852,000
販売費及び一般管理費2,514,279,000
受取利息、営業外収益30,000
為替差益、営業外収益107,000
営業外収益5,445,000
支払利息、営業外費用8,468,000
その他、流動資産9,541,000
営業外費用15,549,000
特別利益31,000
特別損失0
法人税、住民税及び事業税9,497,000
法人税等調整額1,174,000
法人税等10,671,000

PL2

当期変動額合計-299,539,000

営業活動によるキャッシュ・フロー

減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー163,115,000
受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー-30,000
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー8,468,000
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー-8,221,000