財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-25 |
英訳名、表紙 | sinops Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 南谷 洋志 |
本店の所在の場所、表紙 | 大阪府大阪市北区梅田一丁目12番12号東京建物梅田ビル5階 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | (06)6341-1225(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 年月変遷1987年10月画像処理装置の生産・販売を目的として、大阪府大阪市淀川区に株式会社リンク設立1995年10月本社を大阪府大阪市中央区谷町に移転1996年10月物流最適化システム「S-PLAN21」販売開始1997年10月卸売業向け在庫最適化システム「Zaiko-21」販売開始1998年10月物流センター内ロケーション最適化システム「棚ロケ-21」販売開始2001年4月本社を大阪府大阪市中央区南新町に移転2004年4月通販業向け自動発注支援システム「Zaiko-WEB」販売開始2006年3月小売業向け自動発注システム「sinops-R4」販売開始2006年12月卸売業向けキャッシュ・フロー最適化システム「sinops-W4」販売開始2009年10月日配食品に対応した自動発注システム「sinops-R5」販売開始2010年11月「sinops(シノプス)」商標登録2011年10月棚割メンテナンスアプリ「sinops-Pad」販売開始2012年12月本社を大阪府大阪市北区梅田に移転2013年10月発注端末アプリ「sinops-GOT」販売開始2013年10月品揃最適化システム「sinops-MD」販売開始2016年5月賞味期限チェックアプリ「sinops-Dcont」販売開始2017年4月需要予測型自動発注システム「sinops-R6」販売開始2017年7月「sinopsロゴ」商標登録2017年10月東京都千代田区に東京営業所開設2018年1月コンビニ向け発注数自動追加システム「EO1」の特許取得2018年12月東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場2019年4月社名を「株式会社シノプス」に変更2019年11月ワンストップ自動発注サービス「sinops-BPO」サービス開始2020年5月緊急時自動発注サービス「sinops-BCP」サービス開始2020年6月クラウドサービス「sinops-CLOUD」サービス開始2020年10月東京都の「ICT等を活用した食品ロス削減事業」公募に採択2021年7月「中食・惣菜向け需要予測・自動発注ロジック」の特許取得2022年1月伊藤忠商事株式会社と業務提携契約締結2022年4月東証グロースに市場区分変更2022年7月東京営業所を移転し、東京オフィスに名称変更(東京都千代田区)2023年12月伊藤忠商事株式会社と「DeCM-PF」サービス開始 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は「われわれは在庫に関わる人、もの、金、時間、情報を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念とし、在庫を抱える流通業の発展と活性化に貢献するサービスを提供する事業運営を行っております。その実現のために「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、需要情報を需要起点で小売業・卸売業・製造業の流通三層に一気通貫で連携するディマンド・チェーン・マネジメント(以下「DeCM」という)(※1)構築を経営戦略の柱としております。このDeCMを実現するために、当社は流通業向けAIサービス「sinops(シノプス)」シリーズを提供しております。 ■「sinopsシリーズ」の事業領域 なお、当社の事業は「sinops事業」の単一セグメントであり、①「sinopsシリーズ」をクラウド型で提供するクラウドサービス、②「sinopsシリーズ」を一括販売型で提供するパッケージ販売、③「sinops」の導入効果を最大化するためのシステム構築及び運用構築を支援する導入支援サービス、④「sinops」の日常運用を支援するサポートサービスの4つのサービスを軸に事業を展開しております。また、当社には、エンドユーザーに対する直接販売及び販売パートナーによる販売の2種類の販売形態があります。 ※1 ディマンド・チェーン・マネジメント 需要側(消費者等)から得られる情報を基点として商品開発、生産・供給計画、流通、販売体制等を統合的に編成する情報管理システムのことです。具体的には、POSデータ等の情報をもとに需要予測を行い、生産管理や在庫管理を最適化することを目指すシステムです。 (1)クラウドサービス クラウドサービスは、「sinops-CLOUD」の利用料にサポートサービスが含まれております。「sinops-CLOUD」は、基本機能である「リアルタイム在庫」を中心に需要予測・自動発注・店舗オペレーション改善に関する機能を展開しており、ユーザーは必要な機能を1機能・1カテゴリ・1店舗から利用開始できます。ユーザーとしては、初期費用を抑えたうえでスピーディに利用開始できるため、短期間で導入効果を得られます。「sinops」の導入効果は、①発注時間の削減、②欠品率の削減、③値引・廃棄ロスの削減、④在庫金額の削減といった4つの指標を設定しており、ユーザーが導入効果を実感できるサービスとなっております。 (2)パッケージ販売 当社のパッケージ販売は、小売業向け需要予測・自動発注システム「sinops-R6」を中心に、品揃え計画・棚割計画・棚割メンテナンス・発注端末・本部送り込み支援・賞味期限管理等の機能が統合されたソフトウエアパッケージ群を一括販売型で提供しております。また、卸売業向けキャッシュ・フロー最適化システム「sinops-W」、製造業向け中長期需要予測システム「sinops-M」といったように、流通三層それぞれに適したパッケージ製品を展開しております。当社のパッケージ販売の特徴は、他社事例を参考にした費用対効果の提示ではなく、顧客の実データを利用したシミュレーション結果に基づきsinops導入の費用対効果を具体的な金額で提示することにあります。 (3)導入支援サービス 導入支援サービスは、「sinopsシリーズ」を導入する企業に対して、基幹システムとのデータ連携、本部・店舗・拠点での運用構築支援及びインターフェイスなどのカスタマイズ開発のサービスを提供しております。当社の導入支援サービスの特徴としては、ただシステムを連携するのではなく、導入企業が「sinops」の導入効果を高めるための支援を行うことにあります。また、クラウドサービスもしくはパッケージ販売した企業には、必ず導入支援サービスを提供し、導入企業が「sinopsシリーズ」の導入効果を出すことを最重要視しております。 (4)サポートサービス サポートサービスは、「sinopsシリーズ」の導入支援サービスが完了した企業に対して、日々の問い合わせ対応、稼働・運用状況の監視、障害発生時のリカバリ作業及びKPIの維持・向上サービスを提供しております。 ■製・商品及びサービスの特徴(1)「sinopsサービス」をクラウド型で提供する「sinops-CLOUD」 「sinops-CLOUD」は、需要予測・自動発注サービスのノウハウを、1機能・1カテゴリ・1店舗から利用できるクラウド型流通業向けAIサービスです。クラウド型でサービスを提供し、ユーザーは必要な機能だけを利用することができます。 (2)需要予測型自動発注システム「sinops-R6」 「sinops-R6」はエキスパート法によるAI機能(※2)を搭載した小売業向け需要予測・自動発注システムです。特に牛乳・卵・豆腐・袋麺などの日配食品や、惣菜、パンなど、賞味期限が短く、かつ、週に何度かのチラシ特売により価格も頻繁に変わるカテゴリへの自動発注における実績が多くあります。例えば、ある牛乳を50円引きで特売すると何割販売数が増えるのかの予測はもちろん、代わりに日頃最もよく売れている牛乳がその影響を受け何割販売数が減るのかというカニバリゼーション(共食い状態)を正確に予測する必要があります。カニバリゼーションを考慮しなければ、余った商品に値引きシールを貼って販売せざるをえなくなり、その作業の無駄と値引きによる損失が発生してしまいます。さらに悪化し、廃棄するとその損失は収益に大きな影響を与えることになります。 「sinops-R6」は過去のデータから商品ごとに販売価格別に数量PI(1,000人あたりの販売数)を自動計算するのみならず、影響を受けるライバル商品の数量PIも合わせて計算し必要に応じて発注数を抑制しますので、欠品による機会ロスのみならず、値引きロスや廃棄ロスをも合わせて改善することができます。 ※2 エキスパート法によるAI機能 エキスパート法とは、専門知識のない人あるいは初心者でも専門家と同じレベルの問題解決が可能となるよう、その領域の専門知識をもとに動作するコンピュータシステムのことです。システムは専門家のかわりに特定の分野に特化した知識をもとに推論を行い、専門家のようにアドバイスや診断を行います。 (3)店舗での発注業務をタブレット1つで完結「sinops-Pad」 「sinops-Pad」は、iPad/Windowsタブレット上で棚割(※3)を修正できるシステムであり、従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正をタブレット上で直感的に操作できるシステムです。その結果、棚割データが現場と一致しやすくなり、最適発注を継続するための重要な要素である棚割情報を正確に把握できるようになります。 ※3 棚割 棚割とは、商品を陳列棚のどこに、いくつ陳列するかを計画することをいいます。 「sinops-Pad画面」 ■「sinopsシリーズ」について対象製品名概要内容提供価値小売業sinops-CLOUD(※4)クラウドサービス「sinopsサービス」をクラウド型で提供するサービスです。リアルタイム在庫を基本機能として、日配・惣菜向けの自動発注システムやAI値引きサービス等を提供しております。・自動化による人手不足解消・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上・在庫削減による キャッシュ・フロー改善sinops-R自動発注システム「sinopsサービス」を小売業向けにパッケージ販売型で提供するサービスです。販売実績・価格・売り方・天候などの様々な要素から需要を予測し、最適発注を実現します。日配食品からグロサリ・雑貨まで幅広いカテゴリの需要予測・自動発注が可能です。・自動化による人手不足解消・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上・在庫削減による キャッシュ・フロー改善sinops-Pad棚割メンテナンスアプリiPad/Windowsタブレット上で棚割を修正できるシステムです。従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正がタブレット上で直感的に操作でき、本当の棚割状況を本部で確認できるようになります。・棚割修正作業の効率化・発注端末費用の削減・店舗との棚割ギャップ解消sinops-Dcont賞味期限チェックアプリ短時間で実施しなければならず、ミスが許されない賞味期限チェック作業を効率化するシステムです。・賞味期限チェック作業の削減・賞味期限切れ販売の削減sinops-MD品揃最適化システム店舗ごとの販売実績から最適な品揃え・最適陳列数を提案するシステムです。「sinops-R」と連携することで、収益を最大化する品揃え計画の立案が可能になります。・個店採算性の向上sinops-DM本部送り込み支援システム本部送り込み(※5)企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するシステムです。「sinops-R」と連携することで、特売ロスを削減することが可能です。・特売ロスの削減sinops-BPOワンストップ自動発注サービス「sinops」に関連する店頭作業を業務受託するサービスです。・発注作業の効率化 対象製品名概要内容提供価値卸売業sinops-Wキャッシュ・フロー最適化システム毎日需要予測を行い、発注点を自動更新することで最適在庫を維持し続ける自動発注システムです。仕入条件・賞味期限・商品受け入れ作業時間といった様々なことを考慮し、キャッシュ・フローを最適化できます。・在庫削減による キャッシュ・フロー改善・自動化による人手不足解消・機会ロス削減による売上向上sinops-IM移送指示最適化システム「sinops-W」と連携することで過剰在庫を算出し、拠点間の在庫偏在をなくすように移送指示を行うシステムです。どの拠点に在庫があるかを電話で確認する必要がなくなり、自動で出てくる移送指示を承認するだけで作業が完了します。・在庫削減による キャッシュ・フロー改善・無駄な発注の削減製造業sinops-M中長期需要予測システムエリア別の製品需要を予測し、製造業の生産計画の精度向上に貢献するシステムです。シリーズの「sinops-R/W」と連携することでDCMを確立でき、大幅な生産ロス改善を実現します。・生産ロスの削減 ※4 sinops-CLOUD各サービスについて対象製品名概要内容提供価値小売業sinops-CLOUDリアルタイム在庫クラウドサービスタイムリーな在庫・売上情報が分かるシステムです。需要予測・自動発注サービスの基盤となるサービスです。・店舗従業員の作業効率向上・需要予測・自動発注精度 の向上sinops-CLOUD 惣菜クラウドサービス惣菜に特化した自動発注サービスです。アウトパック惣菜(※6)、インストア惣菜(※7)のどちらにも対応し、リアルタイム在庫機能と連携することで時間帯別の需要に合わせた最適発注を行います。・自動化による人手不足解消・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上sinops-CLOUD 日配クラウドサービス日配食品に特化した自動発注サービスです。値引き・欠品・カニバリゼーションも加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。・自動化による人手不足解消・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上sinops-CLOUD グロサリークラウドサービスグロサリーに特化した自動発注サービスです。棚割りシステムと自動連携することで、ボリューム感を考慮した発注数を起案します。・欠品率、在庫金額の改善・自動化による人手不足解消sinops-CLOUD パンクラウドサービスパンに特化した自動発注サービスです。値引き・欠品も加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。・売上、粗利の最大化・自動化による人手不足解消sinops-CLOUD 精肉クラウドサービス精肉に特化した自動発注サービスです。高精度需要予測により、不定貫の精肉カテゴリに対応。プロセスセンターとの連携により店舗での発注業務を改善できます。・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上・自動化による人手不足解消・生産計画制度の向上sinops-CLOUD 外食クラウドサービス外食業に特化した自動発注サービスです。過去売上情報をもとに原材料の最適な発注数量を予測します。・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上sinops-CLOUD AI値引クラウドサービスAIによる適正値引きアラートサービスです。適切なタイミング・値引率をAIが算出することで、ロス削減・売上向上に貢献します。・値引き、廃棄ロス削減による利益向上・機会ロス削減による売上向上・自動化による人手不足解消sinops-CLOUD 客数予測クラウドサービス高精度で来客数予測ができるサービスです。競合店の開店・閉店や地域の催事を考慮することができるうえ、45日先まで予測が可能です。・販売予測、生産計画制度 の向上・シフト作成の効率化・自動化による人手不足解消sinops-CLOUD 包材クラウドサービス包装資材向けの自動発注サービスです。食品製造業の生産実績、製品マスタなどのデータを用いて、今後の生産計画を予測し、必要な包装資材の発注数を算出します。・適切なタイミングでの 包装資材の発注・補充sinops-CLOUD ワークスケジューラークラウドサービス小売業の店舗向けシフト作成・管理サービスです。客数予測、売上予測などのデータを用いて最適なワークスケジュールを自動作成し、最適な人員配置を実現します。・作業負担の平準化・人事生産性の向上sinops-CLOUD 本部送込クラウドサービス本部送り込み企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するサービスです。特売ロスを削減することが可能です。・特売ロスの削減 ※5 本部送り込み 本部送り込みとは、小売業において、本部のバイヤーが企画・仕入れた商品を本部主導で各店舗へ送り込むことをいいます。 ※6 アウトパック惣菜 アウトパック惣菜とは、メーカーや工場など店舗の外で調理・パッケージングした惣菜のことです。店舗では陳列のみを行います。 ※7 インストア惣菜 インストア惣菜とは、食品スーパーの店内で調理・パッケージングした惣菜のことです。sinopsは、レシピ・原材料データをもとに発注数を算出します。 ■事業系統図 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)11135.75.16,433 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、使用人兼務取締役は含んでおりません。なお、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。 (2)労働組合の状況当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 2023年12月31日現在管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者20.0---- (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。3.労働者の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は「われわれは在庫に関わる“人”、“もの”、“金”、“時間”、“情報”を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念に掲げ、「世界中の無駄を10%削減する」というビジョン達成のために、小売業・卸売業・製造業の流通三層の在庫を最適化するための流通業向けAIサービス「sinopsシリーズ」を提供しております。 (2)経営環境 当事業年度におけるわが国経済は、資源及びエネルギー価格の高騰等による物価高、地政学リスクや不安定な為替相場等、依然として不透明な状況が続いております。一方で、社会全体の変革を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が浸透しつつあり、小売業は益々多様化する消費者ニーズへの対応が求められており、業務効率化のためのIT投資は今後増加していくものと予想されます。さらに、物流業界での「2024年問題」や、持続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も社会課題としての対応が急がれております。そのため、バリューチェーンの最適化・食品ロス削減に貢献できる当社の需要予測・自動発注サービスに対するニーズが高まっております。 (3)経営戦略等 当社は、食品スーパーマーケット向けの導入実績が数多くある強みを活かし、需要予測型自動発注からDeCM全体の需要予測活用DX(注1)へ事業拡大することを目指します。食品スーパーの需要予測・在庫情報を卸・メーカーとデータ連携することで、食品スーパー向けには店舗業務の生産性を向上させるサービス、卸・メーカー向けには物流や生産計画を最適化するサービスを提供します。 ①食品スーパーマーケットを中心とした食品小売業のシェア率40%(注2)を実現する。 ②卸売業の物流を最適化する。 ③製造業・原材料/包装資材業の生産計画を最適化し、「sinops」で食品流通業のディマンド・チェーン・マネジメントを実現 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社が目標とする経営指標は、シェア率、ARR(注3)、売上高、営業利益の4指標であります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、以下を重要な経営課題と認識しております。 ①新規ユーザー獲得 事業領域拡大には、小売業の需要予測・在庫情報がコア技術として必須となるため、引き続き小売業のシェア獲得を目指して、需要予測型自動発注サービスに注力してまいります。特に注力している食品スーパーマーケット向けのシェア率は36.1%となり、2023年には食品ロス削減ソリューション市場シェア1位(注4)を獲得しました。この高いシェア率を活用し、他社とのサービス連携も進めております。 ②既存ユーザーのアップセル・クロスセル 既存顧客がsinopsの導入効果を高め続けられるよう、従来のサポート体制に加えて顧客満足度向上に向けた施策を強化します。また、AI値引・惣菜・客数予測といった需要予測活用DXサービスを提供することでsinopsの付加価値をさらに高めてまいります。 ③食品DeCMの構築 2023年はDeCM実現に向けて、伊藤忠商事株式会社と合同で「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」サービスを提供開始しました。機能の1つである「特売リードタイム長期化サービス」について、実証実験を既に実施している複数の小売業への2024年中の正式展開を目指します。今後、食品バリューチェーンの最適化に向けて、小売業の需要予測データをコアとして、複数のサービス展開や対象の商品カテゴリの拡大を進めてまいります。 ④中長期成長に向けてコア技術を活用した事業領域拡大 食品DeCMの構築に限らず、中長期的な成長を維持するため、新市場獲得のための事業領域拡大を進めます。食品スーパーの人時改善を行うDXサービスを2023年から研究開発しており、需要予測・在庫管理情報を活用することで、さらなる人時改善サービスを提供できるよう中長期の事業として推進を開始しました。また、まずは食品向けDXサービスに注力しますが、食品スーパー以外の業態にもDeCMを拡大できるよう備えてまいります。 ⑤サステナビリティ経営の推進 sinopsによる在庫最適化に取り組むことで、SDGs目標12「つくる責任・つかう責任」で謳われる食品ロス削減をはじめとした、サプライチェーン全体の無駄を削減します。また、東京都市大学との共同研究で、「小売業におけるsinops活用による食品ロス削減が環境に与える影響」を調査しています。sinops事業を推進することで、地球環境の維持・向上及び持続可能な社会の実現に貢献します。 (注1)DeCM全体の需要予測活用DXとは、需要予測・在庫情報データをサプライチェーン全体で活用することで、小売業務の深化やディマンド・チェーン・マネジメントの実現など、流通三層の最適化を目指すものです。小売業では値引きや勤怠管理など多岐にわたる業務を需要予測・在庫情報データをコアとして最適化します。卸売業・製造業では、需要予測・在庫情報データを活用することで、在庫・物流・生産計画を最適化します。(注2)シェア率は、以下計算式で算出しております。シェア率(%)=「sinops」導入企業の年間売上高計÷ターゲット企業の年間売上高計※ターゲット企業とは、ダイヤモンド・チェーンストア「日本の小売業1000社ランキング」に掲載されている売上高400億円以上の小売業(百貨店、コンビニを除く。)。(注3)Annual Recurring Revenueの略語。2023年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。(注4)株式会社富士キメラ総研が2023年8月8日に発刊した「2023 SX/GXによって実現するサステナビリティ/ESG支援関連市場の現状と将来展望」の「需要予測や自動発注ツールを対象とした食品ロス削減ソリューション市場」においてシェア1位(2022年度実績)を獲得。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)事業環境について① 市場環境について 当社は、第37期事業年度においては、売上高全体に占める食品スーパーマーケット向けの売上高の割合が70%以上と高い水準にあります。今後、食品スーパーマーケット業界以外での導入実績を増やすことでリスクを低減する方針ではありますが、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当該業界の業況等によりIT・システムへの投資が減少する等した場合に、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 技術革新への対応について 当社は、需要予測・自動発注サービス分野において多くの導入実績がある強みを活かし、既存顧客のニーズを積極的に汲み取り、ユーザーエクスペリエンス(注)のさらなる向上に努めてまいります。また、技術の最新動向をキャッチアップし、効果的に事業に反映することで技術的優位性の強化を実現してまいります。しかしながら、当社の想定を超える革新的な技術や著しい市場環境の変化等が生じた場合に、当社が当該変化に適時に対応することができなかった場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(注)ユーザーエクスペリエンスとは、製品・サービスの利用を通じてユーザーが得る体験を指します。 ③ 新規業界への進出について 当社は、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、食品スーパーマーケット業界以外の新規業界にも積極的に進出していきたいと考えております。しかしながら、新規業界へ進出した際には、その業界固有のリスク要因が加わると共に、新規業界での成功実績を積み上げていく過程では、その業界特有の商習慣をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 競合の変化について 当社の「sinops事業」の対象領域である需要予測・自動発注サービス領域においては、流通業の深刻な人手不足や食品ロスに対する注目度の高まりもあり、他社の新規参入により競合が激化する可能性があります。当社では引き続き顧客ニーズを汲み取った製品・サービスの提供を進める方針でありますが、競合企業の営業方針、価格設定及び提供する製品・サービス等は、当社が属する市場に影響を与える可能性があります。これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業活動について① 需要予測ロジックミスによる顧客への影響について 当社の需要予測・自動発注サービス「sinops」は、過去実績をもとに需要予測数を計算し、最低限必要と想定される発注数を発注勧告データとしてユーザー側に提供するサービスです。「sinops」はあくまで発注勧告数を提供するシステムであり、発注数の確定はユーザー側で行いますが、需要予測ロジックの計算式に誤りがあり、ユーザー側に異常な発注勧告数を提供し、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。当社では「sinops」の需要予測ロジック精度向上のために継続的に研究開発を行うことはもちろん、過去実績がない商品の販売や異常気象等の特殊事情が発生した場合にはユーザーの手動発注に切り替える等の対策を講じております。このような対策にもかかわらず、ユーザーの発注業務への影響が広範囲に渡り、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 人為的ミス・外的要因等によるサービスの中断・品質低下について 当社が提供する製品・サービスに関して、人為的なミス、ハードウェアや通信回線の不具合等が発生した場合、これに起因して製品・サービスを継続的に提供できなくなること、又は製品・サービスの品質が低下すること等の重大なトラブルが発生する可能性があります。特に、当社の需要予測・自動発注サービスが、人為的ミスや当社がコントロールできない外的要因を起因としてユーザーに異常な発注勧告データを提供する、もしくは発注勧告データそのものを提供できなくなる等により、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。当社では、前日中に一旦予備の発注勧告データをユーザー側に送る仕様とする等、突発的なトラブルによってユーザー側の発注業務に重大な影響を及ぼさないようにするための対策を講じておりますが、このような対策にもかかわらず、製品・サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特定の製品への依存について 第37期事業年度における売上高のうち、小売業向けサービスの売上高が70%以上を占めております。当社ではクラウド型AIサービス「sinops-CLOUD」等の新製品開発を積極的に進め、顧客のニーズに合った製品を提供し続ける対応を行っております。しかし、製品開発を計画通りに行うことができない、又は、主力製品以外の新製品が顧客に支持されない等の理由により、当社の製品が競争力を失った場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について 当社のクラウドサービスは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、当社の継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。 既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、当社サービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、当社の想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。 単価向上については、当社は、ユーザー企業あたりの利用サービス数の増加、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、当社サービスが顧客ニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。 その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ システム等に関するリスクについて 当社のクラウドサービスは、外部クラウドサーバのAmazon Web Services社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)にて提供しており、AWSの安定的な稼働が当社の事業運営上、重要な事項となっております。当社ではAWSが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、当社の役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入やその他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon Web Services社との契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社の追加費用負担、又は当社ブランドの毀損等により、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ⑥ 情報の流出について 当社は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社の故意・過失又は悪意を持った第三者のサイバー攻撃等により、これらの情報の流出や消失等が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 知的財産権について 当社は、保有する特許の保護、他社との差別化のための特許の獲得に努めていますが、これらが十分に行えない場合、関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社は製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めていますが、将来、必要な許諾権が得られない可能性や不利な条件での使用を余儀なくされる可能性があります。いずれの場合も当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方で、当社は、自動発注システムにおけるアプリケーション、ビジネスモデルに関する特許権、実用新案権又はサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は残されます。2023年12月31日現在まで当社では事業に関連した特許その他知的財産権に関わる訴訟を提起されたことはありませんが、当社の認識外で第三者の知的財産権を侵害してしまった場合や、将来、当社の事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者にて成立した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 受注損失の発生について 当社の導入支援サービスは、目標とする導入効果をユーザーと合意した上で導入支援プロジェクトの完了条件を決め、想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上でプロジェクトを受注しております。導入効果の目標値については、ユーザーの実データをもとにした効果シミュレーション、自動発注対象範囲、遵守すべき運用ルール等を取り決めた上で設定しておりますが、全てのプロジェクトに対して正確に導入効果を見積ることは困難であり、想定以上に導入効果が出ない可能性があります。また、プロジェクト中にユーザーと目標値の認識違いが発生しないように、情報共有の徹底に努めておりますが、ユーザーとプロジェクトの完了条件に認識違いが発生する可能性があります。当初想定した利益率を確保するために、完了条件の認識合わせ・要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、受注損失が発生する場合があります。当社では導入支援サービスの分割検収を行うことで業績への影響を最小限に抑えるように努めておりますが、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 製品保証の発生について 当社は、将来のビジネス展開を考慮し、ユーザーの導入効果を出すことを最優先としております。そのため、すでに「sinops」を利用しているユーザーに対しても、さらに導入効果を向上させることを目的に、当社自らの判断で再度導入支援サービスを無償提供することがあります。ユーザーからの要望ではないため、契約上の義務が発生しているわけではありませんが、無償の導入支援サービスに係る見込原価に対して、製品保証が発生する場合があります。その結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 固定資産の減損リスクについて 当社は各sinops-CLOUD製品を無形固定資産のソフトウエアとして計上しております。当該製品はクラウドサービス提供するために自社で開発したものであり、クラウド事業の資産としてグルーピングされるものでありますが、販売計画どおりにsinops-CLOUD製品の販売ができない場合等は想定どおりの収益を獲得できず、当該製品の開発に要したコストを回収することができなくなった場合、ソフトウエアの減損損失が発生する可能性があります。この事象が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)組織体制について① 特定の役員・社員への依存について 当社は2023年12月31日現在、取締役6名(うち監査等委員3名)、従業員111名と組織規模が小さく、内部管理体制や業務執行体制も当該組織規模に応じたものとなっております。従って、当社の役員や従業員が病気や怪我等により業務を遂行する上で支障が生じた場合や転職等により人材が社外に流出した場合には、当社の業務に支障が生じる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 人材の確保・育成について 当社において優秀な人材の確保・育成及び定着は最重要課題であり、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、社内リーダー層への幹部教育、新入社員及び中途入社社員の育成・定着に取り組んでおります。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 内部管理体制について 当社は、企業価値の継続的かつ安定的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、同時に適切な内部管理体制の構築が必要であると認識しております。当社では、内部監査や内部通報制度への対応、さらには法令や社内規程等の遵守の徹底を行っておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)その他① 自然災害について 顧客の情報資産が格納されるサーバは複数箇所に分散管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺ネットワーク設備等に被害を及ぼす災害・事故等が発生し、情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 風評について 当社は、法令遵守違反等の不適切な行為が発覚した場合は速やかに適切な対応を図っておりますが、当社に対する悪質な風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かに関わらず、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当事業年度はパッケージ販売からクラウドサービス中心のストック型ビジネスへの構造転換に一定の目途がたち、ストック型売上が年間売上高の約70%となったことから、足下の堅調な業績による安定した財務体質を基盤に、中長期成長に向けた事業領域拡大のための研究開発を実施してまいりました。2020年より取り組みを開始した食品ディマンドチェーンマネジメント構築については、伊藤忠商事社と共同で「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」としてサービス提供を開始し、食品スーパーのDX深化に向けた人時改善サービスの研究開発も行いました。事業領域拡大には、小売業の需要予測・在庫情報がコア技術として必須となるため、小売業のシェア獲得を目指して、需要予測型自動発注サービスに引き続き注力してまいります。特に注力している食品スーパーマーケット向けのシェア率は36.1%(前年同期比1.9pt増)となり、この高いシェア率を活用し、他社とのサービス連携も進めております。 その結果、当社の導入実績は、2023年12月31日時点でARR(注1)は1,200,467千円(前年同期比16.6%増)、シェア率は19.7%(同0.9pt増)、契約企業数は113社(同10社増)、クラウドサービスの有償店舗数2,674店舗(同430店舗増)(注2)、クラウドサービスの有償アカウント数は10,376アカウント(同2,916アカウント増)(注3)に増加しております。当事業年度における売上高は1,728,828千円(前期比18.8%増)、営業利益は270,751千円(同20.6%増)、経常利益は269,684千円(同20.2%増)、当期純利益は206,222千円(同34.3%増)となりました。 (注1)Annual Recurring Revenueの略語。2023年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。 (注2)有償契約でクラウドサービスを利用している店舗数(旧レンタルサービス利用店舗を除く)。 (注3)有償契約しているクラウドサービス利用数(旧レンタルサービスを除く)。 ②キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて469,734千円減少し、830,547千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は305,881千円(前期は193,176千円の収入)となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益269,849千円、減価償却費84,751千円、契約負債の増加28,925千円があった一方で、主な減少要因として、法人税等の支払額99,688千円があったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果支出した資金は751,206千円(前期は101,071千円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出500,000千円、無形固定資産の取得による支出138,968千円、投資有価証券の取得による支出101,167千円があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果支出した資金は24,410千円(前期は217,364千円の支出)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出28,750千円があったこと等によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 b.受注実績 当事業年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。業務区分当事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)パッケージ販売業務245,107143.017,931582.4導入支援業務347,156122.867,407106.5サポート業務333,719102.5150,32798.4クラウド業務812,82897.2381,59898.3合計1,738,811107.6617,264101.6 (注)当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。 c.販売実績 当事業年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。業務区分当事業年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)販売高(千円)前期比(%)パッケージ販売業務230,255103.2導入支援業務343,032111.3サポート業務336,185105.3クラウド業務819,356135.5合計1,728,828118.8 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)当事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社日本アクセス177,56712.2175,65610.2 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。 当社の財務諸表の作成にあたって重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 ②経営成績の分析 当事業年度の売上高は1,728,828千円(前期比18.8%増)、営業利益は270,751千円(同20.6%増)、経常利益は269,684千円(同20.2%増)、当期純利益は206,222千円(同34.3%増)となりました。 (単位:千円) 前事業年度当事業年度増減額増減率売上高1,455,1771,728,828273,65118.8%売上原価753,419874,064120,64516.0%売上総利益701,757854,764153,00621.8%販売費及び一般管理費477,219584,012106,79222.4%営業利益224,538270,75146,21320.6%経常利益224,374269,68445,31020.2%当期純利益153,496206,22252,72634.3% (売上高) クラウド売上高(過去の経営成績の分析におけるレンタル売上高を含めております。)は、既存クラウドユーザーのクロスセルが増加したことが主要因となり、819,356千円(前期比214,787千円増・35.5%増)となりました。パッケージ売上高は、大型食品スーパーの新規受注や既存ユーザーの店舗追加が主要因となり、230,255千円(前期比7,146千円増・3.2%増)となりました。導入支援売上高は、クラウドサービスの新規導入や既存ユーザーへのクロスセルが主要因となり、343,032千円(前期比34,812千円増・11.3%増)となりました。サポート売上高は既存ユーザーの店舗展開が進んだことが主要因となり、336,185千円(前期比16,905千円増・5.3%増)となりました。 その結果、当事業年度における売上高は1,728,828千円(前期比273,651千円増・18.8%増)となりました。 (売上総利益) 当事業年度は、クラウドサービスの展開に伴い、製造部門の人件費、外注費、クラウド利用店舗拡大に伴う通信費が増加したことが主要因となり、売上原価が前期比120,645千円増加(前期比16.0%増)となりました。その結果、売上総利益が854,764千円(前期比153,006千円増・21.8%増)となりました。 (営業利益・経常利益) 当事業年度は、クラウドサービス機能向上や「DeCM-PF」構築に向けた研究開発費の増加、事業拡大に伴う人件費や採用費の増加が主要因となり、販売費及び一般管理費が前期比106,792千円増加(前期比22.4%増)となりました。その結果、営業利益が270,751千円(前期比46,213千円増・20.6%増)、経常利益が269,684千円(前期比45,310千円増・20.2%増)となりました。 (当期純利益) 当事業年度における当期純利益は206,222千円(前期比52,726千円増・34.3%増)となりました。 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 ③財政状態の分析(資産) 当事業年度末における総資産は2,202,156千円(前事業年度末比196,466千円の増加)となりました。主な要因は、長期預金が500,000千円、社債の新規購入により投資有価証券が99,410千円、ソフトウエアが35,818千円増加した一方で、現金及び預金が469,734千円減少したこと等によるものであります。 (負債) 負債は434,821千円(前事業年度末比27,309千円の減少)となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が28,750千円、未払法人税等が21,180千円、未払金が18,805千円減少した一方で、契約負債が28,925千円、買掛金が12,117千円増加したこと等によるものであります。 (純資産) 純資産は1,767,335千円(前事業年度末比223,776千円の増加)となりました。主な要因は、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が203,862千円増加したこと等によるものであります。 ④キャッシュ・フローの状況の分析 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⑤資本の財源及び資金の流動性 資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 当社の資金需要は、主として人件費、「sinops」の新製品開発にかかる研究開発費、知的財産の取得に係る費用及び運転資金であります。運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 該当事項はありません。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社では、日々新しいサービス開発を目的とし、技術部において研究開発活動を行っております。当事業年度においては、DCM構築を重点に行い、伊藤忠商事社と食品バリューチェーン最適化プラットフォーム「DeCM-PF」(ディーシーエムプラットフォーム)の機能の一つである「特売リードタイム長期化サービス」の提供を開始致しました。 当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は96,250千円となっております。 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当事業年度の設備投資総額は、139,525千円であります。 その主な内容は、「sinops事業」におけるクラウドサービスの製品開発及び販売用ソフトウエア開発による無形固定資産の取得138,968千円であります。なお、当事業年度において重要な設備の除却、売却等はありません。当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 主要な設備は、以下のとおりであります。2023年12月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物(千円)工具、器具及び備品(千円)合計(千円)本社(大阪府大阪市北区)事務所設備18,6447,77626,42189 (注)1.本社、東京オフィスの建物は賃借物件であり、年間賃借料はそれぞれ以下のとおりであります。本社 29,548千円東京オフィス 7,200千円2.当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設該当事項はありません。 (2)重要な改修該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 96,250,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 139,525,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 36 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 5 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 6,433,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 当社は、保有目的が純投資目的である投資株式及び純投資目的以外の目的である投資株式は保有しておりません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 合同会社南谷ホールディングス大阪府守口市梅町2-12,105,00033.87 南谷 のどか大阪市旭区470,2327.57 加藤 めぐみ広島市安佐南区470,0007.56 南谷 純AMSTELVEEN, THE NETHERLANDS 470,0007.56 南谷 清江大阪府守口市220,0003.54 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-12126,5002.04 南谷 洋志大阪府守口市125,3972.02 情報技術開発株式会社東京都新宿区西新宿6丁目5-1100,0001.61 株式会社日本アクセス東京都品川区西品川1丁目1-1100,0001.61 上田八木短資株式会社大阪市中央区高麗橋2丁目4-296,9001.56計-4,284,02968.93 |
株主数-金融機関 | 2 |
株主数-金融商品取引業者 | 16 |
株主数-外国法人等-個人 | 16 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 8 |
株主数-個人その他 | 2,319 |
株主数-その他の法人 | 28 |
株主数-計 | 2,389 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 上田八木短資株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式1,222-当期間における取得自己株式696-(注)1.譲渡制限付株式報酬を無償取得したものであります。2.当期間における取得自己株式数には、2024年3月1日からこの有価証券報告書提出日までに取得した株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数に関する事項 当事業年度期首株式数(株)当事業年度増加株式数(株)当事業年度減少株式数(株)当事業年度末株式数(株)発行済株式 普通株式(注)16,221,00028,000-6,249,000 合計6,221,00028,000-6,249,000 自己株式 普通株式(注)247,2741,22214,27134,225合計47,2741,22214,27134,225 (注)1.普通株式の発行済株式総数の増加28,000株は、新株予約権の権利行使による増加28,000株であります。 (注)2.普通株式の自己株式の株式数の増加1,222株は、特定譲渡制限付株式報酬の無償取得による増加1,222株であります。普通株式の自己株式の株式数の減少14,271株は、特定譲渡制限付株式報酬による自己株式の処分による減少14,271株であります。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 太陽有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年3月25日株式会社シノプス 取締役会 御中 太陽有限責任監査法人 大阪事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士柳 承煥㊞ 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士髙田 充規㊞ <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社シノプスの2023年1月1日から2023年12月31日までの第37期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社シノプスの2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 受注損失引当金の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、注記事項(重要な会計上の見積り)「(2)受注損失引当金」に記載されているとおり、未完了の導入支援サービスに係る将来の損失に備えるため、当期末における案件のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができるものについて、その損失見込額を計上している。なお、当事業年度末において会社は受注損失引当金を計上していない。 会社の導入支援サービスは、目標とする導入効果をユーザーと合意したうえで導入支援プロジェクトの完了条件を決め、想定される難易度及び工数に基づいて総原価見積りを作成し、適正な利益率を確保したうえでプロジェクトを受注しているが、想定以上に導入効果が出ない場合や、ユーザーとプロジェクトの完了条件に認識違いが発生した場合等、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加する場合がある。 会社は、ユーザーの実データをもとにした効果シミュレーション、自動発注対象範囲及び遵守すべき運用ルール等を取り決めたうえで導入効果の目標値の設定を行うとともに、完了条件の認識合わせ・要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っているが、導入支援サービスには、ユーザーと合意した導入効果を実現するために必要な工数・総原価の見積りに不確実性があることから、当監査法人は受注損失引当金の算定の基礎となる受注案件の総原価見積りを、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、会社が実施した受注損失引当金の算定の基礎となる受注案件の総原価見積りの妥当性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。 1.内部統制の評価総原価見積りプロセスに関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たって、特に以下の点に焦点を当てた。・ 受注案件ごとの総原価見積りの作成、承認に関する統制・ 総原価見積りの見直しに関する統制 2.総原価見積りの合理性の評価総原価見積りの合理性を評価するために、以下の監査手続を実施した。・ 前期末未完了の受注案件の総原価見積りと当期の実際発生額の比較を行い、会社の見積りの不確実性を評価した。・ 未完了の受注案件について総原価見積りに使用する工数とプロジェクト管理資料の工数との比較を行った。・ トラブルや作業スケジュール変更の有無について導入支援部門責任者に質問を実施した。・ 会社が見積った期末日以降の原価と監査人が設定した見積原価との比較を行った。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社シノプスの2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、株式会社シノプスが2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 受注損失引当金の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、注記事項(重要な会計上の見積り)「(2)受注損失引当金」に記載されているとおり、未完了の導入支援サービスに係る将来の損失に備えるため、当期末における案件のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができるものについて、その損失見込額を計上している。なお、当事業年度末において会社は受注損失引当金を計上していない。 会社の導入支援サービスは、目標とする導入効果をユーザーと合意したうえで導入支援プロジェクトの完了条件を決め、想定される難易度及び工数に基づいて総原価見積りを作成し、適正な利益率を確保したうえでプロジェクトを受注しているが、想定以上に導入効果が出ない場合や、ユーザーとプロジェクトの完了条件に認識違いが発生した場合等、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加する場合がある。 会社は、ユーザーの実データをもとにした効果シミュレーション、自動発注対象範囲及び遵守すべき運用ルール等を取り決めたうえで導入効果の目標値の設定を行うとともに、完了条件の認識合わせ・要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っているが、導入支援サービスには、ユーザーと合意した導入効果を実現するために必要な工数・総原価の見積りに不確実性があることから、当監査法人は受注損失引当金の算定の基礎となる受注案件の総原価見積りを、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、会社が実施した受注損失引当金の算定の基礎となる受注案件の総原価見積りの妥当性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。 1.内部統制の評価総原価見積りプロセスに関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たって、特に以下の点に焦点を当てた。・ 受注案件ごとの総原価見積りの作成、承認に関する統制・ 総原価見積りの見直しに関する統制 2.総原価見積りの合理性の評価総原価見積りの合理性を評価するために、以下の監査手続を実施した。・ 前期末未完了の受注案件の総原価見積りと当期の実際発生額の比較を行い、会社の見積りの不確実性を評価した。・ 未完了の受注案件について総原価見積りに使用する工数とプロジェクト管理資料の工数との比較を行った。・ トラブルや作業スケジュール変更の有無について導入支援部門責任者に質問を実施した。・ 会社が見積った期末日以降の原価と監査人が設定した見積原価との比較を行った。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 受注損失引当金の計上 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
仕掛品 | 217,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 7,776,000 |
有形固定資産 | 26,421,000 |
ソフトウエア | 255,170,000 |
無形固定資産 | 288,072,000 |
投資有価証券 | 99,410,000 |
長期前払費用 | 7,248,000 |
繰延税金資産 | 64,586,000 |
投資その他の資産 | 742,566,000 |
BS負債、資本
未払金 | 144,706,000 |
未払法人税等 | 48,924,000 |
資本剰余金 | 388,604,000 |
利益剰余金 | 992,154,000 |
その他有価証券評価差額金 | -1,116,000 |
評価・換算差額等 | -1,116,000 |
負債純資産 | 2,202,156,000 |
PL
売上原価 | 874,064,000 |
販売費及び一般管理費 | 584,012,000 |
受取利息、営業外収益 | 198,000 |
営業外収益 | 738,000 |
支払利息、営業外費用 | 28,000 |
その他、流動資産 | 3,162,000 |
営業外費用 | 1,805,000 |
特別利益 | 164,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 77,927,000 |
法人税等調整額 | -14,300,000 |
法人税等 | 63,626,000 |
PL2
当期変動額合計 | 223,776,000 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー | 84,751,000 |
受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー | -481,000 |
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー | 28,000 |
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,774,000 |
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 12,117,000 |
未払消費税等の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 5,388,000 |