財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-03-12 |
英訳名、表紙 | Kyowa Kirin Co., Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 宮本 昌志 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-5205-7200 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 当社は、加藤辨三郎を所長とする協和化学研究所設立(1937年)及びその母体である協和会設立(1936年)に端を発します。その後、同研究所の研究開発成果の事業化、政府の要請等により、協和化学興業株式会社設立(1939年)、東亜化学興業株式会社設立(1943年)となり、この両社は合併(1945年4月)して、終戦を機に会社名を協和産業株式会社と改称(1945年10月)しました。1949年7月企業再建整備法に基づき、協和産業(株)を解散し、その第二会社協和醱酵工業(株)(資本金5,000万円)を設立1949年8月当社株式を東京証券取引所に上場1951年4月米国のメルク社から「ストレプトマイシン」の製造技術を導入1956年9月発酵法によるグルタミン酸ソーダ製造法の発明とその企業化を公表1959年9月抗悪性腫瘍剤「マイトマイシン」を発売1981年4月協和メデックス(株)を設立1992年10月米国にKyowa Pharmaceutical, Inc.(現 Kyowa Kirin, Inc.)を設立2002年9月酒類事業をアサヒビール(株)に譲渡2003年2月米国にBioWa, Inc.を設立2004年4月化学品事業を協和油化(株)に分割承継し、協和油化(株)は商号を協和発酵ケミカル(株)に変更2005年4月食品事業を新設分割し、協和発酵フーズ(株)(後のキリン協和フーズ(株))を設立2008年4月株式交換によりキリンファーマ(株)が当社の完全子会社となり、キリンホールディングス(株)が当社の発行済株式総数の50.10%を保有する親会社となるまた、キリンファーマ(株)の子会社である麒麟鯤鵬(中国)生物薬業有限公司(現 協和麒麟(中国)製薬有限公司)、第一・キリン薬品(株)(現 韓国協和キリン(株))、麒麟薬品股份有限公司(現 台灣協和麒麟股份有限公司)他が当社の連結子会社となる2008年10月バイオケミカル事業を新設分割し、協和発酵バイオ(株)を設立キリンファーマ(株)を吸収合併し、商号を協和醱酵工業(株)から協和発酵キリン(株)に変更2011年1月キリン協和フーズ(株)の全株式をキリンホールディングス(株)に譲渡2011年3月協和発酵ケミカル(株)の全株式をケイジェイホールディングス(株)に譲渡2011年4月英国のProStrakan Group plc(現 Kyowa Kirin International plc)の全株式を取得し完全子会社化2012年3月富士フイルム(株)との合弁会社協和キリン富士フイルムバイオロジクス(株)(バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売)を設立2014年8月英国のArchimedes Pharma Limitedの全株式を取得し完全子会社化2018年1月協和メデックス(株)の株式の66.6%を日立化成(株)に譲渡(2021年4月に全残余持分を譲渡)2019年4月協和発酵バイオ(株)の株式の95%をキリンホールディングス(株)に譲渡(2023年1月に全残余持分を譲渡)2019年7月商号を協和発酵キリン(株)から協和キリン(株)に変更2022年4月東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所市場第一部からプライム市場に移行2024年1月英国のOrchard Therapeutics plcの全株式を取得し完全子会社化 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社は、当社、子会社35社、持分法適用会社12社及び親会社1社(キリンホールディングス株式会社)により構成されており、医薬に関係する事業を行っています。その主要な事業の内容及び当該事業における当社と主要な関係会社の位置付け等は、次のとおりです。 <主要な事業の内容> 当社は、医療用医薬品の製造及び販売を行っています。関係会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。 (注)本報告書において「当社グループ」という場合、特に断りのない限り、当社及び連結子会社(35社)を指すものとしています。 <事業系統図> |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 (1) 連結子会社名称住所資本金又は出 資 金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借及びその他(注1)協和キリンフロンティア(株)東京都千代田区百万円100医療用医薬品の製造・販売100.0有-当社が同社より製造及びサービスを受託-協和キリンプラス(株)東京都中野区百万円100請負業、卸小売業及び保険代理業100.0有-当社が同社にサービスを委託-(注1)Kyowa KirinUSA Holdings, Inc. 米国ニュージャージー州千米ドル76,300傘下子会社の統括・管理業務100.0有---(注1、5)Kyowa Kirin, Inc. 米国ニュージャージー州千米ドル0医療用医薬品の研究開発・販売(注2)100.0(100.0)無資金の貸付当社が同社に製品を販売-Kyowa Kirin Canada, Inc.カナダブリティッシュコロンビア州カナダドル100医療用医薬品の販売(注2)100.0(100.0)無---BioWa, Inc.米国ニュージャージー州千米ドル10,000抗体技術の導出(注2)100.0(100.0)有-当社が同社に技術等を供与-Kyowa Kirin International plc英国ガラシールズ千ポンド13,849傘下子会社の統括・管理業務100.0有---(注1)Kyowa Kirin Asia Pacific Pte. Ltd.シンガポール千シンガポールドル123,045傘下子会社の統括・管理業務医療用医薬品の販売100.0有資金の貸付当社が同社に製品を販売-(注1)協和麒麟(中国)製薬有限公司 中国上海市千米ドル29,800医療用医薬品の製造・販売(注2)100.0(100.0)有---韓国協和キリン(株)韓国ソウル市百万韓国ウォン2,200医療用医薬品の販売100.0有資金の貸付--台灣協和麒麟股份有限公司台湾台北市千台湾ドル262,450医療用医薬品の販売(注2)100.0(100.0)有資金の貸付--協和麒麟香港有限公司中国香港千香港ドル6,000医療用医薬品の開発・販売(注2)100.0(100.0)無資金の貸付--その他23社 (2) 持分法適用会社名称住所資本金又は出 資 金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借及びその他(注3)協和キリン富士フイルムバイオロジクス(株) 東京都千代田区百万円100バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売50.0有社債の引受当社が同社に技術を供与並びに同社より製造及びサービスを受託-KKI Grunenthal UK HoldCo Ltd 英国メイデンヘッドポンド100医療用医薬品の製造・販売49.0有---その他10社 (3) 親会社名称住所資本金又は出 資 金主要な事業の内容議決権の被 所 有割 合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借及びその他(注4)キリンホールディングス(株) 東京都中野区百万円102,046持株会社として、事業会社の事業活動の支配・管理53.8有資金の貸付--(注)1.特定子会社に該当しています。2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合を内数で記載したものです。3.債務超過会社であり、債務超過の額は2023年12月末時点で32,228百万円(日本基準)となっています。4.有価証券報告書を提出しています。5.Kyowa Kirin, Inc.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が10%を超えています。主要な損益情報等 (1)売上収益 144,531百万円(2)税引前損失 13百万円(3)当期利益 2,181百万円(4)資本合計 16,187百万円(5)資産合計 102,809百万円 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 (2023年12月31日現在)セグメントの名称従業員数(人)医薬5,974合計5,974(注)1.当社グループは、「医薬事業」の単一セグメントです。2.従業員数は、就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、執行役員及び臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の社員)は除いています。3.臨時従業員数については、その総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。 (2) 提出会社の状況 (2023年12月31日現在)従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)4,08243.016.59,447,246 セグメントの名称従業員数(人)医薬4,082合計4,082(注)1.従業員数は、就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、執行役員及び臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の社員)は除いています。2.臨時従業員数については、その総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。(3) 労働組合の状況 当社グループには、協和キリン労働組合が組織されており、2023年12月31日現在の組合員数は2,854人です。 労使は相互信頼を元に協力的な関係を維持しています。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 女性活躍推進は、少子高齢化に基づく生産年齢人口の減少が進む中で喫緊の課題とされ、政府の成長戦略の一つと位置付けられています。当社グループでは、社会からの期待に応えるとともに、多様性による企業競争力の観点から、女性社員のエンパワーメント、男性の家事・育児等への参画を推進しています。当社のこれまでの取組みが評価され、2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)に基づく、厚生労働大臣認定の評価(えるぼし「3段階目」)を取得し、2023年12月31日現在も維持しています。また、女性管理職比率や男性育児休業取得率も向上しています。 <「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に関連する当事業年度実績> 提出会社の状況は、以下のとおりです。(女性管理職比率)(2023年12月31日現在)女性管理職比率14.8%(注)当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含み算出しています。 (男女別の育児休業取得率)(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)男性 育児休業取得率女性 育児休業取得率105.9%105.1%(注)1.当社から社外への出向者及び社外から当社への出向者を除いて算出しています。2.育児休業には出生時育児休暇も含みます。3.当事業年度に出産した従業員数及び配偶者が出産した従業員数に対して、当事業年度に育児休業を取得した従業員数の割合を算出しています。なお、過年度に出産した従業員又は配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。 (男女の賃金差異)(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) 男性の賃金に対する女性の賃金の割合正社員76.3%パート・有期社員54.4%全従業員75.3%(注)1.当社では正社員/パート・有期社員のいずれにおいても、男女では賃金規程等の制度上、昇進・昇給等の運用上及び採用基準上の差を設けていません。2.正社員は、当社から社外への出向者、社外から当社への出向者及び執行役員を除いて算出しています。当社は、職群及び等級により異なる賃金水準を設定しています。等級及び職群毎の人数分布が男女で異なるため、男女の賃金差異が生じています。3.パート・有期社員は、臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等)を対象に算出しています。再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の雇用形態の区別による賃金の差異があります。比較的給与水準が低い雇用形態(契約社員やパートタイム)において女性の比率が高いため、男女の賃金差異が生じています。なお、パートタイマーについては若干名のため、フルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。4.賃金には、賞与及び基準外賃金を含んで算出しています。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針協和キリングループは、経営理念「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」を掲げています。この経営理念に謳う「新しい価値」を社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)と捉え、当社グループは、社会課題への取組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しています。また、協和キリングループで働く全ての人々が、行動の拠り所となる考え方や姿勢を示す中心概念の“Commitment to Life”と3つのキーワードで構成される価値観を、全員で共有、実践することで、社会から信頼される企業グループであり続けることを目指しています。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題製薬業界を取り巻く環境は、年々、大きく複雑に変化しています。世界中で薬剤費抑制の流れが加速し研究開発の難度が高まる中、新たなモダリティやAI創薬等の科学技術の進歩による創薬・開発の加速や効率化等が期待されています。そして、根治又は進行抑制への要求がさらに強まり、アンメットメディカルニーズに対する有効な治療薬が世界中から待ち望まれています。 協和キリンは2030年のビジョン実現に向けたマテリアリティ(重要経営課題)を選定し、2030年に向けたビジョン及びその達成に向けた戦略に沿って、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして成長を実現していきます。 (アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供)Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)等のグローバル戦略品の価値最大化に向けて、事業地域の拡大や市場浸透を進めていきます。グローバルに各機能部門や関係会社間の密接な連携体制を引き続き強化し、協和キリンブランドの新薬を、世界の患者さんにお届けしていきます。特にCrysvitaについては、米国での自社による販売拡大等を中心に、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めていきます。同時に、次世代グローバル戦略品であるKHK4083(一般名:rocatinlimab)、KHK4951(一般名:tivozanib)等の開発の推進、パイプライン充実に向けた、当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260、KK2269、ADCのKK2845等の初期開発品の研究開発及び新たなパイプラインの獲得に向けた活動強化等を通して、革新的な医薬品の継続的な創出に向けた戦略を実行していきます。今まで培った技術に関する蓄積と疾患に関する知見を融合することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指すために、研究・開発においては、「骨・ミネラル」「血液がん・難治性血液疾患」「希少疾患」を注力する疾患領域に設定し推進します。技術面では、先進的抗体技術やOrchard Therapeutics社が保有する造血幹細胞遺伝子治療技術の活用など、革新的なモダリティ*1を活用したプラットフォームを着実に築いていきます。これに加え、アカデミアやスタートアップ等との共同研究活動の継続、ベンチャーキャピタル/コーポレートベンチャーキャピタルファンド出資を介した情報への早期アクセスを融合し、進化したオープンイノベーション活動を通じて、イノベーションの加速と強化を推し進めます。このように生み出されたLife-changingな価値*2は、自社での価値提供に加え、他社との共同や完全導出などの戦略的パートナリングによって価値最大化を図っていきます。*1 モダリティ:構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類*2 Life-changingな価値:病気と向き合う人々の満たされていない医療ニーズを見出し、その課題を解決するための新たな薬やサービスを創造し、提供することで、患者さんが「生活が劇的に良くなった」と感じ笑顔になること (患者さんを中心においた医療ニーズへの対応)病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために「ペイシェントアドボカシー活動*3」をグローバルで連携して進めることで、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応を実現します。「医薬品アクセス基本方針*4」に則り、疾患啓発活動や患者さん支援ツールの提供なども通じて、アンメットメディカルニーズの解決に取組みます。そして、各国の患者支援団体等との関係維持強化を通して、グローバルで積極的に活動を推進し、患者さんや医療従事者の方々が解決を望んでいる課題や医療ニーズを収集して、病気と向き合う人々に笑顔をもたらすための活動を強化していきます。さらには、患者さんに笑顔を届けるために、より長期的な視点で、患者さんからのインサイトに基づく医薬品にとどまらない価値の創出についても取組みを進めます。当社の強みを活かせる領域で、蓄積されたデータの活用や、患者さんへの理解を深めることで、自社医薬品回りの課題解決に取組むと共に、キリングループが取組むヘルスサイエンスとのシナジーも活かし、医薬品にとどまらない新たな価値を創出していきます。*3 ペイシェントアドボカシー活動:患者コミュニティ及び医師コミュニティとの対話と連携により、社会の疾患に関する正しい理解を促進する活動。さらに、当社事業のバリューチェーン全体を通じてアンメットメディカルニーズの解決に取組み、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす活動*4 医薬品アクセス基本方針:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/patient/access_to_medicine/index.html (社会からの信頼獲得)当社は、医薬品という確かな品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努め、自社や委託先での生産における課題についても引き続き適切に対処していきます。また、国際基準や法令に従って「協和キリングループサプライヤー行動指針」を改正し、サステナブルな調達活動を強化していきます。また、世界規模の気候変動に対し、当社は「キリングループ環境ビジョン2050」と連動し、設備投資を含む継続的な省エネの推進、再生可能エネルギーの導入・拡大などにより、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目指し、次世代に引き継ぐ地球環境の保護に積極的に取組んでいきます。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を踏まえ、気候変動に関連するリスクと機会の管理や評価を行い、引き続き適切な情報開示を行っていきます。 (Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化)グローバルにビジネスを展開する中で事業基盤を確立し、製品価値の最大化・開発パイプラインの充実、製品安定供給など、持続的な成長を実現できる体制を整えます。Life-changingな価値実現のためのデジタルトランスフォーメーションとして掲げた「デジタルビジョン2030*5」のもと、オペレーショナルエクセレンスの実現と、DX推進基盤の強化を進めていきます。当社は、人的資本を競争力の源泉の一つと位置付け、「価値創造活動」を推進することがビジョンの実現につながると考えています。「患者さんの笑顔のため」という使命感と責任感のもと、高い専門性を持って変革に挑み続ける多様な人材の育成と輩出を目指し、社内環境の整備や企業文化の醸成に取組みます。人権に関する取組みとして、グループ人権基本方針*6に基づき、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施して人権尊重に向けた活動を更に推進していきます。また、コーポレートガバナンスについては、執行への権限委譲やCxOの拡充等、取締役会の実効性向上と執行体制の強化に努めていきます。*5 デジタルビジョン2030:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/human_resources_infrastructure/dx/index.html*6 人権基本方針:当社ウェブサイト https://www.kyowakirin.co.jp/csr/human_rights/index.html |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しています。4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しています。各地域の重要リスクへの対応については、日本リージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しています。また、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、半年間の活動状況のモニタリングを行っています。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されています。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しています。また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しています。 当社グループのリスクマネジメント体制(2022年4月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めています。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めています。 3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しています。また、重要リスクを中心に日本をはじめ、各地域とグローバル本社をつないだクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習(生成AI不正利用によるなりすまし、政情不安、人材流出など)、また組織ごとのクライシス・BCP演習(サイバー攻撃、生成AI利用による情報漏洩、自然災害、出荷停止など)の実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っています。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングに繋げるなど、急激な環境変化の中、全社的な課題に対して、平時のリスクマネジメントと有事のクライシスマネジメントを一貫して取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しています。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2021年4月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載していますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)及び抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)等をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めています。Crysvitaは、2023年4月に北米における自社販売を開始していますが、市場の拡大による売り上げ及び利益の増加が達成されるかについては引き続き注視していく必要があります。またグローバル戦略品全般のリスクとして、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めています。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取組んでいます。Crysvitaの北米における自社販売を開始していますが、引き続き、治療を必要とする患者さんの特定とコミュニケーション体制の充実、フィールド活動のモニタリング、並びに、それらの活動に携わるフィールドチームのさらなるレベルアップといった施策に対して万全の態勢で臨んでいきます。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しています。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、医薬品の保険償還価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においては革新的で、アンメットメディカルニーズに応える医薬品であることがステークホルダーからの高い評価を得るうえで重要になりますが、追加的有用性・革新性を有する新薬等の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品を確実にお届けするために、その医薬品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、価格設定については、各国制度に準拠しながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保に繋がるよう、事業への影響の評価も踏まえて検討しています。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、特に他社の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動した場合、さらには自社工場や委託先、原材料資材等の調達先を含むサプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や災害被害によって供給能力が維持できない場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の限定出荷等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報や外部環境変化に伴うニーズの動向を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ、事業計画に沿った調整を迅速かつ柔軟に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しています。またBCPの策定、リスクに応じた安全在庫保有方針の見直しのほか、業界に求められている自己点検の実施、客観的な安定供給指標の設定とモニタリング、需給計画のシステムによる可視化、さらには委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造並びに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めています。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めていますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。主な対策当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人と組織を作るべく、人事部門の2025年のありたい姿として描いた「Global Talent Management Basics for 2021-2025」の達成に向けた取組みを推進しています。これまでOne Kyowa Kirin体制を推進するグローバル共通の人事基盤整備として、具体的にはグローバルキーポジションとその人材要件の特定、グローバル共通のグレーディングの整備、リーダーシッププリンシパルの策定、グローバル人事システム(HRIS)の導入と機能拡充などを推し進めてきました。また、並行してグローバル全体のマネジメント体制強化のため、グローバルキーポジションのサクセッションプランを作成、人種、国籍、性別、年齢等に関係なく次世代リーダー候補をノミネートしており、さらに人材パイプラインの強化のために、サクセッサーごとの個別の育成計画(グローバルサクセッションプラン)を策定し、グローバルでの短期派遣による人材育成プログラム(グローバルエクスチェンジプログラム)などを通じて、計画的に人材育成を実施しています。また、グローバルHRビジネスパートナーが中心となり地域の枠を超えてタレントレビューを行い、グローバルレベルでの適所適材を実現していきます。上記取組みの浸透度や定着度は、従業員意識調査(Global Engagement And Motivation Survey)や企業文化改革に関する簡易調査等によりモニタリングしています。これら人事部門での各取組みについては、人事担当役員だけでなく他の機能を担当する役員も複数名委員として参画する人材育成委員会にて、より実効性ある取組みとなるように議論を行っています。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めています。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②グローバル戦略品であるCrysvita・Poteligeoを生み出した、これまでの疾患サイエンスを活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合することによる、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを積極的に取り込んでいます。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、グローバル候補品等の次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めています。自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れています。具体的事例として、2018年より開始した人工知能(AI)や機械学習のアプリケーションを有する米国のInveniAI社との共同研究を拡大しており、当社グループが独自に開発した次世代抗体技術に適合する新規標的探索、評価、最適化を実施中であることに加え、同社が有するAI技術プラットフォームへのアクセスも行うことで、研究開発のデジタルトランスフォーメーションを進めています。さらにベンチャーキャピタルファンド活動への出資を通じ、高機能ミトコンドリアを単離する独自技術を有するルカ・サイエンス(株)との協業を2022年から開始し、ミトコンドリア創薬技術開発を通じた、革新的な治療法の創成にも取組んでいます。また、アカデミアが有する最先端の創薬技術へのアクセスを一層強化することを目的に、東京工業大学生命理工学院との創薬技術開発を目的とした組織的連携を本年より開始しました。加えて、日本以外のグローバルでのイノベーションも取り込むため、海外のKyowa Kirin North America研究所を通じた世界有数の研究機関であるラホヤ免疫研究所(La Jolla Institute for Immunology)との連携強化、CVC(Corporate Venture Capital)活動の推進を引き続き実施しています。なお、2023年10月には英国に拠点をおく造血幹細胞遺伝子治療を専門とするOrchard Therapeutics社を買収する契約を締結しました。この買収を通じ、当社が有する創薬技術や経験と同社の造血幹細胞遺伝子治療技術を組み合わせることで、当社のビジョンであるLife-changingな価値を継続して創出するための研究開発力を大幅に強化していきます。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして経営目標の実現を図るために、当社グループは、「内部統制システム構築の基本方針」に従い、当社グループのコンプライアンス、リスクマネジメント、財務報告の適正性確保等について適切な体制を構築するとともに、その運用状況を取締役会で報告し、グループのガバナンス強化に取組んでいます。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策「リスクマネジメント」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、グループ全体のリスクを一元管理するITツールを導入し、各地域と本社をつないだグローバル及び国内外各地域におけるクライシス・BCP演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っています。特にグループ及びリージョンの重要リスクについては、それぞれグループCSR委員会及び各リージョンのCSR委員会で報告・モニタリングされ、その内容はそれぞれの取締役会に報告しています。また、The Institute of Internal Auditorsが提唱する3ラインモデルに準拠し、リスクに対する適切な対応を行う体制を確保しています。なお、コンプライアンスは「コンプライアンスに関するリスク」に、財務報告の適正性確保は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」にそれぞれ記載しています。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。主な対策品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動に関する情報を収集・共有し、迅速に意思決定を行う体制を構築しています。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っています。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、品質マネジメントシステムの電子化が完了しており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査、製造所管理等)の電子的管理を行っています。なお、品質保証部門と安全性管理部門は常に密に連携しており、品質に懸念が生じた場合は患者さんへの影響を速やかに評価し、また製品の安全性モニタリングの際には常に品質による影響を考慮し、患者さんへの健康被害を未然に防ぐ体制を構築しています。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しています。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにサステナブル調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、サステナブル調達の推進に取組んでおり,協和キリンのサステナブル調達の取組みをご理解頂くために、サプライヤーの皆様が参加してのオンライン説明会を定期開催しています。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「サプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「サプライヤー行動指針」に遵守することを取引契約書の条項に加えるとともに、「サプライヤー行動指針」の遵守状況を確認するためにアンケートを実施し、結果を公表しています。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っています。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と速やかに共有し協働してリスク低減を図っています。各地域で整備された調達機能・体制にて、リスク低減の取組みを実施しており、状況をモニタリングしています。2022年12月に制定した協和キリングループ人権基本方針に基づき、今後、人権デュー・デリジェンスの取組みも進めています。 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種ネットワークや情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、ネットワーク通信の盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信、PC端末の紛失などのリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。またクラウドサービスの利用増加により、外部サービス側でのセキュリティ事故(サービス自体が利用できなくなることを含む)が当社の事業継続に直接影響する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進め、インシデント発生時における対応体制を整備しています。また、セキュリティ業界の標準的なフレームワークを利用した外部評価を定期的に実施することで、客観的なリスク評価に基づく対応計画を策定し継続的な改善を図っています。さらに取引先に対してもモニタリングを実施し、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、各種リスク低減のための取組みを進めています。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを継続的に実施しているほか、従業員の情報セキュリティレベルを向上させるための、教育研修の定期的実施や、標的型攻撃メール訓練の実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点などを従業員向けセミナーやサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしています。また、クラウドサービス利用の制限があることを想定したBCP整備や演習を進めています。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、患者さんを中心においた活動のための患者団体等との交流や、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されています。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めています。各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しています。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、定期的に開催される各リージョナルCSR委員会やグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めています。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口も設けています。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っています。調査結果は、CSR委員会や取締役会にも報告しています。また、2021年より開始したグループコンプライアンス強化プロジェクトでは、「協和キリングループ行動規範」を補完する各グループ基本方針やグローバル製薬企業として遵守すべき各種法令等の領域をベースとした各主管部署における取組みの状況をモニタリングする仕組みや、グローバル本社を含む各リージョンのコンプライアンスプログラムに対する全社的なモニタリングの仕組みを整備しています。モニタリング結果に応じて、改善に向けた対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めていきます。 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めています。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しています。超大型台風の発生、首都直下型大地震などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めています。2021年に制定したオールハザード型のグローバルBCPガイドラインに基づき、様々な事象に対応できるよう、各地域での事業継続体制の強化も進めています。例として、高崎工場内に免震構造を有する新たな倉庫棟の建設を予定しています(2023年10月着工、2026年1月稼働開始予定)。 気候変動に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取組みを進めています。中期的には、省エネの取組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を加速させています。2020年以降、現時点までに高崎工場、富士事業場、宇部工場、及び本社の購入電力を100%、温室効果ガスを排出しないRE100適合の再生可能エネルギーに切り替えています。なお、宇部工場では2023年3月にオンサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルによる大規模太陽光発電設備(1.47MW)が稼働すると共に、同年4月に竣工した新事務所棟は、省エネルギー対策により一次エネルギー消費量を削減した上で再生可能エネルギー等を導入し、エネルギー収支を正味ゼロにすることを目標とした建築物に与えられるZEB(net Zero Energy Building)認証を、当社グループ及びキリングループで初めて取得しています。また、高崎工場では2022年12月に、新たな品質保証関連複合施設「Q-TOWER」が竣工しましたが、Q-TOWER建設では、工場であらかじめコンクリート部材を製作し現場で組み立てるPCaPC(Precast-Prestressed Concrete)工法を採用することにより建設時の環境負荷も低減しています。一方、海外の事業場(協和麒麟(中国)製薬有限公司)でも、新倉庫棟建設にあたり太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入を促進しています。当社グループのバリューチェーンにおけるGHG排出量(Scope3)については、GHGプロトコルに整合した環境省のガイドラインに従い15のカテゴリーに分け算定し、削減施策の初期仮説、並びにロードマップの初期案を策定しています。今後、Scope3削減に向けた中長期目標を設定すると共に、委託製造・サプライヤーと連携・協働し、削減に向けた施策を展開していきます。なお、環境パフォーマンスデータの内、特に気候変動並びに取水量については重要指標と捉えており、データの信頼性を担保するため第三者保証を取得しています。TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言については賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しています。 気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、代表取締役副社長が任命されています。気候変動におけるリスクや機会に関する課題や、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催される代表取締役副社長を委員長としたCSR委員会のグループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しています。なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しています。特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取組んでいます。 <戦略>パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めています。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図っていきます。一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えています。当分野の新規開発については、経営理念に基づき医療ニーズに応えていくため、継続して検討していきます。*1 パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標 <気候変動に関するリスク・機会と財務影響の分析> (分析条件)対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析*2 IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)*3 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定 <リスク・機会の管理>リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しています。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しています。 <指標と目標>2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、本目標の達成に向けロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っています。なお、2022年にはCO2排出量削減に向けた短期目標(2024年度CO2排出量削減目標:2019年比51%削減)も新たに策定しました。指標目標2022年実績活動計画1.CO2(Scope1*5+2)排出量51%削減(2024年/2019年比)42%削減(参考)排出量:30,162t-CO2国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)への転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。2.CO2(Scope1+2)排出量55%削減(2030年/2019年比)同上海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギー(RE100適合)の導入・拡大をする。3.使用電力の再生可能エネルギー比率100%(2040年)61.6%使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)100%化を目指す。4.バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量温室効果ガスネットゼロ(2050年)指標1~3の取り組みを通じて削減工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。 なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標*4を掲げています。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*5+Scope2で50%削減、Scope3で30%削減(SBT1.5℃目標承認取得済み)、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)とすることも設定(いずれも2020年に実施)しています。当社グループにおいても、キリングループと同様に2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ、及び2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化の達成を掲げ、キリングループと連携し取り進めると共にScope3排出量削減についても、継続して取組んでいきます。 なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/trust/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 *4 パリ協定が求めるGHG排出削減の水準と整合した科学的根拠に基づいた目標であるとして「SBTネットゼロ」の認定を取得。*5 Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1(直接排出量)、Scope2:(エネルギー起源の間接排出量)、Scope3(その他の間接排出量)から構成される。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、地政学リスク、カントリーリスク、感染症リスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 <事業の概況>地政学的リスクの高まり、原材料やエネルギーの価格高騰等、事業を取り巻く環境が大きく複雑に変化する中、アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供に向けて、研究開発、生産・物流の強化や情報収集・提供活動を行ってきました。2023年においても、引き続き、「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します。」という2030年に向けたビジョンの実現を目指し取組みを推進しました。Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)などのグローバル戦略品の価値最大化に向け、米国ではCrysvitaの自社販売を開始し、欧州ではエスタブリッシュト医薬品事業※1の合弁提携化によるCrysvita、Poteligeoへの集中を進めるとともに、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めました。次世代戦略品については、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら複数の臨床試験を継続して推進しました。日本においては、腎臓領域のRTA 402の開発中止を決定しましたが、透析中の慢性腎臓病における高リン血症の改善を適応症としたフォゼベルの製造販売承認を取得しました。当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260は臨床試験を開始し、KK2269もその準備を進めています。革新的な医薬品創出の重要なステップとして、造血幹細胞遺伝子治療(HSC-GT※2)のグローバルリーダーである英国Orchard Therapeutics社と買収契約を締結※3しました。確かな品質の医薬品の安定供給に向けて、高崎工場において、最新設備を導入した品質保証関連複合施設(Q-TOWER)を竣工し、新しいバイオ医薬原薬製造棟等の建設を開始しました。サステナブルな社会の実現に向けた取組みとして、再生可能エネルギー導入※4等によるCO2排出量を2019年比で約54%を削減しました。※1:主に特許期間が満了した先発医薬品及び後発医薬品を取り扱う事業※2:hematopoietic stem cell gene therapy※3:2024年1月24日付でOrchard Therapeutics社の株式取得(子会社化)を完了しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」をご覧ください。※4:工場2拠点、研究所3拠点の全ての購入電力にRE100基準の再生可能エネルギーを導入 (1)当期の財政状態の概況(単位:億円) 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産9,39910,259861非流動資産流動資産3,9775,4224,1486,111171689負債1,7711,895125資本7,6288,364736親会社所有者帰属持分比率(%)81.2%81.5%0.3% ◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ861億円増加し、10,259億円となりました。・非流動資産は、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴い、持分法で会計処理されている投資が増加したことに加えて、有形固定資産の増加や為替の円安影響によるのれんの増加等により、前連結会計年度末に比べ171億円増加し、4,148億円となりました。・流動資産は、売却目的で保有する資産の減少等がありましたが、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末に比べ689億円増加し、6,111億円となりました。◎ 負債は、契約負債の減少によるその他の非流動負債の減少等がありましたが、営業債務及びその他の債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ125億円増加し、1,895億円となりました。◎ 資本は、配当金の支払による減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上や為替影響による在外営業活動体の換算差額による増加等により、前連結会計年度末に比べ736億円増加し、8,364億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.3ポイント増加し、81.5%となりました。 (2)当期の経営成績の概況① 業績の概況当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用していますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しています。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しています。(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%売上収益3,9844,42243911.0%コア営業利益86796810111.6%税引前利益67697229743.9%親会社の所有者に帰属する当期利益53681227651.5% <期中 平均為替レート>通貨前連結会計年度当連結会計年度増減米ドル(USD/円)130円140円10円英ポンド(GBP/円)161円174円13円ユーロ(EUR/円)137円151円14円 当連結会計年度の売上収益は4,422億円(前期比11.0%増)、コア営業利益は968億円(同11.6%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は812億円(同51.5%増)となりました。 ◎ 売上収益は、北米を中心としたグローバル戦略品の伸長に加え、技術収入の増加により、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は189億円となりました。◎ コア営業利益は、研究開発費の増加や持分法による投資損益の減少がありましたが、海外売上収益や技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は65億円となりました。◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、コア営業利益の増益に加え、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴う子会社株式売却益及び残存持分評価益の計上等によるその他の収益の増加や、減損損失の減少等によるその他の費用の減少もあり、増益となりました。 ② 地域統括会社別の売上収益(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%日本1,4871,470△17△1.1%北米1,1261,37825222.4%EMEA669733659.7%アジア/オセアニア3013575518.3%その他4014848320.7%売上収益合計3,9844,42243911.0%(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4極の地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しています。2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等です。3.その他は、技術収入及び受託製造等です。 <主要製品の売上収益(日本)>(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」176140△36△20.6%ダーブロック66993451.5%ジーラスタ31131992.8%ロミプレート1041201514.6%クリースビータ891051618.4% ◎ 日本の売上収益は、腎性貧血治療剤ダーブロック等が伸長したものの、2022年4月及び2023年4月に実施された薬価基準引下げの影響等を受け、前連結会計年度に比べ減少しました。・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、2022年12月に自動投与デバイスであるボディーポッドを発売し、売上収益が前連結会計年度を上回りました。・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、2019年の既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を適応症とする承認の取得に加え、2023年9月に「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」を「再生不良性貧血」に変更する承認事項一部変更承認を取得し、市場浸透により売上収益が増加しています。・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。 <主要製品の売上収益(海外)>(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%Crysvita1,1821,42023720.1%Poteligeo2232846127.3%Nourianz65821827.4%Gran8269△13△15.4% ◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしています。・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年の発売以来、売上収益を伸ばしています。◎ EMEAの売上収益は、エスタブリッシュト医薬品の売上収益が減少しましたが、グローバル戦略品の伸長やTostranの権利譲渡による収入などにより、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。・エスタブリッシュト医薬品事業のGrünenthal社との合弁化に伴い、8月より13ブランドの売上収益が製品売上から売上ロイヤルティ及びライセンス利用料に移行したため、Abstral等のエスタブリッシュト医薬品の売上収益が減少しました。・エスタブリッシュト医薬品Tostranに関する権利のADVANZ PHARMA社への譲渡により10月に62.5百万ポンド(115億円)の売上収益を計上しました。◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前連結会計年度を上回りました。・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2022年11月に販売を開始したオーストラリアを中心に、売上収益を伸ばしています。・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、中国の一部の地域で始まった集中購買制度※の影響を受け売上収益が減少しました。※:中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。 <その他の売上収益> ◎ その他の売上収益は、前連結会計年度を上回りました。・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティが増加しました。 ③ コア営業利益◎ コア営業利益は、第Ⅲ相国際共同治験を実施中のKHK4083の開発進展等に伴う研究開発費の増加に加え、4月27日からの北米でのCrysvita自社販売開始に伴う人件費等の増加や持分法による投資損益の減少等がありましたが、北米を中心としたグローバル戦略品の伸長や技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ増益となりました。 (3)当期のキャッシュ・フローの概況「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりです。 (4)生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬145,37095.6合計145,37095.6(注)1.金額は販売価格によっています。2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っていません。 ② 受注実績当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っています。一部の製品で受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しています。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬442,233111.0合計442,233111.0(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)CVS Caremark社--46,92310.6(注)前連結会計年度におけるCVS Caremark社に対する売上収益は、連結損益計算書の売上収益の10%未満であるため、記載を省略しています。 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。 ② 当期の財政状態及び経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の財政状態の概況、 (2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりです。 ◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2021-2025年中期経営計画の財務指標の最終年度である2025年度の経営目標及び当連結会計年度の実績は、以下のとおりです。 2025年度経営目標当連結会計年度実績 ROE10%以上10.2%当期利益÷期首期末平均資本売上収益成長率(CAGR)10%以上11.6%2020年度を基準年度とした年平均成長率研究開発費率18~20%を目処に積極投資16.3%研究開発費÷売上収益コア営業利益率25%以上21.9%コア営業利益÷売上収益配当性向(注)40%を目処に継続増配35.5%7期連続の増配 (注)コアEPS(経常的な収益性を示す指標として、「当期利益」から「その他の収益」及び「その他の費用」並びにこれらに係る「法人所得税費用」を控除した「コア当期利益」を期中平均株式数で除して算定)に対する配当性向を記載しています。 当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めていくことにより、中長期的なROEの向上と継続増配を実現し、グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指しています。その目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「ROE」「売上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」「配当性向」の5つの財務指標(KPI)を掲げています。当連結会計年度は、Crysvita、Poteligeo等のグローバル戦略品の価値最大化に向け、米国ではCrysvitaの自社販売を開始し、欧州ではエスタブリッシュト医薬品事業の合弁提携化によるCrysvita、Poteligeoへの集中を進めるとともに、世界中の患者さんの医薬品へのアクセス向上に努めました。研究開発では、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083(一般名:rocatinlimab)の開発を米国Amgen社と連携しながら複数の臨床試験を継続して推進しました。日本においては、腎臓領域のRTA 402の開発中止を決定しましたが、透析中の慢性腎臓病における高リン血症の改善を適応症としたフォゼベルの製造販売承認を取得しました。これらの結果、売上収益は4,422億円と前連結会計年度に比べ439億円増加しました(売上収益成長率11.6%)。販売費及び一般管理費は1,631億円と前連結会計年度に比べ31億円減少した一方、研究開発費は721億円(研究開発費率16.3%)と前連結会計年度に比べ92億円増加しましたが、コア営業利益は968億円(コア営業利益率21.9%)と前連結会計年度に比べ101億円、当期利益は812億円と前連結会計年度に比べ276億円それぞれ増加し、過去最高益となりました。ROEは10.2%(前連結会計年度は7.1%)となりました。なお、当期末の剰余金の配当につきまして、1株につき29円とすることを取締役会で決議しました。2024年3月22日開催予定の第101回定時株主総会で承認されますと、中間配当金27円を加えた年間配当金は、前連結会計年度に比べ5円増配の年間56円(配当性向35.5%)と、7期連続の増配となる予定です。 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析◎ 当期のキャッシュ・フローの概況(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率%営業活動によるキャッシュ・フロー4871,156669137.4%投資活動によるキャッシュ・フロー△172△204△3218.6%財務活動によるキャッシュ・フロー△290△325△3512.1%現金及び現金同等物の期首残高3,3513,392411.2%現金及び現金同等物の期末残高3,3924,03163918.8% ◎ 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,392億円に比べ639億円増加し、4,031億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,156億円の収入(前連結会計年度は487億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前利益972億円に加えて、減価償却費及び償却費211億円、連結子会社からの外貨建預り金の期末における換算差額等の為替差損益132億円、減損損失及び減損損失戻入益108億円です。一方、主な支出要因は、子会社株式売却益及び残存持分評価益148億円、法人所得税の支払額86億円です。◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、204億円の支出(前連結会計年度は172億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出172億円や無形資産の取得による支出156億円です。一方、主な収入要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入78億円、関係会社社債の償還による収入50億円です。◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、325億円の支出(前連結会計年度は290億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額290億円です。 ◎ 資本政策の基本的な方針当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すための重要な財務指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、株主資本コストを安定的に上回る「10%以上」を早期に達成し、この水準を中長期的に維持向上させていくことを目標としています。このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりです。 ・経営資源の配分についての方針2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に考えています。 R&D投資については、2021-2025年中期経営計画においては、売上収益の18~20%を目処に研究開発費を継続的に積極投資することを目標としています。研究開発活動への資源投入としては、KHK4083、KHK4951等の次世代グローバル戦略品の開発の推進、パイプライン充実に向けた、当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260、KK2269、ADCのKK2845等の初期開発品の研究開発及び新たなパイプラインの獲得に向けた活動強化等を通して、革新的な医薬品の継続的な創出に向けた戦略を実行します。技術面では、先進的抗体技術や買収したOrchard社が保有する造血幹細胞遺伝子治療技術の活用など、革新的なモダリティを活用したプラットフォームを着実に築いていきます。当連結会計年度のR&D活動は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりです。 戦略投資については、オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーションの取り込みやパイプラインの獲得を目的として、戦略的なパートナリング活動(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取組み、中長期的なグローバルパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー創出を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指しています。これらの戦略的な成長投資に関しては、社長を中心に毎月開催している「戦略的投資検討会議」において具体的な案件の検討を継続的に行っています。次のような戦略投資案件を優先的な検討対象としています。① ポートフォリオ強化を目的とするライセンスイン、M&A投資・注力する疾患領域である骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患にプライオリティを置く② 新たな強みを創造するサイエンス・テクノロジーへの投資・新たなモダリティや初期パイプラインの獲得、協業やコラボレーションの加速を目的とした投資・情報探索、アクセスを目的としたVC(Venture Capital)投資・CVC(Corporate Venture Capital)活動当連結会計年度は、造血幹細胞遺伝子治療のグローバルリーダーであるOrchard社と買収契約(買収総額478百万米ドル)を締結し、2024年1月24日付で同社の買収を完了しました。 設備投資については、グローバル戦略品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤整備のための投資も積極的に実施しています。特に、医薬品という確かな品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努めています。また、戦略的なITデジタル活用基盤の構築・整備等により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えるグローバルな事業基盤の早期確立を目指しています。当連結会計年度は、232億円の設備投資(無形資産、長期前払費用を含む)を実行しました。確かな品質の医薬品の安定供給に向けて、高崎工場において、最新設備を導入した品質保証関連複合施設(Q-TOWER)を竣工(投資予定金額140億円)し、新しいバイオ医薬原薬製造棟(同168億円)や倉庫棟(同72億円)等の建設を開始しました。 これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の皆様が当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基準としています。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しています。・株主還元についての方針配当方針については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向(以下、「配当性向」)40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指しています。この方針に基づき、当連結会計年度は、2022年度より5円増配の56円(配当性向35.5%)の配当を予定しています。また、2024年度の配当については58円(配当性向47.6%)と、8期連続の増配を予定しています。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで機動的に検討する方針としており、2024年2月には、資本効率の向上及び株主還元の拡充のため、400億円(17百万株)を上限とする自己株式の取得及び消却を決定し、取得を開始しました。日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、成長性、イノベーション創出能力、収益性を高め、中長期的なROE向上と継続増配を目指していきます。 ・資金調達についての方針引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 (1) 技術導出契約会社名相手先国名契約の内容契約期間対価当社AstraZeneca社スウェーデンIL-5R抗体(一般名:ベンラリズマブ)の欧米並びに一部のアジア諸国における開発及び製造販売の許諾2006年12月18日から販売開始後10年又は特許有効期限末日までのいずれか長い期間契約一時金マイルストン収入一定料率のロイヤルティ当社AstraZeneca社スウェーデンIL-5R抗体(一般名:ベンラリズマブ)の日本における開発及び販売の許諾2015年7月1日から販売開始後10年間以降2年毎の自動更新契約一時金マイルストン収入一定料率のロイヤルティ当社AstraZeneca社スウェーデンIL-5R抗体(一般名:ベンラリズマブ)のアジア13ヵ国における開発及び販売の許諾2017年3月23日から販売開始後10年間以降2年毎の自動更新契約一時金マイルストン収入一定料率のロイヤルティ当社Amgen社米国KHK4083の共同開発及び日本以外での販売の許諾2021年6月1日から無期限契約一時金マイルストン収入一定料率のロイヤルティ当社AVEO Oncology社米国tivozanibの日本を含むアジア以外でのがん領域の開開発及び製造販売の許諾2006年12月21日から最後のロイヤルティ又はサブライセンス対価の配分の義務の満了まで一定料率のロイヤルティ (2) 技術導入契約開発品会社名相手先国名契約の内容契約期間対価当社Ardelyx社米国テナパノル塩酸塩(開発番号:KHK7791)の日本における開発及び販売の許諾2017年11月27日からロイヤルティ支払期間満了まで契約一時金マイルストン支出一定料率のロイヤルティ当社AVEO Oncology社米国tivozanib(開発番号:KHK4951)の非がん領域の権利の買戻し2019年8月1日から各国でのロイヤルティ支払期間満了まで契約一時金マイルストン支出一定料率のロイヤルティ(注)Reata Pharmaceuticals Holdings社とのバルドキソロンメチル(開発番号:RTA 402)の日本を含むアジア地域における開発及び販売に関する契約につきましては、開発中止の決定により重要性が乏しくなったため記載を省略しています。 販売品会社名相手先国名契約の内容契約期間対価当社Amgen K-A社米国G-CSF(製品名:グラン・ジーラスタ)の製造販売の許諾1986年7月1日からAmgen K-A社の存続期間(無期限)一定料率のロイヤルティ当社Takeda Pharmaceuticals U.S.A.社米国カルシウム受容体作動薬(製品名:レグパラ)の開発及び製造販売の許諾1995年6月30日から販売開始後10年又は特許有効期限末日までのいずれか長い期間(その後、当社が販売を継続する権利を有する)マイルストン支出一定料率のロイヤルティ当社Amgen K-A社米国持続型赤血球造血刺激因子(製品名:ネスプ)の製造販売の許諾1996年3月1日からAmgen K-A社の存続期間(無期限)一定料率のロイヤルティ当社Amgen K-A社米国血小板造血刺激因子製剤(製品名:ロミプレート)の製造販売の許諾2005年7月1日からAmgen K-A社の存続期間(無期限)一定料率のロイヤルティ当社田辺三菱製薬(株)日本カルシウム受容体作動薬(製品名:オルケディア)の共同研究及びアジア5ヵ国における開発、製造販売の許諾2008年3月27日から販売開始後10年又は特許有効期限末日までのいずれか長い期間(その後、当社グループが販売を継続する権利を有する)契約一時金マイルストン収入・支出一定料率のロイヤルティ当社Amgen K-A社米国ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤(製品名:ルミセフ)の製造販売の許諾2010年10月29日からAmgen K-A社の存続期間(無期限)一定料率のロイヤルティ当社大塚製薬(株)及びAstraZeneca社日本及び英国糖尿病治療剤(製品名:オングリザ)の開発及び販売の許諾2012年6月29日から特許有効期限末日まで(その後、当社が販売を継続する権利を有する)契約一時金マイルストン支出一定料率のロイヤルティ (注)AstraZeneca社とのオピオイド誘発性便秘治療剤(製品名:Moventig)の欧州における開発及び販売に関する契約につきましては、Grünenthal社とのエスタブリッシュト医薬品合弁化に関する提携契約により当該合弁会社に販売が移管され重要性が乏しくなったため記載を省略しています。 (3) 販売契約会社名相手先国名契約の内容契約期間当社ノバルティスファーマ(株)日本抗アレルギー点眼剤(製品名:パタノール)に関する共同販売促進契約2006年6月27日から日本での販売終了時まで当社久光製薬(株)日本経皮吸収型持続性疼痛治療剤(製品名:フェントス)に関する共同販売契約2008年6月18日から販売終了時まで当社LEO Pharma社デンマーク尋常性乾癬治療剤(外用剤)(製品名:ドボベット)に関する販売提携契約2013年12月19日から相手方と合意した期間の満了まで当社サンド(株)日本抗悪性腫瘍剤(製品名:リツキシマブBS「KHK」)に関する販売契約2015年12月24日から販売開始後10年間以降両社が合意した場合に限り2年毎の自動更新当社久光製薬(株)日本パーキンソン病治療剤(経皮吸収剤)(製品名:ハルロピ)に関する販売契約2019年2月5日から販売終了時まで当社グラクソ・スミスクライン(株)日本腎性貧血治療剤(経口剤)(製品名:ダーブロック)の販売提携契約契約締結日より、相手方と合意した期間の満了まで(注)Orexo社との癌疼痛治療剤(舌下錠)(製品名:Abstral)に関する販売に関する契約につきましては、Grünenthal社とのエスタブリッシュト医薬品合弁化に関する提携契約により当該合弁会社に販売が移管され重要性が乏しくなったため記載を省略しています。 (4) 協業契約会社名相手先国名契約の内容契約期間当社Ultragenyx社米国抗FGF23完全ヒト抗体(製品名:Crysvita)に関する共同開発及び共同販売契約2013年8月29日から販売終了時まで (5) 合弁契約会社名相手先国名契約の内容出資額合弁会社名設立年月当社富士フイルム(株)日本バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売に関する合弁契約当社 50百万円富士フイルム(株) 50百万円協和キリン富士フイルムバイオロジクス(株)(資本金100百万円)2012年3月 (6) キリンホールディングス株式会社との統合契約会社名相手先国名契約の内容契約締結日当社キリンホールディングス(株)日本当社グループとキリングループの戦略的提携に関する基本契約2007年10月22日 (7) その他会社名相手先国名契約の内容契約締結日Kyowa Kirin International plcGrünenthal社ドイツエスタブリッシュト医薬品合弁化に関する提携契約(注1)2022年11月23日当社Orchard Therapeutics社英国Orchard Therapeutics社の株式取得に関する契約(注2)2023年10月5日(注)1.詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 27.子会社株式の譲渡」に記載のとおりです。2.詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」に記載のとおりです。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しています。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患にonly-one value drugを提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しています。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は721億円であり、主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。(◆は当第4四半期連結会計期間の進捗) 腎領域KHK7580(日本製品名:オルケディア)・中国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請中です(2022年7月申請)。◆11月に韓国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認を取得しました。 KW-3357(日本製品名:アコアラン)◆日本において妊娠高血圧腎症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しましたが、臨床試験結果を踏まえ開発中止を決定しました。 KHK7791(日本製品名:フォゼベル)・9月に日本において透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とする製造販売承認を取得しました。 がん領域KRN125(日本製品名:ジーラスタ)・7月に日本において自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。 免疫・アレルギー疾患領域KHK4827(日本製品名:ルミセフ)・日本において全身性強皮症を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請中です(2021年12月申請)。・8月に日本において掌蹠膿疱症を適応症とする承認事項一部変更承認を取得しました。 その他AMG531(日本製品名:ロミプレート)・9月に日本において既承認効能の「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」を「再生不良性貧血」に変更する承認事項一部変更承認を取得しました。 開発パイプライン一覧 (注)2023年12月31日からの主な進捗は、次のとおりです。・がん領域のKK2269は、2024年1月に日本・北米における固形がんを対象とする第Ⅰ相試験を開始しました。・その他の領域のKHK4951(一般名:tivozanib)は、2024年1月に日本・北米・韓国・オーストラリアにおける糖尿病黄斑浮腫を対象とする第Ⅱ相試験を開始しました。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当社グループは、生産設備の拡充・合理化及び研究開発力の強化などを目的とする設備投資を継続的に実施しています。 当連結会計年度中において実施しました当社グループの設備投資の総額(使用権資産は含まず)は16,482百万円であり、主なものは、当連結会計年度に完成した当社における高崎工場品質保証関連複合施設です。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりです。(1) 提出会社(2023年12月31日現在) 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計高崎工場(群馬県高崎市)医薬医薬品の製造設備18,3287,453374(142,135)4,02330,177546宇部工場(山口県宇部市)医薬医薬品の製造設備5,0151,6963,150(105,968)38810,249208バイオ生産技術研究所(群馬県高崎市)医薬医薬品の研究設備8303-(-)1,3342,166154東京リサーチパーク(東京都町田市)医薬医薬品の研究設備2,69073,366(34,707)1,4537,517161富士リサーチパーク(静岡県駿東郡長泉町)医薬医薬品の研究設備4,57645252(82,245)1,3236,195289CMC研究センター(静岡県駿東郡長泉町)医薬医薬品の研究設備1,722460-(-)6562,838177本社(東京都千代田区)医薬管理設備等3,3218441,247(2,325)2765,6881,259(注)1.帳簿価額は、建設仮勘定を除く有形固定資産の帳簿価額です。2.本社の「建物及び構築物」「機械装置及び運搬具」及び宇部工場の「土地」等には、使用権資産が含まれています。 (2) 国内子会社該当事項はありません。 (3) 在外子会社(2023年12月31日現在) 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計Kyowa Kirin, Inc.ラホヤ研究施設(米国カリフォルニア州)医薬医薬品の研究設備2,821-4,578(13,059)1907,58948協和麒麟(中国)製薬有限公司本社工場(中国上海市)医薬医薬品の製造設備1,542493-(-)212,056298(注)1.帳簿価額は、建設仮勘定を除く有形固定資産の帳簿価額です。2.Kyowa Kirin, Inc.の「土地」は、使用権資産です。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 当社グループの当連結会計年度末現在における重要な設備の新設、拡充等の計画は、次のとおりです。 なお、重要な設備の除却、売却等の計画はありません。会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定金額(注)着手及び完了予定総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了当社高崎工場(群馬県高崎市)医薬バイオ医薬原薬製造棟新設16,7601,0382022年11月2025年3月当社高崎工場(群馬県高崎市)医薬倉庫棟新設7,2001232023年10月2025年10月(注)上記計画の所要資金は、自己資金により賄う予定です。 |
研究開発費、研究開発活動 | 72,100,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 16,482,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 43 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 17 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 9,447,246 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式について、純投資目的株式には専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とするものを区分し、純投資目的以外の目的である投資株式には中長期的な企業価値の向上に寄与すると政策的に判断した株式を区分しています。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は「協和キリン株式会社 コーポレートガバナンス・ポリシー」において、政策保有株式について以下のように定めています。・当社グループは、政策保有株式を原則保有しない。但し、当社グループにとって中長期的な企業価値の向上に資すると認められる銘柄のみ保有することができる。・当社は、個別の政策保有株式の保有の合理性について毎年取締役会にて検証を行い、保有意義の薄れてきた銘柄については、取引先等との対話・交渉を実施しながら、政策保有株式の縮減を進める。・当社は、政策保有株式の議決権行使に当たっては、当該企業の企業価値の向上に資するものであるか、また、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるかを勘案し、議案ごとに賛否を判断のうえ、適切に議決権を行使する。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式51,507非上場株式以外の株式22,547 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式1-事業における提携関係の強化のため取得しました。非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式24,229非上場株式以外の株式-- c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由(注)当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)Ardelyx社2,873,5632,873,563技術導入契約を締結しており、事業における提携関係の強化のため保有しています。無2,5061,087(株)ほくやく・竹山ホールディングス52,00052,000医薬品販売等における円滑な取引関係の維持のため保有しています。有4132(注)定量的な保有効果につきましては記載が困難ですが、当社保有の政策保有株式について、配当及び取引額等に加え、戦略上の重要性や事業上の関係等を総合的に勘案したうえで、取締役会において保有の合理性を検証しています。 みなし保有株式該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,507,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2,547,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 52,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 41,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 事業における提携関係の強化のため取得しました。 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | (株)ほくやく・竹山ホールディングス |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 有 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 (2023年12月31日現在) 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合 (%) キリンホールディングス(株)東京都中野区中野四丁目10番2号288,81953.72 日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口)東京都港区浜松町二丁目11番3号58,46210.87 (株)日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海一丁目8番12号25,6004.76 ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505223(常任代理人 (株)みずほ銀行決済営業部)P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS 02101 U.S.A.(東京都港区港南二丁目15番1号)8,9361.66 ステート ストリート バンク ウェスト クライアント トリーティー 505234(常任代理人 (株)みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南二丁目15番1号)5,8441.09 SMBC日興証券(株)東京都千代田区丸の内三丁目3番1号5,2100.97 JPモルガン証券(株)東京都千代田区丸の内二丁目7番3号5,1420.96 ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505025(常任代理人 (株)みずほ銀行決済営業部)P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS 02101 U.S.A.(東京都港区港南二丁目15番1号)3,4730.65 ジェーピー モルガン チェース バンク 385781(常任代理人 (株)みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南二丁目15番1号)3,3820.63 第一生命保険(株)(常任代理人 (株)日本カストディ銀行)東京都千代田区有楽町一丁目13番1号(東京都中央区晴海一丁目8番12号)2,9200.54 計407,78875.85 |
株主数-金融機関 | 64 |
株主数-金融商品取引業者 | 48 |
株主数-外国法人等-個人 | 64 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 697 |
株主数-個人その他 | 33,012 |
株主数-その他の法人 | 499 |
株主数-計 | 34,384 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 第一生命保険(株)(常任代理人 (株)日本カストディ銀行) |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式3,81010,326,715当期間における取得自己株式7421,837,155(注)1.単元未満株式の買取りによるものです。2.「当期間における取得自己株式」には、2024年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めていません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -10,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年3月12日協和キリン株式会社 取 締 役 会 御 中 有限責任 あずさ監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士神 塚 勲 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石 井 伸 幸 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている協和キリン株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表注記について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、協和キリン株式会社及び連結子会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項 連結財務諸表注記35.後発事象に記載されているとおり、会社は2024年2月7日開催の取締役会において自己株式の取得及び自己株式の消却を行うことを決議している。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 協和キリン株式会社の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、無形資産62,918百万円が計上されており、連結財務諸表注記「7. のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうち7,367百万円は研究開発段階にある製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した研究開発に係る権利としての仕掛研究開発費である。また、当連結会計年度において、主にバルドキソロンメチル(開発番号:RTA402)の開発中止の決定による仕掛研究開発費の減損損失が8,275百万円計上されている。 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (7) 無形資産」に記載のとおり、仕掛研究開発費は償却が開始されていない無形資産に該当するため、個別資産ごとに毎期(第4四半期中)及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 仕掛研究開発費は、主に製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した無形資産のうち、研究開発等の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないものである。これらは、取得時において事業価値の評価が行われた上で投資意思決定がなされているが、その後の研究開発の過程で、期待どおりの有効性・安全性が認められない場合等、取得時の事業価値評価の前提とした状況から開発コストの見積総額、開発成功確率、将来の販売予測等が大きく変わる可能性がある。その結果、事業継続の経済的合理性が引き続き見込まれる場合には開発が継続される一方、経済的合理性が見込まれなくなった場合には、開発が中止されるリスクがある。このため、経営者による適切な開発状況のモニタリングに基づいた研究開発プロジェクトの継続可否判断の妥当性が、仕掛研究開発費の減損判定に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価 仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に、最新の開発状況を考慮して継続可否の判断が行われていることを担保する統制に焦点を当てた。(2)プロジェクト継続可否判断の妥当性の評価 仕掛研究開発費のうち一定の金額的重要性を有する資産について、経営者による仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクトの継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。●取得時における各プロジェクトの事業価値の評価の前提を理解するため、取締役会資料等の関連資料を閲覧した。●製品戦略部及びグローバル製品戦略部における各プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、取得時の事業価値評価の前提とした状況からの変化の有無について、主に以下の観点から質問した。・開発コストの見積総額に影響を与える、計画に照らした開発進捗状況、計画からのコスト増加要因の有無、及び臨床試験計画の変更要否・開発成功確率に関連する最新の臨床試験結果における有効性・安全性の評価・将来の販売予測の前提となる、承認取得予定時期、想定薬価、適応疾患に係る推定患者数、及び他社による競合品の開発状況●プロジェクトの進捗状況のモニタリングに係る会議資料の議事録及び関連資料を閲覧した。●各プロジェクトの継続可否判断と、上記のプロダクト担当者からの質問に対する回答内容との整合を確認した。 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上収益442,233百万円には、技術収入が41,860百万円含まれている。このうち8,073百万円は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (17) 共同開発及び共同販売」に記載のとおり、協和キリン株式会社がAmgen社と2021年12月期に締結したKHK4083の技術導出契約(以下「本契約」という。)から生じた収益である。 協和キリン株式会社は、本契約に規定される活動を技術導出取引又は共同開発と特定し、技術導出取引についてIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用している。その上で、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (16) 収益」に記載のとおり、契約における履行義務を識別し、収益を顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる取引価格の金額で認識している。 本契約に係る会計処理においては、特にIFRS第15号の適用対象とした技術導出取引の収益認識において、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性について慎重な検討が必要となる。 測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性の検討には、経営者の主観性を伴うこと、及び一定期間にわたって充足される履行義務の正確かつ網羅的な理解が必要となることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。また、測定方法の選択及び進捗度の測定値が各期の収益の計上額に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価 収益認識の適切性に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に、履行義務の正確かつ網羅的な理解に基づいた収益認識の検討がなされていることを担保する統制に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び進捗度の測定値の合理性について、主に以下の手続を実施した。●関連する取締役会及び経営戦略会議の資料を閲覧した。●経営者及び研究開発プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、履行義務に係る進捗度の測定値に関して質問し、回答内容と収益認識の前提とした事象の整合性を確認した。●履行義務に係る進捗度の測定方法に関する経営者の選択が、財又はサービスの支配の移転時期を適切に表していることについて、上記の手続の結果得られた監査人の理解との整合性を確認した。また、考えられる他の測定方法と比較検証し、経営者の選択が適切であることを確認した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、協和キリン株式会社の2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、協和キリン株式会社が2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (※) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しています。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 協和キリン株式会社の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、無形資産62,918百万円が計上されており、連結財務諸表注記「7. のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうち7,367百万円は研究開発段階にある製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した研究開発に係る権利としての仕掛研究開発費である。また、当連結会計年度において、主にバルドキソロンメチル(開発番号:RTA402)の開発中止の決定による仕掛研究開発費の減損損失が8,275百万円計上されている。 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (7) 無形資産」に記載のとおり、仕掛研究開発費は償却が開始されていない無形資産に該当するため、個別資産ごとに毎期(第4四半期中)及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 仕掛研究開発費は、主に製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した無形資産のうち、研究開発等の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないものである。これらは、取得時において事業価値の評価が行われた上で投資意思決定がなされているが、その後の研究開発の過程で、期待どおりの有効性・安全性が認められない場合等、取得時の事業価値評価の前提とした状況から開発コストの見積総額、開発成功確率、将来の販売予測等が大きく変わる可能性がある。その結果、事業継続の経済的合理性が引き続き見込まれる場合には開発が継続される一方、経済的合理性が見込まれなくなった場合には、開発が中止されるリスクがある。このため、経営者による適切な開発状況のモニタリングに基づいた研究開発プロジェクトの継続可否判断の妥当性が、仕掛研究開発費の減損判定に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価 仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に、最新の開発状況を考慮して継続可否の判断が行われていることを担保する統制に焦点を当てた。(2)プロジェクト継続可否判断の妥当性の評価 仕掛研究開発費のうち一定の金額的重要性を有する資産について、経営者による仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクトの継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。●取得時における各プロジェクトの事業価値の評価の前提を理解するため、取締役会資料等の関連資料を閲覧した。●製品戦略部及びグローバル製品戦略部における各プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、取得時の事業価値評価の前提とした状況からの変化の有無について、主に以下の観点から質問した。・開発コストの見積総額に影響を与える、計画に照らした開発進捗状況、計画からのコスト増加要因の有無、及び臨床試験計画の変更要否・開発成功確率に関連する最新の臨床試験結果における有効性・安全性の評価・将来の販売予測の前提となる、承認取得予定時期、想定薬価、適応疾患に係る推定患者数、及び他社による競合品の開発状況●プロジェクトの進捗状況のモニタリングに係る会議資料の議事録及び関連資料を閲覧した。●各プロジェクトの継続可否判断と、上記のプロダクト担当者からの質問に対する回答内容との整合を確認した。 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上収益442,233百万円には、技術収入が41,860百万円含まれている。このうち8,073百万円は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (17) 共同開発及び共同販売」に記載のとおり、協和キリン株式会社がAmgen社と2021年12月期に締結したKHK4083の技術導出契約(以下「本契約」という。)から生じた収益である。 協和キリン株式会社は、本契約に規定される活動を技術導出取引又は共同開発と特定し、技術導出取引についてIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用している。その上で、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (16) 収益」に記載のとおり、契約における履行義務を識別し、収益を顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる取引価格の金額で認識している。 本契約に係る会計処理においては、特にIFRS第15号の適用対象とした技術導出取引の収益認識において、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性について慎重な検討が必要となる。 測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性の検討には、経営者の主観性を伴うこと、及び一定期間にわたって充足される履行義務の正確かつ網羅的な理解が必要となることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。また、測定方法の選択及び進捗度の測定値が各期の収益の計上額に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価 収益認識の適切性に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に、履行義務の正確かつ網羅的な理解に基づいた収益認識の検討がなされていることを担保する統制に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び進捗度の測定値の合理性について、主に以下の手続を実施した。●関連する取締役会及び経営戦略会議の資料を閲覧した。●経営者及び研究開発プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、履行義務に係る進捗度の測定値に関して質問し、回答内容と収益認識の前提とした事象の整合性を確認した。●履行義務に係る進捗度の測定方法に関する経営者の選択が、財又はサービスの支配の移転時期を適切に表していることについて、上記の手続の結果得られた監査人の理解との整合性を確認した。また、考えられる他の測定方法と比較検証し、経営者の選択が適切であることを確認した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社の当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上収益442,233百万円には、技術収入が41,860百万円含まれている。このうち8,073百万円は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (17) 共同開発及び共同販売」に記載のとおり、協和キリン株式会社がAmgen社と2021年12月期に締結したKHK4083の技術導出契約(以下「本契約」という。)から生じた収益である。 協和キリン株式会社は、本契約に規定される活動を技術導出取引又は共同開発と特定し、技術導出取引についてIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用している。その上で、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (16) 収益」に記載のとおり、契約における履行義務を識別し、収益を顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる取引価格の金額で認識している。 本契約に係る会計処理においては、特にIFRS第15号の適用対象とした技術導出取引の収益認識において、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性について慎重な検討が必要となる。 測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性の検討には、経営者の主観性を伴うこと、及び一定期間にわたって充足される履行義務の正確かつ網羅的な理解が必要となることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。また、測定方法の選択及び進捗度の測定値が各期の収益の計上額に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (17) 共同開発及び共同販売」 |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (16) 収益」 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1)内部統制の評価 収益認識の適切性に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に、履行義務の正確かつ網羅的な理解に基づいた収益認識の検討がなされていることを担保する統制に焦点を当てた。(2)収益認識の適切性の評価 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性を評価するため、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び進捗度の測定値の合理性について、主に以下の手続を実施した。●関連する取締役会及び経営戦略会議の資料を閲覧した。●経営者及び研究開発プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、履行義務に係る進捗度の測定値に関して質問し、回答内容と収益認識の前提とした事象の整合性を確認した。●履行義務に係る進捗度の測定方法に関する経営者の選択が、財又はサービスの支配の移転時期を適切に表していることについて、上記の手続の結果得られた監査人の理解との整合性を確認した。また、考えられる他の測定方法と比較検証し、経営者の選択が適切であることを確認した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年3月12日協和キリン株式会社 取 締 役 会 御 中 有限責任 あずさ監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士神 塚 勲 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石 井 伸 幸 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている協和キリン株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの第101期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、協和キリン株式会社の2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項 注記事項の重要な後発事象に記載されているとおり、会社は2024年2月7日開催の取締役会において自己株式の取得及び自己株式の消却を行うことを決議している。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 協和キリン株式会社の当事業年度の損益計算書に計上されている売上収益277,161百万円のうち、8,073百万円は協和キリン株式会社がAmgen社と2021年12月期に締結したKHK4083の技術導出契約(以下「本契約」という。)から生じた収益である。 協和キリン株式会社は、本契約に規定される活動を技術導出取引又は共同開発と特定し、技術導出取引について「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用し、契約における履行義務を識別し、収益を顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる取引価格の金額で認識している。 本契約に係る会計処理においては、特に技術導出取引の収益認識において、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性について慎重な検討が必要となる。 測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性の検討には、経営者の主観性を伴うこと、及び一定期間にわたって充足される履行義務の正確かつ網羅的な理解が必要となることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。また、測定方法の選択及び進捗度の測定値が各期の収益の計上額に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 連結財務諸表の監査報告書において、「KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断し、監査上の対応について記載している。 当該記載内容は、個別財務諸表監査における監査上の対応と実質的に同一の内容であることから、監査上の対応に関する具体的な記載を省略する。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (※) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しています。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 協和キリン株式会社の当事業年度の損益計算書に計上されている売上収益277,161百万円のうち、8,073百万円は協和キリン株式会社がAmgen社と2021年12月期に締結したKHK4083の技術導出契約(以下「本契約」という。)から生じた収益である。 協和キリン株式会社は、本契約に規定される活動を技術導出取引又は共同開発と特定し、技術導出取引について「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用し、契約における履行義務を識別し、収益を顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる取引価格の金額で認識している。 本契約に係る会計処理においては、特に技術導出取引の収益認識において、一定期間にわたって充足される履行義務に係る進捗度の測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性について慎重な検討が必要となる。 測定方法の選択及び履行義務を完全に充足する時期を含む進捗度の測定値の合理性の検討には、経営者の主観性を伴うこと、及び一定期間にわたって充足される履行義務の正確かつ網羅的な理解が必要となることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。また、測定方法の選択及び進捗度の測定値が各期の収益の計上額に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 連結財務諸表の監査報告書において、「KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断し、監査上の対応について記載している。 当該記載内容は、個別財務諸表監査における監査上の対応と実質的に同一の内容であることから、監査上の対応に関する具体的な記載を省略する。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | KHK4083の技術導出取引に係る収益認識の適切性 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
商品及び製品 | 39,037,000,000 |
仕掛品 | 13,021,000,000 |
原材料及び貯蔵品 | 13,895,000,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 7,145,000,000 |
土地 | 4,452,000,000 |
建設仮勘定 | 8,528,000,000 |
有形固定資産 | 67,992,000,000 |
無形固定資産 | 18,050,000,000 |
投資有価証券 | 5,920,000,000 |
長期前払費用 | 4,929,000,000 |
繰延税金資産 | 33,585,000,000 |
投資その他の資産 | 201,888,000,000 |
BS負債、資本
未払金 | 51,969,000,000 |