財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-03-08
英訳名、表紙KAGOME CO., LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長 山口 聡
本店の所在の場所、表紙名古屋市中区錦三丁目14番15号
電話番号、本店の所在の場所、表紙(052)951-3571
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIIFRS
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
年月概要1899年創業者蟹江一太郎西洋野菜の栽培に着手、最初のトマトの発芽を見る1903年トマトソース(現在のトマトピューレー)の製造・販売を開始1908年トマトケチャップ・ウスターソースの製造・販売を開始1914年12月愛知トマトソース製造合資会社(現カゴメ㈱)設立1917年4月カゴメ印商標登録 1919年6月上野工場竣工、製造設備を近代化1923年4月愛知トマト製造株式会社に改組1933年8月トマトジュースを発売1949年4月東京連絡所(現東京支社)開設7月大阪出張所(現大阪支店)開設8月 愛知トマト製造㈱、愛知海産興業㈱、滋賀罐詰㈱、愛知商事㈱、愛知罐詰興業㈱の関係5社を事業強化目途に合併、愛知トマト株式会社を設立1961年4月カゴメビル㈱(現カゴメアクシス㈱、現連結子会社)を本社ビル管理会社として設立7月栃木工場(現那須工場)竣工1962年6月茨城工場竣工7月本社販売課を分離し、名古屋支店を開設9月研究所開設(現イノベーション本部)1963年4月カゴメ株式会社に社名変更1967年10月台湾可果美股份有限公司(現連結子会社)を合弁・設立、海外トマト原料調達に着手1968年7月富士見工場竣工1971年3月カゴメ興業㈱(カゴメ物流サービス㈱)を物流子会社として設立1972年4月東京本部(現東京本社)開設1976年11月名古屋証券取引所市場第二部に株式上場1978年9月名古屋証券取引所市場第一部に指定替11月東京証券取引所市場第一部に株式上場1983年5月ブランドマークをに変更 1991年6月東京本部を東京本社に改称し、2本社制に移行1995年2月野菜飲料「野菜生活100」を発売1998年1月KAGOME INC.(現連結子会社、米国カリフォルニア州)設立7月現在地(東京都中央区日本橋浜町三丁目21番1号日本橋浜町Fタワー)に東京本社を移転2000年1月企業理念(「感謝」「自然」「開かれた企業」)を発表2005年8月可果美(杭州)食品有限公司(連結子会社)設立(2017年 清算結了)2010年7月 Kagome Australia Pty Ltd.(現連結子会社 オーストラリア ビクトリア州)及びその連結子会社2社を設立2017年12月Kagome Senegal Sarl(現連結子会社)設立2020年10月カゴメアグリフレッシュ㈱(現連結子会社)設立2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部からプライム市場へ移行2022年9月DXAS Agricultural Technology Lda(現連結子会社)設立
事業の内容 3 【事業の内容】
当社の企業集団は、当社、子会社35社及び関連会社5社で構成され、国内外での食品の製造、仕入及び販売を主な事業内容としております。当社グループ各社の事業に係る位置付けは、次の通りであります。 当社グループは、国内において、飲料や調味料の製造・販売を行っている国内加工食品事業、トマトを中心とした生鮮野菜の生産・販売を行っている国内農事業の2つを主たる事業としております。また、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売までの垂直統合型ビジネスを国際事業として展開しております。なお、当社グループは製品、顧客等の要素及び経済的特徴の類似性を考慮し、飲料、通販及び食品他については事業セグメントを集約した「国内加工食品事業」を報告セグメントとしております。したがって、当社グループは「国内加工食品事業」、「国内農事業」、「国際事業」及び「その他」の4つを報告セグメントとしております。 各報告セグメントの概要は以下の通りであります。 セグメントの名称主要製品及び商品等 飲料野菜生活100シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他通販野菜飲料、サプリメント、スープ、他 食品他トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答用、他国内加工食品事業 国内農事業生鮮トマト、ベビーリーフ、他国際事業種子開発・農業生産、商品開発、加工、販売その他不動産事業、業務受託事業、新規事業、他 主要な関係会社の事業系統図は、次の通りであります。
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(連結子会社) 当社より業務委託に伴う役務提供を受けております。役員の兼任があります。カゴメアグリフレッシュ㈱東京都中央区375国内農事業100響灘菜園㈱福岡県北九州市若松区50国内農事業66.00(66.00)当社より原材料を仕入れております。 いわき小名浜菜園㈱(注4)福島県いわき市10国内農事業49.00(49.00)当社より原材料を仕入れております。高根ベビーリーフ菜園㈱(注4)山梨県北杜市3国内農事業39.00(39.00)当社より銀行借入の債務保証を受けております。小池ベビーリーフ菜園㈱(注4)山梨県北杜市2国内農事業48.80(48.80)当社より銀行借入の債務保証を受けております。株式会社八ヶ岳みらい菜園(注4)長野県諏訪郡3国内農事業44.00(44.00)当社より原材料を仕入れております。 カゴメアクシス㈱愛知県名古屋市中区98その他100当社の不動産管理等の業務を請負っております。当社より土地・建物を賃借しております。当社へ土地・建物を賃貸しております。 役員の兼任があります。KAGOME INC.米国カリフォルニア州ロスバノス市百万米国ドル15国際事業100当社へ原材料等を販売しております。当社より機械を賃借しております。当社より銀行借入の債務保証を受けております。Vegitalia S.p.A.イタリア共和国カラブリア州サンマルコアルジェンターノ市千ユーロ129国際事業100当社へ原材料を販売しております。当社より資金の借入を行っております。Holding da IndustriaTransformadora doTomate,SGPS S.A.ポルトガル共和国パルメラ市千ユーロ550国際事業55.51当社へ原材料等を販売しております。当社より資金の借入を行っております。当社より機械を賃借しております。Kagome Australia Pty Ltd.(注2)オーストラリア連邦ビクトリア州百万豪ドル98国際事業100当社へ原材料を販売しております。 台湾可果美股份有限公司(注4)台湾台南市百万台湾ドル316国際事業50.00当社へ製品等を販売しております。当社より原材料を仕入れております。United Genetics Holdings LLC(注2)米国デラウエア州ウィルミントン百万米国ドル35国際事業100当社へ原材料を販売しております。当社より銀行借入の債務保証を受けております。DXAS Agricultural Technology Lda.ポルトガル共和国リスボン市千ユーロ2,119その他66.60 Kagome Agri-BusinessResearch and DevelopmentCenter Unipessoal Lda.ポルトガル共和国パルメラ市千ユーロ5その他100当社の研究開発等の業務を請負っております。Kagome Senegal Sarlセネガル共和国ダカール州億セーファーフラン16国際事業100 その他19社 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(持分法適用関連会社) 世羅菜園㈱広島県世羅郡世羅町85国内農事業47.06(47.06)当社より原材料を仕入れております。F-LINE㈱東京都中央区2,480国内加工食品事業22.07当社の物流業務を請負っております。役員の兼任があります。Ingomar Packing Company,LLC米国カリフォルニア州ロスバノス市百万米国ドル27国際事業20.00(20.00)当社へKAGOME INC.を通じ、原材料を販売しております。Kagome Nissin Foods(H.K.) Co., Ltd.中国香港大埔区百万香港ドル5その他30.00当社より製品を仕入れております。その他1社
(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。 2 特定子会社に該当しております。 3 上記連結子会社及び持分法適用関連会社は有価証券届出書又は有価証券報告書を提出しておりません。 4 持分は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。 5 議決権の所有割合の( )内は間接所有割合の内数であります。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2023年12月31日現在セグメントの名称従業員数(名)国内加工食品事業1,568 [595]国内農事業79 [398]国際事業1,101 [1,203]その他132 [46]全社(共通)41 [0]合計2,921  [2,242]
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人数を外数で記載しております。2 臨時従業員には、パートタイマー及び派遣社員を含んでおります。
(2) 提出会社の状況2023年12月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)1,654[602]41.817.47,999,018 セグメントの名称従業員数(名)国内加工食品事業1,568[595]国際事業13 [2]その他32 [5]全社(共通)41 [0]合計1,654[602]
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人数を外数で記載しております。2 臨時従業員には、パートタイマー及び派遣社員を含んでおります。3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況当社グループでは、提出会社において労働組合が組織されております。提出会社の労働組合は1972年4月9日に結成され、2023年12月末現在における組合員数は1,031人であります。労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)総合職技能職全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者9.665.681.868.370.586.6
(注) 1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 ② 連結子会社連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) トップメッセージ 創業から培ったバリューチェーンと、農業が直面する新たな課題カゴメトマトジュースは、2023年に発売90周年を迎えました。長きにわたりご愛顧いただいているトマトジュースですが、2023年の出荷量は記録が残る2007年以降で最高になりました。その要因を調べてみると、美容に関心の高いお客様がトマトジュースの新しいユーザーになっていただいていることが分かりました。発売から90年を経てもトマトジュースが新しいお客様にご支持いただいていることを大変うれしく思います。原材料となるトマトの品種開発を続け、栽培方法を工夫し、製造工程を改善してきた一つひとつの取り組みが報われた気持ちになります。このように、カゴメは畑から食卓までのバリューチェーンを創業から地道に進化させ、農から価値を生み出しお客様にお届けする力を磨き続けてきました。その歩みは、「自然をおいしく楽しく」というブランドステートメントや「畑は第一の工場」というものづくりの考えに集約されています。一方で、カゴメの強みである農から価値を形成するバリューチェーンが、近年、原材料の調達リスクに直面しています。気候変動の加速が熱波や干ばつの発生頻度を高め、農業生産に大きな影響を及ぼすようになったからです。実際に、カゴメ商品の主な原材料であるトマト・にんじん・リンゴなども、収穫量や品質の面で様々な影響を受けています。 このように農産原料の安定調達が困難になる時代の中で、カゴメが持続的な成長を実現していくためには、気候変動に起因する農業の課題としっかり向き合っていかなければなりません。そして、自らの手でそれらの課題を一つひとつ解決し、カゴメのバリューチェーンを競争力と持続性を兼ね備えたさらに強いものに進化させていく必要があります。 農業研究の強化とIngomarの連結子会社化2023年から、強いバリューチェーンへの進化に向けた具体的なアクションがスタートしています。一つは品種開発・栽培技術開発など、バリューチェーンの最も川上に位置する農業研究の強化です。2023年10月に、これまで国内外に分散していた品種・栽培技術の開発部門を一つに集約した組織「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター」を新設しました。このセンターに、カゴメ総合研究所傘下の農資源研究部や種子の開発・販売会社であるUnited Geneticsグループ(以下、UGグループ)、AIを活用した営農支援を手掛けるDXAS Agricultural Technology Lda.(以下、DXAS)などを集め、ラボレベルの研究開発から実際の畑での試験栽培までが一つの組織で可能となる体制としました。さらに、2024年4月には、農業の最先端技術が集まるカリフォルニア州に、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの米国法人を設立します。今後は、この組織に研究資源を集中的に投下し、それぞれの機能の連携を深め、農業技術の開発スピードを上げていきます。もう一つが、米国Ingomar Packing Company, LLC(以下、Ingomar)の連結子会社化です。これについても、2023年から本格的な検討を進め、2024年1月26日に対外発表を行いました。Ingomarはカリフォルニア州に拠点を持つトマト一次加工会社で、トマトの加工量では、 米国第2位、世界第4位のポジションにあります。トマト生産農家が出資して設立された企業であることから、畑との結びつきが強いところが特徴です。私たちはこれから、Ingomarの持つトマト原料の調達基盤に、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターが研究開発した新しい品種や栽培技術をインストールし、実用化のための大規模な検証を行うシステムを作り上げていきます。そして、そこから得られた多くの知見を世界に展開し、農業が直面する課題の解決につなげていく考えです。グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの新設やIngomar連結子会社化の検討を行った2023年は、競争力と持続性を兼ね備えた強いバリューチェーンへの進化に向けたターニングポイントの年になったと思います。 難局を乗り越え、変化対応力を磨いた前半2年2023年は、現在進めている第3次中期経営計画においても、ターニングポイントの年になりました。第3次中期経営計画は、2022年から2025年までの4年間を対象期間としています。その前半の2年には、約3年間続いたコロナ禍が収束に向かうという明るいニュースがありましたが、その一方で、ウクライナ情勢や自然災害の多発など経営に大きく影響を及ぼす出来事が発生しました。カゴメもそれらの影響を受け、トマトをはじめとする様々な農産原料において、これまでに経験したことのない価格高騰に直面しました。特に2023年においては、主原料であるトマトペーストの市況が大幅に上昇し、それに伴う収益の悪化を食い止めるべく、グループ一丸となって対応を進めました。BtoBビジネスが中心の国際事業においては、全ての得意先との価格改定商談を計画的に実行しました。国内事業においては家庭用食品・飲料、業務用のほぼ全商品の価格改定を2023年2月に行うとともに、価格改定に伴い一時的に落ち込む需要を回復する活動に注力しました。さらに、メーカーの責務として、原価低減や生産性の向上に取り組みました。一つひとつの施策について危機感を持って遂行した結果、2023年の業績はグループ全体で増収増益となり、この難局を乗り越えることができました。組織全体が急激な環境変化に対して、連携を取りつつ自律的に行動する“変化対応力”を発揮できたことが、この業績につながったいちばんの理由だと考えています。第3次中期経営計画の前半2年の経験を通して、厳しい環境を乗り越えることができる組織力が着実に高まっていると感じています。 国際事業は成長を加速国際事業は、2023年において収益を大きく拡大し、事業利益がグループ全体の半分以上を占めるまでになりました。この国際事業の躍進は、トマトペーストの在庫逼迫による市況の上昇を機動的な価格改定によって乗り越えられたことと、外食需要の回復によりグローバルフードサービス企業への取り組みが進んだことによりもたらされました。但し、今回の収益拡大は、前中期経営計画期間から進めてきた収益構造改革の取り組みがなければ実現しなかったと思っています。米国の子会社KAGOME INC.(以下、KIUS)では顧客や商品の選択と集中を進め、ポルトガルの子会社Holding da Industria Transformadora do Tomate,SGPS S.A.(以下、HIT)においては、トマト1次加工規模の適正化により収益性の改善を図ってきました。それらの活動により、収益構造改革の目途が立ちつつあったところに、外食需要の回復という環境変化があり、その追い風を最大限に活かすことができました。この状況を踏まえて、2024年から始まった第3次中期経営計画の後半2年においても、国際事業の成長をさらに加速していきたいと考えています。そのための施策の一つとして、2023年10月に国際事業本部を社内カンパニー体制(カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー)に移行しました。移行に併せ、カンパニープレジデントに権限を移譲し、カンパニー内の連携を深めるため海外子会社のCEOをメンバーとする経営会議を設置しました。これにより、市場の変化に迅速に対応すべく意思決定のスピードを上げ、グローバルフードサービス企業への対応力を強化していきます。また、今回のIngomarの連結子会社化も、国際事業の成長を加速する非常にポジティブな要素になります。Ingomarの連結子会社化により、米国においては「種子開発・販売(UGグループ)」「一次加工(Ingomar)」「二次加工(KIUS)」と同一地域内で完全なバリューチェーンを保有することになります。このことにより、米国トマト加工事業の成長力をもう一段階引き上げることができるのではないかと考えています。 国内事業は利益回復に注力2023年の国内事業は、農産原料の価格高騰に伴う原価上昇を跳ね返すための価格改定の完遂と、一時的に減少する需要の回復に注力した1年となりました。その結果、売上収益は増収となりましたが、事業利益については原価上昇を全てカバーするまでには至らず減益となりました。カテゴリー別では、外食需要やインバウンド需要 を取り込んだ業務用商品は順調に伸長しました。また、価格改定の影響を大きく受けた野菜飲料についても2023年第4四半期(10月~12月)には販売金額が前年を超え、年間を通して実施した需要喚起策の手応えが感じられました。しかしながら、国内事業の原材料価格は2024年においても、大幅に上昇する見込みです。この状況に対応するため、第3次中期経営計画の後半2年においては、引き続き「利益の回復」に徹底して取り組みます。2024年2月には、2年連続となる全主力商品の価格改定を行いました。それとともに、需要喚起に向けた野菜や植物性の価値をお客様に伝える活動を広範に展開していきます。特に野菜飲料については、カテゴリーリーダーとして市場規模縮小トレンドからの反転を果たすべく、朝の食シーンにフォーカスしたプロモーションを展開します。また、トマトのリコピンだけでなくにんじんの機能性成分βーカロテンに関する情報発信を強化します。2020年に開始した「野菜をとろうキャンペーン」は、2024年で5年目を迎えます。小売店の店頭や自治体のイベントなどでベジチェック®の体験機会を増やしたことにより、測定回数は累計700万回(24年1月末時点)まで増加しました。測定により自身の野菜摂取量を認識することで、野菜飲料の購入につながる事例も多く出てきています。野菜飲料のトップライン拡大につながる活動として、今後も継続していきます。また、さらなる原価低減に向けて、サプライチェーンの基盤整備を進めます。国内事業で使用する農産原料は、90%以上を海外から調達しています。そのため、様々な変動要素がある中、タイムリーに調整を重ねて安定的に調達することが重要になります。この課題に対応すべく2023年から数年かけて、社内の調達部門・SCM部門・営業部門に加え、取引先を含め一気通貫でデータを管理できるように、サプライチェーン全体のシステムを刷新していきます。これにより、原料材調達量、商品の生産量・在庫量などを最適化することでロスを大幅に削減し、利益の回復につなげます。 2025年の目標達成に向けて2024年2月の決算発表に併せて、第3次中期経営計画最終年度である2025年度の定量目標を更新しました。「利益獲得力はついたものの持続的な成長が果たせなかった」前中期経営計画の総括から、成長に力点を置いた第3次中期経営計画の総仕上げとして、連結売上収益3,000億円、連結事業利益240億円を新たな目標としました。カゴメがこのスケールの収益を目指すのは初めてとなりますが、グループの力を結集して達成を目指します。そのためには、国際事業の成長加速・国内事業の利益回復に向けた活動に加えて、「新しい成長の種を探索し、事業に育てていく」一連のプロセスの強化が必要です。このプロセスを動かす起点として2020年10月に事業開発室を設置し、オープンイノベーションによる新事業の可能性を追求してきました。そしてその活動の中から、プラントベースフードのスタートアップ㈱TWOやインナービューティー領域に事業展開する㈱資生堂などとの協業が生まれました。今後は、それらの協業の育成活動に注力するとともに、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの米国法人なども活用しながら、オープンイノベーションのスコープを広げていきたいと考えています。また、これらの成長に向けた活動と並行して、「ROIC管理」を社内に浸透させ、事業ポートフォリオや生産拠点、商品構成などを大胆かつ柔軟に見直すことで、資本効率性を高めてまいります。2025年の目標として、「ROE 9%以上」を達成したいと考えています。 一人ひとりがポテンシャルを発揮できる環境を整えるこれまで述べてきた国際事業の成長加速、国内事業の利益回復、新事業の探索・育成の仕事を担い、前に進めていくのは「カゴメの人」に他なりません。一人ひとりに「農や食の課題を解決する」という強い想いや、それを実現していく熱量がなければ、カゴメの持続的成長は成し遂げられません。それゆえに、全ての「カゴメの人」が、その人の持つポテンシャルを存分に発揮できる環境を整えていくことが会社としての責務だと考えています。最も優先すべきことは「カゴメの人」の健康に対するサポートです。心身の健康は、豊かな人生を送っていくための前提条件であり、組織のアクティビティもそのことにより高まります。さらに、私たちが健康であることは、お客様の健康づくりに資する商品やサービスを展開する当社の事業内容に説得力を持たせることにもつながります。これらのことから「健康経営の強化」を重点課題とし、ベジチェック®を活用したカゴメならではのプログラムなど、ハイリスクアプローチ・ポピュレーションアプローチの双方向から従業員の健康な毎日をサポートしています。2023年には、きめ細かい活動が評価され、健康経営優良法人2023(大規模法人部門 ホワイト500)にも選定されました。もう一つは、「心理的安全性」が保たれた組織風土づくりです。「心理的安全性」は、率直な意見や素朴な疑問を誰もが気兼ねなく言える状態が保たれている時に感じるものです。そういった組織やチームにおいては、所属するメンバーのエンゲージメントやパフォーマンスが高いことが、様々な研究で明らかにされています。私は「カゴメの人」がそれぞれのポテンシャルを存分に発揮できる環境として、「心理的安全性」が保たれた組織風土が必要不可欠なものと考えています。「率直な意見を気兼ねなく言える状態」の実現は容易なことのように思えますが、実際には、全てのメンバーの理解や努力が必要でなかなか簡単ではありません。2020年の社長就任以降、社内報などで「心理的安全性」についてのメッセージを機会あるごとに発信し、ダイバーシティ活動の中で研修を行い、社内浸透度を毎年モニタリングして次の施策につなげていくというサイクル繰り返してきました。その結果、多くの「カゴメの人」の行動が変わってきているように感じます。また、2021年に導入したエンゲージメントサーベイのスコアも着実に向上してきています。また近年、「心理的安全性」は、リスクマネジメントの面からもその重要性が注目されています。引き続き、経営の重点課題として「心理的安全性」が保たれた組織風土づくりへの取り組みを進めていきます。 次の10年の成長を見据えた戦略策定の始動2023年11月より、次の中長期に向けた経営戦略「2035プラン」の策定を開始しました。「2035プラン」は、2035年のありたい社会の実現のために、カゴメが貢献すべきこと、カゴメが目指す企業像を明らかにし、そのための経営戦略と取り組むべき重点テーマを定めるものです。カゴメはこれまで、「2025年のありたい姿」を目指して歩みを進めてきましたが、「2035プラン」は、2026年から先の10年にわたる私たちの道標となる指針です。現在、次代の経営を担う執行役員を中心メンバーとし、多くの従業員の想いも反映しながら策定を進めています。この「2035プラン」に盛り込まれる重点テーマのひとつは、「中長期人材戦略の策定と実行」になると考えています。2035年に向けた社会の変化は、これまでとは比べものにならないほど大きく、それに対応するためにカゴメの事業ポートフォリオや事業展開エリアは劇的に変わる可能性があります。この激しい変化の中で、カゴメグループの成長を支える人材にはどのような要件が必要になるのか、そしてそれをどのように手当てしていくかを示すことが大変重要だと考えるからです。 2023年は、カゴメグループが一丸となって活動することにより、過去に類を見ない原材料価格の上昇を乗り越えることができました。この急激な環境変化に対応できたことは、目指してきた「強い企業」としての組織力がついてきたことの証左です。この組織力をさらに強化しながら、一つひとつの課題に誠実に向き合うことで、2025年度を最終年度とする第3次中期経営計画の目標の達成と、その先の10年を見据えた経営戦略の策定を進めていきます。そのために、カゴメの強みである農から価値を形成するバリューチェーンをさらに進化させ、全てのステークホルダーの皆様のご期待に応え企業価値を向上させます。引き続きのご支援をお願いします。代表取締役社長山口 聡
(2) 会社の経営の基本方針カゴメグループは、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念としております。これは、創業100周年にあたる1999年を機に、カゴメグループの更なる発展を目指して、創業者や歴代経営者の信条を受け継ぎ、カゴメの商品と提供価値の源泉、人や社会に対し公正でオープンな企業を目指す決意を込めて、2000年1月に制定したものです。また、カゴメグループは今後も「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客様と約束するブランドステートメントとして商品をお届けしてまいります。 当社の企業理念、ブランドステートメントから長期ビジョンまでの関係は以下のとおりです。 (3) カゴメの価値創造プロセス当社は、「企業理念」をゆるぎないカゴメの価値観、「ブランドステートメント」を社会やお客様への約束として経営の根底に置くことで、組織が一貫した行動をとっています。環境変化を予測し、成長を支える経営資本を活用することで、農から価値を形成するバリューチェーンを、多様なパートナーと協業しながら進化させています。現在は、国内加工食品事業、国内農事業、国際事業の3つのセグメントと、それを支える価値創造活動により、農と健康と暮らしをつなぐ商品とサービスを提供しています。事業を通じて「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の3つの社会課題解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業となることで、社会価値と経済価値を創出します。 (4) 農から価値を形成するグローバルバリューチェーン 1 品種開発・栽培創業時から「畑は第一の工場」として、新品種や栽培技術開発など農業資源開発に携わってきました。近年、農業を取り巻く環境は、世界的に大きく変化しています。気候変動に伴う異常気象の発生や農家の高齢化に伴う栽培面積の縮小、欧州を中心とした環境に関する規制強化など、多くの課題を抱えています。カゴメは、環境変化に対応した品種開発や、環境負荷の低い栽培方法などを開発することで持続的な農業を実現するとともに、新たな事業の柱を育てます。 ① 世界に広がる、品種開発の拠点当社は約7,500種のトマトの種子をはじめとする豊富な遺伝資源を保管し、データベース化しています。これらを活用し、遺伝子組み換え技術を用いず交配によりトマトの品種開発をしています。品種開発には5年以上の年数がかかるため、数年先の市場ニーズを予測し、それに合致する味や形質、病害虫などへの耐性を見極め、交配によって開発を進めています。新品種開発、栽培技術の開発を強化するため、2023United Genetics Holdings LLC 米国本社年10月にグローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターを新設しました。この組織の傘下にはこれまで日本の研究所で行ってきた農資源開発や、ポルトガルのアグリビジネス研究開発センター、世界6ヶ国で種子の開発・生産・販売を行うUGグループを配置しました。育種、新たな品種開発、栽培技術の開発を、グローバルで一体となって進めます。 TOPICS 生鮮トマトと加工用トマトの違いトマトには、サラダなどの生で食べるトマトと、トマトジュースやトマトケチャップなどに使われる加工用トマトがあります。生食用と加工用では、栽培方法や品種などが異なります。 生鮮トマト日本では生食に向く果肉がピンク色のトマトが明治時代から栽培され、改良により多くの品種が生み出されてきました。現在では大きさや味だけでなく、リコピンやGABAなどの栄養成分を多く含むなど、多様な特徴を持ったトマトが販売され、果肉が赤い品種も生鮮トマトとして販売されています。通常、露地や温室に支柱を立てて栽培されます。加工用トマト加工用トマトの最大の特徴は、真っ赤な色であり、カロテノイドの一つであるリコピンの量が多いことです。また、コンテナ詰めの輸送に耐えられるように、皮が硬く、果肉は密度が高くつぶれにくい特徴を持ちます。日差しを多く浴びるように、支柱を使わず地面をはわせるように育てるので、生産者の手間が省けて大規模な作付けが可能です。 ② 農作物の生産者をサポートする、農業のプロフェッショナル「フィールドパーソン」「よい原材料はよい畑から生まれる」という想いから、安心・安全な農作物を調達するために、「契約栽培」に取り組んでいます。「契約栽培」は、まず作付け前に農家の方々と品質基準を満たす農作物について全量を買い入れる契約を結びます。その後、農業のプロであるフィールドパーソンが契約農家の畑を巡回し、独自のきめ細かい栽培指導をはじめ、農作物の生育状況に合わせて的確なアドバイスを行っています。「契約栽培」を行うことで、農家の方にとっては廃棄の無駄や価格変動といった不安がなくなり、高品質な原材料を作ることに専念できます。 ③ 環境負荷の低い栽培技術の開発近年、世界各地で発生している干ばつは、農作物の栽培に大きな影響を与えており、持続可能な農業を実現していく上で、水不足への対応は喫緊の課題となっています。AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う、NECとの合弁会社「DXAS」では、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を組み合わせたサービスを提供することにより、通常よりも少ない水の量で、加工用トマトの収穫量を増やす取り組みを進めています。2023年4月~8月に、これまで「CropScope」が導入されていなかった北イタリアで実施した実証試験では、「CropScope」を活用していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量でトマトの収穫量を約23%増加させることができました。これにより、今まで「CropScope」を導入していた地域とは気候や土質などが異なる北イタリアのような栽培環境でも、良好な成果が得られることを確認しました。北イタリアの圃場(AI少量多頻度灌漑区)畑の環境に合わせてAIが水やりの判断をする 担当者メッセージオーストラリアで競争力のある農業を実現Kagome Australia Pty Ltd.(以下、KAU)はオーストラリア国内で大規模にトマト加工を行っている唯一の会社であり、トマト以外にもにんじん、にんにく、小麦などを栽培しています。我々フィールドチームはオーストラリア産の安心・安全で高品質な商品を顧客へ供給するという重要な責務に誇りを持っています。オーストラリアで農業を行う上では、農業人材の確保や先進農業の推進、天候リスクへの対処が重要な課題になります。KAUでは人手のかかる定植作業の自動化や、衛星を活用した生育状況の確認など、効率的な農業を進めています。天候リスクはKAUにとって最もチャレンジングな課題です。過去に幾度も天候の影響を受けていますが、カゴメグループのサポートを得ながら改善を積み重ねていくことで安定かつ競争力のある農業を実現することができると信じています。Kagome Australia Pty Ltd.GENERAL MANAGER FIELD OPERATIONSChris Taylor 2 生産(一次加工・二次加工)畑で収穫した農作物を原材料として、製品を生産する工程には、主に一次加工と二次加工があります。一次加工は、生の農作物を扱いやすい形に加工する工程であり、野菜のペーストやピューレーなどが主な製品です。二次加工は、一次加工した農作物に調味料や野菜などの他の素材を加えて加工する工程であり、トマトケチャップやピザソース、野菜飲料など様々な製品を製造しています。カゴメの製造工場は世界に17拠点あります。一次加工品の工場は農作物の産地近くに位置します。収穫後は極力時間をかけずに工場まで運び加工しています。二次加工品は、日本、米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾、インドなどで製造し、現地や近隣国で販売しています。安心・安全な製品を安定的に生産するため、海外グループ会社で共通の品質管理基準(KBMP※)を導入し、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進しています。※KBMP:Kagome Best Manufacturing Practice 海外グループ会社共通の品質管理基準 ① 世界17拠点で安心・安全な製品を生産製品の生産拠点は、世界に17ヶ所(海外11工場、日本6工場)あります。トマト、にんじん、パプリカなどの野菜の一次加工の生産拠点と、トマトソースやピザソース、野菜飲料などの二次加工の生産拠点の2つに分類することができます。なかでも、トマトの一次加工については、カゴメの生産能力は世界で第3位です。二次加工品であるピザソースなどは、主に現地や近隣諸国のフードサービス企業に販売しています。原材料の調達においては、各国で安心・安全な製品を安定してお届けするため、グループ内調達はもちろんのこと、国内外に幅広い調達ネットワークを構築しています。 ② 産地×加工技術×容器形態の組み合わせによる、ユーザーのニーズに合わせた製品の提供(一次加工)農作物の味は、産地や品種によって甘み・酸味・うま味などが異なります。産地それぞれの特徴を活かして、用途にふさわしい製法を選択して加工しています。製法についても、濃縮する際の温度などの違いによって、粘度、性状、明るさ、香味などが変わります。当社では、加熱を最小限に抑えることで、トマトの新鮮な香りや明るく鮮やかな赤色を保持することができる特許技術(RO濃縮技術)を活用した製法や、にんじんに熱をかけずに優しくゆっくりすりつぶしながらしぼる「フレッシュスクイーズ製法」など、素材の良さを活かす加工技術を開発しています。容器形態については、大容量のドラム缶からバックインボックス※のような小容量のものまで、ユーザーのニーズに合わせた形態で提供しています。トマトの一次加工※ バックインボックス:プラスチック製の内装容器と、段ボールケースを主体とする外装容器の組み合わせ容器。 ③ 野菜の価値を最大限に引き出した、バリエーション豊かな製品の提供(二次加工)一次加工で生産されたペーストなどに、調味料や野菜などの素材を加えて製品を生産する工程を二次加工と言います。例えば、トマトケチャップはトマトペーストに糖類、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料などを加えて調味しています。野菜ジュースは、複数種類の濃縮された野菜をミックスして仕上げています。販売する国の食文化や、多様な食シーンに合わせて、野菜の味わいを活かす幅広い製品を製造しています。二次加工 担当者メッセージインドでトマト加工品の市場を開拓インドではカレー料理に多くの生トマトが使用されている一方、トマトの二次加工品があまり使用されていません。カゴメのトマト加工品のメリット(調理時間・手間の削減、スキルの低いシェフでも安定した品質の料理をいつでも提供できるなど)をホテル・レストラン・ケータリングのお客様にご理解いただき、徐々にですが市場を拡大させています。営業面では商談力の向上が課題です。商品の価値を伝えるために、営業担当者とともにシェフの資格を持つ従業員がお客様のキッチンを訪問して実演する機会を増やしています。継続的に新規顧客を獲得していけるよう、組織全体の営業スキルを底上げしていきます。インドでは計画通りに物事が進むことはほぼなく、常に複数のシナリオを想定して業務を進めています。多くの困難に直面しながらもダイナミックに事業規模を拡大できることが、インドでの仕事の魅力です。Kagome Foods India Pvt.Ltd.布川 浩一 3 商品開発・需要創造創業以来、野菜や果実が持つ本来の味や栄養素を大切にし、自然素材を活かした商品づくりをしてきました。これまでの商品開発で蓄積した加工技術、配合などの知見を磨いて新たな商品開発に活かしています。国際事業や日本国内のBtoBビジネスにおいては、顧客が抱える様々な悩みや要望に対して、商品やメニュー開発などのソリューションの提案に注力しています。BtoCビジネスでは、野菜の提供形態の多様化と、提供市場を多点化することにより、日本やアジアでの野菜の需要を喚起し、野菜不足を解消する商品やサービスを提供しています。 ① 自然の素材を活かす商品開発力野菜や果実が持つ本来の味や栄養素を大切にし、なるべく無添加で加工することにこだわった商品を開発しています。野菜や果実の最適な組み合わせや、トマトやにんじんから独自に開発した野菜素材を用いて、狙った味や性状を生み出します。産地によって微妙に味が異なる野菜や果実ですが、常に同じ味になるように配合を調整する仕組みを構築しています。野菜一日これ一本 トリプルケアにんじんパウダー2023年9月に販売を開始した血糖値・血圧・中性脂肪の3つをケアする機能性表示食品です。野菜の成分だけで、3つの機能を実現していることが特徴です。加えて、30品目の野菜を350g使用しており、野菜を手軽においしく補うことができます。 KAUでは、にんじん加工時の副産物(廃棄品)をパウダー状に加工し、販売しています。廃棄を減らすことにより、収益性の向上や、食品ロスの低減を目指しています。 ② グループ各社の連携により、BtoBビジネスのソリューション提案力を強化カゴメグループの主な顧客の一つに、グローバルフードサービス企業があります。世界の各エリアに展開しており、今後はインドなどでも店舗数が増加する見込みです。当社はトマトソースやピザソースなどの二次加工の生産拠点を米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾、インドなどに保有していることから、グローバルで安定して高い品質の商品を供給できることが強みです。商品開発の知見やノウハウの共有など、グループ間の連携をさらに強化することで、グローバルフードサービス企業向けの売上収益の拡大を目指しています。また、日本の外食業界などにおいては人手不足が深刻な問題となっています。生の野菜から調理をする手間を省くピューレー状の野菜や、冷凍グリル野菜、オニオンソテーなどの加工度の高い野菜の活用などのソリューションを提案することによって、顧客の困りごとの解決につなげています。KIUS製造ライン調理の手間を省くことができる冷凍野菜の商品 ③ 野菜や植物性食品の価値をお客様に伝え、需要を創造するBtoCビジネスBtoCビジネスは主に日本、アジアで展開しています。野菜不足を解消し健康寿命の延伸に貢献することを目指し、野菜摂取に貢献できる野菜スープや野菜飲料などの商品や、「野菜をとろうキャンペーン」などのプロモーション、「健康セミナー」や「ベジチェック®」などのコトサービスを通じて、需要創造活動を行っています。日本国内においては、これまで築いてきたブランド力によって、高いシェアを獲得しています。●トマトケチャップ 58.3%●トマトジュース 63.4%●野菜ミックスジュース 47.1%●野菜果実ミックスジュース 67.9%出典:株式会社インテージSRI+期間:2023年1~12月単位:金額シェア対象エリア:全国対象業態: スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター 「ベジチェック®」センサーに手の平を押し当てて約30秒で簡単に推定野菜摂取量を見える化できる機器 アジア地域の取り組み現在、アジアの7地域に対して、野菜飲料の輸出販売や、需要創造活動と販売チャネルの構築を進めています。地域によって野菜飲料の市場環境は大きく異なるため、それぞれに合わせたマーケティングを行い、現地ディストリビューターや越境ECチャネルを活用して、売上拡大に向けた基盤を構築しています。アジアにおいても「ベジチェック®」を設置した店舗で売上が向上する販促効果が確認されており、今後も店頭での体験を提供することで野菜飲料の購入につなげる施策を実施していきます。TOPICS 野菜摂取の行動変容を研究する「食健康研究所」の新設日本のみならず、世界中の人々のWell-Beingを実現するため、野菜や植物性食品の持つ可能性を様々な角度から検証する「食健康研究所」を2023年10月に設立しました。主な研究領域は以下の3点です。① 行動変容研究:健康寿命の延伸や野菜摂取の行動変容につながる仕組みづくり・創出の研究、社外研究機関と連携した野菜摂取に関する行動変容研究 など② 機能性研究:国内外の商品やサービス、素材の栄養・機能価値に関するエビデンスの取得、食における野菜摂取が健康寿命の延伸に寄与することを示すエビデンスの取得 など③ 事業貢献:一般社団法人ナトカリ普及協会との当社事業の支援、機能性表示食品の商品化に向けたエビデンス強化、行動変容コンテンツによる国内外における事業支援、野菜に関する情報の発信・普及と海外研究機関との共同研究 など 担当者メッセージアジアにおける野菜飲料の習慣飲用化で、お客様のQOL向上への貢献を目指すアジア市場は、国・地域によって多少異なりますが、野菜飲料を飲むことが日本ほど定着していません。この状況の中、野菜をジュースでとる習慣の浸透を通じてお客様の健康やQOL向上に貢献するのが私たちのミッションです。私が勤務する香港では、現地で知らない人はいない「出前一丁」ブランドを擁する日清食品(香港)有限公司との協業で事業を展開しています。これまでの協力により、カゴメ野菜飲料の認知率・購入経験率は高く、ブランドとしてはかなり浸透してきたと言えます。しかし、飲用者1人当たりの飲用量拡大にはまだ余地があります。このために、カゴメが持つ野菜の栄養に関する様々なエビデンスやベジチェック®など、あらゆる資産を活用して、お客様にカゴメ商品の健康的な価値をご理解いただくことで、さらなる事業拡大を目指していきます。グローバルコンシューマー事業部下妻 洋 (5)企業価値向上に向けた取り組み 当社は、企業理念(「感謝」「自然」「開かれた企業」)のもと、事業を通じて社会価値と経済価値を創出することにより企業価値を最大化していきます。また、中長期において「ROEの向上」と「資本コストの低減」に重点的に取り組むことで、持続的な企業価値向上を目指していきます。 ROEの向上企業価値向上資本コストの低減●収益力の向上●財務健全性、資本効率性の両立●非財務(ガバナンス、リスクマネジメント、環境、人権、人的資本など)の取り組み●情報開示の拡充、株主・投資家との対話など ●ROEの向上(2025年度目標 9%以上) 当社は、企業価値向上の最重点指標にROEを掲げています。収益力の向上、財務健全性と資本効率性の両立を柱として、第3次中期経営計画期間の最終年度である2025年度はROE9%以上の達成を目標としています。今後もROEを高め、安定的な株主還元を行うことで企業価値を向上していきます。 効率的な成長投資の実行設備や事業への投資においては、経営企画、法務、財務経理などの専門部署のメンバーから構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経た上で、経営会議及び取締役会で決定します。また、投資後も、同委員会が継続的にモニタリングを実施し、その効果を確認しています。 投資判断基準対象指標基本要求水準事業投資IRR(内部収益率)※110%+α※2設備投資PBP(回収期間)※34年 ※1 Internal Rate of Return:事業計画から得られるフリー・キャッシュ・フローの現在価値から初期投資額を差引いた金額がゼロとなる割引率※2 αは国や地域に応じたカントリーリスク※3 Payback Period:投資金額が回収されるのに要する期間投資のモニタリング体制●執行後5年間を対象   ●年1回の取締役会・経営会議にて報告 第3次中期経営計画期間 投資額(累計)計画 売上総利益率の維持・向上の取り組み 当社は、持続的に収益力の向上を実現する上で、売上の拡大に加えて、売上総利益率の維持・向上に取り組んでいます。 具体的には、各事業の特性に応じて、原材料費の削減や労働生産性の向上、製造ラインの自動化など、生産現場における恒常的な原価低減のほか、コスト上昇時の機動的な価格改定により売上総利益率を維持・向上しています。※ 企業結合会計適用によりIngomarの在庫の時価評価で原価が上昇することに伴い、一時的に低水準となる また、「畑は第一の工場」としてものづくりを営む当社グループにとって、中長期的にも安定した売上総利益率を確保する事業構造に変革していくために、高品質の農産原料の調達ネットワークの拡大や、水不足や気候変動に適応した品種開発、栽培技術の確立など、グローバルバリューチェーン全体のコスト構造を変革する取り組みを進めています。 継続的な利益拡大の取り組み当社は、2025年度の利益目標の達成に向けて、将来予測に基づく引当マネジメントプロセスを採用しています。また、毎月開催する取締役会、執行役員会のモニタリングを通じて、経営と現場が一体となって継続的な利益拡大に取り組んでいます。利益目標達成においては、実績確定前の年間引当予測に基づき、利益目標との乖離状況を早期に把握することで、機動的な戦略修正を行う引当マネジメントプロセスを採用しています。このプロセスにより、各事業の売上拡大、コスト削減の活動につなげることで目標とする利益の達成を実現しています。 全社ROIC管理による資本効率の向上当社は、利益を獲得するだけではなく、投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROIC※による管理を導入しています。カゴメROICは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定し、貸借対照表項目を各要素に分解することで、改善すべき課題を明確にすることを目的としています。 ※ カゴメROIC :EBITDA÷投下資本 2023年度は、国際事業のEBITDAが大幅に増加したことにより、ROICは目標を5.7point上回り、13.2%となりました。2024年度は、ROICは4.6point悪化し、8.6%を見込んでいます。各事業の状況は以下の通りです。●国内加工食品事業:EBITDAの減少と投下資本の増加により4.7point悪化●国内農事業:EBITDAの減少により6.1point悪化●国際事業:主にIngomarの連結子会社化に伴う投下資本の増加により5.5point悪化 (ROICツリー展開) 当社においては、ROICツリーを資本効率向上のためのコントロールドライバーとして活用しています。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各部門にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っています。その上で、各社・各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適なサプライチェーン体制の構築をはじめとした取り組みを進めています。 2022年度実績2023年度目標2023年度実績2024年度目標ROIC(%) 11.5 7.5 13.2 8.6EBITDAマージン(%) 10.3 7.0 12.3 9.0EBITDA (百万円) 21,092 14,900 27,726 26,100売上収益   (百万円)205,618213,000224,730289,000投下資本回転日数  (日) 327 338 341 385 国内加工食品事業2023年度:13.7%→2024年度:9.0% 国内農事業2023年度:22.4%→2024年度:16.3% 国際事業2023年度:15.3%→2024年度:9.8% 主なKPIと担当部門 ●売上債権回転日数(営業本部) ●原材料在庫高(調達部) ●社内加工材在庫高(生産部) ●製品在庫日数(SCM本部) ●海外子会社の各社別ROIC(カゴメ・フード・インターナショナル・カンパニー) 自己資本比率・信用格付の維持自己資本比率 当社は財務基盤の安定を前提に、ROEの向上を進めます。 自己資本比率50%以上を維持するとともに信用格付においてシングルA以上を目指します。 2021年度2022年度2023年度2024年度連結54.6%52.8%49.8%50%以上格付AAA- (6) 第3次中期経営計画の進捗2016年に、2025年のありたい姿、ビジョンを定め、その達成に向けて3期にわたる中期経営計画に基づき経営を進めてきました。2022年から2025年までの第3次中期経営計画は、10年間の総仕上げと、次の10年の成長を見据えた重要な4年間となります。 第3次中期経営計画の基本戦略は「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」です。第3次中期経営計画の前半となる2022~2023年の2年間は、ウクライナ情勢などの地政学リスクの高まり、円安の進行、 気候変動の影響による農産原料の収量低下などにより、原材料価格が高騰し、当社の経営環境は大きく変化しました。国内事業は、ほぼ全商品にわたる価格改定を行うとともに需要喚起策に取り組んだことで、販売数量を回復軌道に乗せることができました。国際事業は、これまでの収益構造改革の成果に加え、トマト加工品の市況高に合わせた価格改定と、外食需要の回復により売上収益、事業利益ともに大きく拡大することができました。後半となる2024~2025年においては、さらなる原材料価格の上昇が見込まれる環境において、国内事業の収益の回復と、国際事業の成長の加速に取り組みます。 第3次中期経営計画 基本戦略 第3次中期経営計画の定量推移(実績・計画)() その他/調整(各事業別実績は調整前値) 第3次中期経営計画 前半(2022年~2023年)経営環境変化への迅速な対応前半の取り組み ●原材料価格の高騰に対応し、国内・国際事業ともに、機動的な価格改定と需要喚起策を実施 ●加工用トマトの市況変化に対応した国際事業の売上収益、事業利益の成長 ●トマトを中心とした、原材料調達戦略の見直し ●植物性領域への挑戦、AIを活用し持続可能な農業を目指したDXASの設立とサービス開始 ●サステナビリティやリスクマネジメント推進体制の整備 機会とリスク(機会〇、リスク△)●世界的な環境問題の深刻化(〇△)●世界人口の増加と国内人口の減少(〇△)●アフターコロナの「食と健康」に関するマーケットの変化(〇△)●デジタル化による顧客接点の多様化(〇)●農産原料など食糧、水、天然資源などの価格上昇(△)●労働力の不足(〇△)●サプライチェーン課題への対応(△) 今後の課題●さらなる原材料価格上昇への迅速な対応●価格改定による需要減退を防ぐ、需要喚起策の実施●国際事業のさらなる成長の加速●人口増加が見込まれる地域における事業展開の加速●環境負荷を低減するサステナブル農業への資源投下●中長期的な成長を見据えた人的資本の強化と、サプライチェーンの整備 第3次中期経営計画 後半(2024年~2025年)収益回復と成長の加速2024年にかけても原材料価格は高い水準が続く見通しです。引き続き、収益獲得に向けた活動に注力するとともに、基本戦略である「4つのアクションの有機的連携」を進めます。 加えて、2026年以降を見据え、ビジネスモデルの特徴の一つである農業が抱える課題への中長期的な対応を進めていきます。 具体的な取り組み国内事業:利益回復に向けた取り組み国際事業:成長の加速経営基盤の強化●原材料価格のさらなる上昇に対応する、原価低減、コスト削減、価格改定と需要喚起策の実施●ベジチェック®や「野菜をとろうキャンペーン」を通じた野菜摂取に貢献できるカテゴリーのマーケティング施策の強化●植物性領域の拡大●カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー設立による意思決定の迅速化と、グループ企業間の連携強化●原材料価格高騰を受けた、価格改定の実施●トマト加工品の安定供給とコスト競争力の強化●開発、営業力を軸としたフードサービス企業の売上拡大●米国やインドなど、人口増加が見込まれる地域での事業展開の加速 ●調達基盤の強化・グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターによる、環境負荷の低い品種や栽培技術の開発強化 ●サプライチェーン・サプライネットワーク構想の具現化 ※人的資本の強化→人材ページ参照 中長期的な課題地球温暖化に伴う異常気象の発生や、海外の人口増加を受け、世界的な農産原料の安定生産が中長期的な重要課題です。特に、トマトにおいては近年世界的に需給が逼迫しており、長期的にも気候変動の影響を受ける可能性が高いことが想定されます。そのため、中長期的な原材料の確保と、持続的な農業の確立を目指し、川上の新品種の開発と育種、アグリテックなどの栽培技術の開発に、人材等の資源を集中的に投下するため、2023年10月に、農業関連事業と農業関連技術探索・開発を一元的に担う「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター」を新設しました。 担当者メッセージDon’t waste a good crisis!人口増加や気候変動による食糧・農地・農業人口の不足、それに伴う生活者意識の変化により、「サステナブルな農の実現」の価値は増大し、農業イノベーションが求められています。また、AI、ビッグデータや分子生物学などの最先端技術の実用が進みつつあり、同時に気候変動対応技術への投資も増加しています。この環境変化を「good crisis(機会)」と捉え、創業から続けてきた「品種開発」「栽培技術」とその「組み合わせ」による価値開発を、自前だけでなく社外からの技術獲得によりさらに発展させます。そして米国を中心にグループ内子会社の農家との共創により、グローバルで通用する技術開発と新事業創造を進め、野菜を作り、技術も売る「低環境負荷トマト・野菜のプラットフォーマー」を目指します。 グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター所長 上田 宏幸 Special Feature持続可能なトマト加工事業の構築により国際事業のさらなる成長を目指す~世界第4位のトマト一次加工会社※Ingomar(米国)を連結子会社化~ 1 IngomarについてIngomarは1983年の設立以降、約40年にわたり、世界最大の加工用トマト産地である米国カリフォルニア州において、トマトペースト・ダイストマトなどのトマト一次加工品を製造・販売しています。当社は、2008年よりIngomarからトマト一次加工品の調達を開始しました。それ以来、同社を主力調達先の一つとして位置付け、日本、米国、台湾、オーストラリアなどにおいて製造するトマトソースやピザソース、トマトケチャップなどの原材料に、同社のトマト一次加工品を使用しています。2016年には、トマト一次加工品の調達及び顧客への安定供給を目的に、当社子会社であるKIUSを通じて、Ingomarの出資持分20%を取得し、当社の持分法適用会社とするとともに、業務資本提携契約を締結して関係強化を図ってきました。2024年1月26日に、出資持分の50%を追加取得し、連結子会社化としました。取得価額は約360億円となり、当社にとって過去最大の投資となりました。Ingomar 加工トマト製造工場Ingomarの強み●出資者が加工用トマト農家であることから、安定的かつ盤石な加工用トマトの調達基盤●産地の中に加工拠点があるという効率の良さ●グローバル市場におけるコスト競争力●当社が長い取引で確認してきた品質と、供給の安定性 2 連結化によって達成すること① 米国トマト加工事業のバリューチェーンの強化により米国事業をさらに成長させます従来の米国トマト事業の「種子開発・販売」「二次加工」に、「一次加工」の機能を取り込むとともに、Ingomarの特徴であり強みでもある加工トマト栽培への関与を強めます。同一地域内で完全なバリューチェーンを保有することにより、事業の安定性と持続性を高め、米国トマト加工事業のさらなる成長を図ります。カゴメグループ グローバルトマト事業拠点② トマト加工事業のグローバルネットワーク強化によって国際事業全体の成長を加速します世界最大の加工用トマト産地における「一次加工」機能の保有は、グローバルに展開するフードサービス企業・食品製造業との取引拡大を支えるグローバルネットワークの強化につながります。Ingomarは、当社が2023年10月に新設した社内組織「カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー」に加わり、カゴメグループ各社との連携を図ります。工場に到着した加工用生トマト ③ 農業領域の取り組み強化による、競争優位性が高めて、持続可能なトマト加工事業の構築しますIngomar及び同社出資農家と協働で、特に栽培技術の開発に取り組み、環境負荷の低減や収穫量の安定化、栽培効率の向上などを目指します。技術開発の際は、世界最大の加工用トマト産地であり、農業の最先端技術が集まる米国カリフォルニア州の利点を活かして、現地の研究機関や農業関連企業などとのオープンイノベーションも積極的に進めていきます。開発した技術はIngomarの加工用トマト調達先に展開するほか、米国以外のグループ会社への展開も目指します。これにより各地域のトマト加工事業の強化を図り、ひいてはグローバルな視点で、トマト加工事業の競争優位性と持続可能性を高めていきます。加工用トマトを収穫する様子 3 今後の見通し今回の投資が当社の売上収益、事業利益に与える効果は、右図の通りです。売上収益、事業利益はそれぞれ、2024年度が515億円と31億円、2025年度が510億円と73億円を見込んでいます。これに、シナジー効果を追加していきます。短期的には、生産効率の向上や原価低減、他グループ子会社との連携による商品バリエーションの増加など、カゴメグループが保有するネットワークやノウハウを投下し、シナジー効果を創出していきます。そして、中長期においてこの投資の最大の目的である競争優位性のあるトマト加工事業を構築することにより、売上収益、事業利益ともに成長を実現します。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
(1) リスクマネジメントの基本方針私たちは、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」として、あらゆるステークホルダーの期待にお応えできる企業になることを目指しています。そのためには、当社で働く従業員一人ひとりが法令の遵守はもちろんのこと、高い倫理観を持って社会的責任を果たすことが大切であると考えています。また、企業理念・行動規範に基づき倫理観ある行動を果たすことはもちろん、企業を取り巻く様々なリスクに対して、企業理念・行動規範に基づき適切に対応することが重要です。具体的には、戦略リスク、社会・環境リスク、重要な業務執行におけるオペレーショナルリスクについて、経営会議や取締役会などの経営機関でこれを評価・検討します。また、その他の業務執行におけるオペレーショナルリスクについては「カゴメグループリスクマネジメント方針」に従い、各組織によって課題化しています。さらには、職務権限規程にて、全ての階層の管理職が、それぞれの所轄する業務範囲において、リスクマネジメントの実行と監督を行うことを定めています。なお、当社のリスクマネジメントにおいて、リスクとは「当社の事業に対して不利な影響を与える不確実性」と定義しています。 カゴメグループリスクマネジメント方針私たちは「トマトの会社から、野菜の会社に」のビジョンのもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」になることで、社会的責任を果たしていきたいと考えています。そのために、常に変化する外的環境及び事業上発生しうる様々なリスクを的確に把握・評価し、適切な対応をとってまいります。また、重大事案が発生した場合に備え、被害の拡大防止と損害・損失の極小化を可能とする体制を確立するなどリスクに対する対応力を高めてまいります。
(2) リスクマネジメント体制当社では、3ラインモデルの考え方に基づくリスクマネジメント体制を整備しています。 ① リスクマネジメント統括委員会リスクマネジメント統括委員会は社長を委員長とし、CROを委員会事務局長とするグループ全体でのリスクマネジメント活動の統括組織です。経営戦略を踏まえた統合的視点から、第1のラインと第2のラインを統括し、全社でのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルの実現に向けて、各ラインの取り組みをモニタリングします。 ② 第1のラインと第2のライン第1のラインは、自らが担当する業務についてのリスクの抽出・評価を行い、その対応のためのアクションプランを作成し取り組みます。工場、支店、国内外の子会社、これら部門などで個別具体的な業務に従事する担当者一人ひとりが位置付けられます。 第2のラインは、担当するリスク領域におけるリスクマネジメント活動の基本方針・手続きを定めます。また、第1のラインに対するモニタリングや助言などを通じて、第1のラインにおいてリスクマネジメント活動が適切になされていることを確認します。第2のラインは、営業推進部や生産部などの営業や生産の統括部門、財務経理部などの本社間接部門です。また、CROは、これらの第2のライン全体を統括します。第1のラインで抽出・評価されたリスクは、第2のラインで集約及びグループ全体の経営の視点からの統合を行い、取締役会をはじめとする経営機関に報告されます。第1のラインと第2のラインは協働して、リスクの抽出・評価を行い、全社レベルでのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルを実現します。 ③ 第3のライン第1のラインと第2のラインにおけるリスクマネジメント活動に対して、第3のラインを担う内部監査室は、独立した立場から、客観的な保証を提供します。内部監査室は、独立性を確保しつつも、主にリスクマネジメント統括委員会と連携し、経営戦略やこれに基づく第1のラインと第2のラインにおけるリスクマネジメント活動の基本方針などを共有することによって、実効的かつ効率的に監査を実施します。また、内部監査室による監査指摘事項は、監査対象部署とともに、リスクマネジメント統括委員会にも共有されます。リスクマネジメント統括委員会は、共有された監査指摘事項のグループ全体のリスクマネジメント活動における課題としての位置付けを整理します。その上で、グループ全体での統合的なリスクの追加または評価の修正を行うとともに、対象部署における改善活動に対する助言提供などを行います。 詳細については、Webサイトをご覧ください。 https://www.kagome.co.jp/company/ir/data/statutory/ (3) リスクマネジメント活動当社におけるリスクマネジメント活動は、リスクの顕在化の予防及び顕在化したリスクへの対応のための活動を主な内容とします。リスクの顕在化の予防と、顕在化したリスクへの対応のための取り組みいずれについても、具体的な活動は、経営計画や事業目標を踏まえたリスクマネジメント活動のPDCAサイクルに基づき実施されます。 ① リスクの顕在化の予防ア. 基本枠組み当社は、リスクの性質・内容を踏まえた適切な管理を実現するため、企業活動に関するリスクを次の3つに分類しています。 ●戦略リスク中長期的な経営戦略を踏まえ、重大な影響が認められるものとして当社が指定するリスク ●社会・環境リスク社会・経済環境や自然災害などの外部要因によるリスクのうち、特に顕在化した場合には不可抗力であると一般的に認識されるもの●オペレーショナルリスク戦略リスク、社会・環境リスクを除く全てのリスク  以上3つのリスクの分類を基礎として、リスクの企業経営への影響度に鑑み、個別に認識されたリスクを次の2つのリスクに区別します。 ●「会社の重点リスク課題」の対象となるリスク戦略リスク、社会・環境リスク、オペレーショナルリスクのうち、企業経営への影響が大きいと評価されるものです。経営会議やリスクマネジメント統括委員会がリスクマネジメント活動のPDCAサイクルを管理します。さらに、取締役会へも報告がなされます。●「各組織のリスク課題」の対象となるリスク「会社の重点リスク課題」以外のリスクです。各組織がリスクオーナーとなり、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを実施します。 イ. 2024年度の「会社の重点リスク課題」当社は、次のリスクを「会社の重点リスク課題」の対象となるリスクと認識し、重点的な管理活動の対象としています。リスクの性質・内容を踏まえた適切な管理を実現するため、戦略リスク、社会・環境リスク、オペレーショナルリスクの3つに分類し開示しています。 リスク分類重点リスク課題主管組織、報告会議体 等主管組織報告会議体(頻度)備考(報告内容等)戦略①経営戦略・予実乖離の発生による利益の悪化・新規事業、M&Aの失敗や遅れによる業績悪化や収益機会の喪失・保有資産の価値下落による収益性の悪化や財政状態への影響 ■予実:経営企画室、財務経理部■新規事業:投資委員会■保有資産:財務経理部取締役会(毎月)経営会議(年1回)取締役会、経営会議(年1回、適宜)・事業戦略の成長に当たっての進捗管理等・投資委員会での定期的モニタリング内容等・政策保有株式の状況、減損検討対象となる固定資産の報告等②人材戦略・成長分野、新規事業、海外事業領域拡大に対する人材不足・特定の専門領域(DX、財務経理等)の人材不足・ダイバシティ&インクルージョンに関する目標未達■人材開発委員会■CHO、人事部人材開発委員会(適宜)経営会議(適宜)・中期経営計画実現に向けて必要な人材の質(スキル)と量(人数)・人材不足の業務領域を改善するための採用、育成、キャリア形成などの人事施策・人材育成とダイバシティに関するKPIについて現状と今後の課題③適正なガバナンス体制の構築・取締役会および監査等委員会の実効性の不備・経営者による内部統制の無効化■取締役会■監査等委員会取締役会(年1回)監査等委員会(適宜)・第3者によるアセスメント等社会・環境④消費者・広報・不適切な広告や顧客対応の失敗による訴訟や不買運動、ブランドイメージの棄損■客相、経営企画室(広報グループ)リスクマネジメント委員会(隔月)・不満、苦情件数、ネガティブ報道のモニタリング内容等⑤社会情勢・顧客ニーズ・日本国内における景気の後退や需要の減少または消費者ニーズの対応の遅れによる売上の減少■マーケティング本部、営業本部商品企画会議(適宜)・競合環境や消費者動向の分析。支店別、カテゴリー別の売上動向等⑥金融市場 ・為替変動や金利変動による資金調達コストの増加や資金繰りの悪化 ■財務経理部取締役会(四半期毎)・リスクヘッジ取引とモニタリング内容等⑦天災・不可抗力・地震等の災害、感染症や紛争等による、工場操業やその他事業の停止(BCP)・異常気象による、原材料の滞り■BCP:リスクマネジメント委員会事務局■異常気象:野菜事業部、調達部経営会議(年1回)執行役員会(適宜)・BCP活動の進捗等・主要原材料のシーズン毎の調達進捗・その他原材料の調達戦略課題等 リスク分類重点リスク課題主管組織、報告会議体 等 主管組織報告会議体(頻度)備考(報告内容等) オペレ❘ション⑧情報管理・サイバーセキュリティ・サイバー攻撃等によるサーバーへの不正アクセスや、不適切な情報管理による個人情報や社外秘情報の漏洩■情報セキュリティ委員会リスクマネジメント統括委員会(隔月)・PCウイルス感染、IT機器紛失、外部攻撃件数のモニタリング内容等 ⑨安全・衛生 ・職場における労働災害、長時間労働、感染症等の発生による従業員の健康被害 ■安全衛生委員会リスクマネジメント統括委員会(隔月)・労災、感染症等発生状況のモニタリング内容等 ⑩製品・サービスの安全性・異物混入、表示の誤り、品質検査の不備、種子の異品種コンタミ、非食品に関する品質検査の不備等による、品質不良品の出荷や健康被害および賠償責任に係る費用の発生の可能性■品質保証部、野菜事業部(種子) 品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)・不適合/重大品質事故の発生件数、内容等 ⑪サプライチェーン(調達、生産、運輸物流)・突発的な需要増や、種子・原料不足等による原材料の不足・自動倉庫、物流システムの障害等による生産や出荷の滞り・物流業界の労務管理の厳格化等に起因する輸送能力低下による製品供給の不安定化■野菜事業部、生産調達本部、SCM本部執行役員会(隔月)経営会議(隔月)・課題進捗等・突発的な事象の発生について ⑫法令・規則違反、規制・重大な法令、規則違反(会社法、税法、金商法、東証ルール等)・食品安全関連規制違反、個人の不正行為や関係会社の不祥事・環境問題(GHGガス排出量削減、水資源問題、プラスチック問題等)への対応の遅れによる、株主や投資家からの否定的な評価・当社およびサプライチェーン等の取引先における人権問題(強制労働、ハラスメント等)の発生による、社会的信頼の低下■会社法、金商法等:財務経理部■食品安全法関連:品質保証部■不正行為:コンプライアンス委員会■環境:品質保証部■人権:経営企画室(サステナビリティG)、法務部取締役会(四半期毎)品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)経営会議(年2回)サステナビリティ委員会(適宜)コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)・法令・規則違反のモニタリング内容等・法改正情報、対応等・不正行為のモニタリング内容等・環境マネジメントレビュー等・人権方針の策定、人権デュー・ディリジェンスの進捗等・ホットライン通報内容等 ② 顕在化したリスクへの対応ア. 基本骨子当社では、リスク顕在化事象に対して実効的かつ効率的に対応するため、その影響度の評価に基づきリスク顕在化事象を分類し、事業継続計画やその他のリスク顕在化に応じた対応計画の整備を進めています。 イ. 事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)当社では、今後想定されるいくつかの個別的な緊急事態におけるシナリオを想定し、事業継続計画を作成しています。事業継続計画は、事業を単位として作成されることが一般的です。しかし、当社においては、複数の事業間でバリューチェーンが重複または近似していることから、重要な商品及び機能を単位として事業継続計画を作成しています。重要な商品とともにカゴメの事業継続計画において単位となっている重要な機能は、調達、サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)、財務経理及び広報の4機能です。調達及びサプライチェーンマネジメントは、食品メーカーとして生産活動を行うための不可欠な機能です。また、財務経理は、自社の企業としての存続、サプライチェーンの維持、従業員の生活の確保、その他の企業における事業としての生産活動を行うための基盤となる機能です。そして、広報は、当社の企業理念の一つである「開かれた企業」に照らして重要と考えている機能です。社内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすことは、とりわけ緊急時において強く求められるところであり、広報はそのための不可欠な機能と考えられるためです。こうした事業継続計画により、緊急時においてもカゴメの事業活動を継続し、または停止からの速やかな復旧を行い、企業価値の保全を図ります。 ウ. その他のリスク顕在化への対応のための取り組み現在、当社では、事業継続計画を含む個別的なリスクの顕在化への対応計画の整備を行うとともに、内閣府より公表されている「事業継続ガイドライン」に準拠しつつ、これら個別的な対応計画の体系的整理を行い、統合的な対応計画の作成に取り組んでいます。こうした取り組みに際しては、その過程においてカゴメグループ内部での関係者の主体的関与を確保するとともに、適宜、外部専門家からの支援を受けています。また、机上訓練やシミュレーション(予行演習)などを通じた対応計画の定期的な見直しを行うなどのPDCAサイクルを確立し、リスク顕在化への対応力の向上を図ります。 リスク顕在化への対応のための取り組み当社では、万一リスク事象が顕在化した場合に備え、事業継続計画の整備を進めています。その際重要なことは、絵に描いた餅とならないよう立案した計画を効率的で実効性のあるものとすることです。そのためには、事業継続計画の整備→訓練の実施→実施結果に基づく検証→事業継続計画への反映のPDCAサイクルを確立することが大切だと考えています。この考えのもと、2023年は前年に整備した重要商品及び4機能(調達、サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply ChainManagement)、財務経理及び広報)の事業継続計画の有効性確認を目的に作成計画を用いた机上訓練を行いました。併せて、効果的な訓練のあり方についても検証しました。具体的には、発生確率が高くその影響が広範囲かつ長期にわたるとされる南海トラフ地震が発生した前提で訓練を行いました。訓練は災害発生時の初動対応のみとはせず、地震発生直後・地震発生3日後(初動対応が一定完了する時期)・地震発生7日後(社会インフラが復旧し始め、詳細な被害情報が集まり始める時期)の3局面における状況変化を想定し、各局面ごとに事業継続計画が機能するかについての検証を行いました。訓練を通して得られた結果は、今後各事業計画に反映し高度化を図るとともに今後の訓練計画自体にも活かし、リスク顕在化時の対応力向上を目指します。東京本社の訓練の様子小坂井工場の訓練の様子
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (重要な会計方針及び見積り)当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (1) CFO/CROメッセージ 2023年度の業績を振り返りをお願いします。売上収益は、前年度比+9.3%となりました。全ての事業にて増収となりましたが、特に国際事業において、外食需要の高まりからトマト加工品を中心とした需要が好調であったこと、コスト上昇分の販売価格への転嫁が進められたこと、円安により邦貨への換算額が増加したことなどが要因となりました。事業利益は、前年度比+52.1%となりました。国内加工食品事業において、原材料やエネルギーの価格高騰などの大幅なコスト上昇があったものの、価格改定に加え、原価低減に積極的に取り組んだことにより、当初見込んでいた前年度からの減益幅を縮めることができました。また、国際事業の事業利益が売上収益同様、大きく増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度比+14.4%となりました。事業利益からの減少要因は、国内農事業において、固定資産の減損損失を計上したことによります。国内農事業は販売価格が市況の影響を大きく受ける構造です。今後のコスト上昇に対し、それを販売価格へ十分に反映できるかが不透明であると判断したことが主な理由です。事業環境の急激な変化がありましたが、2023年度は増収増益となり、株主様への配当も当初の目標を上回る形で実施することができました。また、こうした業績を背景に、ROIC※は13.2%と1.7point改善しました。これは、大幅な利益の増加が主因です。他方、投下資本においては、棚卸資産が前年度末比+176億円と大きく増加しました。これは、原材料価格の上昇などによるものです。原材料価格の上昇に対しては、販売価格への反映と原価低減努力により、投下資本と利益の循環が健全に保たれていると考えています。 ※ROIC=カゴメROICのこと。EBITDA÷投下資本で算出。 財務戦略について第3次中期経営計画前半の振り返りをお願いします。当社グループは、成長投資と株主還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。持続的な成長を支え、大きな変化に耐えるためには、財務基盤の安定維持が重要だと考えています。第3次中期経営計画の前半である2022~2023年度は、事業環境が大きく変化する中で、業績面では売上収益・事業利益とも当初の中期経営計画目標を上回ることができました。これは、国際事業が想定を上回るスピードで業績を伸ばしたことによるものです。他方、国内加工食品事業においては原材料などの急激なコスト上昇に対して販売価格の見直しを図りました。当初は販売数量の減少がありましたが、2023年第4四半期では概ね前年度水準まで販売数量が回復しています。 同期間におけるキャッシュ・フローは下記の通りです。区分2022~2023年度営業キャッシュ・フロー92億円投資キャッシュ・フロー△155億円財務キャッシュ・フロー101億円 ●営業キャッシュ・フロー 営業キャッシュ・フローは92億円の純収入となりました。利益は順調に推移したものの、棚卸資産の増加によるキャッシュの減少が2年間で223億円あったことが主な要因です。●投資キャッシュ・フロー投資キャッシュ・フローは155億円の純支出となりました。これは営業キャッシュ・フロー悪化への対応として、不要不急の設備投資を控えたことなどによります。●財務キャッシュ・フロー財務キャッシュ・フローは101億円の純収入となりました。これは主に2024年度以降の資金需要に対応するために、借入を行ったことによります。 財務指標は、自己資本比率は49.8%、信用格付はシングルAとなっています。自己資本比率は、第3次中期経営計画の方針を若干下回りましたが、引き続き財務基盤は安定していると考えています。資本効率はROEが8.3%となりました。これは国内農事業における固定資産の減損による一時的な損失が影響しており、それを除くと目標とする9%の水準を達成しています。また株主還元は、前年度より1株当たり3円の増配を行うことができました。 目的指標2022年度実績2023年度実績第3次中期経営計画方針財務基盤の安定自己資本比率52.8%49.8%50%以上信用格付シングルAシングルAシングルAの維持資本効率を重視した成長ROE7.7%8.3%9%以上安定的な利益還元総還元性向※-40%以上 ※ 1株当たり配当額実績:2022年度38円、2023年度41円 第3次中期経営計画期間後半における財務目標について教えてください。 第3次中期経営計画期間の後半となる2024~2025年度は、「国内事業の利益回復」「国際事業の成長加速」を基本方針とし、売上収益3,000億円、事業利益240億円を目標とします。これは2022年度に掲げた当初の目標を大きく上回るものとなります。特に、インオーガニック成長については、2024年1月に持分法適用関連会社であるIngomarの出資持分を追加取得し、連結子会社化しました。これにより売上収益にて約500億円程度の増分を見込んでいます。なお、同社持分の追加取得約360億円は当社の事業投資として過去最大となります。本投資に必要となる資金は、一時的には借入金にて調達します。その結果、自己資本比率は50%を下回りますが、同社からの利益や自己株式の処分により第3次中期経営計画期間内に同借入金の返済を予定しており、50%を回復する見込みです。これらを踏まえ 2025年度における財務指標は、基本方針を上回る見込みです。財務基盤の安定を維持するとともに資本効率を重視した成長を図ります。また、2024年度の配当は1株当たり10円の記念配当を加えた52円を見込むなど、中期経営計画期間における総還元性向40%以上を堅持しつつ、事業成長を反映した利益還元を実施していきます。 ROIC管理に取り組む意義について教えて下さい。当社は資本効率を高める取り組みとして、全社でのROIC管理を行っており、企業価値最大化を図る上でROEの向上を目指しています。当社の財務構造において、ROE9%以上を達成するためには、ROIC11~12%を達成する必要があります。その観点から、事業別に、目指すべきROIC目標を設定し、KPIの設定と達成に向けたPDCAが図られるように仕組み化しています。今後もこのPDCAを継続・進化させ、従業員一人ひとりの意識・行動につなげることで、資本効率の向上、企業価値の最大化を図っていきます。 リスクマネジメントに対するアプローチについて教えてください。第3次中期経営計画期間におけるアクションの一つとして、当社は「グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成」を掲げています。リスクマネジメントは、この経営基盤を支える柱になると考えています。 当社のリスクマネジメントに対する取り組みは、会社の重点リスク課題から各組織のリスク課題までを、経営層から従業員一人ひとりに至るまで、それぞれが我がこととして取り組めるよう仕組み化しています。先に掲げた定量目標を達成するためには、環境変化により生じる多様なリスクを、それぞれの立場で的確に把握し、適切な対応を図ることが重要だと考えています。
(2) 経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。① 売上収益売上収益は、2,247億30百万円となり、前連結会計年度の2,056億18百万円に比べ、191億12百万円の増加(9.3%増)となりました。国内加工食品事業は、主要原材料をはじめとする売上原価の大幅な上昇を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。改定後、需要の落ち込みがあったものの、食品カテゴリーや業務用カテゴリーの販売が好調であったことにより増収となりました。国際事業においても、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調であったことにより、増収となりました。 ② 事業利益事業利益は、194億76百万円となり、前連結会計年度の128億8百万円に比べ、66億67百万円の増加(52.1%増)となりました。国内加工食品事業は、原材料価格の高騰などにより減益となりましたが、国際事業において増収による影響の他、持分法適用会社であるIngomarの利益が増加したことにより、増益となりました。 ③ 営業利益営業利益は、174億72百万円となり、前連結会計年度の127億57百万円に比べ、47億15百万円の増加(37.0%増)となりました。国内農事業において、気象条件に伴う生鮮トマト市況の不確実性やエネルギー、肥料の価格高騰によるコスト上昇等を総合的に勘案した結果、固定資産の減損損失を計上したものの、事業利益の増益に伴い増益となりました。 ④ 親会社の所有者に帰属する当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益は、104億32百万円となり、前連結会計年度の91億16百万円に比べ13億16百万円の増加(14.4%増)となりました。世界的な金利上昇を受け、支払利息が増加したことなどにより、営業利益と比べて増益幅は縮小しました。 以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比9.3%増の2,247億30百万円、事業利益は前期比52.1%増の194億76百万円、営業利益は前期比37.0%増の174億72百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比14.4%増の104億32百万円となりました。 セグメント別の業績は、次の通りであります。 (単位:百万円)セグメントの名称売上収益事業利益(△は損失)前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減 飲料75,90775,446△4616,7986,903105通販13,57813,130△4481,528664△863食品他48,48153,5965,1142,2022,800598国内加工食品事業 計137,968142,1734,20410,52810,369△159国内農事業9,58210,110527449115△333国際事業67,83085,20817,3773,60811,1307,521その他2,2212,481260△91△106△15調整額△11,984△15,242△3,258△1,686△2,032△346合計205,618224,73019,11212,80819,4766,667 各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。 <国内加工食品事業>国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。当事業における売上収益は、前期比3.0%増の1,421億73百万円、事業利益は、前期比1.5%減の103億69百万円となりました。 ① 概要トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。 SWOT分析STRENGTH 強みWEAKNESS 弱み■ 原材料調達における、海外ネットワーク力と、品質保証力■ 120年を超える歴史で培われたブランド力■ 素材の力を活かした機能性研究、商品開発力■ 多様な販路と、顧客に応じた商品提案力■ 環境変化へ対応できるバリューチェーンの柔軟性■ 幅広いカテゴリー対応維持のための資源分散■ コモディティ市場における価格競争力■ 若年層への浸透OPPORTUNITY 機会THREAT 脅威■ 健康、安心・安全意識のさらなる向上■ 環境、社会貢献意識の向上を通じた購買行動の多様化■ 生活者との新たな情報、購買接点の拡大■ デジタル技術によるイノベーションの創出■ 為替、市況変動に伴う原材料価格の上昇■ 健康関連商品の多様化による相対的な既存領域でのポジション低下■ 機能性研究の進化による異業種からの競合参入■ 日本国内における人口減少、高齢化による市場の縮小 ② 2023年度の概要(成果・課題) 成果課題野菜飲料においては、市場が停滞する中、積極的な新商品の投入及び需要創造活動の展開により当社のシェアは過去最高値を更新しています。食品においても、日本一食べたくなるオムライスを決める全国大会「カゴメオムライススタジアム® 2023」の開催をはじめ、洋食・トマトメニューの需要喚起などを行った結果、トマトメニューの食卓出現率は過去最高値となりました。結果として、売上収益は、増収となりました。野菜飲料の市場活性化がカテゴリーリーダー企業としての最大の責務であると認識しています。新しい価格が受容されるよう、広告投資も含めた需要喚起策を積極的に展開します。また、ナトカリバランス※の訴求やベジチェック®を利用した生活者の野菜摂取の行動変容、食育活動の強化によるファン化促進を併せて進めていきます。※ ナトカリバランス:食事から摂るナトリウム・カリウムのバランス ③ 2024年度に向けた戦略野菜飲料の需要回復に向けて、ユーザー数の維持拡大に全力で取り組みます。特に、これまで野菜飲料の飲用経験がなかった新規顧客の獲得に再注力します。2023年度に実施した彩りあざやかな「野菜の色」を野菜飲料の独自価値と捉えたコミュニケーション「GoVivid(あざやかに、生きよう。)」により、野菜飲料の新たな飲用者の獲得と、習慣飲用化の兆しも見えてきました。2024年度はこの活動をさらに拡大・加速させていきます。食品は、「カゴメトマトケチャップ」による、食卓をよりおいしく、より楽しくする新提案として、トマトケチャップを油で炒めるだけでより濃厚でコク深い味わいが楽しめる新感覚の調理法「焼きケチャップ」の訴求をさらに強化することで差別化を図るとともに、洋食・トマトメニューの出現機会の促進を図ります。 業務用は、不採算商品の見直しなどの構造改革と並行し、特に付加価値が高く、伸長の著しい各種野菜ピューレーやオニオンソテーなどの冷凍野菜素材の拡大に尽力します。2024年度も主要原材料であるトマトをはじめとした農産原料価格の上昇は続きます。価格改定の影響による販売数量の減少を最小限に抑制し、新しい価格の定着に向けた需要喚起策を併せて行うことで、売上・利益の最大化に引き続き取り組んでいきます。 マーケティング本部長メッセージ「Farm」からファンベースドマーケティングを進展私は、「Farm」をとても大切なものと考えています。「畑は第一の工場」として、価値を創出する場であるとともに、体験型の野菜のテーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム」や、各営業拠点に設置されている野菜と暮らす楽しさを提供する「カゴメキッチンファーム」といった、お客様と価値をともに作り、感動体験を共有する場として、「Farm」を捉えています。この「Farm」と「Table」をつなげるだけではなく、「Life」という領域まで価値をつなげることはできないだろうか、と考えています。まだ道半ばではありますが、この考え方を昇華させ、ファンベースドマーケティングを進展させる力にしたいと思います。また、企業の持続的成長に向けて、マーケティング人材並びに組織外との連携・新規事業への参画などの強化を進めます。これら一連の活動を通して、全社マーケティングの強化及び挑戦する組織風土の醸成を図っていきます。 執行役員マーケティング本部長 兼 デジタルマーケティング部長稲垣 慶一 <国内農事業>農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。当事業の売上収益は、前期比5.5%増の101億10百万円、事業利益は前期比74.2%減の1億15百万円となりました。 ① 概要生鮮トマトやベビーリーフなどの生鮮野菜の生産・販売を中心に「野菜の会社」を体現すべく事業活動を進めています。生産から消費までのバリューチェーンの高度化を図り、安定的な収益を獲得するとともに、日本の「農業振興」と「健康寿命の延伸」などの社会課題解決に貢献します。 SWOT分析STRENGTH 強みWEAKNESS 弱み■ 生鮮トマトでのナショナルブランドの確立■ トマトの高度な品種開発力、生産調達力、マーケティング力■ 自社営業網・物流網による周年供給力と配荷力■ 農事業に関する専門スキル(知識・技術)を持った人材■ 生鮮トマト特有の市況影響による収益ボラティリティ■ 生鮮トマトのコモディティ市場における価格競争力の低下■ 労働集約型の施設園芸分野における生産自動化の遅れ■ トマト、ベビーリーフ以外の野菜の品種、産地、流通などの生産基盤の不足OPPORTUNITY 機会THREAT 脅威■ ロボット・AI・IoTを活用したスマート農業や環境制御機器にAIを搭載した技術開発が進展■ 生鮮野菜の販売チャネルの多点化と健康志向の高まり■ 農業分野でのESG投資やSDGsなどへの関心の高まり■ 園芸に関心のある潜在的な生活者・企業の存在■ 大型温室の増加による競争激化への対応■ 人件費、エネルギー費、資材費、物流費などのさらなる上昇への対応■ 気候変動による栽培適地の減少や新たな病害虫の発生への対応 ② 2023年度の概要(成果・課題) 成果課題売上収益は、生鮮トマトの取扱量の増加、積極的な需要喚起策の実行などにより、増収となりました。事業利益は、余剰期の需給バランス悪化による販売単価下落、エネルギー価格や肥料価格の上昇などにより、減益となりました。主な取り組みとして、従来の健康訴求に加えて美容需要を喚起するプロモーションを積極的に展開しました。それにより、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の販売構成を順調に上げることができました。「高GABAトマト」は、冬春作と夏秋作の組み合わせによって、通年販売ができるようになりました。 資材費・エネルギー費・人件費上昇による生産コスト圧迫、気象環境に伴う生鮮トマトの調達量の変動などの外部環境悪化に対し、収益力強化が課題です。商品容量変更や全国の生産拠点再編による需給バランス適正化などに取り組みます。また、コンビニエンスストアなどに対して、サンドイッチ・惣菜への「高リコピントマト」使用メニューの提案を強化します。 ③ 2024年度に向けた戦略主力の生鮮トマトは、「健康付加価値型トマト」という独自ポジションの確立を目指します。美容需要の獲得によりお客様層が広がった「高リコピントマト」を中心に、ミニ系商品である「高β‐カロテントマト」と「ビタミンCトマト」の販売を拡大して、商品ラインナップを強化します。利益面では、急激な資材費上昇などの外部環境変化へ迅速に対応して持続的に利益を創出するため、生産から販売までサプライチェーン全体で原価低減と効率化を進めます。AI(人工知能による深層学習機能)の活用場面を、収量予測だけでなく、トマト温室の環境(温度・湿度・生鮮トマトを栽培する大型ガラス温室CO2濃度など)制御や販売施策などの領域にも拡大し、収益力強化に結びつけていきます。洗浄済みベビーリーフは、健康・簡便食材としてのトライアル拡大と、生鮮トマトとの連動販売を積極的に進めます。新たに取り組んでいる生鮮野菜(紫たまねぎなど)も含めて、青果売場で「彩り」をテーマとした売場活性化を図り、毎日の食卓を豊かにする取り組みを進めます。ホームセンターで一般家庭向けにトマト苗などを販売する家庭園芸では、人気が定着した「薄皮トマト苗」のシリーズ化や、トマト以外の野菜苗の拡充により、年間を通じた売場提案を行います。通販・企業向けの提案など、新たな商品・接点開発を進めるとともに、デジタルツールを活用した園芸需要のさらなる掘り起こしに取り組みます。 環境面では、省エネやCO2排出量削減など、地球環境に配慮した新技術の探索・実証に向けた取り組みを進めていきます。 カゴメアグリフレッシュ㈱社長メッセージ「生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーン」の高度化を推進「先進的で持続可能な農ビジネスモデルを構築し、日本の農業をアグレッシブにリフレッシュする!」ことを目指して価値創造を進めます。そして、生活者の多様化する健康ニーズとライフスタイルにお応えするとともに、生産・流通・消費の各段階で環境負荷低減にも取り組みます。そのためには、社内外の経営資源を最大限活用し、品種開発力・技術力・調達力・営業力の各領域の力をより高め、競争力の源泉である「生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーン」の高度化を推進します。中長期的な価値創造のためには、「人材」が経営資源の中で最も重要と捉えています。農事業の高い専門性とともに、「長期的な時間軸で、時代の変化とともに自ら変革を続ける力」を有する人材の育成に注力します。専門性が高い人材の採用、教育体制の整備、ローテーションや協働機会の創出・活性化などの人材マネジメントに戦略的に取り組みます。これにより、経営資源の有効活用、なくてはならない農事業としての独自性の確立、付加価値の高い商品やサービス提供による顧客満足度の向上、将来を見据えた社会課題の解決につなげていきます。景気変動や市場変化の予測が困難な経営環境ではありますが、事業を持続的に成長させることを通して、社会からの期待に応えていきます。カゴメアグリフレッシュ株式会社代表取締役社長羽布津 真典 <国際事業>国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。当事業における売上収益は、前期比25.6%増の852億8百万円、事業利益は、前期比208.4%増の111億30百万円となりました。 ① 概要国際事業は、農業生産、加工、販売事業などを展開しています。加工はトマトペーストなどを製造する一次加工と、トマトペーストを原材料としてトマトソース、ピザソースなどを製造する二次加工に大別されます。国際事業の主な顧客は調味料メーカーや外食企業などで、米国、欧州、オーストラリアなどでBtoBビジネスを展開しています。 SWOT分析STRENGTH 強みWEAKNESS 弱み■ フードサービス企業に向けたメニュー提案によるソリューション力■ グローバルに展開するグループ会社によるトマト原材料の安定した供給力■ グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力とESG課題の推進■ トマトペースト市況の変動に伴う収益ボラティリティ■ 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ■ BtoCにおけるブランド認知の不足OPPORTUNITY 機会THREAT 脅威■ 米国やインドなどを中心とした、フードサービス市場の成長ポテンシャル■ 原材料となる加工用トマトの効率向上技術に対するニーズの高まり■ 原価・運営コスト高騰に伴うフードサービス企業からのソリューションニーズの高まり■ トマトペースト市況下落による収益の悪化■ 異常気象などの天候リスクによる事業活動への影響■ サプライチェーンの分断による原材料・製品供給不足 ■ 各国拠点の従業員の確保難、労務費の高騰 ② 2023年度の概要(成果・課題) 成果課題米国を中心に展開するKIUSは、堅調な米国の外食需要を背景に、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。また、ポルトガルのHITをはじめとしたトマト一次加工も、世界のトマトペーストの市況高の影響もあり、増収に大きく寄与しました。KAUは、フードサービス企業向けの販売が好調に推移したものの、2022年10月に発生した洪水被害の影響によりトマトペーストの生産量が減少しました。事業利益は、原材料やエネルギー価格の高騰があったものの、各社で価格改定を実施したほか、円安の影響もあり、増益となりました。世界的なインフレに対しては、生産性向上や固定費削減を進めるほか、価格改定を実施して利益を確保していきます。一次加工、二次加工ともに原材料価格や人件費などが上昇しており、価格への転嫁を進めます。中長期的には気候変動の影響を受ける加工用トマトや一次加工品の確保が課題であり、サプライチェーンの強化が必要です。 ③ 2024年度に向けた戦略国際事業は、主要顧客であるフードサービス企業のグローバル展開や、サプライチェーン上のリスクなどを鑑み、これまで以上に各グループ会社の連携を強めて事業の拡大を加速させるため、2023年10月から国際事業本部をカンパニー制(カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー)に移行しました。この体制により、主に3点の取り組みを進めていきます。1点目は、バリューチェーンにおける連携強化です。バリューチェーンの川上における生産調達や品質保証だけでなく、マーケティングやソリューション営業活動などの川下との連携も強化し、各国で市場が拡大しているグローバルフードサービス企業向けの提案力を高めていくことで、売上成長につなげていきます。2点目は、ガバナンスの再構築です。カンパニー経営会議のもと、意思決定の速度を上げるとともに、リスクマネジメントや業務生産性向上などの課題に取り組みます。3点目はグローバル人材の育成です。海外で活躍できる人材の獲得や育成は国際事業の成長における喫緊の課題です。カンパニー制となることで、組織や人員体制をカンパニー全体で最適化することや、育成プログラムを確立するなど、国際事業全体でのグローバル人材の育成を図ります。カゴメ・フード・インターナショナルカンパニーCEOミーティングの様子 世界トマト連携会議にて、グループ会社のトマト加工品を試食する様子 カゴメ・フード・インターナショナルプレジデント メッセージグローバル最適視点で成長を加速カゴメ・フード・インターナショナルカンパニーは、海外現地法人のCEOも参加し、グローバル最適視点で機動的に意思決定を行い、迅速に執行するための新たな会議体を設置しました。第3次中期経営計画前半の個社収益構造改革で実現した安定基盤をてこに成長を加速させていくことが狙いです。成長ドライバーである二次加工領域においては、各市場における成長機会や顧客ニーズをタイムリーに掌握・共有し、新たな商品やソリューションを連携体制で開発し展開していきます。また、各市場における活動を支える農・原材料基盤や組織インフラの整備、効率的な生産を可能にするための投資も同時に進めます。カゴメの経営における海外事業の比重が高まる中で、グローバル経営の前進は必須ですが、それを可能にする最重要基盤は人材です。企業理念や行動指針を共有するグローバルチームの総力を結集し、持続的成長を実現する体制を構築します。 執行役員カゴメ・フード・インターナショナルカンパニープレジデント 兼 グローバルトマト事業部長江端 徳人 なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。 (3)財政状態の分析当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ402億76百万円増加いたしました。流動資産につきましては、前期末に比べ362億89百万円増加いたしました。これは、主に原材料価格の高騰などにより「棚卸資産」が176億32百万円、有利子負債の増加などにより「現金及び現金同等物」が146億20百万円、好調な販売などにより「営業債権及びその他の債権」が29億39百万円、円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が13億77百万円、それぞれ増加したことによります。非流動資産につきましては、前期末に比べ39億87百万円増加いたしました。これは、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が41億20百万円、当社子会社であるKIUSの持分法適用会社であるIngomarの利益が増加したことなどにより「持分法で会計処理されている投資」が21億58百万円、それぞれ増加したことによります。なお、「繰延税金資産」はデリバティブの時価評価により11億16百万円減少いたしました。負債につきましては、前期末に比べ256億33百万円増加いたしました。これは、主に運転資金の増加に伴い「借入金」が152億71百万円、また当社における資金調達等に伴い「長期借入金」が55億65百万円、それぞれ増加したことによります。資本につきましては、前期末に比べ146億43百万円増加いたしました。これは、「利益剰余金」が配当により32億76百万円減少した一方で、「親会社の所有者に帰属する当期利益」により104億32百万円増加、「その他の資本の構成要素」が主に主要通貨に対する円安が進行したことにより純額で58億19百万円増加したことによります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.8%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,535円90銭となりました。 (4)連結キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、360億10百万円となり、前期末に比べ146億20百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、46億17百万円の純収入(前期は46億35百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が164億89百万円となったこと、減価償却費及び償却費が82億49百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産の増加により147億80百万円、法人所得税等の支払いにより42億71百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。投資活動によるキャッシュ・フローは、60億56百万円の純支出(前期は94億57百万円の純支出)となりました。この主要因は、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により64億26百万円支出(前期は98億78百万円支出)したことによります。財務活動によるキャッシュ・フローは、156億26百万円の純収入(前期は55億12百万円の純支出)となりました。この主要因は、配当金の支払いにより32億77百万円支出があったものの、長期借入金による収入103億87百万円、短期借入金の純増減額92億9百万円の収入があったことによります。 (生産、受注及び販売の状況)a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%) 飲料38,6907.4 通販691△4.6 食品他19,4397.1 国内加工食品事業 計58,8207.1 国内農事業2,9574.4 国際事業64,99012.9 その他173△30.3 合計126,9429.9
(注) 1 金額は製造原価によっております。2 金額は消費税等を含めておりません。 b. 受注状況主要製品の受注生産は行っておりません。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。セグメントの名称金額(百万円)構成比(%)前期比(%) 飲料外部顧客に対するもの75,446 △0.6セグメント間取引- -計75,44633.6△0.6通販外部顧客に対するもの13,130 △3.3セグメント間取引- -計13,1305.8△3.3食品他外部顧客に対するもの53,596 10.5セグメント間取引- -計53,59623.810.5国内加工食品事業 計外部顧客に対するもの142,173 3.0セグメント間取引- -計142,17363.23.0国内農事業外部顧客に対するもの10,106 5.6セグメント間取引3 △66.5計10,1104.55.5その他外部顧客に対するもの2,421 18.9セグメント間取引60 △67.6計2,4811.111.7国際事業外部顧客に対するもの70,029 25.0セグメント間取引15,178 28.8計85,20837.925.6調整額△15,242△6.727.2連結売上収益224,730100.09.3
(注) 1 各セグメント間のセグメント売上収益を消去しております。   2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)株式会社日本アクセス32,37515.732,02014.2
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
(Ingomarの持分追加取得(連結子会社化)等)当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、全額出資子会社 KAGOME USA HOLDINGS INC. (以下、KUH)を通じて、当社グループの持分法適用関連会社である米国Ingomarの持分を追加取得することを決定し、同日付でIngomarを連結子会社化しました。あわせて同日付で自己株式処分に係る発行登録をしております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(34.重要な後発事象)」をご参照ください。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当連結会計年度の研究開発費の総額は、4,296百万円であります。なお、当社の研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため、総額で記載しております。当社は2023年10月1日付の組織改定において、イノベーション本部を発展的に解消・再編成し、「食健康研究所」と「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター」を新設しました。 食健康研究所は、日本のみならず、世界中の人々のWell-Beingを実現するため、野菜や植物性食品の持つ可能性を様々な角度から検証してまいります。 主な研究分野 ・行動変容研究健康寿命の延伸や野菜摂取の行動変容に繋がる仕組みづくり・創出の研究、社外研究機関と連携した野菜摂取に関する行動変容研究 など ・機能性研究国内外の商品やサービス、素材の栄養・機能価値に関するエビデンスの取得、食における野菜摂取が健康寿命の延伸に寄与することを示すエビデンスの取得 など ・事業貢献一般社団法人ナトカリ普及協会との当社事業の支援、機能性表示食品の商品化に向けたエビデンス強化、行動変容コンテンツによる国内外における事業支援、野菜に関する情報の発信・普及と海外研究機関との共同研究 など 地球温暖化に伴う異常気象の発生や、海外の人口増加を受け、世界的な農産原料の安定生産が中長期的な重要な課題です。特にトマトにおいては近年世界的に需給が逼迫しており、長期的にも気候変動の影響を受ける可能性が高いことが想定されます。 グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターは、中長期的な原材料の確保と、持続的な農業の確立を目指し、川上の新品種の開発と育種、アグリテックなど栽培技術の開発に、人材等の資源を集中的に投下してまいります。今後はグローバルで通用する技術開発と新規事業創造を進め、「低環境負荷トマト・野菜のプラットフォーマー」を目指します。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当連結会計年度は、新商品導入、品質の維持・向上、インフラ整備を主な目的として設備投資を実施し、全体での設備投資の額は7,503百万円となりました。なお、有形固定資産の他、無形資産への投資を含めて記載しております。報告セグメント別の当連結会計年度の設備投資の状況は次の通りであります。 <国内加工食品事業>国内加工食品事業では、小牧工場のストローレス対応設備導入や小坂井工場の福利厚生施設改修などの設備投資を行った結果、国内加工食品事業全体の投資額は2,853百万円となりました。  <国内農事業>国内農事業では、菜園設備の更新などにより、国内農事業全体の投資額は214百万円となりました。 <国際事業>国際事業では、製造設備の更新などにより、国際事業全体の投資額は4,386百万円となりました。 <その他>その他では、投資額は48百万円となりました。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は、次の通りであります。(1) 提出会社2023年12月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)その他合計本社(名古屋市中区)国内加工食品事業管理7――4121[-]東京本社(東京都中央区)国内加工食品事業管理73343―3391,116583[71]総合研究所(栃木県那須塩原市)国内加工食品事業研究5538213(32)153928100[22]東京支店(東京都中央区)他8支店国内加工食品事業販売464290(3)6211,178457[65]那須工場(栃木県那須塩原市)国内加工食品事業飲料生産設備他2,5103,046687(86)2626,505114[139]茨城工場(茨城県小美玉市)国内加工食品事業調味料生産設備他1,6611,52952(76)683,31185[81]富士見工場(長野県諏訪郡富士見町)国内加工食品事業飲料生産設備他3,5274,73344(114)2258,53096[65]小坂井工場(愛知県宝飯郡小坂井町)国内加工食品事業調味料生産設備他1,3102,83745(41)524,24681[91]上野工場(愛知県東海市)国内加工食品事業調味料生産設備他408709128(25)261,27346[36]小牧工場(愛知県小牧市)国内加工食品事業飲料生産設備他849461665(9)392,01791[34]
(2) 国内子会社2023年12月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)その他合計カゴメアクシス㈱本社(名古屋市中区)他1事業所その他管理2,19182,349(1,319)424,59280[36] (3) 在外子会社2023年12月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)その他合計KAGOME INC.(注3)本社及び工場(米国カリフォルニア州)他1営業所、1子会社国際事業調味料生産設備他1,5442,055[15]181(146)1,3865,167[15]75[281]台湾可果美股份有限公司本社及び工場(台湾台南市)他2営業所国際事業管理・生産設備1,2321,2464,617(1,296)1047,200191[16]Kagome Australia Pty Ltd.(注3)本社及び工場(オーストラリア連邦ビクトリア州)他2子会社国際事業管理・生産設備9723,455178(83)1,3575,962127[138]Holding da IndustriaTransformadorado Tomate,SGPS S.A.(注3)本社及び工場(ポルトガル共和国パルメラ市)他2子会社国際事業管理・生産設備2,2543,877[401]413(351)5287,075[401]270[222]
(注) 1 帳簿価額のうち、その他は工具、器具及び備品、使用権資産並びに建設仮勘定の合計であります。なお、金額には消費税等を含んでおりません。2 連結子会社において、提出会社から借用中の設備を含むものについて、[ ]書きで外書きしております。3 KIUS、KAU及びHITは、それぞれ同社子会社を含んでおります。4 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に外書きしております。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 翌連結会計年度の設備投資計画金額は 104億円であり、セグメント毎の内訳は次の通りであります。セグメントの名称設備投資計画金額(百万円)主な設備投資の目的・内容国内加工食品事業2,700生産設備などの更新及び拡充国内農事業300 菜園設備などの更新及び拡充国際事業7,100生産設備の更新及び拡充その他300 合計10,400
(注) 1 上記計画に伴う所要資金は、自己資金及び借入金により充当する予定であります。2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2) 重要な設備の除却等経常的な設備の更新のための除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はありません。
研究開発費、研究開発活動4,296,000,000
設備投資額、設備投資等の概要48,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況42
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況17
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況7,999,018

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
1. 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、投資株式について、もっぱら株式の価値の変動または配当の受領によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式、それ以外の株式を純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)に区分しております。 2. 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、持続的な成長と社会的価値、経済的価値を高めるため、業務提携、原材料の安定調達など経営戦略の一環として、また、取引先との良好な関係を構築し、事業の円滑な推進を図るために必要と判断する企業の株式を保有しております。保有の意義が希薄と考えられる政策保有株式については、できる限り速やかに処分・縮減していく基本方針です。毎年、政策保有の意義、経済合理性などを検証し、保有継続の可否、保有株式数を見直します。経済合理性の検証は、直近事業年度末における各政策保有株式の金額を基準とし、同事業年度において当社利益に寄与した金額の割合を算出し、その割合が当社の単体5年平均ROAの概ね2倍を下回る場合、また、簿価から30%以上時価下落した銘柄及び年間取引高が1億円未満である銘柄についても、売却検討対象とします。これらの基準のいずれかに抵触した銘柄については、毎年、取締役会で売却の是否に関する審議を行います。審議の結果、2023年度に一部保有株式を売却しました。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式18678非上場株式以外の株式3111,076 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式―――非上場株式以外の株式611取引先持株会における定期購入等 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式――非上場株式以外の株式7249 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)加藤産業㈱731,900731,900安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有3,3632,568ダイナパック㈱1,678,6001,703,600安定的な資材調達取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有2,5042,120日清食品有限公司12,994,00012,994,000海外における共同事業運営の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無1,4741,479Tat Gıda Sanayi A.Ş5,071,1685,071,168安定的な購買関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無8231,296㈱イズミ112,200112,200安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無406335㈱トーホー110,000110,000安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有305188イオン㈱89,02086,801安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。無280241㈱マルイチ産商179,783178,701安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。有231190㈱システムリサーチ80,00080,000安定的なシステム構築取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有231169㈱バローホールディングス92,30092,300安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有225168アルビス㈱82,80082,800安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有217198 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)ヤマエグループホールディングス㈱49,81149,276安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。有19072伊藤忠食品㈱20,00020,000安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有15898セントラルフォレストグループ㈱70,35270,010安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。無
(注)1138117㈱関西フードマーケット56,49055,618安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。無8171尾家産業㈱42,80042,800安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有7439㈱ヤマナカ106,000106,000安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有7375㈱いなげや37,70092,000安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有47113㈱サトー商会28,80028,800安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無4732石塚硝子㈱13,80013,800安定的な資材調達取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有4619エイチ・ツー・オー リテイリング23,62523,625安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無3630㈱アークス11,50011,500安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無3125㈱フジ11,90011,900安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無2221 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)マックスバリュ東海㈱7,0217,021安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無2020㈱ライフコーポレーション5,7005,700安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無1815㈱平和堂5,9005,900安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無1212㈱リテールパートナーズ(丸久)3,00028,200安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無537㈱大光7,1446,750安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。また、同社の取引先持株会に加入していることから、保有株式数が増加しています。有44イオン九州㈱1,2001,200安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無22イオン北海道㈱480480安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。無00アクシアル  リテイリング㈱100100安定的な営業関係取引の維持・強化及び相互の取り組みによる将来的な企業価値向上が保有の目的です。定量的な保有効果については秘密保持の観点により記載しませんが、取引状況等を含めた総合的な判断により保有効果を評価しています。有00
(注)1 セントラルフォレストグループ㈱は当社の株式を保有しておりませんが、同社子会社が当社の株式を保有しております。 みなし保有株式該当事項はありません。 3. 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社6
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社7
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社18
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社678,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社31
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社11,076,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社11,000,000
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社249,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社100
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社2,000,000