財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-02-29
英訳名、表紙OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長  安 藤 昌 幸
本店の所在の場所、表紙大阪市中央区安土町1丁目8番15号
電話番号、本店の所在の場所、表紙(06)6264-5071(代)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
1946年12月「カナダバルサム」「ツェーデル油」の製造販売のため、大阪市東成区に大阪有機化学工業株式会社を設立。1947年3月「有機溶剤」「試薬」の製造販売を開始。1951年11月関東方面の販売強化のため、東京都江東区に東京出張所を開設。1953年12月試薬精製品から石油化学品への転換が進み、「アクリル酸」の製造を開始。1955年9月製造規模の拡大に伴い、大阪市城東区に関目工場を設置。1958年7月本社を関目工場に移し、関目工場を本社に統合する。1961年7月生産規模の拡大に伴い、大阪府柏原市に本社及び工場を移転。1961年10月販売活動の充実を図るため、大阪市東区(現・中央区)に大阪営業所を設置。1968年10月東日本地域の流通体制強化のため、千葉県八千代市に八千代事業所を設置。1969年4月神港有機化学工業株式会社(現・連結子会社)を設立し、「酢酸エステル類」の一部製造を移管。1981年6月生産規模の拡大に伴い、石川県松任市(現・白山市)に松任工場(現・金沢工場)を設置。1984年6月本社を大阪市東区(現・中央区)に移転し、大阪営業所を統合する。1987年7月大阪証券取引所市場第二部に株式を上場。1988年12月関連会社のサンユーケミカル株式会社を共同出資により設立し、「メタクリル酸エステル」を製造。1997年6月松任工場(現・金沢工場)ISO9002認証取得。1999年3月事業拡大のため、山形県飽海郡遊佐町に工場用地取得。2000年7月山形県飽海郡遊佐町に酒田工場を建設、本格稼動を開始。2001年1月柏原工場(現・大阪事業所)ISO9002認証取得。2003年11月本社・開発部・研究部・酒田工場に対象部署を拡大してISO9001認証取得。2003年12月東京支店を東京オフィスに名称変更。2005年2月柏原工場を大阪工場(現・大阪事業所)、松任工場を金沢工場に名称変更。2005年11月東京証券取引所市場第二部に株式を上場。2005年12月酒田工場ISO14001認証取得。2006年1月金沢工場ISO14001認証取得。2007年11月酒田工場労働安全衛生マネジメントシステム(OHSAS18001)認証取得。2011年12月東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。2012年3月中国上海市に日本大阪有機化学工業株式会社上海代表処を設置。2014年1月中国上海市に光碩(上海)化工貿易有限公司(現・連結子会社)を設立。2014年12月日本大阪有機化学工業株式会社上海代表処(中国上海市)を廃止。2015年12月大阪工場を大阪事業所に名称変更。2018年4月関連会社のサンユーケミカル株式会社を解散。2021年6月八千代事業所を閉鎖。2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場に移行。2022年10月大韓民国ソウル特別市に韓国連絡事務所を設置。
事業の内容 3 【事業の内容】
当社グループは、大阪有機化学工業株式会社(当社)と連結子会社2社より構成され、有機化学工業薬品の製造販売を主な業務としております。当社グループの事業は、化成品事業、電子材料事業及び機能化学品事業の3分野の事業を展開しております。各事業の内容及び当社と関係会社(連結子会社)の当該事業における位置付けを以下に記載いたします。なお、以下に記載しております事業区分は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。(1) 事業内容事 業 区 分事 業 の 内 容化成品事業塗料・粘接着剤・インキ向け等特殊アクリル酸エステル及びアクリル酸の製造販売。エステル化技術、蒸留精製技術、重合防止技術を基に自動車・建築等の塗料、粘接着材、コーティング材やエレクトロ分野へのポリマー原料として、当社製品をマルチパーパス生産設備
(注)で多品種少量生産対応により事業展開しております。電子材料事業ディスプレイ・半導体向けを中心とした電子材料の製造販売。エステル化技術、蒸留精製技術、ポリマー合成技術、精密合成技術を基に、アクリル酸エステル類の光硬化性
(注)の特徴を活かしたアクリル酸エステル製品及びアクリル酸エステルから誘導化した機能性ポリマー
(注)製品を電子材料原料として電子産業分野へ事業展開しております。機能化学品事業化粧品向け原材料、機能材料等の製造販売。エステル化技術、蒸留精製技術、ポリマー合成技術、精密合成技術を基に、頭髪用機能性ポリマー製品、各種中間体原料及び特殊溶剤としての機能材料
(注)等を関連産業分野へ事業展開しております。 (2) 事業における会社の位置付け事 業 区 分主要製品当該事業における会社の位置付け化成品事業アクリル酸エステルメタクリル酸エステルアクリル酸当社は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリル酸の製造販売をしております。光碩(上海)化工貿易有限公司はアクリル酸エステル等を販売しております。電子材料事業液晶ディスプレイパネル加工用フォトレジスト
(注)材料半導体用フォトレジスト原料(アクリル酸エステル)その他電子材料向け機能性ポリマー当社は、液晶ディスプレイパネル加工用フォトレジスト材料、半導体用フォトレジスト原料(アクリル酸エステル)及びその他電子材料向け機能性ポリマーの製造販売をしております。機能化学品事業化粧品材料機能材料酢酸エステル特殊溶剤当社は、化粧品材料及び機能材料(繊維用撥材
(注)等)の製造販売をしております。神港有機化学工業株式会社は、酢酸エステル、特殊溶剤等の製造販売をしております。光碩(上海)化工貿易有限公司は化粧品材料等を販売しております。 注:(用語説明)マルチパーパス生産設備 :同一の生産設備で多種多様の製品を製造する設備の総称です。光硬化性        :光のなかでも主に紫外線を照射することにより、硬化する性質を表す用語です。この性質は、大気中への有機物質の放出が微量であるため、環境にやさしい特徴をもっています。機能性ポリマー     :従来のポリマーは金属やガラスに代わる成形材(容器)として用いられていましたが、紙おむつに代表される水を多量に吸収する性質や光を当てると硬化する性質などの機能を持ったポリマーの総称です。機能材料        :用途に合わせた特殊仕様の化学製品の総称です。当社では、高い技術力と得意の少量多品種生産システムを用い、様々な市場のニーズに対応しています。フォトレジスト     :光や電子線等によって溶解性が変化する組成物で、LSIの回路形成や液晶テレビの製造に欠かせない材料です。繊維用撥材       :繊維の表面に撥水性を付与する物質の名称です。繊維の防水加工に使われます。 事業の系統図は次のとおりであります。
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
名称住所資本金(千円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(連結子会社) 神港有機化学工業株式会社 (注2)神戸市東灘区55,000機能化学品事業77.1当社へ製品を販売しております。当社が資金を貸し付けております。当社が債務保証をしております。役員の兼任があります。光碩(上海)化工貿易有限公司中国上海市210,000化成品事業機能化学品事業100.0当社へ製品を販売しております。当社が製品を販売しております。役員の兼任があります。
(注)1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。2 神港有機化学工業株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等(1) 売上高3,346,262千円
(2) 経常利益631,528千円(3) 当期純利益405,942千円(4) 純資産額2,888,285千円(5) 総資産額4,987,369千円
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2023年11月30日現在セグメントの名称従業員数(名)化成品事業108電子材料事業163機能化学品事業81全社(共通)109合計461
(注)1 従業員数は就業人員であります。2 全社(共通)は、主に総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
(2) 提出会社の状況2023年11月30日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)40640.716.87,780,893 セグメントの名称従業員数(名)化成品事業108電子材料事業163機能化学品事業30全社(共通)105合計406
(注)1 従業員数は就業人員であります。2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3 全社(共通)は、主に総務及び経理等の管理部門の従業員であります。 (3) 労働組合の状況当社及び国内子会社の労働組合は1961年に結成され、国内子会社を含めた組合員数は325名であり、上部団体には属しておらず、労使関係は円満な関係を維持しております。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)
(注)1男性労働者の育児休業取得率(%)
(注)2労働者の男女の賃金の差異(%)
(注)1、
(注)3全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者5.788.979.679.675.1
(注)1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。3 正規雇用労働者の男女の賃金の差異の主な要因は、管理職に占める女性労働者の割合の低さ及び時短勤務者に占める女性労働者の割合の高さによるものであります。 ② 連結子会社連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、経営理念、経営ビジョン、行動指針からなる理念体系の下、当社グループ全員がそれらを理解し、目標と価値観を共有して行動してまいります。優れた生産活動を通じて地域社会の秩序を守り、社会と産業界の進歩と発展に貢献することにより、ステークホルダーの皆様の期待に応え続ける企業であることを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標当社グループでは、2015年11月期に開始した前中期経営計画(Next Stage 10)を1年前倒しとなる2023年11月期にて終了し、2024年11月期より2030年11月期までの新中期経営計画Progress & Development 2030(P&D 2030)をスタートいたしました。新中期経営計画 P&D 2030において、その目標を下記のとおり設定しております。 2023年度2026年度2030年度実績目標目標連結売上高289億円400億円以上500億円以上連結営業利益35億円56億円以上75億円以上連結営業利益率12.4%14%以上15%以上戦略投資・事業投資-累積300億円以上ROE7.8%10%以上12%以上ROIC5.4%8%以上9%以上配当性向36.6%40%目安40%目安 (3) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題今後の見通しにつきましては、日本経済は新型コロナウイルス感染症の影響からの回復局面にある一方で、中国を中心とした海外の景気減速の可能性や、燃料や原材料価格の高騰等による物価高、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まり等により、依然として先行きの不透明な状況が続くと予想されます。このような情勢の下、新中期経営計画 P&D 2030では、当社グループの経営理念のもと、「特殊アクリル酸エステルのリーディングカンパニーとして、グローバル市場に価値を提供する」という経営ビジョンを掲げ、ESGに配慮したサステナブル経営を推進してまいります。事業領域における基本戦略といたしましては、最先端半導体材料の開発を加速させ、周辺材料への展開により半導体事業の拡大、LCD用レジスト設計技術の非ディスプレイ用途への展開、親水性ポリマー技術の生体適合材料や新規電子材料用途への展開、有機圧電材料や伸縮性エラストマー材料に関する他機関やメーカーとの連携、新規市場投入等により重点領域を拡充いたします。また、バイオマスアクリレートの開発、川下化、非化石原料由来のアクリル酸開発、完全非化石由来材料への挑戦、LCAなどの環境データ開示による環境社会へ向けた材料開発に取り組んでまいります。海外戦略の強化として、中国、韓国、北米への販売会社設置、現地生産を含むチャネル戦略の強化、化粧品材料を中心としたASEAN・インドなどへの販路拡大を図ってまいります。非事業領域におきましては、カーボンニュートラルに向けた施策の実行、廃棄物の削減、資源再利用等によるサーキュラーエコノミー実現に向け持続可能な社会への貢献を目指します。IT、DXの推進により、品質向上、トラブル防止、安全性の向上や生産性の向上に取り組むとともに、労働環境や働き方の最適化による社員の働きがいやエンゲージメントの向上、雇用の多様化に向けた仕組みづくり、環境や戦略に合わせた教育、人材育成などの人的資本経営を実行してまいります。また、コンプライアンスの徹底、サプライチェーンの強靭化、BCPの実行性強化などのリスクマネジメントの強化を図ってまいります。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。リスク項目リスク内容リスク対策(1)原材料の調達、原油価格及び原料価格の変動原材料メーカーや生産委託先の事故、品質不良、倒産等により供給の遅延・中断や、コロナ禍からの本格的な経済回復、国内外のインフレ進行、米中貿易摩擦、ウクライナ情勢の長期化等の影響により、当社及び子会社の生産活動に支障をきたす可能性があります。また、原油価格及びナフサ価格が大幅に変動した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。原材料の調達先を複数確保するなどして安定的な原材料の調達に努めております。また、製品価格への連動や、原価低減等の施策により、影響の低減を図っております。
(2)事故・災害・パンデミックによる生産への影響大規模な自然災害や火災事故、化学物質の社外流出事故、パンデミック(感染症の世界的な大流行)等が発生した場合には、生産活動の停止等により当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の実施のほか、BCP(事業継続計画)を策定し、BCP発動時の演習を定期的に行いリスクの低減を図っております。感染症に対して、感染症対応マニュアルを策定し、感染防止策を徹底して、事業活動を行っております。 (3)法的規制国内外の法令・規制(化学物質関連、毒劇法、労安法、消防法等)に従って事業活動を行っておりますが、今後、より厳格な規制が導入されたり、法令の大幅な変更や解釈が厳しくなったりすることにより、事業活動が制限される可能性があります。また、法令等に抵触しコンプライアンス違反が発生した場合には、社会的な信用が低下し、損害賠償責任や罰金が科され、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。国内外の法令等の運用や改訂動向に関する情報を調査、抽出するとともに、業務プロセスの検証や見直し、社内規程の整備、関係者への教育等の施策を展開し、法令遵守を行っております。(4)海外での事業活動海外での事業活動には、政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期しない法律・規則の変更、戦争・テロ・感染症等のリスクが潜在しております。これらの事象が顕在化し、事業活動に支障が生じた場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。現地における優秀な人材の確保と育成を進め、いち早く正確な情報を入手し、的確に対応することによりリスクの最小化を図るとともに、海外拠点における内部統制の整備を進めてまいります。(5)特定分野への依存事業ポートフォリオにおいて構成比率が高くなっている電子材料事業は、技術革新が早く、顧客ニーズが複雑・多岐にわたるため、技術変化や需要変動への対応が遅れた場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。新製品開発及び市場を見据えた製品展開を行い、設備や人員配置の最適化を進めております。また、脱炭素社会で必要とされる高機能材料の創出にも取り組んでおります。(6)経済動向による需要変動当社及び子会社の製品は、幅広い分野で使用されており、各業界の需要変動に大きな影響を受けます。市況の変動、安価な製品の流入、代替製品の出現等により、製品の低価格化が進んだ場合には、収益性の低下につながり、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。需要動向等の影響を受け難い収益構造を目指し、製品の新陳代謝を進めるとともに、高機能で高付加価値の製品群の増加に努めております。(7)資産の減損損失当社及び子会社の機械及び装置、建物等は投資計画どおりに収益が得られず、投資額の回収が見込めない場合は、減損損失を計上する可能性があります。また、製品市況が著しく下落した場合には、棚卸資産の評価減により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。当社及び子会社では、継続して業績と減損の兆候について把握を行っており、投資に対する回収が困難となる前に対策を講じております。棚卸資産については、需要動向、在庫状況を確認し、棚卸資産の適正在庫管理に努めております。 リスク項目リスク内容リスク対策(8)買収、資本提携企業買収、事業買収、資本提携等にあたり、当初期待していたシナジーやその他のメリットを獲得できなかった場合や、想定していない新たな問題が生じ又は発見された場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。企業買収、事業買収、資本提携等を行う際には、対象企業や事業等の投資先について詳細な調査を行い、慎重にリスクを検討するとともに、投資案件については、業績と当初計画との乖離を確認し、必要に応じて対策を講じております。(9)情報セキュリティ不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等により、当社及び子会社の業務システムの停止、情報の漏洩、情報システムの障害等が発生した場合には、事業活動の停止や社会的信用の低下等により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。情報セキュリティポリシーを定め、適切なシステム管理体制の構築、セキュリティ対策を実施するほか、継続した社員教育を随時実施し情報管理の徹底に努めております。(10)訴訟事業を行う中で、取引先や第三者との間で紛争が発生した場合、訴訟やその他法的手続きの対象となるリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。法令を遵守するとともに、紛争の発生や訴訟等のリスクを未然に防ぐように努めております。また、弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整えています。(11)研究開発投資技術的な優位性確保のため、継続して一定水準の研究開発投資を行っておりますが、期待した成果が得られなかった場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。特殊アクリル酸エステルに対する先進的且つ独自の技術を活かした製品を適時に提供するため、市場の要望に迅速に対応する体制を整えています。(12)人材の確保少子化に伴う労働者人口の減少等、必要な人材を確保できない場合や、優秀な人材の獲得・維持が計画通り進捗せず人材が不足した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。人材の採用方法について適宜見直しを行い、必要な人材の確保に努めております。また、社員教育や研修による能力開発に加え、ワークライフバランスや健康意識の向上に取り組み、働きやすい職場づくりに努めております。(13)製品の品質当社及び子会社が製造した製品に予期できない重大な品質問題が発生した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。品質マネジメントシステムを基に、品質保証体制の強化に努めております。また、製造物賠償責任保険を付保しておりますが、製品の品質向上に繋がる製品開発を継続して進めることで顧客満足度の向上及び信頼を得ることにより、リスク低減に取り組んでおります。(14)知的財産保有する技術・ノウハウの流出や、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性等、知的財産権について問題が発生した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。保有する技術・ノウハウを厳格に管理するとともに、当社及び子会社が他社の知的財産権に抵触していないか十分に調査を行い、他社の権利を侵害することがないように事業展開をしております。(15)環境・気候変動環境汚染による損害及び社会的信用の低下に伴う損害が発生した場合や廃棄物が増加した場合の処理費用の増加により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。また、気候変動や脱炭素社会への移行に伴う新たな法的、社会的責任が発生した場合には、法令遵守等のための対策費用の増加等により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。関連法令・規則を遵守するとともに、管理基準を設け環境汚染・有害物質を管理し、廃棄物の削減に取り組んでおります。TCFD提言への対応を表明し、2050年度までに温室効果ガス(GHG)排出量ゼロを目標に掲げ、気候変動や脱炭素社会等の課題への取り組み(省エネ活動、再生可能エネルギーの活用等)を行い、サステナブル経営を推進しております。(16)人権問題当社及び子会社の役員・従業員及びサプライチェーン上等で差別・ハラスメント・強制労働・児童労働等の人権問題が発生した場合、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。「ビジネスと人権に関する国連指導原則」に基づいて「大阪有機化学工業グループ 人権基本方針」を制定するとともに、当社及び子会社の役員・従業員へ適切な教育を実施します。また、人権デュー・デリジェンスの人権尊重の取り組みを行い、リスク低減に努めております。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行などに伴い、経済活動が徐々に正常化へ向かい、景気は緩やかな回復傾向が続いております。しかしながら、中国経済の停滞や原材料・エネルギー価格の高騰などによる物価高、地政学的リスクの高まりなどにより、依然として不透明な状況が続くと考えられます。このような状況の下で当社グループは、2020年11月期よりスタートした、長期経営計画「Next Stage 10」の後半となる、第2次5ヶ年中期経営計画を推進し、各種施策に取り組んでまいりました。化成品事業におきましては、選択と集中による製品の新陳代謝を図り、採算性の向上に努めるとともに、グローバルに市場が拡大するUVインクジェットプリンター向け特殊インク用原料やバイオマス由来などの環境に配慮した製品の拡販に注力いたしました。電子材料事業におきましては、次世代半導体材料開発の強化によるトップシェアの確保及び新規ディスプレイ材料の拡販に努めてまいりました。機能化学品事業におきましては、機能性ポリマーの開発を促進するとともに、化粧品原料や高純度特殊溶剤の拡販に取り組んでまいりました。しかしながら、ディスプレイや半導体などの電子材料用途を中心に需要の低迷の影響を大きく受けております。この結果、当連結会計年度の売上高は289億7百万円(対前年同期比10.3%減)、営業利益は35億7千7百万円(対前年同期比39.7%減)、経常利益は38億7千7百万円(対前年同期比39.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億7千万円(対前年同期比30.8%減)となりました。セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント間取引を含んでおりません。) 化成品事業化成品事業におきましては、アクリル酸エステルグループは、自動車生産の回復に伴い、自動車用塗料向けの販売が堅調に推移いたしました。一方で、ディスプレイ用粘着剤向けやUVインクジェット用インク向けの販売が減少いたしました。メタクリル酸エステルグループは、販売が大幅に減少いたしました。この結果、売上高は103億1百万円(対前年同期比6.7%減)、セグメント利益は9億4千7百万円(対前年同期比16.5%増)となりました。 電子材料事業電子材料事業におきましては、半導体材料グループは、最先端のEUVレジスト用原料は好調に推移いたしました。しかしながら、主力であるArFレジスト用原料は、末端市場の需要減少による在庫調整の長期化のため、販売が低調に推移し、グループ全体の売上高は減少いたしました。表示材料グループは、ディスプレイの需要の低迷により販売が低調に推移いたしました。この結果、売上高は127億7千7百万円(対前年同期比16.1%減)、セグメント利益は16億6千3百万円(対前年同期比56.2%減)となりました。 機能化学品事業機能化学品事業におきましては、化粧品原料グループは、販売が海外で好調に推移いたしました。機能材料グループは、受託品の販売が低調に推移いたしました。子会社の高純度特殊溶剤の販売は堅調に推移いたしました。この結果、売上高は58億2千8百万円(対前年同期比2.5%減)、セグメント利益は9億7千3百万円(対前年同期比25.1%減)となりました。 当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べて18億円増加し、546億3千6百万円となりました。主として売掛金の減少8億5千2百万円、有形固定資産の増加19億7千2百万円及び投資有価証券の増加8億8千1百万円などによるものです。当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べて4億3千4百万円減少し、110億7百万円となりました。主として支払手形及び買掛金の減少7億1千9百万円、未払金の減少2億5千2百万円、未払法人税等の減少8億1百万円及び長期借入金の増加14億3千3百万円などによるものです。当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ22億3千4百万円増加し、436億2千9百万円となりました。主として利益剰余金の増加20億9千3百万円、自己株式の増加5億8千6百万円及びその他有価証券評価差額金の増加6億1百万円などによるものです。 有利子負債(リース債務を除く)は、長期借入金の借入等により前連結会計年度に比べ13億4千万円増加し、株主資本は、利益剰余金の増加等により15億4百万円増加した結果、デット・エクイティ・レシオ(有利子負債/株主資本)は、12.2%(前年同期は9.2%)となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の77.3%から78.7%へと1.4ポイントの増加となりました。なお、1株当たり純資産額は、2,021.12円となりました。  ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により獲得した43億7千万円から、投資活動に41億2千7百万円投資し、財務活動において4億7千6百万円減少となったことなどにより、1億7千3百万円減少し、78億9千万円(対前年同期比2.2%減)となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益44億5千5百万円、減価償却費24億2千8百万円及び法人税等の支払額19億2千万円などにより、43億7千万円の増加(前年同期は47億2千7百万円の増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、41億2千7百万円の減少(前年同期は48億5千2百万円の減少)となりました。これは、主に設備新設等に伴う有形固定資産の取得による支出47億8百万円及び投資有価証券の売却による収入6億6千7百万円などによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、設備新設資金等の長期借入れによる収入33億円、長期借入金の返済による支出19億3千4百万円、自己株式の取得による支出6億2百万円及び配当金の支払額11億7千7百万円などにより、4億7千6百万円の減少(前年同期は15億6千4百万円の減少)となりました。 当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンド 第73期第74期第75期第76期第77期自己資本比率(%)73.576.577.577.378.7時価ベースの自己資本比率(%)70.8141.7162.286.2103.9キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.750.620.390.761.13インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)411.4528.1870.3875.2575.3
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている負債(リース債務を除く)を対象としております。(注4)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。(注5)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。   ③ 生産、受注及び販売の実績 a. 生産実績及び受注実績当社及び子会社は原則として見込生産を行っております。また、当社及び子会社の製品は多種多様にわたり、同種の製品でも仕様が一様でなく、通常の取引の単位が大幅に異なるものが混在することから、金額及び数量表示は妥当性を欠くため、生産実績につきましても記載を省略しております。   b. 販売実績セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)化成品事業10,301,599△6.7電子材料事業12,777,275△16.1機能化学品事業5,828,311△2.5合計28,907,186△10.3
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)日本レジン株式会社3,388,18910.53,633,59512.6JSR株式会社4,258,76513.23,027,57510.5三菱ケミカル株式会社3,546,61511.0-- 3 当連結会計年度における三菱ケミカル株式会社への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の事項・項目が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。(棚卸資産の評価)当社グループは、各顧客の厳格な品質要求に対応した製品供給が求められるとともに、品質要求充足後も顧客による長期の製品検証プロセスを経て販売が可能となる製品があります。また、多品種を少量販売する事業であるため、生産効率の観点から一定の見込み生産を行い、長期間をかけて製品を販売する特性もあります。そのため、製品の滞留が発生する他、最終製品に至る中間生産品として在庫する仕掛品や特定製品の製造のために保有する原材料及び貯蔵品についても滞留が発生します。長期滞留の棚卸資産の評価にあたって、一定の滞留期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切り下げるとともに顧客による製品検証プロセスの経過期間や進展状況を継続的に把握する他、滞留期間や需要動向等の外部環境の変化を勘案して貸借対照表価額を算定しております。棚卸資産の評価にあたっては信頼性をもって見積もっておりますが、顧客による製品検証プロセスの進展状況や外部環境に重要な変動が生じた場合には、損益に影響を与える可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識及び測定を行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。将来の市況悪化や事業計画の変更等があった場合、減損損失を計上する可能性があります。(繰延税金資産)当社グループは、繰延税金資産については、事業計画等を考慮して将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討の上、回収可能額を計上しております。市況悪化や事業計画の変更等により将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産を取り崩し、当該会計期間において税金費用が発生する可能性があります。(投資有価証券)当社グループの保有する株式について、時価のある有価証券は、連結会計年度末における時価が取得原価の50%以下に下落したときに、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。また、連結会計年度末における時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満であるときは、回復可能性があると認められる場合を除き、連結会計年度末以前1年間の時価の推移等を勘案して、減損処理を行っております。時価のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化等により実質価値が著しく低下した場合には、回復可能性があると認められる場合を除き、必要と認められた額について減損処理を行っております。(退職給付に係る資産及び負債)当社グループは、数理計算上で設定される前提条件に基づき退職給付に係る資産及び負債並びに退職給付費用を計上しております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状態「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b. 経営成績(売上高と営業利益)当連結会計年度における売上高は、電子材料事業の需要が低調に推移したこと等により、289億7百万円(前連結会計年度比10.3%減)となりました。当連結会計年度における営業利益は、上記の要因等により、35億7千7百万円(前連結会計年度比39.7%減)となり、営業利益率は12.4%(前連結会計年度18.4%)となりました。(営業外損益と経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、受取保険金があったものの、受取配当金や為替差益の減少等により前連結会計年度より1億3千8百万円減少し、3億1千3百万円となりました。営業外費用は、自己株式取得費用の減少等により前連結会計年度より8百万円減少し、1千3百万円となりました。その結果、当連結会計年度における経常利益は38億7千7百万円(前連結会計年度比39.1%減)となりました。(特別損益と税金等調整前当期純損益)当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益は減少した一方で、投資有価証券売却益の増加により前連結会計年度より1億2千4百万円増加し、5億8千7百万円となりました。特別損失は、固定資産除却損の減少等により前連結会計年度より9百万円減少し、9百万円となりました。その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は44億5千5百万円(前連結会計年度比34.6%減)となりました。 (税金費用と非支配株主に帰属する当期純損益と親会社株主に帰属する当期純損益)当連結会計年度における税金費用は、法人税、住民税及び事業税11億4千6百万円と法人税等調整額△5千1百万円を計上し、10億9千4百万円(前連結会計年度比44.8%減)となりました。当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は8千9百万円(前連結会計年度比9.3%減)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は32億7千万円(前連結会計年度比30.8%減)となりました。 c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析(資金需要)主として設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払並びに配当金及び法人税の支払等に資金を充当しております。(資金の源泉)主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金により、必要とする資金を調達しております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は78億9千万円であり、十分な手元流動性は確保できているものと認識しております。(キャッシュ・フロー)「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。(有利子負債)当連結会計年度末の有利子負債(リース債務を除く)は49億2千3百万円であります。このうち金融機関からの長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)は48億9千8百万円であります。 d. 財政政策について事業の「選択と集中」を軸に収益力の強化、設備投資の選択的実施による資金効率化によるフリー・キャッシュ・フローの拡大を目指すとともに、次世代材料や新規分野開拓への戦略的研究開発投資を行い更なる高収益製品への拡大を図ってまいります。資金調達活動につきましては、健全な財務体質の維持、資本効率の向上、株式価値の希薄化等への十分な配慮と調達コスト・スピード等を考慮し、資金調達を行ってまいります。当連結会計年度末において財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物等の流動資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金は十分に賄えると考えておりますが、引き続きこれらの政策を進めることにより、株主への利益還元と財務体質の一層強化を図ってまいります。 e. 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、長期化するウクライナ情勢等による世界経済の不確実性は大きく、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き予断を許さない厳しい状況にあります。しかし、そのような状況下においても、生産コスト及び経費の削減により競争力を高めるとともに、市場のニーズにマッチした新規製品を迅速に上市することにより、継続的な業績の向上を目指してまいります。また、当社グループは、安全の確保を最優先と考え、災害対策の徹底、コンプライアンス及び情報セキュリティの強化など、重大リスクの低減に努めております。また、品質管理の強化とサプライチェーンの強靭化によって安定供給を実現することで、お客様からの信頼を一層高めていくことに尽力いたします。一方、環境への取り組みも当社グループの重要な使命と認識し、カーボンニュートラルの実現に向けてエネルギー原単位、廃物量、CO2排出量をKPIに定め、これらの削減に取り組んでおります。さらに、当社グループは、働き方改革によるワークライフバランスの実現や、ダイバーシティを推進するとともに、教育制度を拡充することで、次代を担う優秀な人材を確保し、育成してまいります。
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
該当事項はありません。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
研究開発活動に関しましては、自社のコア技術を活かし市場のニーズに合致した製品をスピーディーに提供するため、営業開発担当者と研究員が一体となり連携しながら市場の要望に対応しております。当連結会計年度の研究開発費は1,436百万円となり、売上高の5.0%を占めております。セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。 (1)化成品事業化成品事業では、既存製品においては、コスト競争力を高めるために、継続的にプロセス改良を行っております。また、UVインクジェットや粘接着剤等の成長分野向けに、硬化速度が大きく改善されたモノマーや、硬化後の溶出物が大きく低減されたモノマー等、これまでにない新機能を付与したアクリル酸エステルを開発し、市場へ提案しております。さらに、バイオマス原料を使用したモノマーの開発にも力を入れており、ラインナップを増やして顧客へ提案を進めています。
(2)電子材料事業電子材料事業では、表示材料については、当社の光硬化技術をマイクロLEDや、フレキシブルディスプレイ等のディスプレイ周辺部材だけでなく、配線材料、光導波路等の新しいアプリケーションへの展開を積極的に行っております。また、半導体材料については、引き続き次世代EUVレジスト用モノマーの新規開発に注力するとともに、当社の低メタル化技術、高純度化技術が展開できる半導体前工程周辺材料の開発にも取り組んでおります。 (3)機能化学品事業機能化学品事業では、ヘアケア材料事業譲受により大きく増えたラインナップを有効に活用し、顧客の要求を実現できる材料提案を積極的に行っております。特殊水溶性ポリマーとして、モノマーから設計できる当社の強みを生かして材料設計を行う事で、従来なかった新しい特性を持つ材料を市場へ提案し、化粧品基材だけでなく、他分野への用途展開を図っております。 (4)新規事業新規事業領域の確立に向けて、特殊アクリルをベースにエラストマー、伸縮性導電材料、調光材料、有機圧電材料の開発を進めており、外部の研究機関や大学との共同開発にも取り組んでおります。同時に川下化戦略にも注力しており、ライフサイエンス、医療、エネルギー変換等の分野において、スマートウィンドウ、センサ/スイッチ、ハプティクスデバイス、パワーデバイス用途等、近い将来において拡大が見込まれる市場に向けた材料開発にも注力しております。 また、新規に開発した材料については、特許出願など知的財産権の確保に努めるとともに、学会発表や新聞発表、展示会等のメディアを通じていち早く市場に提案し、顧客からのフィードバックを重視した商品開発を行ってまいります。今後とも当社の持つモノマー合成技術・重合技術・精密有機合成技術のシナジーにより、市場のニーズに対応した新しい材料提案を行っていきたいと考えております。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当社及び子会社は、生産品の高付加価値化及び生産合理化のための設備投資を行っております。なお、有形固定資産の他、無形固定資産(のれんを除く)への投資を含めて記載しております。当連結会計年度の設備投資額は4,613百万円であり、セグメントごとの設備投資について示すと、次のとおりであります。化成品事業では113百万円、電子材料事業では3,832百万円、機能化学品事業では459百万円、共通資産として207百万円であります。共通資産とは、主に共通の事業で使用する生産設備やリース資産であります。なお、重要な設備の除却等はありません。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
(1) 提出会社2023年11月30日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計大阪事業所(大阪府柏原市)化成品事業電子材料事業機能化学品事業生産設備研究設備その他設備1,363,52810,037124,688(26,472)114,5131,612,76846金沢工場(石川県白山市)5,616,2507,910,0471,079,566(100,281)169,68514,775,548253酒田工場(山形県飽海郡遊佐町)化成品事業電子材料事業機能化学品事業生産設備その他設備945,961156,351841,015(122,265)32,1261,975,45539東京オフィス(東京都中央区)全社資産販売設備その他設備7,964--(-)2038,16730本社(大阪市中央区)全社資産販売設備その他設備44,759--(-)78,355123,11438
(注)1 帳簿価額には建設仮勘定は含めておりません。帳簿価額のうち「その他」は「工具、器具及び備品」、「リース資産(有形固定資産)」及び「ソフトウエア」の合計であります。2 大韓民国における市場調査及び情報収集の拠点として2022年10月に設置した韓国連絡事務所は、上記に含めて記載しております。
(2) 国内子会社2023年11月30日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計神港有機化学工業株式会社本社工場(神戸市東灘区)機能化学品事業生産設備研究設備販売設備その他設備742,278597,314118,083(9,750)8,7751,466,45151
(注) 帳簿価額には建設仮勘定は含めておりません。帳簿価額のうち「その他」は「工具、器具及び備品」であります。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設等生産合理化、原価低減、品質向上及び安全環境保全を図るため、また研究開発の推進のため、設備の増設及び改修を目的とした設備投資を予定しております。その計画の大要は、次のとおりです。 会社名事業所名所在地セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達方法着手及び完了予定年月完成後の増加能力総額(千円)既支払額(千円)着手完了当社金沢工場石川県白山市共用設備環境関連設備260,000-自己資金2024年2月2024年6月
(注)1神港有機化学工業株式会社本社工場兵庫県神戸市東灘区機能化学品事業生産設備760,000423,000自己資金及び借入金2023年2月2024年5月
(注)2合計1,020,000423,000
(注)1 主に環境関連インフラ設備の強化工事であり、生産能力の増加はありません。2 主に機能化学品事業の能力増強工事であり、生産能力の増加は約20%を予定しております。
(2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動1,436,000,000
設備投資額、設備投資等の概要207,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況41
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況17
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況7,780,893

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、保有目的が「純投資目的である投資株式」と「純投資目的以外の目的である投資株式」の区分について、純投資目的とは専ら株式の価値変動や株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合と考えております。一方、純投資目的以外とは当社の顧客及び取引先等との安定的・長期的な取引関係の維持・強化や当社の中長期的な企業価値向上に資する場合と考えております。なお、「純投資目的である投資株式」は現在保有しておりません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、顧客及び取引先等との安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値する等、当該株式を保有する高度の合理性があると判断される場合に限り、株式の保有を行います。保有する株式については、定期的に取締役会へ報告し、個別銘柄ごとに取引関係の維持・強化、中長期的な保有メリット及び保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を総合的に勘案し、保有の適否を検討しております。当事業年度においては、2023年1月の取締役会にて、2022年11月末時点で保有する株式について個別銘柄ごとに過去5年間の事業取引金額及び保有による便益やリスクと資本コスト(WACC)との比較検証を行いました。また、検証結果に基づき、一部株式の売却を検討の上、実行いたしました。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(千円)非上場株式4140,960非上場株式以外の株式176,154,867 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(千円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式---  (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(千円)非上場株式--非上場株式以外の株式2667,267 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)東京応化工業㈱
(注)3131,100131,100電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有1,201,269896,724信越化学工業㈱
(注)4226,00045,200電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。株式数の増加は、株式分割によるものであります。有1,177,912794,164東亞合成㈱506,500506,500主要な取引先であり、購買取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有688,840596,150JSR㈱162,400162,400電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有660,805466,575三菱ケミカルグループ㈱522,700522,700化成品事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。無
(注)1506,234381,152TOPPANホールディングス㈱
(注)5109,300109,300電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。無
(注)1378,615233,027日本精化㈱115,900115,900機能化学品事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しておりましたが、提出日現在において全株売却しております。有310,032259,384㈱日本触媒47,00047,000主要な取引先であり、購買取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有251,497258,970㈱ダイセル168,000168,000電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有238,728167,664artience㈱
(注)662,40062,400電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有166,420117,312長谷川香料㈱46,40046,400機能化学品事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有149,408142,680 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)関西ペイント㈱43,00043,000化成品事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有96,83680,711㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ76,10076,100㈱三菱UFJ銀行との間で資金借入等の銀行取引を行っており、財務取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。無
(注)195,50557,463荒川化学工業㈱78,56078,560化成品事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有79,97478,167ダイトーケミックス㈱110,000110,000電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有66,99067,760長瀬産業㈱23,00023,000主要な取引先であり、購買取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化や、当社の中長期的な企業価値向上に値するか等を勘案し、保有が妥当と判断しております。有53,44046,437日産化学㈱6,00096,000電子材料事業の主要顧客であり、販売取引上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化を目的として保有しております。なお、当事業年度において一部売却しております。有32,358647,040森六ホールディングス㈱-60,000当事業年度において全株売却しております。無-105,420
(注)1 保有先企業は当社の株式を保有しておりませんが、同社の子会社が当社の株式を保有しております。2 定量的な保有効果は記載が困難であるため、記載しておりません。なお、保有の適否に関する検証については、「a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載しております。3 東京応化工業㈱は、2023年12月31日を基準日として2024年1月1日付で普通株式1株を3株とする株式分割を行っております。4 信越化学工業㈱は、2023年3月31日を基準日として2023年4月1日付で普通株式1株を5株とする株式分割を行っております。5 凸版印刷㈱は、2023年10月1日付でTOPPANホールディングス㈱に商号変更しております。6 東洋インキSCホールディングス㈱は、2024年1月1日付でartience㈱に商号変更しております。 みなし保有株式 該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。 ④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。 ⑤ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社4
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社140,960,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社17
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社6,154,867,000
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社667,267,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社6,000
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社32,358,000
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社森六ホールディングス㈱
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社