経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。 (1)財政状態及び経営成績の状況①経営成績当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を背景としたリバウンド需要が景気をけん引し、個人消費やインバウンド需要が回復の兆しを見せています。また、雇用環境や所得水準の改善も見られるほか、デジタル化の推進等を背景にソフトウエア関連の投資も拡大しており、景気は緩やかな回復基調にあります。一方で、海外景気の下振れ、原油価格の高騰、円安や物価上昇等の影響が国内景気の下押しリスクとなり、依然として先行きは不透明な状況となっております。 当社を取り巻く国内クラウド型コールセンター市場におきましては、数年ごとに大規模なシステム投資が必要なオンプレミス型から拡張性が高いクラウド型への移行が引き続き顕著化しており、今後については、特に大規模案件のクラウドへの移行が一層加速すると見込まれております。また、コールセンターの対応窓口が電話だけでなく、メール、チャット、問い合わせフォーム、SNS等へとマルチチャネル化していることに加えて、生産年齢人口の減少や労働力不足から、コールセンター窓口をアウトソーシングする動きも拡大しております。さらに、昨今においては、生成AI(コンピュータが学習したデータから、新たなデータや情報を自動生成する技術)を活用した製品やサービスが急速に増えるなか、コールセンターシステムの動向についても、AIによる自然言語処理能力を活用した要約機能やVOC分析(顧客の声を分析して企業活動に活かす手法)等の先端的機能に注目が集まっており、収集・蓄積した顧客情報や問い合わせ情報をAIに分析させ、広告配信や効果的な販売に結び付ける等、コールセンターの役割が「コストセンター」から収益を生みだすための「プロフィットセンター」へ本格移行する過渡期に入ったとの見方も強まっております。このような環境下のもと、当社は、2023年5月10日に公表した中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)に基づき、以下の2つの成長戦略を実施しております。①「@nyplace」の安定成長②独自サービスの飛躍成長 当第3四半期累計期間におきましては、引き続きオンプレミス型からクラウド型へのシステム移行提案、他社クラウドサービスから当社クラウドサービスへの切り替え提案等に注力してまいりました。新規顧客獲得に向けた取り組みとしては、業界最大規模の展示会への出展、シナジー効果のある企業とのオンライン共催セミナー開催によるリード獲得、SEO対策やリスティング広告等のWeb施策等に注力してまいりました。また、他社サービスとの連携及び協業施策の推進においては、サービス力の強化及び販売チャネル拡大を目的としたAI CROSS株式会社及び株式会社WOW WORLDとの協業のほか、クラウドサービスとインターネット回線サービスのワンストップ提供を目的としたソニービズネットワークス株式会社との取次業務委託契約の締結により、法人向けインターネット回線サービス「NURO Biz」の取り扱いを開始しております。既存顧客に向けた取り組みとしては、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査活動、顧客ニーズを反映した要望機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大に注力してまいりました。また、サービス展開における進捗としては、2023年8月に音声認識、自動要約、スマホ対応、完全冗長構成等の機能を搭載したAIコールセンターPBX/CTIシステム「VLOOM」の提供を開始したほか、同年11月には、AI顧客分析/リスト作成サービス「GOLDEN LIST」及びFAQ情報蓄積システム「CollasQ」の大型バージョンアップを実施しました。さらに、同年12月には、急騰する生成AI活用のニーズに対応し、効果的なVOC分析やマーケティング施策に貢献する当社独自のAIマーケティングシステム「UZ」の提供を開始しております。上記取り組みの一方、主に新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務縮小等による売上高の減少が、当第3四半期累計期間の業績に大きく影響している状況となっております。 これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は、1,629,607千円(前年同四半期比6.6%減)となりました。製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。なお、当社の報告セグメント は「クラウドサービス事業」の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。 ■IP電話交換機システム(PBX/CTI)(@nyplace)堅牢性・安定性を重視したAVAYA社製ハードフォン型コールセンターシステム「@nyplace」につきましては、オンプレミス型からクラウド型へのリプレイス案件の獲得や業務拡大及び拠点移転に伴う契約数増加があったものの、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務縮小やノンボイスチャネル増加に伴う電話問い合わせの減少、また、前年同四半期に受注した複数拠点のサーバリプレイスに伴う大型スポット案件の一時売上高の減少により、期間平均利用席数は6,531席(同1,157席減)、売上高は1,059,788千円(同10.4%減)となりました。 (COLLABOS PHONE)低コスト・短納期を特徴とする自社開発ソフトフォン型コールセンターシステム「COLLABOS PHONE」につきましては、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務縮小に伴う一時売上高、通信利用料及び契約数の減少がある一方で、他社サービスとの連携や協業、既存顧客からの紹介、価格優位性等による新規案件の獲得や既存顧客であるBPO事業者等の業務拡大に伴う通信売上の増加も発生しており、期間平均利用チャネル数は3,686チャネル(同13チャネル減)、売上高は367,745千円(同2.4%増)となりました。 (VLOOM)音声認識・自動要約機能等を搭載した自社開発のAIコールセンターシステム「VLOOM」につきましては、当初の計画からサービスリリースに遅れはあったものの、展示会出展やセミナー開催等による案件の引き合い、また、大型の新規案件の獲得等により、期間平均利用チャネル数は284チャネル(同-)、売上高は11,827千円(同-)となりました。 ■顧客情報管理システム(CRM)(COLLABOS CRM 及び COLLABOS CRM Outbound Edition)コールセンターに特化した顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、新型コロナウイルス関連や行政関連のスポット公共案件の業務縮小等により、契約数が減少いたしました。これらの結果、インバウンド用(受信)の「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は1,852ID(同426ID減)、売上高は94,044千円(同13.4%減)となり、アウトバウンド(発信)用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は467ID(同123ID減)、売上高は21,696千円(同18.0%減)となりました。 ■新サービス及び業務効率化を実現する付加的サービスその他、新サービス及び業務効率化等を実現する付加的サービスにつきましては、顧客情報管理(CRM)システムにマーケティングの機能を搭載した統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」や、AI技術搭載のリアルタイム音声認識システム「AmiVoice Communication Suite provided by コラボス」等の新規案件の獲得により、売上高は74,506千円(同9.3%増)となりました。 売上原価につきましては、1,206,402千円(同12.5%増)となりました。主な要因としては、「COLLABOS PHONE」において、新型コロナウイルス関連のスポット公共案件の業務縮小等に伴う通信利用料の減少等があった一方で、新サービス「GROWCE」及び「VLOOM」のソフトウエア償却費等の先行コスト、また、「@nyplace」のバージョンアップ及びエネルギー価格高騰に伴うホスティング費用の増加等によるものであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は703,710千円(同0.2%増)、「COLLABOS PHONE」は232,741千円(同1.6%減)、「VLOOM」は92,197千円(同-)、「COLLABOS CRM(Outbound Edition含む)」は39,616千円(同12.3%減)、その他、新サービス及び業務効率化を実現する付加的サービスは138,136千円(同56.2%増)となりました。 販売費及び一般管理費につきましては、603,811千円(同0.9%減)となりました。主な要因としては、賞与の減少、本社移転に伴う家賃の減少及びオフィス資産の減価償却費の減少によるものであります。 これらの結果、営業損失は180,606千円(前年同期は営業利益62,498千円)となりました。また、営業外収益として、当社システム開発における外部委託の開発遅延に伴う一部負担金17,091千円が発生したことにより、経常損失は162,848千円(前年同期は経常利益61,882千円)、四半期純損失は114,223千円(前年同期は四半期純利益36,602千円)となりました。 ② 財政状態(資産)当第3四半期会計期間末における総資産は、事業年度末に比べて234,582千円増加し、2,464,209千円となりました。主な要因は、新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資、法改正対応に伴う社内システムのバージョンアップによる無形固定資産の増加、リース資産の増加、繰延税金資産の増加があった一方で、売掛金の減少、未収還付法人税等の減少によるものであります。 (負債)当第3四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて348,692千円増加し、675,335千円となりました。主な要因は、長期借入金及び1年以内返済の長期借入金の増加、リース債務の増加によるものであります。 (純資産)当第3四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて114,109千円減少し、1,788,873千円となりました。主な要因は、利益剰余金が減少したことによるものであります。 (2)経営方針・経営戦略等 当第3四半期累計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。 (4)研究開発活動 該当事項はありません。 |